BTC(ビットコイン)はなぜ不正が起きづらいのか?51%攻撃を防ぐカラクリ
2019/03/10

BTC(ビットコイン)はなぜ不正が起きづらいのか?51%攻撃を防ぐカラクリ

kamo

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仮想通貨という通貨の形態そのものに興味があり、ライターを始めました。 様々なトピックを扱っていきます。

仮想通貨はソブリン通貨(各国の政府や政府機関が発行する通貨)と異なり不正取引の対策が非常に重要な通貨です。

ですがPoWをを採用した仮想通貨には51%攻撃という、有効な対策がない不正取引が可能になる方法が原理的に存在しており、複数の通貨がこの攻撃を受けてきました。

しかし、ビットコインは過去に51%攻撃のような不正取引は起こったことがありません。

今回の記事では何故ビットコインは他の通貨と異なり51%攻撃が起こらないかを解説します。

51%攻撃とは?

51%攻撃とは、悪意のある個人もしくはグループが全マイナーの計算力の51%を握ることで、二重支払い(Double Spending)などの不正な取引を行うことです。

これは、認証システムとして、PoW(Proof of Work, 仕事量による証明)を採用しているすべてのコインで成立するものです。

出典 | nakamo.to

51%以上のハッシュパワーを独占する人物・企業・プールは、イメージの緑のブロックのように恣意的にチェーンをどこに伸ばすかを決定することができるため、不正取引が可能になるのです。

PoWの特性上、マイニングにおける正当性は繋げられたブロックチェーンの長さ、Longest  Chain によって決まるため、51%以上のハッシュパワーを握る人物や組織などが故意に本来不正であるべき取引を承認したり、正当であるべき取引を否認することが可能となってしまいます

一方で、51%以上の計算力を握っていたとしても、無限にBTCを生成したり、他人のアドレスからBTCを奪うようなことはできません。

不正が起きづらい仮想通貨ビットコイン

ビットコイン・ネットワークでは、1人(もしくは1組織)により51%攻撃を行える状態になっていたことが幾度も起こっています。

実際に2013年12月頃には以下のようなことが起こり大きな話題となりました。

2013年に起こった51%攻撃の危機


この時期に中国のマイニングプールである、GHash.I.Oが、数度に渡り、51%以上のマーケットシェアを握る現象が起こりました。

同社が悪意を持っていれば、ビットコイン・ネットーワークはとっくに崩壊していたはずです。

しかし、同社は目先の利益のためにネットワークを乗っ取るよりも「正直者」として新規コインをマイニングにより入手した方が長い目で見れば得策だと判断しました。

そのため、不正使用二重利用は行われていません。

これは、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体の利益の増進につながるという、アダム・スミスの神の「見えざる手」の考え方をビット・コインが取り入れていたためなのです。

実際、ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモトは、利己的動機が51%攻撃を仕掛けるより勝ることを次のように予想しました。

「強欲な攻撃者が、正直な参加者よりもはるかに多くのCPUパワーを集めることができたとしたら、彼はその能力をどう使うだろうか?自分の支払いをごまかして人々を欺くか、新しいコインを生成するかのどちらかを選ばなければならない。
彼はルールに従って行為することの方がより利得が大きいことを知っている。システムや自分の富の有効性を台無しにするよりも、新しいコインを与えてくれるルールに則って行為する方が有利であることを知っているのだ。」

出典|ビットコインハッシュレート分布 – blockchain.com 2019年3月現在

2013年12月ごろ51%以上のマーケットシェアをGHash.I.Oが握っていましたが、現在のハッシュレート分布を見ても、マイニングプール大手4社が示し合わせれば、51%攻撃が行える状態です。

しかし、51%攻撃が起こらないのは、目先の利益のためにネットワークを乗っ取るよりも、正当な手段で新規コインを入手したほうが、長い目で見れば得策だと判断されているからなのです。

流通量が少なく単価が比較的高い仮想通貨では注意が必要

残念ながら、すべての仮想通貨においてビットコインのように、神の「見えざる手」がうまく機能している訳ではありません。

ビットコインの場合、大手マイニングプールはマイナー自身が大きなホルダーであるため、不正を行うことで価値が低下してしまっては経済的に非合理的です。

しかし、流通量の少ない通貨信頼性に欠け価値が低い通貨などは、低いコストでも51%攻撃が行えてしまうため、端から51%攻撃を目的にマイニングに参入する者が現れる危険性が高まります。

51%攻撃にかかるコストを算出しているサイトcrypto51によれば、わずか数ドルで51%攻撃を行えてしまう通貨もあります。

実際、流通量の少ない(時価総額が低い)割に単価が高い通貨では以下に紹介するように51%攻撃のターゲットとなっています。

過去に攻撃を受けた通貨

まとめ

認証システムとしてPoWを採用しているコインは、原理的に51%攻撃を受けるリスクがありますが、ビットコインについては神の「見えざる手」により、全参加者の共通の善(ビットコイン・ネットワークの持続的拡大)が増進されるような仕組みができており、不正が起こりにくいことがわかりました。

しかし、すべての仮想通貨でこの原則が成り立つ訳ではありません。

51%攻撃の被害に遭わないためにも、仮想通貨への投資を考える際は、信頼性流通量なども考慮することをお勧めします。

 

参考文献:仮想通貨とブロックチェーン(日経文庫)

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