分散型取引所GMXとは?概要や$GLPの特徴、使い方を徹底解説
airutosena
GMXは、レバレッジ・現物取引に対応したDEXです。
Arbitrum上で最も高いTVLを誇るプロジェクトで、執筆時点でのTVLは約800億にもなります。
注目が集まっている背景として、独自のトークン設計や流動性の仕組みによって、取引・報酬を利用者に提供している点が挙げられます。
この記事では、そんなGMXについて以下のような観点から解説しています。
この記事のまとめ
・GLPを用いて流動性を確保
・狭いスプレッド、低い手数料で取引可能
・流動性の提供やステーキングによって報酬を獲得
GMXとは?=レバレッジ取引に対応したDEX
GMXは、現物取引とレバレッジ取引を提供するDEX (分散型取引所) です。
取引の面においては、狭いスプレッドやゼロスリッページなどを強みにしており、ArbitrumとAvalancheの2チェーンで構築されています。
デリバティブ系DEXは他にも存在していますが、GMXはユニークなトークンの設計と流動性の確保によって、大きく注目されています。
執筆時点でのGMXのTVLは800億円を超えており、このTVLは全体では31位、Arbitrum上に構築されているプロダクトでは最も高いTVLを誇っています。(参考:DefiLlama)
GMXは多数のデリバティブ系のプロダクトの中でも代表的なもののひとつに挙げられ、今後注視して行きたいトピックのひとつと言えるでしょう。
想定される利用者ごとのGMXの特徴
GMXは非常に多数の特徴を持っており、各要素・特徴同士が複雑に関係しています。
そのため、以下の3つ想定される利用方法や利用者ごとの特徴・メリットについて解説していきます。
・流動性の提供者
・GMX保有者
GMXの強み・注目ポイントをチェックしていきましょう。
トレーダー:高いスペックを持つ取引環境
GMXはトレーダーにとって理想的な取引環境を提供しています。
GMXの価格は、高い取引量を持つ複数の主要な取引所によるレートなどを元に計算され、利用者に反映される仕様になっています。
これによって、ゼロスリッページや狭いスプレッドを実現しています。
また、レバレッジ取引における手数料は0.1% (ポジションの開閉時に必要) 程度で、こちらもユーザーにとって魅力的であると言えるでしょう。
(細かな手数料は、スワップの有無など、執行する取引の内容により変動する可能性があります)
流動性の提供者:高い報酬とインパーマネントロス
GMXはUniswapに代表されるようなAMMを活用したDEXではありません。
GMXでは「GLP」というトークンを用いて、ユニークな方法で流動性を確保し、トレーダーの取引を可能にします。
これから、そんなGLPの概要と報酬について解説していきます。
GLPの概要と構成している仮想通貨
GLPは複数の仮想通貨によって構成されている集合体のような存在です。
具体的には以下のような構成比率になっています。(執筆時点)
- ETH : 70.03%
- WBTC : 23.58%
- LINK : 18.66%
- UNI : 4.37%
- USDC.e : 10.92%
- USDc : 8.73%
- USDT : 2.02%
- DAI : 0.13%
- FRAX : 2.26%
トレーダーは、前述したような主要取引所などから取得したレートに則り、GLPを構成する上記の仮想通貨により提供された流動性を用いてレバレッジ取引を行います。
流動性を提供したい方は、GLPを購入することにより、自動的に流動性の提供とステーキングを開始可能です。
また、GLPを活用した流動性の提供であれば、AMMのようにインパーマネントロスのリスクが発生しません。
(後述しますが、GLPを用いた運用にも特有のリスクが存在する可能性があります)
GLPの購入によって得られる報酬
トレーダーによって支払われた手数料のうち、70%がGLP保有者に対して配布されることになっています。
具体的には、以下のような報酬がGLP保有者に対して配布されます。
・エスクローGMX (esGMX)
・ETH
※Avalancheの場合はAVAXとesGMX
esGMXは後述するGMX保有者にも配布される報酬で、1年後に全ての権利が確定し、GMXに変換できるトークンです。
執筆時点におけるGLP保有によるAPRは8.35%程度となっています。
GLPを構成する主要な資産が、ETH・WBTC・各ステーブルコインであることを考慮すると、一般的な投資商品や銀行の年利などと比較すると、高いリターンが見込めると言えます。*ただし、PRは一週間に発生した手数料によって変動するため、注意が必要です。
GMX保有者:保有による多数の報酬
GMXには、GMXというガバナンストークンが存在しており、ステーキングすることが可能です。
ステーキングすることによって、以下のような報酬を得られます。
・ETH (総手数料のうち30%)
・エスクローGMX (esGMX)
・マルチプライヤーポイント (Multiplier Points)
※Avalancheの場合はETHがAVAXに
割合などは異なるものの、ETHとesGMXについてはGLPの保有と同様の報酬です。
一方で、マルチプライヤーポイントは、GLP保有のみでは付与されません。
マルチプライヤーポイントは、ステーキングすることで更にETHを獲得可能になるポイントのようなもので、ステーキングによって発生する報酬にブーストを掛けていくことが可能です。
マルチプライヤーポイントは、GMX・esGMXをステーキングすることによって配布され、ステーキングを解除すると消滅します。
各トークンの種類・報酬をまとめると、以下のとおりです。
各トークンなど | アクションの内容 | 報酬の内容 |
GMX | ステーキングによって | ETH、esGMX、マルチプライヤーポイント |
エスクローGMX(esGMX) | ステーキングによって | ETH、esGMX、マルチプライヤーポイント |
マルチプライヤーポイント | ステーキングの状況によって | ETH |
GLP | 購入と自動的なステーキングによって | ETH・esGMX |
全体的に、長期保有 (長くステーキング) すればするほど、利益が出やすい構造になっていると言えるでしょう。
GMXの機能ごとの使い方を解説
GMXの使い方について、以下の機能ごとに解説していきます。
・ウォレットの接続
・現物取引
・レバレッジ取引
・流動性の提供
・ステーキング
GMXを利用する前に、前提としてArbitrum・Avalancheを利用するための準備を済ませておく必要があります。
以下の記事で、各ネットワークの概要・使い方について解説しているので、まだ両者のいずれかを利用したことが無い方は参考にしててください。
・L2ネットワーク「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説!
・Avalancheとは?概要や使い方、注意点を解説!
ウォレットの接続
GMXを利用する前に、ウォレットを接続していく必要があります。
以下の手順で、GMXとウォレットを接続していきましょう。
- GMXにアクセス
- 「Connect Wallet」へ
- ウォレットを選択
- ウォレットの承認を済ませる
上記の手順で、GMXのウォレットが接続されたら、GMXを利用するための準備は完了です。
GMXで現物取引
GMXで現物取引を行う手順は、以下のとおりです。
- Tradeの画面で「Swap」へ
- 通貨と価格を入力
- 「Swap」へ
- 「Confirm Swap」へ
手数料は、各通貨・タイミングによって異なりますが、0.2%〜0.8%程度に設定されています。
GMXでレバレッジ取引
GMXでレバレッジ取引を行う手順では、以下のとおりです。
- 「Long (買い) 」 もしくは 「Short (売り) 」へ
- 通貨と数量を入力
- レバレッジを選択
- 「Long 通貨」もしくは「Short 通貨」へ
注文の前段階で「Limit」・「Trigger(レバレッジ取引のみ)」といった注文のオプションを選択することができます。
また、ポジションなどによって担保となる通貨が異なり、各注文時に通貨が必要になった場合はスワップされ、前述した現物取引と同様の手数料が適用されます。
GMXで流動性の提供 (GLPの購入)
次に、GMXで流動性を提供する方法 (GLPの購入方法) について解説していきます。
- 「Buy」へ
- 「Buy on Arbitrum」へ
(Avalancheの場合はBuy on Avalancheへ)
- 「Buy GLP」へ
- 通貨と数量を入力
- 「Buy GLP」へ
同じ手順で「Sell GLP」を選択することで、各仮想通貨へ振り戻すことも可能です。(GLP購入から最低15分の待機時間が必要)
GLP購入時には手数料がかかりますが、この手数料は各仮想通貨の需要によって変動します。
というのも、GLPにおける各仮想通貨間の需要と供給によって、理想的な割合 (Weight) が決められており、割合を調整するために手数料が変動してきます。
例えば、ETHの割合が理想的な割合よりも大きくなっている際に、ETH建てでGLPを購入すると高い手数料が必要です。
これは、GMX内の機能に共通している仕様となっており、GLP内の理想的な割合から遠ざかる取引には高い手数料、理想的な割合に近づく取引には安い手数料が適用されます。
GMXでステーキング
GMXでは、前述の通り、さまざまな場面でステーキングを多用します。
以下の手順で、GMXをステーキングしていきましょう。
- 「Earn」へ
- GMX欄の「Stake」へ
- 「Approve GMX」へ
- ウォレットの承認を済ませる
- 再度「Stake」へ
- 数量を入力
- Approveと同じ手順で「Stake」へ
- 「Staked」の欄にGMXが反映されていたら完了
(予めGMXを保有しておく必要があります。まだGMXを保有していないという方はUniswapなどから購入しておきましょう)
同じ手順で「Unstake」からステーキングを解除することができます。
また、前述したさまざまなステーキングや報酬関連の情報・操作は、「Earn」の「Total Rewards」画面からアクセス可能です。
「Total Rewards」では、GMX内のさまざまな報酬関連の情報がまとめられており、どの程度の報酬を獲得できたのか?を確認できます。
上記画面の「Claim」を選択すると報酬を獲得することができ、「Compound」を選択すると発生した報酬を更にステーキングなどに回すことができます。
また、上記で解説した内容とほとんど同じ手順で、esGMXの運用やVest (esGMXからGMXへの換金・権利確定) を行うことが可能です。
GMXのリスクと注意点
これまでGMXの特徴や使い方について解説してきましたが、利用前に把握しておきたいリスク・注意点もいくつか存在しています。
ここからはGMXのリスクや注意点について解説していきます。
GMXの取引量と報酬の減少
GMXの報酬の配分は、手数料のうち流動性の提供者に対して70%、GMXのステーキングに対して30%を配布することで実現しています。
このことから、GMXの取引量が減少すると、GMXに関連する報酬も減少することに繋がります。
現時点では、GMXの取引量・手数料収入は安定的に推移しています。
(GMXのStatsより)
ただし、これが今後も続いていくといった保証はありません。
競合の登場やGMXの欠陥などによって取引量が減少し、現在の報酬は常に増減する可能性があることは留意しておきましょう。
GLPには特有のリスクが見られる可能性
GMXの大きな特徴であり根幹でもあるGLPですが、まだまだ例の少ない取り組みである何らかのリスクが見られる可能性があります。
過去にはAVAX/USD間の価格操作があったことがGMXの公式ツイッターで発表されたこともあり、一部ではGMXの仕様が影響しているのでは?という指摘も見られました。
特に、取引・流動性周りのトピックはGLP保有者にダイレクトな影響を与える可能性があるため、注視していく必要があるでしょう。
予期せぬトラブル・バグなど
前述したようなリスクはもちろん、DeFi周りのプロダクト・プラットフォームには常に潜在的なリスクが存在しています。
スマートコントラクトにバグや脆弱性が発見されたり攻撃されるといった事例は、珍しくありません。
GMXに限らず、DeFiに触れられる際には常に一定のリスクが存在している可能性を押さえておきましょう。
GMXについてまとめ
この記事では、GMXについてさまざなポイントから解説しました。
ユニークなトークンの設計や、流動性の仕組みなどさまざまな魅力的なポイントが見られます。
GMXを活用したプロダクトやプラットフォームなども登場しつつあるので、今後も注視して行きたいプロジェクトであると言えるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。