金子勇さんはビットコインの生みの親?サトシ・ナカモトとWinnyも解説
Crypto Times 編集部
金子勇さんはP2P技術を活用したファイル共有ソフト「Winny」の開発者として知られています。
2013年に逝去されましたが、その偉大な功績もあってか、未だにたびたび話題にあがります。
現在も真相が判明していないビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」の正体は、金子勇さんではないのかと言われることも。
金子勇さんはどのような人物だったのか、なぜビットコインの生みの親と言われているのかなど、詳しく見ていきましょう。
目次
金子勇さんとはどんな人?
金子勇さんは1970年生まれの、日本人プログラマーです。
当時では珍しい匿名性の高い分散型のファイル共有ソフトである「Winny」を2002年に開発したことで知られています。
しかし、Winnyは著作権侵害に利用されることも多く、金子勇さんは2004年に著作権法違反幇助の疑いで逮捕されています。
7年の時間をかけて無罪を勝ち取り、その後はソフトウェアの研究・開発、後進の育成などに力を入れていました。
金子勇さんはビットコインの生みの親なのか?
金子勇さんは、一部では「ビットコインの生みの親なのでは?」と言われています。
ビットコインの生みの親は現在も判明しておらず、また金子勇さんがビットコインの生みの親と考えられる理由は多数あり、現在も議論を呼んでいます。
金子勇さんがビットコインの生みの親と言われている理由を見ていきましょう。
- 金子勇さんがビットコインの生みの親と言われている理由
「サトシ・ナカモト」が日本人名
ビットコインの生みの親の名前はサトシ・ナカモトですが、これはおそらく偽名として考えらえています。
しかし、見てのとおり日本人名となっています。
「サトシ・ナカモト」という名前は「ナカモト」が日本哲学者の富永仲基から、「サトシ」がポケモンのサトシ(海外ではサトシをアッシュと呼ぶ)ではないかという憶測もあります。
江戸時代の富永仲基を外国人の方が思いつくとは考えづらいので、やはり日本人ではないかと考えられますが、ポケモンは世界中で人気なので断定できません。
憶測の範囲にすぎませんが「サトシナカモト」はやはり日本人以外は選びにくい名前です。外国人の方が日本人名を偽名として使うなら、比較的シンプルな苗字になるのではと考えられます。
- 政府への不信感も?
- Winny事件は後述しますが、不当に逮捕されることで中央集権組織に不信感を抱き、国や政府にコントロールされない分散型のシステムを実現しようとしたのでは?と予想すると金子勇さんの可能性が上がります。
ピュアP2Pでファイル共有する「Winny」を開発した
なぜ日本人の中でも特に金子勇さんがビットコインの生みの親と言われているのかというと「Winny」を開発した点が特に大きいです。
「Winny」はピュアP2Pでファイル共有をするソフトです。簡単に言えば、中央となるサーバーがなく、各コンピューターで情報のやり取りをするという仕組みとなっています。
この仕組みはビットコインの仕組みと酷似しています。
そのため、Winny=ビットコインと結び付けて、金子勇さんが生みの親と言われています。
2013年に亡くなった
サトシ・ナカモトは2010年12月から活動の記録がないため、ビットコインの生みの親は亡くなっているのではないかと考えられています。金子勇さんは2013年に亡くなっていることから「サトシ・ナカモト=金子勇」と考える人もいるようです。
もちろんサトシ・ナカモトの活動記録がないだけで、ひっそりと生きている可能性は十分考えらえます。
なお、サトシ・ナカモトは約100万BTCもしくは60万~70万BTCを所持していると考えられています。2023年12月現在では1BTCが約600万円なので、100万BTCを所持しているなら単純計算で6兆円となります。
実際にはこれだけ大量のビットコインを売れば価値が変動するため、実際の価値はこれよりも低いですが、それでも非常に大きな金額です。
とはいえ、仮想通貨の研究者であるセルジオ・デミアン・ラーナーによると、サトシ・ナカモトは利他的な人とのことです。そのため、たとえ生きていたとしてもサトシ・ナカモトが保有しているビットコインは売られることはないと考えられています。
金子勇さんを語るうえで欠かせない「Winny事件」とは?
これまで紹介しているように、金子勇さんは2002年にP2P技術をつかったファイル共有ソフトである「Winny」を公開しました。
Winnyのような匿名性の高い分散型のファイル共有システムは当時は特に珍しく、大きな注目を集めました。
しかし、Winnyは著作権侵害に利用されることが多く、Winnyを利用し著作物を送信したことで逮捕される人も。そして2004年には金子勇さんも著作権法違反幇助の疑いで逮捕されています。
著作物を送信した人が逮捕されるだけでなく、開発者である金子勇さんも逮捕されたことから大きく注目された事件となりました。最終的には金子勇さんが無罪を勝ち取っています。
しかし「Winny自体、合法目的に使うことは困難」「Winnyを公開すれば著作権侵害に利用されることは分かり切っている」「直接的な著作権法違反となるアップロードをしていないから無罪で当然」など、現在もさまざまな議論がされています。
なお、2023年3月にはこの事件を取り扱った「Winny」という映画も公開されています。興味のある方は鑑賞してみてはいかがでしょうか。
金子勇さん以外に噂されているサトシ・ナカモトの正体
金子勇さん以外にもサトシ・ナカモトの正体だと疑われている人物はいます。
それぞれの噂されている要因を確認しましょう。
- 金子勇さん以外に噂されているサトシ・ナカモトの正体
ジェド・マケーレブ
ジェド・マケーレブは世界一のビットコイン交換所となったこともある「マウントゴックス」を作った人です。
金子勇さんと同じように、P2Pのファイル共有ソフトを作っている点、さらに2010年という比較的早い段階でマウントゴックスというビットコイン交換所を作っている点が噂されている要因です。
ほかにも仮想通貨の開発や普及に力を注いでおり、仮想通貨界では特に大きな功績があります。
なお、本人からはサトシ・ナカモトだと噂されている件については、一切言及はされていません。
否定も肯定もしていないため、今後もサトシ・ナカモトだと考えられる人物の候補となりつづけるでしょう。
クレイグ・スティーブン・ライト
オーストラリアの企業家であるクレイグ・スティーブン・ライトは自らサトシ・ナカモトであると表明していた人物です。
サトシ・ナカモトは所有しているビットコインからして、非常に多くの資産を有しています。
そのため、この表明によってクレイグ・スティーブン・ライトは自国のオーストラリアにて脱税容疑で調査をされました。
この調査があったためかクレイグ・スティーブン・ライトは、最終的に自身がサトシ・ナカモトであることを撤回しています。
「本人だが課税を逃れるために撤回した」「本人ではなく嘘だったから撤回した」「オーストラリアから撤回を強要された」などさまざまな憶測が飛んでいますが、真相は謎のままです。
ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト
ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトは日本で生まれ、その後アメリカにてエンジニアとして働いてきた男性です。
さまざまな要因が重なって、アメリカのメディアが彼をビットコインの生みの親だと決めつけて記事を出しました。
この記事によって多くの人に注目されたため「ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトがビットコインの生みの親」という噂だけが一人歩きしている状態となりました。
実際「サトシ・ナカモト」で検索をすると「ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト」の画像が表示されるほどです。
本人が否定していますし根拠も乏しいため「ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト」さんは生みの親ではないと考えるのが妥当でしょう。
サトシ・ナカモトの正体をめぐる推測
これまで紹介しているように、サトシ・ナカモトの正体は金子勇さん以外にもさまざまな人が噂されています。
また、人物の特定はできていないものの、ある程度の推測はされています。
サトシ・ナカモトの正体をめぐる有力な推測についても紹介していきますね。
- サトシ・ナカモトの正体をめぐる推測
サトシ・ナカモトは偽名である可能性が高い
サトシ・ナカモトという名前は、メーリングリストにて新しいデジタル通貨に関する論文がアップロードされた際に始めて一部の人に認知されることになりました。
メーリングリストとは大雑把に言えば、LINEのグループチャットのようなものです。参加者がそのグループに所属している人に対して情報を発信することができます。
メーリングリストの参加者はそれまでサトシ・ナカモトという名前は聞いたことがありませんでした。そのため、サトシ・ナカモトは過去の経歴は一切不明で、その論文がアップロードされて始めて認知されるようになったということです。
また当時は「サトシ・ナカモト」でGoogle検索をしても有力な情報がヒットしなかったことから、サトシ・ナカモトは偽名であると考えられています。
サトシ・ナカモトは個人ではなくグループ
確固たる証拠はないものの、サトシ・ナカモトの最初のソフトウェアは共同作業によるものという推測もされています。
そのため、一部では「サトシ・ナカモトは個人ではなくグループである」という見方もされています。
北米中部~東部・南米・中米に住んでいる
サトシ・ナカモトがビットコインのフォーラムに投稿した時間帯を調べたところ、日本時間で14時から20時の間はほとんど投稿がないことが分かりました。
休日も日本時間で14時から20時に投稿がないため、この時間帯が睡眠時間であると考えられています。そのため、日本時間で14時から20時が一般的な睡眠時間となる地域に住んでいると推測できます。
日本時間の14時から20時が、23・24時から5時・6時となるのは「北米中部~東部」「南米」「中米」などのエリアです。
もしサトシ・ナカモトが一般的な生活リズムを送っていると考えるなら「北米中部~東部」「南米」「中米」に住んでいる人物と言えるでしょう。
まとめ
金子勇さんは2001年から、現在の最新の最先端ともいえるピュアP2Pに注目してWinnyの開発を進めました。
ビットコインもWinnyと同じP2Pで、さらにビットコインの生みの親は「サトシ・ナカモト」という日本人名ということも相まって、金子勇さんが開発者なのではと噂されています。
現在もビットコインの開発者が誰なのか判明していないため、真相は謎のままです。
しかし、開発者が謎のままというのは、まさにビットコインのようなP2Pというシステムだからこそ起こり得ることです。
ビットコインらしさを保つためにも開発者は謎のままでも良いかもしれませんね。