【地方創生】秋田公立美術大学×秋田市×KDDIによる「秋美NFTコレクション」とは
よきょい

現在、DAOやNFTといったブロックチェーンを活用するプロジェクトがWeb3分野に対する関心の高まりとともに、徐々に増えています。
Crypto Timesでは「地方創生」をテーマとして、そうした自治体や企業主導のWeb3プロジェクトを紹介していきます。
今回の記事では、秋田公立美術大学が主体となり秋田市やKDDI株式会社と連携して進める「秋美NFTコレクション」について紹介します。このプロジェクトは学生や卒業生の作品をNFTアートとして展開し、新たな創作の可能性と地域貢献を目指す先進的な取り組みです。
秋田公立美術大学と今回の取り組みについて
秋田公立美術大学は「新たな芸術領域の創造」を基本理念に掲げる大学です。2023年に開学10周年を迎え、学生や卒業生による新しい芸術の萌芽を感じさせる作品が生まれる中で、大学はそれらの作品価値の保存や継承(アーカイブ)という観点からNFTの可能性に注目してきました。
デジタルアートは複製や改ざんが容易という課題を抱えていましたが、NFT技術によって唯一無二の価値を証明できるようになりました。この技術を活用し若き才能の表現を未来へ繋ぐことが、本プロジェクトの根幹にあります。
「秋美NFTコレクション」の取り組み
「秋美NFTコレクション」は秋田公立美術大学の学生および卒業生のアート作品をNFT化し、社会に発信するプロジェクトです。
NPO法人アーツセンターあきたやKDDI株式会社の協力のもと、段階的に展開されています。
第1弾:ふるさと納税返礼品としてのNFTアート
プロジェクトの第1弾は2024年度にスタートしました。卒業生である真坂歩氏と菅原果歩氏の2名の作品が秋田市のふるさと納税返礼品として提供されました。
- 真坂歩氏の作品: 自身の名を冠した土人形「真坂人形」の3Dデータ
- 菅原果歩氏の作品: 秋田で撮影した野鳥の写真作品のデジタルデータ
この取り組みのユニークな点は、デジタルとリアルの双方向での体験を促していることです。
NFTの所有者は私的利用の範囲で作品の複製が認められており、3Dプリンターでフィギュアとして出力したり、写真を印刷・額装したりとデジタルデータを物理的な形で楽しむことが可能です。
第2弾:在学生への拡大と一般販売
2025年度にはプロジェクトは第2弾へと進化します。卒業生に加えて在学生からも作品を公募し、コンペティション形式で約80点の新作NFTコレクションを2025年10月にリリースする計画です。
さらに販路も拡大されます。これまでのふるさと納税返礼品に加えて、KDDI株式会社が運営するプラットフォーム「αU market」での一般販売が開始される予定です。
おわりに
今回の「地方創生」記事では秋田公立美術大学の「秋美NFTコレクション」を紹介しました。このプロジェクトは単なる技術導入に留まらず、複数の重要な価値を創出しています。
まず、学生や卒業生にとって自身の作品がNFTという新しい形で社会に発表され価値付けされることは、創作活動の大きなモチベーションとなり次世代クリエイターの育成に直結します。
こうした取り組みを支えているのが大学(学)、秋田市(官)、KDDI(産)という強固な産官学連携です。それぞれの強みを活かして連携することで、持続可能な文化振興と地域活性化の仕組みが構築されているのです。
「秋美NFTコレクション」は、Web3技術が地方の文化資本を掘り起こし、未来を担う若者の才能を育むための強力なツールとなり得ることを示す、先進的な事例と言えるでしょう。