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2019/04/28DAppマーケット(Ethereum, EOS, Steem, TRON) 2019年 第1四半期分析レポート
分散型アプリケーション(Decentralised Application)、通称DAppsとは、スマートコントラクトを搭載したブロックチェーン(ブロックチェーンプラットフォーム)上に構築されたアプリケーションのことを指します。 DAppsには、分散型台帳を活用した暗号通貨取引所(DEX)やギャンブル・ゲームアプリ、金融系サービスなど様々な種類があります。 Crypto TimesのパートナーであるDapp.comは、Ethereum・EOS・Steem・TRONのDAppsデータを公開しているウェブサイトです。 こちらのページでは、Dapp.comが発表した「DAppマーケット 2019年第一四半期報告」を元に、今期のDApp市場について詳しく分析していきます。 DAppsゲームにおけるアプリストアを目指すプラットフォーム『Dapp.com』 とは? CEO Kyle Lu氏 独占インタビュー - CRYPTO TIMES プラットフォームごとのデータ(Ethereum・EOS・Steem・TRON) 2019年第一四半期までのDApps総数は1953件となっており、そのうち1343件がイーサリアムブロックチェーン上のものとなっています。 アクティブなDApps(インタラクションの存在したDApps)をみていくと、イーサリアムDAppsは約半数ほどしかアクティブでなく、他のブロックチェーンとの差を縮める形となっています。 アクティブユーザー数に関しては、既存・新規ともにTRONが圧倒しています。TRONのアクティブユーザーは30万人ほどとなっており、そのうち97%(29万人近く)がこの第一四半期からの新規ユーザーとなっています。 ボリュームに関してはEOSとTRONの二者が1兆ドルを越えており、イーサリアムは約2億ドル、Steemは1300万ドルとなっています。 以下の項目では、2019年第一四半期におけるブロックチェーンプラットフォーム(イーサリアム・EOS・Steem・TRON)ごとのアクティブユーザー数、トランザクション数、ボリュームをまとめたデータを解説していきます。 Ethereum 最も利用されているブロックチェーンプラットフォームとして長らく存在しているイーサリアムですが、アクティブDApp数・新規DApp数ともにEOSやTRONなどの新参プラットフォームを圧倒しています。 シェアの大半は分散型取引所(DEX)となっており、アクティブユーザーの33%、トランザクションの25%、ボリュームの51%を占めています。 Dapp.comのイーサリアムDAppトップ5はIDEX, Bancor, Kyber Network, Fork Delta, FCK (FCKのみギャンブル、他は全て取引所)となっています。 DAppゲームはアクティブユーザーの27%およびトランザクションの38%を占めていますが、実際に動いているネイティブトークンはボリュームのたった2%となっています。 ゲームの代わりにボリュームの大きなシェアを占めているのがギャンブル(44%)で、ユーザー/トランザクションあたりの課金額がとても大きいと推測できます。 イーサリアムのDAppマーケットでは、アクティブユーザー数、トランザクション数、ボリュームはおおよそ順相関となっていますが、トークン価格はあまり大きな相関を見せず140ドルあたりを上下しています。 これは、ETHがあまり投機に左右されず、純粋にエコシステムを支えるトークンとして機能しているからではないかと推測できます。 また、トランザクション数はDAppゲームに大きく依存していますが、分散型取引所が大きなシェアを占めるアクティブユーザー数とも強い相関性を示していることがわかります。 EOS EOSはアクティブユーザー、トランザクション、ボリューム全てにおいてギャンブル系DAppsが大半を占めています(それぞれ45%, 74%, 82%)。 Dapp.comのEOSトップ5はEOSBet, FarmEOS, Dice, Dapp365, Crazy Diceとどれも全てギャンブル系となっています。 ギャンブル系DAppsとは比にならないものの、DEXやDAppゲームにもそれなりのアクティブユーザー数やトランザクション数存在します。 また、EOSではファイナンス系DAppsもわずかながらユーザー数を獲得しており、低トランザクション数・高ボリュームであることが見てわかります。 EOSのDAppマーケットをみていくと、トークン価格とアクティブユーザー数は1月上旬あたりから徐々に上方向に伸びていることがわかります。一方、トランザクション数とボリュームは2月はじめあたりから緩やかに低下しています。 Steem Steemのアクティブユーザーの大半はSteemitなどを主軸としたソーシャル系DAppsが占めています(75%)。 一方、トランザクション数はゲームが62%、ボリュームはギャンブル系が94%と、それぞれのカテゴリごとの特徴が顕著に表れています。 ソーシャル系DAppsはアクティブユーザーこそ多いものの、ボリュームにおいては1%にも満たないことがわかります。また、前例同様、トランザクションはDAppゲーム、ボリュームはギャンブルが大半を占めています。 Dapp.comによるSteemのDAppトップ5はSteem Monsters (ゲーム), Magic Dice (ギャンブル), Smartsteem (ツール), Steemit (ソーシャル), eSteem (ソーシャル)となっています。 SteemのDApps市場では、トークン価格が緩やかに伸びる中、ソーシャル系DAppsに依存するアクティブユーザー数とDAppゲームに依存するトランザクション数はほぼ横ばいとなっています。 一方、シェアの94%をギャンブル系DAppsが占めるボリュームは3月上旬に大きなスパイクを見せており、これはMagic Diceなどのギャンブル系DAppsが一時的に流行を見せたからではないかと考えられます。 TRON マーケティングに大きく依存したエコシステム発展戦略を繰り広げるTRONでは、アクティブユーザー、トランザクション、ボリューム全てをギャンブル系DAppsがほぼ独占する形となっています。 また、他のブロックチェーンプラットフォームでは全く出てこなかった「ハイリスク」DAppsもトップカテゴリとしてデータに表されています。 TRONのトップ5DAppsはTRONbet (ギャンブル), 888TRON (ギャンブル), TronVegas (ギャンブル), Gakex (ファイナンス), TronBank (ハイリスク)となっています。 トークン価格の上下はあまりないTRONですが、力の入ったマーケティングのおかげかアクティブユーザー数は大きく伸びていることがわかります。 また、EOS同様、トランザクション数とボリュームはそれなりの相関性を見せており、同じタイミングで山・谷が発生していることがわかります。 さらに、Steemと同じくギャンブル系DAppsに大きく依存したボリュームがスパイクを見せていることを考慮すると、ギャンブル系DAppsがトランザクション数とボリュームに大きな影響を与えることは確かであると言えるでしょう。 プラットフォームごとのトップDAppsもEOS・Steemの例にならってギャンブル・ハイリスク系DAppsがほぼ独占しています。 DApps市場の分析・考察 ギャンブル系DAppsはボリューム増減に関係 ギャンブル系DAppsはボリュームに大きな影響を与えていることがわかります。トークンを賭けて倍増しようというのが目的なわけですから、これは極めて当たり前であると言えます。 SteemやTRONのボリュームスパイクを見てわかるように、ギャンブル系DAppsはその流行り廃りもとても顕著に現れています。 また、ギャンブル系DAppsはトランザクション数もそれなりに高く、全体的に見て「エコシステム活性化の切り口」なのではないかと考えられます。 ゲーム・ソーシャル系DAppsは高トランザクション・低ボリューム ゲーム・ソーシャル系DAppsはギャンブル系や取引所系と比較してボリュームはあまり大きくありませんが、トランザクション数はとても多いことがわかります。 EOS・TRONのようにギャンブル系DAppsがトランザクション数・ボリュームともにマジョリティとなっているケースでは、当然両数値がおおよそ相関して上下しています。 一方、イーサリアムやSteemのようにゲーム・ソーシャル系DAppsがトランザクション数を大きく占めている場合、この相関は弱まっています。 特に、トランザクション数をDAppゲーム、ボリュームをギャンブル系DAppsがそれぞれ大きく占めるSteemでは、ボリュームのスパイクに対してトランザクション数がほぼ反応していないことが見てわかります。 アクティブユーザー数と新規ユーザー率の関係 ETH EOS Steem TRON 総ユーザー数 1,151,657 334,480 542,777 357,953 新規ユーザー数 114,122 163,310 23,396 286,121 新規ユーザー率 9.91% 48.83% 4.31% 79.93% Q1アクティブユーザー数 186,544 262,450 66,936 303,747 アクティブ率 16.20% 78.47% 12.33% 84.86% ※アクティブ率 = (Q1アクティブユーザー数 / 総ユーザー数) * 100 これまでの分析では、アクティブユーザー数の推移は特定のカテゴリに大きく依存したり、他のデータと強い相関を見せることはありませんでした。 上の表を見ていくと、アクティブユーザー数がこの四半期で大きく増加したEOSとTRONは、ETHやSteemと比べて新規ユーザー率(総ユーザーにおける新規ユーザーが占める割合)がとても高いことがわかります。 つまり、アクティブユーザー数の大きな推移はマーケティングや特定のDAppsの流行などで大量の新規ユーザーが流入したことに起因するのではないかと考えられます。 また、新規・アクティブユーザー数とは逆に、新規・アクティブDApps数はイーサリアムがEOS・TRONを圧倒している点も特筆すべきでしょう。 これは、イーサリアムが様々なDAppsの開発基盤(=安定したプラットフォーム)として用いられる一方、EOS・TRONには特定のDApp(おそらくギャンブル系)を利用するためにユーザーが集まっているからではないかと考えられます。 まとめ DAppマーケットはまだ登場して1年も経たないくらいの未熟な業界です。 今回のデータを見ていくと、新参プラットフォームの成長において賭博・ギャンブル系DAppsは重要な要素であることがよくわかります。 しかし、日本では賭博が禁止されているためこれらのDAppsへのアクセスはNGであることがほとんどです。TRONなどでは日本のIPアドレスをブロックするようデベロッパーに促したりもしています。 したがって、今年の残りの3四半期で日本でのDAppsの認知度がどれだけ上がるかには、若者にリーチしやすいゲームやソーシャル系DAppsの普及に大きく関わってくるでしょう。 TRON「日本市場での賭博系DAppsの開発・プロモーションは一切なし」 - CRYPTO TIMES データ提供: Dapp.com
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2019/04/26専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【4月26日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回の更新時から、BTCはジワジワと上昇、それに伴ってアルト市場は全体的に下落してしまいました。「アルト市場からBTCに資金が流れた」、ということですね。 個人的に、この推移は少し想定外だったのですが、ここで素直に資金が抜けなかったのは、仮想通貨市場にとってはプラス要因でしょう。 ですが今朝、ニューヨーク州の司法長官によるビットフィネックス、ならびにUSDT(テザー社)に対する訴追報道を機に、大きく下落をしてしまいました。 今回はその下落も踏まえて、分析を進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) 現在、黄色ラインと水色ライン、2本のレジスタンスラインを上抜け、流れとしては依然上。しかし、いまだ調整に入っていない点もあり、今から短期以外で買い方に回るのはややリスキーです。 ここまでビットコインを押し上げてきていた楽観ムードも、今朝の報道を機に一転した様子ですし、今は無理して買い方に回らず、利益が出ているのであれば、その確保を優先するのが妥当だと思われます。 また、現在このような白チャネルが機能している可能性も考えられます。今後短期で買い方に回る場合には、この白チャネルと水平ライン(水色)を踏まえて利食い判断をしていくのが妥当でしょう。 では次に、中期チャートの分析に移りましょう。 BTCチャート(中期) 前回からラインを一部修正しましたが、やはりこちらも、依然チャネル推移ですね。 そして個人的に注目すべきだと思うのは、黄色□。ここで一度チャネルを下抜け、その後直近安値を下抜けるも、再度買われていきました。 しかし、そうやって買い支えられてきたからこそ、再度安値を更新した際にそれらのポジション決済が行われ、今回のような大きな下落の引き金になってしまいました。俗に言う「梯子外し」ですね。 ここから先は、その大きな下落が一段楽したポイント(緑□)、ここを基準にしたチャネルを元に、本格的な調整移行判断を進めていくのが妥当だと思われます。 BTCチャートの総評 現状のチャートから想定できる推移は以下の2パターン。 ①中期チャネルで押し目を作り、再度長期チャネル(白)まで上昇 ②中期チャネルを下抜け、本格調整開始 この2パターンでしょう。ファンダ悪材料が出てきた面からも、個人的には本格的な調整開始が本筋だとは思います。また、その場合は「4300ドル周辺」での値動きを要注目しておくべきですね。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 前回更新以降、ビットコインは大きく上昇、それに対してアルト市場は全体的に下降に転じました。ドミナンスから見ても、資金がアルト市場からビットコインへと流れている様子が伺えますね。 ここで、ここまでの流れを整理してみましょう。 ①アルト活発化(アルト+BTC、共に上昇) ②アルト→BTC(アルト下落、BTC上昇) となっています。つまり現状から、②でBTCに流れた資金がその後FiatやUSDTにて利食いされる展開が想定されるわけです。 個人的には、先ほどお話ししたファンダ悪材料や中期チャネルの下抜けが、そのトリガーになるのでは・・・?と考えています。 含み益が出ているのであれば、悪材料が出てきた時点で利益を確定させたいでしょうし、そういったトレーダーが増えてこれば、市場も次第に弱気相場へと転じてしまいます。故に、個人的には、先ほどお話ししたシナリオ②が本筋だと考えています。 アルトコインのドミナンスを拡大してみましょう。 気になる動きをしているのは、Binance Coin(BNB)とBitcoin Cash(BCHABC)、Tether(USDT)の3つでしょうか。 BTC並びにUSDTのドミナンスが、主要アルトコインのドミナンス下落に伴って上昇しているのは、恐らくアルトコイントレードで発生した利益確定による動きでしょう。ですから、今後もUSDTドミナンスは要注目ですね。 では次に、主要アルトの値動きを見ていきましょう。 主要アルトコインの動向 やはり、BTCが高値圏でチャネル推移を始めたあたりから、主要アルトコインは全体的に縮小規模に向かっていますね。前回もお話しした「アルトドレイン」です。 今回は先ほどお話ししたように、BCHABC、並びにBNBをピックアップして分析してみようと思います。 BCHABC 前回記事でお話しした半値+サポートラインを下抜け、現在リターンムーブ後で「再度直近安値を下抜けるかどうか?」といったポイントです。 USDT建てであれば、まだサポート周辺にて推移をしていますが、BTC建てではこのように、下優勢の推移をしています。資金が抜けていくのも時間の問題・・・といった状況でしょうね。 BNB 先日の好ファンダを機に、再度大きく上昇しましたが、このまま高値を更新しないようであれば、再度ダイバージェンスを成立させる形となります(水色ライン)。 よって、今から買いに向かうのはリスクが高く、むしろ一旦りぐって様子を伺うのが妥当だと思われます。ですが、今回のBinance Launchpad(IEO)、「Matic」抽選のためのスナップショットを終えたにもかかわらず、売り浴びせられていないのが若干気がかりではありますね。 総評(まとめ) 最後にまとめに入りましょう。 BTCは中期チャネル(緑)に注目 →下抜けで本格調整開始 BCHABC、BNBも天井気配 →更なる資金抜けに警戒 大体こんな感じでしょうか。 用意されたようなタイミングでファンダが出てきたり、仮想通貨においてはファンダに対して疑心暗鬼にもなってしまいますが、個人的にはファンダは予備知識程度で、チャートに素直に立ち回っていくのが良いと思います。 ファンダを踏まえた上で売買が進み、それらの軌跡がチャートですからね。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した初心者~中級者向けの有料note、『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です!今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/04/24ALISは既存メディアの問題点を克服できるのか!?
こんにちは。Magic Jonsonです。 今回は「ALISは既存メディア(テレビニュースなど)の問題点を克服できるのではないか」というお話をしたいと思います。 メディアの問題点とは何か、ALISとはどんなものか、どうしてALISは既存のメディアの問題を解決するのかを順を追って説明するので、ぜひ読んでみてください! そもそも私がALISを知ったきっかけはCRYPTO TIMESのブートキャンプで、キャンプで記事を書いていくうちにALISのシステムの面白さに気づきました。 そんな中、既存のメディア(テレビ、新聞、ラジオなど)の問題点を書いた論文、”The Role of the Media in the Construction of Public Belief and Social Change”を読んで、「アリスなら全てを解決できるのでは?」と考えました。 これから、論文に基づいた既存メディアの問題点、ALISのいい点と悪い点をまとめていきたいと思います。 既存メディアの問題点 今回読んだ Happer, C., & Philo, G. (2013). The Role of the Media in the Construction of Public Belief and Social Change. Journal of Social and Political Psychology, 1(1), 321-336. https://doi.org/10.5964/jspp.v1i1.96 に基づいて、既存メディアの弱点を紹介していこうと思います。 中央集権によるコントロール 第一に、メディアの報道内容を決める中枢は政治的、社会的、そして商業的な圧力に影響されます。 メディア(特にニュース番組)などで社会問題などに対する解決策を話し合うのは地位や名声のある一部の人々です。 しかし、そういった人々は自分たちにとって都合の悪い解決案は提示しないので、本当はより良い代替案があったとしても意図的に排除されてしまいます。 論文では金融危機を例に、「テレビで議論していた人々は、政府の公共支出を減らす以外の方法を話し合わず、そのせいで問題解決が遅れた」としています。 例えば、著者たちは「上位10%の富裕層に一時的な税金をかけ、全体として所有している4兆ユーロのうちの20%を使って国債を全額返済し、景気を回復する」解決策を提示しています。 実際にアンケートを取ったところ、74%ものイギリス国民がこれに賛同したそうです。 しかし、テレビではこうした代替案は排除されてしまうため、一部の人のみに都合のいい非効率な方法のみが伝えられてしまいます。 情報の流れが単一的 第二に、情報がメディア→民衆の一方向のみに流れるので、民衆が何を知りたいのかがメディア側に伝割りません。 現状では視聴者がメディアへ意見を届けるのは難しいため、メディアへのフィードバックがありまあせん。 また、メディアが流す情報を一方的に選別するので、たとえ民衆にとっては重要であっても、優先度が低いと見なされたものは報道されないと言う欠点もあります。 その結果、人々が知りたがっている情報がメディアから流れなくなります。 報道内容に対する実感がわかない 第三に、メディアによる報道では人々の意識を変えられません。 一方的にメディアから与えらる情報では人々の心を動かせず、「テレビの中での出来事」として認識されてしまいがちです。 したがって、ニュース番組やドキュメンタリーなどを見たとしても実感が伴わず、「自分が行動しないと」とはなかなか考えません。 皆さんも「ああ、大変だな」と他人事として認識してしまい、危機感を感じないと思います。 結果として、社会問題などの実態を伝えられたとしても、人々を解決のために行動させる力がありません。 偏向報道、フェイクニュースや誇張情報の存在 最後に、メディアによる報道は偏向報道やフェイクニュースなど不適切なものが混ざっています。 報道される内容は基本的に全てメディアの色眼鏡を通して報道されます。度が過ぎてしまうと、各メディアにとって都合のいい部分だけを報道する偏向報道も起きてしまいます。 例えば2018年に起きた森友・加計問題では、朝日新聞が自分たちに不利な内容の加戸元愛媛県知事の発言を意図的に伏せたとしてバッシングを受けています。 それに加えて、意図的なフェイクニュース、十分なリサーチをしていないままの報道なども問題になっています。このような悪質な情報が出回ると、適切な情報との区別がつかなくなり報道そのものに意味がなくなってしまいます。 ALISの特徴 既存メディアの問題点を解説したところで、ALISとはどんなものなのかを簡単に紹介していきます! 日本初の仮想通貨を導入した分散型ソーシャルメディア ALISとは、SNSの良いところはそのままに、仮想通貨を導入して悪い部分を改善したプラットフォームです! ALISはツイッターやフェイスブックなどと同じSNSに分類され、mixiのようにブログ形式の記事を投稿したり、読んだりできます。 特定の集団のみが一方的に報道を行う既存のメディアに対して、SNSであるALISは不特定多数の人々が不特定多数の人々に情報を発信し、読み手は同時に書き手である場合もあります。 そして他のSNSと異なるのは、仮想通貨「ALIS」を導入した点です。 ライター、読み手が仮想通貨をインセンティブに行動 ALISではインセンティブとして仮想通貨が設定されており、それにより悪質な記事が少なくなるようなシステムになっています。 ライターには投稿した記事についた”いいね”の数に応じて仮想通貨ALISが配布されます。 たくさんALISをもらうためにはたくさんの”いいね”をもらう必要があるので、必然的に質の良い記事を書こうと心がけるようになります。 また、読み手は”いいね”を記事につけると「良質な記事を発見した」報酬としてALISを受け取ります。 これにより、仮想通貨をより沢山もらおうとするとSNSの弱点であった無責任な投稿が減るような仕組みになっています。 ALISチームはライターと読み手に発生する仮想通貨を用いたインセンティブにより、SNSでの「信頼の可視化」を実現を目指しています。 なぜALISが既存メディアの問題点を解決できるか 不特定多数が参加するSNSの長所を取り入れ、仮想通貨によるインセンティブで弱点をカバーしたアリスがどのように既存のメディアの問題点を克服できるかを解説していきます。 分散型のメディアプラットフォームである ALISは中枢機構を持たない分散型のプラットフォームなので、圧力により報道内容がコントロールされません。 SNSであるALISは不特定多数のライターと読み手が参加しており、中心機構が存在しない分散型のネットワークになっています。(運営部はあくまで運営を行うだけで投稿される内容へは基本的に関与しません。) 既存メディアでは報道を行う中枢機関が存在したため、それがコントロールされれば報道内容に影響が出てしまいました。 しかし、ALISではライター全員のコントロールはできないので、一部のグループや個人による影響を受けづらくなります。 相互関係が成り立っている ALISでは、読者からのコメントやいいねなどのフィードバックのおかげで、ライターが読者の意見を反映させた記事を書けます。 実際に、自分が書いた記事にも発展的な内容を知りたがっていた読者からのコメントが届き、次に書く記事の参考になりました。 また、多くの人はライターであると共に読み手でもあるので、読者として何をが知りたいかを把握するできます。 (Twitterなどでも、自分がつぶやくだけでなく他の人の投稿を確認したりしますよね!) なので書き手は本質的に読み手が何を知りたがっているかがわかるので、必要な情報が出回るようになります。 同じコミュニティの内容は他人事には聞こえづらい 同じALISのコミュニティに属しているので親近感があり、他の人が書いた内容に親近感を持ちやすく、他人事として受け止めなくなります。 また、ALISではコメントやいいねなどで読み手と書き手の交流が行われるので、一方的に押し付けられてくる報道よりも実感が湧きやすいです。 よって、他の人が書いた記事を身近な話題として捉え、例えば社会問題のようなものにも対処しようと言う気持ちになります。 フェイクニュースへの抑止力が働く こちらでも紹介したように、より多くのALISをもらうために、ライターは良い記事を書こうとするのでフェイクニュースやデマは書かないように心がけます。 また、ライターはALISの保持者として、自分の持っている通貨の価値を上げるためにコミュニティ自体を発展させようとします。 コミュニティが質の悪い記事(フェイクニュースなど)で溢れかえり、人気がなくなった結果通貨の価値が下がるといった事態を防ぐためにもライターは良質な記事を書くよう心がけます。 ALISの課題 アリスのいいところを見てきましたが、やはり完璧ではないと言うのが現状です。 今までに起こった問題や、これから起こるのではないかと懸念されている事項をまとめていきます。 ALISのトークンは総発行枚数が無制限(インフレしていく)なので、価値が読めない ビットコインなどと違いALISトークンには発行数の上限がありません。 その結果、供給が増えすぎてトークンの価値が下がってしまう可能性があります。 そうなると「ALISをもらうために良い記事を書こう!」と言う気持ちも弱くなってしまい、インセンティブとしての効果が薄くなってしまうかもしれません。 コピー&ペーストの記事でもいいねがもらえる 「書き手はALISをもらうために良い記事を書こうと努力する」と紹介しましたが、やはりどこにでも楽して儲けようとする人は存在します。 例えば、「他の記事やTwitterの内容をそのまま転載しただけの記事にもいいねがついてしまうと」言う問題がありました。 ライターだけの問題ではなく、読み手が記事を批評する能力「メディアリテラシー」が問われる問題でもあり、対処が難しいと思います。 まとめ 今回、仮想通貨によるインセンティブを導入して他のSNSと差別化を図ったALISを紹介しました。 ALISはインセンティブを使って「ライターは良質な記事を提供する」「読み手は良い記事を発見し評価する」信頼関係を”可視化”しようとしてきました。 まだ完全ではないですが、これは新しい発想でメディアの常識を覆す可能性があると思います。 また、”信頼の可視化”を実現するために バッド機能(いいね機能の逆)の搭載 通報システムの搭載 なども議論されていて、さらなる発展も見込めます。 記事を書いて仮想通貨をもらえるALISに興味を持った方はこちらから登録してみてください。
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2019/04/19クリプト勢 関西、福岡の熱気
はるか先生です。 多くの分野で東京に活動が集中することが多い。DAppsを中心にしたクリプト文化の発展も東京を中心としていたが、だんだん変化している。 仮想通貨、ブロックチェーンで物理的な地理的なことをいうのはナンセンスじゃない?そう怒られそうだが。 もちろん了解しているが、やはり変化は世界に記録しておきたい。そういう思いで今感じていることを共有させていただこう。 記事を書くきっかけ 極度妄想さんが、ユニークなICOを始めた。関西からの発信だ。 妄想さんのトークンは、大金を積んでも、スーパー早くクリックしても手に入らない。唯一のトークンを手に入れる方法は、難問を解いてパスワードを見つける。 これしか方法がない。自頭のみが、トークンを手に入れる唯一の方法である。鬼仕様である。 問題を一つ例として紹介しておきます。何を行っているのだろうと普通の人は思う。 [caption id="attachment_36025" align="aligncenter" width="677"] 参照: https://alis.to/superparanoid/articles/azDX40Xq0ZqM[/caption] 昨年は、ERC721を鍵としたドキュメント閲覧システムを作ってみたりもしていた。 極度妄想さんは、発言が尖っているのでTwitterでも面白い。クリプトに対する、技術的思想的なコメントは鋭い。特にブロックチェーンの技術面に興味のある方はフォローされるといいだろう。 お名前も半分公開しながら活動されている感じである。2019年はよりプロダクト開発にも力をいれていかれるとのこと。 現在もICOは続いているので、極度妄想さんをフォローしてトークン取得にトライしてみてはいかがだろうか。問題は激ムズであるが。 関西地区発信のクリプト系コミュニティ活動 マイクリ関西コミュニティー 何度か記事にしているマイクリ。こちらでも、関西の方が多くいらっしゃる。梅田でのマイクリのオフ会も開催なども開催されていたりする。チップウィルソンさんが主催されていた。特にゲーム系を追っておられて、コミュニティも主催されている。 DAPPS関西コミュニティー 僕の近くの方で DAPPS関西という定期イベントを開催されている方もいる。主催は、まてんろうさん。どっぷりブロックチェーンにはまっておられる方だ。東京のイベントで、以前お会いし、意気投合し、有給をとって、関西におもむいて第1回 DAPPS関西のイベントには、ゲストスピーカーとして参加させていただいた。 この記事を執筆している2日後(なので記事の掲載には間に合わない)に、第4回のDAPPS関西が開催される。(こちらが詳細)今後も開催されるはずなので、まてんろうさんを、フォローしておくといいだろう。 ALISの関西コミュニティ 仮想通貨の仕組みを活用したALISメディアは、記事を書くことによりトークンでの収入が入る仕組み。新しいメディアのあり方をクリプトの力で作り上げるプロジェクトである。メンバーの多いメディアで関西勢も多く、頻繁にオフ会も開催されている。 HB WALLET 関西でのイベントの時にお話をさせていただいた方の中に HB WALLET(国産の仮想通貨ウオレット)を開発されている方がいた。関西在住で活動されている。まっとうな、ウオレットであるが、遊び心が詰まっている。 このチーム、UNCOINというERC20のトークンを発行されているのであるが、困ったことに(笑)、このトークンがウオレットに入っていると、ウオレットが下記のような画面になってしまう。 知っている方は多いと思うが、ERC20のウォレットには、許可なくトークン投げつけられる。つまり。UNCOINを投げつけられると僕のウォレットは、いやおうなしにこんな画面になってしまうのだ。関西人のあふれんばかりのユーモアのなせる技ですね。ほんとに笑えます。 Kyber Networks Kyber Networkのエバンジェリストをやっておられる horyさんも関西を拠点にしている。 関西だけではなく、頻繁に海外にも飛んでおられるので住所不定なのかもしれないが。関西にいったら京都の美味しいお店に連れて行ってもらうのが夢である。 福岡も熱い その他、注目すべき地区だが、福岡だろう。DAPPSゲームのくりぷ豚は、福岡を拠点とする企業が運営を行なっている。DAPPS界隈では有名かつ大型メディアのDAppsMarketも福岡である。主催されている方は、精力的に福岡から東京にいらっしゃいます。なんどか東京でご一緒しました。 プロトコル周りでは Cryptoeconomics Labの落合渉悟さんも、積極的に活躍されている方である。Cryptoeconomics Labは福岡を拠点において活動をしている団体である。特に、プロトコル周りまで手をかけられる知能集団としての毛色が強く、Ethereumの世界的なディスカッションにも参加されている。 最近、落合さんの執筆された提案が、仮想通貨のプロトコル周りに関心のある方の話題をさらったのは記憶にあたらしい。スマートコントラクトを現実世界と如何に結びつけるかの提案をされている文章である。世界に向けた提案であるので原文は英語とのことである。 Plasma, Stablecoin, CryptoLawが自己組織化させたもの ALISに日本語での説明を掲載しておられます。 まとめ と思い出すだけでも多くの東京でない地区からの活動が増えてきた実感があります。まだまだ他の地方からもクリプトの咆哮が聞こえてくる世界を楽しみにしている。 ミートアップは東京で開かれることが多く、地理的な偏在は否めない。海外勢が日本にやってきて1回しかミートアップが開けないとなれば、東京になってしまうことも仕方がないとは思う。 東京は確かに便利だけど混みすぎている。できればゆったりしたところで自分の好きな活動をしながらいきていければと思う。はるか先生でした。
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2019/04/170xが発表した $ZRX トークンエコノミクス改善案『ZEIP-31』とは?
ZEIP-31とは、分散型取引所のプロトコルである0xが発表したZRXのトークンエコノミクスに関する新たな改善案の一つです。 0xの長期的な発展に大きく寄与する可能性のあるこの提案は、コミュニティでも大きな注目を集めています。 本記事では、新たに発表されたZEIP-31にどのような特徴があるのか、具体的に何が改善されるのかという点に関して要約していきます。 ZEIP-31の概要 今回、0xによって発表されたZEIP-31とは、主にマーケットメイカーにliquidity(流動性)提供のインセンティブを付与するために考案された、ステークをベースとした新たなトークンエコノミクスの改善案になります。 以下、具体的な変更点の要約になります; マーケットメイカーは0xのトークンZRXをステークすることで、liquidity提供に対する報酬を獲得することができる - 彼らはステークのプールを作成することができ、ユーザーも同様にステーキングを行い報酬の一部を獲得することができる - ZRXをステーキングしている状態であっても、Votingなどのコミュニティのガバナンスは参加が可能 マーケットメイカー・テイカーはそれぞれ設定された手数料(ZRXではなくETH)をコントラクトアドレスに対して支払う必要性が生じる - 手数料はEthereumのネットワークに対して支払うものと同額なので、ユーザーに手数料の決定権がある 手数料として支払われたETHはコントラクトアドレスにpoolされる - この一部はZRXをステークするマーケットメイカーに対して報酬として支払いが行われ、その他はエコシステムに貢献するプロジェクト等に対してGrantとして適宜支払われる この提案では、これまで0xの投票プロセスやガバナンスがより強力に、コミュニティ主導となるようにデザインが施されています。 0xのエコシステムにおける参加者 0xのエコシステムには、以下の図に示されるよう①~③の参加者が存在します。 ここでは、改善案が実装される前のモデルとして解説をしていきます。 [caption id="attachment_35756" align="aligncenter" width="921"] https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=s2wlzlQxd5E より抜粋[/caption] ①のリレーヤー(Relayer)は主にオフチェーンでのオーダーブックの管理を行います。彼らは手数料を徴収する権利を持ちますが、取引を執行することはできません。 ②のマーケットメイカーは売り買いの板を出すことで、マーケットに流動性を提供する役割を果たします。このプレイヤーは裁定取引(アービトラージ)により利益を得ることができます。 ③の個人投資家(テイカー)は手数料(Ethereumのネットワーク手数料)を支払うことで流動性にアクセスし即座に取引を行うことができます。 今回の改善案の提案に関して ZEIP-31の改善案においては、②のマーケットメイカーに対して、裁定取引という形ではなく0xのトークンであるZRXをステークさせ、それに対して報酬を付与するトークンエコノミクスを導入ことで、マーケットメイカーに対して流動性提供に対するより大きなインセンティブを提供していくことを目的としています。 また、マーケットメイカーはステーキングのプールを形成することが可能となり、これにより個人投資家もステーキングによる報酬を獲得することが可能となります。 提案の背景とされる以下のイメージは、現状の0x市場参加者の比率を表しています。 [caption id="" align="aligncenter" width="800"] 0x Mediumのアナウンスより抜粋[/caption] 二つの項目; traded on 0x (0x上で取引を行った) hold ZRX tokens (ZRXトークンを保有している) をもとにアドレスが3つのグループに分類されていますが、長期的な0xのエコシステムの発展を考える場合、イメージ中央の2項目に当てはまる人々が不可欠となります。 ZEIP-31実装において起こりうる事象の考察 具体的にこのZEIP-31を実装していくことでエコシステムにどのような変化がもたらされるのか、という点に関して考えていきたいと思います。 エコシステムにおけるユーザー層の変化 ZRXのステーキングに対する報酬が導入されることで、より多くの人々がZRX保有のメリットを享受することが可能となります。 また、流動性が高ければそれだけ0xのミッションである、価値が自由に行き来するエコシステムの実現により近づくものとなるでしょう。 取引に別のモデルで手数料を徴収するという部分に関して これは、余分に手数料が徴収されてしまうことを考えると、ユーザー的にはマイナスであるように思われます。 しかし、裁定取引による利益獲得の機会を狙うBOTなどの存在からも手数料を徴収することが可能となるため、これは0xのエコシステムの発展に貢献することになります。 これにより取引BOTが消えるということであれば、ユーザーはより自由に取引を行うことができるようになるため、どちらにせよポジティブなものになると考えることができます。 ZRXのトークン価値について Relayer(リレーヤー)は0xの仕組み上、マーケットメイカー・テイカーから自由に手数料を徴収することができます。 この部分を考慮すると、パブリックで流動性の高い取引を実現するというユーティリティに対して先ほどの中央の層が増えることで、ZRXの保有と0x上での取引という部分が一致していくことになります。 改善案の導入で、リレーヤー・マーケットメイカー・テイカーのインセンティブが上手くAlignedされた形になり、これまでよりエコシステムの拡大にZRXのトークン価値が敏感に反応するのではないかと考えています。 ZEIP-31 概要・キーポイントまとめ 今回発表されたZEIP-31の要点は以下になります。 テイカーが0xを利用した取引において少額の手数料を支払う マーケットメイカー(MM)は流動性の提供に対する報酬を以下の二通りの方法で受け取る - テイカーが支払う手数料の一部 - ZRXトークンのステーキング ZRXを十分に保有していないMMはZRXのステーキングプールを形成することができる また以下は今後の予定になります。 コミュニティによるディスカッション、詳細の確定、監査等 2019年Q3を目途に実装を目指していく 0xが今後どうなっていくか要注目です。
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2019/04/17オーストラリアのスタートアップからビットコインキャッシュがあらかじめロードされた紙幣が登場
オーストラリはメルボルンに拠点を置くスタートアップのGlobal Notesは、ビットコインキャッシュ(BCH)があらかじめロードされた紙幣をローンチしました。 Global NotesはBitcoincashnotes.comというウェブサイトを運営しており、サトシナカモトの考案したP2Pデジタルキャッシュシステムを支持しています。同社はBCHチェーンの安価な手数料は経済的実現性のために大切だと主張します。 豪スタートアップからBCHの紙幣が誕生 Global Notes社はこの度、少額のBCHがあらかじめロードされた無記名債券(紙幣)を発表しました。この紙幣はレストランなどのお店でチップを渡す際や、友人や家族にギフトとして贈る際に使われることを想定しています。 Bitcoincashnotes.comによると、最初にリリースされたバージョン0.1.0では一枚あたり1mBCH(0.001BCH/12円相当)がロードされています。 「Bitcoin cash notesはあらかじめBCHがロードされたまるで本物のお金のような紙のウォレットです。それぞれの紙幣には不正防止開封シールによって保護されたプライベートキーが添付されており、いつでも好きな時にビットコインキャッシュにアクセスすることができます。」 現在は通常の紙幣セットと、コレクター向けのレアな番号が割り振られた紙幣の二種類が販売されています。 紙幣のデザインは米ドル紙幣に似ていますが、中央には大統領の代わりにDorian Nakamotoの写真が採用されています。そして、パブリックキーもプライベートキーと同様に紙幣に印刷されているので、もらった直後でも、急にBCHが必要になった時にでも資産を取り出すことができます。 Dorian Nakamotoとは?Dorian Nakamoto氏は米国在住の日本人で名前をドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトと言います。ビットコインの開発者を追っていた記者によって発見され、一時サトシナカモト本人だと話題になりましたが、ドリアン氏とサトシナカモト氏のアカウント両方から関連性を否定する声明文が発表されています。 紙幣の最上部にはその紙幣が発行された年月日と、Global NotesがBCHを紙幣にロードしたという内容が注意書きとして記載されています。不正防止開封シールの下には、キーにアクセスし資産を回収した場合、この紙幣は無効になるという旨の注意書きが書かれています。 「不正防止開封シールの左上には4桁のコードが印刷されており、一度剥がした後にシールを再び貼れないような仕組みになっています。そしてその4桁のコードはビットコインキャッシュアドレスの下4桁と一致するようになっています。」 裏面にはオレンジ色の背景にビットコインキャッシュのロゴが大きく印刷されており、「暗号学では人々はお互いを信頼する」と記載されています。 また、全ての紙幣にはIDとバージョンが割り振られており、このIDによって価格設定に差がつけられています。 通常の紙幣5枚セットは0.1624BCH(2,080円相当)で販売されているのに対して、200番から499番の紙幣は一枚あたり0.1068BCH(1,370円相当)で販売されています。最も高額な値段がつけられているのは10番から99番で一枚あたり0.9616BCH(12,320円相当)とかなり高額になっています。 さらに、1番から9番の一桁台は入札制となっており、明確な価格は提示されていません。 Global Notesは経済的自由の実現を目指す Bitcoincashnotesは顧客からの信頼を大切にし、高いレベルでの誠実さを実現していると主張します。 プライベートキーを保護するのに使われているシール一つに着目してみると、シール自体が光を通さない低透過率仕様になっており、表面にはランダムな文字列が印刷されているほどセキュリティ対策に力を入れているようです。 さらにBitcoincashnotes.comは顧客が自分の目で紙幣の安全性を確かめることも可能だとし、確認する方法を紹介しています。 一つ目の方法は同社が公開しているアップデート履歴と紙幣のバージョンおよびIDを照らし合わせて確認するという方法です。また、別の方法としては、不正防止開封シールの左上に記載されている4桁の数字とBCHアドレスの下4桁が合致するかどうかを確認する方法が紹介されています。 一方でBitcoincashnotes.comはアルジェリア、バーレーン、バングラデシュ、ボリビア、中国、エクアドル、イラクなどを含む15カ国には紙幣を配送しないとしています。そして、全ての紙幣はビットコインキャッシュでのみ購入が可能となっています。 Bitcoincashnotes.comは社会的企業だと自負しており、仮想通貨のP2Pシステムを用いて世界を変えることを最終的な目標としているようです。 「私たちは長期的にはこの紙幣が世界中の銀行口座を持たない30億人に経済的自由を提供するものに変化を遂げていくことを期待しています。しかし、現時点ではこの紙幣は銀行口座を持つ人にとっての小さな楽しみでしかありません。」 まとめ ビットコインを用いた紙幣は既に商品化されており、販売されていますが、ビットコインキャッシュの紙幣は初めての試みなのではないでしょうか。 世界中の銀行口座を持たない30億人に経済的自由を届けたいという企業理念を掲げる割に中国やバングラデシュなど銀行口座を持たない人が数多く生活する国には紙幣を配送しないという点にはツッコミたくなりますが、追々解決されていくことを信じたいところです。 数十円相当のBCHがロードされた紙幣に数百円を支払うのはコスパが良いとは決して言えませんが、友人にギフトとして送ってみると意外に喜んでくれるかもしれませんね。
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2019/04/16専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【4月16日】
どうも、みなさん、こんにちは。えむけん@BinaryMkent です。 前回の更新からBTCも一時形を崩してきましたね。しかし、そんな中でも比較的底硬そうな推移をしています。 前回の盛り上がりから若干ひと段落したところではありますが、次の大きな動きに備えるべく、今回もじっくり分析していきましょう! BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) 今回も、前回同様ログスケールを利用して分析を進めていきます。 前回記事では、白ラインを想定シナリオとしてお話しさせていただきましたが、その後底固い推移をしながら、高値周辺のチャネルを守りながら上昇していきました。 専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【4月6日】 - CRYPTO TIMES さて、前回更新後から一部ラインの修正などを行いましたが、依然ここからのロング(短期以外)については、RRもさほど優秀でないため、買い方に回るのであればもう少し様子を伺うべきでしょう。 具体的に言うと、スイング目線でのLを持つのであれば、白シナリオのような押し目(黄色レジスタンスのリターン)を作りにいってから・・・、が最も無難だと思われます。 ではこれらを前提に、中期チャートの分析に移りましょう。 BTCチャート(中期) 前回記事更新時には、4時間足でのパターン形成が確認できませんでしたが、前回記事でお話しした緑チャネル下抜け後の下げ止まりポイントから、このようなチャネルを形成していることが分かりました。 ですから、まずは「この4時間足のチャネルを下抜けるのかどうか?」に注目し、下抜けるようであれば、先ほどの長期分析でお話しした押し目(黄色レジスタンスのリターン)でスイング買い、下抜けないのであればそのまま再度高値トライ・・・という形で立ち回っていくのが妥当だと思われます。 さて、今回はこれらを踏まえた上で短期(1時間足)の流れについても確認してみましょう。 前回記事でお話ししたチャネル(緑)を下抜け、大きく下落するも再度持ち直しました。そして、この時の下げ止まりポイントから大きなチャネル(太)を基準に推移していることが分かりましたね。 つまり、現状4時間足のチャネル(太)を基準に推移しており、その中にさらに小さなチャネル(細)を2つ形成して推移しているわけです。 一つ目はチャネルを形成した後、チャネル上限を無視して高値を更新、そして徐々に白ウェッジへと転換していきました。 そしてその下抜け後、一気に下落。しかし、比較的早い段階で切り返し、現状大きなチャネルの下限周辺にて、比較的緩い角度のチャネルを形成して推移しています。 今回は、前回のシナリオ考察を引き継いで、具体的にどうやって立ち回っていくか?を考察してみました。 BTCチャートの総評 現状、この緑チャネル(太)を押しのけて再上昇していく可能性もありますし、これを下抜け、当初予想していた黄色ゾーンまで押し目を作りにいく可能性もあります。つまり、売りであれ買いであれ、比較的長期のポジションが取りづらい状況です。 ですから、1時間足の小さなチャネルを参考に短期トレードをしつつ、「4時間足の大きなチャネルを抜けるのか?それとも守るのか?」を観察、状況次第では短期ポジションをスイングまで引き伸ばして立ち回る・・・という動き方がベストだと思われます。 少し長くなってしまいましたが、次に仮想通貨市場のドミナンス分析を行いましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。 前回から大きく変わった点としては、「Others(その他)」のドミナンスが下落し、BTCならびにTetherのドミナンスが上昇している点でしょうか。 これだけで断定することは出来ませんが、全体的に一部アルトが利食いに向かっており、それらの利食いに伴ってBTC、もしくはTetherのドミナンスが上昇している可能性が高いと思われます。 特にOthersにまとめられるようなマイナー通貨には、リスクオン、リスクオフの動きが顕著に現れます。その前提を踏まえて考えると、現状はマイナーアルトの利確期(BTCorUSDT)、もしくは比較的出来高が安定しているメジャーアルトに資金が流れていると思われます。 ですから、ここから「さらに資金が抜けるかどうか?」はこの間にドミナンスが上昇しているETH、ADA、BCH(BCHABC)の推移がキーになると見ています。 当然、BTCの状況にもよりますが、ここで上記3通貨の状況が好転すれば、逃げていた資金が出戻りする可能性も考えられますし、そうなればBTCも再度高値トライする可能性が高くなってきます。 では、次に主要アルトコインの分析に移りましょう。 主要アルトコインの動向 特に気になるのはADA、BCHABC、EOS、LTCといったところでしょうか。どれもBTCと連動して動いている様子が伺えますね。 では早速、これらの主要アルトコインの推移を分析しながら、「ここからさらに資金が抜ける可能性はあるのか?」について分析していこうと思います。 ADA 2月頃に記事内にてご紹介して以降、かなり大きく上昇しましたね。そして現状は、大きく上昇した後の調整段階です。 恐らく、調整波内でパターン形成をしていないため、ざっくり「半値を守るかどうか?」というのが節目になってくると思われます。ここを守れず・・・となると、再度逆三尊ネックライン(1350sats)までは売り優勢の展開になってくるでしょう。 BCHABC 黄色ラインの直近高値を上抜け、BTC建てでの最高値を更新しました。その後、調整に入るも、「守るべきラインを守りつつ、レジスタンス上抜け」と、チャートとしては依然高値更新にも期待出来る展開です。 不安要素としては出来高の衰退ですね。BTCもどっちつかずな状況ですから、恐らく、まだしばらくは現在の価格帯にて停滞すると思われます。 つい、焦ってしまうような展開ですが、ここからの手出しはリスクも高いため、無理に飛び乗らず、ここからのパターン形成などを元に売買判断するのが妥当でしょう。 EOS 今回、BTCの上昇と一緒に上昇してきたEOSですが、ここ最近の推移を見た所、アルト市場におけるEOSの立ち位置が以前にも増して大きくなってきたように思います。 チャート的には、安値を基点としたチャネルを基準に推移しており、現状チャネル上限周辺にて、上ヒゲを複数回つけた後の高値更新できずといった状況で、若干の「上げ疲れ」が伺えますね。 総評(まとめ) 今回は、以前よりも若干深堀りしたため、少し長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?それでは最後にまとめに移りましょう。 BTCは大チャネルと小チャネルに注目 大チャネル下抜けで本格調整 →レジスタンスのリターン期待 EOS、ADA、BCHABCに注目 →資金抜けの参考に 今回はここまでにさせていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 現在、私えむけんが制作した初心者~中級者向けの有料note、『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です!今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/04/06専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【4月6日】
どうも、みなさん、こんにちは。えむけん@BinaryMkent です。 前回の更新からBTCが急激に上昇しましたね。市場の空気を一変するような上昇でしたから、さまざまなメディアにも取り上げられ、Twitterでもお祭り騒ぎになっていました。 さて、久しぶりに活気に満ちた仮想通貨市場ですが、今回もじっくり分析していこうと思います。ぜひ最後までお付き合いくださいね。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTCの長期チャートを分析していきましょう。今回もログスケールにて分析して参ります。 前回記事でもお話ししていたトレンド転換となりうる岐路、4200ドルを上抜けた後、 5000ドル周辺まで跳ね上げ、現在は黄色ライン、白ラインのレジスタンスライン周辺にて推移しています。 現在差し掛かっているレジスタンスラインをいずれ上抜けるとしても、急上昇を見せた直後ですから、長期チャートを見た限りでは、このように一時調整に転じると判断するのが妥当でしょう。 とはいえ、これだけでは情報量が足りません。これらの分析を元に、中期チャートも同様に分析していきましょう。 BTCチャート(中期) 4時間足で見てしまうと、ローソク足の少なさから分析がやや困難になってしまいます。ですから今回は1時間足にてお話しさせていただきます。 現状、日足基準のレジスタンスライン(黄色)周辺の白□にて推移しています。つまり、「上げるにしてもここで一度調整を挟むのでは?」というようなポイントです。 であれば、一時この価格帯でのパターン形成が濃厚になると判断し、このようなチャネルライン(緑)を引いてみました。 チャネル上限が三尊の肩部分として参考にされており、チャネル下限が三尊のネックラインとなっていますね。 恐らく今週末においては、この2本のラインを基準に推移していくと思われます。ですから、ここからはこの2本のラインを元に押し引きしていくのが妥当でしょう。 例えば、右肩でSが溜まりすぎていれば、その否定に伴って再度推進波に移行する可能性もありますし、ネックラインを下抜けたとしても現在の状況下であれば、「押し目待ちに押し目なし」のような、大きな下ひげをつけて再上昇してくる可能性も考えられます。 これらを元に、現状から考えられる展開を考察してみました。 BTCチャートの総評 今回も前回同様、こちらの1パターンのみのご紹介とさせていただきます。 もちろん、「現状の価格帯(白□)で一度調整転換する」という前提ではありますが、この前提通りに事が進んだ場合、恐らく押し目を待っているトレーダーも多いでしょうから、「黄色□周辺にて大きな下ひげをつけて、再上昇していくのでは?」と見ています。 下ひげをつけた後、日足チャートの節目でもある5900ドルを目指して上昇・・・。そして恐らく、多くのトレーダーがこの5900ドル到達を機に、現物などを一気に処分してくると思われます。 昨年11月から今日に至るまで、特に現物をメインに触ってきた方々にとってはかなり辛い期間だったことでしょう。ですから5900ドル到達以降はこの節目で売りたい人も多く、その分上値も重たくなってしまうのでは?と思われます。 つまり、「5900ドル到達後に押し目を作れるか?こそ、今後の仮想通貨市場における岐路である」というのが私なりの見解になります。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。 それでは、次にドミナンス分析に移りましょう。少しアップデートされてそれぞれの数値が見やすくなりましたね。 さて、4月に入ってからの大きな変化としては、BTCとBCH(BCHABC)が急上昇している点でしょうか。そしてそれらの上昇とは逆に、OthersやETH、XRPのドミナンスが下降しています。 これは、BTCがアルト市場から資金を吸い上げている状態であることを指し、またこのような状態を「アルトドレイン」と呼びます。過去、BTCが急上昇を見せた際にも、同様のアルトドレインが見られました。 そして現状、アルトドレイン後に割安となってしまったアルトコインに対して資金が出戻りしている状態ですね。 このようなアルトドレインから、もし今後アルトコインを攻めていくのであれば、リスクを軽減するためにもドル建てで攻めていくのが無難だと思われます。 では次に、主要アルトコインの動向を見ていきましょう。 主要アルトコインの動向 こちらからも、主要アルトらがBTCの急上昇直前(黄色ライン)に利食い転換し、資金が最終的にBTCに集中していった様子が伺えますね。前回記事で要注目とご紹介させていただいたXMRについても、急上昇後一気に売り浴びせられ、元の価格帯へと戻ってしまいました。 そして現状、アルトから抜けた資金が再び戻り、多くの通貨がリバウンド推移を見せています。 現状から、「アルト市場内で再び資金循環していくのか?」は判断できかねますが、BTCが押し目を作り再上昇となると、仮想通貨市場から抜けていた資金の出戻りも考えられます。つまり、市場に流れる資金の総量が底上げされる可能性が高いということです。 とはいえ、再度アルトドレインへと流れが傾く可能性も十二分に考えられます。ですから先にもお話ししたように、アルトを攻めるのであればUSDT建てで攻めるというのが最も妥当な立ち回りかと思われます。 総評(まとめ) 今回は、現状の地合いが不安定かつ不明瞭というのもあり、個別アルトコインに対する考察は控えさせていただきました。それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは現状のチャネルを基準に調整転換の可能性 レジスタンスの上抜け後は5900ドルが節目 5900ドル到達で一気に資金が抜ける可能性大 アルトドレインに要警戒。攻めるならUSDT建てを 今回はここまでにさせていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 現在、私えむけんが制作した初心者~中級者向けの有料note、『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です!今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/04/05Bitwiseによる「BTC取引ボリュームの95%は偽装されている」SECへの調査報告書まとめ
大手暗号資産データプロバイダーのCoinMarketCapでビットコインのチャートを確認すると、今年3月のデイリーボリュームは80~100億ドルほどとなっています。 しかし、暗号資産マネジメント業者のBitwise(ビットワイズ)によれば、この取引量の約95%は経済的価値を生み出さない偽取引によってかさ増しされているといいます。 一方、偽取引を除外した市場は実はとても健康的で、正当な取引所は効率の良い市場展開を行なっているということも報告されています。 こちらのページでは、ビットワイズがSECに提出した226ページにわたる同調査のエッセンスを抽出し、わかりやすく解説していきたいと思います。 BTC取引ボリュームの95%は偽物 ビットワイズの調査によると、CoinMarketCapに報告されているビットコインのデイリー取引ボリュームの95%は経済的価値のない取引でかさ増しされているといいます。 経済的価値のない取引とは、同額を機械的に交互に売り買い(つまりプラマイゼロ)したものを指し、多くの取引所はこのテクニックを利用して取引量を自動的に増やしているというのが今回の調査の重要なポイントのひとつです。 [caption id="" align="aligncenter" width="715"] 3月24日時点でのBTCマーケットの取引所ランキング | CoinMarketCap[/caption] 偽装された取引ボリュームの見分け方 ビットワイズは、取引データの「不自然なパターン」の有無を元に各取引所がかさ増しを行なっているかどうかを判断しています。 調査報告書では、米取引所であるCoinbase Proが健全な取引所の例として挙げられています。Coinbase Proは以下の4つの理由で健全と判断されています。 売買の価格を示す「板」のパターンがランダムである Coinbase Proの板を見ると、売り(赤)と買い(緑)の注文数は均等ではなく、出現パターンもランダムになっています。一方、ビットワイズが危険視した取引所・CoinBeneの板は以下のようになっています。 見てわかる通り、CoinBeneの板は売り買いが綺麗に交互に並んでいます。ビットワイズによれば、これは自然には起こりにくい現象であるといいます。 また、CoinBeneではこの売り買いペアが同時刻に注文されており、かつ注文量もほぼ同じである点もとても怪しいです。 注文枚数に幅・キリの良い数字がある 例に挙げられたCoinbase Proの取引履歴を確認すると、各取引量は0.0017~1.00ビットコインと少額から高額まで幅広いレンジがあることがわかります。 また、0.10、0.60、1.00のようにキリの良い枚数(=人間が処理しやすい数字)がトレードされていることも注目に値します。 一方、CoinBeneの取引履歴には少額取引がほぼ存在せず、キリの良い数字も一切見られません。 取引量がランダムに動いている 上の画像はCoinbase Proの5分ごとの取引量を表しています。かさ増しが行われていないとみられる取引所では、取引量も相応に上下することがわかります。 一方、ビットワイズから危険信号の出ているRightBTCでは、取引量がほぼゼロとなっている時間帯が複数存在します。 同様にかさ増しが見られるCHAOEXでは、取引量が不自然なことに常に一定となっています。 企業規模を元にした分析 CoinBeneはデイリーボリューム4.8億ドル(Coinbaes Proの18倍)を記録する「世界最大のビットコイン取引所」とされています。 しかし、上の画像の統計をチェックすると、検索数やコミュニティがCoinbase Proよりも圧倒的に小さいことがわかります。 さらに、CoinBeneのスプレッドはCoinbase Proの0.01ドルに対し34.74ドルとなっています。「世界最大の取引所」であるはずの市場でこれだけスプレッドが広いのは怪しい点です。 セーフな取引所・アウトな取引所は? ビットワイズは、正当な額の取引量を報告していると見られる取引所として以下の10社を挙げました。 一方、上項のパターンを元にビットワイズが「市場操作をしている」と判断した取引所には以下が挙げられています。 OKEx CoinBene IDAX LBank BitForex Exrates BitMart ZBG CoinTiger SIMEX Coinsuper Bit-Z BTC市場は実際のところとても健康? ビットワイズの調査のもうひとつの大事な点は、偽造された取引量を除外すると暗号通貨市場はとても健康な市場である、という点です。 以下の画像では、金およびビットコイン(かさ増し取引を除外したもの)それぞれの市場総額、スポットボリューム、ターンオーバー率がまとめられています。 偽の取引量を除外したビットコインのスポットボリュームは約2.7億ドルとなっており、1日あたり市場総額(700億ドル)の0.39%(ターンオーバー)が取引されていることがわかります。この値は金の例と似ています。 一方、スポットボリュームがCoinMarketCapなどで表示されている値(約60億ドル)であると仮定すると、ターンオーバーは8.6%ととてもあり得ない(あるいは危ない)値になってしまいます。 また、上の画像では健全な取引高トップ10に入る取引所のBTC価格が表されていますが、全てほぼ重なっていることがわかります。 これはつまり、BTC市場ではアービトラージがとても効率よく行われている(ビットコインの価格がメジャーな市場で全て統一されている)ということになります。 まとめ 当記事はビットワイズ社がSECに提出した200ページ以上にわたる調査のエッセンスを抽出したものです。実際の調査報告書はこちらから閲覧することができます。 同調査の重要なポイントは、BTCデイリーボリュームの95%がかさ増しトレードによって偽造されている、ということでした。 このかさ増しは取引板や注文数、出来高、スプレッドなどを観察することで見破ることができ、メジャーな取引所より高い取引量を報告しているところは検索数やコミュニティの規模なども見ていくべきということでした。 一方、こういったかさ増しトレードを除外したデータによれば、ビットコイン市場はとても健全に成長しているということも同調査から明らかになりました。 配当型取引所トークンの時代が終わり、IEOビジネスが人気を集めつつある今、新参取引所を正しく評価する方法として同調査のことを覚えておくと良いでしょう。 記事ソース: Bitwise Asset Management
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2019/04/04CoinHive事件とは?経緯や問題点、裁判における主張などを徹底解説!
Coinhive(コインハイブ)というプログラムを自身のサイトに設置し、不正指令電磁的記録保管の罪に問われた男性の裁判で、先月27日、横浜地裁によって無罪判決が下されたのをご存知でしょうか? こちらの記事では、Coinhive(コインハイブ)事件はどのようにして起こったのか、何が問題だったのかなどについて、分かりやすくまとめています。 Coinhive(コインハイブ)という言葉を聞いたことはあるものの、結局何のことなのかわかっていない、そんな方はぜひこの記事を最後まで読んでいただければと思います。 そもそもCoinhiveとは? Coinhive(コインハイブ)とは、サイトの運営者が、そのサイトの閲覧者に仮想通貨をマイニングさせ、収益を得ることのできるツールです。 HTMLにJavaScriptコード埋め込むことで、そのサイトを閲覧した人のパソコンのCPUを動かし、仮想通貨Monero(XMR)をマイニングします。 JavaScript プログラミング言語の1つ。名前は似ていますが、Javaとは全く異なるプログラミング言語です。 そして、そのマイニングによって得られた仮想通貨Monero(XMR)の7割がサイト運営者に、3割がCoinHiveの運営に送られるのです。 Coinhive(コインハイブ)は、Webサイトに広告そのものが表示される従来の収益システムとは異なり、サイト運営者がサイト上に広告を表示することなく、そのサイトの閲覧者から直接的にリアルタイムで収益が得られるというもので、大きな注目を集めていました。(現在はサービスを終了しています。) では、一体なぜ、このような新しい収益システムを自身のサイトに取り入れた男性は罪に問われたのでしょうか。以下で詳しく解説します。 CoinHive事件はなぜ起こった? 事の発端は2017年9月下旬、ウェブメディアの記事を読みCoinhive(コインハイブ)の存在を知ったウェブデザイナーの男性が、自身のサイトのJavaScriptコードを書き加え、Coinhive(コインハイブ)を設置したことでした。 男性は、Coinhive(コインハイブ)を1カ月間ほど設置していましたが11月下旬、とあるエンジニアから「運用にはサイト閲覧者の同意が必要ではないか」との指摘を受け、その後Coinhive(コインハイブ)をサイトから削除していました。 ところが、それから3ヶ月後の2019年2月上旬に神奈川県警が男性の自宅を家宅捜索し、3月28日に横浜地検が不正指令電磁的記録取得・保管の罪で略式起訴、横浜簡裁が罰金10万円の略式命令を出したのです。 当時、Coinhive(コインハイブ)は従来の広告の代わりとなる新しい収益システムとして注目される一方で、ユーザーのパソコンのCPUを許可なく使用するマルウェアであると問題視する声も出ていました。 CoinHive事件の流れ CoinHive事件が法廷で争われるに至ったのは、横浜簡裁が出した罰金10万円の略式命令に対し、男性が不服として正式裁判を請求したためです。 ぼにふぁ 略式命令とは、簡易裁判所が公判を行う前に検察官の出す書面で審理を行う裁判手続のことです。 男性が略式命令を不服としなければ、罰金10万円を支払ってそのままCoinHive事件は終わっていたというわけです。 そうして、2019年1月9日から横浜地裁で裁判が開かれ、争われることになりました。 男性が問われた不正指令電磁的記録保管罪とはどのような犯罪なのでしょうか?以下で確認していきます。 不正指令電磁的記録保管罪とは? 男性が、2018年3月28日の略式起訴の段階から問われていた罪が、「不正指令電磁的記録保管罪」(刑法168条の3)、通称ウイルス罪というものです。 ひとまず条文を確認しよう! 刑法168条の3 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 つまり、不正指令電磁的記録保管罪は、 正当な理由がないのに、 人の電子計算機における実行の用に供する目的で、 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず(反意図性)、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録(刑法168条の2第1項第1号)(不正性)、もしくは同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録(同項第2号)を 保管した 場合に成立するということになります。 そして、法定刑が二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金と定められています。 ぼにふぁ 難しい単語が並んでいて分かりにくいですが、、、 裁判では主に、CoinHiveが条文に定められている不正指令電磁的記録の要件の「反意図性」と「不正性」を満たしているかについて主張・立証されました。 ウイルス罪の曖昧さ 昨今、兵庫県警サイバー犯罪対策課が、不正指令電磁的記録供用未遂の疑いで、JavaScriptを使った無限ループプログラムのURLを掲示板に書き込んだ男性2人を書類送検し、13歳の女子中学生を補導したというニュースが報道され話題になりました。 エンジニアの中では、いたずらURLを貼っただけで摘発されるため、その根拠を疑問視する声が上がっていました。 また、昨年6月に仮想通貨のマイニングツールについての注意喚起を掲載し「マイニングツールを閲覧者に明示せずに同ツールを設置した場合、犯罪になる可能性がある」としていました。 マイニングツールの設置を閲覧者に明示せずに設置した場合、犯罪になる可能性があります。また、マイニングツールが設置されたウェブサイトにアクセスすると、パソコンの動作が遅くなることがあります。ご注意ください。https://t.co/GLl7GSzKqo — 警察庁 (@NPA_KOHO) 2018年6月14日 ぼにふぁ ただこの時も、ユーザーに無断でCPUに負荷を与えるとすれば、Web広告も同様であると批判が寄せられていました。 裁判における争点と双方の主張は? CoinHive事件の裁判で、争点となったのは以下の3点です。 CoinHiveは不正指令電磁的記録に該当するか 実行の用に供する目的があったといえるか 故意があったといえるか 故意 犯罪を犯す意思のこと。刑法168条の3の場合、過失犯が処罰されないため、故意がなければ罰せられることはありません。(刑法38条1項但書) 以下では、裁判で行われた双方の主な主張についてまとめています。 検察側の主張 検察側は、「反意図性」と「不正性」が認められ、CoinHiveが不正指令電子的記録に該当するとし、罰金10万円を求刑しました。 まず、男性がCoinHiveを設置したサイトには、マイニングについて同意を得る仕様にはなっておらず、閲覧者はマイニングされていることに気づかなかったと指摘、また閲覧者のCPUを20%使用し、PCが遅くなったりと、閲覧者の意図に反していると主張しました。 また、「実行の用に供する目的」の有無については、「利用者が実行しようとする意思がないのに実行され得る状態に置くこと」をいうとした上で、「閲覧者がマイニングする意思がないことは明らかだった」と述べました。 なお、「故意」についても、「未必的には故意を認識していた」としました。 未必の故意 犯罪事実の確定的な認識・予見はなくとも、それが実現されるかもしれないことを認識・予見している場合のこと。 弁護側の主張 一方で弁護側は、不正指令電子的記録の要件である「反意図性」と「不正性」を満たさないとし、無罪を主張しました。 ユーザーはウェブサイトを閲覧する際に、自分のPC上で知らないプログラムが動くことを想定した上で閲覧していると主張し、「コインハイブはユーザーの計算機を壊したり、情報を勝手に抜き取るものではなく、単に計算をおこなうに過ぎない。計算によって負荷がかかるのは全てのプログラムに共通することだ。」と反論しました。 また、男性はCoinHiveをウイルスと思っていた訳ではなく、「実行の用に供する目的」や故意の要件も満たしていないと主張しました。 また、証拠書類としてGoogle翻訳されたページなどが提出されており、検察側の杜撰(ずさん)な捜査や立証の批判も行いました。 判決 横浜地裁の本間敏広裁判長は2019年3月27日、男性に対し無罪を言い渡しました。 判決では、男性がCoinHiveを設置した際に閲覧者に同意を取る仕組みを設けなかったことから、反意図性を認め、人の意図に反する動作をさせるべきプログラムであるとしたのです。 しかし、CoinHiveについて「不正な指令を与えるプログラムに該当すると判断するには合理的な疑いが残る」とし、不正性を満たさないことから、不正指令電子的記録に該当しないと結論付けました。 CoinHive事件を受けて今後どうなる? CoinHive事件を受けて、今後の社会にどのような影響が出てくるのかを見ていきましょう。 CoinHive事件がもたらす影響 判決では、「警察などの公的機関による事前の注意喚起や警告がないのに、いきなり刑事罰に問うのは行き過ぎの感を免れない」と、警察・検察に苦言を呈するところがありました。 最近起こったニュースでも、JavaScriptの無限ループを発生させるスクリプトを貼ったことで中学生が補導されたことも記憶に新しいです。 しかし、今回の判決は、他のJavaScriptにまつわる事件が裁判になった場合でも、無罪になり得ることを示します。 ただ、いずれにしても、不正指令電磁的記録(ウイルス)に関する罪の適用範囲がはっきりとしない今、JavaScriptを使った無限ループプログラムのURLを掲示板に書き込だりするのは控えておきましょう。 4月10日横浜地検が控訴 4月10日、横浜地検が男性に無罪を言い渡した横浜地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴したことが弁護士ドットコムニュースによって報じられました。 上級審で争われることで、不正指令電磁的記録に関する罪の適用について、より統一的で影響力のある判断が下されることになります。 しかしながら、現在、控訴理由などを記載し控訴裁判所に提出する控訴趣意書が出ていないため、横浜地検がどの点について反論しているのかは明らかになっていません。 なお、最高裁判所への上告は、憲法違反や判例違反等の上告理由を満たしていなければ原則として棄却されるため、次の東京高裁の判決で確定する可能性も十分にあります。 最高裁への上告制限 最高裁判所への上告は、その上告理由を憲法違反や判例違反等に制限されています。 控訴が明らかになった直後、被告人の男性は自身のTwitterで以下のようなツイートをしていますが、その後控訴審に向け引き続き頑張る旨のツイートもしています。 残念ながら、控訴されてしまったようです — モロ (@moro_is) 2019年4月10日 インターネット上では被告人らを応援する声が多く上がっており、今後東京高裁で行われる裁判について多くの注目が寄せられています。 2月7日東京高裁で逆転有罪 2020年2月7日、東京高裁で開かれたコインハイブ事件の控訴審で、栃木力裁判長は第一審を破棄し罰金10万円の有罪を言い渡しました。 栃木力裁判長は、「プログラムはサイトを見た人に無断でパソコンの機能を提供させて利益を得ようとするもので、社会的に許される点は見当たらない。プログラムによってサイトを見た人のパソコンで電力が消費されるといった不利益が認められる」と指摘しました。 その上で、「コンピューターウイルスとは使用者のパソコンを破壊したり、情報を盗んだりするプログラムに限定されない。今回のプログラムはウイルスに当たる」と判断しました。 第一審で無罪となっていたが故に、ネット上では驚きの声が上がっています。 【速報】コインハイブ事件の控訴審で2月7日、東京高裁はウェブデザイナーの男性に対し、一審横浜地裁の無罪判決を破棄し、罰金10万円を言い渡しました。https://t.co/6f5UFjObE2 #Coinhive — 弁護士ドットコムニュース (@bengo4topics) February 7, 2020 CoinHive事件のまとめ 今回は、CoinHive事件について解説してきました。 警察のずさんな捜査、そして略式命令に立ち向かい、正式裁判によって白黒をはっきりと付けたことは、今後の不正指令電磁的記録(ウイルス)に関する罪の適用範囲の明確化などに非常に意味のあることだと思います。 不正指令電磁的記録(ウイルス)に関する罪の適用範囲が曖昧であれば、日本の技術者が様々なプログラムを公開するのをためらうなどの萎縮効果が生まれ、ひいては日本の技術の進歩にまで影響が出かねません。 今後、不正指令電磁的記録(ウイルス)に関する罪が適切に運用されることることを切に願うばかりです。 ぼにふぁ 以上、ぼにふぁ(@bonifasan)でした。ご覧いただきありがとうございました。 記事ソース: 仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話、弁護士ドットコムNEWS