コインベース、世界各国に事業を展開 | 米撤退の可能性も検討か

コインベース、世界各国に事業を展開 | 米撤退の可能性も検討か

大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)が米国からの撤退に関して、可能性がゼロではないことを示す内容を同社CEOのブライアン・アームストロング氏が述べたことが各メディアによって報道されました。

そんな中、同社は米国以外でグローバルな展開に関する進捗を公開。シンガポール、ブラジル、カナダ、UAE(アブダビ)、バミューダ、EUの6つのエリアにおける事業の展開についての最新情報を明かしました。

シンガポールでの取り組み

暗号資産企業が多く拠点を構えるシンガポールにて、Coinbaseはユーザーがどの銀行を使用してもCoinbase口座との間で資金の送金が可能となる機能を今年3月に実装したと報告しています。

また、シンガポール在住のユーザーが利用しているパスワードツール「Singapass」にも対応したことで、よりプラットフォームへのアクセスが容易になったとしています。

ブラジルでの取り組み

Coinbaseはブラジル中央銀行が運営するインスタント決済プラットフォームPixと連携し、ブラジルの通貨”レアル”にてCoinbase口座での入出金を可能としました。

アプリでの現地言語対応や24時間365日間サポート機能の搭載により、オンボーディングの改善が行われたとしています。

今年1月にBinanceがMastercardと協力し、BTCやBNBでの支払いが可能となる「Binance Card」を同国内で発表するなど、暗号資産領域における重要なマーケットとしてブラジルは世界で認識され始めています。

カナダでの取り組み

Coinbaseは、カナダ首都オタワを拠点とするカナダチームのディレクターとして、Shopifyやカナダ大手金融機関での経験を持つLucas Matheson氏を採用。さらに、200人以上のエンジニアを擁するテックハブを構築したとしています。

未登録の暗号資産取引プラットフォームがカナダ国内での営業に関して承認申請期間中に取り決めの遵守を約束する内容が記載された文書「Pre-Registration Undertaking(PRU)」に関しても、同社はすでに署名を行うなど、積極的な取り組みを進めています。

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UAE(アブダビ)での取り組み

UAE首長国の1つで、人口約1140万人を抱えるアブダビでは、Coinbaseは金融サービス規制庁(FSRA)と規制対象取引所のライセンス取得の可能性について協議を行っているとしています。

今年2月には、Web3分野の新興企業を支援するために20億ドル規模のイニシアチブプログラムが開始されるなど、アブダビでのWeb3領域への取り組みが進んでいます。

バミューダでの取り組み

北大西洋にある英海外領土のバミューダでは「Coinbase Bermuda Ltd.」がバミューダ通貨庁(BMA)からデジタルアセットビジネス法に基づくクラスFライセンスを取得しました。

同国では、2018年にデジタル資産ビジネス法 (DABA)が制定され、国内のデジタル資産事業をに関して特定期間のみのライセンスが有効となる”クラスM”と、期間の制限がない(*BMAの制限を受ける可能性はある)”クラスF”の2つの資格が存在。

上記規則の中でクラスFのライセンスを獲得したCoinbaseは、バミューダについて「2018年に包括的なデジタル資産規制を可決した最初の金融センターの1つであり、その規制環境は高いレベルの厳格さ、透明性、コンプライアンス、協力で長年知られている」と述べています。

EUでの取り組み

EU、特にイギリスに注力していることを明かしたCoinbaseは、CEOのブライアン・アームストロング氏がジョージ・オズボーン英前財務大臣とともに講演を行うなど、積極的な交流を実施。

イギリスの成人が暗号資産に対して高い関心を寄せている点などに注目する同社は、アンドリュー・グリフィス経済長官兼シティ大臣やイングランド銀行、金融行動監視機構などとの会談を行ったとしています。

また、先日、EUでMiCA(=EU全体に適用される暗号資産の規制に関するフレームワーク/法案)が採択された件に関しても「この地域の暗号資産分野にとって極めて重要な瞬間」と述べています。

関連:Coinbase(コインベース)「英国に注力」

まとめ

今年2月、米国証券取引委員会(SEC)が仮想通貨取引所Krakenのステーキングプログラムに関して”証券法に違反している可能性がある”として起訴を行っていた件に関して、Kraken側が3000万ドルの罰金の支払いと米顧客に対するオンチェーンステーキングサービスの提供を終了したことで両者は和解しました。

関連:仮想通貨取引所Kraken、証券法めぐる起訴でSECと和解 | 米でのステーキングサービス終了へ

そんな中、今年3月下旬、米国証券取引委員会(SEC)は証券取引法違反の可能性があるとして、執行措置を取る可能性を示す書簡(Wells Notice)をCoinbaseに送付し、業界で大きな話題を呼びました。

関連:コインベース、SECよりWells Noticeを受け取ったと発表

2023年4月18日に行われた審査会で、SEC議長のゲーリー・ゲンスラーが、イーサリアムトークン(ETH)が証券か否かについて数度質問されたものの、明確な回答を避けるなど、米国では暗号資産に対する規制整備に関して不安定な状態が続いています。

香港では先日「香港Web3.0協会」と「Web3Hubファンド」が設立され同機関にTikTok運営会社副社長や政府機関が参加するなど、国をあげてWeb3事業への取り組みが進められています。

日本においては、2023年5月19日から21日にかけて広島で実施予定のG7サミットにて、仮想通貨やステーブルコイン等の規制に関する話題が議論される見込み。

今後のクリプト領域における世界各国の動向に注目が集まります。

記事ソース:CoinbaseOFFSHORE LICENSEc-span

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