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2020/01/06DeFiのロックアップ総額が300万ETHに到達, 過去最高の数字
DeFi関連のデータを無料で提供するDEFI PULSEの統計によると、先ほどDeFiのロックアップ(預け入れ)総額が合計300万ETHを突破しました。 執筆時点でのETHの総供給枚数は約1.1億ETHであり、ロックアップ総額は総供給枚数の約3%に相当します。 300万枚のロックアップのうち、230万ETHは米ドルと同価値のトークン"DAI"を自由に発行することのできるMakerに集約しています。 これに続き、レンディング系の貸し出しとしての預け入れ、DEX(分散型取引所)の流動性提供のための預け入れなどがETHのロックアップ総額の構成要素となっています。 [caption id="attachment_47319" align="aligncenter" width="592"] DEFIPULSEより引用, 1年間のETHロックアップ枚数の推移[/caption] 1年間のETHでのロックアップ総額の推移をみると、ビットコインが130万円付近を推移していた7月頃を境に、その総額は右肩上がりとなっています。 MakerDAOの「SAI」と「DAI」の違いとは?
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2019/12/26YouTubeで粛清 クリプト関連の動画が次々に削除される事案が確認される
昨日より、YouTube上のクリプト関連の動画が次々に削除される事案が確認されています。 YouTube上に12万人のサブスクライバーを持ち、1600本近い動画を投稿するOmar氏(crypt0)は昨日、YouTubeから以下のようなメッセージを受けとったことをツイートしました。 https://twitter.com/crypt0snews/status/1209567289026080768?s=20 彼が公開したメールの内容に基づけば、"it violates our sale of regulated goods policy (規制された商品の販売に関するポリシーの違反)"を理由としてこれらの動画が削除されていることが確認できます。 また、Twitterから"YouTube Purge"で検索すると、ビットコイン関連のコンテンツを"harmful and dangerous(有害で危険)"なものであるとして動画の削除が次々に行われており、コミュニティから検閲の一種だとして、YouTubeに対する批判的なコメントが相次いでいます。 ■参考 [caption id="" align="aligncenter" width="1280"] https://twitter.com/themooncarl/status/1209757055667638272?s=20 より参考画像[/caption]
インタビュー
2019/12/23ブロックチェーンを活用したデジタルキーを共同開発, アルプスアルパイン社とフリービット社にインタビュー
アルプスアルパイン社、フリービット社の2社は昨年より、ブロックチェーンを利用した車載デジタルキーの共同開発を進めています。 CryptoTimesでは、両社のデジタルキー開発担当者7名にお話を伺いました。 ”インターネットの普及により社会へ大きな変化が起きた。それと同等の変化が起こる!” ”仮想通貨の購入をきっかけに分散性や安全性の技術を調べ始め、面白さを感じた” ”中央管理者がいない分散管理の仕組みなどの技術を深堀していくと興味深いことが多い” などブロックチェーンに関心を寄せたきっかけも様々な2社7名に対してのインタビューです。 今回のインタビューでは、共同開発するデジタルキーやログシステムの詳細、今後のブロックチェーン業界に関する展望など、様々な視点から語っていただきました。 *本記事はインタビューのスクリプトを一部編集したものになります。 アルプスアルパイン社・フリービット社について アルプスアルパイン社は電子部品や車載情報機器を取り扱う企業です。近年ではCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)と呼ばれる車載新領域に力を入れています。 フリービット社はブロックチェーン含む様々なインターネット関連サービスの提供・コンサルティング等を行っています。 両社は本年7月、100年に1度の大変革期に直面する自動車業界において、MaaS(Mobility as a Service)に寄与する「シームレスカーライフ」の実現を目的に業務提携を発表。ブロックチェーン技術をベースに、デジタルキーシステムやシステムの改ざんリスクに対応するログ保管サービスなどを共同開発しています。 ブロックチェーン活用デジタルキーシステムについて 今回インタビューに応じていただいた、アルプスアルパイン社とフリービット社が共同開発しているデジタルキーシステムには、ブロックチェーンの技術が応用されています。 プラットフォームにはEthereumが利用されており、所有権を表すデジタルキーは改ざんを数学的に不可能とするデータベース上に保管されます。また、Ethereumに書き込む際に必要となる秘密鍵は、HSM(Hardware Security Module)という秘密鍵を安全に保管する専用機器にて生成、管理しており、よりセキュリティが高い仕組みを目指しています。 CEATEC 2019や東京モーターショー2019で紹介したデモでは、アプリの開閉操作ボタンによる開・施錠が可能となるシンプルなデザインとなっており、ブロックチェーンの知識がない一般の利用者も容易に利用できるようになっています。 開発に携わるメンバーへのインタビュー [caption id="attachment_46320" align="aligncenter" width="800"] 写真左からご紹介[/caption] アルプスアルパイン社 江崎さん:コネクテッドサービスプロジェクト, マネージャー 佐藤さん:同上, サービス開発 横田さん:同上, サービス開発, 量産化に向けた要件整理など 田口さん:同上, 車載キーソフトや関連機能のサーバー設計など フリービット社 Jakub(ヤクブ)さん:デジタルキーのシステム設計など 田中さん:クラウドインフラ事業部, アプリの量産化に向けた要件整理など 玉野井さん:クラウドインフラ事業部 事業部長 ブロックチェーンを利用した共同開発デジタルキー [caption id="" align="aligncenter" width="720"] CEATEC2019 エキシビションより引用[/caption] ※「ア」:アルプスアルパイン社 ご担当者様 「フ」:フリービット社 ご担当者様 --デジタルキーにブロックチェーンを活用しようと決めたのはいつ頃ですか。 ア:18年の夏頃です。AIやビッグデータのほかブロックチェーンも自動車業界に大きなインパクトを与えるゲームチェンジャーになる可能性があると考えています。 当社は長年、車のリモートキー開発に取り組んでおり、Car Connectivity Consortium(※1)にも参画しています。 この強みを活かしつつ、また自社でまかなえない技術はフリービット社と協力することでブロックチェーンを活用したデジタルキーの開発を進めています。 フ:自動車のデジタルキー向けにブロックチェーンを活用する価値は大きいと考えています。 自動車向け製品は安全面・セキュリティ面の要求が非常に高いですが、ブロックチェーンを利用すればそれらをクリアすることができます。 また新車市場だけではなく、中古車市場まで考慮した場合、従来のサーバー管理型のシステムでは誰が管理コストを負担するのかが大きな問題でした。 パブリックに情報を分散管理するブロックチェーンであればこの問題も解決することができます。 ※1 スマートフォンと自動車を連携させる通信ソリューション向け技術をグローバルに推進する業界団体 --現在の開発状況をお聞かせください。 ア:今期に開発を完了させ、来期に事業化できるよう取り組んでいます。 ただし、いきなり量産化するのは難しいので、当社のリソースを活用した社会実験を行って、安全性の確認が取れ次第のリリースを考えています。 製品開発と社内の体制 --開発はどれくらいの人数で進められていますか。 フ:時期による変動はありますが、10人程度です。 ア:5名程度です。 --ブロックチェーン技術に関する研修や勉強会などは定期的に開催されているのでしょうか。 ア:不定期で行っています。 デジタルキーやThe Logなど、ブロックチェーンのプロジェクトに携わっているメンバーが他部門のメンバーに対して、ブロックチェーン技術の基礎から動向までを説明し、社内での知見共有を図っています。 当社はIT企業ではなくメーカーなので、基礎の基礎から説明しなければ、なかなか理解が得られず、勉強会を行うと長丁場で大変になってしまいますね。 ベース技術に関連するサービス展開のビジョン [caption id="attachment_46321" align="aligncenter" width="792"] CEATEC2019 展示資料より引用[/caption] --デジタルキーにはEthereumが使われていると伺いました。施錠における即時性が求められる状況で、処理速度が実用レベルに達していないEthereumをベースとして選択した理由はございますか。 フ:本システムにおいて高い処理速度が必要になるのは開・施錠の実行。これはスマートフォンと車載機間の通信です。Bluetoothを用いることで即座に実行することを可能としました。 Ethereumが関わってくる部分は車の新規予約や予約内容の変更/削除などです。これらはユーザーが自宅や移動中など自動車に乗る前に、事前に処理しておく部分ですので、即時性は求められていません。 --オープンソースのパブリックブロックチェーン上でサービスを展開していくとのことですが、他サービスとの連携も視野に入れていますか。 フ:車だけではなく家やホテル、民泊、ロッカーなどに応用展開できると考えているので、他サービスとの連携・拡大も意識しています。また、サービスの継続性を担保しなければいけないため、Ethereum以外のプラットフォームにも対応できるようにする準備が必要です。 これから更なる研究や検証が必要になってくるでしょう。 業務提携第二弾として開発を進めるThe Logとは --デジタルキー以外でのブロックチェーン活用用途を検討されていますか。 フ:The Logというインターネットインフラログシステムの開発を進めています。 これは書き込みにかかる時間・コスト・情報機密性の問題でパブリックブロックチェーンに全てを保管することが難しいログ情報を分散型のファイルシステムへ格納し、そのデータの参照に必要なキー情報のみをブロックチェーンに連携することで、最小限のコストで高いセキュリティを担保することが可能なオフチェーン向けのログ保管プラットフォームです。 ア:デジタルキー同様に自動車業界への適用が可能なシステムと考えています。当社ではすでに、一部の社内システムに採用しています。 --The Logのリリース時期をお教えいただけますか。 フ:β版は既にリリースが完了しており、現在は機能のブラッシュアップや性能の改善に取り組んでいます。 現段階では、正式なリリースは決めておりませんが、来年の前半ごろにはリリースできればと思っています。 国内外のブロックチェーン業界と今後の展望 --国内だとブロックチェーン技術よりも暗号通貨に関心が集まっている印象があります。日本におけるブロックチェーンを活用した事業のスピード感についてどのようにお考えでしょうか。 フ:日本のエンジニアは新しいものに飛びついて何かを始めるというより、既存の技術をいかに応用していくのかを考えていると感じます。 まったく新しいものを創りあげるワクワクドキドキ感を諦めている空気が日本にはあるのではないでしょうか。 ア:日本では新しいものをいかに早くリリースするかではなく、安定したものを提供することが優先されていると感じます。 事業のスピード感が遅いと感じる一因ではないでしょうか。 日本で浸透していく確信はありますか。 ア:自動車業界では企業ごと独自に実証実験が行われていたり、コンソーシアムチェーンを立ち上げるなどの活動が進んでいるので、少しずつ浸透してきていると感じています。 当社は売り上げの8割が海外のお客様なので、北米やヨーロッパのお客様がMOBIへ参加している状況を踏まえると、グローバルでも自動車業界は盛り上がるだろうと感じています。 [caption id="attachment_46316" align="aligncenter" width="1246"] MOBIのスマートコンソーシアム参加メンバー(一部)[/caption] フ:日本で浸透していくか否かは分かりませんが、グローバルで見るとEthereumはものすごいスピードで開発が進んでいるので、技術自体は絶対になくならないと思っています。 世界的に見ると今後さらにユースケースが拡大していくでしょう。 まとめ インタビューの最後に今後の課題を伺いました。 ■サービスを継続するための相互運用性が必要との意見が挙がりました。 ”Ethereumを利用しているが、価格が下がる、あるいはもう少し安定してほしい。また、サービスの継続性という観点では、他のプラットフォームに容易に切り替えられるような仕組みづくり、相互運用性を増すことができれば良いと思う。” ■自動車業界におけるブロックチェーンの盛り上がりという観点からは、技術の複雑さも一つの課題とし、他業界の重要性についても述べられています。 ”自動車業界以外でもブロックチェーンが応用され始めると、我々の取り組みがより説明しやすくなります。基本的な技術・仕組みを理解していただけると、ブロックチェーンに対する抵抗感や誤解が生まれなくなると思うので、他業界でも盛り上がるといいなと思っています。” ■展示会などでシステムの説明をする機会の多いプロジェクトメンバーからは、ユーザーに提供する価値が重要であるという声も挙がりました。 “世間ではブロックチェーン技術はまだ一般的ではないので、展示会などでは仕組みの説明に終始してしまうことがほとんど。重要なのは技術ではなくその応用により提供される価値です。今後ブロックチェーンが浸透していき、真の価値にフォーカスされるような流れを作っていく必要があると思います。” 企業のサービス適用としては珍しいパブリックチェーンのEthereumを使っている点や、来年には製品のリリースが行われていくというスピード感は、国内のブロックチェーン業界がより注目されていくための大きな要素となりえます。 CryptoTimesでも今後、自動車業界の動向についてお伝えしていければと思います。 <参考> モビリティコンソーシアム「MOBI」について MOBIは非営利のスマートモビリティコンソーシアムであり、先進的な考え方を持つ企業、政府、NGOと協力して、標準化を推進し、ブロックチェーン、分散台帳、および関連技術のモバイル業界への導入を促進することで、モビリティサービスの効率化、低コスト化、グリーン化、安全化、混雑緩和の実現を目指しています。 MOBIは、コンソーシアムを拡大し、その多くの潜在的な利益を実現するために、都市、インフラプロバイダー、消費者、およびモビリティサービスの生産者の世界的なネットワークの構築に注力しています。 関連リンク アルプスアルパイン株式会社, 公式HP フリービット株式会社, 公式HP
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2019/12/0312月8日深夜に控えるEthereum(イーサリアム)の次期アップデート「イスタンブール」の概要
Ethereum(イーサリアム)では、12月8日AM4:00頃に予定の9,069,000ブロックでネットワークのアップデート「イスタンブール」が予定されています。 このアップデートはEthereumのロードマップで8番目のアップデートに該当し、今年2月末に行われた「コンスタンティノープル」の次のものに該当します。 本記事では、明後日に予定されるイスタンブールの具体的なアップデートの内容を見ていきます。 ※内容はEthereumのwikiを参考にしています。内容に間違い等ある可能性がございますがその際は、ご指摘ください。 イスタンブールでのアップデート内容 Ethereumのアップデートは、EIP (Ethereum Improvement Proposal)と呼ばれる新規の改善案をベースに行われていきます。 これには、プロトコルのコア技術の仕様やクライアントのAPI, コントラクトの規格などが明記されています。 以下は、今回のイスタンブールで実装が予定されているEIPになります。一つずつ見ていきましょう。 EIP-1679 イスタンブール このEIPには、イスタンブールのハードフォークに伴うプロトコルの変更に関するリストが記載されています。 イスタンブールにおける主な変更点は以下の4つになります; 計算コストやDoS攻撃への耐性に基づいた、いくつかのOpCodesのGas消費量の見直し SNARKs, STARKsの技術を利用したレイヤー2(オフチェーン処理)のスケーリング改善 EthereumとZCashのインターオペラビリティ コントラクトにより多くの機能を追加 EIP-152:ZCashとのインターオペラビリティ Ethereumの一つのコントラクト内でEqualhash PoWの検証が完結する。これによりZCashとの相互運用性が生まれる。 詳細:https://github.com/ethereum/EIPs/pull/2129 EIP-1108:zk-SNARKs zk-SNARKsのガス消費がより安価に。安価でスケールし、プライバシーの保護もできるアプリケーション開発が可能に。 例:Matter Labs, Aztec, Rollup, Zether 詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1108 EIP-1344:コントラクトの正当チェーン追跡 コントラクトが正しいチェーンを追跡できるように。特にハードフォーク時に、レイヤー2(ステートチャネルやPlasma)が正しいレイヤー1のチェーンを追跡できるように。 詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1344 EIP-1884:EVMのOpCodes, ガス消費量の調整 トランザクションのスパムを防ぎブロックの均一化を図るため、いくつかのEVMのOpCodesのガス消費量を調整。Ethereumのネットワークで発生する手数料が計算コストに基づいたものに。 現在、安価なOpCodesも計算コストに比例して割高に。 詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1884 EIP-2028:データ呼び出しコストの下方修正 トランザクションにおけるデータ呼び出しのコストを下げることで、zk-SNARKs, zk-STARKsを安価に。これによりレイヤー2のスケーリングにおけるスループットが改善。 詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-2028 EIP-2200:EVMストレージコストの計算方法見直し EVMにおけるストレージコストの計算方法変更, 同一のコントラクトに対するmulti-send(複数回送信)などの新たな機能追加。 詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-2200 まとめ 残り数日に迫るEthereumの次期アップデート, イスタンブールについてこの変更点をまとめました。 このアップデートでは、特にプライバシーとレイヤー2(オフチェーン)におけるスケーリングが大幅に改善されると考えられます。 参考:Istanbul October 2019 Planned Ethereum Network Upgrade
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2019/12/02Huobi Japan(フォビジャパン)が国内2社目となるIEO(Initial Exchange Offering)事業の検討開始を発表
日本国内で仮想通貨交換業のライセンスを持つフォビジャパン株式会社が、自社の取引所「Huobi Japan」にてIEO(Initial Exchange Offering)事業実施の検討を開始したことが明らかになりました。 IEOとは、ICOに続く仮想通貨(資金決済法上の暗号資産≒ユーティリティトークン)を利用する資金調達方式の一つです。 [caption id="" align="aligncenter" width="643"] Huobi Japan 公式ブログより引用[/caption] 2019年の初旬、Binance(バイナンス)によりIEOが実施され大きな注目が集まり、その後も現在までICOの問題を解決する有効な資金調達手段の一つとして世界的に注目を集めています。 今回のIEO事業検討開始の発表は、8月下旬のCoincheckによる発表に次ぐ、国内では二社目の発表となります。 日本国内では、JVCEA(日本仮想通貨交換業協会)による規則の整備が進められており、こうした取引所のIEO事業実施の検討は今後も増加していくと考えられます。 先日、Coincheckでは1年以上の沈黙を破りStellar(XLM)の取り扱いを開始するなど、新規銘柄のホワイトリスト入りは着実に進んでおり、今後の動向も十分に注目できるでしょう。 記事ソース:資金調達支援事業『IEO』の実施の検討開始について
特集・コラム
2019/12/02日銀が中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の法律問題研究会における報告書の概要を発表
中国での中央銀行発行デジタル通貨(CBDC/DCEP)発行に関して世界が注目する中、日本銀行は先日、CBDCの法律問題に関する概要資料を公開しました。 日銀総裁である黒田氏は、CBDCの発行について現時点での発行は検討していないとしていますが、将来的な発行に向けた調査研究が進められている状況です。 本記事では、公開された資料を参考に、CBDCの概要や流通の仕組み, 発行における法律との関係や、関連する影響等を考察していきます。 CBDCとは?ステーブルコインとの違い CBDC(Central Bank Digital Currency)とは、名前の通り中央銀行が発行するデジタル通貨の総称を指します。 ステーブルコインとの主な違いは、マネーが中銀の管理下にあるかそうでないかという点にあります。 発行体やカストディが民間にあるUSDT等のステーブルコインと比較して、CBDCは中央銀行によって管理されるデジタル銀行券のような立ち位置に相当します。 したがって、国内の経済に対する介入や税金の徴収などが可能となる上、発行体に対する信用リスクが限りなく0に近づくといった、現金(中銀独占発行の銀行券)の特徴に加えた更なるメリットがあります。 一方で、中銀に対する信用が比較的低く不安定な国家ではCBDC発行の意義が薄く、USDなどと紐づけられたステーブルコインの方が有用性が高いとも言えます。 CBDC流通の仕組みは? 間接/直接型と口座/トークン型 続いて、CBDC流通の仕組みを見ていきます。 TetherやLibra等、民間が発行するステーブルコインは預け入れた法定通貨を担保として発行され、その流通は完全に市場のメカニズムに則る形となります。 一方で、CBDC発行以前の現在の国家の多くが、市場メカニズムにより動く経済に介入するための仕組みを備えた2ティア型の仕組みを採用しています。 [caption id="" align="aligncenter" width="482"] http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab19j02.htm/[/caption] 中国国内においても採用されているこの仕組みは「トークン型/間接型」に分類される発行形態で、発行と流通のプロセスが明確に分けられていることが特徴です。 信用リスクが限りなく0に近い中銀が仲介機関に向けて発行を行うことで、中銀は流通量のコントロールが容易となるだけでなく、民間銀行間の競争も促すことが可能になります。 [caption id="" align="aligncenter" width="404"] http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab19j02.htm/[/caption] 同時に「口座型/直接型」のモデルを採用した場合のケースを考えてみましょう。 この場合、最も信用できる中銀に個人が直接アクセスできる形になるため、民間の銀行の影響力が低くなります。 また、現在まで行われてきた市場操作や預金準備率の操作などがより複雑化する懸念も挙がってきます。 日本国内, CBDCの発行における法的論点(一部抜粋) CBDCの発行は国家における貨幣の流通システムに影響を及ぼし、多くの法律と接触していくことが予想されています。 ここでは、日本銀行によるリサーチで公開されている資料を基に、CBDCの発行可能性について考えていきます。 銀行券の定義 日銀が公開したレポートによれば、発行と流通の2点において、現行法では日銀によるCBDCの発行は難しいとされています。 日本銀行法1条1項は、「日本銀行は、、、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。」と規定している。加えて、銀行券については、その製造、消却手続などについての日本銀行法上の定めがある。これらの規定が、銀行券が有体物であることを前提としていることを踏まえると、銀行券の解釈として、電子的なもの、すなわちCBDCを含むことは困難と考えられる。 また、「日本銀行は、、、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」と定める日本銀行法1条2項の規定振りからは、金融機関間の資金決済に限定されない、幅広い主体による利用を想定したCBDCの発行は許容されないのではないかと考えられる。 銀行券の定義について、現在流通している貨幣から移転可能なデータにとって代わるため、この再定義が必要とされると考えられます。 また、既にデジタル化されている中銀債務による決済にブロックチェーンを利用することは問題ないと考えられますが、個人や企業などの主体によって利用されるCBDCとの区別が必要になる可能性があります。 AML(マネーロンダリング対策)/CFT(テロ資金供与対策)について デジタル通貨の発行や流通においてたびたび議論の的となるAML/CFTに関して、日本では犯罪収益移転防止法が定められています。 この法律の下では、仲介機関(民間の銀行)の預金契約に際し、本人確認や取引記録の作成、疑わしい取引の届け出の義務が定められています。 したがって、2ティア(間接)型のモデルにおいては、従来の仕組みと同様に民間の金融機関が、中銀が直接的に個人や企業に移転できる直接型のモデルでは日本銀行が、この義務を請け負う形となります。 通貨の偽造に対する処罰 通常の銀行券であれば、偽造が難しいうえに多額の紙幣を偽造するためには多くの労力を費やしますが、CBDCの場合デジタルであるため短期間で多くの偽通貨を発行することも可能であると考えられます。 また、一般的な通貨偽造罪がCBDCの偽造において適用不可能であるため、周辺の法整備も必要とされてきます。 現行法に基づけば、通貨の偽造は法貨に対してのみ適用されることになっているため、CBDCを法貨として認めなければ偽造罪が成立しないなどの課題も残ります。 まとめ 日本銀行が発行したレポートを元に、CBDCのステーブルコインとの違いや流通の仕組み、法律やその影響をまとめました。 現状、CBDCが銀行券の定義からは外れているため、現行法の適用できる範囲が限られているのみでなく、有事の際の法的フレームワークを整備する必要もあります。 日本国内では、発行が急がれていないCBDCですが、中国等、周辺の国家の動向に注目していきたいですね。 参考文献 中央銀行がデジタル通貨を発行する場合に法的に何が論点になりうるのか:「中央銀行デジタル通貨に関する法律問題研究会」報告書の概要
インタビュー
2019/11/28エンタープライズ領域でのブロックチェーン活用を支援, 電縁 吉田健一さんインタビュー
CRYPTO TIMESでは先日、株式会社電縁のイノベーションオフィスにてブロックチェーン関連事業に携わる吉田健一さん(@DENEN_YOSHIDA)にインタビューを行いました。 今回のインタビューでは、電縁が取り組むブロックチェーン事業や、2019年から加速を続ける事業者のブロックチェーン導入の動向などを詳細に語っていただきました。 本記事はインタビューのスクリプトを書き起こして一部編集したものになります。 電縁 吉田健一さんインタビュー 自己紹介 ――本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。初めに、自己紹介をお願いします。 はじめまして、株式会社電縁の吉田と申します。社内では、イノベーションオフィスというところで室長をやっています。 電縁自体はシステム開発を行う会社で、イノベーションオフィスではブロックチェーン技術に限らず、新しい技術の取り込みにフォーカスしています。 社内では勉強会なども開催されており、新しい事業に繋がる動きを模索しています。 ――ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何ですか? 個人的には、ビットコインの名前はMtGOXなどの話で知っていたのですが、儲かるらしいぞということで興味を持ちました。 最初はビットコインではなく草コインをマイニングしようと思って、家にあるサーバーを使ってCPUを利用したマイニングソフトを動かしたりはしていましたが、「なんだこれ全然儲からないじゃん」っていうのがありましたね(笑) その後、実際に親会社がブロックチェーンに関わるとなり、「電縁で誰かいないか?」と募集があったので「やらせてください」と名乗り出ました。当時は「ビットコインはブロックチェーンというもので動いてる」くらいしか知りませんでした。 すると、調べれば調べるほど面白い仕組みであることがわかり、会社ではBitcoinCoreのソースを覗いたりいじってみたりするようになりました。同時に社内ではインターン中心にBitcoinCoreを改造し「DENコイン」を作ってみたり、スマホのウォレットアプリも改造して災害時の安否情報確認アプリを開発・リリースなども行ったりしました。 ――ブロックチェーン関連事業は、どのような経緯で始まったのですか? 2015年末に、当時の親会社が日本ブロックチェーン協会(JBA)の立ち上げに関わっていたことがきっかけで、2016年の頭くらいには既にブロックチェーンの受託開発を始めました。 ただ、明確にプロジェクトチームや部署があるわけではなくて、社内のリソースを割きながら、私ともう一名くらいで取り組みだした感じです。 外向きの営業などは特に行わず、引き合いがあればご相談を受け、開発まで話が進めばリソースを確保して実証実験等もやらせていただく流れでした。 仮想通貨取引所でハッキング事件があった頃は業界も冷え込んでおり、その時はブロックチェーンの活動はあまり行っていなかったのですが、今年に入って少し空気感も変わってきたので会社としてももっと力を入れていこうということで、8月にアドバイザーも迎えて色々動いている段階です。 電縁のブロックチェーン関連事業について ――電縁として現在携わっているブロックチェーン事業について教えてください 今提供しているサービスの1つが「PoCの一括支援パッケージ」です。元々2016年からやってきた実証実験のノウハウを生かし、主にエンタープライズ領域でのブロックチェーン活用を一括支援していくサービスになります。 もう一つが「仮想通貨取引所向けの支援サービス」です。 仮想通貨取引所を運営していくためには様々な業務が必要で、非常に大変だというお話も聞きますし、開発にとどまらず広く様々な業務をサポートしていければと考えスタートしました。 この二つが軸としてあり、他にも企業の担当者からエンジニアまでブロックチェーンリテラシーを上げたいというニーズに応える「教育・人材育成サービス」もやっています。 「ブロックチェーンサービスの事業担当者は基礎知識を持っているが、社内全体は理解していない」というケース向けに社内研修をやったり、エンジニアをブロックチェーンエンジニアに育てたい会社さん向けにハンズオン的なサービスも提供しています。 そして最後に、社員が使っている電子機器や端末などを正しく管理し、セキュリティリスクを未然に防ぐ「端末管理」サービスもやっています。 一般の大きい会社さんはすでに導入が進んでいますが、仮想通貨取引所さんですとそこまで手が回っていないケースも有るかと思い、特に「取引所向けにカスタマイズした端末管理サービス」もつい先日発表させていただいています。 ――コンサルティングはヘビーに見えますが、社内のリソースはどのように確保していますか? 一番メインの担当は私なのですが、社内には元コンサルファーム出身の人間もいるので、コンサルティングはそこにお願いしています。 開発分野では、社内でも勉強会含めブロックチェーンエンジニアを育成していて、案件もこなしています。 現段階でブロックチェーンエンジニアと呼べる人間は社内に7~8人います。案件の兼ね合いでブロックチェーンとは関係ない部分もやっていますが、リソースとしてはそれぐらいですね。 ブロックチェーンを使ったシステムと言っても、実際にブロックチェーンに関わらなければいけない1〜2割程度なので、他は普通のエンジニアがいれば十分だと考えています。 そう言った意味では、弊社は社員120名のうちほぼほぼエンジニアなので、ここのリソースは確保しやすいです。 特に、実証実験系は社内のリソースをうまく活用してやるということが大きいです。 仮想通貨取引所向け事業に関しては、ほぼほぼ金融の世界になってきて社内だけでは厳しいので、アライアンスを組ませていただいている会社さんと連携しながらやっています。 先日アライアンスを組んだ例ですと、AMLツールの提供を行うBassetさんと協力し、弊社はそのツールの導入支援などを行っています。 ――PoCや取引所の支援サービス等色々やっていらっしゃるとのことですが、特に取引所支援の実例等ありますか? これは発表させていただいたのも10月なので、まさにこれからといった感じです。 ただ日本の取引所は数も限られているため、日本国内のニーズは当然あると思いつつ、海外にも視野に入れ営業をかけているような段階です。 弊社の公式のツイッターアカウントで、先週は「今タイにいます」みたいなツイートもしているくらい現在は営業メインでやっています。 ブロックチェーンの実社会適用について ――電縁は「ブロックチェーンを適用した際の効果を最大化させる」ことを掲げていますが、これを達成するために特に注目しているポイントなどはありますか? 一社でプライベートチェーンを使うのはご存じの通りあまり効果がありません。 ブロックチェーンを使うにあたりブロックチェーンのいいところをすべて使う必要はないと思っていて、いい感じに適用できてメリットもある要素が一つでもあるなら、そこは使っていこうと考えています。 例えば通常のRDBですと、管理者権限が手に入ってしまうとログを残すことなくデータの書き換えが可能だったりします。そしてそれを防ぐためには別のツールを導入し、そこで何百万もかかったりというケースもあります。 こういったところにブロックチェーンを適用すると、そうそう改ざんはできないし、ログも残るし、さらに安く済むので良いなと考えています。 また、コンソーシアムのケースなら、複数の企業間でデータを共有する際にそれぞれがシステムを作って繋ぎ込むより絶対安く速くできるという明確なメリットがあるので、使う価値はとてもあると思っています。 どこまで適用するのか?というポイントは、実証実験を進めていく中で考えればよくて、それを本番の事業に反映できればと考えています。 ――ブロックチェーンを導入したい事業者向けにこういったサービスを展開していると思いますが、パブリックチェーンに対する関心はどうですか? パブリックチェーンへの興味関心という点では、2016年くらいにあるコンサル会社さんに共同事業を提案され、当時よくあった契約書のハッシュを利用して真贋証明をというようなものがありましたが、これはパブリックのEthereumを使っていました。 日本語の情報も少なくて、色々調べながらスマコンを作った感じでした(笑) でもやはり、法人向け事業だとパブリックという考え方は基本的にないですね。 パブリックとプライベートの説明から始まることもよくあるんですが、要件を聞いていくとパブリックじゃデータを隠せないとか、そういうところを含めて実現できないことも多いです。 なので、基本的にはコンソーシアムかプライベートになってしまいますね。 ――逆に、パブリックチェーンを適用することで効果が最大化される領域というのは何かありますか? あり得るとは思っていますが、ブロックの承認時間等が問題になると思っています。そこをクリアできれば、データもより信頼できるようになると考えています。 弊社は使ってはいないですが、アメリカのファクトムとかは裏にビットコインを使っていたりして、これはまさにいい事例だと思っています。 使いたいお客さんがいれば使いたい、という気持ちはありますが現状あまりニーズがないですね(笑) そこまでしてデータを残したいケースってがなかなかないですが、これから世間の関心がToBよりToCに近くなれば、出てくるのではないでしょうか。 ――2016年頭からやってきて様々な知見がたまっていると思いますが、ブロックチェーンと特に相性がいいと感じるような業界・事業はありますか? 弊社は金融以外の領域への適用が面白いなと考えていて、よく言っているのがトレーサビリティ(追跡可能性)などがわかりやすいと思っています。 オラクルなど現実との紐づけ的な文脈でブロックチェーンだけでできない部分がたくさんありますが、AIやIoTなどと組み合わせて適用していけば非常にいいものができるのではと思っています。 弊社でも一時期、AIをやっていたり、センサー等ハードウェアの業者とも親交があったりします。 ブロックチェーンはあくまでもツールの一つとして考えて、様々なものと組み合わせてこれからより面白い仕組みが作れたらと思っています。 現状だと、クリプトスペルズなどNFTを利用したゲームが流行っていますが、この延長でNFTに関連したコンテンツ系サービスが色々出てくるかなと考えています。 まさに、スタートバーンさんがやろうとしているアート作品への適用ですとか、或いはデジタルコンテンツへの適用であるとか、ここら辺から社会的に使われるサービスが誕生してくるのではないでしょうか。 ただ、会社として自社サービスを作る段階には入っていないのかなといった印象です。 今後の方向性について ――業界的な部分で言うと、2018年は相当厳しく、2019年にようやくブロックチェーンの技術に焦点が当たるようになってきましたが、今後この業界に何を期待していますか? 特にゲーム系がそうなのですが、今のブロックチェーンはこの推しすぎ感がよくないと思っていて、「よいサービスが出てきて、裏を見たらブロックチェーンを使っていました」という流れになってほしいです。 そっちのほうが、ブロックチェーンって実はすごい技術だということを一般の方々もわかってくれると思います。 仮想通貨とブロックチェーン、ビットコインとブロックチェーンが違うんだよっていう認知もされてほしいですが、それを一般の人に広めるのは相当難しいので、いいサービスが先に登場してほしいですね。 その他の点では、「ブロックチェーンといえばこの人」みたいな界隈の有名人はいますが、世間的に「仮想通貨・ブロックチェーンといえばこの人」みたいな方が出てくると面白いですね。 ――様々な業務提携などのニュースを拝見しましたが、今後の方向性は? 会社としては、相変わらずシステム開発がメインになっていますが、今後もブロックチェーンはもっと盛り上がると信じています。 ブロックチェーン事業を会社の一つの柱としてやれていければと思います。 ただ、現時点ではブロックチェーンのどこをやれば間違いないといったものがないので、なるべく幅広く色々な案件等に関わっていければという感じです。 ―最後に読者の方に何か伝えたいことはありますか! ブロックチェーンにお困りの時は是非お声かけください!! 関連リンク 株式会社電縁 公式ウェブサイト 電縁ブロックチェーン 公式Twitter 電縁 吉田健一さん Twitter
レポート
2019/11/18【イベントレポート】BlockChainJam 2019 参加レポート
昨日11月17日(日)、仮想通貨・ブロックチェーン技術の最先端を行く人々が集まるイベントBlockChainJam 2019が東京大学・安田講堂にて開催されました。 会場では、ブロックチェーン技術の実際の現場における活用事例や、現在技術がどこに到達しているのかといった内容の発表・ディスカッションなどが行われました。 CryptoTimesもメディアパートナーとして本イベントに参加してきましたので、その一部を簡単にお伝えします。 マルク・カルプレス氏:ブロックチェーンの最も有効な活用方法 カルプレス氏は、ブロックチェーンの基本的な性質とその誤解について話しました。 マイニングやP2Pネットワーク、新規通貨の発行がブロックチェーンの利活用において必要とされると認識されている一方で、これが間違いであることを指摘しました。 そのうえで、オプションとして各駅をピアにして分散的に乗客の乗車状況などを確認するといった、少し特殊なユースケースについてこれらがいくつか紹介されました。 落合渉悟氏:スマートコントラクトの実社会適用と得られたインサイトの共有 落合氏のプレゼンテーションでは、タイトルの通り実社会におけるブロックチェーンの適用を趣旨として様々な事例・インサイトが共有されました。 Plasma技術は、一般的にレイヤー2技術といわれており、現時点でもこれはHLF(Hyperledger Fabric)やその他の異なるコンセンサスを採用するレイヤー1プロトコルに適用可能であるとします。 その上で、過去の中部電力との実証実験のケースから、将来的にレイヤー2の高速化によって今後産業がさらに拡大していく可能性について語りました。 古瀬敦氏:Tezosとオンチェーンガバナンス - "Kyoto Amendment"に向けて 京都に拠点を置く古瀬氏は、Tezosの開発を専門に行うDaiLambdaと呼ばれる会社で、Tezosのコア開発者として活動しています。 まずは、Tezosの概要について、LPoS(Liquid Proof of Stake), 形式検証, オンチェーンガバナンスについてその特徴が説明されました。 Tezosのアップグレードでは、Aから順にAthene, Babylon...と名前が付けられており、2021年の11番目のアルファベットとなる”K”では、Kyotoの名前を使って貢献していきたいと話しました。 Leona Hioki氏:NFTと分散金融 Leona氏のプレゼンでは、NFT周辺の概要、不動産やアートのオークションでの利活用事例などが紹介されました。 曰く、現在トークンとして機能しているものは、価値の保存、ガバナンストークン、取引所通貨の3種類が主であるとしています。 NFTは非流動資産として、所有権や会員権を示すものとして使われると成功しやすいとし、DeFiにおいては今後NFTを担保としたサービスなどが登場する可能性についても示唆しました。 また、NFTの一つのユースケースとしてToyCash社より新たなプロダクト「Ryodan」のリリースが発表の最中に行われました。 まとめ 業界の最先端を行く登壇者の方々によって行われた発表の一部を簡潔にまとめました。 全体の雰囲気としては、昨年の「~~の問題はどの技術で解決できるか」というフェーズから実社会における浸透に切り替わりつつあるなという印象を受けました。 一方で、仮想通貨を利用したユースケースはまだまだ少ないイメージでした。 昨年のBlockChainJam 2018のレポートは以下から確認いただけます; 【イベントレポート】BlockChainJam 2018 『Ethereumの最前線』 【イベントレポート】BlockChainJam 2018 – Ticket Peer to Peerの概要
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2019/11/08Binance(バイナンス)が新たな法定通貨に対応, 計6か国の法定通貨での売買が可能に
マルタに本拠地を置く仮想通貨取引所, Binanceが新たな法定通貨に対応したことをツイートで発表しました。 今回、新たに対応した通貨はEUR(ユーロ)とUAH(ウクライナ, フリヴニャ), KZT(カザフスタン, テンゲ)の3種類で、現在はこれらを含む6種類の法定通貨で、クレジットカードや銀行振込を利用したビットコイン・イーサリアム・リップルの購入・売却が可能になっています。 Binanceは、先日の韓国参入の報道でも言及した通り、法定通貨建て取引所としてのプレゼンス拡大に力を入れています。
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2019/11/08ConsenSysが10月のEthereumの統計を発表
米国に本社を置くConsenSys社が、10月のEthereumネットワークに関する統計リサーチを発表しました。 今回ネットワークの成長が顕著に現れたのは、DeFiアプリケーションへのDAIロックアップ総額、コントラクトウォレットの総数、Brave BrowserなどのDAppユーザー数になります。 本記事では、ConsenSysがまとめた統計資料の一部を抜粋して紹介していきます。 ネットワーク 89の国でEthereumノードが動いている 59のEthereumノードが大学で運用されている 2050年の発行総数の79.76%が既に発行済み 256,776:過去24時間でトランザクションを送信したEthereumアカウントの総数 4.5%:現在の年間発行レート DApps 2,652:Ethereum上に実装されたDApps総数 57.73k:過去24時間におけるDAppsコントラクトのトランザクション数 33,333ETH:Gods Unchainedのカードセールによる調達資金総額 13,225:DAppsで利用されるコントラクトの総数 8M+:Brave Browserの月間アクティブユーザー DeFi 25.2M:DeFiアプリケーションにロックされているDAIの総数 0.99:Ethereumのβ値 (=仮想通貨市場の影響を大きく受けている) 0.01:Ethereumに対するDAIのβ値 (≒仮想通貨市場の影響を受けていない) 84M:市場に流通しているDAIの枚数 6k+:InstaDappのコントラクトウォレット総数 0.06%:UniswapにロックアップされているETHの総発行枚数に対する割合 50.96%:MakerDAOのDeFiにおけるドミナンス $89.7M:SynthetixにロックされているUSD建て総額 スナップショット:ユーザーはDAIをどこから借りているのか? [caption id="" align="aligncenter" width="768"] 過去6か月間におけるDAIのレンディングボリュームの比較[/caption] 2019年6月までは、Makerで全体の7割近くのDAIが借りられていましたが、7月以降、Compound v2やdYdXが占める割合が増加しており、10月にはdYdXが借り入れボリュームでトップとなっています。 今後の動きとして、新たなプラットフォームがシェアを伸ばすか、MakerがMCD(複数資産担保型DAI)リリースでドミナンスを回復するのかなどに注目していきたいですね。 このほか、Ethereumに関する統計は以下の引用元またはConsenSys公式ブログで確認することができます。 引用:Ethereum by the Numbers – October 2019