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2022/02/08「ゼロ知識証明とzk-SNARKs」を初心者にもわかりやすく解説!
ビットコインなどの一般的なパブリックチェーンは、ブロックエクスプローラを利用することで、他人のものも含め全てのトランザクションの内容を自由に閲覧することができます。 トランザクションの内容には送金者と受取人のパブリックキー(ウォレットアドレス)や送金額なども載っているため、特定のウォレットの資産の行き先などを追跡することができてしまいます。 こういった特徴は分散型台帳の大事な要素である一方、「誰がどこにいくら送ったか」がわかってしまうことに不便さを感じることも確かです。 そこで昨年から注目されているのが、「ゼロ知識証明」というコンセプトを基にしたzk-SNARKsというテクノロジーです。 同テクノロジーを利用したブロックチェーンでは、「トランザクションが正当に行われた」という情報を一般に開示する代わりに、上記のような取引内容を完璧に隠すことができます。 こちらのページでは、そのゼロ知識証明とzk-SNARKsとはいったいどのような仕組みなのかを、初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきたいと思います。 ゼロ知識証明とは ゼロ知識証明とは1985年に初めて定式化されたコンセプトで、証明者(prover)と検証者(verifier)の二者間で行われるある「対話」を意味します。 この対話では、証明者がある秘密を知っていることをその秘密の内容を明かさずに検証者に証明します。 数学的には「命題が真であることを、それ以外の情報を与えずに証明する」といいます。 このコンセプトは、分散型ネットワークのプライバシーを保つ上でとても役立つもので、zk-SNARKsと呼ばれる応用型がZCashやQuorumなどのブロックチェーンで利用されています。 ジャン=ジャックの洞窟 ゼロ知識証明を簡潔に説明できる例として、ベルギーの暗号学者・ジャン=ジャック・キスケタが提案した「洞窟の問題」があります。 [caption id="" align="aligncenter" width="274"] ウィキペディアより[/caption] この例では、ピンク色の服を着た証明者Pさんが、緑色の服を着た検証者Qさんに、 上図のような洞窟の最奥部にある扉を開けるパスワードを知っていることを証明します。 Pさんは洞窟の入り口で、最奥部に到達するルートAまたはBをランダムに選んで進んでいきます。ここでは、PさんはルートAを選んだものと仮定します。 Pさんが最奥部に到達するまで充分な時間が経過した時点で、洞窟の外で待機していたQさんがルートAまたはBをランダムに選び(中へは進まない)、Pさんに選ばれたルートから戻ってくるように叫びます。 ルートAとBを仕切る扉のパスワードを知っているPさんは、ルートAから戻るように言われれば来た道を戻ることができ、ルートBが選ばれたケースでは扉を解錠してBから戻ることができます。 この作業を何度か繰り返して、Pさんが毎回正しいルートから帰ってくれば、QさんはPさんが本当にパスワードを知っているということを、パスワード自体を知ることなく確認できます。 ノンインタラクティブ型 ゼロ知識証明の例をもう一つ挙げます。こちらは、「ノンインタラクティブ型」と言われるタイプの証明になります。 証明者Xさんは、5点満点のテストで「Yさんと同点ではないこと」を検証者Yさんに証明します。ここでは、Xさんは5点、Yさんは3点を取ったと仮定します。 まずXさんは、5つの施錠された箱を用意します。それぞれの箱には1点、2点、3点、4点、5点と点数がふられています。 Xさんはそれぞれの箱の鍵をYさんに渡し、部屋を退出します。退出を確認したYさん(検証者)は、自分の点数(3点)以外の箱の鍵(1, 2, 4, 5点)をその場で捨てます。作業が終わると、Yさんは退出します。 今度はXさんが、自分の点数が書かれた箱(5点)の蓋の隙間から丸印のついた紙切れを入れ、それ以外の箱(1, 2, 3, 4点)にバツ印のついた紙切れ滑り込ませます。 再度XさんとYさんが部屋を入れ替わり、Yさんは鍵を使って3点の箱を開けます。中に入っている紙切れは必然的にバツ印であることから、YさんはXさんと同点ではないことがわかります。 しかし、Yさんは、Xさんの点数が自分より良かったのか、悪かったのかはわかりません。 この例は、洞窟の問題と違い、XさんとYさんの直接のやり取りを必要としません。このようなゼロ知識証明を「ノンインタラクティブ型」と呼びます。 ゼロ知識証明のルール ゼロ知識証明には、証明者による不正を最小限に抑えるために守るべきルールが定義されています。 ひとつめは、完全性(completeness)と呼ばれるものです。これは「証明者が秘密を持っていることが本当ならば、検証者はそれが本当であることが必ずわかること」を意味します。 例えば、洞窟の問題では、証明者Pさんがパスワードを知っているなら、検証者QさんはルートA、Bをランダムに選ぶ作業を繰り返すことででPさんが本当にパスワードを知っていることを確認できます。 ふたつめは、健全性(soundness)と呼ばれ、「証明者が秘密を持っているという嘘をついている場合、検証者は高確率でその嘘を見抜ける」というものです。 洞窟の問題で証明者Pさんが嘘をついていた場合、Pさんは最奥部の扉を解錠できないため、来た道(上記の例ではルートA)から戻るほかに選択肢がありません。 検証者Qさんがランダムに選ぶルートがAである確率は50%であることから、この作業を繰り返していけば、Qさんが毎回Pさんによって選ばれたルートから戻ってくる確率は極端に低くなります。 証明の回数を重ねるごとに証明者Pさんが不正を働ける確率が低くなるため、QさんはPさんが嘘をついていることを高確率で見抜ける、ということになります。 最後に、ゼロ知識証明はゼロ知識性(zero-knowledge)というものを満たさなければなりません。これは、検証者が証明の結果得られる知識は、証明者の命題が真であることのみであるという意味です。 洞窟の例では、検証者は証明者がパスワードを知っていること(命題)が本当であることは確認できますが、そのパスワード自体を知ることはできません。 zk-SNARKsとは? 匿名性の高いことで有名な暗号通貨・ZCashなどは、zk-SNARKs(ゼットケー・スナーク)と呼ばれるゼロ知識証明の応用型をトランザクションの記録に利用しています。 ZCashでは、第三者が得られる情報は「トランザクションが正当に行われた」という命題が真であることのみで、送金者や受取人、送金額などといった情報は確認できません。 zk-SNARKsのzkはZero-Knowledge(ゼロ知識)を意味し、SNARKはそれぞれ以下の略称となっています。 Succinct (簡潔) - 証明結果は証明のプロセス(計算)に比べサイズが軽い。証明プロセスをノンインタラクティブ型にすることで、証明結果の容量を節約できる。 Non-interactive (ノンインタラクティブ) - トランザクションの正当性を確認したい検証者が、証明者と直接やり取りせずに証明を確認できる。 ARgument - 証明者の計算能力には限りがある。並外れた計算能力を持つ証明者は、力づくで暗号を解き、虚偽の証明を提出できてしまう。 of Knowledge - 証明者は、取引に関与するウォレットのアドレスなどといった知識を前もって知っていない限り、証明を作成することはできない。 証明が簡潔かつノンインタラクティブ(証明者から検証者へメッセージを送るだけ)であることで、ブロックチェーン上に記録する内容を少なく抑えることができる、ということになります。 Argument of Knowledgeは、zk-SNARKsが満たすべき仮定、と考えることができます。 zk-SNARKsはZCash以外にも、米JPモーガンのQuorumでも実装されているほか、イーサリアムでも実装を検討していることがわかっています。 【ゼロ知識証明】プライバシー銘柄「zCloak Network」とは?テストネットのやり方も解説 まとめ ゼロ知識証明とzk-SNARKsについて、大事な点をもう一度確認しておきましょう。 おさらい ゼロ知識証明とは「命題が真であることを、それ以外の情報を与えずに証明する」ということ。 ブロックチェーンに応用すると、「トランザクションが正当であること」を証明することで、送金者や受取人、送金額などといった他の情報を一切提供しなくて済む→プライバシーの保護 zk-SNARKsは、ブロックチェーン技術と組み合わせて利用できるタイプのゼロ知識証明。証明結果の容量の小ささや、計算における仮定が特徴。 ZCashによるzk-SNARKsの解説はコチラからアクセスできます。また、ゼロ知識証明のより数学的な解説はコチラに載っています。
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2022/01/28実物付きデジタルスニーカーNFT『Cult & Rain』概要、初回Twitter Space Eventでのディスカッションまとめ
クリプト発ファッションブランド「Cult & Rain」 Cult & Rainは仮想通貨コミュニティ発の高級ファッションブランドで、世界中のファッションデザイナーやディレクターにより運営されています。 Discordを通してデザインを募集するなどして一気に注目を集めたCult & Rainは、いまやVogueなどの有名なファッション誌にも取り上げられるほどになっています。 そんなCult & Rainが初めてローンチするのが今回のスニーカーNFTプロジェクト「Genesis Drop」です。 4人のデザイナーがデザインしたスニーカーデザインをNFT化した同プロジェクトでは、それぞれのデザインのスニーカーが実際にイタリアの工場で生産されNFT購入者に届けられます。 今回発売されるデザインは以下の4種類で、それぞれ5色のバリエーションで合計20種類、それぞれが100枚ずつ発行(合計2000枚)されることになっています。 こちらの記事では1/28に行われたCult & Rainと上記のデザイナー4名によるツイッターのSpaceの内容をまとめています。 Our PREMIERE Twitter Spaces with All 4 artist collabs is here in case you missed it! Amazing insight from these talented Web 3 artistic innovators! Enjoy!❤️🔥https://t.co/Bv8fZGlgdz — Cult & Rain (@cultandrain) January 28, 2022 Spaceでのディスカッションまとめ [caption id="" align="alignnone" width="800"] スニーカーをデザインしたデザイナー(プロジェクト): 左からThe Heart Project, Sean Williams, Sophie Sturdevant, Javier Arres[/caption] Cult & Rain: 関係者およびコミュニティのみなさん、今日はお集まりいただいてありがとうございます。 Cult & Rainはクリプトの世界で生まれた高級ファッションブランドです。私たちは「アート」「クリエイティビティ」「コミュニティ」「ユーティリティ」の4本の柱を軸にデジタルと実世界双方で最高品質のプロダクトを生み出すことに注力しています。 そのため(スニーカー現物の方では)イタリアで一番の工場と提携し、世界中のトップデザイナーとコラボしています。 まずは今回の「Genesis Drop」のデザイナーのみなさんに、自己紹介と「なぜアートの世界に足を踏み入れたのか」をお聞きしたいと思います。みなさんどうですか? Sophie Sturdevant (以下Sturdevant): みなさんこんにちは。米イリノイ州で活動するSophie Sturdevantです。 私の芸術家としてのキャリアはトラディショナルなアートスタイルのものがほとんどでした。今回のCult & Rainとのコラボはそういった意味で今までとは違うことをしたので、とてもユニークな体験でした。 3歳の時からずっとアートをやっていて、体全体やパーツの形をモチーフにした作品を主に創っています。今回私がデザインしたスニーカーも、よく見ると体のパーツがたくさん描かれているのがわかります。 Javier Arres (以下Arres): はじめまして、Javier Arresです。 私も11歳くらいの時からずっとアートクラスに通っていて、目につくものすべてを描いていました。 特にドラゴンボールの模写にはかなり夢中になっていました。私のアートはこういった漫画やアニメ、映画、母国スペインのクラシカル絵画、ポップカルチャーなど色々なものから影響を受けています。 Sean Williams (以下Williams): こんにちは。Sophieと同じくイリノイ州で芸術家をしているSean Williamsです。 みなさんと同じように、ペンが握れるようになった時からずっと絵を描いています。Javierと同じでドラゴンボールZや他のアニメ、漫画、スーパーヒーローコミック等をたくさん描いていましたね。 というわけで生まれてから26年間ずっと、自分の描けるアート、描けないアートをひたすら模索しながら走り続けています。 Jvadala (The Heart Project): The Heart Projectのデザインを担当した米テキサス出身のJamesです。 はじめは本当に軽い気持ちで自分のデザインをThe Heart Projectに応募しました。コンテスト内容を見たときはじめに浮かんだのは「自分が履きたいスニーカーをデザインしよう」でした。特に絵が上手なわけでもないですが、とりあえずペンと紙を用意して描いて応募してみたんです。 The Heart ProjectとCult & Rainはほんとうにアーティストやクリエイター向けのコミュニティで、Tumblr (ソーシャルメディア)に似たような感じがしてとても好きです。 私のデザインがブロックチェーンに永遠に残り、デザインしたスニーカーを世界中の人が履くというのはまだ実感が湧いていなく、ひたすら驚いています。 NFTスペースで芸術活動をするということについて Cult & Rain: SophieさんはNFTアート参入に際して、自分なりのルール作りをしたと聞きましたが... Sturdevant: NFTアートへの参入は去年から考えてはいました。(クオリティのまばらな)多くの3Dアートが高額で売れているのを見て、「自分の芸術に対する想いに誠実でありながら、芸術家としての寿命を延ばしていくにはどうしたらいいだろう」と考えました。多くのアーティストがNFTを出しているのが、全員でひたすらお金に群がっているように見えたんです。 そこでこの新たなスペースで自分がやっていくための芸術家としての責任というものを考え、そこで自分の芸術家としての哲学に正直にというルールを作りました。そういった意味でCult & Rainとのコラボは自分の想いとマッチしたプロジェクトだと思っています。 それに加えて、パソコンの画面と睨めっこするのではなくTシャツなりスニーカーなり自分の手を使うアートをやるのは身体と心の健康に良いなとも思いました。 Cult & Rain: やはりメンタルヘルスの維持というのも芸術家の仕事なんですね。 Williams: 本当にそう思います。私のアートのプロセスというのは「自由に創作していた5歳の自分」の感覚を取り戻すことなんですが、そのためにはアートと全く関係ないこともすることになります。 一日中本やマンガを読んだりゲームをしたり、楽しいと感じることに没頭してインスピレーションを得るのも仕事の一部だと思っています。自分に正直になり、芸術家としてどうあるべきかをを考えるのをやめるべきだともっと多くのアーティストに気付いてほしいですね。 Arres: その気持ちよくわかります。自分に正直になるというのはたまにワガママになるということでもあるはずです。あることが楽しいからとにかくそれをやる、っていう思考ですよね。 Cult & Rain: Seanさんはかなりディテールの凝った作品を提供してくれましたね。 Williams: そうですね。私は作品の完成やスケッチよりも創作のプロセス自体が大切だと思っています。とにかくどんどん線を描いていってそこから何が見えてくるかを楽しんで創りました。 Cult & Rain: Javierさんに至っては今回のアートワークを巨大なパネルに描いていました。 Arres: 私もバロック絵画やスペインの絵画に見られる非常に細かいディテールまで凝った作品が好きです。今回の作品に関してはエイリアンとUFOという可愛いテーマにしたのも楽しくてよかったです。心の健康に良いですね。 購入特典について Cult & Rain: Genesis DropのNFTは実物のスニーカーが手に入るだけでなく、NFTのレアリティに応じて多数の購入特典が付いてくるようになっています。 この特典はデザイナーの方それぞれに考案してもらいましたが、中でもJavierさんの一番レアなティアにある「秘密のレシピ」というのはとても面白そうですね。これはいったい何ですか? Arres: まずはじめに、スペイン料理は世界で一番おいしい料理だということを言わせてください。この秘密のレシピというのは、私の祖母の料理レシピのことです。 Cult & Rain: 他のデザイナーさんはどんな特典を設けたのでしょうか? Sturdevant: 私はそれぞれに手書きの感謝の手紙、サイン付きのNFT実物バージョンなどアートを愛するコレクターさんに世界でひとつだけのものをプレゼントします。 Williams: コレクターやアート愛好家にリワードとしてもっとアートを与えるというのはとても大事ですね。 私はグッズや作品、Tシャツ、限定品のほか、マリオカートへの招待という個人的にとても楽しみにしている特典も含めています(笑) Cult & Rain: みなさん色々な特典を用意されていて楽しみですね。Genesis Dropの仕組みやデザイン、それぞれのレア度に応じた特典などの情報は公式ウェブサイトでも確認できるのでチェックしてみてください。 私たちCult & RainはユーティリティのあるNFTづくりにこだわっています。スニーカーの実物だけでなく、イベントや次回のプロジェクトへの招待、エアドロップなどを通してバリューを提供していければと思います。 メタバース参入について Cult & Rain: 最後にひとつ、Cult & Rainはメタバースに参入する予定はあるか?という質問があったので、お答えします。 私たちCult & Rainはメタバース参入をもちろん考えていて、まさに今数多くあるオプションを模索している最中です。 一つ言えるのは、私たちはlo-fi (シンプルなグラフィック)系のメタバースを選ぶことはおそらくないということですね。私たちはユーザーに純粋にラグジュアリーな体験をしてもらいたいと考えているので、その点でグラフィックのリアリズムは重要視しています。 第三者のメタバースプラットフォームを作るのか、インハウスで自分たちで創り上げるのかはまだ決まっていません。いずれにしてもみなさんが購入したスニーカーNFTがそういったメタバースで使えるようになるのは確実です。 まとめ 今回Cult & RainがローンチするGenesis Dropは、NFTアートプロジェクトのクオリティの高さを感じるものがあり、コミュニティ・運営双方がとても盛り上がっていました。 Genesis Dropに関する詳しい情報はCult & Rainの公式ホームページおよびDiscordでチェックすることができます。 Cult & Rain各種情報 Website Twitter Discord
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2022/01/12株式やETFの合成資産に特化したDeFiプラットフォーム「WallStreetBets ($WSB)」とは?
WallStreetBets ($WSB)は株式の合成資産やETP(ETFに似たバスケット型資産)の売買ができるDeFiプラットフォームです。 株式やETFなどのトラディショナルな金融商品を分散型プラットフォームに移植する試みはこれまでいろいろな方面で行われてきましたが、WSBは合成資産(シンセティック・アセット)というアプローチでこれを実現しています。 こちらの記事ではそんな画期的な技術を持つWallStreetBetsの特徴やプロダクト、独自トークン $WSBについて詳しく解説していきます。 WallStreetBetsの公式リンクまとめ 公式ウェブサイト https://www.wsbdapp.com/ ライトペーパー https://assets.website-files.com/60fed6cb6d2ef7a142e50d84/619b97265bf2845532d3208e_WSB_Litepaper.pdf ETP プロダクトペーパー https://assets.website-files.com/60fed6cb6d2ef7a142e50d84/619b9727fda9947afe9050cf_WSB_ETPs.pdf Twitter https://twitter.com/WSBDapp, https://twitter.com/JapanWsb Telegram https://t.me/wallstreetbets , https://t.me/wsbjapan YouTube https://www.youtube.com/channel/UCUvxcGE0XCWVPmflZiUXK-g Discord https://discord.gg/GUwmA72SKD Medium https://wsbdapp.medium.com/ WallStreetBetsの概要と主要プロダクト プロジェクト名/ティッカー WallStreetBets / $WSB プロダクト 株式等の合成資産取引、バスケット型アセット(ETP)、流動性マイニング 対応チェーン イーサリアム(資産取引)、BSC (流動性マイニング)、Polygon (予定) WallStreetBets ($WSB)は株式連動型のアセットをDeFi上で実現した分散型プラットフォームです。 WSBは海外のオンライン掲示板「Reddit」上で株式取引などについて議論するr/wallstreetbetsから着想を得ており、ウェブサイトでも「ウォールストリートのDeFi化」というスローガンを大きく掲げています。 WSBには大きく分けて「合成資産取引」「分散型バスケット型アセット(ETP)」「流動性マイニング」の3つのプロダクトがあり、どれもすでにローンチされています。 以下ではこの3つの主要プロダクトについて詳しく見ていきます。 STONKS - 株式の合成資産 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] STONKSのベータ版画面[/caption] STONKS (stocks/株式 のミーム版名称)は特定の株式の価格を追跡した合成資産(シンセティック・アセット)を売買できるWallStreetBets上のDAppです。 決済のベースとなる通貨はUSDステーブルコイン3種(UST, USDT, USDC)となっており、現在購入できる資産は以下の9種類となっています。 アップル (mAAPL) マイクロソフト (mMSFT) アマゾン (mAMZN) アリババ (mBABA) テスラ (mTSLA) グーグル (mGOOGL) Invesco QQQ (mQQQ) ツイッター (mTWTR) イーサリアム (ETH) こういった合成資産は株式そのものではなく、あくまでその株式へのエクスポージャー(価格変動)を表すものです。 したがって、通常の株式保有で得られる会社の所有権や配当を受け取る権利といったものはこちらの合成資産には存在しないので注意が必要です。 しかし、会員情報や口座情報を登録する必要もなければ、国や自治体による制限等もない分散型ネットワーク上で株式へのエクスポージャーを得られるというのは、トラディショナルな金融市場にはない大きな強みと言えるでしょう。 STONKSは現在イーサリアムネットワーク上のDAppですが、今後Binance Smart ChainおよびPolygonへの対応も予定されています。 ETP - DeFi版上場投資信託 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] ETPの取引画面[/caption] ETP (Exchange-traded Portfolio)は、合成資産技術とDAOの特性を活用したバスケット型金融アセットです。 従来の金融市場のETF (Exchange-traded Fund)は主に現物を裏付け資産とし、対象となるインデックス(全米、全世界、新興国など)の変動に基づいてファンドがリバランスを行います。 対してETPは主に合成資産を裏付けとし、DAOとしてインデックスの選定、Balancer上での初期発行、そしてバスケットのリバランスをWallStreetBetsのコミュニティが投票に基づいて実行するという大きな違いがあります。 [caption id="" align="aligncenter" width="801"] WSB Macro Hedge ETPの内訳とウェイト例[/caption] 現在WSB上では、インフレヘッジを目的としたWSB Macro Hedge ETP、および大手のDeFiプラットフォームトークンを対象にしたDeFi ETPの二銘柄がローンチされたばかりで、今後も株式や暗号通貨をバスケット化した銘柄の導入が予定されています。 株式の合成資産同様、ETPの大きな魅力はトラディショナルな市場で大きなシェアを誇るETFをDeFi上に持ち込み誰でも匿名で平等にアクセスできるしたところにあります。 流動性マイニング [caption id="" align="aligncenter" width="808"] WSB流動性マイニングのセレクション[/caption] WallStreetBetsには独自トークン$WSBを基軸とした流動性マイニングも設けられています。TVLは記事執筆時点で450万ドル超となっています。 現時点では用途やリスクプロファイルに基づいた3種類が設けられており、いずれもAPR変動型のステーキングとなっています。 WSBのシングルアセットプール (Diamond Hands Pool)は同ネイティブトークンのHODL向けのプールで、TVLの大半を占めています。 WSB-BNBおよびWSB-BUSDはBinance Smart Chain (BSC)システム上のトークンとの流動性ペアで、WSB-BUSDの方が低リスク(インパーマネント・ロス)向けとなっています。 $WSBトークンについて $WSBはBinance Smart Chain (BSC)ベースのWallStreetBetsにおけるガバナンストークンです。総発行枚数は10億枚となっています。 $WSBのガバナンスにおける具体的な用途は典型的な流動性マイニングのものに加え、新たな合成資産の発行・流通、ETPの発行やリバランスなどもあり、プラットフォーム上の金融商品の種類や特性に大きな影響を与えることもできるようになっています。 $WSBはBSCベースのトークンのため元からPancakeSwapに上場していますが、12月に入りCEXではOKEx、DEXではSushiswapと他の大きな取引所でのリスティングも立て続けに発表されています。 用途 割当 ローンチ時の流動性 (BSC) 20% エアドロップ等 2.5% パブリックセール 7.5% プライベートセール (ベスティングあり) 15% 流動性マイニング 10% マーケティング (ベスティングあり) 10% 開発 (ベスティングあり) 10% チーム (ベスティングあり) 10% トレジャリー 15% 初回に放出されるトークンのうち、合計約25%はプライベートセールとチームに割り当てられています。対してエアドロップとパブリックセールは全体の10%を占めています。 開発とマーケティングには合計で20%、流動性マイニングが10%、およびDAOの資金源であるトレジャリーには15%が割り当てられています。 WallStreetBetsのパートナーシップ情報 WallStreetBetsは2021年10月末に規模・注目度共に大きなパートナーシップを発表しました。 同提携は証券の発行者や投資家をマーケットとつなぐプラットフォーム「Digital Markets (DIGTL)」と、セーシェル諸島に本拠地を置き株式・債券・デリバティブ等幅広く展開するMERJ Exchange、そしてビットコインブロックチェーン上のインフラ開発を行うBlockstreamの3社との共同提携です。 BlockstreamがLiquid Networkを活用してビットコインチェーン上での証券発行・登録を可能とし、その上にMERJが取引市場を展開、DIGTLがインターフェース等のインフラを提供、そして最後にWSBが合成資産をその上に発行するというものです。 証券取引をブロックチェーン上、しかもビットコインネットワーク上で実現するというのはかなり画期的で、WSB含め4社での大がかりなプロジェクトの賜物といえます。 また、このプロジェクトはWSBの「トラディショナルな金融をDeFi化する」という目標への第一歩、という強い意味合いも持ち合わせています。 まとめ WallStreetBetsはトラディショナルな金融市場を現実的な方法でDeFiの世界に持ち込み、リテール投資家がそういった市場で抱えていた参入障壁を着実に崩しているプロジェクトです。 商品の数こそまだわずかしかありませんが、株式の合成資産、バスケット型アセット(ETP)共に実際にプロダクトがローンチされているのは注目に値します。 こういった商品の中身やタームがDAOの投票によって変わるというのは実験的な要素を強く感じざるを得ず、トラディショナル・マーケットの従来の株式やETF等とどのような性質の違いが生まれてくるのかとても気になるところです。 ミレニアル世代好みのカジュアルなマーケティングで「アンチ・ウォールストリート」的なメッセージを売り出しているプロジェクトですので、共感して集まってくる$WSBホルダーたちの金融リテラシーがこうしたプロダクトの発展のカギになると考えられます。
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2021/12/13Polkadot/Kusama向けNFTエコシステム「Unique Network ($UNQ)/Quartz ($QTZ)」を徹底解説
Unique Network ($UNQ)はNFTの利便性を改善する技術開発や、NFTマーケットプレイス/DEXを展開するプロジェクトです。 UniqueがKusama ($KSM)向けに展開しているプロジェクトがQuartz ($QTZ)で、第14回目のオークションで無事スロットを確保しKusamaのパラチェーンとなっています。 こちらの記事では、そんなUnique NetworkおよびQuartzの概要・技術・特徴、$UNQ/$QTZのトークノミクスやセール情報、プロジェクトのパートナーやロードマップなどを徹底的に解説していきます。 Unique Network/Quartzの公式リンクまとめ ウェブサイト https://unique.network/ Telegram https://t.me/Uniquechain Twitter https://twitter.com/Unique_NFTchain Discord https://discord.gg/jHVdZhsakC GitHub https://github.com/UniqueNetwork SubSocial https://app.subsocial.network/@UniqueNetwork_NFT テクニカルペーパー https://github.com/UniqueNetwork/unique-techpaper/blob/master/unique_techpaper.pdf NFTマーケットプレイス https://unqnft.io/#/market Unique Network特徴を解説 Unique NetworkはPolkadot/Kusama上でのNFTエコシステム構築や関連技術の開発を行っているプロジェクトです。 QuartzはUnique Networkが現在フォーカスしているKusama上でのNFTエコシステムです。 まずはUnique Networkが開発している技術から見ていきましょう。 Unique Networkの主な役割 Unique Networkは、NFTの利便性向上技術や、NFTマーケットプレイス・ウォレットなどNFT関連の多方面での開発を行っています。 UniqueのNFTマーケットプレイスはすでに利用可能で、ChelobricksやSubstraPunksなど注目を集めているNFTが多数リスティングされています。 [caption id="" align="aligncenter" width="927"] UniqueのNFTマーケットプレイス[/caption] このマーケットプレイスのようにUnique Networkの名のもと提供されているプロダクトもある一方、開発している技術の多くはQuartzに落とし込まれており、Unique自体はどちらかというとデベロッパー団体的な位置付けになっています。 では、Unique Networkが開発を手掛けるNFT関連技術はどのようなものなのかを見ていきます。 複数NFTをコレクションとして管理 Unique Networkでは複数のNFTをひとつのコレクションとして所有することができます。 コレクションを作成しそれに属するNFTを発行することで、所有権を保ったまま個々のNFTを別アドレスに移動したり削除したりできるようになります。 主なユースケースとしては、NFTアートのギャラリー出展、ゲーム内アイテムの貸し出しなどが考えられます。 コレクションロールとホワイトリスティング Uniqueのコレクション機能にはOwner (所有者)とAdministrator (管理者)の2種類のロールがあります。 AdministratorはOwnerだけが追加・削除できるロールで、主にコレクションの管理を自動化するために利用します。 また上記の2種類のロールとは別に、ホワイトリストを作成することで該当コレクションへのアクセス権限を設定することもできます。 例えばデジタルアートギャラリーを出展するにあたり自分でコレクションを作成し、そのコレクション内に事前に許可を与えたアーティストにNFTを発行してもらう、などといったことができるようになります。 他にもUniqueでは、NFT自体が他のNFTや一般的なトークン(FT)を所有できる機能や、NFTの所有権を分割できる機能など、アートやゲームをはじめ様々な分野でNFTを活用できるポテンシャルを備えています。 Unique Networkのチーム/アドバイザー情報 Unique Networkは開発やマーケティングなどそれぞれの分野でたくさんの経験を積んできたプロが揃っています。 こちらでは創設者やエンジニア、マーケティング担当などのチームのコアとなるメンバーを紹介します。 [caption id="" align="aligncenter" width="310"] Alexander Mitrovich氏[/caption] Unique NetworkのCEOを務めるAlexander Mitrovich氏はLuxoftなどの企業で30年ほどチームを指揮してきた経験を持つ方です。 Mitrovich氏は2017年にBlockchain Labを設立し、様々なプロジェクトやブロックチェーンプラットフォームでの経験を通してブロックチェーン技術のマスアダプションを研究してきました。 [caption id="" align="aligncenter" width="309"] Greg Zaitsev氏[/caption] クリプトのアーリーアダプターであるGreg Zaitsev氏は、業界初の仮想通貨インデックス「Crypto 100」の生みの親で、ほかにも様々な分野でのプロトタイプ製作を大きく評価されている人物です。 2019年にはPolkadotから開発資金の提供も受けたZaitsev氏はUnique Networkの大元となるNFT Palletを発明し、Mitrovich氏と共にUnique Networkを設立しました。 [caption id="" align="aligncenter" width="311"] Charu Sethi氏[/caption] Unique Networkのマーケティングを担当するCharu Sethi氏はテック業界全体で12年以上、うちブロックチェーン業界では3年のマーケティング担当経験を持ち、IBMなどの大企業でブロックチェーン普及を促進する活躍をしてきた人物です。 [caption id="" align="aligncenter" width="309"] Irina Karagyaur氏[/caption] Irina Karagyaur氏はUnique Networkのメタバース上のビジネス開発を担当する人物です。 同氏はPolkadotの西ヨーロッパアンバサダーのトップに立ち、イギリスベースの国際ブロックチェーン・リアルエステート財団(FIBREE)のチェアマンも務めています。 そのほか、DeFiやWeb3.0サービス、NFT、不動産のトークン化などに特化したブロックチェーンコンサルティング企業「Design B2C」の共同創設者でもあります。 Uniqueマーケットプレイスの使い方を解説 上述の通り、Unique NetworkではすでにSubstraPunksやCheloBricksなどがリスティングされたNFTマーケットプレイスが利用可能になっています。 $UNQは未だテストネットトークンのため、現在こちらのマーケットプレイスに対応している通貨は$KSMのみです。 マーケットプレイスへのアクセスは、プラットフォーム上のウォレットまたはPolkadot{.js}からとなっています。こちらでは、この二通りでのアクセスの仕方を解説していきます。 プラットフォームのウォレットでアクセスする方法 まずUnique NetworkのNFTプラットフォームにアクセスし、下画像赤線の「Accounts」へ移動します。 続いて、下画像赤線の「Add account」をクリックし、プラットフォームのウォレットを生成します。 すると以下のような画面が表示されます。 上画像赤線のボックスに表示される12個の英単語はニーモニックフレーズといい、ウォレットを復旧させるときに必ず必要になるパスワードの役割を持ちます。右側のドロップダウンメニューは初期設定のMnemonic (ニーモニック)のままにしておきます。 先に進む前に、このニーモニックフレーズを必ず紙などアナログのものにメモし、失くすリスクの低い場所へ保管します。万が一このフレーズが他人の手に渡ると、ウォレットを乗っ取り仮想通貨を引き出すことが可能になってしまいます。 フレーズのメモと保管が完了したら、上画像黄色線のチェックボックス(「ニーモニックシードを安全に保管しました」という確認)にチェックして「Next」をクリックします。 次に以下のような画面が表示されるので、「new account name (ウォレットの名前)」「password (パスワード)」「password (repeat) (パスワード再確認)」をそれぞれ入力、そして右下の「Next」をクリックします。 最後に表示される画面は確認画面となるので、特に間違い等が見当たらなければ「Save」をクリック。すると下画像赤線のように生成したアカウントが表示されます。 これでプラットフォーム上のウォレットを利用する際の準備は完了です。 Polkadot{.js}ウォレットからアクセスする方法 次に、ブラウザ拡張ウォレット「Polkadot{.js}」からUnique NetworkのNFTマーケットプレイスにアクセスする方法を紹介します。 Polkadot{.js}自体の実装方法はこちらの記事でわかりやすく解説しています。 まずはインストールしたブラウザからPolkadot{.js}のメイン画面を開き、下画像右上の+マークをクリック、そして「Create new account (新しいアカウントを生成)」をクリックします。 次に下画像の「GENERATED 12-WORD MNEMONIC SEED:」の下に表示される12個の英単語(ニーモニックフレーズ)を必ず紙などアナログのものにメモし、失くすリスクの低い場所へ保管します。このフレーズが他人の手に渡ると、ウォレットを乗っ取り仮想通貨を引き出すことが可能になってしまいます。 ニモニックフレーズはウォレットを復旧させるときに必ず必要になるパスワードの役割を持ちます。フレーズのメモと保管が完了したら、上画像黄色線のチェックボックス(「ニーモニックシードを安全に保管しました」という確認)にチェックして「Next」をクリックします。 次に表示される画面は以下のように設定します。「A DESCRIPTIVE NAME FOR YOU ACCOUNT (わかりやすいアカウント名)」、そしてパスワードと再確認をそれぞれ入力していきます。 最後に画面下のオレンジ色のボタン「Add the account with the generated seed (生成されたシードをもとにアカウントを作成する)」をクリックします。NETWORKの部分は「Allow use on any chain」のままにしておきます。 最後に、Unique NetworkのNFTマーケットプレイスにアクセスし、画面右上のドロップダウンで作成したアカウント名とアドレスが表示されていれば成功です。 正しく表示されない場合は、マーケットプレイスのウェブページを再読み込み(ctrl+R)してみましょう。それでも直らない場合は上画像の「NETWORK」欄が「Allow use on any chain」に設定されていない可能性があります。 これで、Polkadot{.js}ウォレットを利用する際の準備は完了です。 マーケットプレイスの使い方まとめ 上記の2通りのいずれかの方法でウォレットをマーケットプレイスに接続できたら準備は完了となります。 あとは外部のウォレットや取引所から接続したウォレットアドレスに$KSMを送金し、マーケットプレイスで好きなNFTを購入することができるようになります。 $UNQトークンのトークノミクスを解説 Unique Networkには$UNQと呼ばれるトークンが存在します。 総発行枚数は10億枚で、インフレ率はローンチから10年目まで徐々に下がっていく仕組みになっています。 年 年間インフレ率 1 10.00% 2 9.33% 3 8.67% 4 8.00% 5 7.33% 6 6.67% 7 6.00% 8 5.33% 9 4.67% 10 4.00% 10年目からのインフレ率は年間4%で固定となります。 ローンチ時のトークンジェネレーションで発行される枚数は約6,800万枚で、その内訳は以下の通りとなっています。 分配先 初期発行枚数(約6,800万枚)からの分配率 トレジャリー 24% プライベートセール 20% チーム&アドバイザー 18% エンジェル投資家 15% Polkadotクラウドローン 15% パブリックセール 8% $UNQトークンのユーティリティ $UNQは具体的に以下のようなユーティリティを持っています。 トランザクション頻度調整やDDoS攻撃防止を目的とした手数料 DAppsのデータストレージ料金 スマートコントラクトを通したDApps内決済 アプリ開発推進プログラム レートリミットの更新料金 Unique Networkでは、通常のスマートコントラクトに格納しきれないDAppsデータを専用の分散型ストレージに保管することができ、この利用料が「DAppsのデータストレージ料金」となっています。 アプリ開発推進プログラムはUnique Network上のDAppsデベロッパーを増やす取り組みで、一定数のトランザクション手数料をプロジェクトのトレジャリーでカバーするというものです。 レートリミットとは、ブロックチェーン上で大量のオンチェーンデータを読み込む必要のある古いデータにアクセスできる上限頻度です。Unique Networkでは、$UNQを支払うことでこの上限を引き上げることができます。 Unique Networkのロードマップとインベスター情報 Unique Networkは現在テストネット2.0下にあり、さらなる開発がどんどん進んでいます。 まずはじめに、昨今の界隈のスタンダードにもれることなく、Unique Networkもプロダクトのマルチチェーン化に取り組んでいます。 Unique上でトークンをロック/アンロックし対象チェーンでトークンを発行/バーンというスタンダードな手法ですが、UniqueをNFT所有権分割のためのブリッジとして使うというユースケースも構築されています。 これは例えばCryptoPunksなどの高額なNFTを一度Unique上に移して任意の数量に分割、それを対象チェーンに戻すことで実質元チェーンで所有権を分割保有できる、という使い方が期待されます。 NFTの利便性向上の面では、トークンの貸借、NFT画像の利用や動画の放映にあたる権利、所有者の代理人がアセットの売買等を行う権利などといった、より現実味のある所有権管理の仕組みが開発されているもようです。 ほかにも、独自のNFT取引所およびオークションプロトコル、ゲーム開発を促すためのUnreal Engineの統合、上述のDAppsストレージ機能など、いくつもの注目に値する技術が並行で開発されています。 Unique Networkのインベスター・パートナー情報 Unique Networkは、ブロックチェーンやNFT、ゲーミング、メタバースなど様々な界隈の著名な団体からバッキングを受けています。 Unique Networkは今年5月にOutlier Ventures、Animoca Brands、DFGなどを対象にプリセール第一ラウンドを行い、430万ドル(約4.9億円)を調達しています。 さらに、今年10月末に同じくOutlier Ventures、そしてThe LAO、Flamingo、Nalu Capital、その他200名以上の投資家を対象にプリセールの第二ラウンドも行い、1130万ドル(約13億円)を調達し、現在トータルで約160万ドル(約18億円)もの資金を調達しています。 インベスターからの注目に加えて、Uniqueは他企業や団体とのパートナーシップにも着手しており、今年8月には国連関連機関のHuman Settlement ProgrammeおよびGlobal Challengesから気候変動対策プロジェクト「DigitalArt4Climate」の開発パートナーに選ばれたことを発表しました。 DigitalArt4Climateは、ユースアーティスト・デザイナー・活動家などが気候変動に対する行動を促すようなアートを創造するサポートをするイニシアチブです。 Kusama上でのNFT発行から管理までを担うQuartz Unique Networkの姉妹プロジェクトに位置付けられているQuartz ($QTZ)は、Kusama ($KSM)上のNFTエコシステムです。 Quartzの根幹となる機能は以下の4種類に分けられます。 NFTの発行: コーディングの知識ゼロで簡単にNFTが発行し、上述のOwnerおよびAdministratorが管理できる。 マーケットプレイス: 独自の分散型マーケットプレイスを構築できる。サブスクや予約型トランザクションなど様々な機能を利用できる。 ギャラリー: 閲覧や宣伝を目的とした自分のNFTギャラリーを作成できる。 ウォレット: 技術的知識のない人でもわかりやすく利用できるウォレット。メタマスクとの互換性も備える。 上述のNFT所有権分割や他のNFT/FTとのリンク等、Unique Networkが開発するNFT関連技術の多くはQuartzに落とし込まれており、Kusamaの主力NFTエコシステムとなる意気込みが感じられます。 $QTZトークンのトークノミクス Quartzの独自トークンは$QTZと呼ばれ、こちらも総発行枚数は10億枚、インフレ率の推移も$UNQと全く同じになっています。 Kusamaのパラチェーンとしてのローンチが済んだ段階(ジェネシス)で発行される枚数は約3,700万枚で、内訳は以下の通りになっています。 分配先 初期発行枚数(約3,700万枚)からの分配率 トレジャリー 39% クラウドローン 8% エンジェル投資家 15% プライベートセール 20% チーム&アドバイザー 18% インセンティブ等エコシステム関連の支出元となるトレジャリーが39%、プライベート投資家やチームへの分配が合計で53%となっています。 Kusamaパラチェーン獲得のためのクラウドローン(すでに調達済)に割り当てられた額は全体の8%となっています。 $QTZトークンのユーティリティ $QTZは具体的に以下のようなユーティリティを持っています。 NFTの固定トランザクション手数料 スマートコントラクトの固定トランザクション手数料 DAppsのプロモーションステーキング レピュテーションステーキング ガバナンスステーキング 独自トークンを手数料に利用するというのは一般的ですが、$QTZの場合は手数料が予め決められた値で固定されるという特徴があります。 スマートコントラクトのトランザクションの場合は、そのDAppsの複雑さに応じて手数料を固定し、ネットワーク混雑度などで変動しない仕組みになっています。 ステーキングのユーティリティについても、DApps関連のものや、レピュテーション(評判)を獲得するためのステーキング(デリゲーション)、ガバナンスに参加(投票)するためのステーキングなどいくつかの種類があります。 Kusamaパラチェーンのオークションに勝利 Quartzは約9000のステークホルダーから約54000KSM (2100万ドル相当)を調達し、2021年11月にKusamaのパラチェーンスロットを勝ち取っています。 パラチェーンへの接続は12月の第一週から48週間の間維持されることになっています。 今回のクラウドローンへの参加者には、前述の通り約300万QTZ(TGE総発行枚数の8%)が報酬として配布されます。 $UNQのトークンセールについて解説 Quartzの$QTZに関しては現在Kusamaパラチェーン獲得のクラウドローンの調達が済んだ段階にあり、トークンセールの詳しい情報は発表されていません。 Unique Networkの$UNQは12月14日Whitelistラウンドと12月15日Publicラウンドに開催されるセールが開始される予定となっています。セールの基本的な情報は以下の通りです。 日程: 2021年12月14/15日 当イベントへの割当枚数: 8000万枚(総発行枚数の8%)、うち5%がホワイトリストラウンド、3%がパブリックセール トークン価格: 0.25USD ベスティング期間: トークンジェネレーションから3ヶ月間、線形 支払い可能な通貨: DOT, USDT, USDC, ETH セールプラットフォーム: TokenSoft KYCはTokenSoftのプラットフォームから実施する必要があります。 ホワイトリストラウンド ホワイトリストラウンドとは、以下の条件のいずれかを満たした人のみが参加できるセールラウンドです。 Quartz ($QTZ)のクラウドローンに参加した 11月26日 日本時間19時より前にアンバサダー登録を申し込んだ 12月6日のスナップショット前にChelobrickまたはSubstrapunkのNFTを所有している これらに加えて、KYCを行うことも必須事項となっています。 ホワイトリストラウンドには最大で5000万枚(総発行枚数の5%)が割り当てられています。 パブリックセール パブリックセールは、ホワイトリストラウンドへの参加権のない人が誰でも参加できる早い者勝ちのセールラウンドです。 こちらもKYCは必須で、アロケーションは3000万枚(総発行枚数の3%)となっています。 Unique Network/Quartzのまとめ こちらの記事では、Unique NetworkおよびQuartzの概要や特徴、トークン情報などをくまなく解説しました。 Unique Network/Quartzは、Polkadot/Kusama上でのNFTエコシステム確立を目指す有力プロジェクトです。 その開発内容はNFTマーケットプレイスだけに留まらず、マルチチェーンでの所有権分割や複数NFTのコレクション管理、NFTとNFT/FTの紐づけなと画期的な技術を多く含んでいます。 プリセールラウンドでは世界中のファンドから多額の資金が集まっており、国連関連機関などとのパートナーシップも目立っています。 UniqueもQuartzも未だ開発初期段階にあり、QuartzはKusamaパラチェーンのスロットを確保、Uniqueは21年12月中にトークンセールを行う予定となっています。 Polkadot/Kusamaネットワークが急速に発展している中、Unique Network/Quartzの開発の様子やアップデートは今後も要注目です。
インタビュー
2021/12/13開発チームがなくなっても半永久的に動き続ける、完全に分散化された『真のDEX』へ | Sifchain sif_moon氏へのインタビュー
Sifchain Financeは「インターオペラビリティ」「高機能なAMMシステム」「DEXとしてのユーザビリティ」の3点を追求したオムニチェーンDEXを開発しているプロジェクトです。 Cosmosベースの同プロジェクトは、大手仮想通貨取引所・FTXの母体であるAlameda Researchなど数多くの有名な団体をパートナーにつけています。 Sifchainの概要や詳しい技術、ネイティブトークンなどについてはこちらの記事で解説しているので、ぜひ一度目を通してみてください。 インターオペラブルで高機能なDEXを実現する「SifChain Finance」を徹底解説! - CRYPTO TIMES 今回、CRYPTO TIMESはSifchain Financeでビジネス開発・運営を務めるsif_moon氏を取材し、プロジェクトの背景や開発の様子、他プロジェクトとの比較や今後のプランなど気になることをたくさん質問してみました。 SifChain Financeの概要と特徴 −SifChainの概要− プロジェクト名 SifChain Finance ネイティブトークン (ティッカー) Rowan ($EROWAN) 創設者 Jazear Brooks 特徴 オムニチェーンDEX パートナー/インベスター Alameda Research, NGC ventures, bitscale capital, Mechanism capital, AU21など 公式リンク Webサイト Twitter Telegram Discord Sifchain Financeのsif_moon氏にインタビュー Sifchainはどんなプロジェクトか ─この度は取材に応じていただきありがとうございます。最初にsif_moonさんの自己紹介をお願いします。 sif_moon氏: こんにちは、sif_moonです。 Sifchain Financeでの最初の一年目はプロダクトマネージャーを担当し、DEXをローンチまで持っていく仕事をしていました。 その後はIBC(ブロックチェーン間のやり取りを可能にするプロトコル)を実装して生まれ変わったDEXのバージョン2のローンチを担当しました。 最近では、ビジネス開発・運営のリードに就任し、これまでのプロダクトマネジメントでの経験をビジネス側で活かすことになりました。 Sifchainに来る前は宇宙関連の企業やレイヤー1系のブロックチェーンプロジェクトでプロダクトマネージャーを務めていました。 ─以前、CRYPTO TIMESでもSifchainに関しては取り上げましたが、改めてSifchainとはどういうプロジェクトなのか教えて下さい sif_moon氏: Sifchainはオムニチェーン分散型取引所(DEX)です。分散型取引所/DEXは、「取引所の所有者が存在しない」ということを意味します。DEXはコミュニティとエコシステムによってコントロールされています。 私たちが開発しているのは、いつか私たち開発チームがなくなってしまっても半永久的に動き続ける、完全に分散化された「真のDEX」です。 次にオムニチェーンDEXについてですが、これはSifchainを空港と考えると理解しやすくなると思います。 今のSifchainという空港からは、Cosmosエコシステム(IBC経由)やイーサリアム(Peggyと呼ばれるソリューションを経由)に飛ぶことができます。 私たちはこのようにSifchainから飛んでいけるブロックチェーンをどんどん増やしていき、飛んで行った先からもさらに好きなところに飛んでいけるシステムを構築しています。 そして、Sifchainに戻ってきたときに必要なアセットを素早く、安くスワップすることができます。 こんな感じで、Sifchainは今までにないマルチチェーンハブとして機能し、どこのどんなアセットでも手軽にスワップできる場所になろうとしています。簡単に言えば「未来のDEX」ですね。 ─Sifchainが解決する問題はどんなものでしょうか? sif_moon氏: SifchainはEVM互換性のあるブロックチェーンのクロスチェーントランザクションを可能にし、どんなアセットもスワップできる究極のDEXになろうとしています。 Sifchainは手数料も安く、処理もとても速いです。Cosmos SDKで構築されているので、イーサリアムより100倍近い効率を発揮します。 私たちはユーザーにとって安くて速いトランザクションはとても重要なものであると考えています。 クロスチェーンの仕組みやRowanトークンについて ─SifchainがイーサリアムやCosmosベースのアセットとスワップできるのはどのような仕組みの上で成り立っているのでしょうか? sif_moon氏: まず、ユーザーはイーサリアムからSifchain DEXにワンクリックでトークンをインポートすることができます。 このインポートというのは簡単に言うと「トークンとスマートコントラクトをペグする」ことに相当します。ペグされたアセットはこれで初めてSifchain DEX上で利用可能とみなされ、DEX上のすべてのアセットとスワップできるようになります。 CosmosベースのアセットはIBCを経由することで、Cosmos SDKを利用したチェーン間であれば容易に移動することが可能になります。 ─Sifchainが提供する流動性プールはすべてRowanとのペアになっていますが、このトークンの上下でインパーマネント・ロス(IL)が発生するなどのデメリットはありませんか? sif_moon氏: 私たちが流動性プールをすべてRowanとのペアにした一番の理由は、このトークンにユーティリティを与えるためです。 ユーザーはどのプールに流動性を提供するにも必ずRowanを保有していなければいけません。なぜかというと、Rowanはスワップ等すべての取引の決済通貨だからです。 こういったユーティリティさらにステーキングやデリゲーティングなどの機能も加えることで、Rowanはしっかりとしたユースケースを持ち価値を創り出すと考えています。 類似プロジェクトとの比較・2022年の展望 ─Cosmosのエコシステムは最近急速に成長していて、OsmosisやGraviti DEXといった名前も目立ってきました。このようなプロジェクトと比較して、Sifchainの強みはどこにありますか? sif_moon氏: 第一に、イーサリアムとのインポート・エクスポート構造が完璧に出来上がっているのはSifchainだけです。さらに私たちはこれだけにとどまらず、もっと多くのEVM互換チェーンとのコネクションも確立していきます。 加えて、マージン取引にここまでフォーカスしているプロジェクトもSifchainだけです。デリバティブの取引高が現物のそれよりも大きいのはどの金融商品でも一緒です。こういったマーケットは膨大なキャピタルを秘めていると思います。 ─2021年はブロックチェーン業界にとって大きな飛躍を遂げた一年だったと思います。Sifchainの2022年のマイルストーンはどのようなものになると考えていますか? sif_moon氏: 私たちの2022年の大きな野望は現実的に達成可能なものです。 まずはたくさんのEVM互換チェーンに対応したオムニチェーンDEXになり、いかなるアセットのスワップも可能にすること。さらにマージン取引をローンチして膨大なスワップ高、取引高、流動性を確保すること。 そして最後にSif DAOのセットアップを完成させて、Sifchainを真の分散型プロジェクトにすること。2022年にはこの3点を達成したいと思っています。 おわりに: 日本コミュニティへメッセージ ─Sifchainは日本にも大きなコミュニティがあります。このコミュニティに向けてなにかメッセージをお願いします。 sif_moon氏: 私たちは日本のコミュニティのみなさんからのサポートに大変感謝していて、これからもニーズに応えることで恩返しをしていきたいと思っています。 日本のみなさんのために私たちが何か改善できることがあったら、ソーシャルメディア等を通して気軽にご連絡ください! Sifchain 各種サイト情報 Webサイト Twitter Telegram Discord
インタビュー
2021/12/10$IOST エコシステムにおけるDeFi×NFT×相撲をテーマにしたDeFiプロダクト「Yokozuna Finance ($ZUNA)」アドバイザー / David Dzanis氏へのインタビュー
Yokozuna Finance ($ZUNA)はIOST上のDeFiプロジェクトです。 名前・ビジュアル共にインパクトの強い同プロジェクトは、シングルアセットステーキングやダブルマイニング、NFTステーキングなどを組み合わせた画期的なエコシステムを開発しています。 今回、CRYPTO TIMESはYokozuna Financeのマーケティングアドバイザーを担当するデビッド・ザニス(David Dzanis)氏を取材し、同プロジェクトの仕組みや魅力、チームや長期的なプランなどについて聞いてみました。 Yokozuna Fi デビッド・ザニス氏にインタビュー [caption id="" align="aligncenter" width="288"] デビッド・ザニス氏: Yokozuna Financeのマーケティングアドバイザー, マーケティングコンサルタンシーを経営, ペプシコーラ、NASCARなどの大企業に勤めた経験を持つ。[/caption] ─本日は取材に応じていただきありがとうございます。最初にYokozuna Financeはどのようなプロジェクトなのか教えてください。 ザニス氏: Yokozuna FiはIOST上のDeFiプラットフォームで、名前の通り相撲をテーマにしています。 基本は独自トークンの$ZUNAをステークしてリターンを得るというものですが、Yokozuna FiはこれにNFTを加えることでDeFiにゲーミフィケーションの要素を採り入れています。 Yokozuna Financeにはそれぞれ能力の異なる「力士NFT」が存在し、ユーザーは特定の条件を満たしてこの力士の番付を上げていくことがゴールになります。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] Yokozuna FinanceのNFT力士たち。序の口から横綱までの番付でプラスされるリターンが上がる。[/caption] この力士NFTが何の役に立つかというと、ユーザーはこのNFTをステークすることで既存の$ZUNAステーキングにプラスしてリターンを得ることができるのです。力士の番付が高ければ高いほど得られるリターンも高くなります。 加えて、この力士と一緒に「化粧廻し(力士が土俵入りをするときに着用する廻し)」や「ちゃんこ鍋」など一定期間リターンをさらに増やす「消費型NFT」もステークすることができます。 この消費型NFTは指定期間を過ぎるとバーンされるようになっています。こうしたNFTステーキングやバーニングは、私たちの「NFTはコレクタビリティだけでなくユーティリティも持つべき」という考えからきています。 それから、Yokozuna Financeはシングルアセットステーキング・ダブルマイニングという強みがあります。 まずステークするのはひとつのアセット(=$ZUNA)だけなので、通常の流動性マイニングのようにインパーマネント・ロス(IL)の心配をしなくてすみます。 さらに、Yokozuna Fiでは$ZUNAをステークすると$ZUNAと$IOSTの両方をリワードとして得ることができます。 ─NFTステーキング/バーニングやダブルマイニングなど、面白そうな技術をたくさん採用されていますね。Yokozuna Fiが開発するブロックチェーンにIOSTを選んだのはなぜですか? ザニス氏: まず技術的な理由としてIOSTの速さと効率の良さ、それから手数料等の安さが挙げられます。また、Yokozuna Financeのようなコンセプトを持ったプロジェクトはまだIOSTにはない、というのもあります。 そしてなによりも重要なのがコミュニティです。Yokozuna FinanceもIOSTコミュニティからとても良いレスポンスを得られています。 相撲好きが集う開発チーム ─そもそもYokozuna Financeはなぜ相撲という日本のスポーツを取り上げたのでしょうか? ザニス氏: 相撲は約2000年の歴史を持つ日本のスポーツですが、実は世界中にたくさんの愛好家がいます。Yokozuna Financeのメンバーももれなく相撲の大ファンです。 プロの力士として日本で競うには日本国籍を持つ男性である必要がありますが、日本国外ではなんと世界88カ国が集うアマチュア相撲連合も存在します。 IOSTが人気を誇る日本で馴染み深く、さらに世界中の国々でも興味関心を集めるテーマとして相撲はとても良いと考えたことが理由のひとつです。 もうひとつの理由は、DAOとして相撲というスポーツをもっと盛り上げていきたいというものです。 DAOとしてのYokozuna Financeはただステーキングリワードを配るだけでなく、将来的にはユーザーの投票を通して大会に出たり部屋に入る金銭的余裕のない力士をサポートしたり、私たちが愛する相撲をもっと多くの人に知ってもらうイニシアチブを執っていきたいと考えています。 ─相撲好きのチームが手掛けるDeFiプロジェクト、というのは面白いですね。 ザニス氏: かなりの相撲好きが集まっていますね。アドバイザーのひとりであるコルトン・ランヤン(Colton Runyan)は現役のアマチュア相撲力士で、イギリスの名門・ケンブリッジ大学では博士号候補として平安時代の相撲文化について研究しています。 私自身も相撲をはじめ色々なスポーツが好きで、ペプシコーラなどの大企業でこれまで25年間スポーツマーケティングに携わってきました。 Yokozuna FiはほかにもIOSTからの技術者や日本のブロックチェーンスペシャリスト、IOSTの黎明期からノードを運営しているMetanyxの人材等を開発やアドバイザーに迎え入れ、日本と世界両方で相撲をプロモートしていくための多様性を持つチーム構成を意識しています。 このように敢えて匿名性を捨てて私たちのプロフィールをどんどん公開しているのは、Yokozuna Fiの長期的な活動に対するコミットメントでもあります。 ─MetanyxなどのIOSTエコシステム内の他のプロジェクトと関わりがあるのも良いですね。 ザニス氏: はい。Yokozuna FinanceとMetanyxによる共同のプロダクト開発は当然行っています。まず手始めにMetanyx-IOSTのリクイディティ提供で$ZUNAを得る、というプロダクトのローンチを予定しています。 Yokozuna Financeインタビューのまとめ Yokozuna Financeは始動したてのDeFiプロジェクトで、NFTキャラクターの育成というゲーミフィケーション要素を採り入れた新しいファーミングを開発しているとのことでした。 チームの相撲に対するパッションはとても熱く、日本と海外の相撲業界を盛り上げるという実世界での長期的な目標がとてもハッキリしたプロジェクト、という印象を受けました。 今月6日には公式ツイッターにてファーミングプラットフォームのローンチが発表され、いよいよプロダクトの輪郭が見え始めました。 画期的なNFTステーキング機能も来年Q2には実装されるとのことで、これからのアップデートにも注目していきたいところです。 Yokozuna Finance公式ホームページ
プロジェクト
2021/11/16グローバル教育ゲーム×メタバース「Winkyverse」とは?
Winkyverse ($WNK)は、最先端技術をはじめとした教育コンテンツにフォーカスしたグローバル教育向けのメタバースプロジェクトです。 フランス発の同プロジェクトは、メタバースに先行して子ども向けのロボット「Winky」をすでに販売しており、パートナーには多くのインベスターや国内トップの大学などがついています。 Winkyverseでは、メタバース内でのコンテンツクリエイターに向けた様々な開発ツールやマネタイズ手段が企画されています。 こちらの記事では、Winkyverseのコンセプトから具体的なプロダクト、ロードマップ、$WNKトークンの機能やセール情報などを解説していきます。 Winkyverseの概要 −Winkyverseの概要− プロジェクト名 / ティッカー Winkyverse / $WNK 特徴 子ども向け教育ゲーム×メタバース 対応チェーン イーサリアム, BSC 公式リンク Webサイト Twitter Telegram Discord Winkyverseは子ども向けの教育ゲームをプレイしたり作成・マネタイズできるメタバース系プロジェクトです。 教育のテーマにはロボット工学、ゲーミング、人工知能、拡張現実(AR)、プログラミング、ブロックチェーンの6つが挙げられています。 Winkyを開発するMainbot社は2017年からフランスの理工系トップ校Ecole Polytechniqueのインキュベータープログラムに参加しており、すでに子ども向けのロボット「Winky」を開発・同国内の大手家電量販店で販売しています。 同プロジェクトはEcole Polytechniqueのほかにも人気メタバースプロジェクト「Sandbox」の創業者、エンターテインメントプラットフォーム「Ultra」のCEO、などロボット工学・ブロックチェーン両面のパートナーから約200万ユーロの資金を調達しています。 以下では、Winkyのメタバースの特徴や詳しい仕組み、ハードウェアとの連携やロードマップ、WNKトークンやセール内容について解説していきます。 Winkyverse Winkyverseのエコシステムは、教育ゲーム/アプリケーションを作成・マネタイズするクリエイターとそのゲームで遊ぶユーザー(子ども)で構成されます。 このメタバースの基本はUnityベースの3Dオープンワールドとなっていて、空間内のゲームやアバター、アイテムはNFTとして取り扱われます。 Winkyverse内のゲームは無料と有料の2種類があり、加えてゲーム内アバターやアイテム(NFT)、下記で詳しく解説する3Dアクセサリーも購入・販売できます。 これらはすべてクリエイター側のマネタイズ手段となっています。 またWinkyverseのゲームやアプリには、前述のWinkyロボットと同期してよりインタラクティブな遊び・学びの環境を創り出せるという特徴的な機能が存在します。 WinkyPlay Winkyには、大人から子どもまで誰でも簡単にゲームやアプリを作成できる「WinkyPlay」と呼ばれる開発ツールが用意されています。 WinkyPlayでは、以下の6ジャンルのゲーム/アプリが作れるようになっています。 オーディオブック: Winkyロボットが表情や動作を用いて読み聞かせをよりイマーシブにする。 最先端技術: プログラミング、ロボット工学、人工知能などをテーマとしたもの。 ゲーム: メタバースとWinkyロボット(リモートコントロール、センサー、疑似感情)を活かした拡張現実(AR)体験など。 教育: 数学、英語、地理、歴史などのいわゆる学校科目をWinkyロボットと組み合わせて楽しく学べるもの。 ヒーロー: Winkyロボットが子どもたちの間での人気ヒーローたちとインタラクトするもの。 ボードゲーム: モノポリー、ピクショナリー、カードゲームなど。Winkyロボットがホストやプレイヤー、審判などとして加わることでよりよい体験を生み出す。 いずれのジャンルも子どもの好奇心を掻き立てたり学習を手助けするものとなっており、ハードウェア(ロボット)と同期して楽しめるという特徴があります。 WinkyMaker Winkyが現在開発しているもうひとつのツールが「WinkyMaker」と呼ばれる3Dエディターです。 WinkyMakerではメタバース用のキャラクターとして使用するWinkyロボット(ハードウェアのものとは別)や関連アクセサリーを初心者でも簡単にデザインすることができます。 このツールで作成したデザインはNFT化することができ、マーケットプレイスで取引することができます。 また、コミュニティの投票を通して選び抜かれたデザインをハードウェア化される計画も立てられています。 WinkyPlayおよびWinkyMakerにはサブスク型のプレミアムユーザー制度が設けられるようで、開発中のゲームへの早期アクセスや、デザインの販売数上限を無制限にするなどといった特典があるようです。 [caption id="" align="aligncenter" width="552"] WinkyMakerのイメージ[/caption] ロードマップ Winkyロボットはすでにプロダクト化が済んでおり、2019年からフランスの大手量販店などで店頭販売もされています。 2021年末現在は後述するWNKトークンのセールが行われており、2022年Q1中にはCEXへのリスティングが予定されています。 Winkyverse, WinkyPlay, WinkyMakerのテスティングは2022年に行われ、正式ローンチは2023年Q2に計画されています。 また、2024年にはWinkyMaker等を通してデザインされた人気クリエイションを実際に登場キャラクターとして採用しWinkyverseをアニメ化するという企画も予定されています。 WNKトークンについて [caption id="" align="aligncenter" width="737"] $WNKトークン エコシステムの相関図[/caption] Winkyverseの独自トークン$WNKは、エコシステム内のトランザクションやガバナンスに利用するERC-20トークンです。総発行枚数は75億枚となっています。 ホワイトペーパーでは、以下のようなWNKの具体的な使用用途が挙げられています。 Winkyverseへのアクセス権(買い切り) アバター等のゲーム内アイテム購入 有料ゲームの購入 WinkyPlayのプレミアム・サブスクリプション Winkyロボット 50%オフ(法定通貨比) ゲームデベロッパーやWinkyMakerのクリエイターへの報酬 WinkyPlay上への広告 ガバナンス・投票 プロジェクトの調達資金のアロケーションは以下の通りとなっています。 サードパーティのゲームエディタ 25% ユーザー獲得 20% マーケティング・ブランディング 20% Winkyverseの開発 15% ハードウェアの研究開発 10% セキュリティ・リーガル 5% リザーブ 5% 続いて、$WNKトークンのディストリビューションは以下の通りとなっています。 クラウドセール(詳しくは後述) 32% PR・マーケティング 14% プライベートセール 10% 開発チーム 10% アドバイザー 4% ゲームエディタ・パートナーシップ 10% エアドロップ・バウンティ 4% リザーブ 9% 流動性 5% Winkyファウンデーション 2% 開発チームやアドバイザー、リザーブなどに割り当てられているトークンは最長で1年のロックアップ、そこから最長4年間のベスティング期間が設けられています。 $WNKトークンセールについて $WNKトークンは、総発行枚数75億枚のうち合計24億枚がクラウドセールで売り出されることになっています。セールラウンドは3回に分けられています。 ラウンド1 ラウンド2 ラウンド3 期間 10/25-11/7 11/8-11/21 11/22-12/5 価格 0.006EUR 0.008EUR 0.01EUR 販売枚数 600,000,000 800,000,000 1,000,000,000 ベスティング期間 9ヶ月 6ヶ月 なし 第1ラウンドはすでに終了しており、現在は第2ラウンドの最中となっています。 まとめ Winkyverseは最先端技術などを主とする教育に着目し、子ども向けのメタバース開発に取り組んでいるプロジェクトです。 同プロジェクトはまだクラウドセールを通して資金を調達している段階にあり、メインプロダクトの完成にはまだ数年かかりそうです。 遊びや学びの体験を完全にデジタル化するのではなく、ハードウェア(Winkyロボット)を活用したインタラクティブなメタバースというのは画期的な発想といえるでしょう。 クリエイターのマネタイズの方法も広告からゲーム・アプリの買い切り、ゲーム内アイテムのNFT取引まで様々なものが考えられていますが、これらがRobloxやMinecraftといったタイトルに見られる現行のクリエイタービジネスの進化系になるかは要注目です。
プロジェクト
2021/11/10NFT周りに特化したDeFiプラットフォーム「Spores Network」について徹底解説!
Spores Network ($SPO)は、NFTマーケットプレイスや、NFT関連プロダクトのローンチパッド、ステーキングなどを備えたDeFiプラットフォームです。 「クリエイター中心・コミュニティ主義」を掲げるSporesは、マルチチェーンや法定通貨決済の対応などユーザーの利便性を追求した機能を開発しています。 こちらの記事では、Spores Networkの具体的な特徴や技術、開発状況、そしてガバナンストークンとなるSPOトークンについて詳しく解説します。 Spores Networkの特徴 −Spores Networkの概要− プロジェクト名 / ティッカー Spores Network / $SPO 特徴 NFTに特化したDeFiプラットフォーム 対応チェーン イーサリアム, BSC, Cardano, Solana, Polkadot, Polygon, WAX, Cosmos 公式リンク Webサイト Twitter Telegram Medium Spores Networkのエコシステムは以下の図のような構造になっています。 エコシステムの中心となるのがNFTマーケットプレイスなどSporesのプロダクトが展開されるプラットフォームで、一般ユーザーや様々な分野でのNFTクリエイターがここで暗号資産の取引・運用を行います。 これを補助する形として、スケーリングのソリューションや、マルチチェーンへの対応、そしてそのチェーン間でのクロススワップなどが実装されます。 以下では、Sporesの具体的なプロダクトや、その裏側にある技術を解説します。 Spores Networkのメインプロダクト Spores Networkには大きく分けて3つのプロダクトが存在します。 Spores NetworkのNFTマーケットプレイスでは、メタマスクを介してプラットフォームに接続することで様々な種類のNFTを取引することができます。 [caption id="" align="aligncenter" width="616"] Spores NetworkのNFTマーケットプレイス[/caption] 「分散型ポップカルチャー」を推進するSporesのマーケットプレイスでは、一般的なデジタルアート(静止画・アニメーション)だけでなく、eスポーツ、映画/テレビ、音楽といったより幅広いカテゴリのNFTが取引できるようになっています。 また、同プラットフォームではNFTのライブオークションも行われています。決済に対応している通貨はWETH, USDT, USDCの3種類となっています。 ほかにもSporesはアメリカのポップアートアーティストTodd Gray氏とのパートナシップを発表したり、上海でギャラリーを開催するなど、クリエイター側の呼び込みにも力を入れているようです。 [caption id="" align="aligncenter" width="442"] LMG+Spores 上海ギャラリーの様子[/caption] Sporesのローンチパッドは、NFTや関連するプロダクトのセールが随時行われています。 直近では、メタバース系プロジェクト「NetVRk」と有名映画デザイナーのJohn Park氏によるコラボNFTが販売され、完売となっています。 アジアのNFT経済圏に特に力を入れているSporesは、先日日本のSFイラストレーター・横山 宏氏とのパートナーシップを発表しています。 このパートナーシップに際し、Sporesから横山氏の「マシーネンクリーガー」のメカデザインがNFTとしてリリースされることになっています。 [caption id="" align="aligncenter" width="686"] Sporesと横山宏氏のコラボ[/caption] ほかにも、Sporesは日本のアニメ・漫画・ゲームカルチャーに焦点を当てたNFTマーケットプレイス「PolkaFantasy」ともコラボレーションし、11月11日からローンチパッドにてFantasy Land NFTを販売することを発表しています。 こちらではSporesからのセールでしか手に入らない激レアな土地NFTも販売されるようです。 [caption id="" align="aligncenter" width="727"] Polka Fantasy x Spores[/caption] Sporesのローンチパッドは一般的なものと違い、NFTにフォーカスしたセールを行っている点が特徴的です。 最後に、SporesのLPステーキングはFerrum Networkと共同で開発したシステムで、プールごとのニーズに応じた細かいカスタマイズができるようになっています。 プールの開始日から10~15日かけてステーキングが募集され、期限またはステーキング上限到達で締切となり、満期に達するとあらかじめ決められたリターンが得られる仕組みとなっています。 記事執筆時では独自トークンのSPO、さらにUNIやCAKEの短期ステーキングプール(満期60日または90日)が設けられています。 [caption id="" align="aligncenter" width="509"] Spores Networkステーキングプールの一例[/caption] Spores Networkの技術 Spores Networkは、NFTのオークションや取引と、その決済やネットワーク全体のエコシステムに関連する通貨の取り扱い(スワップ、レンディング、ファーミングなど)をシームレスに行えるシステムになっています。 Sporesではクロスチェーン機能が開発されており、異なるブロックチェーン間でのNFTの発行や売買、スワップが容易にできるようになる予定です。 現行のイーサリアムとBSCのほかに、対応予定のチェーンとしてCardano、Solana、Polkadot、Polygon、WAX、Cosmosが挙げられており、ユーザーの多い大きなブロックチェーンはたいていカバーされるようです。 また、クロスチェーン決済に加えて法定通貨での決済手段も実装予定となっており、より幅広いユーザー層の参入が期待されます。 現在の開発状況・ロードマップ Spores Networkはローンチしたての段階にあり、上記の機能の多くは未だ開発中となっています。 今期(2021年Q3)にはプロジェクトのコアとなるNFTマーケットプレイスとステーキングが実装されました。 利便性の大幅な向上が期待される法定通貨取り扱いは2022年前期、クロスチェーン決済機能は2023年の前期実装予定となっています。 それぞれのブロックチェーンの統合自体はより段階的に計画されており、早いものでPolygon/Maticのレイヤー2ソリューションが2021年Q4導入予定となっています。 ほかのもゲームストアやNFT向けDeFiアプリケーション、クロスチェーンでのNFT取引など、数年のスパンで様々なプランがたてられているもようです。 独自トークン$SPOについて Spores Networkの独自トークン$SPOは、エコシステムの要となるERC-20ユーティリティトークンです。総発行数は50億枚となっています。 具体的には、ガバナンス・投票、マイニング・レンディングのインセンティブ、プラットフォーム利用手数料の割引、NFT発行へのインセンティブ、NFTクラブへのサブスクなどといった利用例が挙げられています。 アロケーションは以下の通りです。 アロケーション 割合 ロックアップ期間など セール 16.8% 7-18ヶ月 開発チーム 15% 24ヶ月からリリース(49ヶ月で50%) アドバイザー 3% 24ヶ月からリリース(49ヶ月で50%) 流動性 3% なし コミュニティ 12% ベスティング3ヶ月 エコシステム 15% ベスティング6ヶ月 マイニング 25% ベスティング36ヶ月 リザーブ 10.2% ロック9ヶ月、以降ベスティング30ヶ月 トークンセールの詳細は以下の通りとなっています。 セール枚数 トークン価格 割引率 ベスティング期間 希薄化後総額 シード 1億枚 0.0025 50% 18ヶ月 1250万ドル プライベート 6.6億枚 0.0035 30% 12ヶ月 1750万ドル パブリックIDO 8000万枚 0.0050 0% 7ヶ月 2500万ドル [caption id="" align="aligncenter" width="295"] カテゴリごとのトークン開放スケジュール[/caption] まとめ Spores Networkは、NFTマーケットプレイスやローンチパッド、さらに一般的なDeFiサービスも含めた包括的なプラットフォームです。 積極的なパートナーシップやイベントの展開からは、アジアを起点としてNFT業界をクリエイターとユーザー両サイドから盛り上げていこうという意気込みが感じられます。 開発スケジュールはまだまだ長くはあるものの、クロスチェーン/法定通貨決済といった利便性を大幅に向上する機能の追加にも大きな期待が集まります。
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2021/10/25取引から資産の保有状況まで非公開・追跡不可にできるプライバシープロトコル「Railgun」について徹底解説!
Railgun ($RAIL)はブロックチェーン上の暗号資産の保有状況や取引情報を追跡できないようにするプライバシープロトコルです。 ゼロ知識証明を活用した同プロトコルは単純な送受信だけでなく、保有している資産の情報そのものから非公開にすることができます。 さらに、トランザクションをカスタムすることでNFTの取引など様々なアクションをプライベートに行うことができます。 こちらの記事では、Railgunの特徴や技術、開発状況やRailトークンの概要について詳しく解説していきます。 Railgunの特徴・ユースケース −Railgunの概要− プロジェクト名 / ティッカー Railgun / $RAIL 特徴 資産管理・取引の非公開化プロトコル 対応チェーン イーサリアム, BSC, Polygon (予定) 公式リンク Webサイト Twitter Telegram Medium Railgunは特定のブロックチェーン上での保有資産や、DeFiの利用等含む取引内容をオンチェーンから読み取れないようにするプロトコルです。 これにはどのようなメリットがあるのでしょうか?具体的なユースケースと共にみていきましょう。 資産状況を他人に見られずに暗号資産を保有できる 通常、暗号資産を保管しているウォレット/アドレスは誰でも閲覧でき、何をいくら保有していて、いつ誰とどんな取引をしたのかが筒抜けになっています。 これはブロックチェーンを公平で検証可能なものにするために大切な要素ですが、持ち主は一度特定されると資産状況の隠しようがなくなってしまうリスクもあります。 Railgunを利用すると、このパブリックチェーンのセキュリティを保ったまま資産・取引状況のプライバシーも得ることができます。 「Railgun」は一連のプライバシー機能が備わったプロトコルを指し、自身のウォレットからこのRailgunプロトコルに暗号資産を送金して利用します。 送金した自分の資産をプロトコル上で管理することで、具体的な保有量や取引などを他人に見られずに保管できるようになります。 資産取引にもプライバシーを提供 トークンもそのまま Railgun上で管理している資産は、そのイン/アウト情報も非公開・追跡不可にできます。 これには、DEXトレードやDeFiサービスにおける自分の取引戦略がオンチェーンに残されている履歴からが推測されてしまうケースを防げるなどの大きな利点があります。 また、後述するアダプト・モジュールを活用すると、個人間での資産交換(スワップ)やNFTの取引も行うことができます。 暗号資産をRailgunを通して管理するにあたり、トークンを何らかの派生トークンとロック/交換する必要はありません。 通常のウォレットでできることはRailgun上でもそのままできるようになっており、利便性が高いといえます。 Railgunのプライバシー技術 ここからは上述のようなRailgunの機能の裏側にある技術・仕組みを詳しく見ていきます。 Railgunには、ゼロ知識証明という証明手段が至るところに応用されています。 一般的にゼロ知識証明(ZKP)とは、「とある情報を知っていることをその情報の中身を明かさずに証明する」ロジックのことを指します。 この「とある情報」を「ウォレットの所有者のみが知りうる情報」「トランザクションの当事者のみが知りうる情報」と置き換えることで、ブロックチェーン技術にも応用することができます。 ゼロ知識証明に関する詳しい解説はこちらをご覧ください。 「ゼロ知識証明とzk-SNARKs」を初心者にもわかりやすく解説! 資産のイン/アウトとプロトコル上での管理 Railgunは、前述の通り一般的な外部ウォレットからプロトコルに自分の資産を送金して利用します。 送金が行われると、Railgun上でそこに資産があることをゼロ知識で証明できる「ノート」が生成されます。 この機能はRailgun上では単純に”ADD”と呼ばれています。 メタマスクなどの外部ウォレットからプロトコルが用意したアドレスに送金(ADD)することで、晴れてプライバシー機能の恩恵を受けられるようになります。 ただしこの時、外部ウォレットからプロトコルへの送金はプロトコル外のトランザクションのためプライバシー機能を備えていない点には注意が必要です。 管理や取引に際して生じるプロトコル上での資産の移動は“SPLIT” (スプリット)によって行われます。 これは、生成されたノートAをノートBとノートCにスプリット(分割)し、ノートAを無効、ノートBとCを有効とするものです。 このアクション自体も、ノートAの所有者がその所有権と該当ノートが未使用であることをゼロ知識で証明することによって完結します。 そして最後に、プロトコル上から資産を引き出す”REMOVE”機能は、単純に対象となるノートを無効にして紐付けられた資産を引き出すというものです。 REMOVEでも、ノートの所有者はその所有権をゼロ知識で証明します。対象のノートは消去され、プロトコルから外部ウォレットへの送金が行われます。 この動作もADD時と同様、外部ウォレットと取引をするアクションとなるためプライバシーはありません。 ADD, REMOVEにはそれぞれ処理額の0.25% (DAOの決議次第で変更される)が手数料として課されます。 アダプトモジュール Railgunでのアドレス間の取引(スワップ)は「アダプトモジュール」と呼ばれる機能を使って行います。 ゼロ知識証明のインプットにアダプトモジュールが発行するアダプトIDを加えることで証明に求められるハッシュ値が変わります。 これをスワップの当人同士が照合できればトラストレスかつアトミックに取引を行うことができます。 アダプトモジュールはスワップだけに限らず、NFT取引など様々な用途に応用できるようになっています。 手数料の匿名化 Railgunでは、ユーザーのトランザクションを実際にネットワークに送るリレーヤーネットワークが実装される予定になっています。 ユーザーがトランザクションを希望すると、まずリレーヤーが必要なガスを算出します。 ユーザー側のトランザクションの出力先のひとつがこのリレーヤーへのガス代を支払うと、リレーヤーがトランザクションを実行します。 このときトランザクションの手数料をコミットするのがリレーヤーであるため、ユーザーの元のアドレスに手数料履歴が残らないというメリットが生まれます。 なお、リレーヤーは誰でもなることが可能です。 現在の開発状況・パートナーシップなど 複数チェーン対応・自前のDEXやNFT関連の開発も Railgunは当初イーサリアムで開発がスタートしましたが、10月中にはバイナンススマートチェーン(BSC)やPolygonにもDeployされ、ネットワークが対応されることになっています。 EVM互換性のあるブロックチェーンにはできるだけ多く対応する試みが見られており、年末、来年にかけてはSolanaやPolkadotへの対応も考えられているようです。 そのほかにも、Railgun上でのスワップコストを下げるためのバッチ承認機能や、分散型取引所「RAILYSWAP」の展開も予定されています。 さらに、NFTのプライベート管理・取引や、完全匿名のNFTオークションといった斬新な機能も開発されているもようです。 Ren Protocolとのパートナーシップ Railgunはブリッジプロトコルで有名なRenとのパートナーシップも発表しています。 RenBridgeを通して暗号資産をイーサリアムに送り、そこからRailgunにデポジットすることでBTC (renBTC)なども追跡不可能な形で管理できるようになります。 また、SushiswapではrenBTC/renZECとRAILの流動性プールも設けられています。 $RAILとガバナンスについて Railgunのトークン $RAILは、プロトコルのガバナンスに利用されるトークンです。プロポーザルに際し、トークン1枚=1票の投票権を表します。 また、投票に利用する分のトークンは、投票権の乱用を防ぐ目的で30日間ステークする必要があります。 RAILトークンの総発行枚数は1億枚で、エアドロップに25%、開発チームに25%、そして残り50%はDAOのリザーブとなっています。 DAOにアロケートされた5000万枚は未発行の状態でロックされており、ガバナンスにより決定された用途と事項に従って都度発行される仕組みになっています。 上述のADD/REMOVEに際する手数料はDAOのトレジャリーに追加され、この使い道もガバナンスで決定されます。 まとめ Railgun Protocolはトランザクションの匿名化だけでなく資産の保有状況まですべてを非公開にできるプライバシープロトコルです。 外部ウォレットから移行する際にトークンを何か別のものに変換しなくて済むというのは多くのユーザーが便利と感じるポイントかと思います。 また、手数料からの追跡も断つ技術やマルチチェーンへの対応など、技術開発や普及への努力も高く評価できます。 まだまだ開発の初期段階にあるプロジェクトですが、DAOという形をとることで正式なローンチ後の開発計画や調整もフェアにできるのではないかと予想できます。
特集・コラム
2021/10/19GoodFiパネルディスカッション「DeFiは2025年までにユーザー1億人を達成できるか?」【後編】
GoodFiは、「2025年までにユーザー1億人」を目指してDeFiに関する様々な教育情報やイベントを提供している非営利団体です。 こちらの記事では、GoodFiが主催で業界の第一線で活躍する海外ゲスト5名を招き、DeFi普及への最初の一歩について議論してもらうパネルディスカッションイベントの内容を紹介します。 司会はMaker DAOのJocelyn Chang氏、パネルはRadixのCEO Piers Ridyard氏、Sushiのマーケティング担当Amanda氏、Terraform LabsのSJ Park氏、そしてBancorのMark Richardson氏の計5名となっています。 「DeFiは2025年までにユーザー1億人を達成できるか?」ディスカッション後編 DeFi規制の盲点 ―世界中の当局は本当にDeFiを規制することができると思いますか?そもそも規制するべきなのでしょうか?イノベーションが阻害されるという意見もありますが... Richardson: 規制当局が「何十億ドルもの投資を集めるようなものは投資家保護のため最低限度の審査を行うべきだ」というのは非常にまともな意見だと思います。 それを理不尽だとか、政府が自分のコントロール外にあるシステムを引き込もうとしているなどとするのはナイーブな反論だと思います。 もしDeFiが何兆ドルものお金を動かすようになったら、それが悪用されると全世界が破綻する可能性だって現実味を帯びてきます。 また、同じプロトコルで取引をする相手が誤ってテロ組織であったりしないよう確認する必要もあります。 そういった点から、私は規制自体はよいものだと思っています。 しかし、DeFiを効率的に規制するにあたって、政府はそもそもDeFiの誕生自体が政府の能力欠如によるものだと認めるべきだと思います。 古い規制方法の失敗を徹底的に見直さなければ、DeFiを採択したところで新たな害になるほかありません。 Ridyard: また、規制をかけるにあたって警戒すべきは、乳母国家(Nanny state)的なシナリオです。 例えば、アメリカでは投資家に対する規制があります。一定額以上の資金を持っている人のみ購入できる商品が存在します。 非常にわかりやすい基準ですが、お金を持っているかどうかは相応する高度な知識を持っているかどうかとは全く関係ないのです。 持っているお金の額で「あなたは賢くないからこの商品を購入できません」と子供のように扱われることになるのです。 今は「自由度を探る時期」 ―Amandaさんに質問です。Sushiには規制当局に対するコンプライアンス部門や法務部門はありますか? Amanda: Sushiにはそのような部門はありません。DAOの持つ「止められない力」に対して規制当局がどのようなルールを作るのかには興味があります。 Richardson: Bancorのバージョン1は100%KYCのみ、資金洗浄対策にも完全準拠の形で運営していました。 これは、私たちは取引所で、よってほかの取引所と同じく法律に拘束されるという法的なアドバイスをもらったからです。 そのためもし当初流動性プールをやろうとしていたら、都度書類を作成してサインする必要があったことでしょう。 UniswapやSuhiSwapが大成功している今の時期は、規制当局がどれくらいまで自由にさせてくれるかを探っている時期なのではないかと思います。 「2025年までにユーザー1億人」に向けて ―私たちはDeFiの利用者を増やすために何ができるでしょうか?2025年までに1億人のユーザーを獲得するためには何が必要だと思いますか? Ridyard: インターネットの黎明期には、まずインターネットを利用してもらうためにコンピューターを買うよう説得しなければなりませんでした。 次に必要なのはインターネットに接続するよう説得すること。これは場合によっては電話回線が使えなくなることを意味しました。 そして、Webブラウザというソフトウェアを使うよう説得すること。どれも全く当時の人々にとって直感的なものではありませんでした。 GoodFiがやろうとしていることは、人々がこのDeFiという新しい分野で最初の一歩を踏み出せるようサポートすることです。 いきなり1万ドル投入する必要はありません。TerraやRadixに数ドル入れて、ツールを学びましょう、というのです。 これは私が自分のチームでもいつもやっていることです。新人が来たら、500ドルを渡して「DeFiで遊んで来い」と言うんです。 こういった人たちが試行錯誤しているうちに「あっ」と気付く瞬間があり、それがムーブメントを生み出すのです。 DeFiに1億人を呼び込むにはただ「DeFiは素晴らしい」で終わる人ではなく、DeFiが楽しすぎてほかの人まで連れて来るような人を10000人集めるべきだと思います。 大切なのは「金融リテラシー」 Richardson: コンピューターを当初人々に使ってもらえなかったのは、コンピューターが高かったからではありません。80年代後半から90年代前半にかけて技術的なリテラシーが非常に低かったからです。 このタイムラグを埋めるには、そのテクノロジーが登場した世代に生まれた人々が必要になってきます。彼らが10代のときに普及させるわけです。デジタルネイティブと呼ばれる人たちですね。 このように私たちも、DeFiが登場した今生まれてきた子どもたちが今後いかに使いこなせるようになるかを求めるべきだと思います。 また、DeFiは技術リテラシーだけの問題ではなく、金融リテラシーの問題でもあります。 DeFiは、金融業界のプロに判断をお願いするような場所ではありません。個人が適切な金融的判断を行う場所です。これは教育上の大きな負担です。 インターネットが普及したころ「子供たちに学校でコンピューターの使い方を教えなければ」という話になったように、これからはスマートコントラクトを監査し、トークンエコノミーが正常なものかといった議論をするクラスが必要になってくるわけです。 実際、世界はこの方向に向かっていると思われます。そしてこれが、DeFiが地球上すべての人が利用するにまで至る過程のボトルネックだと思います。 DeFi 活躍の未来 ―みなさんはDeFiとの融合という観点で、どの産業分野に注目していますか? Richardson: 私は世界中でDeFiにGOサインが出た時、金融機関がどのようなことを始めるだろうか、という点に興味があります。 AaveでETHを貸し出したり、WBTCをChainlinkで取引したいとは思っていないはずです。 きっと、リスク移転、保険リンク証券(ILS)、銀行間のオーバーナイトレンディングなどの膨大なキャピタルを誇るものは、もっとDeFiがこれから目を付けていくべきものだと思います。 まだまだ現状とはかけ離れているように思えますが、こういった大口機関のマネーが入ってきてからではすでに遅いのです。 彼らが「カリフォルニア州で地震保険をかけたい」と言い出したときにすぐ使える商品がなければいけないわけです。 こういったプロダクトには膨大な作業が必要になりますし、プロトコルのTVLには政府の補助が必要になります。 私たちはこういったことにもっと注目すべきなのではないでしょうか。 Ridyard: DeFiはいまビットコインやイーサリアムをはじめとする内在的な資産を作ること、そして、ステーブルコインなどの貨幣を作るところまで来ました。 資産、そして決済の手段までできた次の層は無期限、合成資産、スワップなどのデリバティブです。これは決済手段とデータフィードがあればほかに何も必要ありません。 そしてその上には、現実世界の資産を決済する手段、これが必要になってくるでしょう。 そして、DeFiを従来の金融に統合したネオバンクやフィンテック企業が、インフレに負けない、またはそれ以上の成果を出すソリューションを提供できるようになれば、大口の金融機関が入る余裕を生み出すことにつながります。 そしてそれが何億人ものユーザーを呼び込むことになるのではないかと思います。 まとめ 以上が「DeFiは2025年までにユーザー1億人を達成できるか?」ディスカッション後編のダイジェストになります。 DeFiプロジェクトが激しい競争で切磋琢磨する中、各国政府は正しい投資家保護策を実施することが求められていることがよくわかりました。 また、DeFiが「2025年までにユーザー1億人」を達成するためには、コミュニティがユーザーの金融リテラシーの重要性を積極的に広め、さらに大型金融機関の参入に対してじゅうぶんに準備を整えておくことが大事とのことでした。
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