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2021/02/02【PolkaAMA Week 第1弾】『Acala Network』概要や特徴、AMAの内容をQ&A形式で解説
現在時価総額4位のPolkadotは昨今のDOTの価格上昇や4月に行われるParachain Offeringなどにより仮想通貨市場の中でも大きな注目を集めています。 先日、そんなPolkadotの関連プロジェクトである「Acala Network」のAMAが行われました。 本記事では、Acala共同創設者であるRuitao Su氏がAMAで回答してくれた内容を元にAcala NetworkについてQ&A形式で解説していきます。 Acalaに関する日本語の情報はあまり無いため、気になっている方はぜひ本記事を最後まで読んでみてください。 当日のAMAの内容はこちらのYoutubeより確認が可能です。 Acala Networkの概要 Acalaの概要 ティッカー/通貨名 $ACA/Acala Network 共同創設者 Ruitao Su, Bette Chen, Fuyao Jiang, Bryan Chen 主な提携先 - 時価総額 - 特徴 PolkadotエコシステムにおけるDeFi Hub、Stablecoinプラットフォーム、ステークスデリバティブ 公式リンク Webサイト Twitter Telegram Reddit Medium Github Acala Networkについて Acala Networkはクロスチェーンにより流動性とアプリケーションを強化するPolkadotエコシステムにおけるDeFi HubとStablecoinプラットフォームです。複数の資産を利用して、合成資産aUSDを生成可能。また、DotをステーキングしL-DotをMintすることもできます。 今回のAMAにはAcalaのCo-FounderであるRuitao Su氏が参加してくれました。 Acala NetworkのAMAの内容 Q. Acala Networkとはどんなプロジェクトですか? AcalaはPolkadotのDeFiハブとして機能するブロックチェーンネットワークです。 Acalaと同じコードがKusamaでKaruraネットワークとして展開されます。 現在、Polkadot上でDeFiは作られていませんが、Acalaが手掛ける3つのプロダクトによってPolkadot上でのDeFiの利用が可能となります。 Q. Acala Networkが提供する3つのプロダクトとはなんですか? [caption id="attachment_58425" align="aligncenter" width="800"] Acalaの提供するDeFiプロダクトのダッシュボード[/caption] 「aUSD」「DEX」「L-DOT」の3つです。 1つ目のaUSDとは、BTCやDOTなどを担保にして発行できるステーブルコインです。 aUSDはAcala Parachain内での基軸通貨としてだけでなく他のParachainへの転送が可能で、最終的にはPolkadotエコシステム内 におけるステーブルコインとしての普及が見込まれています。 2つ目のDEXとは、Acalaが手掛ける分散型取引所です。 このDEXでは、AMM取引所としてトークンの交換だけでなくDEX参加者自身が流動性を提供するような仕組みも計画されています。 最後のL-DOTとは、DOTをAcala Networkのプロダクト上でステーキングすることでミントできるトークンです。 ミントされたL-DOTは、ステーブルコインをMintするための担保として譲渡、償還、使用できます。 通常、DOTを1度ステーキングしてしまうと解除されるまで1ヶ月ほどの時間がかかってしまいます。しかし、L-DOTを利用すれば「DOTをステーキングしながら、発行したL-DOTを他の流動性提供に回せる」といったことが可能になります。 Q. AcalaのDeFiとEthereumのDeFiとの違いを教えて下さい AcalaはDeFiに特化したチェーンなので手数料をDAIなどの任意の通貨で支払うことが可能で、この点はEthereumとの違いになります。 Q. Acala Networkはどんな問題を解決することを目指したプロジェクトですか? Acalaは「DeFiの参入障壁は高い」という問題の解決を目指したプロジェクトです。 AcalaはDOT保有者にDeFiに関するユーティリティを提供します。 aUSD、Acala DEX、L-DOTを利用することで、大量な資金を持ったクジラだけでなくDOTを保有する誰でもがDeFiに参加することが可能となります。 Q. そもそもAcalaはなぜSubstrateを使い、Polkadot上でプロジェクト構築を始めたのでしょうか? Polkadotはセキュリティを犠牲にすることなく専門的なブロックチェーンを構築でき、さらには流動性の欠如などの問題に直面する可能性も低いです。 このことは新しいプロジェクトを手掛ける開発者達にとって新たな可能性を与えてくれます。 ちなみに、Acalaの設立メンバーは2年以上Polkadotの基板上での開発に携わっています。 Q. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はあるのですか? 2つあります。 ・プロジェクト自身が保有しているKSMとDOTをロックする ・KusamaとPolkadotのAuctionのためにAcalaのコミュニティを巻き込む 特にAcalaは後者のコミュニティエンゲージメントに力を入れており、全てのSNSを合計して現在9万人以上のコミュニティメンバーを抱えています。 Parachain Offeringでは、ネットワークをブートストラップ化することでトークンの分配が可能です。誰でも自身のKSMとDOTを預けてAcalaのParachainをサポートすることができます。 Q. 日本についてどのような印象を持っていますか? 日本には多くの偉大な仮想通貨のフォロワーがいます。 私の理解では、最近日本で仮想通貨に友好的な規制が可決されましたよね。 Q. 日本は今後のターゲット市場になりうるのでしょうか? 仮想通貨は元々がグローバルなものなので、仮想通貨のプロジェクトは初めからグローバルを目指すべきだと考えています。 個人的に日本の仮想通貨のコミュニティには、マーケットフィットした有望なプロジェクトが十分にあると感じています。 日本のコミュニティにも情報の共有をしながら、投機だけでなくプロダクトの開発をしっかり行っていこうと考えているため、今回のようにCRYPTO TIMESと協力しながら日本向けのAMAを実施しました。 Q. aUSDはどのようにして1ドルにペッグされているのですか?DAIと同じターゲットレートフィードバックメカニズムが採用されているのでしょうか? aUSDでは、DAIと同様のメカニズムが使用されています。しかし、Acalaはより良いペッグを実現するための独自の工夫をしています。 Acalaには統一された流動性を持つDEXが組み込まれているため、リスクの高いポジションはliquiditierの役割を必要とせずチェーン上で自動的に清算することが可能です。 Acalaのペギング率を高めるためのガバナンスパラメーターについての詳細はこちらを読んでみてください。 Q. 今後DeFiがPolkadotエコシステムの中で同じように発展していくためにはaUSDが分散的に広く普及する必要があると考えています。そのための戦略はありますか? Acalaは最初に規模が大きいDOTのコミュニティに焦点を当てます。Acalaでは、DOT保有者は初めからaUSDを用いて仮想通貨を借りたり、取引したり、ステーキングしたりなどDeFiの機能を利用できます。 また、AcalaはPolkadotエコシステム内に限らず、幅広く様々なパートナーと協力してプロジェクトに取り組んできました。 たとえば、renと協力してrenBTCやその他のremVMアセットを提供したり、AMPLと提携してAcalaにAMPLブランチを開設しました。(Acalaには30のパートナーがいてその数は増え続けています。) 今後、より多くのParachainの立ち上げとそれらの相互連携により既存のベースレイヤーよりもPolkadotはさらに強力になります。 プライバシーソリューションに特化したプロジェクトがParachainに選ばれ、aUSDがそのParachainプロジェクトに転送された場合、ZCashのようなプライベート機能が付いたaUSDが誕生することも考えています。 Q. ネットワークユーティリティやガバナンスなどに使用されるACAトークンですが、トークンの価値はどのように維持する予定ですか? ACAトークンには、ネットワークユーティリティ、ガバナンス、ステーキングなどあらゆる用途があります。 また、AcalaではdSWF(分散型ソブリンウェルスファンド)と呼ばれる独自ファンドを持っており、ガス料金などのプロトコルから出た余剰資金は全てACAトークン所有者が共同でdSWFで所有します。 dSWFの主な目的は、プロトコルの余剰資金をDOTで獲得し、永続的にParachain Offeringでスロットを獲得し独立したソブリンParachainとなることです。 永続的なParachainを獲得した後は、プロトコルの余剰資金でACAを買い戻したりするなど様々な方法で余剰資金を展開できます。 dSWFについての詳細についてはmedium.comで多数の記事を公開しています。 補足:一度獲得したParachainのスロットは2年間で有効期限が切れ、Parachainを維持したい場合は再度DOTを集めてオークションに参加しなければなりません。AcalaはdSWFというファンドを作りそこでParachainスロットの獲得に必要な資金を確保しようとしています。 Q. HOMAでDOTをステーキングしL-DOTをミントする場合、1:1の比率でミントできますか? L-DOTは常にDOTに対して1:1の価値で作成され、さらにはスマートコントラクトの保証があるためいつでも同量のDOTにを戻すことができます。 ステーキング報酬がメタステーキングプールを拡大し、本質的にLDOTをDOTの利回りトークンにするため、時間の経過とともにLDOTはより多くのDOTと交換可能になります。 Q. ミントしたL-DOTは何に使われるのでしょうか? L-DOTは、他の資産を借りたりステーキング報酬を受け取りながら借り入れを楽しんだりするための担保として使用できます。 例えば、ユーザーがビットコインを担保としてL-DOTを借りた場合、ビットコインを清算することなくPolkadotのステーキング報酬を得ることができます。 また、L-DOTはSolidityスマートコントラクトを使用してのプログラムも可能です。 Q. Ethereumとの連携についてあれば、教えて下さい。 現在、3チームがETH-Polkadotのブリッジの開発を行なっています。(Renチームがその1つです。) また、ChainSafeやMoonbeamが現在、あらゆるParachain-Ethereum間のブリッジを開発しています。 将来的に、これらは全て繋がっていくというのが私の考えです。 L-DOTのEthereum上での運用も可能になりますし、その逆としてEthereum上のステーキング資産などもAcala上で運用することが可能になっていくでしょう。 Q. AcalaとKaruaのコードは同じでPolkadotとKusamaに展開されますが、それぞれどのように発展していくと思いますか? 理由の一つとしてKusamaもメインネットの一つだとして考えているからです。 KusamaにParachainをロールアウトする理由は、Kusamaでもコミュニティが広く拡大しているからです。 Canary NetworkとしてのKusama Networkでは、参入するための障壁が低いからです。 まとめ 情報や教えというものは大衆に広がれば広がるほどビジネス的な思惑や曲解の元、品質が下がっていくものです。 仮想通貨に関する情報も例外ではないため知識を得たい人はなるべく一次情報での情報取得をする必要があります。 引き続きCRYPTO TIMES並びにPolkadot Labs. JPでは、プロジェクト開発者を交えながらのAMAや記事を提供していきます。 Polkadot関連銘柄に興味はあるけど調べる時間がない方や英語があまり得意でないという方は是非積極的に参加してみてください。

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2020/08/25【Crypto 2020イベントレポート】ゼロ知識証明~ΣプロトコルとBulletproofs ~ Centrum Wiskunde & Informatica
8月に開催されたCrypto 2020にて、entrum Wiskunde & Informatica (CWI)の暗号学者による特別公演がありました。 登壇者 Ronald Cramer オランダのアムステルダムに位置するCentrum Wiskunde & Informatica (CWI)とUniversity of Leidenの教授を務めています。暗号方式の一つであるクレーマー シュープ暗号を発明した人物の1人で、暗号学界での功績を成し遂げています。 Compressed Sigma-Protocol Theory and Practical Application to Plug & Play Secure Algorithmics 以下、講演の内容になります。 ゼロ知識証明とは、命題(条件づけなど)が真であるという情報以外を伝えずに他者へ命題が真であることを証明する方法です。 ゼロ知識証明に使われていたセオリーにΣ(シグマ)プロトコルセオリーがあります。シグマプロトコルセオリーではゼロ知識証明の際に必要なコミュニケーションの数がO(|C|)*kで定義され、コミュニケーションは一次関数で表されます。コミュニケーションが一次関数的に処理されるため、こちらはリニアーコミュニケーションと呼ばれます。 一方、のちに発明されたBulletproofsではコミュニケーションの数がO(log|C|)*kで定義され、コミュニケーションは対数関数で表されます。コミュニケーションが2次関数的に処理されるため、こちらはクアドラティックコミュニケーションと呼ばれます代入値が同じ(条件が同じ)である場合、Bulletproofsを用いたほうがコミュニケーション数が少なくなるため効率を重視してBulletproofsの使用が広まりました。結果、シグマプロトコルの使用は激減していきました。 Ronald Cramer氏の研究では、シグマプロトコルのリニアーサイズ(一次関数的)なメッセージに数学的/暗号的な処理を行うことで二次関数的なメッセージへ変換できることが証明しました。 これにより、シグマプロトコルをBulletproofsに置換するのではなく、シグマプロトコルを改良することによりBulletproofsに劣らないプロトコルを作り上げることができると説明しています。 最後に Crypto 2020はInternational Association for Cryptologic Research (IACR)により運営される暗号資産とブロックチェーンに関するカンファレンスです。 今回の公演では、ゼロ知識認証に使われる2つのプロトコルの背景から、シグマプロトコルの新たな可能性まで知ることができました。

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2020/08/24【Crypto 2020イベントレポート】Crypto for the People – Encrypted Systems Lab
8月に開催されたCrypto 2020にて、Encrypted Systems Labのコンピューターサイエンティストによる招待公演がありました。 登壇者 Seny Kamara Brown Universityでコンピューターサイエンスを教える准教授で、同大学のEncrypted System Labに所属しています。前職ではMicrosoft Reserchのリサーチャーとしても活動しており、現在はAroki Systemのチーフサイエンティストを努めています。現実世界のプライバシーや安全性などの課題に基づいた暗号学の研究を行っています。 Crypto for the People 以下、講演の内容になります。 Kamara氏は今年話題になった警官による黒人差別問題を紹介し、暗号学を黒人、移民、暗号学者、部外者の4観点から考察しました。 現在、アカデミアの研究は企業にとって有用な技術を生み出すことを目的としていますが、Kamara氏は社会のために研究を行うべきであると主張します。 サイファーパンクと呼ばれる、暗号学を用いて社会を改革し個人の自由を確率しようとする動きがありますが、それは女性や黒人、子供や移民は運動の対象になっていません。そこで、そういったMarginalized People(保護から取り残された人)のために暗号研究を行うことが重要です。 人々のための暗号学の例としてアフリカのケースが紹介されました。ブラックナショナリズムの団体である(アフリカ民族会議)African National Congressが1960年に禁止されて移行、活動がアフリカ国外に広がりました。 禁止に伴って安全なコミュニケーションが必須になり、80年代にコミュニケーションシステムとして開発されたのがVulaです。Vulaは開発された背景からユーザー同士が同時にオンラインでなくても利用でき、使用が隠蔽され、長距離でも使えるパブリックなコミュニケーションという特徴がありました。 コンピューターの使用が怪しまれ、モバイルネットワークもなかった当時、Vulaではユーザーがコンピューターにメッセージを入力し、暗号化したデータを音に変える機械を使い、テープレコーダーに録音します。公衆電話を用いて受信者当ての録音サービスに音として伝えた後、逆の手順でメッセージを復元することができます。 Kamara氏はVulaの例を電話機やテープレコーダーを用いて現実世界に応用された暗号技術であるとして高く評価しています。 「人々のための暗号学は既存の研究や製品を促進するために保護から取り残された人を利用するのでなく、保護から取り残された人が経験した問題を解決するために専門家と相談し新たな研究や技術を生み出すことである」と自身の考えを示しています。 最後に Crypto 2020はInternational Association for Cryptologic Research (IACR)により運営される暗号資産とブロックチェーンに関するカンファレンスです。 今回の公演では社会的に不遇な人々のために暗号技術が使われた例と、社会のための暗号学というKamara氏の考えを知ることができました。技術と研究のあり方という哲学的でもある話題でとても興味深い内容でした。 Crypto 2020の招待公演「Our Models and Us」のレポートもこちらからご覧になれます。

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2020/08/22【Crypto 2020イベントレポート】過半数が善意を持つマルチパーティ計算の安全性
登壇者 Yifan Song 主にブロックチェーンのセキュリティに関する論文を執筆しており、主にMultiparty Computation(MPC)や暗号学に関する研究をしています。 Guaranteed Output Delivery Comes Free in Honest Majority MPC マルチパーティ計算(MPC)では複数のサーバーが決められた手順によってデータを処理し、次のサーバーへ渡すサイクルが有限回行われます。計算では加法と乗法のみが行われ、各サーバーの持っている情報のみでは元の情報が復元できない設計になっています。 今回の講演では、公開されたチャンネルとP2Pチャンネルにおける過半数が善意を持つ参加者である場合の安全性について考察します。 Yifan Song氏は、MPCの中でも公開鍵のような複雑な暗号プリミティブを使わずに簡単なローカルでの計算のみで行えるUnconditional MPCが有用であると主張しています。 MPCの攻撃者は2種類存在し、一方はプロトコルを意図的に無視するfully maliciousと定義され、もう一方はプロトコルには従うものの不正に情報を入手しようとするsemi-honestと定義されます。 Yifan Song氏のチームが開発したMPCプロトコルではFull Security(上記のどちらの攻撃者に対しても有効な安全性)を実現しています。さらに、Full Securityを実現したBSFO 12プロトコルが1つのゲートに対して20個のエレメント(MPCにおけるコスト)を必要とするのに対し、Yifan Song氏のプロトコルは最小で5.5のエレメントで運用できるなど、他のプロトコルよりも効率の良い計算を実現しています。 最後に Crypto 2020はInternational Association for Cryptologic Research (IACR)により運営される暗号資産とブロックチェーンに関するカンファレンスです。 今回の公演では、MPCの課題とされてきた安全性や効率性を改善したプロトコルについて理解することができました。

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2020/08/18【Crypto 2020イベントレポート】Our Models and Us – MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory
8月に開催されたCrypto 2020にて、MITのコンピューターサイエンティストによる特別公演がありました。 登壇者 Silvio Micali MIT(マサチューセッツ工科大学) Computer Science and Artificial Intelligence Laboratoryに所属するイタリア人のコンピューターサイエンティストで、ゼロ知識証明や暗号学をはじめとしたブロックチェーン関連の技術にも精通しています。Algorandプロジェクトを立ち上げるなど、研究だけではなく実際にブロックチェーンを用いたユースケースも作っています。 Our Models and Us Micali氏は自身の立ち上げたAlgorandプロジェクトを例に取り、安全でスケーラブルなネットワークとプロトコルのモデルについて重要性を説明しました。 従来のビザンチン合意形成は非常時間がかかり、現実的に12人以上のプレイヤーが参加できないと言う課題がいがありました。そこで、Algorandは迅速に大多数のプレイヤーによるビザンチン合意を行うことができるモデルを追究しました。 Pure Proof of Stake (PPoS)を採用するAlgorandでは、ネットワークの全ての参加者から無作為に1000人を抽出し、ビザンチン合意形成を行った結果を電子署名として公開します。そこで既定の割合(2/3)以上の合意が取れればバリデーションが完了します。 バリデーションに関わる1000人の集団はCryptographic sortition(暗号化くじ引き)で決定されます。Cryptographic sortitionは分散化され、スケーラブルかつ安全なくじ引きを行うことができます。DPoSがトークンの保有量に対する投票券を配布し代表者を決定するのに対し、Cryptographic sortitionでは全てのノードが自身のコンピューターによりくじ引きを行い、当選した場合はそれを公表し合意形成に参加すると言う違いがあります。 くじ引きにはverifiable random functions (VRFs)を用いることで正しくランダムなくじ引きを行ったことが他のノードから検証することができ、不正の防止になっています。さらにPPoSではフォークが起きず、ファイナリティがすぐに確定すると言う利点があります。 最後に Crypto 2020はInternational Association for Cryptologic Research (IACR)により運営される暗号資産とブロックチェーンに関するカンファレンスです。 今回の講演では、ブロックチェーンの抱える課題を主に暗号学の観点から解決する興味深いモデルについて知ることができました。

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2020/05/08【イベントレポート】Kyber Network Loi Luu氏;Katalyst, KyberDAOと今後の展望- Ethereal Virtual Summit 2020
本日5月7日~8日にかけて開催されている「Ethereal Virtual Summit 2020」にて、Kyber Networkの創設者であるLoi Luu氏がこれからの展望としてKatalystやKyberDAOについて説明しました。(Kyber Networkに関してはこちらの記事で詳しく説明しています) The Future of Decentralized Liquidity for DeFi Kyber Networkは、DeFiなどのサービスにおける流動性を高めるための、複数のDeFiプラットフォームとエンドユーザーを最適なレートでつなげる流動性プロトコルとして機能します。 Kyber Networkを利用することで、全ての取引がオンチェーンで行い透明性を確保しながらも、一元的にアグリゲート(集約)された流動性にアクセスすることができます。 今後の展望としてKyber Networkが実装を予定としているプラットフォームのプロトコルとKNC(Kyber Network Crystal)トークンモデルを改善する大型アップデート「Katalyst」により、Kyberにはさらなる流動性がもたらされます。Katalystの大きな変更点は以下の4点とされています; プロトコルにおける意思決定がKyberDAOによって行われる KNCトークン保持者への新たなステーキングメカニズム 流動性供給の改善 テイカー・DAppsでの任意の手数料設定 KyberDAOはKNCの保持者がプロトコルにおける決議や重要なネットワークパラメーターに対して投票を行うことができるコミュニティプラットフォームです。 [caption id="" align="alignnone" width="1141"] Kyber Mediumより[/caption] KNCを保有することで、投票権だけ出なく、ネットワーク手数料の一部をETHの配当として獲得することもできます。 KyberDAOの登場により、KNCは”デフレーションモデルを採用し、トークンがバーンされステーキング報酬がDAOによって決定される"世界で初めてのトークンとなります。 Katalystでは、徴収された手数料の一部がプールの供給者へインセンティブとして還元される仕組みになっており、インセンティブの供給者はKNCを保有する必要はありません。 [caption id="" align="alignnone" width="1473"] Mediumより[/caption] 同プラットフォームを使用するDAppは、自身のビジネスモデルに応じて任意にマージンを設定することができます。 また、開発者は流動性の心配をすることなくアプリやDeFiユースケースを開発することができます。 Ethereal Virtual Summitについて Ethereum Virtual Summitは、Ethereum最大のインキュベーターとされるConsenSysによるコミュニティイベントです。 2月の時点ではニューヨークでの開催が予定されていましたが、世界の情勢を受けオンライン・無料で開催しています。 以下のリンクより、ウェブ上で参加することができます; Ethereal Virtual Summit

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2019/09/13法律事務所ZeLo / IOST財団共催 — 第二四半期のIOSTノード・カンファレンスを開催
IOSTのエコシステムに参加するノードが集まり、ブロックチェーンの社会実装に向けた、改正法・法規制を理解するワークショップを行いました。 IOSTのノードで、ビジネスパートナーでもある法律事務所ZeLo・外国法共同事業の弁護士や、ノードパートナー、エコシステムに興味のある人たちが集まりました。 現在(2019年8月末)世界からIOSTのエコシステムに参加するノード(Node Candidates)は約370、内選出ノード(Elected Nodes:ネットワークに参加してブロック生成または検証作業に参加)は150を超えています。投票としてのステーキング量は4.15 billion IOST(市場供給量の34.6%)となっています。 IOSTのステーキングエコノミーは、TokenInsight による世界のステーキング プロジェクト ランキング(2019年8月・月間)で1位の評価を得ました。また、コインテレグラフの世界のトップステーキングプロジェクト・レポート(Top Staking Project of the Crypto World Today:Report)で2番目に紹介されています。 第二四半期の貢献報酬の結果を報告 日本からは6つのノードがレポートを提出しました。コンテンツ作成、Dapp開発、イベントのカテゴリーに貢献したノードは、貢献度に応じたTierに分類され、Tier1 = 0、 Tier2 = 3ノード、Tier3 = 2ノード、Tier4 = 1ノード、Tier5 = 0の結果となりました。 ノードへの報酬はそれぞれ、Tier2 = 344,338、Tier3 = 181,792、Tier4 = 109,075となりました。この報酬はノードを応援している投票者の間で分配されます。 GeekHash:ノードを代表をして活動を報告 GeekHashのCEO・藤岡氏が、ノードと投票者間で、ノードが投票量に応じたサービスを提供できる"IOSTインセンティブ"(開発中)のコンセプトを発表しました。 柴田氏 — wodcaトークンウォレット トークンウォレットを開発するwodca(ウォッカ)でCTOとして活躍する柴田氏は、各種ウォレットの違いと仕組み、wodcaの特徴(物理カードで秘密鍵を管理するサービス等)についてプレゼンを行いました。 高井弁護士 — 法律事務所ZeLo・外国法共同事業 高井弁護士は、仮想通貨を知ったきっかけ、ZeLoへ参加することになったエピソードから始まり、改正法の法的留意点などを解説するプレゼンを行いました。 ディスカッションでは、ステーキングビジネスへの将来の規制、暗号資産として扱われないビジネスモデルを検討することなど、実際にブロックチェーンゲームを開発する参加者と活発な議論を行いました。 IOSTノードコミュニティでは、四半期に一度「ノードカンファレンス」を開催して、社会実装に向けた専門知識の共有をしていきます。 記事ソース: MeetIOST Medium

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2019/08/26Ripple(リップル)主催カンファレンス「SWELL 2019」の登壇イベントが一部公開済
Ripple(リップル)が2017年から毎年開催している大型カンファレンス「SWELL」が、今年も11月7日・8日の2日間で開催されます。完全招待制の同イベントは、シンガポールを会場としています。 「SWELL 2019」の登壇イベントは以下の通りとなっています。 【11月7日(木)の主な登壇イベント】 ペイメント業界の新興大型テック企業 本当に使える国際送金システム ポリシーに関する討論: デジタル資産はいつ主流となるのか? 【11月8日(金)の主な登壇イベント】 モバイルウォレット: クレジットとバンキングのリープフロッグ型発展 パネルディスカッション: 送金サービス利用者が本当に欲しいもの トップ大学のブロックチェーンプログラム 流動性のイマ 去年開催された「SWELL 2018」では、リップルのBrad Garlinghouse CEOやビル・クリントン元米大統領がキーノートスピーカーとして登壇しました。 今年は、バングラデシュのモバイルマネーサービス「bKash」のKamal Quadir CEOと、インド準備銀行元総裁のRaghuram Rajanがキーノートを担当することになっています。 SWELLは暗号資産・ブロックチェーン業界で毎年大きな注目を集めるイベントです。SWELL 2018では、xRapidの商用リリースが発表されたこともあり、今年のカンファレンスでも重要なニュースが出るのではと予想されます。 また、2019年のアジェンダはこれから追加や修正が入る可能性があるので、今後もウェブサイトのアップデートに要注目です。

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2019/08/13IOST主催ブロックチェーン1DAY教育プログラム at 山口大学工学部
2019年8月10日に山口県にある山口大学工学部の学生たち50名を対象として、エイベックス・テクノロジーズ、エバーシステム、IOST/IOS財団によるブロックチェーン教育のワークショップ&スマートコントラクト・ハンズオンが開催されました。 今回のイベントでは、前半は3社によるワークショップ、後半はIOSTのブロックチェーンを利用したスマートコントラクトのハンズオンと2部に分かれた構成となっていました。 ブロックチェーン・ワークショップ エバーシステム株式会社 ブロックチェーンエンジニア 宮崎敦史 最初はエバーシステム株式会社のブロックチェーンエンジニアである宮崎さんの発表です。 ブロックチェーンに関して知見のない大学生に向けてのブロックチェーンの基礎の発表でした。 主にトランザクション、ブロック、取引データの暗号化「ハッシュ」などに関しての発表となりました。 エイベックス・テクノロジーズ株式会社 ブロックチェーン事業部統括 石田陽之 エイベックステクノロジーズ株式会社からは、石田さんの発表となりました。 ブロックチェーンにおけるトリレンマの問題、ブロックチェーンの活用が期待される業界、そして、エイベックステクノロジーズ株式会社の現在進めているプロジェクトに関して触れられました。 エバーシステム株式会社 代表取締役 和田隆夫 博士(工学) エバーシステム株式会社の代表取締役Dr.和田によるCryptoNinjaの紹介です。 CryptoNinjaの開発秘話からEthereumとIOSTのブロックチェーンで作成してみての比較などに関して、DAppsを作る上での特徴を語りました。 グループワーク〜宇部市の課題に取り組む 三者からの発表が終わった後は、学生たちがグループに分かれて、宇部市の5つの課題にブロックチェーン技術を活用できるアイデアを討論し、発表しました。 ※宇部市の「2主要課題の整理」2019年5月より 質の高い居住環境の形成 歩いて楽しい街なか空間の創出 医療・福祉のセーフティネットの構築 子育て支援策の充実・強化 就労機会の創出 スマートコントラクト・ハンズオン 後半はIOSTのブロックチェーンを利用して、ハンズオンが行われました。 最初にIOSTのプラットフォームのメカニズムの講義から始まりました。 その後は、JavaScript言語をサポートするスマートコントラクト、コンセンサスアルゴリズムPoB(Proof of Believability)、Chrome V8 VM、データベース、他プラットフォームとの優位性について説明がされました。 学生たちは、ハンズオンで、オンラインIDE(開発環境)「ChainIDE」を使って、ブロックチェーン上で動くプログラム、スマートコントラクトを体験しました。 2018年、IOST/IOS財団は日本地域での活動開始当初から、地方でのブロックチェーン技術の理解と潜在的 な開発者の育成に力を注ぎ、大学・教育機関でのワークショップ・プログラミングハンズオンの提供を行っ てきました。 国立工業大学をはじめ、5つの教育機関と述べ150名(2019年8月現在)を超える学生が参加して、ブロックチェー ン技術の概念を学び、実際にスマートコントラクトのプログラミングを体験しました。 主催: IOST / IOS財団 協力: エイベックス・テクノロジーズ株式会社 ブロックチェーン事業部 エバーシステム株式会社 河村 圭(准教授) 山口大学 大学院 創成科学研究科 知能情報工学分野 兼担:工学部 知能情報工学科 システム設計工学研究室 福士 将(准教授) 山口大学 大学院 創成科学研究科 知能情報工学分野 兼担:工学部 知能情報工学科 計算機システム工学研究室

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2019/07/30ブロックチェーン が変える未来!大阪 イベントレポート
2019年7月21日に大阪のブロックチェーン専門コワーキングスペースSingularity Hiveにて、IOSTが主催するイベント『ブロックチェーンが変える未来』と題したイベントが開催されました。 今回のイベントでは、参加者全員の自己紹介から開始し、始まり、ブロックチェーン業界への就職を希望する学生、社内でブロックチェーン技術に注目を始めた企業、そしてBlockchain Kyoto勉強会の運営者の方たちが参加しました。 ライトニングトーク Jim Maricondo - MetaMesh Group(元ConsenSys、日本地域担当) イーサリアムプラットフォーム実装のコンサルティングを行うConsenSys社で、日本でのブロックチェーン技術の普及と企業での活用を促し、ブロックチェーン業界で幅広い人脈を開拓したJim氏のライトニングトークです。 現在は、元ConsenSysメンバーが立ち上げたMetaMesh(米国)でアジア地域担当として活躍しています。Jim氏は、2019年のブロックチェーンのグローバルなトレンドを参加者たちと共有しました。 Twitter 近藤岳晴 CTO - Acompany Inc. 名古屋を代表するブロックチェーンのコンサルティング・開発を行うAcompanyは、名古屋大学の学生が立ち上げた技術系スタートアップです。 情報工学を専攻した近藤氏は、ブロックチェーンの仕組みを、わかりやすい"ジャガイモ"と"ハッシュポテト"の例えから、公開鍵・秘密鍵の関係、ブロックチェーンの重要な計算アルゴリズム「楕円曲線」を用いた暗号技術について話しました。 Twitter 岡崇 - PHI Inc. 近畿大学生3名が立ち上げた、ブロックチェーン開発実装のスタートアップPHIは、オンライン上で仮想組織を形成し仕事を行えるアプリ”GUILD”を次世代ブロックチェーン・プラットフォームである"IOST"と共同で開発中です。 岡氏は、ティール組織とDAO(Decentralized Autonomous Organization)は類似性があるために、ブロックチェーンの働き方改革が可能であることを熱く語りました。 Twitter 椙村優太 - Enbowl Inc. 革新的技術を使って次世代のインフラの構築を目指すEnbowlの椙村氏は、名古屋でのブロックチェーン技術コミュニティ、Blockchain-Nagoyaの運営メンバーとしても活躍しています。 個人情報を提供する個人がインセンティブが得ることができる、企業との情報バンクプラットフォームのコンセプトを紹介しました。 参加者たちはどこにブロックチェーンで"なければならない"技術が必要かを議論しました。 Twitter 服部摩耶斗 - 元Neutrinoコミュニティマネージャー 渋谷にあるブロックチェーン特化型コワーキングスペースNeutrinoで、今年の6月までコミュニティマネージャーをしていた服部氏。 スタートアップや大企業のブロックチェーン業界での動向をお話されました。 Twitter ディスカッション ライトニングトークの後は、登壇者と参加者を交えて、近い未来のフリートークが行われました。 取引の仲介業者が少なくなる未来、需要者同士で、物、金、エネルギーを売買することが当たり前になり、しかしブロックチェーンがすべてを置き換えることはなく、選択技のひとつして、途上国の既存の問題を解決するインフラとして活用されていく、などが議論されました。
















