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2024/06/29NFT ART TOKYO 4:未来を形作る国内最大級のNFTイベント【レポート】
2023年6月28日、渋谷TRUNKホテルで開催された「NFT ART TOKYO 4」(以下、NAT4)。 国内最大級のNFTイベントとして知られるNATは、今回で4回目の開催を迎え、会場規模をさらに拡大。NFT市場の熱気と未来への期待を感じさせる一方、冷静な視点も重要となる「今」を象徴するイベントとなった。 進化を続けるプロジェクトと広がるNFTの可能性 イベント会場1階には、数多くのプロジェクトブースが軒を連ね、来場者は熱心に説明に聞き入っていた。注目すべきは、単なるプロフィール画像(PFP)の枠を超え、独自のコンセプトと仕組みを備えたNFTプロジェクトが増えていることだ。 また、Ethereumだけでなく、Bitcoin、Base、Seiといった多様なブロックチェーンを活用したプロジェクトも登場し、NFT分野の広がりを感じさせた。 有識者セッションが示す、NFT市場の課題と未来への展望 会場では、NFT業界の有識者によるセッションも行われた。仮想通貨のETF承認/申請など、伝統金融との融合が進む中で、NFT市場とどのように融合させていくかが今後の課題として挙げられた。 トークセッションの中では「日本のユーザーはクリプトに関する知識が豊富」という意見も。海外から見た日本市場についての最新の見解について示された。 活気あふれるコミュニティブース 会場2階には、個性豊かなコミュニティブースエリアが展開されていた。 クリプト分野では、コミュニティへの参加による情報収集が欠かせない。NAT4では、初心者のオンボーティング、中上級者がさらに学びを深めれる場となる国内のWeb3コミュニティへの導線が用意されていた。 「Daoko」、「呂布カルマ」も参戦。音楽ライブが彩るエンタメ空間 NAT4は、エンターテイメントの側面も充実していた。1階エントランス付近では、アーティストによるライブパフォーマンスが繰り広げられ、会場の熱気をさらに高めた。 Daoko氏、呂布カルマ氏など豪華アーティストのライブは、アートと密接に関係するNFTイベントに華を添えていた。 NFTは技術革新の手段、真価を発揮する時代に NFT市場は、一時の熱狂を超え、冷静な視点での評価が進んでいる。著名プロジェクトにおいても、フロア価格は調整期を迎えている。しかし、NAT4の熱気は、NFTに対する根強い期待と、新たなユースケース開拓への強い意欲を示していた。 NFTは、バズワードとして用いられることが多いが、本来は技術的なソリューションである。一時的な熱狂が落ち着いた今こそ、NFT本来の価値が見直され、真の可能性が追求されるだろう。NAT4は、NFTの可能性をより強く体感できるイベントとなっていた。 [no_toc]
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2024/06/19カシオ羽村技術センター見学ツアー|VIRTUAL G-SHOCKの裏側とは【レポート】
創立から65年以上経過し、日本人で知らない人はいない世界的企業のカシオ計算機。 同社は昨年より「VIRTUAL G-SHOCK」と呼ばれる主力製品のG-SHOCKシリーズを元にしたNFT活用のWeb3プロジェクトを開始している。 Starting today, September 5th, G-SHOCK's new challenge "VIRTUAL G-SHOCK (VG)" begins! VIRTUAL G-SHOCK will provide new experiences through community development in the virtual world, including NFTs and the metaverse⚡️ Check out the VIRTUAL G-SHOCK special website for more… pic.twitter.com/e9yzNi4Twd — VIRTUAL G-SHOCK (@VIRTUALGSHOCK) September 5, 2023 今回はVIRTUAL G-SHOCK NFTのホルダーを対象に招待された羽村技術センターの見学ツアーの様子をお届けする。 カシオのVIRTUAL G-SHOCKとは? 「VIRTUAL G-SHOCK」はカシオ計算機株式会社が昨年より開始した同社の世界的な人気時計シリーズ「G-SHOCK」を主軸に、NFTなどの最先端技術を活用しながら新しい形のコミュニティ形成を行っていくプロジェクト。 プロジェクトは特定コミュニティや共創企画への参加権が付随するPolygon上のNFT「G-SHOCK CREATOR PASS(GSCP)」を皮切りに開始。昨年末には、NFTとしてデジタル上で耐衝撃構造が表現された新たなG-SHOCK「VGA-001」「VGA-002」が0.1 ETHで発売されるなどしてプロジェクトの活動が進められている。 VIRTUAL G-SHOCK NFTは12/15に販売開始! これからの未来もずっとタフであり続けるために🚀#VIRTUALGSHOCK はバーチャル上の全てのチャレンジャーの相棒です🌐 詳しくはこちら!⏩https://t.co/BMVKTFpIkd#VIRTUALTOUGHNESS pic.twitter.com/N8k8livooR — VIRTUAL G-SHOCK(JP) (@VIRTUALGSHOCKJP) December 13, 2023 VIRTUAL G-SHOCKでは、Discordにて様々な対話が行われており、G-SHOCK CREATOR PASSのカラーを自身でデザインするイベントがコミュニティ内で実施されるなど、プロジェクト側と参加ユーザーの双方的なコミュニケーションが行われている。 [caption id="attachment_115763" align="aligncenter" width="677"] VIRTUAL G-SHOCKコミュニティ内の様子。G-SHOCK CREATOR PASSのカラーデザインコンテストが行われた。[/caption] 羽村技術センター見学ツアーに参加 VIRTUAL G-SHOCK NFTのユーティリティの中にカシオの羽村技術センターの見学ツアーが含まれており、NFTホルダーはカシオの製品開発を支える裏側やVIRTUAL G-SHOCKのデザインについて、最前線で活躍する社員の説明や実際の実験室を見ながら学ぶことができる。 Crypto Timesのメディアチームは今回、同見学ツアーに参加したのでその様子をお届けする。 ツアーの流れ VIRTUAL G-SHOCKについての説明 カシオ計算機の歴史などについての説明 羽村技術センターの実験室の紹介 VIRTUAL G-SHOCKのデザインの説明 参加者とカシオ社員のディスカッション 東京都羽村市にある羽村技術センターに集合した10名ほどの参加者は同センター内の一室に集められた。 会場には様々なG-SHOCK製品やG-SHOCKの開発過程の模型などが展示されていた他、10弱のカシオの社員が同席しており、参加者全員がいつでも気軽に質問できる状況が用意されていた。 [caption id="attachment_115434" align="aligncenter" width="895"] 会場の様子[/caption] DoodlesやAstarとのコラボレーション事例も ツアーの最初にVIRTUAL G-SHOCKのコミュニティ運営などを担当する佐藤 一輝氏によるプロジェクトの説明が行われた。 VIRTUAL G-SHOCKの概要のほか、コミュニティ内でデザインコンテストが行なわれた事例などが佐藤氏によって紹介されるなか、人気NFTプロジェクト「Doodles」や日本発プロジェクトであるAstar Network(アスターネットワーク)との取り組みについても説明があった。 コンセプトは「Absolute Toughness」 続いて、カシオ計算機やG-SHOCKの歴史について、商品企画のエキスパートである井崎 達也氏によるセッションが行われた。 1957年(昭和32年)に樫尾(かしお)忠雄氏、樫尾 俊雄氏、樫尾 和雄氏、樫尾幸雄氏の四兄弟によって設立されたカシオ計算機株式会社は、これまで小型計算機や電子楽器、時計など様々な製品を開発。そんな中で、1981年に「Absolute Toughness」をコンセプトにどんな衝撃や水圧にも耐えられるタフネスな時計の開発がスタートしたという。伊部 菊雄氏を中心に開発着手から200以上の試作を繰り返し約2年の歳月を経て、初代G-SHOCKが誕生したと井崎氏は説明する。 その後、G-SHOCKはあらゆるシーンで使える時計として様々なデザインと共に販売されてきたという。 また、G-SHOCKで搭載されるELバックライトと呼ばれる技術により、文字盤の液晶に大きくはっきりとアイコンを映し出せる仕様は他ブランドから評判がよく、様々なコラボレーションが提案され若者のカルチャーシーンでメッセージを発信するブランドとなったと井崎氏は明かした。 「人間の汗」に時計を浸す 一連の説明が終わった後、今回のツアーのメインイベントとも言える実際の実験室の見学が行われた。 紹介されたのは開発段階の製品・部品の評価を行う実験室の1つで、水中や泥水の中に時計を沈め、正常にボタンが作動するかや、ハンマーや落下の衝撃によって時計に影響が出ないかなどあらゆる方面から実験がここで行われる。 [caption id="attachment_115442" align="aligncenter" width="826"] 水中でボタンが正常に作動するかの実験(左)とハンマーでG-SHOCKに衝撃を与える実験(右)[/caption] ツアーではより日常シーンでの使用に関する実験も紹介された。中でも参加者の注目を特に集めたのが「人工的に作った人間の汗に時計を浸す」というもの。実際に実験で使われる液体が紹介され、ツアー参加者はその匂いを嗅ぎ様々なリアクションをとっていた。 [caption id="attachment_115443" align="aligncenter" width="402"] 人工汗浸漬の実験の紹介パネル[/caption] 独自の審査基準と共にユーザー目線に立ちながらG-SHOCKの最大のコンセプトである「Absolute Toughness」を実現するため、羽村技術センターには様々な実験設備が備えられていた。 「バーチャル空間でも耐衝撃構造にこだわりたい」 一連の実験室見学が終了し、再度説明会場に戻ってきた参加者は、次にVIRTUAL G-SHOCKのNFTのデザインについて赤城 貴康氏より紹介を受けた。 現実世界で世界トップクラスの技術を持つカシオがバーチャル空間で時計をデザインする際、何をよりどころにデザインするべきか試行錯誤された結果、G-SHOCKのコアテクノロジーである「耐衝撃構造」をデザインのコンセプトとしてフォーカスすることになったと赤城氏は明かす。 「VGA-001」の時計デザインでは、バルーンをモチーフに耐衝撃構造を表現するために、細かいパーツで構成されるG-SHOCKの特徴をデジタル空間ならではのポップでカラフルなデザインが施されているという。また、「VGA-002」では、リボンのようなスプリングをモチーフに弾力性のあるデザインを設計。実物が存在しないこれらの時計では、イメージ動画も重要な要素となるため、音楽もコンセプトに合うものを作成するなどのこだわりを詰め込んだという。 VIRTUAL G-SHOCK NFTは12/15に販売開始! これからの未来もずっとタフであり続けるために🚀#VIRTUALGSHOCK はバーチャル上の全てのチャレンジャーの相棒です🌐 詳しくはこちら!⏩https://t.co/BMVKTFpIkd#VIRTUALTOUGHNESS pic.twitter.com/N8k8livooR — VIRTUAL G-SHOCK(JP) (@VIRTUALGSHOCKJP) December 13, 2023 「フィジカル製品を出して欲しい」 最後にツアー参加者とカシオの社員とのディスカッションが行われた。 各々の参加者から意見が出るなか、最も多かったのは「NFTを現実世界の時計として販売して欲しい」といった内容だ。 現物の時計を購入、身につけてきた経験を持っているG-SHOCKのファンの多くは、デジタルの世界だけに限定される時計ではなくフィジカルでの製品を望んでいるという。 前述の「VGA-001」「VGA-002」は現実世界で実現することは難しく、これらが実際に可能となると取り組みの幅は大きく広がると社員は説明していた。また、フィジカル製品を前提としてNFTをデザインするアイディアも参加者から挙がっていた。 海外のツアー参加者からは「G-SHOCKの人気はあるがVIRTUAL G-SHOCKの存在自体がそもそも知られていない」との指摘もなされた。 ツアー参加者側、カシオ側共にG-SHOCKへの思い入れが強いこともあってか、本イベントによるディスカッションでは、忌憚ない有用な意見が多くみられた。 ツアーに参加してみて 今回、見学ツアーに参加してみて、世界トップクラスの技術や長い歴史を持つカシオがどこまでWeb3の文化や構造を理解、共感を得られるかがVIRTUAL G-SHOCKプロジェクトの今後に大きく関わってくると感じた。 カシオの最新の決算報告書を見ると、G-SHOCKのファンはアジアやアセアンエリアなどに多く存在し、今後はインドでの展開強化も行なっていくとしている。英語を日常的に使用したり、自国通貨が不安定な国はクリプトやWeb3と相性が良く、今後これらの国にどれだけアプローチできるかが重要になると感じた。 PFPとしてのユーティリティをメインに持つNFTの価値が大きく下落しているなか、強固なコミュニティの作成/維持はNFTを活用したWeb3プロジェクトには必要不可欠である。長年顧客目線で最高品質の製品を世に送り出してきた、世界トップ企業のカシオのVIRTUAL G-SHOCKプロジェクトに今後も注目が集まる。
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2024/03/19株式会社gumi主催「web3 Futures Meetup」イベントレポート
株式会社gumiによるweb3ミートアップ「web3 Futures Meetup」を、boarding bridge(bb)およびCryptoTimesのサポートにより開催しました。 gumiが主導する次世代の推し活プラットフォーム「OSHI3」に焦点を当てたこのイベントでは、今後のエンターテイメントの展望を話し合うパネルセッションや、ゲスト同士で親交を深めるディナーパーティーが行われました。 本記事はイベントの概要と当日の様子をまとめたレポートです。 イベント概要 「web3 Futures Meetup」 日時:3月15日(金)Start 18:00 – Close 21:30 会場:CryptoLounge GOX(東新宿駅徒歩3分) 規模:60名(完全招待制) イベント内容 オープン 本イベントは事前に登録されたゲストだけが参加可能な半クローズドイベントとなっており、約60名の業界関係者ならびにインフルエンサーが参加しました。 会場は東新宿のweb3向けのイベントスペース「CryptoLoungeGOX」で、OSHI3のイメージカラーである赤を基調に華やかな空間が演出されました。 18時の開場とともに多くのゲストが来場し、受付では今回のメインプロジェクトであるOSHI3のロゴクッキーとノベルティが配布されました。 OSHI3の紹介 トークセッションの前半では、gumiが推進する新しいエンターテイメントプラットフォーム「OSHI3」の説明が行われました。 これまでは、現実世界での “推し活” が主流でしたが、OSHI3はブロックチェーン技術とコンテンツプラットフォームを掛け合わせてデジタル領域での“推し活” をアップデートすることを目的としています。 「作る」「選ぶ」「集める」「広げる」新たな “推し活” 体験を国内外に届けていくことを掲げており、すでに「ファンキルオルタナ」や「ブレイブフロンティアバーサス」などのコンテンツがOSHI3から公開されています。 パネルセッション 後半は「Web3エンタメの展望と課題」をテーマに、パネルセッションが行われました。以下に登壇者と内容の一部を紹介します。 登壇者(敬称略) ・Jison | 株式会社gumi Head of Blockchain Business ・アサカ | OSHI3 統括責任者 ・ゆりてぃ | web3 MC Web3ゲーム業界が伸びるためにどのような課題があると考えていますか? 寺村 今回ファンキルオルタナをリリースしてみての感触として、まずは多くのweb2ユーザーにも触れてもらえる機会を作ることができました。 また、web2ゲームと遜色ない売上水準が作れることを示すことができ、大きな転換点になると考えています。 安積 2024年は、去年から仕込んできた企業が続々と大型タイトルをリリースし、Web3ゲーム業界は大きく盛り上がるでしょう。 その中でスマホゲームにおけるパズドラ、モンストのような幾つかのキラーコンテンツが出てくれば、世の中の見方も大きく変わり、Web3ゲームへの追い風になると思います。 これを更に拡大するための課題としては、ゲーム外の取引所を使用する障壁を減らし、ゲームの延長線上でWeb3体験が出来るようになることが理想です。そこでファンキルオルタナでは、ゲーム内で引いたキャラに課金すると報酬を得ることができる仕組を採用しています。 今後Web2ユーザーを巻き込んで広く普及していく為に必要なことは何だと思いますか? 寺村 Web3であることを意識しなくても良いインフラの整備か、Web3の壁を超えるほどのキラーコンテンツの存在だと思います。政府や大手新聞社・テレビ局等のメディアを通じた普及活動も必要です。 安積 Web3サービスを作る場合、「なぜWeb3なのか?ブロックチェーンを使う意味はあるか」というところを確りと考えないと広がりません。しかしエンタメ分野では、ファンの熱量が高ければそうしたWeb3の必要性を超えてくる可能性はあると思っています。 例えば「あのアイドルのチケットが買えるから」「あのアニメの限定グッズが買えるから」という理由から、それまでWeb3に触れたことのない人が参入するケースは大いにあり得えます。これこそエンタメのポテンシャルです。 大手IPやアイドルなどがWeb3的な試みを始めればパラダイムシフトは起こると考えており、そのためには今後のロビイングも必要です。 ディナーパーティー パネルセッションの後には、ゲスト同士で交流を深めて今後の機会を模索するためにネットワーキングの時間が設けられ、近江牛をメインにしたディナーが振る舞われました。 提供:wagyu international まとめ 当初は金融分野での利用を目的として発展してきたブロックチェーンですが、今日ではゲームやソーシャルといったさまざまな分野で活用されるようになりつつあります。一方、日本はアニメやアイドルといった豊富なコンテンツを抱えており、Web2を牽引してきた様々な企業がweb3への参入を試みています。 gumiが推進するOSHI3はそのパイオニアとして、エンタメ業界にパラダイムシフトをもたらすことが期待されます。今後OSHI3からリリースされるコンテンツやアップデートについては、公式ウェブサイトならびにソーシャルメディアをご確認ください。 関連リンク OSHI3 gumiが主体となって推進するリリースする「OSHI3」では、ブロックチェーン技術とコンテンツプラットフォームの掛け合わせでデジタル領域での“推し活” をアップデート。「作る」「選ぶ」「集める」「広げる」新たな “推し活” 体験を国内外に届ける。 Website | X(Twitter) | Discord Support CRYPTO TIMES Website | X (Twitter) | YouTube boarding bridge X (Twitter) | Discord | Link3 | Articles
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2024/03/113月3日に福岡市で開催された「Fukuoka Web3 Pitch」の潜入レポート
3月3日14時から福岡市エンジニアカフェ(https://engineercafe.jp/ja)にて、「Fukuoka Web3 Pitch」が行われました。 このイベントは福岡市からの委託を受けたFracton Ventures株式会社(https://fracton.ventures/)によって開催され、「福岡拠点でWeb3領域での起業を考えている方や福岡拠点のWeb3スタートアップ」を対象として行われました。 この記事は、筆者が当イベントに参加した際のレポとなります。セッションの要約と実際の対談を織り交ぜながら、紹介していきます。(対談形式で引用している登壇者の文言や言い回しに関しては、必ずしも厳密に文字起こししたものではないことをあらかじめご承知おき下さい) ※記事執筆にあたって、Fracton Venturesよりイベント会場の写真提供を頂きました。快く提供をして下さったこと、この場を借りてお礼申し上げます。 ※登壇者及び関係者に対する敬称は、対談形式の部分では付けず、それ以外では氏をつけさせて頂いています。 開会の挨拶 ビニール氏による挨拶 [caption id="attachment_109207" align="aligncenter" width="1439"] 提供:Fracton Ventures[/caption] まず最初に、Fracton Ventures株式会社のビニール氏より開会の挨拶がされました。 今回のイベントの全体構成及び「福岡市からWeb3グローバル人材の創出」といった目的や、スポンサー「telos」のJohn Lilic氏からのビデオメッセージが流れました。その他、パートナーの方々の紹介もされました。 セッション1:先輩起業家から学ぶ -Global Web3 Projectsの経営- [caption id="attachment_109208" align="aligncenter" width="1439"] (左から)Moriki Kamio氏、キクチ・マサカズ氏、亀井聡彦氏 提供:Fracton Ventures[/caption] 登壇者紹介(敬称略) Moriki Kamio(@0xmoriki):Sakaba Founder キクチ・マサカズ:Secured Finance AG Founder & CEO 亀井聡彦(@tolehicoJP):FractonVentures Co-Founder ※モデレーター 自己紹介とクリプトに興味を持ったきっかけについて Moriki:(イベントには)若い人も多く参加していますが、自分も若い部類かなと思っております。SAKABAでは、分散型ゲームのパブリッシュプロトコルを作っています。(弊社の)メンバーは日本だけでなく、韓国やマレーシアなど様々です。元々は、イーサグローバルハッカソンのファイナリストになったりしたところから、始まっています。 クリプトに入ったきっかけは、SaaSなどで海外進出するのが難しく、グローバル基準を考えた時に、日本にローカライズさせたものをグローバル進出させるのは難しいと思っていました。そこで、SaaSではなくクリプトに興味を持ちました。日系企業から転向という経歴もあり、皆様に興味ある話が出来ればと思います。 キクチ:Secured FinanceというというDeFiプロジェクトをしています。元々は、TradFiで働いていました。セールスもトレーダーもいて、新しい商品を作って出すという面白い世界でした。所謂日系の企業で働いたことはなく、外資で働きながら日本のマーケットを見てきました。 リーマンショックや、LIBORスキャンダルといった金融機関における中央集権的な大問題が起こりました。それをきっかけとして金融からプログラマーになろうとして、留学もして自分自身に5年間くらい投資していました。その時はハーバードにいたのですが、MITに行くとハッカソンがありました。国際視点というか、インターネットの視点で本当にやりたいことベースでやっていくことに目覚めました。それが出来る環境といえば、Web3ということになりました。 その後、エンジニアとして働き始ました。MITのハッカソンでお世話になった人もいて、何か貢献したいという思いもあり、イベントを主催するようになって、そこからアクセラレーターになっていったりしました。それで今に至るといった感じですね。 今、クリプトの世界には、「金利のトレーディングマーケット」や「債券のマーケット」がありません。その理由として、貸し借りのマーケットも小さく、まだ需要が小さいということを思いました。そこで、私は誰もがオーダーブックを通じて、誰もが金利の取引が出来るというということをやっています。 まず最初にどうやってチーム組成をやっていきましたか? Moriki:チーム組成は最初のコアメンバーと、後から必要なプロフェッショナルを揃えていくという2軸があるかと思います。自分たちの場合は、色々なハッカソンに参加し、優秀なエンジニアに投げかけていくという形をしていました。英語ができるなどといった条件もありますが、ハッカソンで探すというのがコスパがいいかなと思いました。 自分たちの領域がゲームということもあり、日本、韓国、台湾、香港といった地域の中でIPの交渉が出来る人がいるといいと思ったので、そこでIPの中で戦える人間を揃えていっていきました。 キクチ:私もハッカソンは大事だと思っています。コアな人と繋がれますし、どういった考えを持っているのかも分かります。質問を投げた時の反応もありますし、またどこかで会った時にも関係を構築できます。ハッカソンといった開かれた場所に足を運ぶっていうのも大事だと思いました。 最初のエントリーポイントを増やしていくというのも大事で、海外の優秀な人たちも、早いところから目を付けようとしてきており、ネットワークを張り巡らせているので、足をきちんと運ぶっていうのも大事だと思いますね。 [caption id="attachment_109209" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 調達周りについて教えて下さい Moriki:自分は2回目のラウンドを回っているところですが、文脈として、会社としてどういう方向に持って行きたいということをファーストラウンドからが分かっているのが大事と思っています。プロジェクトの課題とか諸々整理しやすいかと思います。また、VC側からしてもお金を回収しないといけないので、トークン周りとかどうなっているのかとか、どういったバリューを出せるかとか、どんなインキュベーターがいるのかなど大事かと思います。 キクチ:ナラティブが大事だと思います。波に乗って(VCに)ストーリーを提示するのが大事かなと思います。自分たちもアクセラレーターをしましたが、最初と最後では(ナラティブは)全く変わらず強化されたりといったことがありました。壁打ちが大事で、ひたすら自身のナラティブを組み立てたり、Mediumでの発信をしていると、VCの人が呼んでくれたりしますね。 VCや投資家のTierについてお話をお聞かせください キクチ:地合いが良かったというのもありますが、問題意識自体はあったので、それをナラティブにしたら、紹介の紹介の紹介という形で、どんどんtierが上がったということもありました。 Moriki:自分たちも、紹介で次に繋がったというのもありますし、コンセプトを突き詰めるところから始めるっていうのもあります。時期によって(コンセプトが)刺さるかどうかもあります。ファウンダーと投資家では、それぞれ視点が違っていたりするので、ナラティブを誰でもわかるようにするのが大事かなと思います。ファウンダー視点だけだと、製品の受け答えはできても、トレンドやナラティブが不足することがあります。 [caption id="attachment_109210" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] チームの規模感やどのように成長をしていったかを教えて下さい Moriki:最初は数人でアクセラレーターを回っていって、今は7人くらいです。 キクチ:ハッカソンで知り合った四人から始まりました。そこからアクセラレーターや資金調達などあり、10人まで拡大していきました。そしてシニアを雇って、そこの下にジュニアを、という形になっています。 小規模とか大規模で違ったりということはありましたか? キクチ:シニアを雇ったという話をしましたが、Web3業界は若いので、その中でシニアっていう人はいません。となると、TradFiでのシニアの人を雇うということになります。すると、優秀ではあるけれども、クリプトネイティブではなく、ギャップが出たりはしました。自分の持っているパッションと、新しくきた人のパッションが違っていて、スローダウンしてしまうというのはありました。 Moriki:こちらとしても、複数国で共同でやっているのもありますし、事業ごとに人を変えるってのはありますね。ゲームやIPの領域だとエンタープライズの事情などありますし、クリプトネイティブではなくてシンプルに仕事が出来る人を配置するということはあります。一方で、プロダクトを作る部分に関しては、クリプトからしか人を雇わないということはありますね。完全に切り分けているところはあります。チーム文化も変わってきますよね。 [caption id="attachment_109211" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 福岡市からグローバル人材を、という視点でとなるとどのようにすればいいと思いますか? キクチ:強みとして、また海外のペインポイントとして、日本に進出したいけど日本語ができないっていうのがあります。そこで、日本でのエコシステムに入り込むってのも大事かなと思います。何かしらのイベントがある際の候補地に、福岡が選ばれるっていうのもあるかなと思います。私自身、海外の人と交流する中で、日本の文化の紹介などをして慣れ親しんでもらったりして、海外の人が日本に来てくれたりといったことがありました。 Moriki:海外の大きいプロジェクトでも、コミュニティを作る場所を探しているという背景があります。福岡の開発者コミュニティは大きいということも伺っています。例えば、タイの経済的基盤はバンコクですが、ハッカソンだとかはチェンマイでやっていたりします。そうしたポジション取りをしていければなと思います。最低限の英語スキルさえあれば、全然、エコシステムにも入っていけると思います。エコシステムに入っておかないと、そもそも話になりませんしね。 [caption id="attachment_109212" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] それぞれ言い残したことや、これからWeb3に貢献しようとしている人へアドバイスなどありますか? Moriki:個人的にブルマーケットは2025年だと思っていて、今の感覚は前のDeFiサマーの前の感じかなと思っています。その時が来たらやろうと思っていることを、今のうちからやっておくというのが大事かなと思います。自分としても、作り込んでおけばもっと大きいことができたのかなと思っています。今がベストなタイミングだと思っています。やるとなれば、壁打ちでもなんでも貢献させてもらえればと思います。 キクチ:ピッチの段階で自分のプロジェクトが未成熟だなと思っていても、投資家視点だと未熟でもそれを成長の予測として好意的に見てもらえたりします。行動が大事かなと思います。スタートアップはやっぱりそういったところが大事です。投資家の側からしても、リスクが大きい一方で、リターンは初期に入れた方が大きくなります。それもあって、若い人を育てようとして、リスクをとってくれます。また、お金を入れたからには育ててくれます。海外にはそういう文化がありますし、日本でもそういった文化が広まってくれるといいなと思います。 最後に、亀井氏からの「インキュベーターの我々としても仰ってることはわかりますし、福岡市もリスクをとってくれてますし、すごくいい話だと思いました。皆で盛り上げていけたらと思っています。登壇していただき、ありがとうございました。」との言葉で締め括られました。 セッション2:Web3 Pitch [caption id="attachment_109213" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 次に、事前先行を通過した、6チームのピッチが開催されました。各チーム5分間の持ち時間で、2分間の質疑応答がされました。 優勝チームと準優勝チームが選出され、閉会時にそれぞれ発表されました。 ここからは各チームのPitch内容及び質疑応答を箇条書きという形になりますが、紹介していきます。 審査員(敬称略) FUJITA TAKUYA(@peaceandwhisky):Cosmos Japan Adminエンジニア 紫竹佑騎(@79yuuki):合同会社 暗号屋代表社員 両角将太(@ryokado):F Ventures代表パートナー 大島拓也:株式会社セブン銀行ITデザイン室 担当 金光碧(@KanemitsuMidori):株式会社bitFlyer Head of Crypto Strategy Office ※オンラインにて参加 カバDAO:コーヒー好きのためのプロジェクト [caption id="attachment_109214" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 問題意識:気候変動によってコーヒーの市場価格が、ドルベースで2倍、円ベースだと4倍になっている。顧客視点だとその実感はあまりないが、それはそのコストを店舗が吸収しているためである。しかし、それも最早限界であり、小売価格に転化され始めている。しかし、小売は対応できない。 提案:コーヒーカスをトークンで仕入れ、コンポストとして土壌に返して、価値を生み出す。コーヒーカスをゴミとしてではなく価値として回収するという点が特徴。一般消費者をエコシステムに巻き込むにはどうすればいいのか、現在実証実験をやっている最中。 現在の状況:上記の実現のためにプラットフォームを開発しようとしているところである。エコシステムにトークンを盛り込んでDAOの要素も入れて、来年はどこの豆を仕入れるかといった投票も可能かと考えている。参加者が増えることで、ガバナンストークンの価値が上がるというインセンティブもある。 収益について:店舗への卸販売。最初はコーヒー農園からがメインとなるが、コーヒーカスからなるリジェネラティブな商品が増えていくにつれて、高い経営効率が見込める。参加店舗が増えていくと、コーヒー豆を安く仕入れることも可能であり、良いサイクルが見込める。ターゲット市場としては、2万店舗を考えており、利益率は15%を考えている。 質疑応答 Q:ゴミを集めて収益化してDAOとして還元とあるが、そのゴミは一般家庭のものですか? A:一般家庭のコーヒーカスや店舗から出るカスを考えています。 Q:(発表の中で)競合がいくつか出てきましたが、ステークホルダーとして一緒にやっていくのが大事かなと思います。どうして競合として書いたのですか? A:競合という書き方をしましたが、将来的にはDAOのトークンホルダーになってもらえればと思っています。部分的にでも一緒になってやっていければと思っています。 Fukuoka Web3 Climate Action:Web3と脱炭素 [caption id="attachment_109215" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 提案:福岡市は脱炭素目標を掲げており、2040年度に、温室効果ガス排出量実質ゼロを目指している。そうした脱炭素の取り組みを、KlimaDAOのWeb3技術をベースに加速させていく。 内容:博多湾の藻が吸収するCO2をトークン化して、ブロックチェーンに移行。オンチェーンブルーカーボンをKlimaDAOのマーケットプレイスで世界中の企業や市民に販売。福岡市は二次流通によるロイヤリティ収入を獲得することも可能。 質疑応答 Q:市民側のブルーカーボン購入者は、どういう意図があると考えていますか? 本来のブルーカーボンの購入者は企業といった二酸化炭素の排出権が欲しい存在かと思うのですが、一般ユーザーの動機はなんですか? A:今後は企業だけでなく、個人が環境に貢献するというのも大事かなと思います。権利を使用していないクレジットを販売するという形も可能です。そのため、クレジットを購入して、価値が上がるのを待ってというような選択肢が生まれていくと思います。 Q:市民が手軽にクレジットを創出とありますが、リーガル面含めて難しいと思います。それはどのように対応しますか? A:ハードルは高いですが、Web3でトークンという形で売買や流通できるということで、クレジットではないけれども、クレジットポイントで対応という形になるかと思います。 ONE MINUTE:ジャックポットゲームを開発 [caption id="attachment_109216" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 提案:ユーザーがカジュアルゲームに参加料をベットしていく「ジャックポットゲーム」を開発。 問題意識:現在BCGでは、メインゲームにおけるユーザー争奪戦が行われている。しかし一人が同時にできるゲームは、2~3つほどである。そこでサイドゲームのポジションを狙っていく。 ビジネスモデル:サイドゲームとしてシンプルな構成にしたり、スロットに近くして成功体験を味わえる設計にすることで、競合に対する差別化を図る。収益は、アバターの売買であり、最初のコアな1000人のユーザー獲得が目標。 質疑応答 Q:ジャックポットが基本ということですが、負けを設定するのは設計上重要ですか? A:負けの設計は重要だと考えています。誰かが勝つということは、誰かが負けるということです。お金を払う第一段階は、ユーザーさんになると思います。現在の段階では、広告収入でやっていくことは難しい現状です。企業からの広告収入次第では、将来的にユーザーの負けを少なく出来るかと思います。 Q:ユーザーからの資産を集めてということですが、僕がもし作るとすると、集めた資産をDeFIなどで運用して、その運用益を勝者に渡すというようにすれば元本を崩さずにできるのかなと思いました。 A:最初からユーザーに大きな金額でプレイしてもらうというのは難しいので、最初は小さい金額からということになるかと思います。そのため、最初から大きな金額をプールに入れることは避けた次第です。ただ、今の話は検討させて頂きます。 Q:賭博にならないポイントは、リーガル面でどのようになりますか? A:今、弁護士に相談をしようとしているところです。NFTを使ったBCGでは、NFTが消耗していって新しいNFTを買ってというような仕組みが多くあります。そのため、何を払って何を渡すのかをうまく設計することができれば、法的には問題ないと認識しています。 Digital Transformation for Bass Fishing:NFT✖️バスルアーを販売 [caption id="attachment_109217" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 提案:バス釣りは承認欲求を求める人が多い。そして、エサ釣りではなくルアー釣りに注目をする。実在するルアーごとに番号をつけて、NFTで識別化。そのルアーを使って魚を釣り、実際に釣れた魚をデータとして紐付ける。となると、同じ種類のルアーを使った人の中で、誰が一番大きいものを釣れているかどうかを誇示することが出来る。 現在の状況:去年10月からローンチしており、200人ほどが参加中。Googleアカウントを使用して、ブロックチェーンウォレットを安全に生成している。DAO的要素は今は入れていないが、「DAOトーク」という形で、釣りに関する周辺情報(飲食店など)共有するものを作成している。将来的には、トークン発行や二次市場も予定。 質疑応答 Q:福岡市でも釣果を競うサービスを提供している企業もあったりしますが、ユーザーのリテラシーの関係もあり、新しいプロダクトに慣れ親しむという点においては難しいと思います。ユーザーに対してどのようにマーケティングしてきますか? A:ブロックチェーンというシステムは隠し、気がついたらNFTだった、というような形で徐々に慣れ親しむようにしています。(顧客の)年齢層としては、40代や50代の方達です。 ASSETY:ポイ活(エアドロ活動)プラットフォーム [caption id="attachment_109218" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 問題意識:エアドロップ活動においては、Claimに至るまでのフローが困難であり、また情報共有がX中心であって常に張り付かないといけない。Xのツイートでも詐欺が多い。 提案:安全な情報をまとめエアドロップができるプラットフォームを提供。トークン事業者から広告費をもらって、広告費の一部をユーザーに渡していく。ポイ活をするようにトークン活をすることで、Web3をマスアダプションする。 質疑応答 Q:ビジネスモデル的に、自分のプロジェクトをサイトに掲載して、その掲載料の一部がユーザーに還元される仕組みかなと思うのですが、その意図について教えて下さい。 A:この点については、既存のポイ活のサイトと同じように作ってみました。 Q:広告掲載に関するプロジェクト側のメリットを教えて下さい。 A:このサイトを通して、より顧客を増やすことが出来ると思います。 NFT-SIM:NFTのシュミレーションツール [caption id="attachment_109219" align="aligncenter" width="1439"] 筆者による撮影[/caption] 問題意識:NFTのマーケティングは難しく、また注目を浴びているのも海外のNFT。NFTマーケティングの課題は、「購入までのハードルが高く、新規顧客が少ない」こと。何が面白いのかということも分かりにくい。また、マーケティングも、SNS頼りのプロモーションしかなく、Xを頑張らないといけない。 提案:NFT-SIMでは、NFTの購入や管理をシュミレーションで学習することが出来、NFTの売買促進を目的とする。 内容:初心者は、基礎知識をインプットしていって、FXのデモトレのようにNFTの購入をシュミレーションすることができる。NFT初心者のメリットとしては、ノーコストでNFTを体験出来る。NFTホルダーや運営側のメリットとしては、自身のNFTの認知拡大が可能になる。 質疑応答 Q:NFTを体験という点では良いとは思うのですが、そもそもNFTに興味を持ってくれる人をどのように増やすのかの方が課題と思います。そこはどのように思っていますか? A:NFTに興味を持ってもらうのは難しいと思いますが、現在NFTと調べて出てくるのは、文章を主体とした分かりにくものばかりです。そこで、NFTを持っている人はそのNFTの認知を広めるための的を囲っておくことが出来ると考えています。 Q:(発表の中で)「初心者はみんな知っているNFTコレクションを作りたい」と仰っていましたが、シンプルに言うとすればどのようなものですか? A:新しく入った人が、文章の説明ではなく体験できる流れを作りたいです。 Q:NFTの市場はこれからどのようになっていくと思っていますか? A:国内のNFT市場には危ういところもあるかと思いますが、コンテンツとしては面白いと思っています。コミュニティ促進という流れも加速していくと思っています。 Q:ユーザー継続の試みとしてどのようなものを考えていますか? A:NFTを学んで実際にホルダーになった人が、自身のイラストをNFTにするというようなサイクルの仕組みを作りたいと思っています。 最後、6チームに対する参加者からの拍手によって、Pitchは締め括られました。 セッション3:Web2からWeb3への挑戦 -資金調達の経験、IEOに向けて- [caption id="attachment_109220" align="aligncenter" width="1439"] (左から)吉村信平氏、石濵嵩博氏、ビニール氏 提供:Fracton Ventures[/caption] 登壇者紹介(敬称略) 吉村信平(@Shin_esports):株式会社Ratel代表取締役 石濵嵩博(@takachan114):Yay! (株式会社ナナメウエ)代表取締役 ビニール(@vvinyll):Fracton Venteres Operation Lead ※モデレーター 自己紹介をお願いします 吉村:Ratelという会社とシンガポールで81Ravensというブロックチェーンの会社もやっています。高校2年生くらいからF Venturesの両角さんのところででインターンをしていて、高校3年生の時に起業しました。そこからずっとeSportsをしています。eSportsは日本でも市場が成長してきていますが、自分たちはブロックチェーンのプラットフォームなどを作りながら、eSportsのエコシステム分散プラットフォームをやってます 石濱:大学3年生の時に起業しました。ナナメウエという会社をしています。2020年に「Yay!」をリリースしており、16億円の資金調達も行っています。Yay!はメディア化しない匿名性のプラットフォームであり、フラットな構造で、他人に寛容で、誰もが素を出せるSNSとして設計しています。現在、800万人ベースの登録者数がいます。 [caption id="attachment_109221" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] Web2の時の資金調達周りの苦労話について教えて下さい 吉村:自分たちはゲーム系なので、主要ゲーム企業の方との交流の中でソーシャルゲーム系の方達からと話を伺ったりなどありました。 石濱:初期から話すと、2013年の創業からの3ヶ月後に3000万円資金調達しました。2015年くらいに会社がつぶれかかけたときに、多くの人に助けられてまた3000万円くらい資金調達をすることができました。そこからしばらく経って、シリーズAという形で数億円、シリーズBで16億円という感じです。 苦労話としては、1つ前のラウンドはWeb2のサービスをしていましたが、Web3の波が来ているときで、当時の解像度的にも投資家さんたちに納得して頂くのには時間がかかった感じです。リードの投資家がSBIさんですが、その方のおかげでサクサクと話が進んだという背景があります。 吉村:Web2の時は、毎年1回キャッシュアウトするみたいな時がありました。前回の調達の時は2021年くらいで、当時はWeb2のアプリを作っており、2,3億円ほど調達しました。そこから2週間後Web3にピボットして、お金を全てつぎ込みました。最近も調達をしていて、6億円ほど集めようと思っています。去年1年のうち半年くらいはキャッシュアウトしていて、1.5億円くらいお金を借りて生き延びていました。生き延びたおかげで、こちらに有利な投資契約が結べました。去年のお金を借りている時が、非常に苦しかったです。 Web2での企業の中での大変さもあるかと思います。Web3という分野を事業に活かすということを考え始めたきっかけを教えてもらいたいです。 吉村:インターンをしていたときに、ブロックチェーンを知りました。実は、高校生の時には、最初クリプトで起業をしていました。ただ当時はL2がなくて、コストが高かったので、うまくいきませんでした。その時は、渡辺創太さんが福岡に来ていた時に色々と話をしたりしていました。そこから、eSports業界に入っていったていう感じです。 石濱:まず、Web2のサービスは起業をする隙間がどんどん減ってきていて、世の中が便利になってきています。便利になる文脈でいくと、いろんなサービスで担保されていっています。困っていることがありますか? と言われても、思いつきません。SNSにおける差異もほぼないです。家電でも同じことが言えます。 そうした中でも、後発のサービスでガツンと勝ち抜けたのが、Paypayでした。クレカもsuicaも既にマーケットがある中で、Paypayが突出していきました。その理由が、100億円還元キャンペーンでした。それで一気に広まって、そのキャンペーンが収まった今でも、みんながPaypayを使っています。それだけ金銭的なインセンティブは大きいです。しかし、Paypayの場合は、ソフトバンクというバックアップがありました。1000億円とかの元金がありました。 そうした中で、トークノミクスという概念が出てきました。Yay!の中でトークンを出して、そのトークンに価値がつけば、ユーザーに対して還元することができます。スタートアップは1000億円借りることはできません。しかし、トークンなら自分で発行することが出来るので、大きなことができます。そこで、Web3に熱中した感じです。 −−−−−−なるほど、トークノミクスという視点は興味深いですね。吉村さんは今後、トークノミクス以外だとどういったところが注目ですか? 吉村:esportsが面白い思います。スポーツのトップ選手の移籍金や収入は数十億だったりしますが、esportではトップ選手でも数億円ほどしかありません。なぜそうなるかというと、サッカーの場合作った人は儲かっていません。一方で、esportの世界は中央集権な性質もあって、ゲーム会社が1番利益をとります。サッカーの世界は色々と分散しています。そうした分散の意識を持ってこれると、面白いなと思っています。 [caption id="attachment_109222" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 最近ブロックチェーン業界が盛り上がっています。bFでの(Yay!の)IEOも控えています。これからのプロダクトやブロックチェーンの展望をどのように考えていますか? 石濱:最初にWeb3全体の展望という形で言えば、ユーザー視点で言えばもうこれ以上のものは…..という中で、Paypayみたいなサービスを打てる可能性があります。これはWeb3のサステナブルなトークノミクスがあるというのが大前提です。また、オープンソースなものも増えてきていて、コストも掛からなく作れるようになってきています。となると、既存のWeb2サービスと入れ替わるようなことがあるかと思います。となるとやはり、サステナブルなトークノミクスが大事であり、それが問われると思います。このためには、流動性が大事です。取引所でどれだけのプライスで取引できるかというところが大事かなと思います。そうした中で、海外も含めて、大きな流動性を担保としたサステイナブルを作っていきたいなと思います。 −−−−−−確かに、Yay!のホワイトペーパーの完成度すごいですよね 石濱:それにまずは、マスに遡求して使いやすくすることが大事です。今は複雑で、口座開設してイーサリアムを用意してウォレットに移してNFTを買ってみたいなことをしていたら無理だと思います。Paypayもダウンロードという障壁がありましたが、それは金銭的なインセンティブで乗り越えられます。それくらいのレベル感で出来るかどうかが鍵だと思っています。 吉村:個人でもトークンを出せるというのがとても大事かと思います。また、1本のゲームを作る際の費用や時間のコストも、非常に抑えてゲームを開発できるような時代にもなってきています。ゲームも含めてプロダクトもそうですが、個人発信者も増えてきていて、トークンを渡すといった形でマーケティングをミニマムに行うことが出来るようになってきています。Web3では、(Web2よりも)もっと少数単位で良いプロダクトを作っていくことが出来ます。コンテンツ周りが非常に熱いと思います。 [caption id="attachment_109223" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 最後に締めの一言をお願いします 吉村:Web3は非常に面白いと思いますが、コンテンツ領域で成功しているWeb3のプロジェクトはほぼないなと思っています。コンテンツを極めて、これまで自分たちが触ったことが何ようなものも作れる気がしています。起業家たちだけでなく、クリエイターにとっても面白いと思います。起業家とアーティスト・クリエイターの境がなくなっているようにも思いますし、そこの融合が面白いと思っています。 石濱:ここから、ガラガラポンが起こると思っています。20%とか30%の還元がもらえますよというようなサービスが起これば、一気にそっちに動くと思います。今はそんなにコストをかけることなく作れますし、起業するには良いタイミングだと思います。また、クリプトの世界そのものがインターネットレベルの大きな成長を遂げると思っています。Web2で既にあるサービスであっても、インセンティブを備えられるWeb3のコンテンツを作ることができれば、良いものになるのではないかと思っています。 最後、ビニール氏のまとめの言葉でセッションは締め括られました。 閉会へ向けて Web3 Pitchの優勝・準優勝が発表 準優勝チーム:ブロックチェーンルアーズ(Digital Transformation for Bass Fishing) [caption id="attachment_109224" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 選出理由:福岡は元々、自然を活かしたサービスが多く、それにマッチしている領域である。発表された中でも、将来への絵を大きく描いており、ステークホルダーに対する設計も良かった。 優勝チーム:カバDAO [caption id="attachment_109225" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 選出理由:地域創生のDAOという視点に留まらず、福岡のコミュニティを中心を広げていこうとしており、これから始まる合同会社DAOという仕組みともマッチしている。日本初の上手くいっている合同会社DAOが福岡から始まってほしい。それに、FUKUOKA DAO CAMPにも参加されており、そうしたところから、こういう素晴らしい取り組みが生まれたというのも良かった。 ※審査員には、前回のFUKUOKA DAO CAMPの情報は未共有のままで行われました。 審査員からの全体講評 [caption id="attachment_109226" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 最初に、オンラインで参加していた金光氏から全体への講評が行われました。 「Web3の世界では法規制などもあり、日本の法規制の中でやっていくか、いっそグローバルに出るとかといった考えがあるかと思います。皆様の発表の中では、トークンのシステムやKYCなど考えないといけないところもあり国ベースでとなると大変ですが、福岡市がサンドボックス的に対応してくれるというのはすごく良いと思います。さまざまな法規制の問題もあり対応していくのは1人では難しいですが、こうしたコミュニティがあって、Fractonさんもおり、助けてくれるというのはとても良いです。何かあれば、bitFlyerにも相談して頂けたらと思っております。」 その他、各登壇者の方々の今回のイベントに対する総評を箇条書きにて紹介していきます。(敬称略) 藤田:業界の中にいる身として普段はトレンドを追いかけていますが、だからこそ、自分の好きなことが講じてWeb3で戦略を立てていこうという感じが、すごく素敵だと思いました。ブロックチェーン自体もまだまだ発展段階なので、これから一緒にブロックチェーンの技術のトレンドを一緒におっていける存在になっていけたらなと思っています。 柴竹:こういう機会があると非常に良いと思いますし、福岡市が主催してくれているということでWeb3フレンドリーだなと思います。福岡にはWeb3の関係者が実はたくさんいますし、遠慮なく声をかけていただければと思います。 両角:若手起業家向けの育成支援はこれまでしてきましたが、福岡は昔からスタートアップが生まれる都市です。Web3という分野でたくさんの起業家の方々が生まれてきているのは、福岡の発展にとっても良いと思っています。新しい分野に取り組んでいけることはポジティブですし、こうした取り組みが台風の目のようになっていくと、新しい起業家も生まれて集まってくると思います。そういった渦を一緒に作っていけたら嬉しいです。 大島:日本の事業会社がなぜWeb3を使いにくいかというと、ブロックチェーンを使用することで良いことがあると言われても、既に良いサービスがあり、それには勝てないということが背景としてあります。そうした中で、ルアーやコーヒーカスといった専門知識を背景として、そこにWeb3のプロダクトをあてていくというのが、日本でビジネスをしていく上では大事かと思っています。福岡から面白いプロジェクトが生まれることを楽しみにしています。 閉会の言葉 [caption id="attachment_109227" align="aligncenter" width="836"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 最後に、クロージングとして、亀井氏から挨拶がされました。 「まずは、Pitchに登壇してくださった方に向けて拍手をお願いいたします。今回の目的として福岡市で活動している方をフックアップする機会の提供ということがありました。この後も、SNSを通じて皆様をサポートして頂けたら幸いです。こういったイベントやエコシステムは重要ですし、こうした取り組みは定期的にやることが大事かなと思います。ここにおられる方々が、コントリビューターとなって、福岡市のエコシステムに対してちょっとしたイベントでも良いので、やっていただけるとモーメンタムになるかと思います。 今日、Pitchしてくださった学生さんも含めて、良い雰囲気が醸成されたと思います。年齢は関係ないにしろ、クリプトの世界はあまりに速度が速いこともあり、時間があり固定概念に囚われない若手にチャンスのある領域だと思っています。是非、これを機会に発信やコミュニティ育成を一緒に出来ればと思っています。今日は一日ありがとうございました。」 [caption id="attachment_109228" align="aligncenter" width="1439"] 提供:Fracton Ventures[/caption] また、福岡市創業支援課の岩崎氏からも挨拶がされました。 「本日はお集まり頂いてありがとうございました。先ほど亀井さんの方が我々よりも福岡市のミッションを詳しく説明してくれましたが、アイデアやプレイヤーの掘り起こしが目的でした。イベントの企画をした時には不安もありましたが、6組も出ていただき、いずれも素晴らしいアイデアでした。ご登壇してくださった方々もありがとうございました。福岡市は昨年にもWeb3のイベントを開催しており、実際にスタートアップしてくださった方もおり、徐々に成果も出てきているのかなと思います。今回の6組の方々のスタートアップのチャレンジも勿論、他にも参加頂いた皆様の中で何か新しいチャレンジが生まれることを期待しております。本日は参加してくださってありがとうございました」 この締めくくりの後、イベントはネットワーキングへと移り、閉幕しました。 筆者は、昨年の福岡市主催のWeb3イベントに全て参加し、記事化をしてきました。 昨年から始まったWeb3に興味がある人向けのエコシステムの醸成に始まり、今年はPitchへと進んでおり、福岡市からスタートアップを育成するという目標に向かって着実に進んでいる印象を受けました。 スタートアップといえば起業家ばかりが注目されがちですが、事業をサポートする方々の存在も欠かせません。今回のイベントは、起業家たちとサポートを行う人たちの両面を垣間見える良い機会となりました。 今後も福岡市主催でWeb3イベントが開催されるかもしれません。その際にはまた是非取材し記事化をしていければと思っています。福岡市の今後の取り組みに注目が集まります。 (謝辞) 今回のイベントを主催するにあたって尽力して下さった福岡市職員の皆様。私の突然の取材を快く受け入れて下さるだけでなく写真提供もして下さったFracton Venturesの皆様。興味深いお話をして下さった登壇者の皆様。イベントに来て下さった来場者の皆様。その他全ての方々に、この場を借りて改めてお礼を述べさせて頂きます。ありがとうございました。
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2024/02/05イベントレポート「CryptoTimes & bbコミュニティミートアップ Vol.1」
CryptoTimesならびにboarding bridge(bb)による第1回目のコミュニティミートアップが、2024年1月28日(日)に新宿のCryptoLounge GOXにて開催されました。 初の合同コミュニティミートアップとなる今回は、パートナーとして縁が深い「Aki Network」、「Chain Colosseum Phoenix」、「Slash」の3プロジェクトがCo-Hostとして参加しました。 以下は、イベントの概要と当日の様子をまとめたイベントレポートです。 イベント概要 日時:2024年1月29日(日)18:00 - 21:30 場所:新宿CryptoLounge GOX 参加者:80名(ホワイトリスト制) コミュニティミートアップ開催間近✈️ 📅 1月28日(日) 18:00- @groove_on_x 🍾オリジナルシャンパンで乾杯 🦀タラバ蟹・窯焼ピザ・特製サラダ 🥩メインは近江牛たたき&ステーキ 🎂Co-Host記念ケーキ&ロゴクッキー 🎁超豪景品!お楽しみ大抽選会 など… 以下にCo-Host・協賛ご紹介 (敬称略) https://t.co/jc2ao7ICvK pic.twitter.com/eDMRhvxv3h — boarding bridge (@bb_jpdao) January 23, 2024 プログラム オープン 本イベントは、事前のホワイトリストに登録されたゲストだけが参加可能な半クローズドイベントとなっており、主にbbを中心としたコミュニティでの活動実績に基づいて参加者が決定されました。 18時の開場とともに多くのゲストが来場し、受付ではイベント記念POAPとウェルカムクッキーが配布されました。 クッキーは今回の共催プロジェクトのロゴが印刷されたオリジナルクッキーとなており、参加者からも好評でした。 ディナーパーティー コミュニティメンバーへの日頃の感謝を込めて、bbのコアメンバーによって厳選されたメニューが用意されました。 中でも一番の目玉は、Wagyu internationalによる近江牛でした。上質なサシが楽しめるタタキと、中まで火を通したステーキはどちらも人気が高く、テーブルの周りには常に人だかりができていました。 オリジナルシャンパンによる乾杯 bbのGasHeroギルトであるギルドqq運営部メンバー「特攻の拓」氏より、オリジナルシャンパン10本を提供いただきました。 GasHeroゲーム内におけるCEO arata氏の市長就任を祝したユニークなデザインシャンパンが参加者に振る舞われ、arata氏の音頭でトークセッションのオープニングを飾る乾杯が行われました。 Co-Hostトークセッション トークセッションでは、今回の各Co-Hostから代表メンバー1名が登壇し、プロジェクト紹介や今後のマイルストーンについてオフラインAMAが行われました。 本イベントだけの先行情報リリースにコミュニティからの歓声が上がる場面もあり、普段のオンラインAMAとはまた違った空気感の中で、コミュニティとプロジェクトの距離が縮まる場となりました。 以下はトークセッションにおける各プロジェクトの内容を要約したものです。 Aki Network Akiは、リファラル(紹介)システムを組み込んだキャンペーンエンジンを通じて、最先端のプロジェクトを紹介・促進することを目的としています。StepnやGas Heroをはじめとして多くのプロジェクトに利用され、業界の中心的存在を目指しつつ魅力的な報酬をもたらしています。AIを活用した私たちのKOLであるAki-chanが躍進の助けとなり、AIがサポートするインフルエンサーのインキュベーションプランにも取り組んでいます。 2023年12月22日、Akiは$AKIトークンのローンチという重要なマイルストーンを達成しました。ローンチ後、Akiはこれまで最大のキャンペーンであるドラゴンプールプログラムを開始しました。これは$AKIトークン保有者のために最高500%のAPYを誇り、Kontos、Silly Dragon、Ezswap、Gas Hero、Scallopなど、様々なエキサイティングなプロジェクトが盛り込まれています。そしてもう一つ、一定の条件を満たすユーザーには、定期的にサプライズプレゼントがあることを覚えておいてください。 そして本日、私たちが誇るコミュニティの皆さんだけに特別なアナウンスがあります。2024年にBRC20が話題になる中、22倍をとなった$ORDIや186倍を記録したSATSを逃したりしてませんか?Akiは、このイベントの数日後、新しいBRC20マーケットプレイスを立ち上げる予定です。このマーケットプレイスは、特に日本のユーザーに焦点を当て、BRC20の優良案件をキュレーションすることに特化しています。そしてこの新しい場で、$AKIトークンの新たなユーティリティが解き放たれることになるでしょう。 Website | X (Twitter) | Discord | Telegram | Telegram (JP) Medium | Chain Colosseum Phoenix Chain Colosseum Phoenixは、NFT全てのsele売り上げを初期流動性に入れることを決めています。現在までに販売したNFT9950個全て完売しており、約4.8Mの初期流動性を入れることを公言しているBCGです。既存のブロックチェーンゲームで課題点として上がっていた初期の買い上げについても、DEXを並行して作成することで、AT-Fieldによってゲームをプレイしないユーザーを排除し、プレイヤーのみのエコシステムを完成させています。 このエコシステムの好循環によってポンジスキームを脱却し、現在のRealYeld寄りのDefi3.0と同様に、GameFiも3.0へとバージョンアップすることができると考えています。 海外マーケも相当力入れており、日本も海外もブロックチェーンゲームといえば「チェンコロ」と呼ばれるような存在を目指しています。ゲームに関するフィードバックもぜひお待ちしています。 Website | X (Twitter) | Discord Slash Slash Fintech Limitedは、暗号資産決済「Slash Payment」の提供を2022年8月より開始しました。導入店舗は暗号資産ウォレットでログイン後、売上受取の設定を4種類のステーブルコインから選択し、コントラクトの発行を行うだけでQRコード/APIの利用が可能です。 現在は、Ethereum、BNB Chain、Polygon、Avalanche、Astar、Arbitrum One、Optimism、Mantle Networkの8種類のブロックチェーンに対応しており、オンラインサービスとのOATマーケティング連携などを通じて、より実用的なブロックチェーンビジネスの展開をサポートしています。 今後は、「Slash Payment」のマルチチェーン対応と各市場における導入数増加を目指すのみならず、本来的な事業/顧客ニーズに対応した決済事業の多角化を予定しています。 2024年Q1に暗号資産取引所へ上場を予定しているSlash Vision Labs Token(SVL) を基軸としたSVLエコシステムにおいては、Vote Escrowed (ve)TokenであるveSVLを採用したインセンティブ設計によって、veSVL保有者に事業収益を還元する新しい決済ビジネスの構築を予定しています。 Website | X (Twitter) | Discord | Medium CRYPTO TIMES & bb CRYPTO TIMESおよびboarding bridgeは、統合から1周年を迎えました。大きなマイルストーンとしては先日、CRYPTO TIMESのウェブサイトがリニューアルされ、記念キャンペーンも開催しています。 bbではGasHeroをきっかけに初のギルドを編成し、チームとしてゲームに参入し始めています。また、GOXというオフラインの場を活用し、今回のような合同イベントも今後積極的に開催していく予定です。 メディア、リサーチ、コミュニティ、イベントスペースというロクブンノニが持つ幅広いアセットを存分に活かし、今後もクリプトの発展に寄与しつつ、業界の中心的存在を目指していきます。 Website | X (Twitter) | bb X (Twitter) | bb Discord | YouTube 協賛リワードによる大抽選会 今回、イベント協賛を公募していないにもかかわらず、非常に多くの企業・個人からをご協賛をいただきました。提供いただいた品物は、本イベントのメインイベントとなった大抽選会のリワードとして当選者に配布されました。 参加者80名に対して合計50個のリワードが集まり、参加者の2/3近くが当選する結果となりました。中には「豊洲直送のカニ3万円分」や「Yogibo」、「Steam Deck」、「Solana Mobile Saga」といった豪華景品もあり、会場は熱気に包まれ大盛り上がりとなりました。 デザートの記念ケーキ イベント開催を記念して、イベントバナーがプリントされた特大スクエアケーキが振る舞われました。 デザインには今回のイベントに参加するCo-Hostのロゴなども入っており、「食べるのがもったいない」という声が上がっていました。 まとめ 本イベントはbbのコミュニティメンバーが主導してイベントの企画・運営を行いました。 参加者からは大変ご好評いただき、ホワイトリスト制ということもあってゲストの欠席率もわずか5%という結果になりました。 コミュニティミートアップは今後も定期的に開催していく方針です。今回参加できなかった方も次回ぜひご参加ください。 今回のイベントでご協賛くださったみなさまには厚くお礼申し上げます。 @DeFiVerse_org @admen_vc_2 @cry_curr_ar @noobbotter3 @TakmanKid @makainot @No9_Smol @news_no_mori_ @lskraise @yataa3150 @KisameYama @06674eth @NFT_devil_king @taka_eth @perian_crypto @niconico_crypto @HenryWells1837 @leidream1 @tsun_crypto @GallusysYoshida @joe_samuraiGG @Aho_mura @kakachi_37 @Misaki_todo1010 @wagyuinternat
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2024/01/26「Astar 2.0サミット」が東京で開催|2024年のAstarの新たな取り組みとは
2024年1月25日、東京都港区立産業振興センターにて「Astar 2.0サミット」が開催され、Web3の未来に焦点を当てたイベントとして関心を集めました。 イベントの初めには港区から産業振興センターの概要とビジョンが紹介され、地域産業の育成とイノベーションへのサポートを目指す強い意志が示されました。 その後、ビデオを通じてAstar Networkファウンダーである渡辺 創太氏が登場。Web3業界での日本の位置付け等にも言及しながら、Web3がこれからさらにマスアダプションしていくことが予想されるなかで結果を残すことが重要であるとの考えを示しました。 [caption id="attachment_105007" align="aligncenter" width="514"] Astar Network創設者 渡辺 創太氏[/caption] チームメンバーによるセッションでは、先日発表され大きな話題を呼んだAstar zkEVMやソーシャルログインを利用したマスアダプションの実現に向けた取り組みが紹介。また、セッションの中ではPolygon創業者Sandeep氏との意義深い対話の内容も披露されました。 その後のセッションでは、様々な分野の専門家が登壇し、2024年のトレンドや展望に関する活発な議論が展開されました。 低価格のNFTや高品質のWeb3ゲームが今後さらに普及していくという見解や米国を中心とした規制の動向とそれによる業界への影響についてなど、多分野に対する言及がなされました。 [caption id="attachment_105005" align="aligncenter" width="487"] セッションの様子[/caption] イベントの締めくくりはネットワーキングの時間に。ここでは、お互いの現在の市場に対する見解の共有など参加者たちが自由に意見交換を行っており、Web3ビジネスの新たな可能性を探る参加者の姿も見受けられました。 [caption id="attachment_105006" align="aligncenter" width="499"] ネットワーキングの様子[/caption] 日本発プロジェクトとして国内でも注目を集めるAstar Networkのイベントとして、多くの参加者が新たな知見やインスピレーションを得ている様子が窺えました。引き続き同プロジェクトの今後の動向に注目です。 Astar Network 公式リンク ・HP:https://astar.network/ ・X:https://twitter.com/astarNetwork ・X(日本):https://twitter.com/AstarNetwork_JP ・Discord:https://discord.gg/astarnetwork ・Telegram:https://t.me/PlasmOfficial ・Medium:https://medium.com/astar-network ・Github:https://github.com/AstarNetwork ・Youtube:https://www.youtube.com/c/AstarNetwork
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2023/08/28リキッドステーキングプロトコル「Ether.fi」Twitter Space内容まとめ
先日、Ethereumのリキッドステーキングプロトコル、Ether.fi(@ether_fi)がNFTプロジェクトEther.fanに関するQ&A形式のTwitterスペースを開催しました。 Ether.fiは、Ethereumのステーキングに本来必要な32ETHを持っていない個人ユーザーでも、自分のキーを保持した状態でのステーキングを可能とするプロトコルです。 デリバティブプロジェクト、Ether.fanでは、Ether.fiのインフラをベースとして、NFTを活用したステーキングのゲミフィケーションを実現しています。 CryptoTimesのリサーチャー、w33(@CryptoTimesRes1)もこのイベントに参加し、Ether.fiとEther.fanのプロダクトについて、AMA形式での質疑応答を行いました。 本記事では、イベントでのQ&Aを、質問とそれに対する回答の形式で紹介していきます。 スピーカー紹介 Mike Silagadze(マイク・シラガッツェ)氏 Mike氏は、リキッドステーキングプロトコル「Ether.fi」の共同創設者兼CEOです。 Ether.fi以前は、500人の従業員と数百万人の有料顧客を抱えるまでに成長した教育テクノロジー・ソフトウェア企業「Top Hat」の創業者兼CEOを務めていました。 Mike氏はスタートアップコミュニティで積極的なエンジェル投資家であり、メンターとしても知られています。 Ashley Stanhope(アシュリー・スタンホープ)氏 - KPW Communications シニアアソシエイト Ashley氏は、暗号通貨とブロックチェーンイノベーションの専門知識を持つ元ジャーナリスト兼ニュースルームマネージャーです。 KPW入社以前は、ステーキング市場最大手のEthereumステーキング関連企業で、コミュニケーションディレクターを務めていました。 また、デジタル資産とWeb3技術に関する新たな政策を導入するため、カナダ連邦政府と積極的に関与する主要業界団体である「カナダWeb協議会」の立ち上げにも携わった経験を持ちます。 w33 - CRYPTO TIMES 暗号通貨・ブロックチェーン領域におけるリサーチを専門に行う「CT Analysis」の著者の一人。 Ethereumのプロトコル・アプリケーション周りを重点的にリサーチしており、過去にもStarknetやSwellなどのAMAでスピーカーを務めています。 Twitterスペース Q&A Q1. Ether.fanおよびEther.fiはどのようなプロダクトであるかを簡潔に説明していただけますか? まず、Ether.fiはEthereum上のリキッドステーキングプロトコルです。 他の同様のプロトコルと異なり、ステーカーが鍵を直接コントロールできる点がユニークな特徴です。 また、このプロダクトはリステーキングやその他の機能性にも対応しており、他のプロダクトとの非常に高い構成可能性(コンポーザビリティ)を持っています。 Ether.fanはEther.fi上で動作するNFTプロジェクトです。このNFTはEther.fiを通じてステークされたETHに裏付けられています。 具体的には、Ether.fanのNFTはステークされたETHをWrapした形として存在しているため、NFTを保有することで、ETHのステーキングの報酬やプロトコル収益を得られます。 加えて、NFT保有者は「メンバーシップロイヤリティ報酬プログラム」に参加可能となり、ロイヤリティポイントを集めて、さまざまな景品を獲得できます。 Q2. Ether.fiのWebサイトには、Ether.fanを通じてソロバリデーターの分散について言及されていますが、これはどのように達成されますか? [caption id="attachment_97267" align="aligncenter" width="800"] イメージ引用:https://ether.fi/[/caption] Ether.fiでは「Operation Solo Staker」という活動を実施しており、その中でEthereumのノード運営を行いたいソロのノードオペレーター向けにステーキング用のハードウェアを提供しています。 Ether.fanを通じてETHがステーキングされることで、これが一度Ether.fiの流動性プールにステークされ、その後、各ソロノード運用者にETHが分配されます。 この方法により、Ethereumのネットワークの分散化が進められることを目的としています。 Q3. 現在、Ether.fanでステーキングを行いポイントを貯めているのですが、このポイントを集めることでどのようなことを期待できますか? [caption id="" align="aligncenter" width="815"] イメージ引用:https://medium.com/etherfi/ether-fan-auctions-trade-in-your-loyalty-points-for-a-chance-to-win-exclusive-prizes-9521560023ac[/caption] Ether.fiのアーリーアダプタープログラムに参加することで、ロイヤリティポイントを獲得できます。 これらのポイントは、今後Ether.fanで開催されるオークションで使用でき、最初のポイント消費機会となります。 現在の予定では、オークションは週次で行われる予定です。 オークションイベントでは、例えば1000ドル/500ドル相当の景品などが提供され、ユーザーは貯めたポイントを使用して入札し、他のユーザーと競り合い、最終的に景品を獲得できます。 Q4. Ether.fanにはfan NFTを複数mintできる機能が実装されていますが、1つのfan NFTを保有することと複数のfan NFTを保有することの違いはなんでしょうか? [caption id="attachment_97266" align="aligncenter" width="800"] イメージ引用:https://ether.fan/stake[/caption] Ether.fanでは、ETHをステークしたいユーザーに2つの選択肢があります。 1つ目は、既に保有しているNFTにデポジットを追加すること。そして2つ目は、新たにfan NFTを生成し、そこにETHをデポジットすることです。 複数のNFTをmintする主な理由は、既存のNFTへのデポジット追加に20%の上限が設定されているためです。 具体的には、あるfan NFTに20%を超える量のETHをデポジットしたい場合、新しいNFTをmintする必要があります。 各NFTは独自のポイント獲得ランクを持っており、上位ランクのNFTを保有するユーザーが無制限にデポジットを追加すると、独占的な状態が生まれる可能性があるためこの制限が設けられています。 仮に、0.1ETHのデポジットでNFTをmintし、それが最高ランク(プラチナ)に到達したとしても、そのNFTには約0.02ETHしか追加できません。無制限に100ETH追加できるとすれば、ユーザーは少額のコミットメントで大量のポイントを獲得できてしまうためです。 このような仕組みは、ユーザーのNFT mint時のステーク総額やステーク期間といったコミットメントを公平に考慮するために設けられています。 Ether.fan オークションキャンペーン概要 Xでの発表によれば、8月31日にEther.fanの実際のオークションが始まると発表されています。 MARK YOUR CALENDARS 🗓️ The official @ether_fans auctions kick off on August 31st! 🚀 Trade in your loyalty points for cool prizes 😎 — ether.fi (@ether_fi) August 26, 2023 オークションは、これまでEther.fan上で蓄積してきたポイントを入札に利用して参加することができます。 対象となる商品には、ノード運用向けハードウェア「Dappnode」($1,000相当)や$1,000(x1)、$500(x2)、#300(x1)の賞金など、が含まれています。 詳細は、上記ツイートよりご覧いただけます。 「Ether.fi/Ether.fan」 基本情報 公式サイト:https://ether.fi/ ホワイトペーパー:https://etherfi.gitbook.io/etherfi/ether.fi-whitepaper Twitter:https://twitter.com/ether_fi 公式サイト(Ether.fan ):https://ether.fan/ ライトペーパー(Ether.fan ):https://etherfi.gitbook.io/etherfi/ether.fan-litepaper Twitter(Ether.fan ):https://twitter.com/ether_fans/media
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2023/08/147月29日、30日に福岡市で開催された「FUKUOKA DAO CAMP」の潜入レポート(2日目)
7月29日、30日の2日間にかけて、DAOを集中的に学ぶイベント「FUKUOKA DAO CAMP」が、Fukuoka Growth Next(https://growth-next.com/)にて開催されました。 このイベントは福岡市からの委託を受けたFracton Ventures株式会社(https://fracton.ventures/)によって開催され、「福岡におけるWeb3.0の機運の醸成及びプレイヤーの創出」を目的として行われました。 1日目(7月29日)は、Web3.0とDAOの概要のレクチャーが行われるインプットの日でした。また、午後からはAstar Networkの渡辺創太氏の登壇もあり、質疑応答に花が咲きました。 2日目(7月30日)は、実際に様々なDAOツールを使いながら、実際にDAOを立ち上げるところまでを行うアウトプットの日でした。 この記事は、筆者が当イベントに参加した際のレポであり、2日目(30日)のものとなります。2日目からは一参加者としてグループワークにも参加しましたので、私の体感もお伝え出来ればと思います。 また、当イベントレポートは私の主観で書かれたものであること、引用している登壇者の文言や言い回しに関しては、必ずしも厳密に文字起こししたものではないことをあらかじめご承知おき下さい。 最初の挨拶 [caption id="attachment_96609" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] まず初めに、Fractonの亀井聡彦氏から、2日目の挨拶がされました。 「みなさま本日は体調などは大丈夫ですか? 日曜日の時間にお集まりいただいてありがとうございます。本日は結構手を動かして、アウトプットをしていきます。冒頭は、昨日の続きでアイデアの解像度を高めることを意識しながら、グループワークにつなげていけたらと思います。今回の取り組み自体が、みなさまが福岡で活躍していく土台になっていけたらと思います。私たちもサポートさせていただきますので、何かればお気軽にお尋ねください。本日も一日長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。本日は幾つかワークショップを行いますが、最終的にはDAOでどのようなことをやりたいかを考えられたらと思います」 この後、昨日の最後に決めたグループごとにワークショップが始まりました。 ワークショップ②:DAOの方向性を決めてみる 参加者によるグループテーマは全部で四つあり、「社会課題」「キャリア・人生」、「ローカル」、「Web3.0×ビジネス」とそれぞれテーマが分かれました。となりました。私は「キャリア・人生」に所属をしており、話し合いの結果、より具体的に「学生支援DAO」という形で纏まりました。 DAOの考え方:プロトコルの裏側をDAOで支える ワークショップの話し合いの中で、うまくまとめられるか不安だったのですが、Fractonの方々が定期的にテーブルを回って下さったこともあって、方向性に関して迷うことがなかったのはとても良かったです。 Fractonの方々のアドバイスの中で、非常に参考になった部分を幾つか書いてみようと思います。 私のグループは「学生支援」をどのようにしていくのかという議論をし、支援を具体的にどうするかについて悩んでいました。そうした中で鈴木氏からのアドバイスで、「報酬を渡す形式として、特定のタイミングで、初期から貢献していた人をブロックチェーン上の記録を使って特定し、報酬を渡すというのも出来るのではないか。普段からの生活において、貢献をしている人はあまり顕在化しないけれども、ブロックチェーンであることを活かして、うまくやれる方法もあるのではないだろうか」とのアドバイスは、ブロックチェーンを活用した良いアドバイスと思いました。 また、DAOに関する捉え方を見直す良い機会にもなりました。 例えば、大学でよく行われている企画系のワークショップでは、まずは仕組みや形から考えたりしますが、今回のイベントでは、あえて形からではなく、DAO(スマートコントラクト)を使ってどのような仕組みを構築できるのかというシステムの部分から考えるというのが、非常に新鮮でした。 その中での亀井氏のアドバイスとして、「プロトコルの裏側をDAOで支えるという仕組みがあるので、プロトコルへと昇華できるような(参考になる)既存の仕組みを考えるのも、思考の助けになるのではないか。DAOという仕組みからだけでなく、プロトコルへの思考というのも、今後の議論の中で考えておくと良いのではないでしょうか。」という指摘が非常に参考になりました。 こうしたFractonの方々の助けもあったおかげで、何とか時間以内にまとめることが出来ました。 DAO Toolsの紹介:登壇者・naka氏 この回では、Fractonのnaka氏(https://twitter.com/cyaneq)が登壇されました。 内容は、DAOを成立させているツールについての紹介でした。 どうして、Frameworkが必要なのか [caption id="attachment_96542" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] DAOはオンチェーンを活用したものであり、特定のツールを使うことで、コマンドやコードを使わないで操作や実装ができるようになtたり、視覚的な操作が可能になる。機能を0から作らなくて済みます。 ツールは様々あり、用途ごとに多種多様ですが、DAOを成立させるための最小限の要件として五つあります。 Treasury Membership Voting Proposal Execute(スマーとコントラクトを介した実行) そして、そうしたDAOに役立つツールとして、「Aragon」、「OpenZeppelin Governor」、「Moloch」の三つが詳しく紹介されました。 OpenZeppelin Governorは、投票追跡や投票カウントやタイムロックの機能があり、Contract Wizardを使用して簡単にコントラクトを作成することが可能です。 Aragonは多くの機能を有しており、資金調達、財務の管理、貢献者への報酬を提供、投票の作成も可能です。Aragon自身も、ANDAOとして、ガバナンストークンANT保有者によって運営されていることも特徴の一つです。 Molochは、グループを作った時にAdmin権限を7段階で選べることが特徴です。これによって、スマートコントラクトという扱いにくいものに、柔軟性を持たせることが出来ます。 そして、実際にAragonとOpenZeppelinのそれぞれで実際にDAOをデプロイしました。 実際にDAOを立ち上げてみよう:登壇者・naka氏 この回では、前回に引き続きFractonのnaka氏(https://twitter.com/cyaneq)が登壇されました。 内容は、実際にDAOをテストネットで立ち上げてみようというものでした。また、セッションの途中、このイベントにいる参加者たちで本物のDAOを立ち上げるということで、ウォレットアドレスの提供が参加者たちからされました。 ここからは、DAO立ち上げを行いました。細かい操作などについては省いて、私が感じた所感を書かせて頂きます。 Aragonでのデプロイ [caption id="attachment_96543" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] まずは、AragonでDAOをデプロイしました。その手順の紹介は省略しますが、非常に驚いたのが、この立ち上げにおいて一切コードを読む必要がなかったことです。 メタマスクを繋いで、DAOの名前や説明文を入力し、投票において必要な賛成の割合などを設定すれば、クリックをするだけで完了しました。 また、実際にDAOのデプロイをして分かったことは、意外とガス代がかかるということでした。今回は、Goerliテストネットで行ったので、一切金銭は発生しなかったのですが、Fractonの方曰く、仮にメインネットでデプロイをしようとすれば、イーサリアムの場合0.04ETh(およそ75$)ほどかかるとのことでした。ちなみに、Polygonであれば1$もかからないとのことです。 また、投票をするのにもガス代がかかります。DAOの運営形態として、あくまでも投票は最後に行なって、それに至るまでの議論などはDiscordといったフォーラムで行うというのが常です。こうしなければ、ガス代がかなりかかってしまうので、経済合理性から見ても、含めたDAOの運営形態にオフチェーンでの活動が含まれるのも納得がいきました。 とはいえ、投票にガス代がかかるというのは決して悪いことばかりではく、金銭の支払いが発生することで、悪い人を弾くことが出来るというメリットもあります。 これらDAOに関する説明だけでなく、ETHとERC-20は違うことや、投票に際してトークンを使用しますが、それは消費されているという訳ではないことなど、DAO周辺の細かい説明も行われました。 私は、一切コードに触れてきてはいないのですが、そんな私でもDAOの立ち上げを行うことが出来ました。目的にあったツール選定が重要であることや、触って確かめて初めて分かることなど数多くありました。 質疑応答 Q. NFTをガバナンストークンに出来ますか? A. Aragonでは(現時点では)出来ないけれども、他のツール次第では可能です。ガバナンストークンというのは手段であって、ガバナンストークンという規格がある訳ではありません。例えば、STEPNには二つのトークンがありますが、これらはユーティリティとガバナンストークンというように性質が違います。 Q. トークンを一定数持っていないと提案は起こせないのですか? A. 設定をすることで、トークン保持の度合いで提案を起こせるようにも起こせないようにもすることも可能です。 Tally × Open Zeppelinでのデプロイ [caption id="attachment_96544" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 次に触ったのは、Open Zeppelinでした。クリプトの世界はコードで成り立っていますが、今回は裏側で走っているコードを見ながら触れながらの、DAOのデプロイとなりました。 ここでもDAOデプロイの詳細な立ち上げ手順は省略しますが、所感としては、初心者には非常に難しいものに思えました。 [caption id="attachment_96545" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] Open Zeppelinはコントラクトを提供する一方で、TallyはコントラクトのみのDAOに対して、ブラウザで操作可能なフロントエンドを提供するツールです。投票権の委任、資金の使用、プロトコル管理などオンチェーンで実現することが出来ます。これ以外にも、REMIXも使用しました。 DAOをデプロイするにあたって、まずOpen Zeppelinでコントラクトを作成しなければならないのですが、書かれているコードの内容は私には理解出来ず、手順をなぞることでなんとかデプロイまで持ち込みました。 しかしながら、分からないながらも、実際にコードを触ってみると、DAOの裏側の仕組みを意識することが出来たので、単に知識として理解するだけでなく、実際に体感するのがやはり重要であると思いました。 二つのツールを触りましたが、両方において大切なのは、やはりDAOで何を取り扱うかが肝心なのだと思います。あくまでもDAOは箱でありツールであるので、DAOそれ自体を目的にするのではなく、自分たちにとって最も適した形を求めた結果DAOに至り、それゆえにDAOをデプロイするというのが、健全な順番なのかと考えました。 質疑応答 Q. AragonのDAOと、Tally × Open ZeppelinのDAOは別々のDAOですか? A. それぞれ別のDAOです。Aragonの方はコードが不要である一方で、Tally × Open Zeppelinの方はコードが関わってきて大変です。しかし、前者は簡単であれどカスタマイズ性が低い一方で、後者はカスタマイズもあってかなり柔軟なものとなっています。その差異を体験して欲しかったので、DAOを二つ作りました。ここからFUKUOKAコミュニティ用のDAOを作っていこうと思いますので、その後も皆様で活性化していただければなと思います。 ワークショップ③:DAOの内容を具体的にまとめてみる [caption id="attachment_96622" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] ここからは、一番最初にまとめたDAOの方向性をもとに、具体的な案としてグループごとに発表内容をまとめていきました。そして、それぞれのグループで10分ほどの制限時間の中で発表をしました。 私のグループは最終的に、「一芸に秀でているけれども、支援を受けられない人向けに少額から広く支援をしていくDAOにする」という内容に纏まりました。 発表内容をまとめるにあたって、一番難しかったのが、資金をどこから捻出するかということでした。支援範囲を広くするのではなく、地域の学生を支援という文脈にし市単位でのDAOにし、一つが軌道に乗れば、他の市でもDAOを立ち上げていき、最終的にいくつかのDAOが集まるより大きなDAOを構築出来れば、というような内容に収まりました。 議論の際、Fractonの方々のアドバイスがやはり非常に役に立ちました。ビニール氏によって、DAOのエコシステムを考えるにあたっての重要な事項が提示されたので、迷走することなく発表を成り立たせることが出来ました。 発表も無事に行われ、質疑応答やアドバイスの際には、鈴木氏からも類似例として、Dream DAO(https://twitter.com/DreamDAO_)というWeb3.0に興味ある若い人たちに対して三ヶ月ほどのプログラムを提供するDAOや、PadawanDAO(https://twitter.com/PadawanDAO)というWeb3.0への志を持っているものの交通費がないために現地の人と交流することが難しい若い人たちに対して支援をするDAOの紹介がされました。 他の3グループも無事発表が終わり、全体として、白熱した議論がありながらも、各々の意見が反映された良いワークショップとなりました。 閉会の挨拶 [caption id="attachment_96611" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 最後、鈴木氏から、最後の挨拶がされました。 "「「Web3.0 Town Hall」から参加されている方もいますが、改めてどういう形でこの二つのイベントが行われたのかを振り返ろうと思います。最初、7月20日に「Web3.0 Town Hall」が開かれました。ここから、DAOの世界に一気にダイブするというのをしました。昨日はかなりの数のインプットが行われ、2日目が出来るかなと心配をしていました。OpenZepperinまで触ることは通常ではしませんし、ここまで皆様がついてきたというのは非常に素晴らしいことでした。最初、インターネットの話をしましたが、インターネットの急速な変化とWeb3.0の変化は被りますし、初めの講義の中で人間を介したという部分に注目をしましたが、DAOを通じてご理解していただけるかなと思います。 こちらとしても、これで終わらせるのも勿体無いので、みなさんはAragonのテストネットで(DAOのデプロイを)やりましたが、今からPolygon上でのメインネットで、「福岡市のコミュニティを盛り上げるDAO」を立ち上げたいと思います。ぜひ、この場で一緒にデプロイをしたいなと思います。皆様から頂いたウォレットアドレスがあります(※テストネットでDAOを作った際に、今回のイベントのDAOを作るということで参加者から同意の上でウォレットアドレスを集めていました)。ここにいる25人の皆様がこのDAOの管理者となります。テストネットで遊ぶというのも大事なのですが、実際のブロックチェーンに乗せるというのもハードルが高いと思いますし、福岡のコミュニティを走らせる中でここで皆様の提案としてこのDAOを走らせたいなと思っています。 メタマスクから、Polygon Networkを開いて下さい。皆様のウォレットに10円分のMATICを入れています。これは15回分の投票ができるくらい(のMATIC)です。では、テープカット並びにローンチのクリックを岩崎さんよろしくお願いいたします。」" [caption id="attachment_96546" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] ここで、福岡市創業支援課の岩崎氏が登壇し、DAOデプロイのクリックをしました。その後、岩崎氏は「これ(DAOのデプロイ)は昼に雄大(鈴木氏)さんからご提案いただきました。福岡に住んでいる者としても、これからWeb3.0を盛り上げていければなと思っています」と述べられました。 そして、最後に鈴木氏からの締めの言葉がありました。 "「我々としても盛り上げていけたらと思います。今回のイベントは普及系のコミュニティDAO CAMPです。我々も福岡市が大好きですし、是非これからも呼んで頂きたいと思っていますし、ビジネスだからという訳でなく、DAOを広めていけたらと思っています。それこそ、福岡市がWeb3.0やDAOの最先端になってもらえたらと思っています。皆様、本当に2日間お疲れ様でした。ありがとうございました。"」 その後、アンケート回答や、FUKUOKA DAO CAMPのPOAPのミントなどが行われ、最後の交流会では皆楽しく会話が弾みました。 イベント全体の感想 [caption id="attachment_96612" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] FUKUOKA DAO CAMPは、2日間、朝10時から夕方17時まで行われました。 1日目はインプット、2日目はアウトプットという形で、両日ともに非常に濃厚なイベントでした。 先日の「Web3.0 Town Hall」(7月20日)のイベントに続けて行われたということもあり、参加者の方々には、基本的にはWeb3.0やブロックチェーンのことに関して基礎的な知識がある方が多いように見受けられました。しかしながら、そうした方々にとっても、ディープな内容であったことは間違いなく、Fractonの方々の準備の徹底さや、グループワークの際の細やかな気配りなど、非常に素晴らしいものでした。 また、福岡市職員の方々の尽力も凄まじく、開催された場所も「Fukuoka Growth Next」という福岡のスタートアップを支援する施設であることもあり、福岡からWeb3.0をどんどん盛り上げていこうという気概が非常に強く感じられました。 行政と主催企業のコミュニケーションも素晴らしかったために、私自身一参加者として、一切の不便なくイベントを楽しむことが出来ました。Web3.0をしっかりと学べる良い2日間でした。 今回のイベント記事を書くにあたって、3万字ほどを費やしました。しかし、これでもまだ魅力を伝えきれてはいません。やはり実際に参加して体験するのが一番ですし、もし仮に、Fractonの方々が主催となっていたり、福岡市主導でこうしたイベントがある際には、参加することを強くお勧め致します。 非常に長いレポとなりましたが、読んで下さりありがとうございました! (謝辞) 今回のイベントを主催するにあたって尽力して下さった福岡市職員の皆様。私の突然の取材を快く受け入れて下さるだけでなく写真提供もして下さったFracton Venturesの皆様。興味深いお話をして下さった登壇者の皆様。イベントに来て下さった来場者の皆様。その他全ての方々に、この場を借りて改めてお礼を述べさせて頂きます。ありがとうございました。
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2023/08/147月29日、30日に福岡市で開催された「FUKUOKA DAO CAMP」の潜入レポート(1日目)
7月29日、30日の2日間にかけて、DAOを集中的に学ぶイベント「FUKUOKA DAO CAMP」が、Fukuoka Growth Next(https://growth-next.com/)にて開催されました。 このイベントは福岡市からの委託を受けたFracton Ventures株式会社(https://fracton.ventures/)によって開催され、「福岡におけるWeb3.0の機運の醸成及びプレイヤーの創出」を目的として行われました。 1日目(7月29日)は、Web3.0とDAOの概要のレクチャーが行われるインプットの日でした。また、午後からはAstar Networkの渡辺創太氏の登壇もあり、質疑応答に花が咲きました。 2日目(7月30日)は、実際に様々なDAOツールを使いながら、実際にDAOを立ち上げるところまでを行うアウトプットの日でした。 この記事は、筆者が当イベントに参加した際のレポであり、1日目(29日)のものとなります。2日目からは一参加者としてグループワークにも参加しましたので、私の体感もお伝え出来ればと思います。 また、当イベントレポートは私の主観で書かれたものであること、引用している登壇者の文言や言い回しに関しては、必ずしも厳密に文字起こししたものではないことをあらかじめご承知おき下さい。 開会の挨拶 [caption id="attachment_96594" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] まず初めに、Fractonの亀井聡彦氏から、開会の挨拶がされました。 「おはようございます。亀井です。Fractonはエコシステムを盛り上げるために活動しており、インキュベーションをメインに行なっています。今回のイベントは福岡市と一緒に取り組んでいます。過去には19社ともインキュベーションを行なっており、ハッカソンも行なっています。我々はDAO関連に可能性を感じており、最近では、DAO TOKOYO 2023を開催しました。インプットもアウトプットも多い2日間になるかと思います。レベル感も探りながらになるかと思いますが、DAOやWeb3.0全般の話をしながら、細かいツールの話にも関わっていければと思います。朝早いですが、皆様で盛り上がっていけたらと思います」 次に、福岡市創業支援課の紫垣氏から、挨拶がされました。 「おはようございます。創業支援課の志垣です。今日、我々が期待していることとしまして、Web3.0には福岡市も力を入れており、この施設は創業(支援)施設なのですが、来年スタートアップの支援をさせて頂ける人が、この中から出てきて貰えればと思います。今日は渡辺創太さんも来られますが、そのような方を超えてくる方が出てきてくれればなと思っています。市としても、地域の課題を解決というように、幅広く活躍される方が出てきれくれればと思います。今日はよろしくお願いいたします」 その後、1日目のタイムテーブルの説明がされました。 DAOとはある種の箱であり、それをうまく活用するためには、DAOの目的や活用方法や実際の取り組みを理解することが重要です。 この日(1日目)は、DAOの具体的な話となる前に、Web3.0とは何かという根本の話から始まりました。 Webの歴史:登壇者・鈴木雄大氏 この回では、Fractonの鈴木雄大氏(https://twitter.com/9dai_5)が登壇されました。 内容は、Webとはそもそも何なのか、どのようなWebの歴史の延長線上に今の我々が触っているWebが作られており、それらを踏まえてこれからのWebの可能性についての話がされました。 インターネット史 インターネットの歴史を振り返る際の主要なマイルストーンとして、以下の事例が挙げられました。 [caption id="attachment_96297" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] インターネットの前身となったのが、1969年の「ARPANET」です。初期のネットワークノードは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、SRIインターナショナル、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、ユタ大学の4箇所で稼働されました。それぞれのローカルの環境を繋げることが出来たことに意義がありました。 そして何より重要なのが、1990年の「WWWの誕生」です。1989年にCERNに勤務していたTim Berners-Lee氏によって開発され、これは当初は科学者間の自動情報共有を目的としていたのですが、パブリックドメインにし、オープンライセンスでリリースすることで、現在にまで至るWebの繁栄をもたらしました。 現在のインターネットの原型が形作られたのは1990年であり、インターネットの歴史は実はかなり浅いことが窺えます。しかしながら、インターネットはもはや社会インフラとして非常に重要なものになっています。 [caption id="attachment_96299" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 鈴木氏は、Web1.0はいわば、ウェブ上のショーケースを可能にしたものであると述べます。そしてWeb2.0は、Tim O'Reilly氏とDale Dougherty氏によって提唱されましたが、これは、明確にWeb2.0という区切りがある訳ではなく、Web3.0が出てきたから遡及的に定義された面もあります。 Web2.0の特徴として、ユーザー生成コンテンツ、参加型ソーシャルウェブといった、ソーシャルメディアの中で互いの交流やコラボレーションを可能にするものであり、基本的にWeb2.0はWeb1.0の強化版であると言えます。これによりユーザーが自発的に発信していく世の中になっていきました。 Web1.0の特徴を「テキストを発信」、Web2.0の特徴を「みんなで交流」であるとするならば、この二つは地続きのものと捉えることが出来ます。こうした流れを踏まえていれば、Web3.0の方向性やその流れを掴むことが出来るのではないでしょうか。 鈴木氏は、Web1.0の始まりを1990年ごろ。Web2.0の始まりを2010年ごろからと考えれば、今の我々は未だWeb3.0の枠組みの頭に入っている頃なのかもしれないと述べました。 今回のイベントはDAOに焦点を当てたものです。しかしながら、こうしたインターネットの文脈を分かった上での方が、多くの情報が流れてくる中で自身が真に重要だと思える情報を質よくキャッチアップ出来ると思いました。 Web3.0の概要と思想:登壇者・ビニール氏 [caption id="attachment_96595" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] この回では、Fractonのビニール氏(https://twitter.com/vvinyll)が登壇されました。 内容は、ブロックチェーンの基礎知識に焦点を当てたものであり、Web3.0とは何なのか、またその具体的なユースケース(NFT、Defi、Refiなど)が述べられました。 その昔(といっても数年前ほどですが)には、Web3.0という言葉はありませんでした。その為、時たまWeb3.0はブロックチェーンや仮想通貨のリブランディングであると揶揄的に言われますが、それは違うとビニール氏は述べました。 そもそも、Web3.0とは何を指すのか、というのは人によって意見の違いがあるかもしれません。ここで、ビニール氏は「ブロックチェーンを使っているかどうか」であると述べ、より具体的に「スマートコントラクトを分散で運用しているかどうか」と表現しました。 (余談ですが、ビットコインにはスマートコントラクトが含まれていないので、ビットコインはWeb3.0ではないと主張する人もいます) 誤解されがちで且つ難解なブロックチェーンですが、段階を踏みながらの解説がされました。 ブロックチェーンの意義 [caption id="attachment_96300" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] ビニール氏は、ブロックチェーンの意義として幾つかの例を挙げましたが、重要なのは大きく二つ「インターネットにユニバーサルステートレイヤーが出現したこと」と「データに秩序がもたらされたこと」でした。 ユニバーサルステートレイヤーが登場することによって、特定のデータセンターが攻撃されても、他のデータセンターが無事であれば、永久的にデータが失われることはありません。また、ブロックチェーンによって、データに順番や正しさが生まれました。 また、ビットコインやイーサリアムが誕生した経緯にも言及されました。ビットコインは2008年に誕生しましたが、当時はリーマンショックが発生しており中央通貨に対する不安が出てくる中で登場しました。 ビットコインが送金目的な一方で、イーサリアムは汎用的なコンピューターのためのデータベースとしてのブロックチェーンとして誕生しました。クリプト技術の中には、スマートコントラクトという、仲介を必要とすることなく自動履行されるプログラムがありますが、これは後々に説明するようにDAOに欠かせないものとなっています。 ブロックチェーンに対する誤解 暗号資産はやはり、一般世間から怪しいものという評価を受けているのは間違いありません。しかし、誤解されている部分も多いとビニール氏は指摘します。 ビットコインなどの暗号資産が詐欺の手口に使われているのは事実であるものの、ビットコインはブロックチェーンの一種類に過ぎないことや、マウントゴックスやコインチェックで過去あったようなハッキング事件はあるものの、これはブロックチェーンがハッキングされたのではなく、取引所のシステムがハッキングされたということが説明されました。 中間を排除し、P2Pへ 次に、個人間のやり取りへと話は移りました。 Web3.0の特徴は、仲介を排除して個人間の直接的なやり取りを実現するという部分です。例えば、不用品を売るのであっても、中古ショップで売るのと、フリマサイトで売るのとでは、引き取りの際の金額と店頭での売価の開きという点では、後者の方が少なくなります(即ち、手元により多くのお金が残ります) このように、中間(ミドルマン)を排除することで、自由な個人間のやり取りが成立し、それは個人により多くの力を与えることに繋がるとのことです。 また、それを実現する際には、情報の自己管理も欠かせません。Web1.0ではユーザーネームとパスワードが必要ですが、全てを管理するのは面倒です。Web2.0では、GoogleやFacebook(Meta)やtwitter(X)といったような大企業のアカウントを使ってログインします。後者は便利ですが、個人情報が一企業に一元管理されており、いざ乗っ取られてしまうと大問題となります。そこで、メタマスクなどを活用することで、規格の統一化且つ、匿名化が実現されます。 つまりは、Web1.0はサーバー単位で、Web2.0はプラットフォーマー単位で中央集権的である一方、Web3.0は分散的という決定的な違いがあります。 そして、そうした非中央集権の中で信頼できるものが、スマートコントラクトであり、コードが法律(Code is law)となるのです。また、ブロックチェーンによる検証可能性があることで、情報の透明性が確保されると説明がされました。 歴史的な「信頼」の変化 先ほど、スマートコントラクトを信頼できるものとして挙げましたが、これは信頼の形が変化しているものと考えられます。つまりは、政府といった社会制度への信頼から、FacebookやAirbnbといったプラットフォームへの信頼へ移り、プロトコルへの信頼というような変化です。 [caption id="attachment_96301" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] ビニール氏はここまでWeb3.0について述べてきましたが、必ずしもWeb2.0から完全な移行がされるということはないし、恐らくはWeb2.0とWeb3.0が共存する形に収まるだろうと補足しました。 個人的には、プラットフォームへの信頼により、企業価値とサービスの価値が入れ替わるという指摘が非常に興味深かったです。 これまでは企業が上にあってその下に自社プロダクトがあるという形でサービスが提供されてきましたが、Web3.0においては、パブリックプロトコルがまずあって、その下に多くの企業がいる形となっています。 これによって、企業が顧客やユーザーデータを囲い合い、企業間連携があまりないという現在の形から、企業はパブリックスペースにアクセスし、データを参照し、サービス間でデータの受け渡しが容易というように変化するというのが、非常に革新的な変化ではないかと思いました。 その一つの形態は、NFTでしょう。NFTという形態をとることで、デジタルでも供給量の制限をしレアリティの設計が可能になり、追跡可能且つ容易に二次販売が可能になり、作者へのロイヤリティが入ってきます。 これまで企業及びその会社が提供するサービスはイコールで考えられてきましたが、そうした前提がWeb3.0の中でひっくり返ることがあるのかもしれないと思いました。 Refi(Regenerative Finance)とは? [caption id="attachment_96303" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] このセクションの中で、初耳で面白いと思ったのは、「ReFi」という試みでした。 これは “Regenerative Finance” の略称であり、ブロックチェーン技術を用いて、長期的に環境問題や社会問題を解決しようとするアプローチです。 重要なのは、維持ではなく再生という部分で、ブロックチェーンを利用してトークン化し、アクセス可能で透明性を確保することで、現在の経済システムでアプローチできなかった領域にアプローチするというものです。地域社会単位で地域経済の再生にコミットすることが可能になるとのことです。 Web2.0 & Web3.0 [caption id="attachment_96304" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] ここまでのセクションでは、Web2.0とWeb3.0への流れや、Web3.0の試みについて語られてきましたが、重要なのは、Web3.0は単純なWeb2.0の進化系という訳ではなく、組織のあり方や課題解決方法など、社会全てを変えていくパラダイムシフトであるということでしょう。 Web3.0において重要なのは、やはりスマートコントラクトです。フロントエンドは一見シンプルに見えても、その裏にはスマートコントラクトがあり、そこに価値があります。またプロトコル層は社会インフラになるので自社で抱える必要はないというのも魅力的でした。 もしこのままWeb3.0の流れが進んでいけば、既存の社会システムは、ユーザーが気づかないままにプロトコル層からコードに置き換えられていくのかもしれません。 質疑応答 Q. DAOはどのように資金調達をしているのですか? A. まず前提として、DAOは決して高尚なものではありません。例えば、一番綺麗なDAOと聞かれた時、多くの人はビットコインと答えたりします。その上で話せば、普通にVCから資金調達したり、自分たちでトレジャリーをNFTで出したりしてお金集めたりしています。まだ、DAOを綺麗に分散化しているところ(事例)はあまりないように思われます。 Q. Refiをしようとした時、資金調達などかなりの規模が必要になると思いますが、その辺りはどのようにしているのですか? A. 今あるものでも小規模であったり、持続可能なものであるのはまだないように思います。資金調達という部分では、自分たちのトークンを発行してユースケースを作って、ユーティリティを作ってトークンの価値を担保するとかしかないかもしれません。マネタイズできるかと言えば、現状かなり難しいです。また、環境に携わっている人たちは、自分の身を削りがちな傾向にあります。まだマーケットが出来ていない事もありますし、今後とも模索していく必要があります。地方都組んで地方創生の文脈でやっていって、スケーリングをしていくというのが今現在のアプローチになっているのではないでしょうか。 DAO入門:登壇者・寺本氏 [caption id="attachment_96596" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] この回では、Fractonの寺本氏(https://twitter.com/salmon_crypto)が登壇されました。 内容は、より深くDAOの歴史を概観した上で、DAOをより具体的に見ていくといったものでした。 DAOとDAC まず、DAOの前に、DAC(Decentralized Autonomous Corporation)が提唱されていたことが説明されました。 DACはDaniel Larimer氏によって2013年に提唱された、「価値を単一の個人、企業、組織に依存せずに社会に商品やサービスを提供する分散型システム」のことです。これは分散型システムであるものの、あくまでも企業の一つの形であり、基本として利益の追及があります。 一方で、2014年にVitalik Buterin氏によって提唱されたのが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)です。DAOはスマートコントラクトという、プログラム化されたルールによって管理される組織です。従来の組織では、CEOがいてそこから階層的に組織が作られますが、DAOであれば、ユーザーやデベロッパーやマイナーや取引所が、網の目のように繋がります。あらゆる参加者が合議で決めるため、階層構造がないですし、必要がありません。 寺本氏は、重要なのは、従来型の組織とDAOのどちらかが優れているということではなく、意思決定の速度や質を鑑みながら、どちらが良いかを考えないといけないと指摘しました。 DAOは新しいコラボレーションの形である DAOはブロックチェーンの登場のよって可能になった新しいコラボレーションの形であり、ブロックチェーンの利用を前提としています。 また、平等なあり方を実現するために、インセンティブのあり方が重要になってきます。従来の組織であれば、上にいけいくほど責任も大きくなり、報酬も大きくなります。しかしDAOでは全員が平等なので、積極性が損なわれる恐れがあります。そこで、積極的に動かせるためのインセンティブが必要になってきます。 様々なタイプのトークンを利用して、参加者のインセンティブを調整し、組織(コミュニティ)に貢献すればするほど個人も報われる仕組みになっています。これによって、いろいろな立場の人や組織がおそれぞれの立場から貢献できるフラットな構造となっています。 他にも、DAOは匿名経済が成り立ち、(身分や地域に関係なく)自身の能力によって働けるので、それもDAOのメリットの一つです。 DAOはどのように運用されているのか [caption id="attachment_96307" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] DAOの運用内容は、大きくオンチェーン上のものか、オフチェーンで行われているかに大別され、その両方が活用されます。 オンチェーン(ブロックチェーン内で実行)では、スマートコントラクトによって自動化され、議決権としてガナバンストークンが利用されます。 オフチェーン(ブロックチェーン外で実行)では、Discordといった場所でコミュニティが形成され、フォーラムで議論されたりしています。 この形態をとる理由として、ブロックチェーン上で動かす以上のコストがかかるため、投票はオンチェーンでするけれども、それに至るまでの議論は別のところでするとのことでした。また、オンチェーン投票のメリットとして、議決の反映はスマートコントラクトが自動でしてくれるため、手作業故の意図的な変更や、ヒューマンエラーが発生することがないことが挙げられるとのことでした。 様々なDAOの形と具体例 次に、DAOには大きく8つの形があることが説明されました。まずはそれらを箇条書きであげてみます。 Protocol DAO:プロトコルを管理するためのDAO。ERC-20トークンをガバナンスに使う発想の原点。コアチーム主導の運営から徐々にコミュニティドリブンにシフトしていくのが一般的。(例:Compound、Curveなど) Grant DAO:助成金をプロジェクトに提供する。資金はDAOメンバーを含むコミュニティが寄付。資金の配分はコミュニティが決定。(例:AAVE Grantなど) Philanthropy DAO:社会的責任への貢献。実世界との強い繋がりを持つ傾向。基本的には慈善活動。(例:BIG GREEN DAOなど) Social DAO:メンバーは共通の価値観・関心を持つ。その証明のため参加には、メンバーからの招待、NFTの保有といった条件がつく。(例:FWB、PazzaDAO、APE、など) Collector DAO:何かを収集するためのDAO。収集対象が一つだけの場合、それに失敗した・失われた場合には解散も。(例:Flamingo DAO、Constitution DAOなど) Investment DAO / Venture DAO:VCのようにアーリーステージの企業に投資したり、実世界の資産を共同所有したりする。投資状況を常にブロックチェーン上で監視できる。(例:MetaCartet Venturesなど) Media DAO:メディアをDAOとして運営する。コンテンツの受け手は一般の人々であることもあればDAOのメンバーであることも。広告に対するスタンスや編集方針など、DAOとしての特色は様々。(例:Decryptoなど) Servise DAO:特定のスキルを持つ人が集まり、1つのDAOとしてサービスを提供するDAO。提要するサービスは開発やデザインなどが考えられる。顧客は基本的にwe3業界。(例:Developer DAOなど) そして、具体的なDAOの解説もされました。その中で個人的に興味を引いたものをいくつか紹介しようと思います。 Links DAO [caption id="attachment_96526" align="aligncenter" width="800"] Twitterヘッダーより引用。[/caption] 一つは「Links DAO」(https://linksdao.io/)です。これはゴルファーたちによるDAOであり、各地でメンバーによるイベントが開催されていたりしますが、何より注目を集めたのは、今年2月にスコットランドでゴルフコースを購入したことでしょう。これは投票による決定に基づいて行われました。 Pudgy Penguin [caption id="attachment_96527" align="aligncenter" width="800"] 公式サイトから引用。[/caption] 他には、「Pudgy Penguin DAO」(https://pudgypenguins.com/)です。これはふっくらとした体型のペンギンのNFTを販売するDAOなのですが、実は現在の経営チームは同NFTのホルダーによって構成されており、元の経営チームからプロジェクトを買収する形で誕生したことが背景としてあります。オンチェーン投票は行われず、経営チームを中心にコミュニティの声を取り入れながら運営されていることが特徴です。 このコミュニティは非常に商売が活発です。買収した人はおもちゃ屋さんの経歴を有しているのですが、このNFTのデザインと元にしたおもちゃを販売し、その収益が同じ柄のNFTホルダーに入るといった形でエコシステムを構築しています。 この他にも、米国憲法を集めるDAO(Constitution DAO)や、町おこしの一環で運営されているDAO(山古志村DAO)などあり、非常に興味深いコミュニティが数多く構築されていることが紹介されました。 DAOの探し方 DAO紹介の最後、具体的なDAOを探す方法が紹介されました。例えば、データプロバイダーとしてダッシュボードを提供している「Messari」では、々のDAOの構造などに関するリーサーチ記事も公開されていることや、DAOのためのデータ分析サイトとして「DeepDAO」があり、メンバーシップや管理下にある資産などのいくつかの主要な指標を使用したDAOのランク付けがされていることなども紹介されました。 また、補助ツールとして、DeepL(翻訳ツール)やCoinGenko(トークン情報のダッシュボード)を参照するのも非常に有用との解説がされました。 DAOのこれから:登壇者・亀井氏 この回では、Fractonの亀井氏(https://twitter.com/tolehicoJP)が登壇されました。 内容は、これまでのDAOの解説を踏まえて、これからのDAOの将来と社会との有り様を考察するという内容でした。 社会はこれからどこへ変化しようとしているのか [caption id="attachment_96528" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] まず、マクロ単位での問題として、社会がどこに向かっているのかの疑問があると問いかけがありました。経済成長の限界と、持続可能性の理論があり、資本主義の先を見据えて、社会のあり方を見直す必要がある時期に来ていると述べられました。 そして、その中で以下の二つの指摘がされました。 社会の流れの作り方:「競争・独占」から「共創・コラボレーション」へ。 アウトプットの方式:「事業・プロダクト・サービス」から「コモンズ」へ。 Web3.oにおける活動のあり方はSNS上で数多く語られていますが、あまり具体的な部分にまで且つ、質良く掘り下げたものはあまりありません。このセクションではそうした話を具体的に論じたものであり、個人的に非常に新鮮な内容でした。 また、「信頼」の方式が変化していると指摘もあり、 法や制度をトラスト プラットフォームをトラスト プロトコルをトラスト この段階で変化しているとも述べられました。 他にも、トークンが発明されることで様々な形の資本が登場していること、例えば、Stepnは、物理的な努力/経済資本をトークン化しているとし、トークンは通貨的であるだけでなく、資産的でも会員的でもあり、様々な性質があることが述べられました。 Web3.0の本質:「コラボレーション / コーディネーション」と「コモンズ」 [caption id="attachment_96529" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 亀井氏は、Web3.0の本質は、「コラボレーション / コーディネーション」であり、それはオープンソース×インセンティブ設計であると述べました。こうしたコラボレーションの新しい形として「DAO」があり、そこから、 “Company” ではなく、 “Human Coordination” の新しい形式が発生するとのことです。 次に、Webの歴史への言及がされました。その上で、コーディネーションの歴史として捉え直してみることが大事だと、亀井氏は述べます。 [caption id="attachment_96530" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] Webの歴史が「Web1.0→Web2.0→Web3.0」とすれば、コーディネーションの歴史は「部族→国家→市場→ネットワーク→ブロックチェーン」であり、この流れをWebの歴史に当てはめるのならば、以下のような仕組みになっているとのことです。 Web1.0(部族→国家→市場)→Web2.0(インターネット)→Web3.0(ブロックチェーン) また、「市場・国家」の枠組みで、ビジネスや経済合理性や再分配や税金がある一方で、「コモンズ」の枠組みでコミュニティやSNSやブロックチェーンがあるとの説明もされました。 Web3.0ではP2Pを重視しており、個人間の結びつきがWeb2.0以上に重要であると言われます。しかし、それがいったいどのような思想や世界観を背景として語られているのかはあまり明瞭にはなっていないですし、それを語れる方も少ない印象です。それもあり、この亀井氏の論は非常に新鮮に思えました。 公共へのアプローチ 話はビットコインに進み、ビットコインは通貨でもデジタルゴールドでもなく、「誰も止めることができない世界の公共財」であると語れられました。 そして、公共的なインフラとしての革命として、以下のことを特徴として挙げました。 止められない:プロトコルは誰にも止められない。基盤となるブロックチェーンが存在する限り実行される 無料:基本的にプロトコル全体の手数料は0%。ガス代のみで動く。 価値がある:所持者がアクセス可能で実行可能な価値を得ることが出来る。 拡張性:プロトコル参加者へのインセンティブが組み込まれている。 パーミションレス:検閲に強い。仕組みやプロトコルのルールを無断で独断で解除や変更することが出来ない。 プラスサム:同じインフラ利用によるwinwinの環境を作り出す。 信頼のできる中立性:プロトコルはユーザーに依存しない。ユーザーはコードの前に平等。 クリプトは思想的であるとよく言われますが、これらのことを前提とすればそれも納得です。 公共財の視点 次に公共財の視点の重要性を亀井氏は指摘しました。 財にはいくつかの種類があります。まずは、競合性と非競合性という視点から分類が出来ます。 競合性とは、消費するとマイナスになる性質を持っています。 非競合性は「消費してもマイナスにならない性質を持っており、例えばネットフリックスのようなものは、いくら観てもコンテンツそれ自体が減る訳ではないので、非競合性に分類されます。 そして、もう一つの軸として、排除性と非排除性という視点からも分類が出来ます。 排除性とは、特定の消費者を消費から排除する性質のことです。例えば、ネットフリックスはお金を払わないと消費できないので、排除性を有しています。 非排除性は、常に誰でも利用可能ということであり、空気などがこれに分類されます。 これらによって四つの種類に分類がされますが、これらに対するアプローチがDAOによって変わるのではないかとのことです。 [caption id="attachment_96531" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 例えば、「クラブ財」(非競合性×排除性)や「共有財」(競合性×非排除性)に対するアプローチが変わることが挙げられます。そして何より重要なのは「公共財」(非競合性×非排除性)に対するアプローチです。 「公共財」という領域にはこれまで行政くらいしかアプローチすることが出来ませんでした。そうした領域にDAOはアプローチ出来るとのことです。 これまで、公共財を供給するには、市場や国家の観点からしても、独占や非効率的といった短所がありました。しかし、コモンズという形態をとることによって、コミュニティが決定したインセンティブを実装できたり、迅速で柔軟な対応が可能になっていくと亀井氏は述べます。 従来型組織とDAO:どのようにしてDAOになっていくか 次にプロトコルを支えるという視点から、従来型組織とDAOの比較がされました。それぞれのメリットやデメリットの比較がされましたが、全体的な傾向として組織はよりオープン化していくのではとのことです。 [caption id="attachment_96532" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 大抵の場合、初めからDAOという訳ではなく、法人からDAOベースのコミュニティに段階的に分散化していきます。 通常、普通の株式の上場はスタートアップから7年ほどかかります。しかしながら、クリプトの業界であれば3年で上場したりすることも珍しくありません。ここでいう上場とは、トークン発行などの取引所への上場のことを指します。このようにトークン発行という形態がクリプト業界にはあるため、初めは企業やチームであっても、徐々に管理されたネットワークで運用したり、最終的にトークンで分散化をするといったような段階を踏むことが多いとのことでした。 株式の形態との違いとして、ステークホルダーが同じ方向を向くということにも注目です。株式会社であれば、課題解決を求めるユーザーと、成長や売上を求める企業と、LPへのリターンを求めるVCや株主の間で、方向性がそれぞれ違うことは珍しくありません。しかし、Web3.0の世界では目的がコモンズで統一されているため、ユーザーとプロジェクトと投資家が繋がることが出来、同じ方向性を向くことが出来るのです。 DAOは未だ成長途中。DAOで働く醍醐味。 DAOは今現在、その規模をどんどん大きく伸ばしています。 現在の、DAOのトレジャリーは225億ドルにも上り、セキュリティやトレジャリーマネジメントといったDAOを対象としたプロジェクトも数を増やしています。 その他にもDAOで働くことのアンケートも公表され、「実生活ではお互いにあったことのない人たちが一緒に仕事すること」や「クリプト分野における最先端にアクセス出来る」といったメリットや、「より多くの特権的な情報を持っているメンバーが決定においてより大きな影響力を持っている」や「もう少し構造が必要」といった不満の声も紹介されました。 質疑応答 Q. DAOで働く際、給料はどうなるのか? A. DAOによって給与提携は異なります。こうした働きをするとこういったトークンがもらえるということが明記されているところもあれば、プロポーザルで「こうしたことをした人間はこうした収益をもらうべき」というような案を出すことも出来ます。 また、給与水準がグローバル水準になるので、その人の国ではもらえないような高い水準の給料をもらうことも可能になります。 Q. 最終的には、DAOはフラットな会議体になるのでは? A. 特定の組織の中であったり、DAOそれ自体が会社となるのではなく、会社でも関われる個人でも関われるといった大きな輪っかをDAOと言っていいのでは。後ろに会社がいるとなると、実質的に入社や副業という形になってしまいます。(そのように)がっちり固めてしまうと、良い人材を逃してしまう可能性もありますし、ゆったりとした枠組みにする方が、いい人材も入ってきてくれるのではないでしょうか。 他にも、最初は開発会社だったけれども、トークンを配った結果、DAO的になる可能性もありえます。DAOが特定の会社としてではなく、いくつかの会社がDAO的な繋がりを持つということも出来ます。しかし、法律的には、会社法をどうするかといった話にもなりますし、その在り方は結構考えないといけません。ある種のノリが大事であって、イノベーションをやる側はグレーも重要という考えもあるのではないでしょうか。合法か脱法かではなくて、一緒にルールを作っていくという意識でもいいのではないかと思います。 Q. 企業の話として、メンバーシップに加入しているお客様とDAOが出来るのではみたいな話がありますが、企業の下でDAO(という形態)は出来ますか? A. Uniswapみたいな感じのDAOの形態はありますが、日本でとなるとちょっと分かりません。ただ、ガイアックスさんのところでは「美しい村DAO」があります。見た目上そうなっているだけかもしれませんが、ガイアックスさんの方も現在、進められている最中です。プロジェクトレベルで立ち上がっている例もあります。こちらとしても会社が持つDAOというのを調べないといけませんが、会社を持たないことをDAOの良さの一つとしてこちらは考えている部分もありますし、色んなあり方もあるのではないかと思います。 「Mass Adoption After the Bear Market」:特別ゲスト・渡辺創太氏による講演 [caption id="attachment_96533" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 渡辺創太氏は、日本初のブロックチェーンとしてAstar Networkを立ち上げ、Startale Labsにも尽力しており、最近ではSonyとの協業を発表しています。今回は「Mass Adoption After the Bear Market」との題名で発表をされ、渡辺創太氏のビジョンについて語られました。 以下、講演部分及び質疑応答の部分は、書き起こしの形で記載していきます。*以下敬称略 Astar Networkのビジョン 渡辺:Astar Networkのエコシステムとして、Astar財団とStartale Labsの2つがあります。Astar財団では、トークンの管理や非営利的な活動をしています。Startaleの方は営利企業なので、Astarではないプロトコルもどんどんやっていきます。Startaleは1月に設立し、6月から活動しています。Sonyとの資本提携や日本銀行の実証実験の取り組みにも参加企業に選ばれています。 [caption id="attachment_96598" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 渡辺:Startaleのミッションは、 “Web3 for Billions” 。暗号資産の世界のデイリーアクティブユーザーは極めて少ないのが現状です。そうした中で、(今の状況は)Web2.0で使っているようなAmazonだとかTwitterといったような企業が、出てくるタイミングではないかと考えています。 何故このようなことを考えているかというと、今はチャンスの時期だと考えているからです。 [caption id="attachment_96534" align="aligncenter" width="800"] 渡辺氏のTwitterより引用(https://twitter.com/Sota_Web3/status/1680813443463663616?s=20)[/caption] 渡辺:現在、新しいスタートアップ企業の設立数はかなり落ち込んでいます。Astarが創業したのは、2019年で、(2018年の暗号資産)バブルが終わった頃です。その後、DeFiの夏が来たりしましたが、今はご存知の通り冬の時期ですね。とはいえ、2015年とか2016年とかと比べれば暖冬ですけれども。 2019年で事業を作ったことの良い面として、その後の盛り上がりで、波に乗ることが出来たことです。また、マーケットに注目されていないこともあって、きちんと開発することも出来ました。今の設立数は、実は2011年とか2012年と同じ水準であってチャンスな時期です。やはりタイミングが一番大事です。Startaleも今の時期に設立したので、次の良い波が来たら1兆円に行きたいなと考えています。 何故、キラーユースケースがないのか 渡辺:現在の問題として、メタマスクでネットワークの設定を変えないとトークンが表示されないといった問題があります。ちょっと勉強すればできますが、そこら辺の子供やお爺ちゃんやお婆ちゃんは出来ません。一方で、インターネットは誰もが使えています。というのも裏側のプロトコルを意識しなくていいからです。 (インターネットの)プロトコル層やインフラの話題なんて、お爺ちゃんやお婆ちゃんから出てきません。となれば、今後ともレイヤー1とか2とかを意識していかなくてもいいのではないでしょうか。将来的にインフラではなくて、その上のアプリで競争するようになるのではないかと考えています。 現状、イーサリアムだとかのレベルで価値が生み出されているのであって、アプリそのものでサスティナブルに価値を生み出しているものはないのではないでしょうか。 まだ “Billion” に開かれていないのは、まず使い勝手の悪さと、キラーユースケースがないからでしょう。後者の仮説として二つあります。一つは「垂直分業しているから」。一般ユーザーが使うのはアプリですが、ユーザーだけだとブロックチェーンにアクセス出来ません。ウォレットなどを介して、接続しています。(アプリの)開発をするにあたって、ウォレットやindexerとかノードマネジメントなどが壁になります。 [caption id="attachment_96535" align="aligncenter" width="800"] 渡辺氏のNoteより引用(https://note.com/sota_watanabe/n/n49002a4c2a74)[/caption] 渡辺:キラーユースケースが出ていないのは、最も上の層であるアプリを、ユーザーが使うのに、(ユーザに合わせるのではなく)ブロックチェーンに合わせてアプリを開発しているからです。本来はユーザーからの要望に合わせて、アプリの方の開発をするべきです。車で例えると、エンジンやボンネットを作るプロフェッショナルはいても「車」を作る人がいない、垂直に統合してくれる人がいないという感じです。 [caption id="attachment_96536" align="aligncenter" width="800"] 渡辺氏のNoteより引用(https://note.com/sota_watanabe/n/n49002a4c2a74)[/caption] 渡辺:もう一つは、リアルアセットとオンチェーンのブリッジの不足です。そもそも、現在、Web3.0のマーケットキャプと、既存金融のマーケットキャプの規模は全く違います。Startaleとしては、将来的には前者が膨れて、後者から(資本が)流れてくるはずなので、そのブリッジをしていきたいと考えていますし、Sonyとはグローバルなインフラストラクチャーを作る予定です。将来的に、Startaleのサービスのクラウドを作っていきたいですね。 垂直統合によってより優れたアプリを開発 [caption id="attachment_96537" align="aligncenter" width="800"] 渡辺氏のNoteより引用(https://note.com/sota_watanabe/n/n49002a4c2a74)[/caption] 渡辺:Startaleは先ほどのレイヤーを垂直に繋げたいと考えています。ブロックチェーン上のデータをすぐに参照できるようにしたいです。ノードを持っていないとトランザクションをしたりすることができないので、今はそれを作っています。 「App」、「Wallet」、「Indexer」、「Node Manegement」、「Blockchain」という上から下への層があります。今現在、(Astarは)IndexerとかNodeを作っていないので、情報を手に入れようと思ったら六ヶ月くらいかかってしまいます。それを自分で作ることで、ユーザビリティを改善していきたいですね。 分散や分権で何をするのかが大事 渡辺:分散や分権は勿論大事です。でもそれは状態の名前であって、分散していることによって何が嬉しいのかが大事でしょう。個人的には、分散することによって、選択肢(権限)が増えることが良いことであると考えています。集権的ではなく自分でデータをコントロールする。仮にコントロールすることが面倒だとかでしたくなかったら、Amazonみたいな感じで(企業に)情報を渡せばいい。 Web2.0の上にWeb3.0のレイヤーができる感じであって、その方が、上手くいくのではないでしょうか。データのプライバシーに気にかけない人もいるし、人それぞれが好きな方を選べばいいと思います。 プロジェクト実装事例 渡辺:現在のプロジェクトの紹介をしていきます。まずは、Sushi Top Marketing社の実装事例です。セブン銀行ATMでのNFT募金キャンペーンですね。 これは単発では意味がありません。革新的なのは、募金したことがあるという履歴によって、オンチェーン上のアクティビティによって、フォロワーさんの数云々ではない形で、その人物が評価されるというのが良いのではないでしょうか。 他だと、JR九州NFTマーケットプレイスですね。まだ構想があるわけではないのですが、例えば、Suicaだとかと連携して、特定の駅を通過したらNFTが貰えたり、それによって何らかのディスカウントが貰えるとかいいんじゃないでしょうか。 Startaleの計画 [caption id="attachment_96538" align="aligncenter" width="800"] 渡辺氏のNoteより引用(https://note.com/sota_watanabe/n/n49002a4c2a74)[/caption] 渡辺:Startaleのゴールとして「1年以内に日本を代表する大企業に」、「2年以内にブロックチェーンのソリューションを垂直統合」、「4年以内に、伝統金融とWeb3.0のブリッジ」、「5年後にキラーユースケースを作り上げる」ということを計画しています。 Astar2.0でトークンエコノミクスの変更したり、Supernovaという新しい試みが9月に発表予定ですので、注目して頂けたらと思います。 質疑応答 Q. Astarは様々な取り組みをしていますが、どうしてプラットフォームを作ったのですか? A. 前提として、プラットフォームは作っていません。ジェネラルな話をすると、AmazonとかAppleといった巨大な企業はいますが、そうしたところではNFTのプラットフォームはやりにくいという現状があるのではないかと思います。Web3.0 Appの最大の障壁は、Appleだったりします。なぜなら、Appleの収益として、30%の手数料を取っているので、AppにDEXを乗っけると(Appleの)収益が出ません。なので、Web2.0ビジネスと対立してしまうからですね。 Q. 手数料といった障壁がなくなれば、Web2.0からWeb3.0に動けるようなUXが作れると思いますか? A. そうは思いますが、手数料をなくすとかはしないと思います。 Q. アプリケーションを開発しています。垂直的な開発という話やキラーユースケースの話があり、共感していました。どういった部分がキラーユースケースになると思いますか? A. 垂直統合の話となると、iOSとAndroidの違いが挙げられるかと思います。最近だとチップまでもAppleは作っていますし、開発だけでなく実店舗もあるなど、垂直統合型のエクスペリエンスがあります。一方で、Androidは、チップもいろいろなところが提供したり、いろんな会社がスマホを作ったり実店舗も違っていたりします。最近だと、テスラですかね。ここは車だけでなく電気の充電の規格まで開発してます。 こちらとしては、既存金融をWeb3.0をこちらに持ってくるというのが強みかもしれません。債権だとかの取引をDEX上で出来るようになると、平日だけでなくて24時間365日間いつでも取引することが出来ます。NFTの例だと、カルビーのものでは、商品をスキャンすればするほどNFTが大きくなっていきます。しかし、カルビー側は「0x〜」といったアドレスしか分かりません。しかし、情報を渡せば新商品といった特典をもらえるというような仕組みに出来るかもしれません。 Q. 垂直統合に取り組まれているとのことでしたが、アバランチ(Avalanche)やSuiなどと競合しているのでしょうか? それとも他の方向を向いているでしょうか? 今の立ち位置を教えて下さい。 A. アバランチだとかが伸びた理由はイーサリアムが高いからだと考えます。アバランチやソラナやポリゴンが発展することで、イーサリアムに恩恵を生み出します。 とはいえ、1円のトランザクションを0.1円にすることに意味はあまりないように思います。これからはユーザビリティの問題ではないでしょうか。それら(手数料といったコスト削減)は勝手にやらせればいいし、チェーンがどのように使われるかは、キラーアプリケーションがあるかどうかによると思います。 今年の1月まではチェーンの強さで勝負してきましたが、今はアプリケーションの世界で勝負していこうとしています。 Q. それは、将来的にはどこかのチェーンが覇権を握るという事ですか? A. そうですね。そんなに何個も残るということはないと思います。 [caption id="attachment_96599" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] Q. メンタル的な話になるかもしれないのですが、既存のWeb2.0はアメリカに取られたから自分はWeb3.0を取りに行こうとしているとのことでしたが、そのメンタル(マインド)はどこからきていますか? 日本のWeb3.0で覇権をとれたら次はどこに行きたいと考えていますか? A. Web3.0をする際、思想家的にどうかということと、起業家的にどうかということ、この2つが考えられると思います。まずは思想家的な返答をしてきます。 思想家的に考えると国籍とかはどうでもいいことです。自分のメンバーも何カ国もの人たちで構成されていますし、日本がどうこうとかはヨーロッパの人たちからすればどうでもいい事ではあります。パーミッションレスとか検証可能性といった、Web3.0でないと出来ないこと、これまで出来なかったことをどうにかするといった方が良いのではないでしょうか。 とはいえ、起業家としては日本人の端くれですし、失われた30年というものが僕らにもありますので、僕らの世代でなんとかしないと、子供や孫の世代が大変なことになってしまいます。GDPもどんどん下がってしまいます。そうした中で、Web3.0はチャンスの領域ではないでしょうか。例えばAI分野ではデータ量の勝負になります。これはかなりの額の投資が必要ですし、そんなことができる日本企業はありません。しかしWeb3.0は0円からできる。政府がWeb3.0に力を注ぐのもそうしたことが理由だったりします。 モチベーション的な話をしましょう。私はこれから海外に行くのですが、世界のどこにいてもトヨタやソニーがあります。シンガポールにいてもドンキホーテがあります。そうした景色は戦後の日本人が頑張ったからこその景色であって、そうした積み重ねがあるからこそ(現地の人たちは)日本人であるというだけでリスペクトをしてくれます。孫の代になったときに、ソニーってものがあったんだという風に、過去形で言われたくはありません。 Astarは自律分散的に何とかなるようにしていきたいです。Startaleは令和のソニーやトヨタといった企業にしたいです。死んだようなプロジェクトを、DAOにしたとか言いたくはありません。本当のDAOはビットコインやイーサリアムといったものであって、かなりの規模が必要になるでしょう。 Q. 先日、セブンのNFTを利用しました。ウォレットを持っていない前提でやってみたのですが、非常にスムーズでした、一般の人も出来るのではないかと思っていて、先ほどのロードマップなどありましたが、その中に60歳代の人たちでも使えることを、今後5年間のロードマップに含めていますか? A. 一言で言うと、僕でも分かりません。でも、予想するとマーケットの開拓も含めて3年くらいかなと。メディアに聞かれたときに答えるところとしては、「僕らみたいなプレイヤーにかかっています」と言います。というのも、使う側ではなく、作る側にまわっていますからね。例えば、PS5にウォレットが配られれば数億人にウォレットが行き渡るのですが、それをするだけの難易度の調整とか、実績を作るのが難しいかなとも思っています。 Q. ブロックチェーンを使うことによって、会社がこれまでデータを持っていたけれども、これからはデータの個人管理の時代になっていくのかなと思うのですけど、データのポータビリティの問題が出てくると思います。その点も含めたエコシステムの問題もあると思うのですが、どうなったらいいだとか、どうしていったらいいというのはありますか? A. 二つあって、一つには市場原理ですね。みんなが使うから使うと言うようなネットワークですね。しかしそれは閾値が必要で、それはビットコインやイーサリアムですら達成していません。恐らく、数十億人がイーサリアムを使っていれば、みんなイーサリアムを使いますよね。Twitterだって数億人いるから面白い。そういった閾値をとりにいくのが重要だと思います。 もう一つは、きちんとインフラ側で組むということです。Googleとアップルが、AndroidとiOSとを合流させるといった、そんなムーブをビジネス側で出来るかどうかでしょう。今、日本では5Gにおいて色んな企業が(パイを)取り合っていて、その結果ファーウェイに負けてしまっています。だからこそ、6Gこそはきちんとしていかないとねという流れがあります。それを踏まえると、せめて日本国内ではきちんと統一していきたいですね。 Q. 先ほどの垂直統合についてもですが、そういったところも含めて期待しています。 A. 競争領域があるかなと思っていて、例えばindexerやブロックチェーンとかは統合していって、その上に乗っているDapps とか取引所とかはどんどん競争していけばいいんじゃないかなと思っています。 Q . 起業するなら今がチャンスと(講演の中で)仰っていました。(中でも)下の基盤系を繋げようという話を重点的にしていたように思うのですが、上の方のユーザー側に対して(サービスを)提供する人たちにも共通して言えることだと思いますか? A. ユーザビリティと分散性のトレードがありますが、分散性は一定数あればユーザービリティを実現できるのではないかと思います。そういった程度を見ながら、開発すればまだ良いのではないでしょうか。アカウントアブストラクションといった新しい技術が出てくれば、上の方も変わっていきますし、将来の方向を考えながら上の方を作っていれば、かなり良いと思います。 僕はレイヤー1を作ってきましたが、当時はWeb3.0なんて言葉はなくて、(今のような状況は)たまたまといった感じです。僕としては、仕掛けて待っていた感じですね。そういったムーブも必要ではないかと思います。 [ここで、質疑応答の時間が終わり、渡辺氏の講演は盛況のうちに終了しました] ワークショップ①:明日へ備えてのDAOの案出し [caption id="attachment_96601" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 渡辺氏の講演が終わった後、1日目の最後の試みとして、明日からのグループワークに備えて、参加者各自でこれまでのインプットを踏まえた上でDAOで解決したい課題のアウトプットを行いました。 各人二つほど意見を持ち寄り、全体の案の分類分けがされ、最終的に4個のグループに分けられました。 1日目を振り返って [caption id="attachment_96742" align="aligncenter" width="800"] 提供:Fracton Ventures[/caption] 1日目はインプットの日ということもあり、Web3.0やDAOの紹介が多い日でした。単純な業界知識の紹介であれば、専門書を読んだり検索をすれば出てくると思います。しかし、それらの質はあまり良いものばかりとは言えません。今回のイベントは、より正しい情報を大量にインプットするには、非常に良い機会となりました。 また、全体の印象として、Webの歴史やDAOの紹介にとどまるのではなくて、それら背景となっている概念や思想まで掘り下げていることが非常に印象に残りました。クリプトは思想であると度々言われますが、ここまで詳細に丁寧に述べてくれている書籍やサイトも数が少ないですし、その所以が分かったのは個人的に大きな収穫でした。 恐らく、キーワードとなるのは「ヒューマンコーディネーション」と「公共財」になるかと思います。現状、暗号資産及びその業界は、金銭と紐づけられている投資対象として主に考えられています。しかし、それらがより大きな価値を持つのは、金銭ではなく、人との結びつきや公共の福祉に活用される時なのかもしれません。 2日目は、実際にDAO関連のツールを触ってDAOの立ち上げを行うという、アウトプットを行いました。 その模様は、また次の記事で紹介いたしますので、そちらも是非ご覧下さい!
レポート
2023/08/01【WebX サイドイベント】 IOST × OKCoinJapan コミュニティ・パーティー【レポート】
先週7月25日-26日の2日間にわたり、東京国際フォーラムで開催されたアジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX」。 Web3領域に係わる多くのトッププレイヤー、政府関係者、ベンチャーキャピタル、スタートアップ、メディアが集うカンファレンスということもあり、メイン会場以外でも様々なサイドイベントが「WebX」の前後にかけて開催された。サイドイベントの形式も、ハッカソン、ピッチセッション、ミートアップパーティーなど多岐にわたり、Web3関係者にとっては慌ただしくも充実した1週間となったようだ。 サイドイベントにおいて、既存コミュニティの理解促進・醸成という主旨で開催されたのが「IOST × OKCoinJapan コミュニティ・パーティー」だ。 東京の北青山で開催された上記イベントには、主催の2社に加えて下記9社がイベントパートナーとして参加した。 【主催】 - OKCoinJapan、IOST 【イベントパートナー】 - IOST AI Labs、Stir Network、Overlay、Cabinet、Joyfa、Climbers、Air World、MUXIC、TwiPlay(順不同) IOST Foundation(IOST)は、次世代コンセンサスアルゴリズム「Proof of Believability(PoB)」に基づく超高速の分散型ブロックチェーンネットワークであり、ネイティブトークン $IOSTを中心としたエコシステムを展開している。 IOSTの主要メンバーは、日本、韓国、シンガポール、スペイン、ベトナムなどを中心に積極的に活動を行ってきた。その中でも日本のコミュニティはIOSTグローバルの中で世界最大と言える。 また、今回のサイドイベントを共同開催した国内登録の暗号資産交換業者であるOKCoinJapanは、2021年9月に国内で初めて $IOSTを板取引で取扱い、その後も国内最大のバリデーターとして日本のユーザーやコミュニティに向けてキャンペーンやIOST普及のためのブランディングを積極的に実施してきた経緯がある。 イベントでは、OKCoinJapanのCOO八角 大輔 氏より、IOSTとOKCoinJapanの深い繋がりやコミュニティと共に築き上げてきた歴史が語られた。 また、OKCoinJapanが国内登録の暗号資産交換業者として、一層取引サービスやWeb3サービスを強化していく点や、マルチチェーン対応、コアユーザーのニーズへの対応といった今後のビジョンについても語られた。 OKCoinJapanが開業以来大きく発展してきたことは、提供サービスの豊富さ、暗号資産取扱数、BTC取引高により一目瞭然であり、引き続きこの勢いに目を留めたい。 今回のイベント最大の注目となったのは、今年から新たにIOSTのCo-CEOに就任したBlake Jeong氏の来日だ。Blake氏は本サイドイベントのオープニングスピーチで、ユーザーフレンドリーな体験の提供と日本をはじめとする1つ1つの地域におけるコミュニティの成長に注力していくことを強調した。また、参加者と積極的に交流することでイベントを盛り上げ、Twitter上ではイベント参加者の喜ぶ声も多く聞かれた。 昨日はワイも参加させて頂きました🙇@OKCoinJapan 様@IOSToken_jp 様@Blake7Jeong 様 ご招待頂き誠にありがとうございました🙇🙇🙇 今後とも何卒宜しくお願い致します😊 また来場されたイオストラーの皆々様もありがとうございました😋#IOST pic.twitter.com/ePcau6vLS4 — ぱぴよんB【公式】《絆》 (@papiyoniost) July 25, 2023 昨日は IOST × OKCoinJapan コミュニティ・パーティーへ 🥂おじゃましました お相手してくれた 皆さんに感謝です💓 とても楽しい時間を ありがとうございました😄#IOST#OkcoinJapan@IOST_Official @IOSToken_jp @OKCoinJapan pic.twitter.com/Xw0VhXlKN7 — CHA10rama🇯🇵🐈CharityNFT👦👧 (@CHA10rama2) July 25, 2023 本サイドイベントの終盤には、IOSTとOKCoinJapanに関するクイズゲームが実施されたり、エコバックやステッカーなどのサイドイベント限定グッズが配布されたりと、コミュニティの絆を深める絶好の機会となった。 – OKCoinJapan 公式リンク – ・ウェブサイト:https://www.okcoin.jp/ ・Twitter :https://twitter.com/OKCoinJapan ・Facebook:https://www.facebook.com/OKCoinJapan ・Youtube:https://www.youtube.com/@okcoinjapan Article by OKCoinJapan ※本記事はオーケーコイン・ジャパン株式会社さまよりいただいた情報をもとに作成した記事となります。