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2019/04/18『eToroXの取引所ローンチとこれからの事業戦略とは?』eToroX Dron Rosenblum氏へ突撃 独占インタビュー
ソーシャル投資プラットフォーム・eToroの子会社「eToroX」が新たに取引所をオープンしました。 eToroのCEO・Yoni Assia氏は、フランス・パリにて開催された「パリ・ブロックチェーンウィークサミット」で、同日にローンチされたeToroXの取引所に関するプレゼンテーションを行いました。 [caption id="" align="aligncenter" width="449"] eToro CEO Yoni Assia氏[/caption] eToroXが今回ローンチする取引所は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH/ABC)、ダッシュ(DASH)、XRP(XRP/リップル)の暗号通貨6種を取り扱っています。 法定通貨に関しては、米ドル(USDX)、英ポンド(GBPX)、ユーロ(EURX)、スイスフラン(CHFX)、ニュージーランドドル(NZDX)、オーストラリアドル(AUDX)、カナダドル(CADX)、日本円(JPYX)のステーブルコインが準備されています。 取引ペアは以下の37組となっています。 eToroは昨年付けで登録ユーザー数1000万人、取引ボリューム1兆ドルを記録しています(暗号資産に限らない)。Assia氏は、今後取り扱い通貨やERC-20トークン、ステーブルコインの数をさらに増やしていくとも述べました。 eToroX Dron Rosenblum氏に突撃インタビュー 新プロダクトをローンチしたばかりのeToroXで常務取締役を務めるDoron Rosenblum氏は、ITやビッグデータ、eコマース系の企業で数々の実績を収めてきたプロフェッショナルです。 今回はそんなRosenblum氏にCRYPTO TIMESからのインタビューに応じていただきました。 [caption id="" align="aligncenter" width="453"] eToroX Doron Rosenblum氏 (常務取締役)[/caption] -- 本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。まずは、eToroという企業について教えてください。 Doron Rosenblum (以下DR): eToroは12年前に設立された「ソーシャル投資プラットフォーム」です。企業の運営は当初ガレージから始まり、今では700人ほどの従業員を抱えています。オフィスはロンドン、ニューヨーク、上海、南アフリカ、イスラエル、ジブラルタル、デンマーク、オーストラリアなど世界中にあります。 eToroは暗号資産が登場する前から何千種もの金融商品取引サービスを提供してきた実績があり、安全性と商品数共に優れたプラットフォームです。私たちのサービスは「ソーシャルトレーディング」をコアとしており、上級トレーダーを真似できる「コピートレーダー」など他にはない機能が実装されています。 eToroXはeToroの子会社にあたり、ブロックチェーンおよびクリプト系のサービスを運営する役割を担っています。eToroX自体は昨年に設立され、従業員は現在70名ほどいます。 現在eToroXが提供しているプロダクトは2つあります。1つ目はBTC、LTC、ETH、XRPの4銘柄に対応した暗号資産ウォレットです。2つ目が今日(2019年4月16日)発表された取引所になります。 [caption id="" align="aligncenter" width="454"] eToroXが提供するウォレット[/caption] -- eToroの暗号資産取引所を子会社から開設する形ということですね。eToroXが他の暗号資産取引所と異なるところはどのようなところでしょうか? DR: (新参取引所と比べて)まずもっとも大きな点のひとつは、eToroXはサービス運営国の法規制・コンプライアンスを遵守している点です。 また、eToroが築き上げてきたデータセキュリティ技術もユーザーの信頼を勝ち取る要素になると考えています。加えて、私たちeToroXは高水準のカスタマーサポートも徹底しています。「良い評判は良いビジネスにつながる」のが基本ですからね。 さらに、私たちは「トークナイゼーション(資産のトークン化)」に大きな期待を抱いています。法定通貨からコモデティ・セキュリティ、さらにはアートなどのトークン化には大きなメリットを見出しています。将来的には、「お金」にこだわらず資産と資産を直接交換できるようにしていきたいと考えています。「ビットコインを金(ゴールド)で買う」シチュエーションを想像してみてください。そんな世界はワクワクしますよね -- 最近では「法規制・コンプライアンスの遵守」をむやみに掲げるプロジェクトが多数存在します。その中で、eToro/eToroXでは具体的にどんなところを特に拘っているのでしょうか? DR: ライセンス的な観点では、まあ嘘をついているプロジェクトは関連当局を確認すればすぐにわかりますね (笑) 私たちは、各国が設けた消費者保護に関するガイドラインを徹底的に遵守しています。資金洗浄防止策(AML)や本人確認(KYC)はもちろんのこと、消費者の行動パターンなどもきちんと解析しています。 今回ローンチされたステーブルコイン8種に関しても、細かくいうと別の会社が発行母体となっており、eToro自体はその別会社の通貨を上場する形となっています。これは、取引所自体が発行母体になってしまうと、価格操作を行うインセンティブが出てきてしまい、「利害の対立」があるとみなされてしまうからです。 また、匿名通貨の取り扱いなどにも気をつけていますね。例えば、DASHなどはおそらくデポジットは受け付けない形になるかなと考えています。
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2019/03/04【イベントレポート】2/14 THE BLOCKCHAIN NIGHT #OSAKA by IOST Japan
2月14日、大阪・難波にて、IOST JapanによるイベントTHE BLOCKCHAIN NIGHTが開催されました。 当イベントでは、ブロックチェーンのビジネス応用に関する事例や技術等が紹介されました。 本記事は、当イベントで登壇されたIOSTの佐藤氏やエバーシステムの石田氏、合同会社長目の小川氏、そしてAcompanyの近藤氏による解説をレポートとしてまとめたものになります。 IOST Japan Community Manager 最初に、IOSTの佐藤氏から、IOSTについての紹介がされました。 IOSTはシンガポールを拠点とし、次世代ブロックチェーンの開発を行う非営利財団で、同時にブロックチェーンアプリケーションでもあります。 IOSTには独自のコンセンサスアルゴリズムであるProof of Believability(PoB)が採用されており、これにより非中央集権的でスケーラビリティで高速に処理が可能な環境を開発しています。 2月25日には待望のメインネットのローンチが行われ、ノード選挙も3月10日まで実施中です。 IOSTのノード投票についてはこちら、プロジェクトの技術・仕組みについては以下の記事で詳しく解説されています。 【仮想通貨】IOST(アイオーエスティー)の特徴・将来性を徹底解説! - CRYPTO TIMES エバーシステム株式会社 CEO エバーシステムの石田氏からは、「ブロックチェーンの魅力やその使い道」「ブロックチェーンビジネスの注意点」について紹介されました。 ブロックチェーンの魅力 「インターネットが誕生して、画像や動画が瞬時に送れるようになったものの、価値そのものを送ることはできませんでした。しかし、2009年のサトシナカモトの論文が発表されたことにより、インターネット上で価値を送れるようになったのです。これが、ブロックチェーンおよび仮想通貨の画期的な部分です。」 続けて、ブロックチェーンの覚えておいてほしい以下の3つの特徴を紹介しました。 データが分散して保存されることで、障害の耐性が高いこと 取引記録が改ざんされないため、二重支払いが起こらないこと 管理者がいなくても稼働すること 「デジタルデータでは、AさんがBさんに1万円渡しながらCさんにも同じ1万円を渡すといったような二重支払いが起こりえます。しかし、ブロックチェーンでは1度で所有権ごと移転するため、二重支払いがおこりません。これにより、資産が扱えるといわれているのです。」 「管理者がいなくても稼働するというのは、一見素晴らしい仕組みに聞こえますが、管理者がいないということは、責任者が不在です。そのため、一定数管理者のいる完全には非中央集権ではない仕組みも誕生しています。」 ブロックチェーンの使い道 次に、”ブロックチェーンの今後の使い道’’について以下のように述べました。 経済産業省がまとめた資料によると、ポイントや決済の分野においは1兆円、権利証発行の分野でも1兆円、シェアリングには13兆円、サプライチェーンには32兆円、取引の自動化(スマートコントラクト)には20兆円の経済規模があります。 「最近では、ゼネラルモーターズやジャスラックなどの国内外の大手企業がブロックチェーンを利用した様々な仕組みを構想しているというニュースも出てきており、いよいよ今年からブロックチェーンを用いた製品自体もどんどん出てくると思います。」 「IDC Japanのデータによると、2022年までに世界では12兆円、国内では545億円分のブロックチェーン関連の市場規模が予測されており、とりわけ2019年以降から急激に技術革新が進み、市場が成長していくと思います。」 「例えば、ブロックチェーンでゲーム内のアイテムを管理することによってそのアイテムに資産性を持たせることができます。そうすれば、いずれそのアイテムが取引される可能性が生まれます。近頃、今までのゲームに全くなかったこの要素に多くのゲーム会社が注目しており、ブロックチェーンゲームに積極的に投資を行っています。」 ブロックチェーンビジネスの注意点と取り組むメリット 次に、ブロックチェーンビジネスにはいくつかの注意点があることが紹介されました。 「ブロックチェーンで記録できるのはあくまで取引履歴です。データそのものを記録するわけではありません。取引履歴をどのように使うかをビジネスの際には考えなければなりません。また、デジタルデータを1社で管理するほうが良いビジネスには、ブロックチェーンはあまり効果を発揮しません。」 他にも、ブロックチェーン技術を社会に実装させるには政治力が必要であることが注意点として挙げられました。 次に、''今ブロックチェーンに取り組むべきメリット''について以下のように述べました。 「ブロックチェーンという新しい技術に取り組むということが現在まだニュース価値として高い状態です。これをうまく利用して広報活動に繋げるのがいいでしょう。また分散化によるコストダウンや、新技術に触れることによって感度が上がり、良好な経営判断にもつながります。」 他にも、今ブロックチェーンに取り組むことで将来的にコンサルタントのような立ち位置での支援が可能になり、個人のキャリアにもつながるというメリットも紹介されました。 ブロックチェーンビジネスは、早く取り組めば取り組むほど、有利だといいます。 合同会社長目 CEO 合同会社長目 CEOの小川氏からは、ブロックチェーン活用の見通しと、ブロックチェーンの仕組みについて解説が行われました。 ブロックチェーン活用の見通しについて 始めに、''ブロックチェーン活用の見通し''についてです。 「投資家は、新しい技術が将来使われるかを判断する際に、大手企業の買収動向を調べます。今月半ばに、FacebookがChainspaceというブロックチェーンのスマートコントラクトに関係する企業を買収したというニュースが出ています。このことからも、大企業がブロックチェーンを使おうとしていることが分かりますよね。」 Gartnerが出したレポートによると、2030年までに日本のGDPの約3分の2のにも及ぶビジネス価値がブロックチェーンよって生み出されるとされており、今後のブロックチェーン市場に大きな期待が寄せられていることがわかります。 ブロックチェーンの仕組みについて 次に、''ブロックチェーンの仕組み''についてです。 「ブロックチェーンは、データの入ったブロックがつながっているものです。データを一方向ハッシュ関数を用いてハッシュ化し、それを次のブロックに入れていきますす。関数を用いてハッシュ化することで、元々の値が似たようなものでも、全く異なるハッシュ番号に変わります。」 これにより、データの改ざんに気づくことが出来るというのです。 また、コンセンサスアルゴリズムに関しては以下のように解説しました。 コンセンサスアルゴリズムとは? 中央集権的な管理者が存在しないP2Pネットワークにおいて、正しく合意が形成されるように生み出された仕組みのこと。 「P2Pネットワークでは、全員が同じデータを共有しますが、そのデータを作る際にコンセンサスアルゴリズムが関係しています。有名なのがビットコインに使わているPoWで、これは計算を早く解いた人が新しいブロックを作れるというメカニズムです。」 ただ、PoWでは計算力がものをいうため、ノードは電気を大量に消費します。これを受けて、地球にやさしい方法として、通貨を多く持つ人がブロックを承認する仕組みのPoSなどの新しいメカニズムが生まれ、さらにそこからDPoSやPoBなどの新しいコンセンサスアルゴリズムが生まれました。 【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは? - CRYPTO TIMES この他にも、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題やブロックチェーン技術における企業の取り組みなどが紹介されました。 Acompany Inc. CTO 続いて、Acompany Inc.の近藤氏からは、ブロックチェーンの実用例についての簡単な紹介がなされました。 Acompanyは、ブロックチェーンの実社会での活用のための研究開発を行っているそうです。 紹介には、ALISやCryptoKitties、MyCryptoHeroes、Rippleなどが取り上げられました。 講演後の交流会 講演終了後は30分ほどですが、交流会が行われました。 バレンタインの日に開催されたため、会場ではお菓子とチョコレートワインが振舞われ、グラス片手にブロックチェーンに関する様々な話が交わされていました。 まとめ 今回は、大阪で行われたBLOCK CHAIN NIGHTの講演内容や様子をまとめてみました。 イベントには、ブロックチェーンに興味を持つ学生やエンジニアなど、20人ほどが参加していました。 イベント中には、ブロックチェーンについての質問を募集し、それについてブロックチェーン事業に携わる企業の方が答えるコーナーもあり、ブロックチェーンに関する理解を深める非常に良い機会でした。 ブロックチェーンに興味のある方は、ぜひご参加することをおすすめします。
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2019/02/05【イベントレポート】Binance Blockchain Week Singapore
2019年1月21日から22日の2日間にわたり、シンガポール・マリーナベイサンズで史上初となるBinance主催のカンファレンスであるBinance Conferenceが開催されました。 シンガポールは、国土的には東京23区と比較してやや大きい程度と非常に小さな国ですが、全世界から多く開発者や業界の関係者が集まり、終始盛り上がりを見せていました。 CryptoTimesでもシンガポールに足を運び、Binance初となるカンファレンスに参加しました。 本記事では、会場の様子やイベントの内容、所感を紹介していければと思います。 Binance Blockchain Weekについて Binance Blockchain Weekは1月19日から22日の4日間にかけて、Binanceの主催で開催されたイベントになります。 前半2日間では、『Binance SAFU Hackason』と呼ばれるハッカソンが開催され、ユーザーの資産保全をテーマとして10万USD相当のBNBをかけたバトルが行われました。 後半の2日間は、CryptoTimesも参加させていただいた、『Binance Conference』が開催され、これはCZ氏やTRONのJustin氏をはじめとして、世界各国から50を超える著名なスピーカーを招く充実したものとなりました。 Binanceによって開催されるカンファレンスは、シンガポールで開催された今回のものが初の試みとなりましたが、多くの人々が集まり非常に充実した内容でした。 Binance Blockchain Weekの様子 冒頭でも述べた通り、会場はブロックチェーンに携わる世界中の人々で大きな盛り上がりを見せていました。ちなみにチケットは両日とも完売だったそうです。 イベントの内容は次項で紹介しますが、会場の様子も写真でお伝えしていきたいと思います。 エキシビションエリア入り口 会場の入り口には、Binanceの大きなロゴがありました!開幕からものすごい豪華な会場でした。。 今回のイベントのメインスポンサーであるTRONの創設者であるJustin氏の大きなパネル ここ最近、Binance LaunchpadでのBitTorrentのICOやDAU(デイリーアクティブユーザー)の急激な成長などで話題を集めるTRONですが、会場には大きなJustin氏を目印とするTronのブースが設営されていました。 これまでトップ10には入っていませんでしたが、Coinmarketcapの時価総額を見ると現在は8位に位置しており、今かなりホットな通貨であることが伺えます。 GRAND BALL ROOMの様子 写真では、午前中のプログラムが始まる前の時間だったためあまり人がいませんが、パネルやキーノートには多くの人が釘付けでした。 ちなみに、筆者は午後BinanceのCEOであるCZ氏と一緒に写真撮影をしていただきました! https://twitter.com/shot4crypto/status/1091618674266464256 パネルディスカッションの紹介 今回のBinance Blockchain Weekのプログラムは、全体的にパネルディスカッションをメインに構成されており、その他でキーノートといった感じでした。 どのパネルも著名な方々による素晴らしい意見が飛び交っていましたが、その中でも面白いなあと思ったものを紹介していこうと思います。 Lessons Learned in Crypto and Token Investment このパネルディスカッションは、2019年の現在まで、仮想通貨やトークンへの投資によって何を学んだのかというトピックを軸に進行していきました。 パネルメンバー Michael Gu氏 - Boxmining 創業者 John Ng氏 - Signum Capital 設立者 Dovey Wan氏 - Primitive Ventures 共同設立者 Jamie Burke氏 - Outlier Ventures CEO Vincent Zhou氏 - FBG Capital 創業者 Q: 現在の市場をどうみますか?参加者は合理的だと思いますか? Dovey氏:現在も合理的だとは思ってません。合理的な投資という点で話すのであれば、まず市場における情報が非対称的であることが一点あります。 投資家はどうしても対称的な情報を手に入れることができず、合理的な投資家でさえもが、このために異なるトークンの価値付けモデルを利用していると考えています。 このトークンの価値付け(Token Valuation)において、コンセンサスが生まれていないので、現在の市場を合理的と呼ぶのは難しいでしょう。 Jamie氏:2016年の段階では、スタートアップの99%は正直言ってくだらないもの(Bullshit)ばかりでした。 状況は好転しているとは思っているが、現在でもブロックチェーンにつぎ込まれている資本とその基礎にある価値が分離しているように思えます。 DAppで~~のように利用可能なトークンと言ってもまだインフラが決してそれを実現させてはくれないでしょう。 John氏:我々(Capital)としてもしっかり戦略を練らなければいけません。 これまで、一部のCapitalではプライベートで購入したトークンの上場後即エグジットなどを行っていたようだが、今の市場でそれをやってしまうと市場が死んでしまう。DUMP=死に繋がります。 もし市場の下落が続けば、その分辛くなるし、それが早ければ早いだけ辛さも増していきます。 そういった意味でもしっかりと戦略を練った投資を行うことが非常に重要です。 Q: 2019年でこれまでのレッスンをどう生かしていきますか? Dovey氏:これまでの上昇局面の相場では、売り手が売り時を伺う売り手の市場だったのに対し、今は買い手が買い時を伺う買い手の市場になっています。 どちらにせよ、価値が過小評価されているときに投資を行う必要があります。 Jamie氏:市場は構造的に変化を遂げています。 今後、個人ではなく機関の資金が流入することになれば、より合理的な市場になっていくでしょう。 また、プロジェクトではこれまでのプロトコル・オンチェーンガバナンスの部分からより商用化が進められる一年になると思っています。 スケーリング問題などの技術面での障壁はあるが、市場という点で見たときトラディショナルな金融からより特化した独特なものに変化していくでしょう。 Decentralized Apps that Can Scale to Millions of Users: Are we there yet? 日本からも、Miss Bitcoin Maiさん(@missbitcoin_mai)さんが登壇していたこのパネルディスカッションは最近話題にあがるDAppsのMass-Adoptionについてのトピックを中心として進んでいきました。 パネルメンバー John Riggins氏 - BTC Media International Operations Jason Jeon氏 - NHN Entertainment チーフエヴァンジェリスト Patrick Dai氏 - Qtum 共同創設者 Mai Fujimoto氏 - Miss Bitcoin Emma Liao氏 - Ultrain 共同創設者 Q. 現段階で分散型のエコシステムを支えるだけのテクノロジーのレベルに到達していると思いますか? Patrick氏:まだそのレベルには達していないと感じます。 例えば、BitcoinはそもそもDApps向けにデザインされていませんし、EOSも同様に多くの制約があります。DAppsを取ってもその多くがギャンブルです。 エコシステムを支えるのに確かにテクノロジーは必要ですが、テクノロジーだけがバリアというわけではありません。 分散型のエコシステムを成立させる上では、テクノロジーと同様にアプリケーション自体も重要になりますし、人々による十分な認知もまた重要な要素の一つです。 Emma氏:ブロックチェーンのAdoptionという点で話すのであれば、DAppsが果たす目的をより一層考える必要があります。 エコシステムを支えるという点では、フルDAppsがこの目的を果たすのには一番ですが現状、テクノロジーはそのレベルに達していません。 しかし、それ以上に人々がブロックチェーンを利用して具体的に何ができるのかということを深く理解することの方がエコシステムの成立においてより重要であると考えています。 Q. Emma氏のいうAdoptionを実現において、具体的にこれはどのように実現されると思いますか? Jason氏:まず、前提としてAdoptionの実現におけるユースケースを考える必要があると考えます。 どの程度のレベルの分散性があるのかといった話題もありますが、ゲーマーはそんなことは一切気にしません。彼らは楽しいものをプレイしたい、それだけです。 現状、ゲームでユーザー数が伸びているのはすべてギャンブルで、ターゲットが単純に仮想通貨のコミュニティのみとなってしまっています。 個人的には、昔ながらのゲームを例えば、コンペティションやスキルに応じた支払いなどの形で業界に持ち込んでいくことがAdoptionに繋がるのではないかと思います。 Patrick氏:音楽やビデオなどの、オンラインのコンテンツだと思います。 現状、AppleのAppStoreでは開発者が30%をApple側に、中国NetEase(网易)やTencent(腾讯)では10%を手数料として支払う必要があります。 マネタイズの部分で、やはりブロックチェーンは有用であり、これが完全に新しいインフラとして普及していく可能性は十分にあります。 Jason氏が言及していたゲーミング同様にオンラインコンテンツもターゲットが広く、業界の外のインフラを持ち込むことが重要になってくるのではないかと思います。 Q: 日本を見ると、特にDAppsの市場にはどのような特徴がありますか? https://twitter.com/missbitcoin_mai/status/1087327435333369856 時間の都合上、Maiさんは日本の状況やDAppsについての意見を発表することができませんでしたが、彼女のツイートで自身の『My Crypto Heroes』などの日本のDAppsについての意見を後日発信していましたので、こちらも紹介させていただきます。 Why the Quality of Information Matters: Separating Good from Bad パネルメンバー Angie Lau氏 - Forkast.News CEO・創設者 Matthew Tan氏 - Etherscan CEO Catherine Ross氏 - Cointelegraph Assistant Editor in Chief Emily Parker氏 - LongHash 共同創設者 Ulisse Dellorto氏 - Chainalysis Head of Business Development Q: 各自、自身のプラットフォームを持っていると思いますが、これの良し悪しをどのように判断し、他との差別化を行いますか? Emily氏:人々は仮想通貨のメディアを信頼することが難しいと言います。 そのため、情報ではなくデータを求めてデータを発信するウェブサイトなどを訪問しますが、これは実際に情報サイトと比較して信憑性の高いものとなります。 例えば、Etherscanなどは信憑性が高いですが、その他の情報を紹介するサイトと比較してどうでしょうか? 一方で、仮想通貨に熱心な人々というかこのコミュニティでは、その他のコミュニティと比較して非常に優れている部分もあり、例えばサイトに記載されている情報に誤りがあれば、これらはすぐに指摘されやすいため、修正がより容易になります。 もう一つの問題が、客観性です。 仮想通貨メディアでは、客観性が欠如していることが多く、例えば一つのコインを推したりしているのを見かけますが、LongHashではこの客観性を失わないようにデータの解釈を行っています。 客観的であるべき部分で、仮想通貨メディアはより客観性をケアする必要性があると感じます。 Ulisse氏:私たち(Chainalysis)の強みは、10人の経済学者を抱えている点です。 ブロックチェーン上で行われたトランザクションはすべて、ブロックチェーン上にデータが残ります。 しかし、行われているそのほとんどのトランザクションは取引所によって行われており、彼らがホットウォレットへ資産の移動を行っているケースがそれに該当します。 ここで、強調しておきたいのが、決してリサーチを怠らないということです。 異なるタイプの集団によって行われたアクションを適切にカテゴライズし、そのアクションから中にある真のメッセージを読みほどくためには、コンスタントにこのリサーチを続けることが必要とされます。 Matthew氏:私は個人的に、ブロックチェーン内にあるデータを読みほどくのが好きです。 理論上、ノードのコンピュータ内にはすべてのデータが入っているので、個人でも十分にそのデータが正しいものなのか、そうではないのかを検証することが可能です。 データのソースという点に関して、私はいくつか留意するポイントがあります。 -独立したソースであるか:金銭的なインセンティブやその他によって情報に偏りが生じていないか -データ提供者:これを無料で行っているのかどうか? このように情報が提示されているといっても、その方向性に大きな差異が生じることがあります。 中には、しっかりとした情報もありますが、常に見る側の視点からメディアのリテラシーを考えていく必要があると思います。 まとめ ここまで、長文になってしまいましたが、シンガポールで2日間にかけて行われたBinanceのカンファレンスの様子や、プログラムの内容を要約してレポートとさせていただきました。 参加者の熱意や登壇者の洞察力の深さなど、このカンファレンスからは多くの刺激を得ることができました。 プログラムの一部では、独自のコインであるBinanceコイン($BNB)を利用して行っているチャリティの紹介もされており、ブロックチェーンの普及やそれによる問題解決を真摯に目指す素晴らしい取引所であるということを再認識することができました。 プログラムの最後に行われたCZ氏のスピーチによれば、間もなくBinanceの独自チェーンであるBinanceチェーンのテストネットや次回のBinance Conferenceの開催についても言及されました。 個人的にもイベントが終了したからとはいえ、引き続きブロックチェーンの普及や発展を考えていく上では決して見逃すことのできない、2019年要注目の取引所であると思っています。 ありがとうございました。
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2018/12/13仮想通貨の税金、確定申告についてAerial Partners CEO沼澤氏が語る
2018年、価格が暴落しているからと行って損をしていると思っている人はいませんか?今回のレポートを読んで、税金周りを再度見直してみましょう。 今回は、先日実施された「仮想通貨の確定申告サポート『Guardian』セミナー」のアフターレポートを記させていただきます。 本イベントは2部構成で実施され、前半は株式会社Aerial PartnersのCEOである沼沢健人氏による仮想通貨への税金について、後半は沼澤氏と仮想通貨ブロガーとして活躍しているポイン氏によるトークセッションが行われました。 Guardian申込み 第一部:仮想通貨への税金について 沼澤氏は、税理士紹介サービス「Guardian」の運営の経験から仮想通貨周りの税金事情についてリアルな体験談を踏まえて話しました。 税務調査の実態 税務調査といえば、仮想通貨投資を行っている人は一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。 税務調査とは、国税局や税務署により行われる、申告内容に誤りがないかを確認するものです。主に前年度の確定申告に対し、翌年度に調査が入ります。 沼澤氏によると、Guardian利用者でも税務調査が入ったという声を一定数聞いているとのこと。 しかし、仮想通貨投資家への税務調査はランダムで選ばれているようで、比較的収益が低い人でも調査が入ることがあるそうです。 また。指摘事項0(問題なし)で税務調査が終わることが殆どで、正確に確定申告を行っていれば何も心配することはない一方、所得の無申告や隠蔽が判明した場合は重いペナルティが課せられるとのことです。 Aerial Partners社としては、意図せずペナルティを受けてしまう人もいるらしく、正しい知識を広めることで啓蒙活動を継続していくと沼澤氏は語りました。 仮想通貨投資益の計算方法の罠 仮想通貨投資を行った人は、確定申告が必要な投資益の計算をした経験があるかと思います。その際認められている計算方法としては、移動平均法と総平均法があります。 人によっては、2種類の方法で利益が異なり、利益額が安くなる計算方法で申告を行った人もいるかと思います。しかし、沼澤氏によると、「各年で利益が安くなるかもしれないが、最終的にはどちらの計算方法でも利益は変わらない」とのことで、「今年度損をしていても、昨年の計算方法によっては利益が出ている可能性がある」と注意喚起を行いました。 Aerial Partnersのソリューション 上記のように、仮想通貨投資家の方が不安に感じている税務調査や利益額の正確な計算を解決するために、Aerial Partners社は税理士紹介サービス「Guardian」と損益計算ツール「G-tax」を提供しています。 Guardianでは、ただ申告書類の作成を税理士に行ってもらうことはもちろん、顧問として日常的に税金に関する相談をすることができるプランも用意されています。 Guardianについて 沼澤氏によると、一人平均6取引所を利用(2017年)しており、それぞれフォーマットが違うため利益の計算は非常に煩雑になります。G-taxは国内外21取引所に対応しており、投資家の皆さんの計算を一括して行えるソリューションを提供しているとのことです。 G-taxについてはこちら 第二部:トークセッション 第一部の終了後、沼澤氏と仮想通貨ブロガーとして活躍するポイン氏によるトークセッションが行われました。トークセッションではポイン氏の体験談などを踏まえて、主に仮想通貨の税金について話が展開されました。 まず、沼澤氏はポイン氏の顔出しについて言及、ポイン氏は 「色んなトークイベントなどに出る中で結構顔は色んな人にバレていたのと、最近はビジネスサイドの方々とお会いすることが増えたので顔出しをはじめました。」と語りました。 次にポイン氏の確定申告体験談に話が進み、ポイン氏は2017年当時の話をこう振り返ります。 「2017年当時は確定申告に対する不安がありました。そこで、税金関係の相談をTwitterでボランティアで行っていたヒヨコ(沼澤)さんの姿を見て、ぜひGuardianを利用しようと思いました。」 それに対し沼澤さんは、 「2017年は仮想通貨相場がすごい盛り上がっていて、確定申告時に税金で困る人が増えると思い、Twitterで啓蒙活動を始めました。当時は朝から晩まで税金に関する相談を受けてました。」と話を続けます。 その後Guardianの話に移り、実際に使用した感想をポイン氏は、 「もしGuardianがなかったらと思うとゾッとします。当時10以上の取引所を使用していたのですが、税理士さんの指摘で書類に不備があることがわかりました。取引所での取引履歴だけでなくエアドロップなども含めなければなりませんでしたが、こういった点は普通の税理士の方やWebサービスでは指摘されないポイントです。」と昨年を振り返りつつ語りました。 それを受けて沼澤氏は、 「すべての取引所の履歴を集めるだけでも相当大変な仕事ですよね。本当は取引履歴を自動で集められるようにしたいのですが、取引所がAPIをすべて公開しているわけではなく、現状それが難しくなっています。将来的には、私達のような団体が取引所と協力していけるといいと思います。」と語り、続けて 「昨年は正直12月1日に税金に関する情報が公開されるなど、混乱に満ちていましたね。皆3月15日までに確定申告を終わらせなければならず、そのサポートをする中でノウハウも蓄積することができました。今年はチームを強化し、より手厚いサポートができるような体制を構築しています。」と話しました。 最後にポイン氏が、今年度の確定申告について、 「今年度損をしていると思っている人でも計算方法によっては、数字上利益が出ていることがあるとお話していました。ここは非常に気をつけるべきだと思います。」と不安を口にすると、沼澤氏も続けて 「ここは私達が啓蒙するべきポイントだと思います。感覚的にはマイナスでも、数字では利益が出ているということがあります。今年度損をしているからと言って、確定申告の計算を行わないということは避けるべきです。特に、『2017年年間を通じて取引を行った』『2017年期末に仮想通貨を保有していた』『2018年売却取引をした』人は注意するべきだと思います。」 と話し、トークセッションは終了しました。 まとめ 今回は、仮想通貨投資をする人であれば避けては通れない税金と確定申告について、実際にサービスを提供している沼澤さんから貴重なお話をいただくことができました。 特に、利益額の計算方法には注意が必要で、今年度損をしたから申告はしなくて大丈夫と思っている方は今一度確認をしてみましょう。 Guardian申込み
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2018/11/30Contentos Tokyo Meetupレポート。Contentosエコシステムを通じてクリエイターやユーザーの幸せの実現を
2018年11月25日に、東京・渋谷でContentosのミートアップが行われました。 プロジェクトの本拠地である中国からは、共同創設者であるMick氏を含む6名が、会場にもたくさんの人がお越しくださり、充実したミートアップとなりました。 本記事では、そんなContentosのミートアップの様子をまとめていきたいと思います。 16:30 ~ Contentos PJ紹介 本ミートアップのメインイベントともいえるプロジェクト紹介のセッションですが、共同創設者であるMick氏の自己紹介から始まりました。 自己紹介 / PJ簡易紹介 共同創業者であるMick氏は、2004年に大学院を卒業し、コンピュータサイエンスの分野で修士号を取得しました。 その後、ウイルスバスターなどのウイルス対策ソフトを扱うTrend Microで10年間、ソフトウェア開発に4年間、その後Contentosとの統合も行われているLive.meでコンテンツ制作の業界での経験を得て、現在はContentosの共同創業者を務めているそうです。 『Contentos』の名前の由来ですが、こちらは『Content(コンテンツ)』の『OS(オペレーティングシステム)』を目指して名付けられました。 また、スペイン語で『contentos』には幸せ・幸福などの意味もあり、Contentosのエコシステムを通じてクリエイターやユーザーの幸せを実現したいといった意味も含まれているそうです。 最近では、BinanceのCEOであるCZ氏にも注目を受け、Binance Labのポートフォリオの一つに選ばれています。 Contentos創業の経緯 Mick氏によれば、創業の経緯は6ヶ月前に起きたある事件がきっかけであるそうです。 イランのYouTuber/インフルエンサーであるNasim Aghdamさんは、長い間オンラインで動画配信などの活動を続けてきました。 しかし、彼女はYouTubeに継続的に動画を投稿する一方で、そこから得られた収益はほぼ0だったそうです。 さらには、YouTubeが彼女の動画に対して検閲を行っていました。 彼女はYouTubeのHQの位置するサンフランシスコに自らの足を運び、1名の男性と2名の女性を殺害し自殺したと報道されました。 (この事件に関する詳細はこちらの記事をご覧ください) これを受けて、集権的なプラットフォームにおいて生まれる不当な収益構造に疑問を呈し、ユーザーによって生み出された価値はユーザー自身に還元されるべきだとし、『Contentos』の創業に至りました。 Contentosに関して コンテンツエコシステムのプラットフォームであるContentosですが、この軸となる部分にはユーザーの『注目』とクリエイターの『影響力』の交換にあります。 従来までのプラットフォームでは、集権的なプラットフォームがこの交換を仲介する役割を果たしていたため、この図式が成り立ちませんでした。 Contentosでは、ブロックチェーンを利用してピアツーピア形式でこの交換を実現することで、ユーザーとクリエイター間の透明な価値の交換を実現します。 このシステムを利用することで、クリエイターの可能性とオーディエンスの関心が開放され、今まで見えなかった価値が生まれます。 Contentosの強み Contentosブロックチェーンの強みは以下の3つの点にあります。 スマートコントラクト 高速TPSデザイン ユーザー信用システム スマートコントラクトはユーザーや広告主に使いやすく設計されており、デジタルコンテンツビジネスにおける活動が保護されます。例えば、直接的なサブスクリプションなども実現できます。 またBFT-DPoSデザインに基づく合意形成を採用しているために、高速なTPSを実現しています。 ユーザー信用システムでは、ユーザーのスコアリングなどが行われ、エコシステムは健全なものに保たれます。ここでは、ポルノコンテンツなどの検閲が行われます。 競合比較 デジタルコンテンツのエコシステムと聞くと、これまでにも多くのプロジェクトが登場してきましたが、競合と比較した場合のContentosの強みも紹介されました。 一点目として、Contentosでは既に100万以上のクリエイターとのつながりを持ちます。 彼らは、Cheez!(後述)などのアプリで仮想通貨やブロックチェーンに関してのショートムービーの配信などを行っているため、潜在的なユーザーの教育という部分においても大きな効果をもたらすと考えられます。 第二に、『Live.me』や『Cheez!』、『Photogrid』といった有名アプリとContentosのトークンであるCOSの統合がすでに完了しています。 さらに、例えばLive.meでは6000万人以上のユーザー、その他でも多くのユーザーベースがあるため、100万人を超えるクリエイターだけでなく、それを視聴するユーザー、つまり価値の交換を行うエコシステムでキーとなる両者をすでに持つことになります。 Contentosブロックチェーンとアプリの関係など 画像の『Live.me』・『Cheez!』・『Photogrid』はすでに説明した通り、Contentosとの統合が完了しているアプリになりますが、今後は動画や写真だけでなくゲームなどとも統合を進めていくようです。 現在は、ピアノタイルなどのアプリを提供し、月間6億人のアクティブユーザーを持つ『cheetahmobile』などがその例になります。 Mick氏は、既にクリエイター・ユーザーもおり、十分にアプリもあるので、Contentosのブロックチェーンを利用して、既存のアプリからブロックチェーンが統合されたアプリへの統合をいい形で行っていきたいと話していました。 Cheez!のアプリでは、既にクリエイターがこの『教育』の部分に関して、クリエイター自身でブロックチェーンや仮想通貨に関する教育をショートムービーなどを介して行っています。 彼らは、これを行うことでContentosブロックチェーンの流通トークンであるCOSを獲得することができます。 一方で、ユーザーはアプリ内でクリエイターの動画を視聴するなどのタスクを完了させることで、COSを獲得することができるようです。 最後に Contentosのビジョンは、『一般社会へとブロックチェーンの橋を架ける』ことにあります。 既存アプリへの統合という形で、より多くのユーザーに仮想通貨やブロックチェーンのコンテンツに触れる機会を提供することを目指しています。 17:20~ クイズゲーム 最後まで残った人を対象にエアドロップが景品となるクイズゲームが行われました。 参加者はAとBに分かれて、正解だと思う方に移動する形でゲームは進行し、イベントは盛り上がっていました! 18:00~ Cheerz!利用方法に関して イベントの最後のセッションでは、Contentosが統合されているアプリの一つであるCheez!の利用方法が紹介されました。 まとめ 11月25日に東京電力・渋谷で行われたContentosミートアップの内容をまとめました。 会場でもエアドロップが行われましたが、Contentosはユーザーに対して仮想通貨に直接触れる機会を提供することを最重要視していました。 既に巨大なユーザーベースを持つContentosの今後にもぜひ注目していきたいですね! イベントに参加していただいた方は、お忙しい中ご参加いただきありがとうございました。
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2018/11/19【イベントレポート】NITech AI研究センター×IOST「ブロックチェーン勉強会」
11月8日、名古屋工業大学にて開催されたNITech AI研究センター×IOST「ブロックチェーン勉強会」というイベントに参加してきました! 本イベントの冒頭では、NITech AI研究センター伊藤孝行教授より開催の挨拶もあり、伊藤孝行教授は、当センターはAIアルゴリズムはもちろんのこと、データ処理の研究を行なっている機関であり、ブロックチェーンは仮想通貨だけでなく様々な分野で応用可能で、人間社会の信頼性を担保できる技術であると述べていました。 そんな冒頭の挨拶から始まったイベントですが、登壇されたIOSTのCO-Founder兼CTOのTerrence Wang氏の講演と参加学生によるワークショップの様子をレポートをまとめています。 #IOST CTO @terrence_iost led a workshop at the Nagoya Institute of Technology, one of Japan's top Tech Universities. 15 students joined the event as well as the CTO of EverSystem, our local tech partner, and a local reporter. #crypto #blockchain $IOST #ecosystem @nitechofficial pic.twitter.com/0Cj8FcICi6 — IOStoken (@IOStoken) 2018年11月13日 IOST Terrence氏の講演 今私たちが使っているインターネットは崩壊している。IOSTはそれを直す事ができる。 という言葉から始まった、インターネットの2つの問題とIOSTについての講演でした。 問題1:人々は自分のデータを自分で持てない インターネットが登場したすぐ後、現在ITジャイアントとして知られている企業たちがインターネットの世界に城を作り、道を塞ぎ、あらゆるデータが自分たちの城を通してやりとりされるような仕組みを作った。これらのデータにプライバシーはなく、エンジニアやFBI等多くの人に見られてしまう問題があると述べました。 インターネット登場前は直接的に繋がっており、自分のデータは自分で所有していたが、現代はITジャイアント達が多くのデータを所有・コントロールしているとのことです。 問題2:データを動かす事ができない 次に、自分が作成したデータのはずなのに、企業によってロックされており自由に動かすことができない問題があると述べました。例えば、食べログのレビューデータは他のレビューアプリにシェア不可能です。データがシェアされないことで、イノベーションが阻害されたり、全体としての利益も減っていると考えているようです。 IOSTが問題を解決可能 インターネット登場から今までの時代は"インターネットの暗黒期"であり、全ての集権化されたサービスは"デジタルプリズン"であると述べました。 そして、IOSTではPoB(Proof of Belivability)という独自のコンセンサスアルゴリズムを使うことで、現在のブロックチェーンプラットフォームよりも高いレベルでの非集権化が可能になります。 【仮想通貨】IOST(アイオーエスティー)の特徴・将来性を徹底解説! by CryptoTimes ワークショップ: ブロックチェーンで問題解決 Terrence氏の講演後は、イベント参加者の学生達が2つのチーム(AチームとBチーム)に分かれてのワークショップでした。 以下のようなテーマから、現在世の中で問題となっていることを1つ選び、ブロックチェーンを活用した解決策をTerrence氏含めたIOSTメンバーに対して発表するといった流れで行われました。 貧困(病気、手当、労働、海外と先進国、、etc.) 健康(食べ物、薬、運動、ストレス、etc.) 教育(学歴成績、教科書、出席、教える、etc.) 慈善(ボランティア、募金、無料、etc.) 社会(業界、不正、詐欺、地方、高齢、マイノリティ、etc.) Aチームは「社会×ブロックチェーン」をテーマに「学術研究における著作権保護や文書紛失防止」を目的とした案を、Bチームは「教育×ブロックチェーン」をテーマに「地域やお金による教育格差を無くすこと」を目的としたトークンエコノミー案を発表しました。 IOST Terrence氏終わりの挨拶 Terrence氏の終わりの挨拶がとても心に残る内容だったので、短いですが原文と日本語訳を載せます。 I really believe the future will be made of many decentralized services and right now I think somehow is already happening. I think we can spread the world and we can help promoting the services. Right now is in early stage and there are many opportunities we can make. That’s why I’m here. I wanna spread the world and we can spread the world and maybe we can make some more decentralized services in the future. 日本語訳私は、これからたくさんの非集権サービスが登場することを強く信じている。もうすでに始まっているサービスもある。私達なら世界を広げ、それらの非集権サービスを世の中に浸透させることができる。(ブロックチェーンは)まだアーリーステージで、様々な機会を作る事ができる。だから私はここにいる。私は、非集権サービスを作ることを通して世界を広げたいし、私達ならそれができると思う。 まとめ 以上、11月8日に名古屋工業大学にて開催されたNITech AI研究センター×IOST「ブロックチェーン勉強会」のイベントレポートでした!
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2018/11/18MALTA Blockchain Summit参加レポート / ブロックチェーン島・マルタを歩いてみて
マルタ共和国はイタリアの南、地中海中心部に浮かぶ小さな島国です。その大きさは東京都23区の半分・人口は約40万人で、ヨーロッパの人気観光名所のひとつとなっています。 イギリス連邦加盟国であるマルタでは、マルタ語と英語が公用語に定められており、日常会話レベルの英語が話せれば旅行する上で特に困ることはありません。 観光業で栄えるマルタのもうひとつの顔が、ブロックチェーン技術を国レベルで推進する「ブロックチェーンの島」としてのマルタです。 世界最大の仮想通貨取引所・Binance(バイナンス)が今年春にマルタに本拠地を移転したことをきっかけに、同国でのブロックチェーン関連事業の誘致に火がつきました。 今では、数々のブロックチェーン系企業が後を追うようにマルタでの法人設立に取り組んでいます。 Crypto Timesは、そんなマルタで11月初旬に開催されたイベント「マルタブロックチェーンサミット」にメディアパートナーとして参加し、「ブロックチェーンの島」の様子を徹底調査してきました。 マルタってどんなところ? 11月のマルタは日本では考えられないくらい暖かく、気温は昼夜常に18~25度くらいでした。割と湿気が高く、少し歩いただけで汗だくになってしまう感じでした。 カンファレンス開催の1日前に上陸したので、観光地として有名な海岸や港を散歩...のはずでしたが、絶賛雨男の記者は約4日半の滞在中、一度も晴空を見ることなく毎日豪雨に見舞われました。 [caption id="" align="aligncenter" width="526"] 雨が止んだ隙の一枚。カンファレンスが開催された「サン・ジュリアン」と、ホテル街のスリーマと呼ばれる地域の境目。[/caption] [caption id="" align="aligncenter" width="527"] 本当はこうなるはずでした。| シャッターストックより[/caption] 観光業が盛んなだけに、食べ物は基本的に美味しいものが多く、ファストフードはだいたい5~10ユーロ(650~1300円)、レストランは10ユーロ(1300円)から、という感じでした。 イギリス連邦加盟国であるマルタには、英国風パブ(日本の居酒屋的な存在)が至る所にあり、ビール一杯4ユーロ(500円)と、他のヨーロッパ諸国と比べると割と安めでした。 [caption id="" align="aligncenter" width="527"] 会場周辺のオシャレなレストラン。雨が降っていましたがせっかくなのでテラスで食べました。[/caption] ちなみに、マルタは観光先の他に英語の語学留学先としても人気が高いらしく、街中ではたくさんの日本人の方を見かけました。 ブロックチェーンの島・マルタ マルタの主要産業は電子・繊維・観光業の3本柱でしたが、近年ではブロックチェーン系産業がゲーミング・映画製作産業と共に急速な成長を遂げています。 同国は租税回避地(タックス・ヘイブン)としても有名で、関連規制も比較的緩いため、金融やブロックチェーン系の企業が集まりやすくなっています。 BinanceやOKEx、BitPayなどといった大手ブロックチェーン関連企業が揃って本拠地をマルタに移転したことを皮切りに、現在では多くの企業が後を追うように同国での法人設立を試みています。 ジョセフ・ムスカット首相率いる政府はブロックチェーン系イベントに積極的に参加したり、同技術を学ぶ学生に奨学金を給付するなどして「ブロックチェーンの島」をアピールしています。 [caption id="" align="aligncenter" width="522"] マルタブロックチェーンサミットで開幕のスピーチを行なったジョセフ・ムスカット首相[/caption] マルタブロックチェーンサミット ブロックチェーンの島・マルタでは、マルタブロックチェーンサミットと呼ばれる大型カンファレンスが11月1日・2日に開催されました。 Crypto Timesは参加者5000人以上の同カンファレンスにメディアパートナーとして潜入し、ブロックチェーンの島・マルタとヨーロッパの仮想通貨コミュニティの様子を見学してきました。 仮想通貨大国・マルタの大型カンファレンス「MALTA BLOCKCHAIN SUMMIT」が11月に開催 首相・金融大臣が自ら登壇・スピーチを行う [caption id="" align="aligncenter" width="635"] シルビオ・シェンブリ金融サービス大臣[/caption] 同サミットでは、初日にジョセフ・ムスカット首相、二日目にはシルビオ・シェンブリ金融サービス大臣が直々に登壇を行いました。 特に、シェンブリ金融大臣は、ブロックチェーンの島・マルタとしての世界的な立ち位置について触れ、今後の国内での規制整備について考えを発表しました。 「ブロックチェーン産業の中心地となれたことを誇りに思う」とした同氏は、「市場の誠実さ」「市場の安定性」「消費者保護」の三本柱を軸とした規制を展開していくとしました。 日本では、日本仮想通貨交換業協会、通称JVCEAと呼ばれる団体が認定協会に指定されており、この非政府団体の自主規制方針が国内におけるブロックチェーン技術の発展の鍵を握る傾向にあります。 対してマルタでは、政府のトップが自らカンファレンスに出向き、関連企業を海外から積極的に誘致しています。 国内企業を軸として法規制を固めていく日本と、比較的オープンな規制を魅力とした国外企業誘致に力を入れるマルタには、ブロックチェーン技術の発展戦略に大きな違いがあると感じました。 街全体によるブロックチェーン産業推進 [caption id="" align="aligncenter" width="525"] 会場付近の街並みに大きく掲示されたTRONの広告[/caption] マルタでは、ブロックチェーン技術の推進や関連企業の広告運動が他国に比べより大規模に行われていました。 カンファレンスが行われたサン・ジュリアンと呼ばれる街では、街中に大手プロジェクトの広告が大きく掲示されていました。 また、会場近くのレストランやバーと提携し、同業界に関わる人々が集まって食事を取れる場を提供する参加企業などもありました。 「ブロックチェーンの祖」や「AIロボット」も登壇 [caption id="" align="aligncenter" width="611"] ブロックチェーン技術の基礎を生み出したスコット・ストーネッタ氏[/caption] マルタブロックチェーンサミットでは、政府・EU議会や有名企業の重役が政治・法律・金融・ビジネス・技術といった様々なトピックについてプレゼンを行いました。 テクニカルなプレゼンテーションが大半でしたが、中にはブロックチェーン・フィンテック界の「大御所」がスピーチを行う場面もありました。 そんな大物スピーカーの一人が、1990年代にブロックチェーン技術の基礎を考案した「ブロックチェーンの祖」ことスコット・ストーネッタ氏です。 ストーネッタ氏の「ブロック・チェイン」に関する文献は、サトシ・ナカモトによるビットコインのホワイトペーパーで度々引用されています。 日本での勤務歴もある同氏は、ステージ上で流暢な日本語で「私はサトシ・ナカモトではありません」と公言しました。 また同カンファレンスでは、「人間以外の」スピーカーも現れ、来場客の注目を集めました。 世界で初めて市民権(サウジアラビア)を獲得したAIロボット・ソフィアは、ステージ上で彼女の能力を披露しました。 [caption id="" align="aligncenter" width="514"] 自身曰く、「サイボーグっぽさ」を出すために後頭部はわざと透明にしているとのこと。[/caption] ソフィアは、ブロックチェーン技術を活用したクラウドソースにアクセスすることで複雑な会話を理解したり、ヒトの表情を読み取ったりできるといいます。 そんな彼女は「世界中の分散型ネットワークを包括する分散型ネットワーク」の構築に憧れを抱いているといいます。 【MALTA BLOCKCHAIN SUMMIT 1日目】余談ですが、AIロボット・ソフィアは登壇早々開発者からの質問を無視し、3分間ほど硬直していました。インターネットの接続環境が悪く、ソフィアがクラウド上の情報にアクセスできなかったことが原因だそうです。 pic.twitter.com/bcS2sVdkny — CRYPTO TIMES@仮想通貨メディア (@CryptoTimes_mag) 2018年11月1日 まとめ ブロックチェーンの島・マルタは、国全体でブロックチェーン関連企業の誘致や技術の発展に力を入れている国であることが目に見えてわかりました。 首相・大臣らや、著名人(またはロボット)を招いた大型カンファレンスは、ただのビジネスの場ではなく、国の素晴らしさをアピールする良い機会となっていました。 こういった戦略は、もとから観光地・租税回避地として海外資産が行き来するマルタでこそできるものなのだろうとも思いました。
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2018/11/16【イベントレポート】BlockChainJam 2018 – Ticket Peer to Peerの概要
10月21日に東京は六本木で、ブロックチェーン業界の最新プロジェクトや次世代の技術などが紹介されるワンデイイベント「BlockChainJam 2018」が開催されました。 当日はCryptoTimesもメディアパートナーとしてイベントに参加させていただきました。 今回はそのイベントの中から、「Ethereumなどからの比較の観点からみたNEMの性質や、NEMの応用例について」と題されたトピックのひとつとして紹介された「Ticket Peer to Peer」の概要を紹介していこうと思います。 プレゼンター 木村優氏 (株式会社LCNEM代表) 今回、NEMの応用例として「Ticket Peer to Peer」の紹介をしてくださったのは、同サービスの開発を行う株式会社LCNEMの代表取締役である木村優氏です。 BlockChainJam 2018ウェブサイトより BlockChainJam 2018のプレゼンター紹介には以下のように紹介されています。 ”京都大学経済学部4年。2018年より株式会社LCNEM代表取締役。日本の資金決済法に則ったパブリックブロックチェーン上の法定通貨移転システムや、経済的インセンティブとブロックチェーンをうまく利用して転売防止機能をつけたチケットシステムを開発。” ここで言及されている同氏が開発したチケットシステムというのが「Ticket Peer to Peer」です。 関連リンク 木村優氏 Twitter 木村優氏 ブログ 株式会社LCNEM 株式会社LCNEM 公式Twitter Ticket Peer to Peerとは? Ticket Peer to Peerとは、NEMブロックチェーンを利用して転売対策ができるチケット管理システムです。 Ticket Peer to Peerの3つの特徴 ① 転売対策が容易になる ② あらゆるサイトに埋め込みできる ③ あらゆる支払い方法に対応する ここからはそれぞれの特徴について説明していきます。 ① 転売対策が容易になる Ticket Peer to Peerの最大の特徴は、ブロックチェーンと経済学的インセンティブを活用することでチケットの転売対策を容易にすることです。 昨今のライブやコンサート、スポーツの試合観戦などのチケットの転売問題は加速するばかりですが、Ticket Peer to Peerはそのような問題に対するソリューションを提案しています。 ブロックチェーンと経済学的インセンティブが転売対策につながる仕組みについてはこの記事の後半で説明しています。 ② あらゆるサイトに埋め込みできる Ticket Peer to Peerはあらゆるウェブサイトに埋め込みをすることができるチケット管理システムです。 従来のネットでのチケット購入の際には、ユーザーは一度イベントのウェブページから別のチケット購入ページへ遷移しなければなりませんでした。 Ticket Peer to Peerではウェブサイトへの埋め込みを可能にすることによって、チケット購入の際のページ遷移の煩わしさを払拭しています。 ③ あらゆる支払い方法に対応する Ticket Peer to Peerでは様々な支払い方法をカスタムすることができます。 従来のチケットシステムには無かったビットコインなどの仮想通貨や、LCNEMなどのステーブルコインによる支払いが可能です。 Ticket Peer to Peerの革新的な仕組み ここからはイベント内にて木村氏より紹介された革新的な仕組みについて解説していきます。 アドレスをチケットとみなす発想 Ticket Peer to Peerではブロックチェーン上のアドレス自体がチケットとみなされ、この発想が革新的であるといいます。 これまでもブロックチェーンを応用したチケットシステムは考えられてきたそうですが、そのどれもがチケットとなる仮想通貨の取引を記録するという非効率なものばかりであったそうです。 しかし、Ticket Peer to Peerではアドレスそのものをチケットとみなすことでより効率的なチケット管理と転売対策を可能にしました。 このアドレスそのものをチケットとみなす仕組みについては現在特許申請中だそうです。 QRコードを活用する Ticket Peer to Peerのアドレス(=チケット)はなんらかのトランザクションを受け取った時点で無効になる性質があります。 そして実際のイベントにおいては、チケットとなるブロックチェーン上のアドレスをQRコードとして参加者に送信します。 こうすることで、誰もがこのQRコードを読み取り、そのアドレス(=チケット)に対してブロックチェーン帖で取引を送信することが可能になります。 つまり、誰もがチケットを無効化することができ、さらに誰がいつ最初に無効化したかがパブリックチェーン上に改ざん不可能な状態で公開されます。 このようにブロックチェーンを最大限に応用し、透明性のある転売対策が可能になります。 3つの経済学的インセンティブ Ticket Peer to Peerの転売対策の仕組みには3つの経済学的インセンティブが応用されています。 このあと解説する3つのインセンティブによって、さらに ここからは転売対策につながるそれぞれのインセンティブについて詳しく見ていきます。 経済学的インセンティブ1 まずチケットを転売する人は、本当にそのチケットを持っていることを証明する必要があります。 転売者からチケットを購入したい二次購入者としても、その転売者が本当にチケットを持っているのか確認できなければ、購入はしません。 しかし、Ticket Peer to Peerの場合、もしチケット(=アドレスのQRコード)を公開してしまうと誰もが無効化できてしまうので、転売者はチケットそのものの存在を隠したまま転売するインセンティブが働きます。 そうなると、二次購入者側から見ると本当にチケットを持っているのか確認ができないので、怪しさとリスクが募るばかりです。 結果として、転売者から二次購入をしないというインセンティブが働きます。 経済学的インセンティブ2 次は、もし仮に転売者からチケットを二次購入したとします。 チケットは誰でも無効化できることは説明しましたが、Ticket Peer to Peerではチケットの無効化(通報)を行うと追加報酬が発生する仕組みがあります。 なので、ここでは転売後に転売者自身が転売したチケットの無効化(通報)をするインセンティブが存在します。 これは二次購入者からすると、転売者からチケットを買ったのに結局ただの紙切れになってしまうリスクが存在します。 なのでこちらも結果として、転売者から二次購入をしないインセンティブが働きます。 経済学的インセンティブ3 Ticket Peer to Peerでは転売の通報を行うと報酬を得ることができます。 イベント運営側のパトロールに加え、正義感の強いファンによる通報が行われることが考えられます。 よって、ここでは転売を通報するインセンティブが働きます。 サイトへの埋め込みができる Ticket Peer to Peerは従来のシステムとは違い、あらゆるサイトへの埋め込みが可能です。 埋め込みの際のデザインや機能などもフルカスタマイズが可能で、Ticket Peer to Peerの埋め込みに必要なGoogle Apps Scriptが公開されており、詳細はこちらで確認できます。 この仕組みの利点は、チケットの購入から決済までがひとつのサイトで完結するということです。 従来のチケット決済では別のページへの遷移が必要であり、この一手間がユーザー行動に影響を及ぼし、イベント主催側とユーザー双方にとって良くない仕組みであると考えられています。 Ticket Peer to Peerではウェブサイトへの埋め込みを可能にすることによって、チケット購入の際の煩わしさを払拭しています。 従来の転売防止システムとの比較 ここからは従来の転売防止システムとの比較を見ていきましょう。 以下に木村氏が用意されていた比較表の内容をまとめて書き起こしました。 プラットフォーム 購入時 改札時 従来の転売防止システム 単一のプラットフォームに大きく依存 身分証明データと紐付け 身分証明データと照合 Ticket Peer to Peer ブロックチェーンを使った仕組みにより決済等を分離でき、プラットフォーム自体への依存が低い 身分証明データとの紐付けは必要なし QRコードを読み取るだけ それではひとつひとつ見ていきます。 プラットフォーム 従来の転売防止システムでは決済時に別サイトへの遷移などが必要でプラットフォームへの依存が大きかったようです。 Ticket Peer to Peerではプラットフォームへの依存が低く、決済等を分離して行うことができます。 購入時 従来のシステムではユーザーは購入時に身分証明データとの紐付けが必須でしたが、Ticket Peer to Peerではブロックチェーンを活用することで身分証明データとの紐付けは必要なくなります。 改札時 これまではチケットに紐付けされた身分証明データとの照合を行う必要がありましたが、こちらもTicket Peer to PeerではQRコードを読み取るだけで完了します。 BlockChainJam 2018で実際に使用されていました 今回紹介されたTicket Peer to Peerですが、実はBlockChainJam 2018で実際に使用されていました! 木村氏のブログによると、もともとはBlockChainJam 2018のために作ったシステムだったらしいのですが、一般化することに決めたそうです。 奇抜な発想でシステム作り上げました。 ステーブルコインとも絡ませていき、ブロックチェーンのマスアダプションを狙っていきます! https://t.co/SN4SRNHM0E — 木村優/Yu Kimura@LCNEM (@YuKimura45z) September 20, 2018 今後様々な機会に目にすることがあるかもしれませんね! まとめ 今回はBlockChainJam 2018にて紹介されたTicket Peer to Peerという転売防止チケット管理システムについてでした。 この革新的なシステムが広まれば、チケットの転売問題だけでなく、あらゆる二次購入や偽物被害などの問題へのソリューションとなるように思えます。 開発を手がけるLCNEM代表の木村氏も現役京大生と若い才能を感じさせ、これからのTicket Peer to Peerのさらなる躍進に期待が高まります! また、LCNEM代表木村優氏のブログではより詳しい解説記事を書かれていますので、気になる方はこちらからどうぞ↓ ちけっとピアツーピアの解説 - スペックの持ち腐れ
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2018/11/01【イベントレポート】Blockchain-Nagoya #1 ブロックチェーン✕コミュニティ
10月26日、名古屋の株式会社スーパーアプリオフィスにて開催されたBlockchain-Nagoya ブロックチェーンとコミュニティというイベントに参加してきました! 本記事は、当イベントで登壇された株式会社Asobica CEOの今田氏と株式会社Gaudiy CEOの石川氏の講演をレポートとしてまとめたものになります。 Blockchain-Nagoyaと今回のイベントについて Blockchain-Nagoyaとは、名古屋を拠点として活動しているブロックチェーンに特化した団体で、東京、大阪、福岡などに集中しているブロックチェーン関連のイベントが名古屋でも行われやすいような環境作りを目的としています。 今回のイベントは、株式会社Asobica CEOの今田氏と株式会社Gaudiy CEOの石川氏をゲストに招き、ブロックチェーン×コミュニティをテーマにした話でした。 Blockchain-Nagoyaはこちら 株式会社Asobica CEOの今田氏の講演 プレゼンテーションは、コミュニティ×ブロックチェーンで世の中がどのように変わっていくのか、そしてAsobicaの提供するfeverというサービスについての話でした。 コミュニティとの出会いのお話 大学在学時に主催していた音楽フェスの事業でたくさんの赤字を作ってしまったことから、「持続的にビジネスを続けるには?」を考えたところ、コミュニティたどり着き、コミュニティについて考えたところ、 貢献した人に対して正当な報酬が支払われていないという不公平さ 1対N型の組織構造によりオーナーに依存してしまう持続性、発展性のなさ という2つの課題があることに気づいたようです。 また、これらの課題に対してブロックチェーンは最適なアプローチであり、ブロックチェーンとコミュニティが融合することで、これまで価値がついていなかったものやことに対して、第3者の承認なしで価値づけが行えると考えました。 あらゆるものがクローズド化され、コミュニティが増えていくお話 今田氏が考えるこれからの世の中は、世界規模でコミュニティが無数に増え、コミュニティの力が大きくなっていくというものでした。 若者のfacebook離れに代表されるように、現代はあらゆるものがクローズド化されていっています。若い世代はfacebookのようなオープンなコミュニケーションツールから、LINEグループやInstagram等のクローズド化されたツール内でのコミュニケーションに変わっていることからも、クローズド化の流れにあると言えます。 今田氏によれば、これからはコミュニケーションだけでなく、価値の交換もクローズド化されていくとのことです。インターネットの出現によりあらゆるサービスがコモディティ化した世の中では、サービスの価値は人で決まります。 そのため、身近な人や協力している人からサービスを受け、そのような人たちにサービスを提供する、村社会のような世の中に回帰するだろうと考えているようです。 feverのお話 feverの目的は、熱量を価値化し、好きなことで生きていく人を増やすことです。 現代のような資本主義社会では、評価軸がとても少なく、仕方なく嫌なことを続けながら生活している人も多くいます。それに対して、経済圏という形で評価軸を無数に増やして行くことにより、今までお金が回っていなかった場所でお金を回し、好きなことで生きていく人を増やすということです。 コミュニティ単位でコインを発行し、ユーザー同士の送り合いやコミュニティ貢献でコインを増やし、それを様々な特典と交換できるプラットフォームを提供することで、上であげた今までのコミュニテイが抱えていた問題を解決できます。 株式会社Gaudiy CEOの石川氏の講演 石川氏からは、まだローンチ前のプロダクトであるGaudiyについての未公開情報たっぷりの話でした。 Dappsはコミュニティを強固にできる話 「プロダクトを作る」ということに対して、コミュニティはすごく適しているため、大手企業や有名スタートアップもfacebookグループやslack等でユーザー間コミュニケーションをしやすくしています。 また、Dappsはストックオプションを渡しているような仕組みなので、今まで消費者でしかなかった人がプロダクトの参加者になり、結果コミュニティを強固なものにすることができるとのことです。ALISやCryptoKittiesが良い例です。 ただ、現状は、 コミュニティに特化したコミュニケーションツールがなく、みんな他プラットフォームを使っている Dappsを作ろうとしても、技術的に難しい という課題があります。 だからこそ、コミュニティに特化しながら、Dappsを使ったユーザーとの共創関係を簡単に作れるプラットフォームが必要だと考えているようです。 Gaudiyのお話 Gaudiyは、プロダクトやコミュニティ独自のコインを発行し、貢献度に応じてトークンが貰えたり、「貢献値」が蓄積・価値化されます。そしてトークン量や貢献値に応じて、そのプロダクトやコミュニティから優待がもらえるようです。 このように、インセンティブモデルがありながらコミュニティに特化したチャットフォームであり、また、ユーザーが当事者意識を持ちやすいような様々な仕組みも実装される予定のようです。 sota まだ未公開の情報が多いため、書ける部分のみまとめました。 まとめ 以上、10月26日に開催された「Blockcahin-Nagoya ブロックチェーンとコミュニティ」のイベントレポートでした! 現状、名古屋でブロックチェーンのイベントが開催されることはとても珍しいことですが、これから名古屋のブロックチェーンコミュニティが発展することを期待しています! Blockchain-Nagoyaはこちら
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2018/10/30【イベントレポート】BlockChainJam 2018 『Ethereumの最前線』
10月21日(日曜日)に東京・六本木で、国内外のプロジェクトや技術の最新のトレンドが紹介されるイベントである「BlockChainJam 2018」が開催されました。 イベントにはほぼ満席となるオーディエンスも集まり、ブロックチェーン周りの最新の情報やトレンドに対して、興味深々な様子でした。 CryptoTimesでもこのイベントにメディアパートナーとして参加しましたので、本記事ではラインナップの一つである『Ethereumの最前線』についてを紹介していこうと思います。 プレゼンター 落合渉悟氏 Ethereumの最新のトレンド追いかける中で、Cryptoeconomics LabのCTOとして活動を行っています。 イベント公式サイトには以下のような紹介がされています。 Ethereum、Plasma、zk-SNARKsを専門とするブロックチェーンエンジニア。現在のEthereum開発の基盤となっているCryptoeconomicsに不可欠なStakingやFormal Verificationに関するOSS活動を中心にアジア地域の暗号通貨プロジェクトと協業を多数行っている。マイブームは、RustとIsabelle/HOL。 以下は関連リンクになります。 株式会社Cryptoeconomics Lab Twitter Ethereumの最前線 今回の落合氏によるプレゼンテーションは、技術的な部分に寄せた内容となっていました。 そのため、このプレゼンテーションは質疑応答の形式で行われ、事前に3つの質問が用意されそれをかみ砕きながら複雑な最新技術の概要がわかりやすく紹介されていきました。 様々なスケーリングソリューションが出てくるが、我々はSolidityだけをやっていれば良いのだろうか? 結論から言うとNOであるようです。 落合氏は、現在世界中で開発が進められている Sharding(シャーディング) Plasma(プラズマ) General-State-Channel(ステートチャネル) の3つのスケーリングソリューションについてSolidityを利用した場合のドローバックと周辺の技術仕様の解説を行いました。 プレゼンの内容を確認する前にこれらの技術の概要だけを簡単に把握しておきましょう(内容がかなりテクニカルになっているため)。 #Sharding(シャーディング) Sharding(シャーディング)は、ノードやトランザクションを小さなグループに分けることで並列的に検証作業を行うことが可能になりスケーラビリティ問題の解決策の一つとして注目されています。 #Plasma(プラズマ) Plasma(プラズマ)は、サイドチェーンを利用したソリューションで、スマートコントラクトを利用してメインチェーンとのリレーを行うサイドチェーンを階層的に創り上げることでスケーラビリティ問題の解決を目指します。 #General-State-Channel(ステートチャネル) Raiden(ライデン)やLightning Network(ライトニングネットワーク)などがステートチャネルを利用した技術として有名ですが、このソリューションではトランザクションをオフチェーンで行うことでメインチェーンに対する負担を軽減するようなアプローチがとられています。 一方で、Solidityだけを使ってこれらの実装を目指すのはスライドにもある通り、いくつかのドローバックを伴うようです。 Sharding(シャーディング)とSolidity 現在、Ethereumでは昨日のアップグレードが延期されたCapserとSharding周りの技術を盛り込んだものを融合したShasper(Ethereum2.0)の開発が進められています。 落合氏は先日、同じくEthereumのスケーラビリティ問題に関する研究を行っているPrysmatic Labの森さんと議論を行ったようですが、その中でSolidityを利用してコントラクトを呼び出す際に最大性能が引き出せないことがあるようです。 ちなみに、紹介されている『Hotel&Train Problem』というものですが、これは電車とホテルの予約をする際にこの予約の結果を成功もしくは失敗で一致させようとする際、電車とホテルの予約が別のシャードに存在した場合(Shardをまたいだ一括TXs)、Atomicityが犠牲となってしまうという問題です。 Plasma(プラズマ)とセキュリティ 最初のPlasmaのコンセプトとして紹介されたのは『EVM Plasma』と呼ばれるものです。 スライドにもある通り、EVMを使うことのできるPlasmaはExitのコストが高くなるためParity BridgeなどのPoAを利用して実装するような形となってしまいます。 しかし、この場合EVMと互換性のあるチェーンとメインチェーン間でお金を移動できるという話になってしまうので、Ethereumの分散性やセキュリティを生かし切れていないことになると言えます。 続いて紹介されたのが、『PlasmaLeap』と呼ばれるコンセプトです。 Dogethereumなどでも有名なTruebitですが、このPlasmaLeapは先ほどのEVM PlasmaでExitに高額なコストがかかるという問題へのソリューションの参考とされているようです。 落合氏の説明によれば、Truebitを参考にしたこの仕組みでは、「全ノードが検証を行う代わりに一人に対して検証をさせる」という仕組みを取っています。 確かにExit自体は安く行うことができるようですが、このソリューションの場合新たにセカンドレイヤーに対する攻撃インセンティブを生み出す可能性があるため、Ethereumのセキュリティを完全に引き継いでいるとはいえず、新たにセカンドレイヤーにCryptoeconomicsが生まれるという状況になります。 3つめのPlasmaとして紹介されたのが『Plasma snapp』と呼ばれるものです。 説明によれば、zk-SNARKsのSNARK Proofを利用することで、Plasmaの子チェーンのノードにおける不正が行われていないかどうかを確認することができるようです。 Plasma CashはトークンのIDを利用したものになりますが、EVM PlasmaやPlasma Leapなどと違いEthereumのメインチェーンのセキュリティを完全に引きついだ設計となっています。 しかし、マルチシグやDEXのような処理はSolidity一つでは書けるロジックではないようです。 Plasma CashにDEXなどのDAppを埋め込もうとすると先ほどのスライドでもあった通り、”PlasmaのResearcherが必要になり大がかりなものになってしまう”とありましたが、落合氏によれば、Plasma CashにDAppを埋め込んだものを生成するPlasma Generatorと呼ばれるフレームワークの可能性が注目されているようです。 このフレームワークと相性のいい言語としてBitcoinのivy langと呼ばれる言語と相性がいいそうで、Plasma Solidityとして注目されているとのことです。 EthereumのScalingがもう少しかかりそうなので、EOSや自前オフチェーンに逃げちゃって良いのだろうか? Ethereum以外にもEOS、ZIL、TEZ、NEM、NEOなどがありますが、これらはそれぞれ中央集権性や表現力、コントラクトのイディオムの整い方が大きく異なるので使い道も異なるようです。 結論から言うとサイファーパンク(Cypherpunk)でないのならばEthereum以外を選んでしまって構わないということに加えて、オープンソースのデータ蓄積という点を考えるとパブリックチェーンを選んでいくべきということでした。 以上のテーブルではそれぞれのチェーンの性能比較が行われていますが、落合氏はいくつかの例を使ってどのようなチェーンを利用すべきかという点についても言及していきます。 法人案件で、自社でお客さんのお金を管理したくないとか、パブリックチェーンを使いたいという要望があったら? => EOS・自前のオフチェーン トラストレスで簡単なゲームや金融系の仕組みを作りたくて、表現できるものは少し少なくてもよく、メインネットローンチまで待てる場合 => ZIL チューリング完全なスマコン言語、かつハードフォークが少なく投票方式すら変えられる長期視点なもの。Big blockでスケーリングする。 => TEZ まとめ タイトルの通りEthereumの最前線で活躍する落合氏によるプレゼンテーションをまとめました。 落合氏は、将来に関して過渡的に様々なチェーンに開発者が分散していくことを予想しており、真に分散性を必要とするのかどうかという問いがスケーリング問題によって暴かれる年になるだろうと予測しています。 また、スマートコントラクトの開発自体もSolidityだけで完結するものではなくなってきているとのことです。 技術的にレベルが高く追いつくのも精一杯という感じでしたが、Ethereumに関してとても面白い話が聞けました。 ありがとうございました!