累積取引高3兆ドル超の世界最大DEX「Uniswap Labs」AMAレポート

2025/07/18・

boarding bridge

累積取引高3兆ドル超の世界最大DEX「Uniswap Labs」AMAレポート

執筆:summerchon

累計取引高が3兆ドルを超え、Ethereumをはじめとする12以上のブロックチェーン上で展開されている分散型取引所「Uniswap Protocol」の開発元「Uniswap Labs」のAMAを、CryptoTimes公式コミュニティboarding bridge(bb)にて開催しました。

今回のAMAでは、UniswapおよびAMMの仕組み、v4で実装された「Hooks」機能の概要とユースケース、セルフカストディ型ウォレット「Uniswap Wallet」の特徴、独自のレイヤー2「Unichain」の構築背景について伺いました。

以下はAMAの内容を要約したものです。

AMA概要

日時:2025年7月10日(木)21:00 JST

場所:bb Discord AMA-Voice X(twitter)

Giveaway:SWAG set × 3名

スピーカー

Sara | International Growth

Taka | boarding bridge

AKI | boarding bridge

(敬称略)

質問トピック

自己紹介

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Sara | X

Uniswap LabsのSaraと申します。米国を拠点に、Uniswap Labsにて国際的な事業成長を担当しております。Uniswap Labsでは、人々がオンラインで安全かつ簡単にデジタル通貨を取引できるプロダクトの開発を行っております。今回のAMAでは、プロダクトの技術的な側面から今後の展望まで幅広くご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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Taka | X

bbのTakaです。Uniswapは自分が大好きなプロダクトであり、この業界にコミットしたいと本気で思ったきっかけでもあります。「金融の仕組みが根本から変わるかもしれない」とワクワクした当時の気持ちは今も忘れません。そんなプロジェクトのAMAを自分たちのコミュニティで開催できることを嬉しく思います。

Uniswapとはどのようなプロジェクトですか?

Uniswapプロトコルは、中央集権的な仲介者に依存することなく暗号資産の交換を可能にする、分散型のプロトコルです。このプロトコルは主に、「分散化」「流動性プール」そして「自動マーケットメーカー(AMM)※1」という3つの要素を通じて機能しています。

その中核には、スマートコントラクトが流動性プールを管理し、自動化されたパーミッションレス※2なトークンスワップを実現している仕組みがあります。このシステムは、AMMまたはCFMM(コンスタント・ファンクション・マーケット・メーカー)※3とも呼ばれます。

AMMは、流動性プール内に存在するトークンペアの需給バランスに基づいて価格を決定し、リアルタイムに効率的なレートで取引を成立させます。これは、従来の中央集権型取引所におけるオーダーブック(取引板)※4方式に代わる革新的な仕組みであり、ユーザーはオーダーブックではなく、AMMを通じて直接プールとやり取りを行います。

このような仕組みを誰でも簡単に活用できるよう、Uniswap Labsでは複数のプロダクトを開発・提供しています。

まず、暗号資産を24時間いつでも手軽に交換できるウェブアプリケーション「Uniswapインターフェース(Web Interface)」があります。直感的かつユーザーフレンドリーな設計で、初心者でも容易に利用できます。

次に、自己管理型(セルフカストディ)※5のモバイルアプリ「Uniswap Wallet」があります。こちらは、ユーザー自身が秘密鍵を保持し、自身の資産を安全かつ完全に管理できるウォレットです。

また、開発者や他のサービス事業者に向けては「UniswapトレーディングAPI」を提供しており、当社の効率的な取引システムを外部のアプリケーションやプラットフォームにも容易に統合できるようになっています。

さらに現在、独自のレイヤー2ネットワーク「Unichain※6」の構築も進められており、プロトコル自体も常にアップデートが施されています。現在は、次世代版である「Uniswap v4」においてさらなる技術革新が進められている段階です。

AMM(Automated Market Maker)
アルゴリズムを用いて資産価格を自動で決定し、仲介者を介さずに取引を成立させる分散型取引の仕組み。
パーミッションレス
誰でも自由にネットワークへアクセス・参加できる性質。許可不要の分散型構造。
CFMM(Constant Function Market Maker)
「x × y = k」などの数式に基づき、資産の価格を算出するAMMの代表的モデル。
オーダーブック
売買注文を一覧形式で管理・表示する中央集権型取引所における仕組み。
セルフカストディ
秘密鍵をユーザー自身が保有し、資産の管理権限を完全に自分で持つウォレット管理方式。
Unichain
Uniswap Labsが開発中の、OP Stack(Optimismプロジェクトが開発した、Ethereumのレイヤー2を構築するためのモジュール式フレームワーク)を採用した独自のレイヤー2ブロックチェーン。

 

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Uniswap Labs  | X

Uniswap v4の「Hooks」とはどのような機能ですか?

「Hooks(フック)※1」とは、「Uniswap v4」プロトコルに新たに導入されたスマートコントラクトの拡張機能であり、プールやスワップ、流動性の追加・削除、手数料設定といった各アクションの挙動を柔軟にカスタマイズできる仕組みです。

Webブラウザにおける拡張機能と同様、Hooksを通じてプロトコルの標準機能に追加的な振る舞いを付与することが可能となり、より複雑かつ高機能なDeFiアプリケーションの構築が現実的になります。

具体的には、Hooksを活用することで、スワップ実行前後や流動性ポジションの調整時など、プールのライフサイクルの特定フェーズで任意の処理を挿入できます。これにより、プロトコル利用者は取引戦略や市場状況に応じた高度な挙動制御を実装できます。

代表的なユースケースとしては、以下のようなものが挙げられます:

  • 時間加重平均マーケットメーカー(TWAMM)※2
  • 市場のボラティリティに応じた手数料の動的調整
  • オンチェーンにおける指値注文の実現

Hooksの導入により、Uniswapはよりオープンで柔軟な取引インフラへと進化しており、今後は独自戦略を組み込んだプール設計や、新たな収益モデルの登場など、多様な展開が期待されています。

Hooks
Uniswap v4で導入されたプラグイン型のスマートコントラクト機能であり、プロトコル内の各アクションに任意の処理を挿入する仕組み。
TWAMM(Time-Weighted Automated Market Maker)
大規模注文を一定期間に分割して市場に与える影響を抑えるためのマーケットメイク手法。

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Uniswap Labs | 公式ブログ

Uniswapが多くのユーザーに支持される理由は何ですか?

Uniswapが世界中のユーザーから継続的に支持されている最大の理由は、従来の金融サービスでは実現困難であった「資産の完全な自己管理」「高い透明性」「効率性」および「堅牢なセキュリティ」を同時に提供している点にあります。

第一に、Uniswapでは中央管理者を介することなく、ユーザー自身が暗号資産を完全に保有・管理することが可能です。いかなる第三者機関にも依存せず、資産を自由に運用できます。

第二に、すべての取引履歴はEthereumブロックチェーン上に記録され、公開・検証が可能な状態にあります。このプロセスは極めて透明性が高く、改ざんや隠蔽が極めて困難です。

第三に、仲介者が存在しないことにより、取引は高速かつ低コストで実行されます。これは特にグローバルな暗号資産取引において、既存金融システムよりも圧倒的な優位性をもたらします。

さらに、Uniswapプロトコルは24時間365日稼働し続けており、ローンチ以降一度も重大なセキュリティインシデントを発生させていません。また、特定の企業や政府機関が制御することのできない分散型の構造を採用しており、停止不能かつ耐検閲性に優れた設計となっています。

こうした強固な基盤に支えられた信頼性と拡張性により、UniswapはCoinbase、Circle、Fireblocks、Robinhood、MoonPayなど、世界的な金融・Web3関連企業との連携も進めており、安全かつグローバルに利用可能なDeFiインフラとしての地位を確立しています。

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Uniswap Labs  | X

Uniswap Walletの特徴について教えてください。

「Uniswap Wallet」は、分散型金融(DeFi)やWeb3環境において、安全かつ快適に資産を管理・運用するために設計されたセルフカストディ型のモバイルウォレットです。

最大の特徴は、ユーザーが自身の秘密鍵を管理するセルフカストディ方式を採用していながら、直感的なユーザーインターフェース(UI)によって、誰でも簡単に操作できる点にあります。これにより、資産の完全な自己管理と高い操作性を両立しています。

加えて、取引における「MEV(マキシマム・エクストラクタブル・バリュー)攻撃※1」からの保護機能や、不審なトークンを検知・警告する仕組みも標準搭載しており、ユーザーの資産を高度なセキュリティ脅威から守ります。

機能面においても、Uniswap Walletはマルチチェーン対応を前提として設計されており、EthereumやPolygonをはじめとする13以上の主要ブロックチェーンに対応しています。異なるチェーン間でトークンを移動できる「ネイティブブリッジ機能※2」も備えており、複数のdAppsとの接続やスワップもスムーズに実行可能です。

また、180カ国以上での入出金に対応し、デスクトップ環境では「Uniswap拡張機能(ブラウザ拡張)」を利用することで、より柔軟な運用も可能となっています。

このように、Uniswap Walletは初心者から上級者まで、すべてのユーザーに対して、安全性・利便性・拡張性のすべてを兼ね備えた次世代型ウォレット体験を提供しています。

MEV(Maximal Extractable Value)
マイナーやバリデーターが、トランザクションの順序を操作することで最大限の利益を引き出す行為。主にフロントランニングやサンドイッチ攻撃が該当。
ネイティブブリッジ機能
異なるブロックチェーン間で資産を移動させるための機能。通常はトークンをラップ・ロックし、相互運用を可能にする。

Uniswap Labs | 公式サイト

今後のアップデートや開催中のイベントについて教えてください。

「Unichain」は、2025年2月13日にローンチされたUniswap Labs独自のレイヤー2ブロックチェーンであり、オンチェーン市場をこれまでにない速度と効率で機能させることを目的として構築されたDeFi特化型チェーンです。

本チェーンの最大の特徴は、圧倒的な処理速度と低コスト性にあります。ブロックタイムは1秒と非常に高速で、今後は0.2秒への短縮も計画されており、実現すればEVM互換チェーン※1の中でも最速となる見込みです。

また、Ethereumのレイヤー1と比較して取引コストは約95%も削減されており、ピーク時においても中央値は1セント未満の約0.0013ドルを維持しています。これにより、高頻度取引を含む多様なユースケースに対応できる設計となっています。

Unichainは、Ethereumのスケーリングを目的としたモジュール型フレームワーク「OP Stack※2」を採用しており、開発者が構築しやすく、また他のOptimismエコシステムとの互換性も確保されています。

2025年2月のローンチ以降、Unichainは急速に普及を遂げており、すでに100を超えるdAppsが本チェーン上で稼働しています。さらに、ローンチからわずか3カ月足らずで、Total Value Locked(TVL)は4億5,000万ドルを突破するなど、短期間で大きな成果を上げています。

EVM(Ethereum Virtual Machine)互換チェーン
Ethereum上で動作するスマートコントラクトと互換性を持つブロックチェーン。既存のdAppsやツールをそのまま利用可能。
OP Stack
Optimismが開発したレイヤー2ブロックチェーン構築用のオープンソースモジュール群。スケーラビリティと相互運用性を高めることを目的としている。

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Uniswap Labs | 公式ブログ

「Uniswap House」はどのような目的で開催されているのですか?

Uniswap Labsが世界各地で展開しているオフラインイベント「Uniswap House」は、プロダクトの技術的進化と並行して、各地域のユーザーや開発者コミュニティとの対話と関係構築を強化することを目的とした取り組みです。

Uniswapが掲げるビジョンは、「インターネットの取引レイヤー」として機能することにあります。すなわち、あらゆる種類の資産を、分散型かつオープンで、パーミッションレスな方法で自由に取引できる環境を実現することです。

このビジョンの実現に向けて、私たちはUniswap v4やUnichainなどの新たな技術的インフラを迅速に開発してきました。しかし、真のイノベーションを支えるのは技術だけではありません。それを使う「人」と、共に成長していく「現地のコミュニティ」こそが鍵となります。

現在、Uniswapの利用者の約3分の2は米国外に拠点を置いており、グローバル展開はすでに現実のものとなっています。そのため、米国ニューヨーク本社を拠点とする従来の運営方針だけでは、各国のニーズに対応しきれないという課題も浮上しています。

こうした背景から、私たちは世界中のユーザーが実際に生活する場所で、直接対話を行う「Uniswap House」のような現地型施策を積極的に推進しています。

特に日本市場に対しては大きな期待を寄せており、以下のような追い風が吹いていると考えています。

  • 暗号資産に関する規制のさらなる明確化
  • 機関投資家による関心の高まり
  • 企業によるWeb3導入の加速
  • ゲームやエンターテインメント分野でのWeb3イノベーションの進展

加えて、日本には強力なイノベーション文化と、先進的なデジタルインフラを活かした開発能力があります。こうした文化的・技術的背景とDeFi分野の成長要因が掛け合わさることで、日本におけるWeb3エコシステムの拡大が加速すると予測しています。

日本での取り組みや今後のイベント予定については、日本語の公式Telegramグループで随時アナウンスしております。ぜひお気軽にご参加ください。

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Uniswap Labs  | X

「Decentralized」にこだわる理由と長期的なビジョンを教えてください。

Uniswapが分散型(Decentralized)であることに強くこだわる理由は、中央集権的な制約や地理的・制度的障壁を取り払うことによって、より多くの人々が自由かつ平等に新しい経済圏へ参加できると信じているからです。

Uniswapのコアプロトコルは、単一の企業や団体によって停止・管理されるものではなく、オープンソースで開発されており、誰でもそのコードにアクセスし、貢献することができます。この構造が、グローバルな開発者や利用者の創意工夫を呼び込み、分散型金融(DeFi)の持続的な発展につながっています。

Uniswapの長期的なビジョンは、「普遍的な取引を通じて価値を解き放ち、オープンで効率的な市場を創造し続けること」にあります。このビジョンを現実のものとするため、私たちは以下の3つの軸において継続的な取り組みを行っています。

●革新的な市場の創造
Uniswap Wallet、プロトコルの次世代バージョン(v4)、Unichain、トレーディングAPIなどのプロダクトを進化させ、新しい取引体験と金融インフラの再構築を推進します。

● コミュニティへの貢献
世界中のDeFi開発者・ユーザーにとっての「貢献者」であり続けることを使命とし、オープンソース文化の促進とエコシステム全体の活性化に注力します。

● セキュリティと安定性の維持
Uniswapはこれまで一度も重大なセキュリティ事故を起こしていません。この実績を守るため、今後も外部監査や厳格なテストを継続し、ユーザーが安心して利用できるプロトコル運営を徹底します。

このように、Uniswapは分散型の理念に基づきながらも、継続的な技術革新と責任あるインフラ運用を通じて、長期的な信頼と普及を見据えた活動を続けています。

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THE BLOCK | 公式サイト

まとめ

今回のAMAでは、分散型取引プロトコル「Uniswap」の技術的構造とプロダクト群、そしてグローバル戦略について広く語られました。

Uniswapは、AMMを用いたパーミッションレスな取引を可能にするプロトコルであり、Webインターフェースやセルフカストディ型の「Uniswap Wallet」、開発者向けAPIなど、多様なプロダクトを展開しています。さらに、独自のレイヤー2「Unichain」は高速・低コストな取引を実現し、すでに急速な普及を見せています。

v4で導入された「Hooks」により、流動性操作やスワップに対する柔軟なカスタマイズが可能となり、プロトコルの拡張性が大きく高まりました。また、「Uniswap House」などを通じて、分散型の理念を各国市場へ広げる取り組みも進行中です。

Uniswapは分散性と実用性の両立を軸に、Web3時代の基盤として今後ますます存在感を強めていくことでしょう。

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