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2018/09/28Stacktical(スタックティカル) Parisミートアップレポート
Crypto Timesは、9月11日にフランス・パリにて開催されたStacktical(スタックティカル)のミートアップにメディアパートナーとして参加しました。 同イベントでは、近頃注目されているDevOps(デブオプス)とスマートコントラクト開発環境の関係性についてディスカッションが行われました。 DevOps(デブオプス)とは? 今回のプレゼンテーションの主題であるDevOps(デブオプス)とは、ソフトウェアの開発チーム(Development)と、サービスの監視・運営チーム(Operations)が円滑にフィードバックをし合うことで、不具合への迅速な対応や、質の高いサービス提供を実現する、という概念を指します。 開発の計画、コーディング、ソフトウェア構築、テスティングを開発部が行い、運営部がリリースされたソフトウェアを監視・開発部へフィードバックする、というのが大まかな流れとなっています。 同イベントでスピーカーを務めたStackticalのJean-Daniel Bussy氏は、DevOpsはDappsの開発環境にも適用できると言います。 「ブロックチェーン系サービスの開発でも、DevOpsならぬBlockOpsを意識することで、サービスの質を大きく向上させることができます」 と語ったBussy氏は、DevOpsの概念に当てはめたスマートコントラクト開発の手順を解説しました。 まず、開発の全てはプログラミングから始まり、続いてソフトウェアの入念なセキュリティチェックを行います。 自社でのセキュリティチェックが終わると、今度はソフトウェアを外部にリリースし、そこで更に脆弱性をチェックします。 その後、開発から運営への移り変わりとして、テストネットを公開し、運営チームは不具合等の監視、および開発チームへのフィードバックを行います。 不具合やフィードバックが開発チームに報告されると、振り出しに戻り、新たなアップデートのプログラミングに取り掛かります。 Bussy氏によれば、BlockOpsを意識することで、不具合やアップデートなどによるサービスの停止期間(ダウンタイム)を短縮でき、サービスの質の向上に繋がるといいます。 円滑なDevOpsを促進するプロジェクト・Stacktical DApps開発環境におけるDevOpsの応用に関するディスカッションの後には、トークンメカニズムを応用してDevOpsを促進するプロジェクト、Stacktical(スタックティカル)が紹介されました。 開発・運営チーム間の連携がうまく取れると、不具合によるサービス停止期間(ダウンタイム)が短くなり、必然的にサービスへの信用が生まれます。 一方で、ダウンタイムをゼロにする、というのはほぼ不可能かつ膨大なコストを要するもので、サービス運営側にとって合理的な選択とは言えません。 そこで、サービス提供者にダウンタイム削減のインセンティブを与えつつ、ダウンタイム発生時にはサービス利用者に補償を行う、というシステムを開発しているのがStacktical(スタックティカル)です。 同システムは、サービスレベル規約(SLA)に見合ったサービス提供者にトークン報酬を与え、不具合などが発生した際にはSLAに応じてサービス利用者にトークンで補償が行われる仕組みになっています。 サービスレベル規約(Service Level Agreement)とは?ITサービス提供者と委託者の間で、サービスの一定の品質を保つための運営ルールや、それが実現できなかった時の対処などを明確にした規約のこと。 ダウンタイムの削減に際する報酬は、サービス提供者にとってDevOpsの連携を強化するインセンティブとなります。 また、サービスの利用者はSLAに基づいた補償をトークンで受け取ることができ、それをさらにプラットフォーム内で使用したり、ウォレットに送金したりできるとされています。 まとめ 今回のイベントには、ブロックチェーンについて学び始めたばかりの人から投資家・エンジニアまで、幅広い層の客が訪れました。 近頃話題に上がるソフトウェア開発手法「DevOps」とブロックチェーン技術に焦点を当てた同イベントは、他のミートアップとはまた違う面白みがありました。 スマートコントラクトを使用したサービスレベル規約施行システムを開発するStackticalは、今月25日~28日にかけて行われる金融庁・日経新聞共同主催のFIN/SUM 2018のスピーカーも務めています。
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2018/09/07【イベントレポート】Coldlar(風神Wallet):安全に仮想通貨ライフを送るために
8月28日、東京・品川プリンスホテルで行われた「日中ブロックチェーン交流会」と呼ばれるイベントが開催されました。 本記事は、当イベントの最後を飾った仮想通貨ウォレット「ColdLar(風神ウォレット)」による講演をレポートとしてまとめたものになります。 同イベントのIOTW講演に関しての記事は以下をご覧ください。 【イベントレポート】IOTW – IOTとブロックチェーン技術の融和について - CRYPTO TIMES Coldlar CMO Wendy Wang氏による講演 プレゼンテーションは従来のウォレットの種類とColdlarのウォレット、またその比較解説から始まりました。 今回はノードの種類だと複雑になってしまうということもあり、インターネット接続の有無がポイントをしてプレゼンは進んでいきます。 インターネット接続の有無で分けるとウォレットは以下の3つの種類に分類されます。 ホットウォレット コールドウォレット Coldlarウォレット ■ホットウォレット ホットウォレットでは、秘密鍵(プライベートキー)はウォレットに保管され、インターネットに接続されています。 持ち運び、管理、復元が容易で複数の端末にも対応している一方で、攻撃に対して脆弱であることが懸念として考えられます。 ■コールドウォレット コールドウォレットでは、秘密鍵(プライベートキー)はウォレットに保管されますが、インターネットからは切断されています。 セキュリティ面では非常に優れている一方で、トランザクション効率が低く更新や管理が面倒な点などが弱点として挙げられます。 ■Coldlarウォレット Coldlarウォレットは上記ホットウォレットとコールドウォレットそれぞれの利点だけを取ったハイブリッド型のウォレットとして定義することができます。 独自のセキュリティ構造やアルゴリズムにより。ユーザビリティや安全性が保証されている上、スケーラビリティや多くの通貨との互換性を持ちます。 これまで、ホットウォレット・コールドウォレットそれぞれにメリットやドローバックがあり、どちらかを選択する必要、用途によって使い分ける必要がありましたがColdlarウォレットを使うことでこれらの問題を解決することができます。 そんなColdlarウォレットですが、2016年11月にブロックチェーン上の資産を安全に保管するためのソリューションとして生み出されました。 2017年末に1000万USDの資金調達が完了し、EU、CE、EU EoHS、FCC、Japan PSEなどでの特許を既に取得しています。 Coldlarウォレットによれば、ハードウェアウォレットの理想として以下の3つの基準があるとします。 セキュリティ ユーザビリティ 進化可能か否か これらの基準は過去に起きた事例をもとに設定されています。 例えば、上のスライドではセキュリティに関するこれまでの事例がいくつか紹介されています。 2017年7月、ハッカーがスマートコントラクトの脆弱性を付き、150,000ETHを盗んだ事件、その他にも2018年2月、2018年7月にウォレットの脆弱性をついた事件が起こっています。 Coldlarウォレットではこれらのセキュリティを原因とする事件に対して多角的なセキュリティのアプローチでこれを防ぎます。 これは、設計、システムアルゴリズム、物理的の3つのセキュリティアプローチからなります。 Coldlarウォレットの設計では、トランザクションの生成や署名はオフラインで行われます。一方で、トランザクションのブロードキャストや残高の照会はオンラインのアプリ(スマホ)で行われます。 そして、オフライン端末であるColdlarウォレットとオンラインのスマホアプリがQRコードで相互に認証しあう形でセキュリティが担保されるので、従来のホットウォレットとコールドウォレットを組み合わせたような設計となっています。 システムアルゴリズム的なセキュリティのアプローチには、以下の4つの特徴があります。 Private Key Calculator(秘密鍵計算) Hierarchical Deterministic(階層的決定性) Burn After Use(バーン) Multi-Signature Algorithm(マルチシグネチャ) 階層的決定性、俗に言うHDウォレットやマルチシグネチャなどは他のウォレットでも見られる機能となっていますが、秘密鍵に関してこれが使い捨てである点(Burn)などに関してはColdlarウォレット独自のものとなっています。 まとめ 日中ブロックチェーン交流会でのColdlarウォレットのプレゼンテーションをまとめました。 セキュリティを担保するアプローチが非常に独特かつ堅牢であることが特徴です。 Coldlarウォレットについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。 世界最強のハードウェアウォレット!風神ウォレットの特徴・使い方を解説! - CRYPTO TIMES
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2018/08/31【イベントレポート】IOTW – IOTとブロックチェーン技術の融和について
8月28日、東京・品川プリンスホテルにて「日中ブロックチェーン交流会」と呼ばれるイベントが開催されました。 CryptoTimesでもこのイベントに参加させていただきましたが、会場には200人を超えるオーディエンスが集まっており、非常に大きな盛り上がりを見せていました。 本記事では、そんな数あるプレゼンテーションの中から、CryptoTimesでも以前紹介させていただいたIoTデバイスを利用したプロジェクトである「IOTW」のプレゼンテーションをまとめていきます。 「IOTW」って何?って方は、以下の記事も是非ご覧ください。 IOTW – IoT機器でマイニングができるプロジェクト - CRYPTO TIMES IOTW CEO Fred Leung氏による講演 IOTWではビジョンとして2020年までに「500億のIoTデバイスにブロックチェーンを導入すること」を目指しています。 これにより、効率的な分散化と即座のトランザクション執行を実現することができると語ります。 現状、ビットコインやその他コインの採用するアルゴリズムには主に以下の2つの問題があります。 非常に高い計算能力と高価なハードウェア 取引速度が遅い IOTWではProof of Assignment (PoA)と呼ばれるアルゴリズム、またマイクロマイニングを利用することで、どんなIoTデバイスであってもマイニングを行うことが可能となります。 更に取引速度に関しても100,000TPS以上を実現することが可能です。 以下はトランザクション速度の比較になります。 RippleやEOSなどはもちろん、PaypalやVisaなどの既存の決済インフラにも勝るTPSであることがわかりますね。 IOTWが持つ技術仕様は、このように非常に優れていることがわかりましたが実需面やトークンの価値はどのように裏付けられるのでしょうか? トークンの主な価値はIoTデバイスが日々生み出すビッグデータにあります。 現段階でも、1億のIoTデバイス向けのWifiチップの生産が行われていますが、これらはマイニングを行うだけでなく各デバイスからデータを収集することが可能です。 収集されたデータは、それらを必要とする企業間でトークンを使ってやり取りされるため、これがトークンに対する需要となります。 通常の場合だと、SonyはSonyのIoTデバイス、PanasonicはPanasonicのIoTデバイスにしかアクセスすることができません。 しかし、IOTWトークンを利用することで、これらの企業は互いのデバイスから得られる情報に相互にアクセスすることができるようになります。 IOTWの収益は、これらの情報の売買プロセス、ユーザーのTXs際に発生するTXs手数料の一部となっています。 消費者がIOTWのトークンをEコマースで支払いの手段として利用と書きましたが、IOTWでは既に「The California Wine Company Limited」や「Bortex」など4社と協力関係を結んでいるようです。 その他にも、Wifiのチップ生産に関してExpressifやRealtekと既に提携を結んでいますが、それ以上に1億以上のユニットの生産が完了している点などは注目すべき点の一つです。 経営陣に関しても、多くの経験を持つ人物がそろっています。 創設者兼CTOであるPeter Chan氏はProof of Assignment(PoA)の開発者で現在は20以上の特許を保有しています。また、その一部は香港の政府からも認められています。 Dr. Patrick氏はアカデミックなバックグラウンドを持ち、現在も香港大学で教授として活躍しています。 まとめ 「日中ブロックチェーン交流会」のIOTWの講演の内容やその様子をまとめました。 IOTWの目指す500億以上のIoTデバイスを繋げるという構想は、現状のチップ生産などを見ても期待することができそうですね。 このプロジェクトに関して興味を持った方は、ぜひプロジェクトの紹介記事もご覧ください。
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2018/08/27【イベントレポート】Ontology MainNet Launch Tokyo 20180825
8月25日、東京汐留にて、実社会でのブロックチェーンインフラ構築を目指すDApps開発プラットフォームであるOntologyのイベント「Ontology MainNet Launch Tokyo」が開催されました。 Crypto Timesでもこのイベントに参加し、創設者であるJun Li氏にインタビューなども行いました。 本記事では、イベントでのスピーチの概要やJun Li氏とのインタビューに関してをまとめていきます。便宜上パネルディスカッションやプロジェクトのピッチは割愛させていただきます。 Ontologyに関してもっと詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。 Ontology / ONTの特徴・将来性を解説!取引所・チャート情報まとめ - CRYPTO TIMES Ontology創設者のJun Li氏によるスピーチ イベントの最初には創設者であるJun Li氏によるインフラの重要性やOntologyのプロダクトに関するスピーチが展開されました。 創設者のJun Li氏は、まず「ブロックチェーン技術がメインストリームとなり得るのか?」という切り口でスピーチを始めました。 彼は、ブロックチェーンがインターネットのように広く普及してくためには、実社会との連携が必要であると語ります。現在のところ、例えば机のトークン化を行うとき、この価値を移動するためにはトークンの移動だけでなく机という実体の移動も必要となります。 Ontologyはこのようにデジタル化されたデータなどと実際の人やモノなどの連携を効率よく図るためのインフラ構築を目指しています。 続いて、今年6月30日にメインネットのローンチが行われたOntology 1.0がいかにこのインフラを構築していくのかというスピーチに移ります。 今回メインネットのローンチが行われたOntology1.0は以下の要素によって構成されます。 Ontology Infrastructure ONT Blockchains ONT Blockchain Frameworks ONT Interaction Protocols Ontology Modules and Protocols ONT ID ONT Data ONT Scores Ontology Common Applications ONTO ONT TSE (Trust Search Engine) ONT DDXF (Distributed Data Exchange Framework) またJun Li氏によれば、Ontologyは今年スケジュール通りにメインネットのローンチを行ったプロジェクトはOntologyだけであると語っていました。Ontologyの開発がいかに順調であるかという点に関しても十分に安心することができます。 その後プレゼンテーションはOntologyの技術的な話が続きます。 こちらに関しては、プロジェクトの解説記事などにも紹介されているので本レポートでは割愛させていただきます。 Mathias Glintborg氏による開発者コミュニティの紹介 次にGlobal Development ManagerのMathias Glintborg氏による開発者コミュニティの紹介が行われました。 Mathias氏によれば、Ontologyの特徴の一つである多用な開発言語により、ブロックチェーンデベロッパでなくても開発を行うことができるようです。 また、Ontologyでは開発言語の障壁だけでなく、SDKの使いやすさなども特徴としており、開発者コミュニティは学生なども参加するなど盛り上がっているようです。 Ontologyの発行枚数は10億枚となっていますが、このうちの10%である1億枚は開発者コミュニティに割り当てられています。 このように、コミュニティに対して十分にインセンティブを与えることに成功しており、Chromeの拡張機能など多くのプロダクトが事実としてコミュニティにより開発が進められています。 創設者のJun Li氏にインタビュー イベントの終了後、Ontologyの創設者であるJun Li氏はCrypto Timesのインタビューにも快く引き受けてくださいました。 以下はインタビューの内容になります。 -- 今回は東京でのミートアップ開催お疲れ様でした。2日間実施してみて、日本に対してどういうイメージをお持ちになりましたか? Jun Li氏 : ここ2日間連日でイベントを開催することができましたが、日本のコミュニティは中国国内と比較しても、とてもアツいと思いました。 先ほどの質疑応答の際も非常に高度な質問を受け、日本のコミュニティのブロックチェーンに対する真剣な姿勢を感じることができました。今後は日本との連携もより一層深めていきたいです。 -- ありがとうございます。今回、メインネットがローンチし、Ontologyのエコシステム構築に関して色々なプロジェクトとのパートナーシップも発表されていますが、今後の展望とかはいかがでしょうか? Jun Li氏 : 私たちは、現時点で主に2つの戦略があります。 1つはインフラの整備を引き続き進めていくことです。もう1つは、言うまでもなくエコシステムの構築です。Ontologyのブロックチェーン上により多くのアプリなどを走らせることを目指しています。 しかし、これは私たちだけで行うことは難しいので、他の産業の専門的なチームと連携してこの戦略の実現に向けて現在動いています。 -- 今回、日本の企業もイベントに参加していたと思うのですが、Ontologyはビジネスユースのため安全に個別管理できる(プライベート)ブロックチェーンを作成して、それらを相互に(部分的に)接続するために作られたと思います。日本でも今後、色々と普及していくことを考えてよいのでしょうか? Jun Li氏 : はい。日本に普及をさせていく準備はできています。Ontologyのベース自体は中国国内にありますが、この技術は日本の政府や企業に利用していただくことを考えており、日本向けにも私たちのソリューションを提供していきます。 Ontologyのブロックチェーンはオープンソースですので、公的なサービスから政府系のサービスまで十分に利用していただけます。 -- 今回のイベント内でのピッチでも、いくつかのプロジェクトが提携先として紹介されていました。他にも多くのプラットフォームがある中で、これらのプロジェクトを選ぶ基準、またそれらのプロジェクトがOntologyをプラットフォームとして選択する基準や理由はありますか? Jun Li氏 : プロジェクトが数あるプラットフォームの中からOntologyを選択する理由は、Ontologyが持つ高いパフォーマンスやスマートコントラクトを実装する際のコストなどが挙げられます。 また、新たに開発を行う際の容易さなども考えられると思います。OntologyではPythonやC#などの多くの言語に対応していること、より多くのSDKやAPIなども要因として挙げられます。 さらには、Ontologyがインキュベーションのサービスや技術的なサポートを提供していることなどがそれらのアプリがOntologyを選択する理由の一つでもあります。 EthereumやEOSなどが競合として挙げられますが、これらの技術的なサポートなどをそれらのプラットフォームで術減することは難しく、これは一つのOntologyとしてのアドバンテージでもあります。 まとめ 今回は、Ontology MainNet Launch Tokyoのイベントをレポート形式でまとめました。 2日間に渡るOntologyのイベントは開場にも沢山の人が入っており、大成功と言えたでしょう。 メインネットをローンチし、今後のOntologyのエコシステム普及に対しての期待も高まります。
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2018/08/14【イベントレポート】2018年8月10日 Crypto Kitties(クリプトキティーズ) 東京ミートアップ
今月10日、東京・渋谷にて、イーサリアムの非代替型トークン(NFT)規格を利用した人気DAppゲームであるCryptoKitties(クリプトキティーズ)の初来日ミートアップが開催されました。 今回のイベントでは、クリプトキティーズのサービス内容や開発に至った経緯に加え、モバイル版アプリや新プロジェクト、HTCとの提携などについても説明が行われました。 共同創設者のBenny Giang氏のユーモアある講演に加え、ステッカーやTシャツなどのプレゼントもあり、終始楽しめるミートアップでした。 クリプトキティーズとは? クリプトキティーズは、イーサリアムのトークン規格であるERC-721を利用した「猫育成ゲーム」です。 ERC-721とは、非代替型(=一枚一枚の価値が違う)トークンを作成できる規格で、クリプトキティーズではそれぞれ異なった模様や形をした猫がトークンとして表されています。 Ethereum(イーサリアム)の”ERC”って何?メジャーな規格を徹底解説! ゲーム上には緻密な「遺伝子メカニズム」が組み込まれており、猫を繁殖させることで親やその上の世代の遺伝的特徴を受け継いだ子猫が生まれてきます。 ゲーム上の遺伝子は本物と同じように優性・劣性に分かれており、特定の遺伝子を組み合わせると「スペシャルにゃんこ」も生まれてきます。 それぞれの猫はトークンで表されているため、他の仮想通貨と取引することができます。 レアな猫をコレクションとして集めたり、高額で売却したりできることからこのゲームには人気に火がつき、一時期はイーサリアムネットワーク全体に遅延を生じさせてしまうほどでした。 創設者が語る「クリプトキティーズ」 [caption id="" align="aligncenter" width="560"] 猫Tシャツ・短パン・猫耳で登場した共同創設者のGiang氏。[/caption] 今回のミートアップでのメインイベントは、クリプトキティーズ共同創設者のBenny Giang氏による講演でした。 Giang氏は、プロジェクト開発に至った経緯や、DAppゲームが秘めるポテンシャル、更には「クリプトコレクティブル」が世界に与えるインパクトについて語りました。 クリプトキティーズ開発に至った経緯 Giang氏は、クリプトキティーズを開発した理由は「ブロックチェーンを楽しく、アクセシブルなものにしたかった」からだと語りました。 ブロックチェーン技術はその複雑さから一般的な普及が難しくなっていますが、クリプトキティーズのようなゲームがあれば、確かにこの技術をより身近に感じることができるといえるでしょう。 ブロックチェーン上にゲームを作るメリットとは? ブロックチェーンと聞くと、ビジネスや金融、ガバナンスなどへの応用例ばかり浮かびますが、ゲームをブロックチェーン・ネットワーク上に作る意味はあるのでしょうか? Giang氏は、ブロックチェーン技術を利用することでオンラインのゲームを半永久的に残しておくことができると語りました。 従来のサーバー・クライアント型のオンラインゲームでは、運営者が運営を廃止すると、育てたキャラクターなどのデータもろとも、ゲーム全てが消え去ってしまいます。 対して記録されたデータの変更が不可能であるブロックチェーンであれば、ネットワークが維持される限り運営者の存続に関係なくゲームは残り続けます。 クリプトキティーズは、データ(猫)をブロックチェーン上で半永久的に保存する、DAppゲームのメリットを宣伝する先駆者でもあるということです。 デジタルアートに価値がつく時代 Giang氏は、クリプトキティーズのような「クリプトコレクティブル」が世界に与える影響についても語りました。 「ブロックチェーンの登場により、デジタル上で生み出されたアートに価値がつく時代が到来しています。」 と語るGiang氏は、クリプトキティーズのように、デジタル上のコンテンツを実世界のアートなどのようにコレクションとして取り扱うことができると話しました。 現にクリプトキティーズは、ジェネシス(一番最初に生まれた猫)を10万ドルで売却しています。 また、レア度の高い猫を売却して病院や環境保護活動の資金を調達するなどといった事例もあり、デジタル資産が実世界のモノと同様に価値を帯びるようになってきていることが解説されました。 ミートアップで発表された注目情報を紹介! 今回のミートアップでは、プロジェクトの紹介以外にも、クリプトキティーズについての注目情報も公開されました。 アンドロイド版アプリ・HTCとの提携について これまではウェブ上でのみ存在したクリプトキティーズですが、8月11日をもってアンドロイド版アプリを公開し、スマートフォンからでも遊べるようになりました。 iOS版の公開日程については詳しく発表されることはありませんでした。 また、クリプトキティーズは台湾の大手電子機器メーカー・HTCと提携を結び、U12+と呼ばれる機種のプリセットとしてゲームがインストールされるもようです。 新プロジェクト「KittyVerse」 また、当イベントではクリプトキティーズの新プロジェクト・KittyVerse(キティバース)についても解説がありました。 このプロジェクトは、所有する猫をキャラクターとして使えるゲームの開発促進・共有を行うスペースで、ゲームプレイ・開発共に本家許可なしで行えるというものです。 クリプトキティーズではこのようなゲームの開発者に助成金も配布すると発表しています。 まとめ 終始笑いの絶えない、楽しめるプレゼンを提供してくださったGiang氏は、 「次はもっとビッグなイベントをやりたい。本物の猫とか、バウンシーキャッスルとかも導入して盛り上げていきたい」 と遊ぶ気満々のコメントをしています。 また、イベントの終わりには、一番大きな声で「ミャオ」と叫んだ人に限定Tシャツ一枚をプレゼントするという謎のサプライズもありました。 今回の記事を読んでクリプトキティーズについて気になった方は、ぜひ公式サイトもチェックしてみてください。 公式サイトはこちら
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2018/08/08【イベントレポート】2018年7月28日 Red Pulse PHOENIX東京ミートアップ
7月28日にRed Pulse東京ミートアップが実施されました。当日は台風という悪天候ながらも会場には、80名を超えるユーザーが来場しました。 今回はRed Pulse東京ミートアップに関する現地レポートを書いていきたいと思います。 今回のミートアップでは、7月21日に発表されたRed Pulseの新開発プロダクトPHOENIXにフォーカスが当てられています。 Red Pulseに関して初めて聞いたという方はぜひRed Pulseについてまとめた記事を読んでみてください。 Red Pulse東京ミートアップ概要 イベント Red Pulse PHOENIX Asia Tour Tokyo 内容 第1部:パネル『知識と教育』『専門家によるコンテンツ vs 寄付されるコンテンツ』 第2部:基調講演:Red Pulse PHOENIX 第3部:ワークショップ:PHOENIXベータ版サインアップ 第4部:交流会 第1部:パネル『知識と教育』『専門家によるコンテンツ vs 寄付されるコンテンツ』 ミートアップはパネルディスカッションから始まりました。登壇者は以下の方々です。 Robert Shun(Udacity China経営統括) Zan Wu (Atlas設立者兼CEO) Ken Yagami (Swissborg日本代表) Masa Keith Nakatsu (Orb株式会社設立者兼前CEO) モデレーター:Miki Hayama(NEO日本代表) パネルは、ニュースや動画コンテンツなどを「専門家により提供されるコンテンツ」と「ユーザーやコミュニティから寄付されるコンテンツ」に分け、それぞれの特徴を掘り下げる形で開始されました。 Masa Nakatsu氏は、『専門家によるコンテンツは有料である一方、コミュニティからのコンテンツは無料である』と説明し、Ken Yagami氏は『インターネットの普及により無料の「コミュニティによるコンテンツ」が増える』と述べ、Zan Wu氏も『より人々が自発的に情報をアップする傾向がみられる』と続けました。 続けて、近年増え続けているコミュニティによるコンテンツについて各登壇者が意見を述べました。 Robert Shun氏は、『これまでは新聞などでの出版コストが大きかったが、現在はネット上に簡単に情報のアップロードすることが可能になった。その差をメディアは注視する必要がある』と発言し、 Ken Yagami氏は、『昔はBloomberg端末だったのが、現在はWeb上で情報を手に入れられることになったが、専門家が情報を発信しているという状況は変わっていない。まだ、コミュニティからのコンテンツは普及しておらず、理由はクオリティの維持が難しいからである。金融においては情報の正確性が非常に重要なためこれに注意するべきだ。』と説明しました。 続いて、UdacityやUdemyでもユーザーによるコンテンツが普及し始めている傾向についてどう思うかを、Udacityの経営を務めているRobert氏は、『AIの世界では、優秀な学生は大学ではなくGoogleなどの企業に行く人が増えている。Udacityでもブロックチェーンプログラムを提供しているが、この傾向がこれから続くかもしれない』と自身の経験を踏まえ語りました。 また、旅行プラットフォームを手掛けるZan Wu氏は、『最近では、個人が情報を発信することが増えている。プラットフォームを維持するうえで、プラスの意味でのインセンティブを用意することが大事になると思う』と話しました。 そして、コミュニティによるコンテンツのクオリティ維持が問題となる中で、Masa Keith Nakatsu氏は、『元々私はコンテンツ作成の会社をやっていた。GoogleやFacebookの登場で情報が大量に出回るなかで、キュレーションメディアが発達した。各メディアは広告料を目指しすぎ、コンテンツの質が低下することがあった。そこで、ブロックチェーンを用いたインセンティブモデルを利用することは、コンテンツのクオリティ維持に貢献すると思う』とメディアの将来について見解を述べました。 このように、コミュニティによるコンテンツの問題点が上がりつつも、それをブロックチェーンを用いることで解決できるという形でパネルは終了しました。 Red Pulseもブロックチェーンを利用したインセンティブモデルを使用し、コンテンツのクオリティ維持を目指しています。まさに登壇者の方々が求めているコンテンツプラットフォームの形であるようでした。 第2部:基調講演:Red Pulse PHOENIX 第2部はRed Pulse設立者兼CEOであるジョナサン氏より、7月21日に発表されたRed Pulseの新開発プロダクトPHOENIXについて講演が行われました。 金融情報市場では、情報の透明性と正確性、情報過多、金融情報のコモディティ化などの問題が存在しており、オンデマンドでの情報リクエストには多額の費用がかかります。Red Pulseはこれらの問題を解決するために2015年に誕生しました。 Red Pulseは現在6万人のユーザーがいます。また、Bloombergなどの大企業とパートナーを結んでいます。トークンを実装したリサーチエコシステムPHOENIXについて以下説明します。 私たちのビジョンは、専門家と金融機関をつなげることです。PHOENIXは従来のプラットフォームとは異なり、だれでも参加することができます。レポートのクオリティに応じてインセンティブ(RPXトークン)がもらえたり、ステイキング(8月20日開始)が実装されています。 PHOENIXでは、専門家に直接レポート作成を要請する機能を搭載しています。そのレポートを作成することで、その人はRPXトークンを受け取ることができます。8月13日には、レポート作成者がより簡単にアクセスできる機能を搭載します。 次に、金融情報市場についてです。Red Pulseでは専門家によるGIG経済(シェアリングエコノミー)を目指しています。Red Pulseは金融専門家と企業をつなぎますが、そこでコンプライアンスの問題や規制の問題があります。これを解決するのがPHOENIXです。PHOENIXは5つの大きな特徴で構成されます。 Proof of Creation…作成されたコンテンツのそれぞれのハッシュを作成し、作成者/所有者のウォレットアドレスとタイムスタンプと共にブロックチェーンに永続的に格納することで、証明を成功させます。 Proof of Ownership…PHOENIXを使用すると、所有者が署名し、別のウォレットアドレスで識別される別のエンティティに所有権を移すことを可能にする転送機能を利用することができます。 所有権と出所は公開ブロック群を参照することによって検証され、監査可能です。 Regulatory Compliance…ブロックチェーン上の特定情報の要求と返答の記録を利用します。これにより、機密情報に関する国内および国際的な法律や規則の遵守を動機付けます。 IP Protection…新しく生成されたコンテンツとハッシュが生成されたコンテンツを以前にブロックチェーンに格納されていた既存のハッシュと比較し、同一のコンテンツの格納を防ぎます。 Accountability オンチェーンでリサーチアイテムにそれぞれのウォレットアドレスを関連付けます。これにより評判を維持するインセンティブとともに信頼性が確立されつつ、情報がオフチェーンでのプロフィールと照らし合わされます。 これらの機能を実装するために、8月にトークンスワップが実施されます。このプロセスはとても簡単でPHOENIXトークンスワップに関する情報も参考にしてください。また、トークンスワップは上場中の取引所すべてがサポートをしています。 次にパートナーシップに関してです。Red PulseはUdacityとパートナー関係を結んでいます。Udacityのブロックチェーンコースを修了した人に就職支援を行います。また、求人代理店であるTalentSnapともパートナーとなっており、TalentSnapを通してRed Pulseのレポート作成者になることができます。 続いてAGB Educationです。オンラインとオフラインで教育カリキュラムを提供する企業です。既に協力して金融に関するプログラムを作成中です。 次にAPEXです。主にビッグデータを活用して、消費者行動の分析を行ってます。その情報をRed Pulseも活用しています。 第3部:ワークショップ:PHOENIXベータ版サインアップ 次に、Red Pulse共同設立者スタンリー氏から、PHOENIXの登録方法について説明がありました。 PHOENIXは本来2018年末にリリース予定のプロダクトでしたが、数か月早くリリースすることができたようです。 以前は有料会員のみ見ることができた研究のプレビュー画面を、今回からは誰でもリアルタイムで見ることができます。 また、レポート作成者のプロフィールはLinkedinと連携しており、彼らの信頼性の向上に寄与します。 これが実際にレポートを書いている画面です。また、今回はウォレットが追記されています。クレジットカードを使用してUSDのチャージを行うことができます。 また、このウォレット内でステーキングも行われます。RPFはステーキングでもらえた報酬になります。RPFからRPXに戻すこともできます。下段ではトランザクションの履歴などを見ることができます。 第4部:交流会 最後に参加者の方々を交えた交流会が行われました。今回、Red Pulseが主催するイベントとしては初めての日本開催で、これからの日本進出に向けていいスタートが切れたとチームメンバーは語っていました。 最後に 今回のミートアップではブロックチェーン業界を代表する豪華ゲストの方々による対談、Red Pulseの新プロダクトPHOENIXの内容がチームから直接発表されるなど非常に内容が濃いものでした。 特にPHOENIXは誰でも無料でアクセスすることができ、ステーキングも行えるものです。良質な中国金融マーケット情報がPHOENIX上に公開されていますので、是非皆さんもwww.redpulse.comにアクセスしPHOENIXを体験してみてください!
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2018/07/31【イベントレポート】2018年7月22日 QuarkChain Japan Meet-up レポート
本レポートは7月22日に行われたQuarkChainのミートアップについてまとめています。 本レポートを読む前に、QuarkChainについてまとめた記事を読んでシャーディングやクラスタリングについて理解しておくと、レポートの内容がかなりわかりやすくなります。 ぜひQuarkChainの記事もチェックしておいてください。 今回のミートアップの概要 イベント QuarkChain Japan Meet-up 内容 QuarkChain講演 PlayTable講演 EON講演 交流会 第1部:QuarkChainの講演 QuarkChainのパートはCMOのAnthurine Xiang氏の公演から始まりました。 まずはQuarkChainが目指すのは「安全性が高い・高分散化・スケーラブル」の3つの大切な要素を兼ね備えたブロックチェーンの実現です。 ただし、従来困難であったこの3つを高いレベルで実現するのは難しい。QuarkChainはそれを可能にする。というプロジェクト自体の方向性について触れました。 その上で、スケーラビリティの歴史を振り返り、QuarkChainのソリューションが生まれるに至った理由について解説しました。 その後、CEOのQi Zhou氏からQuarkChainのコア機能についての講演があり、 スケーラビリティの歴史について 2000年以前、中央集権型のネットワークでは、高パフォーマンスのコンピュータを導入してスケーラブルにしていたというアプローチがありました。 QuarkChainではこれを垂直のスケーラビリティと呼んでいます。 しかし、垂直方向のスケーラビリティは高い性能を持ったコンピュータを導入しなければならないため、効率の良いものではありません。 これに対応するようにGoogleやFacebookでは、データを平行に処理できるようにする技術を開発してきました。 これを水平方向のスケーラビリティと呼んでいます。 ブロックチェーンの分散型世界について そして、ブロックチェーン技術の開発において2018年以前では、ブロックサイズの変更、承認時間の短縮、より良いコンセンサスアルゴリズムの開発によってスケーラビリティを向上させることが積極的に行われていました。 そこで、QuarkChainは過去にGoogleやFacebookがやってきたように、複数のチェーンを持つこと(シャーディング)でスケーラビリティを実現しようと考えたようです。 シャーディングについて イーサリアムもシャーディングを技術の導入を進めているので、ブロックチェーン業界でもシャーディングは結構有名になってきています。 シャーディング自体は昔からある技術です。 そしてQuarkChainはGoogle、Facebook出身のメンバーが多いので、シャーディングの開発・導入にはこの上ないほどに最適な人材が揃っています。 QuarkChainは「シャーディング」によってブロックチェーンにおける「分散性・安全性・スケーラブル性」のトリレンマを解決する、ということをここでは一番強調していました。 QuarkChainについての簡単な説明 続いて、CEOのQi Zhou氏によるQuarkChainについての簡単な説明がありました。 QuarkChainのコア機能 まずはQuarkChainのコア機能についてです。 水平方向のスケーラビリティ シンプルなアカウント管理 効率的なクロスシャードトランザクション EVMへの互換性があるスマートコントラクト この中でも、クロスシャードトランザクションとEVMへの互換性については特に強調して説明されていました。 クロスシャードトランザクションは、他のいくつかのプロジェクトでは実現が困難だとされていたようです。 しかし、QuarkChainは今回のテストネットでクロスシャードトランザクションの実装に成功したということを強調していました。 そして、EVMとの互換性があるために、イーサリアム上のdAppsなどを簡単にQuarkChain上に移行できることについても強調されていた印象があります。 QuarkChainのコミュニティ 次に、QuarkChainのコミュニティについての紹介あがありました。 この画像がTelegramのメンバーの推移です。 3週間でTelegramグループのユーザー数が8万人まで増えたこと、エアドロップは1回もしていないことが強調されました。 現在は日本語、中国、韓国、フランス、ロシア、フランスのコミュニティがあります。 TOPICO7のオーバービューについても触れ、QuarkChainが高評価を得たことも強調されました。 ICOの次の日にバイナンスに上場したことからもコネクションの強さがわかります。 QuarkChainへのinvestor一覧についても軽く紹介されました。 パブリックテストネットについて 引き続き、CEOのQi Zhou氏からパブリックテストネットの成果についての紹介がありました。 パブリックテストネットの成果一覧 TPSの劇的な向上 シャードの数を増やした スマートコントラクトを実装した EVMとの互換性があるネットワークを実現した パブリックなP2Pネットワークの実装 ノードの数が5(3月)→6000以上に増えた QuarkChain上で12,000以上のノードが稼働している まず、3月末のテストネットでは2000TPS(オープンソースではないが)を実現したことについて触れ、3ヶ月後のパブリックテストネットでは1万を超えている、との成果について紹介しました。 今回のパブリックテストネットではシャードの数を増やしたことでTPSをあげることに成功したようです。 具体的には8シャードが256シャードになっています。 また、最初のテストネットは送受信のみであったが、今回のパブリックテストネットでは複雑なスマートコントラクトにも対応できたこと、EVMとの互換性があることも成果として紹介されました。 EVMとの互換性があると? EVMとの互換性を持っていると、イーサリアム上のdAppsを簡単にQuarkChain上に移行することができます。 現在のテストネットでは、QuarkChain上で同時に1万2000以上の仮想マシンが稼働しているようです。 ここでは比較としてETHを引き合いに出してテストネットの成果を強調していました。 現在、イーサリアム上では1万6000近くのEVMが稼働しています。 つまりQuarkChainのパブリックテストネットの規模は、ETHのメインネットの規模とほとんど同じだと紹介されました。 また、パブリックテストネット上で8時間ごとに大量のトランザクションを流して負荷テストをしています。 このテストでは、だいたい6分で処理できるようです。これをETHでやろうとすると2日〜3日かかると、QuarkChainの成果を強調していました。 続いて実際のテストネットの画面を映しながら、 テストネットがどのように動いているのか クラスタのつながりやネットワーク内の情報(スマートコントラクトやホルダー情報など)がどのようになっているのか tQKCによるギャンブルゲームの実演 このような項目について実演していました。 最後に、QuarkChainのパブリックテストネットは誰でも参加できること、抽選やギャンブルゲームを実装していることを紹介し、ぜひ参加してくださいね!という形でテストネットについての紹介は終了しました。 ギャンブルゲームの概要 50%でかけたtQKCが2倍になる 50%でかけたtQKCがなくなる まず、全員に少なくとも100tQKC(テストネット専用トークン)が与えられる。tQKCには価値はないが、後日このtQKC保有者が抽選に参加できる。tQKCをたくさん持っている人は抽選に当たりやすくなったりする。 100tQKC程度から最大で40,000tQKCに増やしているユーザーもいるようですよ…! 現在の進展状況と今後のロードマップ 2018年Q3 2018年Q3にはテストウォレットをリリースする予定だそうです。 この段階でメタマスクやその他のアプリ・ウォレットとの連携ができるようになります。 2018年Q4(年末) 年末までにはメインネットとスマートウォレットをローンチする予定であることにも言及されていました。 メインネットではより高いTPSの実現はもちろん、その他の発表もあると紹介されました。 QuarkChainのエコシステム 再度、CMO Anthurine Xiang氏にバトンタッチし、QuarkChainのエコシステムについて紹介されました。 本来であればCBOが担当するようですが、今回は来日していなかったためCMOからの紹介となったようです。 QuarkChainには現在の現在30社ほどのパートナーシップがるようで、これを3つに分類しているようです。 1.ワンストップソリューション Celer Network、DxChain、CertiKなどのパートナーです。 オンチェーン、オフチェーンTPSなど。ワンステップ(ワンポイント)でQuarkChainが提供できるものを提供するパートナーシップです。 2.プロトコルレイヤー・垂直方向のパブリックチェーン DREP、LendChain、ETOなどのパートナーがこれに分類されているようです。 QuarkChainのプロトコル・パブリックチェーンを活用するパートナーです。 ※必ずしもQuarkChain上に乗るというわけではありません。 3.垂直方向のDapps Playtable、ONO DAPP、Trip.ioなどのパートナーです。 QuarkChain上にのる予定のアプリやDEXなどがこれに分類されます。 QuarkChainが作るファンド QuarkChainは50億円規模のファンドを作って、エコシステムに参加してくれる企業に資金を使ってサポートしていくことも実施していくようです。 その一環として紹介されたのは、先日発表された9つのプロジェクトのQKCでの資金調達のサポートです。 さっちゃん このようにしてQuarkChainはエコシステムを広げていこうと考えているんですね! 以上でQuarkChainからの講演は終了しました。 質疑応答 Q. EOS、NEOやHashGraphなどのブロックチェーンプラットフォームがあるが、QuarkChainではどのようにユーザーを獲得していくのか(シェアを伸ばしていくのか) EOSは垂直方向のスケーラビリティです。QuarkChainは水平方向のスケーラビリティを実現させるものなので、QuarkChainのテクノロジは他社とは競合しません。お互いに協力することができると考えています。 HashGraphに関しては、彼らはコンソーシアムチェーン寄りだと認識しています。私たちはパブリックチェーン(誰でもネットワークに参加できる)にフォーカスしています。コンソーシアムチェーンを利用すると、確かに高いTPSを実現しやすくなりますが、それでは少し中央集権的になってしまいます。 現在、ユーザーはすぐに使えるソリュションを欲しています。ETHやNEOがいいプロジェクトなのは理解していますが、現状としてスケーラビリティの解決を実現することはできていないので、それらをQuarkChainで提供することで、ユーザーを獲得していきます。 Q. ZilliqaやPchainとの違いは? ZILとの違いの大きなところは、ZILはネットワーク・トランザクションシャーディングであるというところです。考え方としては、ネットワークを分割してパーティションに分けてすべてのノードを違うグループにわけています。 この問題点として、すべての情報をシャーディングする必要があるということがあります。つまり、ネットワーク上のすべての情報をマシンが保管しなければなりません。この仕組みではTPSがあがると1つのストレージやメモリにより多くの負荷がかかります。 もう一つの大きな違いはスマートコントラクトです。QuarkChainではEVMをサポートしています。ZILは独自言語Scillaを利用しなければなりません。つまり、既存の多くのDappsはZILのネットワークには対応していません。 PAIに関しては詳しく把握していないので正確な比較はできませんが、開発チームの経験の豊富さをあげることができると思います。Google、Facebookでの高TPSを実現した経験を生かすことができるのが違いだと考えています。ブロックチェーン業界を見た時に、ここまで優秀なチームなのは非常にまれです。 第2部:PlayTable講演 PlayTableのCEOのJimmy Chen氏からの講演でした。 Jimmy Chen氏について Jimmy Chen氏は15歳の時に初めて起業、18歳の時にその事業を売却したというものすごい経歴を持っています。現在は今ブロックチェーン事業に取り組んでいて、PlayTable意外にもブロックチェーンファンド、ICOグループにも所属しているようです。 PlayTableではアメリカのTOP企業やTOP大学から集まった16人が働いているようです。 「今回みなさんにお話ししたいのは技術的な話ではない、消費者にとってのブロックチェーンとは…?というところについて話します」と前置きして講演が始まりました。 PlayTableはブロックチェーンを物理的世界へ応用する(第6感で感じることができるように)プロジェクトです。 まずはこれをゲームを通じて実現させていくようです。 ゲームはブロックチェーンの分野で伸びているものの一つであることに注目し、ゲームでの参入を決めたようです。 実際に開発されたゲーム(おもちゃ)を会場で実演したりもしていました。 PlayTableではブロックチェーンと物理的な世界を結びつけるためにRFIDを用いていくということについても触れていました。 Playネットワーク(PlayTableのネットワーク)内のものはすべてRFIDがつけられていて、それぞれの端末が1Byteの情報を格納し、これでブロックチェーンと接続します。 PlayTableが将来的に役立つところとして、知的財産の保護があると説明されました。 例えば、Disneyがキャラクタの商用利用に関して10%のFeeをもらっているとすると、デジタル情報をつなげることですべてのレイヤーから手数料を取れるようになるようです。(例:譲渡するときなど) おもちゃのカテゴリのみで、年間で80億個ほど生産されるおもちゃにつけていきたいと考えているようです。 PlaytTableというソリューションについて 現在は150億規模の消費者向けの家電パートナーとパートナーシップを結んでいるようです。 そのパートナーシップではマーケティングなど様々なところで協力してくれることになっているとのことでした。 プロダクトに関してはQ3に公表されるようです。 8ヶ月前にプレ利用者の登録をし、30億円ほど資金調達にも成功しています。 QuarkChainのような高いTPSを実現できるプロジェクトと組んだのは、ユーザーに向けたプロダクト開発に集中することができるためであると述べられていました。 今後の戦略としては、いろいろなメーカーにアプローチして、それらのデバイスに最初に乗せてもらうことのようです。 2019年までの目標としては、10万個のデバイスに搭載してもらうこと、2020年には100万台を目指します。(アメリカ国内で) また、以降はゲーム以外でもいろいろなところで適用していくことも考えているようです。 Thank You!! 質疑応答 なぜブロックチェーンを活用しているのか? PlayTableにとってのブロックチェーンのメリットは、ユーティリティ、認証周りにあります。例えば、ディズニーは様々なメーカが作ったものについてトラッキングできるようになります。小売店についていえば、デジタルな価値を追加することができるようになります。これによって、革新的なことができるようになると考えています。 代替不可能なトークンがプレイテーブル上で使われるようになりますか? はい。PlayTableには2種類のトークンがあります。まず1つは、RFIDを連携するようなものはERC721を使うことを考えています。 プレイテーブルの価格はどれくらいになると考えますか? 将来的には日本円で2万円くらいになることを目指します。ブロックチェーンを活用するメリットについては、様々なインセンティブを活用できることになることであると考えています。 任天堂などのようにゲームデバイスを販売するこのはなぜですか?。「iPadのアプリ」のようにアプリゲームを開発するところが多いとおもいます。 特に注力したいのはデバイスだけではありません。それに付随するスマートフォンについても力を入れていきたいと考えています。PlayTableは現在4種類のスマートフォンと連携することができます。これを4つから20まで増やしていきたいとも考えています。 トークンを使うということは、税金が発生したりします。ゲームをしながら税金の計算をしたくないと思いますが、これについてはどう考えていますか? まだそこまでの構想はありませんが、ソフトウェアの上で自動計算したりできるようなシステムができると思います。ユーザーが計算しなくていいような仕組みは導入を検討していきたいと考えています。 第3部:EON講演 第3部はEONのCEOのAron Lyu氏の講演でした。 Aron Lyu氏 2012年からビットコインへ投資を始める。中国のスタートアップでの就業経験あり。TikTokに携わっていた。 まず、EONのチームについての紹介がありました。 ETHへ早期投資したロシア人のICOスペシャリスト、中国で初めてのOculusを使ったVRエンジニア(共同創業者)が中心のチームのようです。 EONが解決する問題点 EONではdAppsゲームにおける問題点は互換性にあると考えています。 dAppsはETH上で動くものが多くありますが、より多くのユーザーに対応するためにはより多くのブロックチェーンとの互換性が必要です。 EONはSDKを利用することで簡単に展開できるようなソリューションを提供します。 この技術によって、ゲームAでのトークンをゲームBで活用できるようになります。 これがパブリックブロックチェーンを活用する最大のメリットだと考えているようです。 EONのプロダクトCryptoAlpacaについての紹介 続いて、EONのプロダクトであるCryptoAlpacaについての紹介がありました。 dAppsゲームとして人気のCryptoKittnesの違いとしては、よりユーザーが使い続けてくれるようにインセンティブをつけているところにあると強調されていました。 2週間で45ETH稼いだ人もいるんだとか… また、EONのSDKにおいての強みは、様々な国のさまざまなユーザーデータを得たことでをより多くの知見を持てるようになることでもあると述べられていました。 例えばドイツ人のTOPユーザーはサイトを作って紹介で稼ぐ傾向にあり、日本人は攻略方法を学んで上位になる人が多いようです。 日本人は最初はランクは高くないが、ゲームについてよく学んで攻略することでしっかり活用する傾向にあると紹介されていました。 Thank you!! 質疑応答 何を作っている会社ですか? dAppsゲーム向けのSDKを作っている会社です。例えば、それぞれのブロックチェーンによって技術的な違いがあります。(各チェーンでアドレスが違うように)開発者がSDKによって簡単に違うチェーンとの互換性を持てるようにするのが目的です。 QuarkChainミートアップまとめ QuarkChainのパートについては、事前にある程度シャーディングやクラスタリングについて理解していた人にとっては、理解が深まる内容だったのではないでしょうか。 ブロックチェーン業界におけるQuarkChainのシャーディング技術がどれだけ高いかを知る良い機会になったと思います。 また、今回はゲーム系プロジェクトのパートナー2つが来日しました。 QuarkChainのエコシステムの活動も注目ですね。 レポートの内容(特にQuarkChainのパート)がよくわからなかった人は、「QuarkChain / QKC の特徴・競合比較まとめ!大注目ICOの将来性は?」を読んでおくと、少し理解が深まるはずです。
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2018/07/29【イベントレポート】HashHub Conference 2018 -暗号通貨、ブロックチェーンの課題や限界は?-
今回は、7月21日に東京大学伊藤謝恩ホールにて開催された、HashHub Conference 2018に関するレポートです。 本イベントはHashhabとbitpressの共同主催であり、暗号通貨の今とこれからについて、国内の暗号通貨・ブロックチェーンの最前線にいる方々が登壇しました。 当日は、12時から17時までの5時間の中で、現在のトレンドや暗号通貨の規制について、また技術面についてなど様々なジャンルの話がありましたが、今回の記事では、その中でも筆者が一番印象に残った、暗号通貨、ブロックチェーンの限界とその先というパネルディスカッションについて書いていきます。 アカデミックで中立な立場からのパネリスト 今回のパネルディスカッションでは、 岩村 充氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授) 斉藤 賢爾氏(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員) のお二方がパネリストとして登場し、アカデミックな立場から中立な意見をお聞きすることができました。 また、モデレーターはHashHub CEOの東 晃慈さんでした。 暗号通貨、ブロックチェーンの限界とその先について 今回のパネルディスカッションは、ブロックチェーン全般に対して批判的に見ることが多い岩村先生、斎藤先生がビットコインやパプリックチェーンの問題点に関して語るところから始まりました。 ビットコインとパプリックチェーンの問題点 斎藤先生: ビットコインの問題点は5つ まず、慶應SFC研究所の斎藤先生は、ビットコインブロックチェーンに基づいている設計の問題点は 実時間性 秘匿性 スケーラビリティ 技術のガバナンス インセンティブの不整合性 と語りました。 岩村先生: 2つの理由から、ビットコインは出来が悪い 岩村先生は、ビットコインが法定通貨を置き換えるという話についてどう思いますか?という質問に対し、出来が悪いと主張しました。 岩村先生によると、ビットコインの出来が悪い点は2つあり、1つは、価格が安定しないこと。もう1つは、多くのエネルギーを使ってあの程度のトランザクションを動かしているのが無駄である、ということでした。 また、岩村先生は、ビットコインはバブルですらないと主張しました。理由として、バブルは合理的な価格が存在しており、それに対してズレた価格がつくことで引き起こされるが、ビットコインは0から無限大まであらゆる価格が合理的であり価格が安定しないと述べました。 イーサリアムについてのお二方の見解 これまでの話では、ビットコインとビットコインブロックチェーンが法定通貨に置き換わることはないだろうという意見で一致していましたが、イーサリアム等の、そもそも法定通貨の置き換えが目的じゃないパプリックブロックチェーンについての意見も聞くことができました。 斎藤先生: 野心的だが実験的 斎藤先生はイーサリアムに対し、とても野心的なプロジェクトだが、どうしても実験的になってしまう。本人たちも実験と言っているが、既に大きなお金が乗ってしまっているのが不幸であると述べました。 また、イーサリアムでであれば価格の安定性はイーサリアム自体にはそこまで重要ではないとも述べていました。 岩村先生: お金以外のものも載せてしまっているのが問題 岩村先生は、ネットワーク分断の観点から、イーサリアムの問題点について主張していました。 ビットコインはただのお金なので、ネットワーク分断についてそんなに深刻に考えなくていい。価値だと思えば、分岐するリスクを確率として織り込むことができる。例えば私達が普段使うお金の中にも偽札が入っているが、みんな気にせず使っている。 ところがイーサリアムは、お金以外のもの(記録など)を載せてしまっている。記録を重視すると、ネットワーク分断は矛盾した歴史が2つ存在することを意味するので、大問題である。そのことをそこまで重要に考えていないように思える。だからChildish(子供っぽい)であると述べました。 ブロックチェーンが合理的理由の元に破壊される可能性 お金以外のものが乗っているイーサリアムブロックチェーンは合理的な理由で破壊されるの恐れがある、とお二方は主張しました。 斎藤先生: 合理的な51%攻撃 斎藤先生は、ブロックチェーンを破壊することはネイティブトークン総額を払うことで可能であり、マイニングするタイプのチェーンは、マイニングコストとトークン総額が均衡していると述べました。 そのため、イーサリアムブロックチェーンの場合、ブロックチェーン上に乗っているものがイーサリアムの総額を超えるというのは、マイニングコストよりも大きな借金をしていることを意味し、攻撃のためのコストを払うことが合理的になり、51%攻撃を引き起こす恐れがあるようです。 岩村先生: 秘密鍵が自主的に公開されることへの懸念 岩村先生は、イーサリアム上で1000万の借金したときを例として、それを取り消そうという攻撃をすることが合理的になってしまう、と述べました。 秘密鍵は財産を保持するために隠すことが当たり前ではあるが、例えばイーサリアム上で1000万の借金をして債務超過になった場合、秘密鍵を隠す必要はなくなり、秘密鍵はこれですよと、ネット上の掲示板等に書けてしまう。 そうすると、本当にその人が借金した、正しい負担なのかそうでないのか分からなくなると主張しました。 まとめ 今回のパネルディスカッションは、基本的には暗号通貨とブロックチェーンに対して、懐疑的な意見が多かったように思えます。 しかし最後には、パブリックチェーンと言うかは別として、ある程度は自分が持っている情報を開示して、パブリックでアクセスできる状態には持っていって、一定時間ごとにハッシュを開示する、お互いに引用しあう、そいう言ったものはできてくるだろうなと思う。 と締めくくり、これからの技術発展に期待をしている姿勢を見せました。 sota ブロックチェーンでできることとできないことを理解し、冷静に見ることが大事ですね。
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2018/07/12【イベントレポート】Smart Contract Meeting for Real Use
今回は、先日Gunosy社にて開催された『Smart Contract Meeting for Real Use』というイベントのレポートを書いていきたいと思います。 本イベントは東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin様の主催によるもので、スマートコントラクト技術における課題および解決策に焦点を当てたものです。 ゲストとして『ZOOM』を運営するGunosy社のOsuke氏、ブロックチェーン開発を行っているプロジェクトTezos、ロシアのスマートコントラクト実用化プロジェクトKIRIKが参加し、スマートコントラクト技術を中心とした話が展開されていました。 Osukeさん:スマートコントラクトの課題と新技術 一人目のゲストとして、ブロックチェーン技術に関する情報サイト『ZOOM』の運営であるOsuke氏による講演が行われました。 Osuke氏はイーサリアムのスマートコントラクトはチューリング完全で、柔軟なインセンティブ設計が可能であることを説明しました。 続いて、代表的なスマートコントラクトの課題の一つであるオラクル問題を挙げ、それに対処しているシェアリングサービスの一例としてORIGIN PROTOCOLについて説明を行いました。 ORIGIN PROTOCOLでは、スマートコントラクトのインセンティブ設計を用いてサービス利用者の不正を防ぐ試みを行っています。また、開発者チームによる勝手なシステムアップグレードではなく、トークンホルダーによる投票でそれを決める仕組みを取っているそうです。 最後に、ブロックチェーンとスマートコントラクトを利用したdappsの開発を積極的にしていくことを説き、講演を終えました。 Tezos Simon氏による講演 続いて、Tezos Japan Leadership TeamのSimon Barducci氏による講演の様子です。 ビットコインと共に生まれたブロックチェーン技術の特徴として『非中央集権性』を取り上げ、画期的ではあるが使う人により使用者によっては賛否が分かれることを話しました。 また、スマートコントラクトにより多くのアプリケーションが誕生したことにも触れました。Tezosのスマートコントラクトは、ガバナンスの仕組みをしっかり構成しそれをコンセンサスで制御することでワークする形を目指しているそうです。 KIRIK:スマートコントラクト実用化の課題とソリューション 続いては、ロシア発のスマートコントラクト実用化プロジェクトKIRIKによる講演です。登壇者はCEOのVitaly Gumilov氏とCMOのEduard Dzhamgaryan氏です。 KIRIKは実際のビジネスとブロックチェーンのつながりを重視して開発を行っているため、スマートコントラクトがより簡単に実用化されるように、その単純化を実現することが出来るそうです。 KIRIKは大きく『KIRIKブロックチェーン』と『KIRIKセマンティック・コントラクト』により構成されます。前者はEthashのマイニングアルゴリズムを採用しており、独自通貨であるKRKコインを維持管理する働きをします。 KIRIKが提供するセマンティック・コントラクトは、KIRIKブロックチェーンから分離しており、IOTAのタングルに固定されたセマンティックノードが処理を行います。 セマンティック・コントラクトはAIを利用することで、従来のスマートコントラクトの弱点を補完したものとなっています。 イーサリアムのコントラクトは、仕様書から一度プログラマーによるSolidity化を通す必要があります。しかし、KIRIKの提供するセマンティック・コントラクトは、仕様書のまま実行することができます。また、KIRIKのビジュアルエディタを利用することで、セマンティックコントラクトの草案作成を容易に行うことも可能になります。 KIRIKはAIを用いることで、誰にでもわかりやすく使いやすいスマートコントラクトの実現を目指しています。 各SNSチャンネルへの参加はこちらから 日本語Twitter 日本語Telegram Q&A 最後に、ゲスト参加者の方々によるQ&Aが行なわれました。 Q. KIRIKセマンティック・コントラクトにおける、草案からコード化への具体的なプロセスを教えて下さい。 A. (KIRIKチーム)いくつかのコード化ロジックを利用しています。現在は半自動化でコード化が行われていますが、将来的にはAIを用いた全自動を目指しています。セマンティックコントラクトの概念自体は2014年から存在し、これから英語での情報も増えていくので、ぜひ皆さん調べてみて下さい。 Q. KIRIKのシステムの評価システムは存在しますか? A. (KIRIKチーム)私たちは非営利で活動をしていますが、顧客の方々が私たちのサービスを利用するかどうかが評価に繋がると思っています。 Q. どのようなお客様にスマートコントラクト技術を使ってもらいたいですか? A. (KIRIKチーム)様々な業界から私達の技術を使いたいという声が掛かっているのですが、教育プログラムを設けて技術を広げていくことが大事だと思っています。私たちはオープンソースなので、産業全体に貢献することができる、特に教育業界には優先度を置いています。 (Tezos Simon氏)私も教育が大事だと思います。とにかくプロトタイプを作成し、それを拡大させていくことが大事です。簡単なことではないですが、トークンエコノミーを広げていくために先陣を切る人々が必要だと思います。 交流会 全てのセッションが終わった後は参加者の皆で軽食を挟んだ交流会が行われました。こちらがその様子です。 各々が気になる点をプロジェクト側に質問したり、参加者同士で交流したりと盛り上がっていました まとめ スマートコントラクトに対するゲストの方々の意見や解決策について深い話を聞くことができたイベントでした。現在はスマートコントラクトの利用が一般人には難しく、敷居の高いものとなっています。しかし、KIRIKのセマンティック・コントラクトなどが完成すれば、誰にでも利用できるようになります。 トークンの価格ばかりが注目される仮想通貨ですが、このようなイベントに参加し、背景となる技術について学ぶこともまた大事なことでしょう。
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2018/07/06【イベントレポート】Pundi X(プンディエックス) 東京ミートアップ レポート
6月26日PundiXのミートアップが東京で行われました。 Pundi Xは、仮想通貨決済可能のPOSシステムとして世界的に注目をされているプロジェクトです。 私ゆっし、今回そのPundi Xのミートアップに参加してきましたので、レポートしていきたいと思います!! Pundi Xとは ミートアップのレポートの前に簡単にPundi Xの説明をしようと思います。 まずはこちらの動画を御覧ください↓ 動画の中に登場する、カード読み取り機(POS)とカードを作っているのがPundi Xです。 動画の中でCEOであるZACは、仮想通貨でコーヒーを買い、さらにその場でビットコインも購入しています。 Pundi Xは、NPXSというトークンを発行し、先日にはBINANCEのコミュニティ投票で1位を獲得し、BINANCEの上場を果たした期待のプロジェクトです。 それではミートアップのレポートに移っていきたいと思います! Pundi Xの成り立ちと目標 始めにPunid Xの成り立ちについてPundi XのスタッフであるPekoさんが語りました。 Pundi Xはフィンテック企業のPundi Pundiという会社をベースに設立されたプロジェクトです。 Pundi PundiはインドネシアでQRコードによる決済のソリューションを提供している会社だったようですが、インドネシアは銀行口座を持っていない人が多く、ビジネスの拡大が困難だったようです。 そして色々考えた結果、ブロックチェーン技術を利用した決済システム、POSデバイスとカード型のハードウェアウォレットの開発などを思いついたそうです。 XPOSの強み Pundi Xの成り立ちについて説明があった後、次にビジネスプランやセキュリティなどの観点から見たXPOSの強みが紹介されました。 ありとあらゆる方向に気を配り、そして前進しているPundi Xの様子が伺えました。 小売店側のメリット XPOSを導入する小売店やxposと提携する取引所にはどんなにはどんなメリットがあるのかについて説明がなされました。 まず小売店のメリットですがこれに対しpekoさんは主に2つのメリットがあると言います。 1つ目が「XPOS上で仮想通貨の決済を行うとその売上の1%が小売点の利益になる」というもので、これは小売店側にも非常に評判が良いようです。 2つ目が「NPXSを使って支払いをするとお客さんが次回また買い物をする時にキャッシュバックが行われる」というもので、これにより小売店がリピーターを確保しやすくなるだろうと語っていました。 小売店側の懸念として、支払われた仮想通貨の値段が実際想定していた法定通貨の値段よりも下がってしまうケースが予想されますが、それに対してはpundi Xが補填を行うことで対応するようです。(逆に上った場合はpundi側の利益となるようです) 取引所側のメリット 次に提携を結ぶ取引所のメリットですが、これについてpekoさんは「XPOSのユーザーが、提携先の取引所に口座を持つ可能性が上がる」と話していました。 XPOS上の仮想通貨のレートは提携している取引所のものを反映するそうです。 冒頭の紹介動画でもご覧いただけたと思いますが、XPOSはそれ単体が取引所の役割を持っておりユーザーはXPOSを利用して仮想通貨を購入することができます。 XPOSに仮想通貨を登録する場合はきちんと審査を通り、一定量のNPXSを通貨側が保有することが条件のようです。 取引所に上場するのとほとんど同じ様な感じですね。 決済を行う時のパブリックチェーンにはイーサリアム、それだとスケラビリティーの問題があるのでトランザクションの処理はNEMのプライベートチェーン上で行っているようです。 セキュリティ Pundi XのCTOが自らが工場に出向き、製品の品質をチェックしているというXPOSのセキュリティ面についても説明がなされました。 Pundi Xのカードにはハードウェアウォレットカード(XPOSにタッチするカード)とセキュリティーカードの2種類あるそうです。 セキュリティカードは普段は持ち歩くものではなく、ハードウェアウォレットカードを紛失した際にバックアップを行うために利用するようです。 ハードウェアウォレット型カードは商品を購入する際に利用するカードですが、暗証番号が必要となるため勝手に他人に利用される心配は無いようです。 また、スキャニング対策としてXPOSに追加の装置をつけようとして分解しようとするとデータが消えて、通報される仕組みになっているそうです。 ビジネス展開 Pundi Xは世界への進出を狙っており、各国の企業とパートナーシップを結んでいるようです。 さて、Pundi Xはどのような企業と提携を結んでいるのでしょうか。 今回のミートアップで紹介された企業をざっと見ていきましょう。 E2PAY(インドネシア) E2PAYはインドネシアの決済サービス企業です。 pundi Xの会長のキキ氏が社長を務めている会社だそうで、E2PAYは既に政府から電子マネーライセンスを与えられているようです。 インドネシアでの仮想通貨決済が認可された場合、Pundi Xにとって強力なパートナーシップとなることが予想されるようです。 AMCHAM(韓国・アメリカ) AMCHAMは韓国にあるアメリカ商工会議所です。 AMCHAMと提携を結ぶことにより、アメリカのブランド(例えばコカ・コーラなど)でXPOSを使うよう働きかけられるようです。 また、大企業にもXPOSを提供するだけでなく、個人規模のレストランなどにも提供できる可能性があるそうです。 Wanchain(中国) WanChainは「中国版リップル」などとも呼ばれクロスチェーン取引が可能な点や、プライバシー保護に優れている点などから評価されているプロジェクトです。 WanChainとは2018年の5月にNYで行われたConsenses 2018でパートナーシップを結んだそうです。 UTRUST(スイス) UTRUSTはスイスの会社で仮想通貨におけるペイパルのような決済サービスを提供している企業です。 UTRUSTは既に1000台のXPOSデバイス購入しているそうで、UTRUSTのトークンがXPOSで決済可能のようです。 話によるとUTRUSTはヨーロッパに進出する上でのとても強力なパートナーのようです。 Pundi Xはヨーロッパ進出を狙い、ロンドンにもオフィスを構える予定のようです。 Genaro Network ジナロネットワークはブロックチェーンを利用したストレージを提供している企業です。 パートナーシップを結ぶことにより、XPOSを利用した小売店のトランザクションのデータをGenero Networkのストレージ上に保存できるようです。 ジナロネットワークのトークンもXPOSに上場させる予定のようです。 NEM XPOS xposデモ。#pundix #NPXS pic.twitter.com/KZIHI7gGHw — USK_blockchain-多刀流&ストック型副業・起業実践中 (@usk_investment) June 26, 2018 今回のミートアップで初めて公開されたのがこのNEM XPOSです。 約17億円程の資金調達を行って開発したこのNEM XPOSは既にNEM財団から2万台の注文が入っているようです。 NEM XPOSはNEMの保有者が多い日本向けに作成されているそうで、決済画面のみと普通のXPOSよりシンプルものとなっているようです。。 まとめ Pundi Xのミートアップの内容をまとめて見ましたがいかがだったでしょうか。 日本での導入は電波法などの許可が必要で、もう少し時間がかかるようです。 Pundi Xはロンドン、シンガポール、ソウル、東京にオフィスを構えさらなるグローバル展開を狙っており現在世界から注文(プレオーダー)2万5000台ほどもらっており、とても期待のできるプロジェクトだと思います。 保有量の7%がもらえるNPXSというPundi Xの通貨もあります。気になった方は是非調べてみてください。 以上、Pundi X東京ミートアップレポートでした!!