【仮想通貨】Ethereum(イーサリアム)とは?根幹を支えるスマートコントラクト技術を含めて解説
Crypto Times 編集部
Ethereum(イーサリアム)はビットコインに次ぐ時価総額を誇る仮想通貨ですという解説をよく見かけますが、この説明は実は正確ではありません。
Ethereumは「Ethereum Project」というプロジェクトを実現させるために用意された、アプリケーションを作成するためのプラットフォームです(プラットフォームとはハードウェアやソフトウェアが動作するための基盤です)。
Ethereum上に存在する仮想通貨は「ETH(イーサ)」と呼ばれ、単位はETHとなります。
ところが、取引所ではETH(イーサ)のことをEthreumと呼ぶことが多く、それが混乱を招く元になっています。
本記事では「Ethreum(イーサリアム)」と「ETH(イーサ)」をしっかりと区別して解説いたします。
目次
Ethereum(イーサリアム)の歴史
Ethereumは、2013年にロシア人の青年、Vitalik Buterin氏によって考案されました。
当時Vitalik氏はまだ19歳でしたが、Ethereumの素晴らしい仕組みは多くの注目を浴び、2014年2月に形となりリリースされました。
2014年7月には海外の仮想通貨取引所でイーサが取り扱われるようになり、2015年からは日本でも取扱が始まりました。
2016年7月、Ethereumは大きな分岐点を迎えます。当時、Ethereumを利用した「The DAO(ザ・ダオ)」というプロジェクトが進行していたのですが、このプロジェクトから数十億円もの資金がハッキングにより盗難されてしまったのです。
そして、このハッキングを巡って、Ethereumの開発チームは「ハードフォーク(大きなアップグレード)によってハッキングされる前の状態に戻すロールバックを行う」という決定を下します。
開発チームの約90%の人はこのハードフォーク案に賛成しますが、残りの10%はその対応が中央集権的であるとして反対し、「ソフトフォーク(小規模なアップデート)盗まれた資金を凍結させる」という解決方法を支持します。
その結果、前者はEthereumを引き続き開発し、後者はEthereum Classic(イーサリアムクラシック)というEthereumから分裂した(しかし互換性のない)新しい仮想通貨を開発することになります。
ハッキングや分裂に巻き込まれたEthereumでしたが、その後も安定して価格を伸ばし続けます。2017年初頭には1ETH=1200円程度だった価格も、2017年末には1ETH=8万円程度まで伸びてきています。
また、2017年2月にはEthereumのスマートコントラクトをビジネスに活用するためのイーサリアム企業連合が発足。MicrosoftやJPモルガン、トヨタ自動車など大手企業も加盟する一大プロジェクトとして進行しています。
Ethereum(イーサリアム)を支えるスマートコントラクトとは
Ethereumを根管から支える技術が「スマートコントラクト」です。
スマートコントラクトは直訳すれば「賢い契約」ですが、「契約の自動化」と考えた方がその概要がつかみやすいです。
Ethereumでもビットコインと同様にブロックチェーンを使用します。ブロックチェーンとは時系列順に記録された、分散的に保存される帳簿です。
ですが、Ethereumとビットコインでは帳簿の機能に差があります。
ビットコインの帳簿には「AがBに何BTC支払った」というような、ビットコインのやり取りしか記載できません。
一方、Ethereumの帳簿には「AがBにお金を払ったら、BはAに商品を渡す」といったような契約の定義を記載できます。
実際にAがBにお金を支払うと、BはAに商品を自動で渡すことになるのです。
この考え方自体は自動販売機でも同じですが(A=お客、B=自動販売機と置き換えてみてください)、Ethereumではさらに複雑な契約もできます。
例えば
- 商品が届くまでに一定以上時間がかかったら割引を行う
- 商品に不備がある場合は無償で交換する
などの特約をプログラミングして組み込むことも可能になるのです。
これらの契約を仲介人無しで完全自動で行えるのが、スマートコントラクト、そしてEthereumの素晴らしいところです。
ETH(イーサ)の基本的な仕様
- 総発行枚数:なし
- 半減期:なし
- 決済時間:15秒
ETHはビットコインとは違い、総発行枚数の上限がありません。初期発行枚数は7200万ETHの予定でしたが、現時点ですでに9000万ETH以上が発行されています。
となると無限に発行され、供給量が増えて価値が暴落するのではないかと思われるかもしれませんが、将来的には発行はどこかで打ち止めになると思われます。
Ethereum開発者のVitalik氏によれば、今後さらなるアップグレードが行われ、POWからPOSに移行すれば、1年あたりの発行枚数は大きく減らすか、0になるとのことです。
なお、POWはビットコインでも採用されている「難しい計算をして帳簿を早く付けた人に新規発行分が与えられる仕組み」、POSは「保有するコインの量と時間に応じて報酬が受け取れる仕組み」です。
参考記事:Devcon3: ETHNews Exclusive With Vitalik Buterin
ETH(イーサ)はどこで使える?
現状では、ETHをビットコインのように日々の買い物に使うことはほとんど出来ません。
一部のダークマーケット(違法な薬物や児童ポルノなどを売買する取引所)では使えるという話もありますが、殆どの人には関係のない話です。
しかし、前述のスマートコントラクトを実装したアプリケーション(Decentralized Application 通称:Dapp)を利用するための燃料として、既に大きな需要を獲得している側面もあります。
ETH(イーサ)が売買できる取引所は?
ETHは国内大手取引所ならだいたいどこも取り扱っています。手数料や安全性などを考えると、下記の取引所がおすすめです。
まとめ
- Ethereumはプラットフォーム名で、そこで稼働する通貨はイーサ
- Ethereumはスマートコントラクトという技術に支えられている
- 総発行枚数の上限は今のところないが、将来発行ペースは落ちる予定
Ethereumは非常に優れた技術に下支えされた、将来性のあるプラットフォームです。
そこで使われるイーサも、将来有望な仮想通貨であるといえるでしょう。
国内に置ける取引所でもETHはたいてい取り扱っていますので、まずは少額の取引から始めてみてはいかがでしょうか。