特集・コラム
2019/07/05専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【7月5日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCは一時11500ドルを突破し、14000ドルを目処に切り返してきましたね!勢いも強く、この値動きに振り回された方も多いんじゃないでしょうか?(私もその一人ですが…笑) さて、依然11000ドル周辺にて激しく推移しておりますが、今回も今後の動向について、アルト市場なども絡めて分析していこうと思います!是非、最後までお付き合いくださいね。 それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 前回記事でもお話ししたように、現状は推進波の5波目が完了した状態ですね。ここからどのように調整波が展開されるのか?についてですが、日足ですとサポートやレジスタンスなどの参考材料も少ないため、ここからは中期チャートをメインに分析、判断していくのが妥当でしょう。 では早速、中期チャートの分析に移りましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTC中期チャートになります。 中期チャートを見ると、過去のチャネル(黄)が目立ちますね。このチャネル(黄)は、過去2ヶ月近く、「分析材料」として機能してきた実績もありますし、恐らく今後の推移を予想する際の最注目ラインになってくるかと思います。 現状、チャネル(黄)上限がサポートとして機能しておりますが、これを下抜ける展開となった場合には、本格調整開始としばらくはゆったりとした推移が続くものだと思われます。 また、もう少し短いスパンで見ますと、先月末を起点とする中期レジスタンス(青)、逆三尊の右肩を想定した緑ゾーンについても要注目でしょう。 恐らく、「BTCが再度最高値を目指す展開」となる場合には、中期レジスタンス(青)と逆三尊右肩を想定した緑ゾーンの2つが鍵になってくると思います。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 緑ゾーンで押し目作れず ⇒チャネル(黄)下抜け チャネル(黄)で押し目形成 ⇒青レジとの保ち合い 緑ゾーンで下げ止まり ⇒逆三尊成立へ 個人的には、このまま調整が本格化するとなると、青シナリオでの推移が濃厚になるのでは?と見ていますが、可能性としては緑シナリオの保ち合いを形成したのち、そのブレイクで今後の方向を決める展開もあり得ると思います。 また、ファンダをベースに見ると、先月から一転してちょくちょくUSDT関連の悪ファンダが出始めてきていますから、方向としてはとりあえず一旦下かなと見ています。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) BTCドミナンスを見ると、現状の高値である14000ドルをつけた後、7/3にドミナンス直近高値を更新し、66.0%を記録していますね。 ドミナンスだけを見ると、このままドミナンス更新に向かいそうですが、今回はBTCが14000ドルをつけた後のドミナンス上昇ですから、恐らく「BTC下落を危惧したBTC建てアルトからの撤退が、BTCのドミナンス上昇につながった」のだと思われます。 では、その点も踏まえてアルトコインドミナンスを見てみましょう。 主要アルトドミナンスは、全体的に下落傾向にありましたが、6/26のビットコイン14000ドル到達以降、若干のリバを見せています。中でも前回記事にて、BTCとの逆相関をご紹介したLTC、Others(その他)がその筆頭ですね。 しかし同時に、USDTのドミナンス上昇も気になるところです。恐らく先にもお話ししたような、「BTC下落の危惧による撤退」が原因でしょう。 仮にBTCが本格調整開始と仮定した場合、アルトに資金が回りづらい展開が想定されますが、アルトブームの起爆剤ともなりうる「LTC半減期」まであと1ヶ月…、という状況が市場にどういった影響を与えるか?次第でしょうね。 ですから個人的には、先週からBTCショート+アルト(LTC、NEO)買いで、BTC急落によるアルト売りになってしまった場合のヘッジをかけながらポジション取りを行っています。 主要アルトコインの動向 こちらを見ていただければ分かるよう、基本的に主要アルトの推移とBTCの推移は逆相関にあります。中でもやはり、大型ファンダを控えたLTC、他の通貨と異なる推移を見せているNEOはかなり気になりますね。 今回は前回同様にはなりますが、LTCとNEOについてBTC建てとUSDT建ての2つの観点から分析を進めていこうと思います。 LTC まずは、BTC建てから。 黄色ゾーンのサポートを下抜け、ダブルトップを成立させたものの、大きく下落することなく、白ゾーンでやや大きめのリバウンドを見せました。 しばらくは、この白ゾーンと黄色ゾーン間のレンジになるとは思われますが、特に黄色ゾーンを抜けるとなると、ダブルトップ成立→リターンムーブ否定により、一気に勢い付いてくると思われます。 半減期のカウントダウンに関しては、下記外部リンクをご参考ください。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 次にUSD建てを見ていきましょう。 パッと見、あまりいい状況とはいえませんが、このようなチャネルを引いてやると、一気に買えるチャートになりますね。 BTC建てだと、いまいちINポイントも掴みにくいですし、USD建てチャートを参考に黄色ゾーンでの現物買いもありだと思います。 NEO 先週ご紹介した状態から一切変わらず、依然アダムとイブの成立前となっています。 恐らく、今週末から来週にかけてが山場だとは思いますが、このままズルズルと進んでしまうと、時期に売り浴びせられる可能性もあるため、なるべく早めに動いてほしいところですね。 すでに仕込み済みの方はストップロスを、慎重派の方は0.001680satsのブレイクまで見守ってからINするとよいでしょう。 では次に、USD建てを見ていきましょう。 USD建ては言わずもがなめちゃくちゃ綺麗ですね。先月末にカップアンドハンドルを成立させ、現在はその後の押し目部分です。 できれば14ドルあたりまで引き付けてから仕込みたいところですが、これだけ綺麗なチャートであれば、14ドルまで買い下がる方針でもアリだと思います。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCはチャネル(黄)を基準に押し引き BTCとLTCが逆相関 →LTC半減期を前提に BTC↓or→、アルト↑ →BTCでヘッジ推奨 BTCが高値圏から調整開始か?といったポイントなのもあり、ややアルト仕込みが怖い相場ではありますが、こういった時こそ、BTCでヘッジSを打ちながらのアルト現物仕込みだと思います。 ヘッジはあくまで、「万が一のときの損失を減らすのが目的」です。BTCヘッジS、アルト現物、両方で利益を取ろうとせず、しっかりバランスの取れたロット調整を心がけるようにしましょう! 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/07/02Polkadot(ポルカドット)とSubstrate(サブストレート)の概要と仕組み、取り巻くエコシステムに関して
Polkadotは、異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティを実現するプロトコルで、トリレンマの問題も解決しWeb3.0のエコシステムの構築を目指すプロジェクトです。 またPolkadotの開発に利用されたフレームワークであるSubstrateも、簡単にインターオペラブルなブロックチェーンを開発できるとしてPolkadotと並んで注目を集めています。 本記事では、そんなPolkadotとSubstrateについて、概要から詳細まで解説していきます。 Polkadot(ポルカドット)とは? Polkadotとは、異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティを実現するためのプロトコルです。 BitcoinやEthereumなどのブロックチェーンは革新的である一方で、それぞれが独立しており、これまでのウェブのような一つの大きなエコシステムであるとは言い難い状況にあります。 Polkadotでは分散型のウェブ、つまり個人情報やデータをすべて各自が管理するような世界を創り上げることをミッションとしており、これは単一のブロックチェーンではなく無数のブロックチェーンが繋がっていくことにより実現されていくと考えられます。 Polkadotは異なるブロックチェーン同士の情報のやり取りを可能にし、それぞれを繋ぐだけでなく、後述のSubstrateと呼ばれるフレームワークを利用することで、簡単にインターオペラブルなチェーンを実装することも可能になります。 また、EthereumのVitalik氏が提唱したトリレンマ問題(セキュリティ・分散性・スケーラビリティ)も解決しうるポテンシャルを持ち、プロトコル層の開発というステージからアプリケーション層の開発へと移行するための土台としても期待されています。 Polkadot(ポルカドット)の特徴 異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティを実現 Polkadotの一番の特徴は、Polkadotのチェーン(Parachain)だけでなく、BitcoinやEthereumなどの異なる様々なチェーンを相互に接続できる点です。 Polkadotは、相互運用性(インターオペラビリティ)を持つプラットフォームとなることで、仲介者を必要としない資産の取引、コミュニケーションを可能とします。 なぜこれが重要かという話ですが、単純な利便性だけでなく分散的なウェブの実現において、分散的な資産が存在する一方で、分散的な交換方法は存在しませんでした。 そのため、Bitcoinを別の資産に交換したいとき、これは分散型のウェブのrealmで行われず、取引所などの集権性が必要とされてきました。 インターオペラビリティによるP2Pでの資産の取引が可能になることで、Web3.0と呼ばれる真に分散型のシステムを実現することができます。 DOTトークンによる単一のグローバルステートと強力なセキュリティ Polkadotでは『Pooled Security』と呼ばれるセキュリティのモデルを採用しています。 BitcoinやEthereumは強力なセキュリティを持つとされていますが、これはコミュニティの大規模なプロトコル参加が前提となっており、この前提無しでは十分なセキュリティを確保できず攻撃の対象とされてしまうこともあります。 [caption id="" align="aligncenter" width="1239"] 引用:https://www.parity.io/a-brief-summary-of-everything-substrate-polkadot/[/caption] 複数のチェーンが相互に接続されている状況を考えるとき、経済的に弱いチェーンが狙われる可能性があり、そこを軸とした穴が生まれてしまう可能性を無視することはできません。 Polkadotでは、Relay Chain(後述)とネイティブで互換性を持つブロックチェーンのセキュリティを一か所に集約させることで、チェーン毎に強弱があるセキュリティではなく、一つの強力なセキュリティによりPolkadot全体の攻撃を防ぐことが可能となります。 アプリケーション別のステート遷移 Ethereumの場合、アプリケーションはすべてEthereumのSpecificationに依存するため、トランザクションやブロック生成、合意形成など、各シャードがこの制約を受けます。 例えば、あるDAppでユーザー数が急激に増加し、トランザクションの詰まりが発生した場合その影響はネットワーク全体に及ぼされます。 Polkadotではアプリケーションが全てParachainsと呼ばれるサイドチェーンに乗っかる形になるので、同様のケースにおいてPolkadotのネットワーク全体に影響が及ぶことはありません。 トランザクションの処理が各チェーン毎に別々に行われるということは、スケーリングの問題を緩和することにも繋がっていきます。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] またスケーリングだけでなく、多様なシャードをRelay Chainに接続できるということはそれだけ多様で複雑なアプリケーションがこの上に乗っかってくることも期待することができます。 Polkadot(ポルカドット)の全体像と仕組み 以下の図は、Polkadotの全体像のイメージです。 後ほど解説しますが、Polkadotのチェーンは何種類か存在していて、Relaychainを軸として動いているというポイントだけ抑えていれば問題ありません。。 インターオペラビリティとWeb3のエコシステムを実現するための3つの要素 Polkadotがインターオペラビリティを実現していくためには以下の3つの要素が鍵となります。 Relay Chain(リレーチェーン) Parachains(パラチェーン) Bridges(ブリッジ) これらの3種類の要素が組み合わさることで、プライベート・コンソーシアム・パブリックなど様式を問わないブロックチェーン同士が相互に接続されます。 Relay Chain(リレーチェーン) Relay chainはPolkadotの軸となるチェーンで、ネイティブで互換性を持つチェーン、またブリッジを通じて互換性を待たないチェーンをここに接続することができます。 合意形成やトランザクションの伝播はここで行われ、単一の正当なチェーンとしてPolkadotのエコシステムを守ります。 Parachains(パラチェーン) ParachainsとはRelay Chainに接続される異なる独立したブロックチェーンの呼称で、名前はParallel-chains(平行に走るチェーン)に由来しています。 先ほど、セキュリティは単一のグローバルステートに集約されるという話をしましたが、Parachainsにおけるトランザクションの収集や処理は各チェーン毎に独立しており、チェーン毎に独自性を持たせることが可能です。 Bridges(ブリッジ) BridgesはPolkadotのエコシステムにおけるチェーン同士、また互換性を持たないチェーンをRelay Chainと繋ぐ役割を果たします。 その中にもいくつか種類があり、ブリッジとしてデプロイされるスマートコントラクトである『Bridge Contract』やCross-Parachain Communicationなど各ブリッジがそれぞれ異なる役割を果たすことが特徴です。 Polkadot(ポルカドット)の4種類のプロトコル参加者 Validators(バリデーター) ValidatorはPolkadotエコシステムのメインのチェーンであるRealychainに直接的に関わり、参加者の中では非常に重要です。 彼らは、Nominatorにより選出され、Collatorから送られた各Parachainsのブロックを検証し、有効なブロックヘッダーをRelaychainに追加する役割を果たしていきます。 バリデーションに対してもちろん報酬は付与されますが、RelaychainのフルノードによるDOTのステーキングが必要とされ、悪意を働きかけようとした場合にはペナルティが課せられるため、正直なふるまいをとるインセンティブ設計になっていることが特徴的です。 Nominator(ノミネーター) NominatorはValidatorを選出する役割を果たします。 彼らは、DOTのステーキングを直接行わず、代表するValidatorに対してステーキングを行うことで、Validatorの報酬の一部を得ることができます。 万が一、NominatorとValidatorが結託して、といったケースもあるので(?)悪意のあるノードに対してステーキングを行った場合、Validatorに課せられるペナルティも受けることになります。 Collators(コレーター) Collatorは各Parachainsのフルノードで、それぞれのチェーン発生したトランザクションの照合を行いバンドル化し、これをRelay chainへと提出します。 彼らは、バリデーション自体は行わず、Validatorによりブロックが検証・追加された時点で報酬の一部を獲得する仕組みになっています。 Collatorも同様に、ステーキングが必要とされ、ペナルティが課せられる場合もあります。 Fisherman(フィッシャーマン) FIshermanは主にValidatorの監視を行い、Validatorが悪意のある行動を取らないように見張る感じの役割を持ちます。 他の参加者とは違い、違反を見つけた時点で彼らのステークを没収することができるという権利が付与されるインセンティブ設計になっています。 Fishermanになるためにもステーキングが必要です。 Polkadot(ポルカドット)のその他のポイント Polkadot(ポルカドット)の合意形成・ファイナリティ PolkadotのRelay chainにはGRANDPA(GHOST-based Recursive Ancestor Deriving Prefix Arrangement)と呼ばれるファイナリティガジェットが実装されています。 Bitcoinなどでは6 confirmationで確率的にブロックが覆らないといった、probabilistic finality(確率的ファイナリティ)が採用されていますが、GRANDPAでは数学的に検証可能であるProvable Finality(証明可能ファイナリティ)を実現します。 このアルゴリズムの特徴は、分散ネットワークだけでなくブロックチェーンの特徴を生かして、単体のブロックに対する投票ではなく、ブロック高に対して投票を行うことができるという点です。 これは、子ブロックが有効であれば親ブロックも有効であるという前提に基づいています。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/grandpa-block-finality-in-polkadot-an-introduction-part-1-d08a24a021b5[/caption] イメージCのブロックまでは2/3の投票が獲得できているので、説明可能な状態でファイナライズされており、例えばE1・E2に対する総数が2/3を超えれば、その前にあるD2もファイナライズされていくという感じになっています。 Polkadot(ポルカドット)のガバナンス Polkadotのガバナンス、プロトコルにおける政治(?)はPolkadotのトークンであるDOTのステークホルダーを中心として設計されています。 第一に、上述の参加者(Validator/Collator/Nominator/Fisherman)がプロトコルにおいて悪意のある挙動を取らないように、といったゲーム理論的インセンティブがあります。 これは報酬とペナルティをベースとして設計されており、プロトコルへの攻撃を防ぐ役割を果たしています。 そして、プロトコル内の意思決定においてもDOTトークンが重要です。 0xなどが既に行っているように、Polkadotもチェーンの分岐という形を取らずに、ステークホルダーによる投票でプロトコルのアップグレードを行うことができます。 DOTトークンの保有をベースとした投票により、プロトコル参加者の意思をより如実に反映させることが可能となっています。 Substrate(サブストレート)とは? Substrateとは、Ethereumの元CTO兼共同創設者であるGavin Wood氏が率いるParityによって開発された、ブロックチェーンの開発を行うためのフレームワーク(Tech Stack)です。 これを利用することで、ウェブにおいてアプリケーション毎に独自のHTTPを実装する必要がないように、ネットワーキングや合意形成に関する部分をコードを実装せずにブロックチェーンを新しく作ることができます。 また、Polkadotと同じ文脈で語られることの多いSubstrateですが、これはPolkadotがSubstrateのフレームワークを利用して実装された最初のチェーンである点、Substrateを利用して実装するチェーンとPolkadotのRelay chainの互換性を持たせることができる点などが主な理由です。 Substrate自体は、Polkadotからは独立しているため、必ずしもPolkadotと接続する必要性はなく、今年下旬に予定されているメインネットを待たずとも独自のブロックチェーンを開発することは可能であるとされています。 去年のWeb3 SummitではGavin Wood氏によるSubstrateの実装のデモも行われました。 https://youtu.be/0IoUZdDi5Is?t=3261 Substrate(サブストレート)の特徴 Parachainsとして実装することができる Substrateのフレームワークを利用することで、実装することのできるチェーンには3つの種類があります。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] この中には、Polkadotと独立した合意形成を持つより自由度の高いSolo Chainと呼ばれるチェーンあります。 その他、Solo ChainとBridgeが一緒になったものは、上述のBridgeの仕組みでPolkadotのRelay Chainと繋げることもできます。 この二つの場合、Polkadotの持つ強力なセキュリティプールを利用することができず、独自の合意形成を設計する必要があるため、どちらかというとエンタープライズなどに向いているのかなという印象です。 SubstrateがPolkadotとセットで名前が挙げられる通り、Parachainsの一つとして実装することももちろん可能で、これはBridgeを介さずにRelay Chainと繋がることができ、合意形成やセキュリティ(プール)、インセンティブ設計などを考慮する必要性が生じません。 Substrate(サブストレート)の高い開発自由度 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] Substrateは、Substrate Core・Substrate SRML (Substrate Runtime Module Library)・Substrate Nodeの3つのレイヤーにより構成されます。 イメージのPolkadot Coreでは、PolkadotのRelay Chainに接続するチェーンを実装することができます。 ここでは、ノード、ネットワーキングなどの諸々を自身でコーディングし実装する必要がありますが、その分自由度の高いブロックチェーンを作ることができます。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] そこでSubstrate Coreを利用すれば、最低限ランタイム(State Transition Function)のコードを実装するだけで、上記の諸々をコーディングする必要性は一切なくなります。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] これはカスタマイズ不可能というわけではなく、用意されているものをカスタマイズしていくことも十分に可能です。 Substrate SRMLでは、ライブラリから必要なモジュールを選択し、あとはパラメータなどを設定するのみで実装ができる機能を提供しています。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] 一番下のSubstrate Nodeでは、jsonのコンフィグファイルのみで完全なスマートコントラクトブロックチェーンを作ることができるとされています。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 引用:https://medium.com/polkadot-network/a-tale-of-two-technologies-presentation-transcript-e7397c1c7a49[/caption] このように、開発者の求める自由度に応じたカスタマイズ性が広いこともSubstrateの特徴の一つです。 フォーク無しのアップグレード Substrateではネイティブのランタイム(実行環境)のほかに、WASM(WebAssembly)のランタイムが用意されています。 [caption id="" align="aligncenter" width="1350"] 引用:https://www.parity.io/a-brief-summary-of-everything-substrate-polkadot/[/caption] ネットワークのアップグレードが行われた場合、一部のクライアントでアップデートが行われていない場合があります。 このとき従来のシステムでは、互換性を持たない別々ネットワークが起こり、フォークという形を取らざるを得なくなります。 Substrateの場合、Substrateに統合されたWASMの仮想マシンで既存のバージョンのランタイムをinterpretし実行できるので、ネットワーク上のすべてのノードがフォークをせずに正しくチェーンと同期することができます。 Substrateを利用してParachainsの開発実装を進めるプロジェクト ChainX [caption id="" align="aligncenter" width="1024"] 引用:https://github.com/chainx-org/chainx-logo/blob/master/assets/ChainXlogo001.png[/caption] ChainXはSubstrateで実装された最初のブロックチェーンネットワークで、PolkadotのエコシステムにおいてはDEXのような立ち位置にあります。 上述のBridges(Parachains)の部分の開発を行い、Polkadotと直接互換性を持たないBitcoinやEthereumなどはChainXを通じて資産の交換を行うことができるようになります。 https://twitter.com/chainx_org/status/1131215820569243655 ChainXは2019年5月25日にメインネットをリリースし、将来的には、ChainX独自のRelay Chainの実装もロードマップに記載されています。 ChainXでは将来、Polkadotにおけるインターチェーンコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしていくことが期待されます。 Zerochain [caption id="" align="aligncenter" width="1748"] 引用:https://medium.com/layerx-jp/%E7%A7%98%E5%8C%BF%E5%8C%96%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3-zerochain-%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E5%A7%8B%E5%8B%95-11696bce0b13[/caption] Zerochainは、日本国内の企業であるLayerXによって開発され、Substrateのフレームワークを利用して実装されるプロジェクトです。 主に、ブロックチェーンにおけるデータの透明性・秘匿性についてのプライバシーに関する問題の解決を目指しており、暗号学的なアプローチでブロックチェーン上のデータの秘匿化を可能にします。 公式ブログによれば、ZerochainはBitocoinなどのUTXO型ではなくEthereumのようなアカウントベースの秘匿ブロックチェーンであり、これは世界で初の事例であるため世界中のコミュニティからも注目を集めています。 Edgeware EdgewareはRustで記述されWASM(WebAssembly)で高速に実行される、Polkadotで最初のスマートコントラクトプラットフォームです。 Polkadotのメインネットがローンチされると、PolkadotのParachainsの一つとして実装され、簡単にコードをデプロイすることができるようになります。 Edgewareの開発を行うCommonwealth Labsではガバナンスにも力を入れており、ETH保有者に対して90%以上のトークンを付与するロックドロップや投票などのオンチェーンガバナンスはEdgewareの大きな特徴の一つです。 Plasm PlasmはSubstrate CoreとSRMLを利用した開発が行われ、Polkadotに繋げることのできるPlasmaチェーンであり、独自のSRMLでもあります。 このライブラリを利用することで、親のPlasmチェーンと接続できる独自のPlasmaチェーンを作ることができるようになります。 YouTubeでも既にデモ動画が公開されており、今後はUTXOモデルの対応などに力を入れていくようです。 https://www.youtube.com/watch?v=T70iEgyuXbw#action=share まとめ ブロックチェーンを一段階上のレベル上げるPolkadotと、それに関連してブロックチェーン開発を容易にするフレームワークであるSubstrateについて、できる限りで分かりやすく紹介しました。 Polkadotのメインネットは年内に控えていますが、これがローンチされると、取り巻くプロジェクトやエコシステムが増えていくことで、これまでとは違った進歩が見れると思います。 今後も、より一層注目が集まっていくプロジェクトになると思いますが、基本的な内容の理解に際して、本記事を参考にしていただければと思います。
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2019/06/26専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【6月26日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCがさらに高値を更新しましたね!前回記事でも「アルト下、BTC上」とお話ししていましたが、まさかすんなり11500ドルまで上げてくるとは思いませんでした笑 依然BTCは高値圏ではありますが、今回も逃げ時や資金循環を踏まえた分析や立ち回りについてお話ししていこうと思います。是非最後までお付き合いください! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 前回更新時からさらに高値を更新し、11500ドル周辺まで上昇してきました。前回記事でもお話しさせていただきましたが、やはり高値圏でのチャネル推移は強い証拠でしたね。 ここで、今回の上昇のきっかけとなった逆三尊から今に至るまでの波動をカウントしてみましょう。すると、「今回の上昇が丁度5波目に当たる」ということが分かります。 ダウ理論の『主要トレンドは3段階に分けられる』を元に考察すると、すでにトレンドの3段階目(5波目)ということもあり、ここらで一時利食い撤退に進む可能性が考えられます。ポイントとしても、11500ドルという抵抗帯周辺ですから、ここらでどういった推移を見せるのか?は要注目でしょう。 では、ここからは中期チャートを元に、現状の分析、並びに今後の展開予想について考察していきましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTCの中期チャートになります。 かなり長いスパンのチャネルを形成していますね。個人的には、スイングを前提に11500ドル周辺でSを入れてみていますが、このチャネルが崩れると比較的大きな調整にも期待できるため、チャネル抜けを確認してから本腰を入れてSを打つ・・・、というような立ち回りを考えています。 この長期チャネルと今月から続いている中期チャネル(上限)などを元に、ポジション取りしていくのが妥当だと思います。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 中期チャネルで押し目形成 ⇒長期チャネル継続 中期チャネル上限を下抜け ⇒長期チャネル継続 中期チャネル上限を下抜け ⇒長期チャネル継続否定 「そろそろ節目の価格帯なため、大きめの調整が始まってもおかしくない」と考える方も多いと思いますが、そういった天井狙いのハイレバSを狩りに来る可能性も大いに有り得ます。 よって、スイング前提であったとしても、万が一の時を想定したポジション分割(INポイントの分割)などを行い、極力リスクを減らすような立ち回りを心がけるべきでしょう。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 6/12を節目にBTCドミナンスが大きく上昇、それに対し主要アルトコインのドミナンスが全体的に下落していますね。恐らく5月上旬同様、資金がアルト市場からBTCに流れているのだと思われます。 では、少し拡大して見てみましょう。 主要アルトのドミナンスは、全体的に下落傾向にありますが、その中でも目立つのは「LTC」ですね。基本的に、どの通貨も緩やかに下落していますが、LTCだけBTCドミナンスとしっかり逆相関して推移しているんです。 少し話が逸れますが、ここ最近のBTC上昇、この火付け役となったのはLTCです。 まず、LTCの上昇をきっかけにアルト市場が活性化しましたね。そして、アルト市場に集まった資金が一気にBTCへと流れ、直近高値更新・・・、それを繰り返してここまで上昇してきたわけです。 実際に両者のドミナンス推移を見てみると、赤点線を機に資金がLTCへと集中し、LTCから資金が抜けると同時にBTCのドミナンスが反転上昇、再度BTCのドミナンスが低下すると、それに伴いLTCドミナンスが上昇・・・、というように、「現在の仮想通貨市場はこの2通貨が鍵を握っている」といった状況なわけです。 この後もLTCの見所については掘り下げていきますが、これらドミナンスの観点からも要注目しておくべき通貨と言えるでしょう。 主要アルトコインの動向 先ほどお話ししたように、LTCはもちろん要注目なんですが、直近の動きをピックアップしてみると、NEOとTRXの動きが気になりますね。 ということで今回は、LTC、NEO、TRXの3通貨を対象に分析を進めていこうと思います。 LTC 直近の動きを見ると、かなりアップダウンも激しく手出しづらい状況ですね。 しかし前回記事でもお話しした通り、8月上旬(白点線)に好ファンダ(半減期)を控えているため、拾えそうなポイントがあれば積極的に拾っていきたいところです。 またその際には、純粋なラインで押し引きするだけでなく、先ほどお話ししたようにビットコインの動向を踏まえて、「ビットコインが売られうるポイントとLTCが買われうるポイント」を考えた上で売買を進めていくと良いでしょう。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 NEO 特別取り上げるほどのチャートではありませんが、少し直近の出来高が気になりますね。以前もお話視しましたが、こういった急な出来高上昇はファンダが漏れている可能性などが考えられるため、チャート次第では無理のない程度に攻めてみてもよいと思います。 またチャート単独で見ると、上画像のように底形成パターン(アダムとイブ)の成立直前であり、成立した場合にはレジスタンス(緑)周辺までは上昇する可能性が高いと見ています。 TRX 正直、チャート的にはかなり買いづらくはありますが、今まで何度も意識されてきた価格帯周辺にて推移しているため、少し長めのスパンで拾ってみてもいいかなと思っています。 とはいえ、これだけサポートの価格帯が広いと損切り幅も大きくなってしまいます。ですから、黄色ゾーン内短期足でのパターン形成などを監視しながら、売買判断を行っていくべきでしょう。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは緑チャネルを基準に押し引き →中期チャネルも参考に BTCとLTCが逆相関 →LTC半減期を前提に 今回は比較的アルト分析に重点を置いてみましたが、NEOのように事前に何かしら仕込みの形跡が見られた場合には、好ファンダが漏れている可能性も考えられるため要注目です。 しかし地合いによっては、好ファンダであっても買われないときがあります。「BTCが下落傾向の時」、つまりリスクオフムードの時ですね。 現状、BTCが節目の11500ドル周辺にて推移しているため、ここから本格的に調整移行する可能性も考えられますが、昨日VETの好ファンダに対してもしっかり価格がついてきていたため、地合い的には材料さえあればしっかり反応するのでは?と見ています。(当然ファンダがなければ伸びませんが・・・) 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/06/21Decrypt Tokyoへの参加と、そこで見たBlockchain業界の未来
2019/6/8-9 に2日間に及ぶ日本最大級のBlockchainハッカソンであるDecrypt Tokyoが開催された。 今、思い返すと、あの2日間は夢だったのではないかと思わせるほどの熱気を纏っており、エンジニア達が口角泡を飛ばす議論を行なっていた光景がありありと脳裏に蘇る。 今回、私、コンソメ舐め太郎はDecrypt Tokyoに本ハッカソンへ参加をさせていただいた。 参加者の視点から見ても、非常によい経験・刺激と今までにない感動を感じたため、イベントは大成功といえる盛り上がりだったように思われる。 これから第2回、第3回と継続して開催されてほしいと切に願う。 [caption id="attachment_38606" align="aligncenter" width="800"] Decrypt Tokyo2019 イベントホームページ[/caption] ◇イベントサイトはこちら:https://www.decrypt.tokyo/ 当イベントのスポンサーとしてBlockchain界の先頭に立つ名だたる企業が肩をならべ、その本気さが窺い知れる。会場は、Speee様提供の広く落ち着いたオフィスにて行われた。 簡単にだが、参加者目線として、初日、二日目のイベントに関してのレポートを書いていきたいと思う。 イベント1日目 開会 私は参加者として、Decrypt Tokyoのイベント会場へと足を運んだ。 8:30頃、中に入るとすでに50名程度のBlockchain enthusiast達が、ある者は用意されていた朝食を手にしながら立ち話をし、ある者はラップトップと向かい合いBlockchainのあれこれに取り組んでいた。事前に主催者側で、参加者の技術レベルに応じてチームが組まれていたようであり、私は指定されたテーブルへ向かった。 そして同じチームになったエンジニア達と自己紹介や雑談をしながらイベントの開始を待っていた。(英語でのコミュニケーションOKと、事前のアンケートに記載していたため、メンバーの半分は海外の方だった。) 会が始まり、イベントのスケジュールや取り組むテーマ、上の階でスポンサー企業のプレゼンが行われていることなどの説明を受け、ハッカソンが開始。櫃を切ったようにHacker達が議論を始めた。 チーム数は20。それぞれテーブルが用意され、それを取り囲むように参加者が座っている。そしてその様子を各スポンサー企業のメンターの方々が見て回ったり、時にメディアの方々が撮影に来たり、プロジェクトの進捗具合を尋ねて来たり、といった具合だ。 開幕 1日目のハッカソンは夜21:00まで行われた。終始、参加者達による喧々諤々の議論が繰り広げられており、非常に活気に満ちた時間に感じられた。 また、各チームにはBlockchain技術に精通しているメンターと呼ばれる人間が1人加えられており、色々な技術的な質問を受け付けたり、ときには実装を行ってくれたりした。 そこで、私はいちIT技術者として、とても強烈な刺激を受けた。今回のテーマは、「ブロックチェーン・スマートコントラクトを使用した新規サービスを考え、プロトタイプを作成」「ユーザビリティが高いdApps」というお題を与えられた。抽象的なテーマだけに参加者達はかなり頭を悩ませた。 ブレインストーミング 我々のチームは、元々4名のハッカーがチームを組む予定であったが、当日は2名の欠席があった。代わりに、Curvegridから1名ヘルプとしてメンバーに加わった。 そしてそれを元に「イベントの欠席者からペナルティとしてETHを没収するプラットフォーム」を考えたが、かなりネガティブなアイデアであるため没となった。笑 我々チームのメンターとして参加していたKyber NetworkのシニアエンジニアであるAntonが、「エアードロップなどで受け取ったユーティリティの低いトークンを売りに出し、その売却額だけETHをレンディングするプラットフォーム」というアイディアを提案した。 非常によいアイデアに思われたが、Hackathon中に実装するのは中々難易度が高く感じられたため、別の案を考えることになった。私の頭の中では、「ユーティリティの低いトークンを買ってくれる人というのは果たして存在するのか」「どうにかして需要を生み出せないだろうか」という考えが頭の中をぐるぐると回っていた。 こうしたブレインストーミングがチームの中で飽和し、一旦の小休止を挟むこととなった。 その時に、「ガチャポンという形式ならユーティリティの低いトークンだとしても、そのブラックボックスでアトラクティブな仕組みを利用するユーザーはいるのではないだろうか」と思いつき、チームに提案した。 そして、Antonが「That’s good idea. It’s easy to implement.(いいアイデアだね。実装も簡単だよ。)」と発し、1時間後にはそれを作り上げてしまったのだ。 これまでウォーターフォールモデルで開発及び保守しかしてこなかった人間であったため、このことには非常に感銘を受けた。民族論や、企業論に話を展開したくはないが、「これが海外スタートアップのやり方か・・・!」と素直に感じてしまった。 今までの自分には考えられないスピード感だった。しかしその反面、こういったプロダクトドリブンなやり方は、非常に本質的な物事の進め方であると感じた。「この世界に飛び込んでみたい」と感じさせてくれただけでも、このDecrypt Tokyoに参加した意味があったと、主催者の方々、スポンサーの方々に感謝をしたい。 その後、私ともう1名のハッカーはAntonの実装したコントラクトを読み、理解し、そしてそれをドキュメントへ落とし込む作業を行った。 帰宅後 その日、Hackathonは熱を保ったまま閉幕を迎えた。私は元々デザインを趣味で行っていたため、帰宅後にプロトタイプのロゴ、パワーポイント用のマテリアル等を作成し、発表に備えた。 2日目 大詰め Hackathon2日目。昨日の会場に満ちた熱量をそのまま持ち込んだように、場は賑わっていた。各チームの発表は午後。 それに向かって、我々のチームは、発表の構成や話す内容についてあれこれとすり合わせながら、スライドをまとめた。プロトタイプのフロントエンドに関しては、割とギリギリのタイミングで完成した。 実際のガチャポンの画像を用いて、レバーの所をクリックすると自動でMetamaskの承認画面が起動し、ボタンを押すだけでETHが他のトークンに代わる仕組みだ。 サイトへのアクセスを含め、たった2クリックでトークンを交換できる。世界一参入障壁の低い取引所であり、取引自体はKyber Networkで実行されるため、ノンカストディアルである。 昼食 正午に差し掛かろうとする頃、発表直前の少しばかり張りつめた空気感が会場には漂っていた。 昼食の際に、Curvegridのインターン生であり、カナダのWaterloo大学の1年生の人と仲良くなった。(英語上手だね!とほめてもらえたのは素直にうれしかった。)そして、この子がとんでもない人物だとはこの時には気づかなかったのだ。 プレゼン プレゼン順は各チーム代表者のくじによって決まった。我々のチームは17番目の発表となった。 もう少し早いほうがよかったが、こればかりは運のため仕方なかった。 審査員には、世界のBlockchain業界の先頭に立つ面々が並んでいた。「こんな人たちの前で発表なんて無理やろ・・・」と背筋が伸びまくった。 各チームの発表が次々と行われ、それぞれとても面白いアイデアが持ち寄られた。個人的には、Bitcoin SVを利用した、パスワード管理のシステムが非常に優れたアイデアだと思った。そして3時間程度の後、我々の発表の番が回ってきた。 いざ始まってみると、そこまで緊張はしなかったが、それでもとんでもない状況にいるとは認識できていた。 本来でれば一番最初に、プロトタイプのデモ動画を再生するはずであったが、諸々のミスによりそれは叶わなかったし、そこで発表時間5分の内の半分を使用してしまったのは、多少なりとも焦った。 その後は、時間を取り戻すため駆け足での発表となってしまった。このあたりもHackathonの経験の差など出るポイントだと感じた。 そして、結局、時間の制約上、最後のスライドで発表するはずであった「将来の展望」についてはお蔵入りとなってしまい、悔しい思いをした。個人的には最も発表しておきたいポイントであった。 そして、人生初めてのHackathonの発表は、かなり足がもつれながらもなんとかゴールとなった。 プログラミングコンテスト Hackathonの順位集計の間、プログラミングコンテストが実施された。1時間に5問の問題が提示され、それを解くスピードと正確さを競う。問題に関しては、通常のプログラミングコンテストのそれと似たような形式と内容であった。 たまに暇つぶし程度にプログラミングコンテストには参加していたため、少しだけ気張っていたのだが、いざ蓋を開けてみると自分は1問しか解けなかった泣 結果発表 Hackathonの結果発表の時間となり、会場のセットアップが行われた。まず最初に、プログラミングコンテストの結果発表である。 なんと1位は、昼食休憩で知り合った1年生の子だったのだ。わずか20分ですべての問題を解き終わったらしい。ニュータイプの人間である。実際に問題を見てみるとわかるが、20分で解ける問題では到底ない。 そして、Hackathonの結果発表。 3位⇒2位⇒1位⇒特別賞3つ の順で発表された。我々のチームは3位以内には選ばれなかったものの、オリジナリティ賞を受賞した。この時の喜びは、一生忘れられないと思う。前日に知り合ったハッカー達と一つの目的に向かってスクラムを組み、がむしゃらに取り組んだ結果が認められるというのはこの上ない喜びがあった。 Decrypt Tokyoに参加してみて 実際にプロダクトを一緒に作っていくという共同作業で、たった2日間ではあったものの強い絆を感じることができたこと。世界の最前線で戦うエンジニアの働きをすぐそばで見れたこと。 初めてのHackathon、かつ英語というハードルを乗り越えてなんとかゴールできたこと。個性豊かな友人ができたこと。色々な経験ができたし、自分の人生に影響を与えてくれた、とてもよいイベントだったと、心から思った。 All Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp
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2019/06/20北京ブロックチェーン紀行 GMGC Beijingへの参加、IOSTオフィス往訪
今回、私は2019年6月16日から18日にかけて、北京で行われたブロックチェーンのイベントに参加し、IOSTのブロックチェーン開発拠点を訪問してきた。 初日 中国への旅路 中部国際空港 セントレアから北京までは約3時間のフライト。往復ともちょうどいい時間にフライトがある。北京に着いたのは正午少し前で、意外にも入国は比較的すんなり終わった。 ATMでキャッシングをして、ホテルへ向かおうとした。事前に教えて貰っていたDiDiという中国版のUberのようなアプリを使って、いざ呼ぼうと思ったが、どこへ呼べばいいかわからない。 Googleで検索を重ねて、駐車場で呼べばいいらしいことがわかった。通常はブロックされているGoogleだが、世界定額はありがたい。すぐにやってきたDiDiに乗り込んで、やれやれと思ったが、なにか中国語で話しかけてくる。 もちろん中国語はさっぱりである。行き先を確認しているようで、行き先をBaiduで示して一段落。ちなみに3回DiDiを使ったが、2回がHonda車、1回がNissan車だった。北京は、街が広い東京のような感じで、かなりの大都会だ。 2日目 GMGC Beijingへの参加 2日目は、6/17-18の2日間開催されたGMGC Beijingというゲームのイベントに参加した。 実は、今回のイベント参加費を銀行にて送金したのだが、手数料だけで参加費を上回り、送金日数まで3日以上かかり、仮想通貨での支払いができればずいぶん楽になると思った。 イベントは15社ほどが参加しているミニEXPOと1つの会場でカンファレンスが行われていた。詳細は、こちらのサイト (http://en.gmgcongress.com/)を確認していただきたい。 [caption id="attachment_38699" align="aligncenter" width="522"] CHAIN PLUSのボード[/caption] その中で、CHAIN PLUS (http://www.chainplus-me.com/)というブロックチェーンゲームに特化したサミットが開催されていた。今回の主な目的は、これだ。 [caption id="attachment_38709" align="aligncenter" width="800"] CHAIN PLUSのスピーカー[/caption] 講演者は、Blockchain AlianceのプレジデントやGumiの國光宏尚氏、HPBやGXChainといったトークンエコノミーを実際の応用したサービスの紹介など幅広いもので、ゲームサイドというより、ブロックチェーンサイドからゲームに関わる技術の紹介の色彩が強かった。 国光氏は、「FiNANCiE」というSNSと「MyCryptoHeroes」の紹介をされていた。唯一の日本からの講演ということもあり、参加者は熱心に聞き入っていた。 講演を聞いて思ったのは、すでにブロックチェーンが、中国では実用段階に入って来ているということだ。それと、ハードからソフト、サービスなどいろいろなところでビジネスを展開しているのが印象的だった。 3日目IOSTオフィスへの訪問 3日目は、今年メインチェーンをローンチしたIOSTの開発拠点を訪問した。CTOのテリー氏の熱烈な歓迎をいただき恐縮した。 開発拠点は、北京の経済の中心地にある保険会社のビルの15階にある。とても大きな立派なビルで、セキュリティもきちんとしている。 オフィスは、フロアの半分を占めていて、かなり広いガラス張りの今どきのデザイン・レイアウトだ。入って正面のカウンターバーにIOSTの光るロゴがとてもマッチしていてセンスを感じる。 [caption id="attachment_38702" align="aligncenter" width="800"] IOSTのオフィス[/caption] 部屋からはオフィス街を一望できる好立地で、開放感に溢れている。ゆったりとした空間に30名ほどのメンバーが仕事をしていたが、羨ましい環境だ。 [caption id="attachment_38704" align="aligncenter" width="800"] オフィス街を一望できるIOSTのオフィス[/caption] やはり勢いのあるオフィスというのは、活気があって、未来を感じさせる。エンジニアの人たちを中心にメンバーを紹介していただいたが、みな若く陽気な人達だ。 私の会社もIOST上でゲームアプリをローンチしているが、彼らの大いなるサポートがあって、問題を解決してきた。本格的にスマートコントラクトを利用したシステムを構築するには、開発し易いプラットフォームだと思う。 いろいろなビジネス展開も進んでいるという話もテリー氏からお聞きし、ますます先が楽しみなブロックチェーンプラットフォームである。 ブロックチェーンに関しては、中国は進んでいる面も多く、これからも注目していきたい。 本記事は、エバーシステム社のCTOであるDr.和田氏による寄稿記事です。 エバーシステム社ではEthereumとIOSTのブロックチェーン上にてCrypto NynjaというDAppsゲームを開発しています。 Crypto Ninja
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2019/06/17Luniverse(ルニバース):韓国大手取引所Upbitが仕掛けるブロックチェーンプラットフォーム
韓国では大手IT企業が手がけるブロックチェーンプラットフォームが本格的に活動をはじめ、ブロックチェーンプラットフォームの戦争が始まっています。 2017年にはEthereumのような分散化されたブロックチェーンプラットフォームが注目されましたが、dAppサービスを提供する際の速度、拡張性などが問題となり、これらの課題を解決したと主張する新しいBaaS(Blockchain As A Service) (※) サービスを掲げた企業が増えています。 ※BaaS(Blockchain As A Service) : ブロックチェーンを利用したアプリケーション、スマートコントラクトなどをブロックチェーンベースのインフラストラクチャを設定、管理、実行することなく既存のビジネスに適用できるトータルサービス。 そもそも、ブロックチェーン技術について深く理解している開発者は少なく高い水準のブロックチェーンを開発することはとても難しいことなので大手企業が開発しているプラットフォームでdAppサービスを開発することはサービス開発者にとっても大きなメリットになるでしょう。 韓国ではメッセンジャーアプリで多くのユーザーが確保できているカカオ、LINEが開発しているブロックチェーンプラットフォームklaytn、LINKが注目されていますが、実はもう一つ大きなポテンシャルを持つ注目すべきプラットフォームがあります。 それはDunamuの子会社Lambda256が開発している“Luniverse(ルニバース)”です。Liuniverse(ルニバース)はアマゾンウェブサービス(AWS)形態で企業が必要とするブロックチェーン技術を手軽に導入できるソリューションを提供します。 Dunamuは2017年に韓国の仮想通貨取引所Upbitを設立し、ブロックチェーン業界で大きな成長を成し遂げたブロックチェーン業界の風雲児です。カカオやLINEのような大きなプラットフォームではありませんが、ブロックチェーン技術の可能性をいち早く察知し、早いスピードで成長してきたDunamuがルニバースを通じ、韓国国内でまた大きな成長することは間違いないでしょう。 カカオとLINEに関しては、前回と前々回のレポートでも配信していますので、そちらも御覧ください。 - 韓国最大のメッセージングアプリ「カカオトーク」を提供するKAKAOのブロックチェーン戦略 - LINE株式会社とその親会社NAVERのブロックチェーン事業展開 Luniverse(ルニバース)とは? Luniverseは韓国の仮想通貨取引所Upbitを運営するDunamu(株)の100%子会社Lambda256(株)が開発しているブロックチェーンプラットフォームです。 Luniverseはブロックチェーンについて詳しくない開発者でもdAppを簡単に開発し、運営するために必要なもの(ウォレット、開発Toolなど)全ての環境を提供します。 一言で表現しますとLuniverseとは「開発者がいい環境の下で本業である"開発や運営"に集中できる最適なブロックチェーンプラットフォーム」と言えるでしょう。 韓国最大手の旅行予約サイトYanojiなどもLuniverseのパートナーとして参加しており、今後既存の巨大サービスがブロックチェーンに参入して来る入り口として大きな役割を果たしていく可能性があります。 Dunamu(株)の沿革 Dunamu(株)は2012年4月に設立され、E-bookプラットフォームから事業を始めましたが、売り上げがよくなかったためE-book事業は終了させます。 次にSNSで人気のあるニュース記事をまとめて見せてくれるニュースメートサービスでIT業界から注目を浴びました。 2013年にはカカオの投資子会社キューブベンチャーズ(現カカオベンチャーズ)から2億ウォン(約1,800万円)、カカオから33億ウォン(約3億円)ほどの投資を受け証券プラス for カカオ(現|カカオストック)を委託開発・運営を始めます。 カカオストックは色んな証券会社の取引を一つのアプリで完結できるほかSNSのような機能もあり人気を集めました。Dunamuはカカオストックの開発で取引所のノウハウを取得し、このノウハウをもとにBittrexと提携、2017年にUPbitをリリースし本格的に仮想通貨市場へ参入しました。 Dunamu(株)の事業分野 続いて、Datum㈱の事業分野に関しての説明になります。Datum㈱はブロックチェーン関連のサービスと証券関連のサービスの2つに分類されます。 証券関連サービス kakaostock(カカオストック) カカオ(株)との提携でDunamu(株)が開発・サービスする証券オールインワンアプリで韓国の国民的な証券アプリである。(累積ダウンロード250万人) MAP 有数の資産運用会社と投資顧問会社が提供するさまざまな投資戦略で顧客の資産を運用する投資一任サービス。 ブロックチェーン関連サービス ブロックチェーン関連サービスとしては、UpbitとUBCIがありますが、Upbitの内容は情報量が多いので、別項で説明いたします。 UBCI(Upbit Crypto Index) UBCIは仮想通貨市場全体の動きを簡単に把握できるように市場の標準的な指数を提供するサービスです。 Upbit Upbitとは? 2017年にリリースされ、2ヶ月でDAU190万を達成した韓国最大級の仮想通貨取引所です。 UPbitの成長について ETHの価格が急騰し、仮想通貨が韓国で注目されるようになりましたがこの当時のCEOソン・チヒョン氏は”仮想通貨取引所”というアイテムがカカオストックを運営していたDunamuチームに最適であると考えていました。 取引所の企画・開発を始めてから5か月で開発は終わりましたがDunamuチームは仮想通貨に対する知識がなくサービスコンセプトに悩んでいました。当時、海外の取引所では非常に注目を浴びていた仮想通貨の取引所であるBittrexに連絡を行い、提携を結ぶことに至り、Upbitをリリースすることとなります。 2017年の良い市場状況・優秀なチーム・良いパートナーの三拍子を揃えることができたUpbitはリリース2か月でDAU190万人を達成し、韓国最大級の取引所として成長しました。 2016年Dunamu(株)の売り上げは15億ウォン、当期純損失が21億ウォンの中小開発会社でしたがが、2017年Upbitをリリースしたことで、一日の売り上げが数十億ウォンを記録しました。 Upbitの悪い噂と家宅捜査の結果 Upbitはリリース2か月で圧倒的な成長を遂げましたが、一方で保有していない仮想通貨の売買をデータだけで処理しているという疑惑がありました。 疑惑があった当時、Upbitに上場していた仮想通貨は121種類でその中で入出金ができる仮想通貨は20種類だけだったので疑われてもおかしくない状況だったと思います。 Upbitの関係者らはこの疑惑に対して日々ユーザーが増え続け、サーバーダウンの恐れがあるため最終的にはトラフィックの分散のためであると解明しました。 しかし、疑惑は増え続け、2018年の5月に検察から家宅捜査をされることになります。検察が捜査を始めるとUpbitは全ての仮想通貨にウォレットを設け、入出金できるように措置をとり、顧客資産の2倍の仮想通貨を確保したそうです。 そのため、検察は捜査の焦点を"相場操作"に変えました。 家宅捜査の結果 ・Upbit が偽の会員ID通称"8"を作成し、1221億ウォン(約122億円)相当の仮想通貨とKRWが会員のアカウントに入庫されたようにコンピュータシステムを操作したと発表 [Upbitの立場] 法人アカウントの特性上、会社で既に保有している会社の現金と仮想通貨を利用する取引であったため、外部からそのアカウントに入金する手順は必要がない、その手順を省略しただけ ・同じ価格で買い、売り注文を同時に行い、取引を締結させる「クロス取引」を4兆2670億ウォン相当の実行したと発表 [Upbitの立場] 時価総額が小さいアルトコインは取引量が少なかったので、自然に相場(価格)が形成されるが難しかった価格表示のため必要な行為だった。 ・Upbitが仮のアカウント"8"を利用して35種の仮想通貨取引に直接参加し、会員と1兆8817億ウォン相当の取引を締結させたと発表 [Upbitの立場] 流動性を供給するために必要な行為である。 ・締結の可能性が低い価格帯で254兆5383億ウォン相当の偽の注文を出したと発表 [Upbitの立場] 市場価格の変化に応じて、既存の注文をキャンセルして、新規注文を提出する流動性供給の基本的な特性 ・ボット(bot)プログラムを利用して、ビットコインの価格は競合他社の価格よりも高く維持されるようにした。 [Upbitの立場] 急激な取引量の増加で提携会社の障害が発生し、これによる一部のシステムエラーに対応しながら、顧客の資産を保護し、信頼性の高い取引サービスを提供するために、実際の会社が保有する資産にエラーを補正するための取引 これらの事件に関する裁判は現在も進行中です。2019年4月17日初めて開かれ、UPbitの設立者ソン・チヒョン氏を含む3人の役員が召喚されました。 Luniverseの概要 Luniverseは2018年9月14日に開かれたUpbitのブロックチェーン開発者カンファレンスで発表されたブロックチェーンプラットフォームです。 Lambda256のCEOパク・ジェヒョウ氏は企業が簡単にブロックチェーンサービスが開発できるようにブロックチェーン開発ソリューション"ルニバース"を開発したと発表しました。 LuniverseはDunamu(株)の100%子会社Lambda256が開発しているブロックチェーンプラットフォームでブロックチェーン技術に対する理解がなくても誰もがルニバースを通じトークンエコノミー設計し簡単にビジネスに適用することができる次世代BaaS(Blockchain as a Service)プラットフォームサービスです。 CEOの経歴 パク・ジェヒョン代表は韓国の名門、浦項工科大学でコンピュータ工学を専攻し、ソフトウェアエンジニア・起業・ベンチャー投資家をしてきた人物です。 2017年にイーサリアムの研究会も設立したので早い段階でブロックチェーン技術に興味を持っていたと思われます。 勤め先だったサムスン電子ではのサムスンペイとサムスンチャットオンメッセージサービスなどを開発した経歴があります。 また、韓国の大手通信会社のSKテレコムでは、ティーバレーサービス部門マネージング・ディレクターを務め、フリーランスのための共有の経済プラットフォームの開発主導しました。 以後2018年5月UPbitを運営するDunamu(株)のブロックチェーン研究所(2019年3月法人化)Lambda256の研究所長に就任して、わずか10ヶ月にも満たない2019年3月、世界初のコンソーシアムベースブロックチェーンのプラットフォームLuniverseを正式リリースする成果を成し遂げました。 学歴 ・1987年〜1992年中央大学経営情報学部卒業 ・1992年〜1994年浦項工科大学電算学科修士卒業 経歴 ・1994年〜1998年、ヒョウンダイ電子の専任研究員、ヒョウンダイの情報技術責任研究員 ・1998年〜2000年にイジェンテック代表取締役、技術総括 ・2000年〜2005年ワイズフリーの代表取締役、技術総括 ・2005年〜2008年シンクフリーCTO ・2008年〜2016年にサムスン電子無線事業部ペイメントグループ常務取締役、グループ長 ・2016年〜2018年SKテレコムティーバレー、サービス部門マネージングディレクター ・2018年〜現在 Lambda256の代表取締役 Luniverse コンセンサスアルゴリズム ブロックチェーンのようなP2Pネットワークシステムでは、各ノード間の情報到達の時間差やネットワーク環境による重複などの不具合がある可能性があります。 そこで、生成されたブロックの“正当性”を検証し、該当ブロックをブロックチェーン上につなげるためにネットワーク参加者ら(ノード)の合意を得られる方式(アルゴリズム)が必要になります。 最大25のパートナー社がPoAアルゴリズムのブロック検証者になり、そのうちの5社がサイドチェーンの検証を行います。 Luniverseはラムダコンセンサスアルゴリズム(LCA; Lambda Consensus Algorithm)を採用し、検証・認可されたブロック生成者らによってブロックを生成する権威証明(PoA)を基盤にします。 PoA合意過程で参加した検証者らの信頼性を高めるために一定の持分を担保として提供(Staking)し、何か問題を起こした際はこの担保を没収することになっています。 Luniverse 発行トークン LUK 現段階で多くの情報は公開されておりませんが、Lambda256はルニバースプラットフォームを効率的に運営するために、100億枚のルニバーストークン (Ticker : LUK) を発行しました。 LUK はルニバースメインチェーンのガス代とBaaSサービスの利用料金として使われ、今後dAppストーアやソリューションマーケットプレイスでプラットフォーム決済手段として使われる予定だそうです。 また、ルニバースエコノミーシステム活性化のためにLUKトークンの30%はルニバース支援プログラムで使われます。 パク代表はLUKで資金調達をする計画はなく、トークンの発行は資金調達の目的ではないと一蹴しました。 Luniverseの目標とソリューション Luniverseのパク代表は今までのBaaS(Blockchain As A Service)をver 1.0と表現し、今までのサービス型ブロックチェーンの「10大問題」を解決したBaaS ver2.0のプラットフォームを作り上げることを目標としています。 「10大問題」 ・チェーン環境問題 1.性能の強化 2.高い安定性 3.便利な開発環境 ・利便性問題 4.便利かユーザーアカウント管理 5.リアルタイムサービス提供のための自動署名代行 6.ユーザー情報バックアップ及び管理支援 ・セキュリティ問題 7.スマートコントラクトの安定性 8.データープライバシー強化 ・費用問題 9.合理的なガス代 10.使用量に従う効率化 Luniverseが提供する5つのサービス 1.快適で安全な独自的な高性能のサイドチェーン - 2000TPS、1秒のブロックタイムなど 2.便利なトークンの発行/管理ツール - トークンの発行やトークンエコノミーデザインなど 3.APIベースの身近で便利な開発ツール - Atom、Remixなど 4.早くて正確なスマートコントラクト保安監理ソリューション - リアルタイムコントラクト、保安の診断など 5.dAppの利便性を強化したユーザー管理サービス - 遠隔秘密鍵の署名、様々なウォレットと連動、秘密鍵のバックアップ&復元など Luniverseの構造 Luniverseはコンセンサス基盤のメインチェーンとサイドチェーン基盤のプロダクトチェーンとの有機的な結合を通じ、動作します。 メインチェーンとサイドチェーンをベースにポータル階層、API階層、サービス階層、共通階層の4階層で構成されています。 ・メインチェーン メインチェーンはラムダコンセンサスアルゴリズムをベースにしています。ラムダコンセンサスアルゴリズムは、権威証明(PoA)方式の合意アルゴリズムを採用しています。 ・プロダクトチェーン LuniverseではdAppの快適で安全な開発/運用環境を構築するために、プロダクトチェーンを提供しています。 プロダクトチェーンは資産(トークン)をメインチェーン上に発行し、その資産に固定(Pegging)された新しい資産(トークン)をプロダクトチェーン上に発行することでメインチェーンの限界から抜けだし、自由に別途のチェーンを構築、運用できる技術を指します。 ルニバースプロダクトチェーンはルニバースメインチェーンにブリッジに接続され、自由にトークンおよびトランザクションの移動が行われるチェーンでdApp社にプライベートチェーン(Private Chain)の利便性、安全性、高いパフォーマンスとアンカリングなどを介してルーニバースメインチェーンとイーサリアムなどの外部パブリックブロックチェーンにトランザクションデータを公開し、高い信頼性を提供します。 Luniverseの特徴 ・各ビジネス分野に特化されたメインネット提供 Luniverseの特徴は、さまざまな分野ブロックチェーンサービスを一つのメインネットで済ませないことです。 各分野に特化したメインネットを別々で作っています。ゲーム、教育、メディアなど各分野に特化したメインネットを別途開発し、クライアントに提供していきます。 ・高性能 ルニバースプラットフォームは、サイドチェーンに基づく高速のプロダクトチェーンを提供します。これらのプロダクトチェーンはルニバースコンセンサスアルゴリズムを採用し、現在は1秒のブロック生成時の最大2,000TPSを提供できます。 ・チェーンシャディング 環境によって特定のdAppの場合一つのプロダクトチェーンだけではすべてのユーザーからの要請が処理しきれない場合があります。 こういった場合は多数のプロダクトチェーンに渡りチェーンシャディングを支援することで性能の問題が解決できます。Luniverseプラットフォームではこれらの機能をサービスの一環として提供し、dAppが一つのチェーンを使っているかのような環境を提供します。 ・プロダクトチェーンではガス代がかからない トランザクションを実行する時にユーザーの費用負担を除去することにより、dAppの使い勝手を改善しました。 ・ユーザーが使いやすい ユーザーは電話番号、SNS、メールなどで手軽に会員登録とログインすることができます。 ・高い信頼性 プロダクトチェーンとルニバースチェーンの間の“アンカリング”という技術でLuniverseチェーンとイーサリアムのような外部メインチェーンとの間のアンカリングを2段階に提供し、トランザクションの信頼性を高めます。 ・運用しやすい 1.ブロックエクスプローラーを提供しユーザーがブロックチェーンデータを確認することやデーター形式で抽出できる機能を提供します。 2.ノードエクスプローラーを提供し、ブロックを検証するものに本人の所有ノードに関する現在及び過去のデータのリソース現況、イベント発生現況、チェーンデーター再構成発生現況、ブロック生成周期などの基本的な情報を提供します。 3.トラフィックエクスプローラーを提供し、トランザクション要請に対する分析、統計などを視覚化した画面を提供します。 4.プロダクトチェーンに対する総合的なダッシュボードを提供し、プロダクトチェーンの全体現況がモニタリングしやすくなります。 5.別途のスマートコントラクトを開発せずに、トランザクションの処理パータンを選択し、必要な変数だけ入力すればこれらを活用できるAPIを自動生成してくれます。従ってdApp開発者はトークンエコノミーを簡単に作り上げることができます。 Luniverseプラットフォームでブロックサービスを開発しているパートナー yanolja yanoljaは旅行やレジャー分野の様々な大手企業がマイレージを統合することができるAllianceプラットフォームです。 同じ業界にあるが、お互いに競争関係にない、お互いのニーズがよくマッチングされるサービスとの間のユーザーマイレージ交差使用を可能にして顧客に直接利益を与え、サービス企業は、忠実な顧客拡大と新規顧客の流入などの効果を得ることができます。 宿泊の分野1位の企業yanoljaが、その最初の参加会社としてブロックチェーン開発会社キーインサイドと一緒に作り上げます。 DALCOM SOFT DALCOM SOFTはSuperStarシリーズの開発会社であるダルコムソフトはSuperStar SMTOWN、SuperStar JYPNATION、SuperStar BTS、SuperStar PLEDISなど5つのゲームを20以上の国にサービスしているK-POPのリズムゲームのプラットフォームです。 DALCOM SOFTはブロックチェーンを活用した世界のK-POP Fan Communityを作ろうとしています。 E4.NET E4.NETを提供するチェリー(CaaS:Charity as a Service)は、ブロックチェーンベースの寄付プラットフォームで多くの人が助けを必要とされる人々に簡単に寄付をすることができるデジタル環境を提供します。 チェリーアプリを利用して、ユーザー認証をすませばさまざまな寄付団体と個人を支援することができます。 現金と同様のポイント概念のトークンを充電すればいつでも寄付したいとき、自分が選択した団体や個人に対応することができます。 MOSSLAND MOSSLANDは、仮想資産を活用したブロックチェーンサービスを簡単に開発し、使用できるようにサポートしてくれるPaaS(Platform as a Service)です。 開発者は、モスランドを通じて複雑なブロックチェーン技術の理解が深くなくても完成度の高いサービスを開発することができます。 一般ユーザーは、ブロックチェーン、仮想通貨についての知識がなくても分散化された仮想資産を所有し、モスランド上で動作する様々なサービスを自由に利用することができます。 NODEBRICK NODEBRICKは2018年秋に設立されたブロックチェーンを利用したクリプトゲーム開発会社です。 現在、IPを活用したカジュアルコレクション型ゲーム、カードバトルゲーム、放置型RPGゲームを制作中で今年の夏のリリースを目標に開発を進めています。 既存のクリプトエコシステムの上にゲーム性を取り入れた新しい形のゲームを開発しています。 Ziktalk ziktalkは、グローバル言語共有プラットフォームであるziktalkのリバースICOプロジェクトです。 ziktalkは専門チューターだけでなく、一般人にも、携帯を利用していつでもどこでも外国語を教えたり学ぶことができる、グローバルP2P教育プラットフォームです。 現在1,600人の一般的な専門チューターがziktalkで英語と韓国語、中国語、日本語など8つの言語を教えています。 約10万人のziktalkユーザーは、米国と日本、フィリピンなど約25カ国で接続してサービスを利用しています。 KSTARLIVE KSTARLIVEは約900万人のユーザーを保有しているグローバルナンバーワンの韓流メディアであり、ファンの活動を直接的な価値として返す報酬型ソーシャルプラットフォームです。 ファンは活動に比例してKSTARCOINの(KSC)を獲得することができ、このような報酬は、ファンの旺盛な活動につながります。 KSCは、自分とスターのために、様々な分野で利用可能であり、上半期に取引に不合理な点を改善したブロックチェーンベースの公演予約dappサービスをオープンする予定です。 Humanscape Humanscapeは希少難治性疾患を持つ患者のためのサービスを製作するヒューマンスケープはブロックチェーンベースの患者コミュニティを通じて、患者のデータを収集し、そのデータが、患者本人の治療の機会を拡大する方向で活用できるようにサポートします。 「Beaming effect」プロジェクトは、ヒューマンスケープ生態系の大きな軸を担当する寄付環境に関する初の事例です。退行性網膜疾患の患者団体である「失明撲滅運動本部」と商品購入者に仮想通貨“HUMトークン”を支給することにより、キャンペーンの参加を奨励し、販売及び報酬の手続きをブロックチェーン上で実装し、寄付のプロセスを透明に共有することができるようにするプロジェクトです。 SNOWM snowMはソーシャルエンターテイメントプラットフォームです。既存エンターテインメント業界のスター育成システムを段階的に区分し、ユーザーがいつでも好きな段階に参加することができます。 芸能企画社中心のキャスティング、トレーニング、パブリッシングではなく、ユーザーの活動と支援に構成されたソーシャルプロデュース(Social Producing)でアーティストとインフルエンサーが誕生します。 aha ahaは、仮想通貨報酬型のQ&Aサービスです。質問や質のいい回答をして、良質の知識を選別し、ユーザーにトークンインセンティブを提供します。 NAVERの知識人などの既存の知識検索サービスの各種アビューズ行為問題を解決し、高品質のオンライン知識生態系をユーザーと一緒に構築していくプロジェクトです。 Storichain Storichainは、ドラマ、映画、オンライン小説などを読者と総合作用し創作、コラボレーション、流通取引契約するdAppです。 また、ストーリーチェーンは物語のバリューチェーン(Value Chain)のステップごとに生じる価値を参加者と分かち合う創作者、読者、スポンサーのための契約の規約です。 CABINEAT CABINEATは仮想通貨の決済が可能なスマート自販機で構成されたスマートカフェを通じて、コーヒー、お茶とデザートなど様々な飲み物や食べ物をサービスするためのプラットフォームです。 REBORN REBORN は、デジタル機器のアフターマーケットでの取引と流通などの全過程を網羅するグローバルO2Oコマースプラットフォーム実装のために用意されたプロジェクトです。 REBORNによって新たに誕生する価値が付与されたデジタル機器を使用して生活密着型Full-care serviceを具現かします。 まとめ まだ、ブロックチェーン開発者が少ない環境でルニバースプラットフォームが提供してくれるサービスは既存の一般開発者にはとてもうれしい味方になると思います。 開発者は本来の仕事に集中することができ、ルニバースネットワークは成長を図るWINWINの戦略であると感じました。 Lambda256のパク代表はLuniverseはEthereum、Bitcoinのような外部メインネットとの連結を通じグロバールネットワークの中心になり、2022年にはブロックチェーン業界のアマゾンになると公言しています。 今までほかの会社で成し遂げた業績やブロックチェーンに対する思いを見れば叶えない夢ではないと思いました。 日本ではほかの大手企業のプラットフォームよりは知名度のない現状ですが、dAppが実際に運用される段階になると日本でも注目されることになると思います。 また、Upbitの運営で確保してきたインフラや多くの資金で積極的な投資を通じ、ルニバースプラットフォームは成長していくと予想されます。 企業の競争がお互いにいい影響を与え、ブロックチェーン業界が健全に盛り上がることを願います。 参考文献 “람다256 “3년 내 블록체인계 아마존으로 성장할 것” (“ラムダ256 "3年以内にブロックチェーン業界のアマゾンになる”) https://www.mk.co.kr/news/economy/view/2019/03/165955/ '모회사-자회사?' 오해 받는 카카오-두나무 관계 (親会社 - 子会社?誤解されるカカオとDunamuの関係) http://news.bizwatch.co.kr/article/mobile/2018/07/26/0023 두나무 자회사 람다256, 블록체인 서비스 쉽게 만드는 플랫폼 내놔 (Dunamuの子会社ラムダ256、ブロックチェーンサービスが簡単に作れるプラットフォームリリース) http://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=119089 4대 암호화폐 거래소, 주인은 누구? (4大仮想通貨取引所の所有者は誰?) http://shindonga.donga.com/3/all/13/1231807/3 업비트 수사결과 주요 쟁점 총정리 (UPbit捜査の結果、主な争点を総まとめ) https://www.coindeskkorea.com/%EC%97%85%EB%B9%84%ED%8A%B8-%EC%88%98%EC%82%AC%EA%B2%B0%EA%B3%BC-%EC%A3%BC%EC%9A%94-%EC%9F%81%EC%A0%90-%EC%B4%9D%EC%A0%95%EB%A6%AC/ 韓国検察が国内最大の取引所に家宅捜索、仮想通貨市場も反応 https://jp.cointelegraph.com/news/s-koreas-largest-crypto-exchange-upbit-investigated-by-police-markets-react 檢 '허위주문 254조'vs 업비트 '자전거래 4조'…업계 '술렁' (検察「虚偽注文254兆」vs UPbit」クロス取引4超ウォン」...業界「ざわざわ」) https://www.msn.com/ko-kr/news/techandscience/%E6%AA%A2-%ED%97%88%EC%9C%84%EC%A3%BC%EB%AC%B8-254%EC%A1%B0vs-%EC%97%85%EB%B9%84%ED%8A%B8-%EC%9E%90%EC%A0%84%EA%B1%B0%EB%9E%98-4%EC%A1%B0%E2%80%A6%EC%97%85%EA%B3%84-%EC%88%A0%EB%A0%81/ar-BBRfxQ3 두나무 BaaS 플랫폼 ‘루니버스’엔 복수의 메인넷이 있다 (DunamuのーBaaSプラットフォーム「ルニバース」には、複数のメインネットがある) https://www.coindeskkorea.com/%EB%91%90%EB%82%98%EB%AC%B4-baas-%ED%94%8C%EB%9E%AB%ED%8F%BC-%EB%A3%A8%EB%8B%88%EB%B2%84%EC%8A%A4%EC%97%94-%EB%B3%B5%EC%88%98%EC%9D%98-%EB%A9%94%EC%9D%B8%EB%84%B7%EC%9D%B4-%EC%9E%88%EB%8B%A4/ 카카오와 두나무의 블록체인 플랫폼, 뭐가 다를까요? (カカオとDunamuのブロックチェーンプラットフォーム、何が違うでしょう?) https://byline.network/2019/03/20-46/ パートナー社一覧 https://www.luniverse.io/home/cases 技術参考 Introduction of Luniverse https://www.slideshare.net/LambdatwofivesixDuna/luniverse-intro Luniverse Guide https://guide.luniverse.io/v1.1.0/docs Hash.kr - Luniverseとは? http://wiki.hash.kr/index.php/%EB%A3%A8%EB%8B%88%EB%B2%84%EC%8A%A4
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2019/06/15専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【6月15日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCは戻り売り路線かと思って降りましたが、短期足でしっかり底を形成して大きく上昇してきましたね。「下を否定した後」というのもあり、未だしっかりした方向感が掴めない相場ではありますが、今回は資金の流れに注目しながら分析、解説していこうと思います。 それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTCの長期チャートから見ていきましょう。 前回更新時には、「チャネル下抜けにより、本格的な調整移行」と判断しておりましたが、異常な底硬さがあったため、持っていたSポジションは記事公開後に解消しました。 また、推移している価格帯は依然変わらず…ではありますが、「すでに高値圏をつけているにもかかわらず、未だ8500ドル周辺に留まれている」というのは、底硬さに対する現れと言っても良いでしょう。 ここからは中期チャートを元に、現状の分析、並びに今後の展開予想について考察していきましょう。 BTCチャート(中期) こちらが、BTC中期チャート(4時間足)になります。ちょっといろいろと書き込みすぎてややこしいかもしれませんが、一つずつ解説していきますね。 まずは、Aのポイント。黄色ライン(太)を見ていただければ分かると思いますが、価格は高値切り上げ、MACDは高値切り下げ、とダイバージェンス(上昇終了示唆)が発生しています。 そしてその後、ダイバージェンス通りに価格が反転下落し、チャネルラインを下抜けます(B)。個人的には、ここを起点に本格調整開始と判断していたのですが、大きく下落したのち7500ドル周辺で下げ止まりました。 すでに、高値圏でのチャネルを下抜けていたのもあり、「ここからは戻り売りを狙うスタンスで…」とリバを待っていたのですが、短期足にてジワジワと底付き推移を見せ、結果戻り売りを否定する流れとなりました。(C) そして現状、このC点の確定により、価格の安値は切り上げ、オシレーターの安値は切り下げと、ヒドゥンダイバージェンス(上昇継続示唆)が発生している、といった状況です。(D) チャートを見ていただいても分かる通り、現状上に控えているレジスタンスラインも少ないため、とりあえずはCの安値確定と同時に濃厚となった緑チャネルを基準に押し引きしていくのが妥当でしょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 緑チャネルを基準にした調整転換シナリオ 緑チャネルのフィボ50%での戻り売り転換シナリオ 緑チャネルを上抜ける推進波継続シナリオ 特に、現状Lを持てていないトレーダーにとってはかなり触りづらい展開ではありますが、少し前の相場でもお話しした通り、高値圏でのチャネル推移は比較的強さを含んだ推移パターンです。 緩い判断材料でのSは命取りになりますから、短期足(15分足など)を元にしたパターン形成などをしっかり追った上でのポジション取りを心がけていきましょう。 それでは次にドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 特に気になるのは、6/12を起点にBTCドミナンスが上昇し、アルトコインドミナンスが全体的に下落に転じている、という点ですね。ここから、恐らく「アルト市場に流れていた資金が撤退に向かっているのでは?」といった推測ができます。 では、少し拡大して見てみましょう。 拡大して見てみますと、これまで比較的好調であった「ETH」や「LTC」、「Others(その他)」らのドミナンスが大きく下落している事がわかりますね。しかしそんな中、USDTドミナンスが全く反応していないのが気になります。 USDTは、アルトが撤退タイミングに近づくに連れ、利益確保のために買われ始める傾向があります。アルト売買で得た利益をBTCに戻し、その間にBTCが下落してしまったら、せっかくの利益も台無しになってしまいます。それを考慮した上、USDT買って利益をある程度確保しておこう、といった算段ですね。 しかし現状、USDTのドミナンスはほぼ微動だにしていません。これを踏まえると、BTCは依然高値圏で推移しているが、多くのトレーダーは未だリスクオンと判断しているのでは…?「アルトの避難先をUSDTではなく、BTCだと判断してるのでは?」、といった考えに至りました。 もちろん、USDTへの退避は「BTC下落の可能性」を重視しての行動ですから、そもそもBTCが上がるとなれば、わざわざUSDTに退避するのではなく、BTCに退避すべきです。上昇した分、さらに差益が発生しますからね。 これらを踏まえた結果、現状の資金の流れからは「アルト↓、BTC↑」になりつつあるのかな?と結論に至りました。 主要アルトコインの動向 主要アルトコインの中でも気になるのは、やはりLTCですね。 黄色ラインのポイントを見ていただければ分かると思いますが、LTCが高値をつけて反転下落すると同時に、BTCが底形成を終え、上昇に転じています。 この点から、ここ最近の市場におけるLTCの影響力の大きさやLTC半減期に対する期待感、資金移動の転換点が明確になったと思います。 今回は先日まで相場を牽引してきたLTC、そして現状LTCには劣るものの、元祖先行指標であるETHの2通貨をピックアップして分析していこうと思います。(今回はUSDT建てのみの考察になります。) LTC 現状、BTC建ては崩れ始めたものの、USDT建てについては節目である113ドルを上抜けたため、視界も開け、かなり綺麗なチャートになっています。 ここからは参考になるレジスタンスラインも非常に少ないですが、大局的には「半減期直前までは上」でしょうし、可能であれば113ドルを背に押し目買いに徹して行きたいところですね。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 ETH 現状、LTCほど勢いを感じないETHですが、現在レジスタンス周辺にて推移しているため、これを上抜けることができるか?といった状況です。 BTC建てではいまいちパッとしないチャートになってしまっておりますが、資金もそこまで抜けていない様子ですし、BTCが再度高値を目指す展開となるのであれば、ここから注目の通貨になると思います。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは緑チャネルを基準に押し引き →高値圏でのチャネルは強含み 資金はアルト⇒BTCへ →主要アルトからも資金が抜ける? 今回は、恐らく資金流入先の転換期というのもあり、若干判断が難しかったですね。 また、つい先日から様々な取引所にて、マイナーコインが上場廃止されゆく傾向にあります。以前から、仮想通貨市場がさらなる繁栄を遂げるためには、これまで「数多くのコインに分散された資金が一部通貨に集中するための下準備」が必要不可欠と考えていたため、少しずつではありますがそれに向けた準備が整ってきているように感じました。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/06/06クリプトスペルズが今、熱い!!
昨年リリースが見込まれていたブロックチェーンのトレーディングカードゲーム「クリプトスペルズ」の正式リリースが間近に迫ってきました。 ブロックチェーンゲームファンの中では熱いブームになりつつあります。これまで、同じく日本初の「マイクリプトヒーローズ」が、ブロックチェーンゲームファンの心を掴んで来ましたが、クリプトスペルズによってマイクリプレーの時間の一部がクリスペに移行しそうです。 クリプトスペルズとは クリプトスペルズはブロックチェーンを用いたトレーディングカードゲームです。 シンプルなルールの対人のオンライントレーディングカードゲーム カードはレベルが上がるごとに得られる採掘で新規カードを手に入れることができる 所有カードはイーサリアムプラットフォーム上での権利の譲渡が可能 アカウントはtwitterに紐付けし管理を行なっている スタンダードなルールのトレーディングカードゲームですが、大きな特徴としてカードは採掘が可能で、多くプレーすることで新たなカードを入手することができます。 自分のカードはイーサリアムのネット上で取引を行うことができ、運営者の手を介さずにトレードも可能な仕組みとなっています。この流通の実現がブロックチェーンを使う理由となっています。 使用されるブロックチェーンはイーサリアムのERC721(説明記事はこちら)であり、多くのオープンマーケットが存在しますので流通経路は確保されているものになります。 ビジュアルは美しい精彩な系統の絵をモチーフにしており、大人も楽しめるものになっています。ゲームは、アプリはなくHTML5で構築されていますのでブラウザーにてプレーが可能です。 実際に現在、私が所有しているカードを紹介します。ビジュアルのイメージを掴んでいただけるかと思います。 クリプトスペルズのリリース予定 クリプトスペルズは2019年5月17日にオープンβ版が開始されました。4月にも一時短期的なベーターが行われましたが、今回は実際にプレーしたデータを本番にも引き継げるということで、多くのプレイヤーが喜び勇んで参加をしています。 本日(記事執筆時2019年5月18日)、朝5時にプレーをトライしたところ、簡単に相手が見つかりどれほど多くの人が参加しているのか肌で感じることができました。今後、6月以降に計画されている本リリースに向けての最終調整が行われていきます。 β時にはカードのトレードはできませんが、レベルや獲得カードは引き継ぐことができますのでプレーをして損はないでしょう。 クリプトスペルズの楽しさ 対人での対戦はとても面白い。そしてこのタイミングでは多くの初心者も参戦しており、トレーディングカードの達人でなくとも勝利の快感を味わうことができます。 複雑なルールがあまり搭載されておらず、カードの効果にてゲームを運ぶことができとてもわかりやすい設計になっています。私自身もあまりトレーディングカードゲームをやったことがなかったのですが、なんどかやるうちに、なんとなくわかってきました。 ただし、プレーを行うには大きめの横長の画面が必要なのでPCか大型画面のスマホでのプレーが快適であると思います。 コミュニティーも今回のタイミングでGaudiyと呼ばれるブロックチェーンベースのプラットフォーム上にオープンしました。プレイヤーとわいわいコミュニケーションが取れると思います。さっそく覗いてみましたら、クリスペ運営さんが商品を用意したユーザーどうしの大会が開催され始めた感じでした。面白いですね。展開早すぎです。 こちらから覗いてみてください https://gaudiy.com/signup/avJEInz3EXlxNXKMSWxR 攻略情報やゲームの詳細サイト 始めるにあたって参考になるサイトを少しだけ紹介しておきます。 *ブロックチェーンゲームの攻略系YouTuberカマモトさんのサイトが情報多いですね カマトモブログ クリプトスペルズ 攻略情報 *初期戦略を簡単に知りたい方はACEさんの記事が参考になるかと CryptoSpells(クリプトスペルズ)BETA版公開!最序盤の勝ち方! トレーディングカードゲームマーケット ブロックチェーンゲーム界隈のトレントとして、2019年はトレーディングカードゲームがくると思っています。特に海外勢の勢いがすごいです。 2018年の末にクリプトタイムズに寄稿させていただいた記事「2019年はオンライントレーディングカードゲームがブロックチェーンゲーム界を変革するか?」では、有望なブロックチェーントレーディングカードゲームを紹介しています。 その記事執筆時のクリプトスペルズは、2018年のリリース予定を延期し、ちょっと今後の動向がみえていませんでした。しかしながら、2019年に入り、突如ベーターの開始で多くのブロックチェーンゲーマの心を掴み不死鳥のように蘇ってきました。 クリプトスペルズのサイト構築ではマイクリプトヒーローズもコード提供などのサポートやSNS上で、公共の場での応援をおこなっていました。クリプトスペルズはマイクリプトヒーローズと肩を並べる可能性が高いですね。 トレーディングカードゲームはeSportsも開かれる、ゲーム会のキラーコンテンツです。クリプトスペルズは簡単なので、入門ゲームとしてふさわしいとおもいます。あなたもいかがですか?ぜひこちらからどうぞ。 クリプトスペルズ 早めに強くなって正式リリースに臨みましょう。ではオンラインであいましょう。はるか先生 のフォローもぜひお願いします。
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2019/06/05専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【6月5日】
みなさん、こんにちは!えむけん@BinaryMkentです。 前回更新後、BTCも大きく下落しましたね。一時はかなり底堅い様子を見せていたため、「これはどうなんだ・・・?」と若干困惑していましたが、おおむね予想通りということで一安心しています。 さて、恐らくここからは、中短期的にもまだ下目線だと思いますが、まだまだ油断できません。今回もBTCとアルト市場、両方を踏まえて、今後の展開を予想していきましょう! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTCの長期チャートから見ていきましょう。 前回記事にて「ここで止まる可能性が高い」とお話しした、「8000ドル~8200ドル(緑ゾーン)」周辺で無事切り返し、その後7400ドルまですんなり下落してきました。私もずっとSを握りっぱなしだったので、ようやく一安心です笑 ここからは、短期足にて戻り売りポイントを設定し、その否定で短期転換判断を、もし戻り売られるようであれば、引き続き短中期の下落トレンドについていきながら利を延ばしていくのが妥当でしょう。(戻り売りポイントについては中期足分析に記載します) また、堅そうな価格帯としては、7400ドルの黄色ゾーン、そして6700ドル、6100ドルの緑ゾーン、この3つです。ですから、すでにSを抱えているのであれば、これらを基準に利食い判断を行い、スイングLの押し目買いをするのであれば、これらを参照して動くとよいでしょう。 では、ここからは中期チャートを元に、戻り売りポイントやそれを踏まえた今後の展開予想について考察していきましょう。 BTCチャート(中期) こちらが、BTC中期チャート(4時間足)になります。ちょっといろいろと書き込みすぎてややこしいかもしれませんが、一つずつ解説していきますね。 まず前回もお話したように、ここ数週間で最も意識されたのが白ペナントとチャネル(青)です。そして上下の矢印は、それぞれそのポイントで入ったであろうポジションです。左から順に見ていきましょう。 白矢印は、短期二番底をつけて直近高値を更新した際、そしてサポートラインが確定した後のライン接触で入ったと思われるロングポジションです。もちろんこれらのポジションは、チャネル下限割れで解消されている可能性もありますが、損益分岐点を割っていないため、依然ホールドされている可能性があります。 次に、オレンジ矢印。これらも先ほど同様、サポートラインの確定後に入ったと考えられるロングポジションです。しかし、これらのポジションは、損益分岐点を割っているため、すでに解消されている可能性が高いと思われます。 最後に青矢印。これは、チャネル推移濃厚になった後に入ったと思われるショートポジションです。私もこの1つ目、2つ目のポイントでSを入れていますが、現在これらのポジションはどれも含み益状態です。 そして、最も注目すべきは、チャネル下限割れという中期トレンドを否定したタイミングで入ったショート。恐らく、これが解消される展開となれば、再度上を目指す展開にもなりうると思われます。 つまりここからは、「黄色ゾーン下抜けで白矢印(ロング)が解消されるのか?」、それとも「戻り売りポイントであるオレンジゾーンを上抜け、青矢印(ショート)が解消されるのか?」といった状況ですね。 さて今回は、これらの既存ポジションの損益分岐点を元に、サポートポイントや戻り売りポイントを考察してみました。では、それらを総合して、今後のシナリオ考察を行っていきましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 オレンジゾーンで戻り売り(青) オレンジゾーンでの戻り売り否定で上昇(白) まずは、「戻り売りがしっかり決まるかどうか?」ですね。これを否定するのであれば、先ほどお話したチャネル下限割れSの撤退にもつながるでしょうし、その後押し目を作ることが出来たのであれば、逆三尊の形成にもつながります。 逆に、戻り売りがしっかりと決まるのであれば、「引き続き6700ドル、6100ドルを目指す展開となるのでは・・・?」と見ています。 それでは次にドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 前回もお話しましたが、5/13を境にBTCのドミナンスが反転下落、それに対して主要アルトのドミナンスが一部上昇しましたね。それ以降、あまり大きな動きはありませんが、少し拡大して見てみましょう。 5/13以降、どれも衰退の一途をたどっていますね。しかしここ数日、「BCHSV」、「LTC」、「TRX」の3通貨のドミナンスが綺麗に上昇してきています。(BTCSVについては、取り扱い取引所も少なく、出来高も少ないため、今回は考慮しません) ここで一度、流れをおさらいしてみましょう。 現状、『5/13以降、BTCからアルトへと資金が流れ、その後、主要アルトからジワジワと上記の2通貨へと流れていっている』といった状況だと思います。 そこで今後、資金流入先となった2通貨が衰退するのであれば、それらからも資金がUSDT(fiat)へ撤退してしまう、つまりBTCの下落がさらに加速してしまう可能性もあるわけです。ということは、ここで見るべきは、先ほどお話しした上記2通貨の推移でしょう。 ということで、今回は主要アルトの動向を踏まえたうえで、上記の2通貨について分析していこうと思います。 主要アルトコインの動向 主要アルトコインの中でも気になるのは、LTC、TRX、ETHですね。 ETHについては、特段ドミナンスが上昇していたわけでないですが、依然「再度推進波に移行するかどうか?」というようなポイントです。 今回はこの3銘柄をピックアップして分析していこうと思います。(今回はUSDT建てについても考察していきます。) LTC まずはBTC建てから。前回もお話ししましたが、依然買えるような状況ではありませんね。むしろ、「戻り売りに警戒」といった状況です。 USDT建てですと、大体BTCと似たような推移をしていますが、コチラも一旦の天井をつけたのでは?といった状況です。 どちらを見ても、「今から買いに動く」というのはやや厳しいですね。ただUSDT建てにおいては、黄色点線(113ドル)を上抜けると一気に視界が開けてきます。ここを抜けると、BTC建ても引っ張られる形で上昇していくと思われますので、リスク覚悟で今から拾うのではなく、「ラインブレイクに付いていく」というスタンスが妥当だと思います。 また、LTCについては、8月に半減期を控えていますので、仮に再度アルトブームが発生するのであれば、それを牽引する通貨となる可能性も大いにあると思われます。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 TRX 現状、レジスタンスを上抜けているため、目線としては上、もしくは横・・・といった状況ですね。また同時に、チャネルを形成して推移しているため、ここからはこのチャネルを元に押し引きしていくのが妥当でしょう。 ですから仮に、このチャネルを下抜けるのであれば、資金撤退の可能性がある・・・、と判断していただければよいと思います。 USDT建てにおいても同様に、チャネル推移ですね。 BTC建てよりも角度を持って推移しているため、どちらかといえばチャネル下限で買っていきたい・・・、といった状況ですが、「今まで何度も上昇を阻まれてきた黄色点線を下抜けた際に、下げが加速してしまわないか?」という若干の懸念はあると思います。 ETH BTC建てでは、大きく上昇した後、「押し目を作れるのか?」といった状況ですね。 ここで、しっかり押し目を作ることが出来れば、レジスタンス(青)の上抜けも視野に入ってきますし、これを上抜ければ、恐らく黄色点線(0.04sats)も視野に入ってきます。 これらを踏まえると、比較的上目線ではあるんですが、これも「現状の押し目を守りきれるか?」次第ですね。 USDT建てについては、つい先日レジスタンス(黄色)に接触し、一時利食いムード・・・、といった状況だと思われます。 BTC建てではすでに押し目をつけていましたが、USDT建てを見た限りでは、依然高値圏のため、「様子見」がベストでしょう。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCはチャネル下抜け →戻り売り狙いだが、否定上げにも警戒 資金は依然アルトへ →USDTには流れていない(リスクオン) →リスクオフ転換は主要アルトを基準に判断 BTC重視だと下目線だが、アルト重視だとやや上目線 →BTC停滞+アルト上げの展開も 今回は、いつもよりアルト分析に比重を割きましたが、「BTC単体では下目線、アルト単体だとやや上目線」というように、やや判断が難しかったですね。 また、先週あたりから、国産通貨「モナコイン(Mona)」のCoincheck上場など、ポジティブなニュースに対して、市場がかなりいい反応を見せています。 こういった点からも、依然リスクオン相場であり、「アルトを買いながら、適切なポイントでBTCにショートを仕込んでいく」、というのがベストな立ち回りなのかな?と感じました。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した初心者~中級者向けの有料note、『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/06/04SECの「デジタル資産をセキュリティ(証券)とみなす基準」に関して徹底解説・考察
米国において暗号通貨がセキュリティ(証券)としてみなされるかどうかにはここ数年大きな注目が集まりました。 業界とマーケットの発展の観点から見て、どれだけ簡単にアメリカでブロックチェーン系ビジネスを運営したり、投資家を募ったりすることができるかはとても重要なことです。 同国で証券発行にまつわる事例を取り締まるのは米国証券取引委員会、通称SECで、2018年に入ってからは同委員会の声明が世界中の暗号資産投資家や関連業者から重視されるようになりました。 同委員会は当初から2019年4月に到るまで暗号通貨がセキュリティかどうかを判断するための明確な基準を公表しておらず、結果として過去に米国投資家を対象に未登録ICOを行なった企業が同委員会から摘発を受けた事例も発生しました。 こちらのページでは、4月に入りようやく公開されたこの判断基準を詳しく、かつわかりやすく解説していきたいと思います。 判断基準の大元「ハウイ・テスト」 [caption id="" align="aligncenter" width="282"] ウィリアム・ハウイが創立した町「ハウイ・イン・ザ・ヒルズ」[/caption] ハウイ・テストとはW. J. Howey Co.という企業の資金繰り法にまつわる裁判を元に1946年に生み出されたもので、「ある商品が投資契約であるかどうか」を判断するためのテストです。 SECは公開した声明のなかで、ハウイ・テストについて次のように述べています。 「合衆国最高裁判所のハウイ判決および関連する法律によれば、他社の取組みに依存した合理的な期待利益が存在する共同事業への投資は"投資契約"であることがわかっている。」 また、暗号通貨という観点から見たハウイ・テストには次のような条件が付くといいます。 「ハウイ・テストでは、商品そのもの(デジタル資産)の形や意義だけでなく、デジタル資産が発行・販売・再販売される周辺環境(セカンダリ市場を含む)にも焦点が当てられる。」 「連邦法では、デジタル資産を含む全てのセキュリティ(証券)の発行・販売は、事前に申請・登録するか、登録免除となる条件を満たしていなければできない。」 これらの声明からは、暗号資産がセキュリティであるかどうかはトークンセール(プライマリ市場)自体だけではなく、一般的な取引所(セカンダリ市場)での状況にも関係する、ということがわかります。 ハウイ・テストの3本柱 ハウイ・テストを用いた分析では、以下の3つの項目を満たしている商品を投資契約(セキュリティ)と判断します。 金銭の投資 SECによれば、この第一の項目の「金銭」は法定通貨だけでなく、デジタル資産も含むといいます。 「デジタル資産の発行・販売は、法定通貨や他のデジタル資産で対象となるデジタル資産を購入・交換する行為を含むため、大体の場合ハウイ・テストの第一の項目を満たす。」 共同事業 共同事業(Common Enterprise)とは、複数の企業がひとつの目標に向かって各々の取組みを行う事業を指します。 SECによれば、共同事業の存在は投資契約の特徴的な側面であり、デジタル資産を取り扱ったものでも大体の場合は共同事業の存在が確認されるといいます。 他者の取組みによってもたらされる合理的な利益の期待 3本柱の最後は「他者の取組みによってもたらされる合理的な利益の期待」と呼ばれ、題名だけでは定義がわかりにくいものとなっています。 以下ではこの項目だけにフォーカスを当て、「他者の取組みへの依存」と「合理的な利益の期待」の意味を詳しく解説していきます。 「他者の取組みへの依存」とは? ここでいう他者とは、開発団体(デベロッパー)や、プロモーターやスポンサーなどの第三者を指し、英語では"Active Participant"または"AP"と呼びます。 「他者の取組みへの依存」とは、「トークン購入者がAPの活動(開発・宣伝等)から発生する利益を見込んでいる」ということを意味します。 SECは、以下の項目のうち、当てはまるものが多いほど「他者の取り組みへの依存」が強い傾向にあるといいます。 APが事業の開発や改善、運営、プロモーションなどに関する重要な責任を負っている。 トークン購入者が、APがトークンを従来の用途に利用できるようにするためのタスクを行ってくれると期待している。 デジタル資産の販売時にその基盤となるネットワークやプラットフォームが出来上がっていない場合など。 APが対象となるトークンの市場や価格を支援している。 APがトークン生成・発行の権限を握っている。 トークンの買い戻しやバーニングなどによる需要供給のコントロール。 APが調達資金の使い道や、デジタル資産の流動性をコントロールしている。 APにデジタル資産の価値を上げる活動をするインセンティブがある。 APが何らかの形で資産をステーキングしている。 APやその他マネジメントの給与・報酬が対象となるデジタル資産で支払われる。 APがネットワークやデジタル資産の知的財産権を握っている。 また、「他者の取組みへの依存がある」という判断をのちに撤回するには、以下のような項目を考える必要があるとされています。 当時のAPやその後継者の活動が未だ対象となるデジタル資産への投資のリターンに影響を及ぼしているかどうか 投資家が未だAPの取組みに依存した利益を見込んでいるか APの活動が未だ対象企業の成功に関わっているか まとめ:こんなケースは「他社の取り組みへの依存」かも? プロダクトがまだ出来上がっていない APによるトークンの買い戻しやバーニング APにトークンの価値を上げるインセンティブがある これらのポイントは「投資家がAPの取組みを見込んでいる」とみなす要素となるようです。 「合理的な利益の期待」とは? 「合理的な利益の期待」とはプロジェクトに関するリサーチなどを経た上で「APが対象となるデジタル資産の価値向上に繋がる取組みをすることがわかっている」ということを意味します。 SECは、以下の項目のうち、当てはまるものが多いほど「合理的な利益の期待」が強い傾向にあるといいます。 デジタル資産の保有者が、発行企業の収益の一部を獲得したり、価値の向上から発生する利益を確定したりする権利を持つ。 配当型トークン(取引所トークンやエクイティトークン)を含む 対象となるデジタル資産を暗号資産取引所などのセカンダリ市場で他の資産と交換できる、または将来できるようにする予定である。 対象となるデジタル資産が、基盤となるネットワークの機能を必要とする者だけでなく、世間一般に販売されている。 特定のプレイヤーがネットワークの一般的な利用に必要な量以上のトークンを購入する場合も含む。 以下のいずれかを利用して、対象となるデジタル資産を投機として売り出している。 対象となるデジタル資産の販売、またその購入者がそれぞれ「投資」「投資家」とラベルづけされている。 調達資金が対象となるデジタル資産やそのネットワークの開発・発展に使われる。 将来的にリリースされるネットワークの正式サービスと、APがそれを開発するという見込み。 「対象となるデジタル資産を他の資産と交換できること」を売りにしている。 ネットワーク運営の収益性やデジタル資産の価値がマーケティングやプロモーションに大きく左右される。 対象となるデジタル資産を取引できる市場がある、またはAPがそういった市場を作ることを約束している。 「合理的な利益の期待」という判断をのちに撤回するには、以下のような項目を考える必要があるとされています。 購入者が、APによるプロダクト発展への努力がこれ以上対象となるデジタル資産の価値向上に繋がると期待していない。 対象となるデジタル資産の価値と、それを利用して得ることのできる商品やサービスの価値が安定した相関性を持っている。 保有者は対象となるデジタル資産をその従来の目的(ネットワークのユーティリティ等)に使用することができる(=プロダクトが完成している・リリースされている) 対象となるデジタル資産の増価は偶然によるものである(=従来の目的とは関係がない) APがインサイダー情報を保有していない まとめ:こんなケースは「合理的な利益の期待」かも? トークンが取引所に上場している トークンの販売対象が必要なユーザーだけに絞られていない トークンの価値がマーケティング・プロモーションに大きく左右される これらのポイントは、「投資を目的としたデジタル資産の購入」とみなす要素になるようです。 セキュリティとみなされない暗号資産 ここまででは、SECの声明のうち、対象となるデジタル資産がセキュリティとみなされる可能性の高いケースについて解説してきました。 SECによれば、合衆国最高裁判所ではデジタル資産をハウイ・テストにかける際、その「トランザクションの経済的な実態」に着目するとしています。 これは、対象となるデジタル資産が将来的な価値の向上を見越してではなく、純粋にネットワークやサービスを利用するために購入されているかどうか、ということを意味します。 同声明によれば、デジタル資産は以下の項目のうち当てはまるものが多いほどハウイ・テストに当てはまらない(セキュリティではない)可能性が高いといいます。 対象となる分散型台帳ネットワークは完全に開発が済んでおり、すでに運営開始済みまたは運営可能である。 保有者は、対象となるデジタル資産を購入後すぐその従来の目的に利用することができる。 対象となるデジタル資産の発行プロセスや構造が、その価値に対するスペキュレーションを起こすものではなく、ユーザーのニーズに沿ったものである。 対象となるデジタル資産はその基盤となるネットワークでのみ使用することができ、購入者は一般的な利用目的に沿った数量のみを保有・交換することができる。 対象となるデジタル資産が増価する見込みがない。価値が一定、または逓減していくようにデザインされたデジタル資産など、合理的な購入者が投資としてリターンを見込まないようなもの。 「暗号通貨」と呼ばれるデジタル資産のケース: 対象となる暗号通貨を購入後すぐ様々なモノやサービスのペイメントに使用することができる、または、法定通貨の代用として利用できる。 他のデジタル資産や法定通貨を介さず、対象となる暗号通貨で直接支払いができる。 商品やサービスの所有・利用権を表す暗号資産(ユーティリティトークン)のケース: 対象となるデジタル資産を完成したネットワーク/プラットフォーム上でそのサービス利用などに使用できる。 対象となるデジタル資産と、それが所有・利用権を与える商品やサービスの価値に相関性がある。 対象となるデジタル資産の増価は偶然によるものである(=従来の目的とは関係がない)。 対象となるデジタル資産の宣伝・マーケティング内容が、その資産の市場価値向上などではなく、資産やネットワーク自体の機能性を強調したものである。 対象となるデジタル資産は、スペキュラティブな市場ができないように譲渡・交換が制限されている。 APが対象となるデジタル資産のセカンダリ市場(取引所上場)を創設した場合、そのネットワークのユーザーのみが資産の取引をすることができる。 まとめ: セキュリティにあたらないトークンとは? ネットワークやプラットフォームがすでに稼働済み・トークンもすぐに利用可能である トークンの価格上下は偶然によるものである(スペキュレーションがない) 該当ネットワークのユーザーのみが適量のトークンを保有・交換している これらのポイントは「デジタル資産がネットワークの利用のみに使用される」ことを証明する要素となるようです。 考察その1: ICO・STO・IEOのこれから ICO(イニシャル・コイン・オファリング)の衰退 今回SECが公表した基準は、かなり厳しいものであると言えます。 そもそもICO(イニシャル・コイン・オファリング)は、ブロックチェーン系プロジェクトが自社のプロダクトアイデアを実現するために、先にトークンを販売することで資金を調達する、というものです。 しかしこれは、「APが将来プロダクトを完成させるという見込み」の元に、未だ完成していないプロダクトに金銭を投資する行為にあたるため、セキュリティとしてみなされるケースが大半になるのではと考えられます。 こうなると、トークン発行に際し証券登録や免除申請を行わなければならず、多くの場合は莫大な費用・時間がかかり、販売できる対象投資家にも制限がかけられてしまいます。 こういった側面を考慮すると、今後少なくとも米国ではICOの数が激減していくのではないかと考えられます。 IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)はこれからどうなる? IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)とは、大手暗号資産取引所が、自社セレクトしたプロジェクトのトークン発行市場(プライマリ市場)を設けるというサービスで、2019年に入ってから大きく流行しています。 もっとも有名なプラットフォームはBinance(バイナンス)のBinance Launchpadで、他にもHuobiやOKExなどの大手取引所が類似事業の参入を決定しています。 こういったサービスで取り扱われるプロジェクトは、プロダクトの提供を少なくとも数ヶ月内に収めたものが多いですが、ICOの例に漏れず、他者の取組みに依存した期待利益の存在する共同事業がほとんどと言えるでしょう。 また、IEOによるトークンはプラットフォームを提供している取引所の暗号通貨(バイナンスならBNB)で支払われることが大半であるため、その取引所通貨自体もセキュリティの判断基準に触れかねません。 IEOを行なっている取引所は中国・シンガポール系がほとんどですが、米国で同様のサービスを行うことは当面不可能となるのではと考えられます。 STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の台頭 一方、証券発行をブロックチェーン上で行うSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)は今後おそらく数を増していくのではないかと考えられます。 企業の株式や債券だけでなく、不動産やコモデティなど、セキュリティではない商品をトークン化し販売するケースもSTOと呼ばれることが多いです。 しかし、STOはICOやIEOとは全く異なるものである点に注意が必要です。STOとは、あくまで既存の金融商品をブロックチェーン上で発行する、というものに過ぎません。 一般的なユーティリティトークンも、今後米国ユーザーを対象に含むネットワークを展開していくには、少なくとも一時的には証券として登録する必要が出てくると言えるでしょう。 STO(セキュリティ・トークン・オファリング)とは?ICOとの違いも交えて解説 - CRYPTO TIMES セキュリティにあたらないデジタル資産を発行するには? 今後、米国投資家を対象にデジタル資産を発行するには、証券登録または免除申請を行うか、プロダクトが完成・成熟してからトークンを販売するかを選ばなければなりません。 ICOが流行していた時に比べると、どちらの選択肢も開発団体や関連企業により多くの資金を要求することとなります。 考察その2:「技術発展を妨げない法規制」は達成できているか? 宣伝(業界の成長)と投資家保護(スキャム防止)のバランス SECの委員長を務めるHester Peirce氏は、同委員会の意見が大きく注目され始めた2018年当初から「技術発展を妨げない法規制」を考案するとしてきました。 これはつまり、ブロックチェーン技術の発展や業界の成長を促す宣伝を許容しつつ、それを逆手にとるようなスキャムが淘汰されていくような決まり、ということです。 [caption id="" align="aligncenter" width="158"] Hester Pierce氏[/caption] 今回の声明を見ていくと、確かにこれまで存在したようなスキャムは今後ほぼ登場してこないだろうと考えることができます。 一方、この判断基準がブロックチェーン技術の発展を妨げてしまうかどうかは、上項で箇条書きにした項目がいくつ当てはまればセキュリティとみなされるのか、そして証券登録や免除申請にどれくらいのコストがかかるのかに依存してくるでしょう。 集権化(セントラリゼーション) 今回公表された判断基準は、分散型・無政府的な世界の到来を期待する人々(若年層に多いと言われる)にとっては残念なニュースであると言えるでしょう。 実際のところ、米国投資家を対象に今後とも問題なく資金調達を行えるのはステーブルコインやトークナイズドアセット、エクイティトークンなどに限られてくると考えられます。 したがって、少なくとも米国では、「アルゴリズム集権型」の経済やガバナンスは違法化され、資金がないとプロジェクトを展開できない「国家集権型」のスタンスが固められつつあると言えます。 まとめ SECによる今回の発表は、今後のブロックチェーン系プロジェクトの発展しやすさに大きく関わってくるものです。 ハウイ・テストを用いた米国の基準では、デジタル資産の「経済的な実態」を基に、そのトークンがプロダクトあるいは投機どちらにフォーカスを当てたものなのかを判断していくようです。 特に、ハウイ・テストの「3本の柱」のひとつである「他者の取組みによってもたらされる合理的な利益の期待」は、開発団体やプロモーターなどの「AP」の役割が重要になってきます。 このルールによると、「未完成のプロダクトが完成すると見込んで投資する」ICOの基本形はセキュリティとみなされるケースが一般的となってくるのではないでしょうか。 現段階では具体的にどのトークンがセキュリティにあたるのかは不明確なため、今後SECが基準公表前に実施されたICOなどにどのような措置を行うのかに注目が集まります。