Polkadot/Kusama向けNFTエコシステム「Unique Network ($UNQ)/Quartz ($QTZ)」を徹底解説
Yuya
Unique Network ($UNQ)はNFTの利便性を改善する技術開発や、NFTマーケットプレイス/DEXを展開するプロジェクトです。
UniqueがKusama ($KSM)向けに展開しているプロジェクトがQuartz ($QTZ)で、第14回目のオークションで無事スロットを確保しKusamaのパラチェーンとなっています。
こちらの記事では、そんなUnique NetworkおよびQuartzの概要・技術・特徴、$UNQ/$QTZのトークノミクスやセール情報、プロジェクトのパートナーやロードマップなどを徹底的に解説していきます。
目次
Unique Network/Quartzの公式リンクまとめ
Unique Network特徴を解説
Unique NetworkはPolkadot/Kusama上でのNFTエコシステム構築や関連技術の開発を行っているプロジェクトです。
QuartzはUnique Networkが現在フォーカスしているKusama上でのNFTエコシステムです。
まずはUnique Networkが開発している技術から見ていきましょう。
Unique Networkの主な役割
Unique Networkは、NFTの利便性向上技術や、NFTマーケットプレイス・ウォレットなどNFT関連の多方面での開発を行っています。
UniqueのNFTマーケットプレイスはすでに利用可能で、ChelobricksやSubstraPunksなど注目を集めているNFTが多数リスティングされています。
このマーケットプレイスのようにUnique Networkの名のもと提供されているプロダクトもある一方、開発している技術の多くはQuartzに落とし込まれており、Unique自体はどちらかというとデベロッパー団体的な位置付けになっています。
では、Unique Networkが開発を手掛けるNFT関連技術はどのようなものなのかを見ていきます。
複数NFTをコレクションとして管理
Unique Networkでは複数のNFTをひとつのコレクションとして所有することができます。
コレクションを作成しそれに属するNFTを発行することで、所有権を保ったまま個々のNFTを別アドレスに移動したり削除したりできるようになります。
主なユースケースとしては、NFTアートのギャラリー出展、ゲーム内アイテムの貸し出しなどが考えられます。
コレクションロールとホワイトリスティング
Uniqueのコレクション機能にはOwner (所有者)とAdministrator (管理者)の2種類のロールがあります。
AdministratorはOwnerだけが追加・削除できるロールで、主にコレクションの管理を自動化するために利用します。
また上記の2種類のロールとは別に、ホワイトリストを作成することで該当コレクションへのアクセス権限を設定することもできます。
例えばデジタルアートギャラリーを出展するにあたり自分でコレクションを作成し、そのコレクション内に事前に許可を与えたアーティストにNFTを発行してもらう、などといったことができるようになります。
他にもUniqueでは、NFT自体が他のNFTや一般的なトークン(FT)を所有できる機能や、NFTの所有権を分割できる機能など、アートやゲームをはじめ様々な分野でNFTを活用できるポテンシャルを備えています。
Unique Networkのチーム/アドバイザー情報
Unique Networkは開発やマーケティングなどそれぞれの分野でたくさんの経験を積んできたプロが揃っています。
こちらでは創設者やエンジニア、マーケティング担当などのチームのコアとなるメンバーを紹介します。
Unique NetworkのCEOを務めるAlexander Mitrovich氏はLuxoftなどの企業で30年ほどチームを指揮してきた経験を持つ方です。
Mitrovich氏は2017年にBlockchain Labを設立し、様々なプロジェクトやブロックチェーンプラットフォームでの経験を通してブロックチェーン技術のマスアダプションを研究してきました。
クリプトのアーリーアダプターであるGreg Zaitsev氏は、業界初の仮想通貨インデックス「Crypto 100」の生みの親で、ほかにも様々な分野でのプロトタイプ製作を大きく評価されている人物です。
2019年にはPolkadotから開発資金の提供も受けたZaitsev氏はUnique Networkの大元となるNFT Palletを発明し、Mitrovich氏と共にUnique Networkを設立しました。
Unique Networkのマーケティングを担当するCharu Sethi氏はテック業界全体で12年以上、うちブロックチェーン業界では3年のマーケティング担当経験を持ち、IBMなどの大企業でブロックチェーン普及を促進する活躍をしてきた人物です。
Irina Karagyaur氏はUnique Networkのメタバース上のビジネス開発を担当する人物です。
同氏はPolkadotの西ヨーロッパアンバサダーのトップに立ち、イギリスベースの国際ブロックチェーン・リアルエステート財団(FIBREE)のチェアマンも務めています。
そのほか、DeFiやWeb3.0サービス、NFT、不動産のトークン化などに特化したブロックチェーンコンサルティング企業「Design B2C」の共同創設者でもあります。
Uniqueマーケットプレイスの使い方を解説
上述の通り、Unique NetworkではすでにSubstraPunksやCheloBricksなどがリスティングされたNFTマーケットプレイスが利用可能になっています。
$UNQは未だテストネットトークンのため、現在こちらのマーケットプレイスに対応している通貨は$KSMのみです。
マーケットプレイスへのアクセスは、プラットフォーム上のウォレットまたはPolkadot{.js}からとなっています。こちらでは、この二通りでのアクセスの仕方を解説していきます。
プラットフォームのウォレットでアクセスする方法
まずUnique NetworkのNFTプラットフォームにアクセスし、下画像赤線の「Accounts」へ移動します。
続いて、下画像赤線の「Add account」をクリックし、プラットフォームのウォレットを生成します。
すると以下のような画面が表示されます。
上画像赤線のボックスに表示される12個の英単語はニーモニックフレーズといい、ウォレットを復旧させるときに必ず必要になるパスワードの役割を持ちます。右側のドロップダウンメニューは初期設定のMnemonic (ニーモニック)のままにしておきます。
先に進む前に、このニーモニックフレーズを必ず紙などアナログのものにメモし、失くすリスクの低い場所へ保管します。万が一このフレーズが他人の手に渡ると、ウォレットを乗っ取り仮想通貨を引き出すことが可能になってしまいます。
フレーズのメモと保管が完了したら、上画像黄色線のチェックボックス(「ニーモニックシードを安全に保管しました」という確認)にチェックして「Next」をクリックします。
次に以下のような画面が表示されるので、「new account name (ウォレットの名前)」「password (パスワード)」「password (repeat) (パスワード再確認)」をそれぞれ入力、そして右下の「Next」をクリックします。
最後に表示される画面は確認画面となるので、特に間違い等が見当たらなければ「Save」をクリック。すると下画像赤線のように生成したアカウントが表示されます。
これでプラットフォーム上のウォレットを利用する際の準備は完了です。
Polkadot{.js}ウォレットからアクセスする方法
次に、ブラウザ拡張ウォレット「Polkadot{.js}」からUnique NetworkのNFTマーケットプレイスにアクセスする方法を紹介します。
Polkadot{.js}自体の実装方法はこちらの記事でわかりやすく解説しています。
まずはインストールしたブラウザからPolkadot{.js}のメイン画面を開き、下画像右上の+マークをクリック、そして「Create new account (新しいアカウントを生成)」をクリックします。
次に下画像の「GENERATED 12-WORD MNEMONIC SEED:」の下に表示される12個の英単語(ニーモニックフレーズ)を必ず紙などアナログのものにメモし、失くすリスクの低い場所へ保管します。このフレーズが他人の手に渡ると、ウォレットを乗っ取り仮想通貨を引き出すことが可能になってしまいます。
ニモニックフレーズはウォレットを復旧させるときに必ず必要になるパスワードの役割を持ちます。フレーズのメモと保管が完了したら、上画像黄色線のチェックボックス(「ニーモニックシードを安全に保管しました」という確認)にチェックして「Next」をクリックします。
次に表示される画面は以下のように設定します。「A DESCRIPTIVE NAME FOR YOU ACCOUNT (わかりやすいアカウント名)」、そしてパスワードと再確認をそれぞれ入力していきます。
最後に画面下のオレンジ色のボタン「Add the account with the generated seed (生成されたシードをもとにアカウントを作成する)」をクリックします。NETWORKの部分は「Allow use on any chain」のままにしておきます。
最後に、Unique NetworkのNFTマーケットプレイスにアクセスし、画面右上のドロップダウンで作成したアカウント名とアドレスが表示されていれば成功です。
正しく表示されない場合は、マーケットプレイスのウェブページを再読み込み(ctrl+R)してみましょう。それでも直らない場合は上画像の「NETWORK」欄が「Allow use on any chain」に設定されていない可能性があります。
これで、Polkadot{.js}ウォレットを利用する際の準備は完了です。
マーケットプレイスの使い方まとめ
上記の2通りのいずれかの方法でウォレットをマーケットプレイスに接続できたら準備は完了となります。
あとは外部のウォレットや取引所から接続したウォレットアドレスに$KSMを送金し、マーケットプレイスで好きなNFTを購入することができるようになります。
$UNQトークンのトークノミクスを解説
Unique Networkには$UNQと呼ばれるトークンが存在します。
総発行枚数は10億枚で、インフレ率はローンチから10年目まで徐々に下がっていく仕組みになっています。
年 | 年間インフレ率 |
1 | 10.00% |
2 | 9.33% |
3 | 8.67% |
4 | 8.00% |
5 | 7.33% |
6 | 6.67% |
7 | 6.00% |
8 | 5.33% |
9 | 4.67% |
10 | 4.00% |
10年目からのインフレ率は年間4%で固定となります。
ローンチ時のトークンジェネレーションで発行される枚数は約6,800万枚で、その内訳は以下の通りとなっています。
分配先 | 初期発行枚数(約6,800万枚)からの分配率 |
トレジャリー | 24% |
プライベートセール | 20% |
チーム&アドバイザー | 18% |
エンジェル投資家 | 15% |
Polkadotクラウドローン | 15% |
パブリックセール | 8% |
$UNQトークンのユーティリティ
$UNQは具体的に以下のようなユーティリティを持っています。
- トランザクション頻度調整やDDoS攻撃防止を目的とした手数料
- DAppsのデータストレージ料金
- スマートコントラクトを通したDApps内決済
- アプリ開発推進プログラム
- レートリミットの更新料金
Unique Networkでは、通常のスマートコントラクトに格納しきれないDAppsデータを専用の分散型ストレージに保管することができ、この利用料が「DAppsのデータストレージ料金」となっています。
アプリ開発推進プログラムはUnique Network上のDAppsデベロッパーを増やす取り組みで、一定数のトランザクション手数料をプロジェクトのトレジャリーでカバーするというものです。
レートリミットとは、ブロックチェーン上で大量のオンチェーンデータを読み込む必要のある古いデータにアクセスできる上限頻度です。Unique Networkでは、$UNQを支払うことでこの上限を引き上げることができます。
Unique Networkのロードマップとインベスター情報
Unique Networkは現在テストネット2.0下にあり、さらなる開発がどんどん進んでいます。
まずはじめに、昨今の界隈のスタンダードにもれることなく、Unique Networkもプロダクトのマルチチェーン化に取り組んでいます。
Unique上でトークンをロック/アンロックし対象チェーンでトークンを発行/バーンというスタンダードな手法ですが、UniqueをNFT所有権分割のためのブリッジとして使うというユースケースも構築されています。
これは例えばCryptoPunksなどの高額なNFTを一度Unique上に移して任意の数量に分割、それを対象チェーンに戻すことで実質元チェーンで所有権を分割保有できる、という使い方が期待されます。
NFTの利便性向上の面では、トークンの貸借、NFT画像の利用や動画の放映にあたる権利、所有者の代理人がアセットの売買等を行う権利などといった、より現実味のある所有権管理の仕組みが開発されているもようです。
ほかにも、独自のNFT取引所およびオークションプロトコル、ゲーム開発を促すためのUnreal Engineの統合、上述のDAppsストレージ機能など、いくつもの注目に値する技術が並行で開発されています。
Unique Networkのインベスター・パートナー情報
Unique Networkは、ブロックチェーンやNFT、ゲーミング、メタバースなど様々な界隈の著名な団体からバッキングを受けています。
Unique Networkは今年5月にOutlier Ventures、Animoca Brands、DFGなどを対象にプリセール第一ラウンドを行い、430万ドル(約4.9億円)を調達しています。
さらに、今年10月末に同じくOutlier Ventures、そしてThe LAO、Flamingo、Nalu Capital、その他200名以上の投資家を対象にプリセールの第二ラウンドも行い、1130万ドル(約13億円)を調達し、現在トータルで約160万ドル(約18億円)もの資金を調達しています。
インベスターからの注目に加えて、Uniqueは他企業や団体とのパートナーシップにも着手しており、今年8月には国連関連機関のHuman Settlement ProgrammeおよびGlobal Challengesから気候変動対策プロジェクト「DigitalArt4Climate」の開発パートナーに選ばれたことを発表しました。
DigitalArt4Climateは、ユースアーティスト・デザイナー・活動家などが気候変動に対する行動を促すようなアートを創造するサポートをするイニシアチブです。
Kusama上でのNFT発行から管理までを担うQuartz
Unique Networkの姉妹プロジェクトに位置付けられているQuartz ($QTZ)は、Kusama ($KSM)上のNFTエコシステムです。
Quartzの根幹となる機能は以下の4種類に分けられます。
- NFTの発行: コーディングの知識ゼロで簡単にNFTが発行し、上述のOwnerおよびAdministratorが管理できる。
- マーケットプレイス: 独自の分散型マーケットプレイスを構築できる。サブスクや予約型トランザクションなど様々な機能を利用できる。
- ギャラリー: 閲覧や宣伝を目的とした自分のNFTギャラリーを作成できる。
- ウォレット: 技術的知識のない人でもわかりやすく利用できるウォレット。メタマスクとの互換性も備える。
上述のNFT所有権分割や他のNFT/FTとのリンク等、Unique Networkが開発するNFT関連技術の多くはQuartzに落とし込まれており、Kusamaの主力NFTエコシステムとなる意気込みが感じられます。
$QTZトークンのトークノミクス
Quartzの独自トークンは$QTZと呼ばれ、こちらも総発行枚数は10億枚、インフレ率の推移も$UNQと全く同じになっています。
Kusamaのパラチェーンとしてのローンチが済んだ段階(ジェネシス)で発行される枚数は約3,700万枚で、内訳は以下の通りになっています。
分配先 | 初期発行枚数(約3,700万枚)からの分配率 |
トレジャリー | 39% |
クラウドローン | 8% |
エンジェル投資家 | 15% |
プライベートセール | 20% |
チーム&アドバイザー | 18% |
インセンティブ等エコシステム関連の支出元となるトレジャリーが39%、プライベート投資家やチームへの分配が合計で53%となっています。
Kusamaパラチェーン獲得のためのクラウドローン(すでに調達済)に割り当てられた額は全体の8%となっています。
$QTZトークンのユーティリティ
$QTZは具体的に以下のようなユーティリティを持っています。
- NFTの固定トランザクション手数料
- スマートコントラクトの固定トランザクション手数料
- DAppsのプロモーションステーキング
- レピュテーションステーキング
- ガバナンスステーキング
独自トークンを手数料に利用するというのは一般的ですが、$QTZの場合は手数料が予め決められた値で固定されるという特徴があります。
スマートコントラクトのトランザクションの場合は、そのDAppsの複雑さに応じて手数料を固定し、ネットワーク混雑度などで変動しない仕組みになっています。
ステーキングのユーティリティについても、DApps関連のものや、レピュテーション(評判)を獲得するためのステーキング(デリゲーション)、ガバナンスに参加(投票)するためのステーキングなどいくつかの種類があります。
Kusamaパラチェーンのオークションに勝利
Quartzは約9000のステークホルダーから約54000KSM (2100万ドル相当)を調達し、2021年11月にKusamaのパラチェーンスロットを勝ち取っています。
パラチェーンへの接続は12月の第一週から48週間の間維持されることになっています。
今回のクラウドローンへの参加者には、前述の通り約300万QTZ(TGE総発行枚数の8%)が報酬として配布されます。
$UNQのトークンセールについて解説
Quartzの$QTZに関しては現在Kusamaパラチェーン獲得のクラウドローンの調達が済んだ段階にあり、トークンセールの詳しい情報は発表されていません。
Unique Networkの$UNQは12月14日Whitelistラウンドと12月15日Publicラウンドに開催されるセールが開始される予定となっています。セールの基本的な情報は以下の通りです。
- 日程: 2021年12月14/15日
- 当イベントへの割当枚数: 8000万枚(総発行枚数の8%)、うち5%がホワイトリストラウンド、3%がパブリックセール
- トークン価格: 0.25USD
- ベスティング期間: トークンジェネレーションから3ヶ月間、線形
- 支払い可能な通貨: DOT, USDT, USDC, ETH
- セールプラットフォーム: TokenSoft
KYCはTokenSoftのプラットフォームから実施する必要があります。
ホワイトリストラウンド
ホワイトリストラウンドとは、以下の条件のいずれかを満たした人のみが参加できるセールラウンドです。
- Quartz ($QTZ)のクラウドローンに参加した
- 11月26日 日本時間19時より前にアンバサダー登録を申し込んだ
- 12月6日のスナップショット前にChelobrickまたはSubstrapunkのNFTを所有している
これらに加えて、KYCを行うことも必須事項となっています。
ホワイトリストラウンドには最大で5000万枚(総発行枚数の5%)が割り当てられています。
パブリックセール
パブリックセールは、ホワイトリストラウンドへの参加権のない人が誰でも参加できる早い者勝ちのセールラウンドです。
こちらもKYCは必須で、アロケーションは3000万枚(総発行枚数の3%)となっています。
Unique Network/Quartzのまとめ
こちらの記事では、Unique NetworkおよびQuartzの概要や特徴、トークン情報などをくまなく解説しました。
Unique Network/Quartzは、Polkadot/Kusama上でのNFTエコシステム確立を目指す有力プロジェクトです。
その開発内容はNFTマーケットプレイスだけに留まらず、マルチチェーンでの所有権分割や複数NFTのコレクション管理、NFTとNFT/FTの紐づけなと画期的な技術を多く含んでいます。
プリセールラウンドでは世界中のファンドから多額の資金が集まっており、国連関連機関などとのパートナーシップも目立っています。
UniqueもQuartzも未だ開発初期段階にあり、QuartzはKusamaパラチェーンのスロットを確保、Uniqueは21年12月中にトークンセールを行う予定となっています。
Polkadot/Kusamaネットワークが急速に発展している中、Unique Network/Quartzの開発の様子やアップデートは今後も要注目です。