【PolkaAMA Week 第2弾】『Phala Network』概要や特徴、AMAの内容をQ&A形式で解説
ユッシ
Polkadotの関連プロジェクトの「Phala Network」はPolkadotやKusamaのParachain Offeringに参加予定の注目プロジェクトです。
本記事では、先日Phala共同創設者のMarvin Tong氏を交えて行われた『PolkaAMA Week hosted by CRYPTO TIMES』のAMAの内容を元にPhala NetworkについてQ&A形式で解説していきます。
Phalaに関する日本語の情報を探している方はぜひ本記事を最後まで読んでみてください。
当日のAMAの内容はこちらのYoutubeより確認が可能です。
目次
- 1 Phala Networkの概要
- 2 Phala NetworkのAMA
- 2.1 Q1. Phala Networkはどのようなプロジェクトなのですか?
- 2.2 Q2. Phalaはどんな問題を解決できるのですか?
- 2.3 Q3. なぜPolkadotを使ってプロジェクトを始めることにしたのですか?
- 2.4 Q4. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はありますか?
- 2.5 Q5. 日本の印象はどうですか?今後のターゲット市場になると思いますか?
- 2.6 Q6. プライバシー保護は世界的に見ても、まだ議論がたくさんされています。その中でも段階的なプロセスを踏みながら、立法やコンプライアンスの点から始めなければいけないかと思います。Phalaの高度な技術的手段は、これらのプロセスを踏む上での摩擦を減らし、より効率的で徹底的なプライバシー保護のソリューションへと繋げることはできますか?
- 2.7 Q7. プライバシーに特化したブロックチェーンは多くありますがこれらのプロジェクトとPhalaの違いやアドバンテージは何でしょうか?(その1つとしてPolkadotのクロスチェーンソリューションを使うことが考えられますがこれは当てはまりますか?)
- 2.8 Q8. どこかでPhala Networkでシークレット・スマートコントラクトを利用するとKeyが管理しやすくなると書かれていました、これに関して教えて下さい。
- 2.9 Q9. 現在のブロックチェーンでは秘密鍵の管理が乱雑でUXが非常に悪いことも多いですが、シークレット・スマートコントラクトを利用すればUXが良いアプリも作れるようになるのでしょうか?
- 2.10 Q10. Phalaが開発したWeb3 Analyticsはどうやって使うのですか?Google Analyticsとの違いも教えてください。
- 2.11 Q10. 長期的に持続可能なプロジェクトとして、PHAトークンの将来的な価値をどのように維持し、どのように成長していくと考えていますか?
- 3 まとめ
Phala Networkの概要
Phalaの概要
ティッカー/通貨名 | $PHA/Phala Network |
---|---|
共同創設者 | Hang Yin, Marvin Tong, Zhe Wang, Jun Jiang |
主な提携先 | Huobi Global、MXC、Uniswap(v2) |
時価総額 | 34億89,61万円 |
特徴 | Polkadotエコシステムにおいて、TEEを利用した秘匿技術を搭載したシークレットスマートコントラクト搭載のブロックチェーン |
公式リンク | Webサイト |
Telegram | |
Medium | |
Github |
Phala NetworkはSubstrateベースで作られた機密型スマートコントラクトブロックチェーンで、企業とユーザーに対して機密計算やデータ保護サービスなどを提供することが目的のプロジェクトです。
PhalaはWeb3 Analytics 、DarkPool & Dark Wallet 、pLibraの3つの主要プロダクトを手掛けています。
Phala NetworkのAMA
今回のAMAにはPhala NetworkのMarvin Tong氏が参加してくれました。
追記:上記の写真はPhala公式サイト上のプロフィール画像であり、上記デザインの理由はPhalaがプライバシーに特化したプロジェクトだからだと推察されます。
Q1. Phala Networkはどのようなプロジェクトなのですか?
PhalaはSubstrateベースの機密型スマートコントラクトブロックチェーンです。
Phala Network上では機密保持とプライバシー優先のブロックチェーンアプリを開発することができます。
PhalaはPolkadotのParachainとなり、他のプロジェクトのプライバシー維持のためにかかっているCPUを解放し、すべてのブロックチェーンに機密保持機能を提供します。
ちなみに、Phalaをベースにしたアプリケーション「pLibra」「Web3 Analytics」は、web3 Foundationからの助成金を獲得しました。
我々は「プライバシーの保護」という概念を「機密情報の保護」にまで広げ、ユーザーの取引だけではなくスマートコントラクト内のすべての機密データが漏洩しないようにしたいと考えています。
現在のスマートコントラクト技術ではすべてのデータを開示しなければならないので、Ethereumのチューリング完全スマートコントラクトのように機密データを公開せずに一般的な計算が可能な「コンフィデンシャル・スマートコントラクト」になることを目標としています。
Q2. Phalaはどんな問題を解決できるのですか?
Phalaの機能は”伝統的な”ブロックチェーンではなく、一般化されたコンピューティングサービスをターゲットとしています。
つまり、既存のブロックチェーンのユースケースに限定するのではなく、インターネットサービスやその他の計算タスクなどより幅広いニーズに対応しようとしています。
透明で分散化されたクラウドは、その実行者(私たちの場合は、オープンソースで監査可能なPhalaの「オペレーティングシステム」を実行しているゲートキーパーと作業員)が、証明可能な方法でユーザーのワークフローやデータを改ざんされないことを保証します。
Google、Alibaba、Microsoftなどの競合他社は、サーバーが中央集権型で管理されているため上記のような特性を持つことはできません。
そのため、Phalaはこれらの競合他社を買収し大きな可能性を秘めた真のプライバシー保護型クラウドを実現できると確信しています。
Q3. なぜPolkadotを使ってプロジェクトを始めることにしたのですか?
私達がPolkadotを利用しているのには4つの理由があります。
まず1つ目に、私たちの起業家精神の目標が「ブロックチェーンに所有権のレイヤー機能を提供する」ということだからです。
上記の前提の上、我々には次の3つのオプションがありました。
- 自分でパブリックチェーンを構築する
- パブリックチェーンに基づいてサイドチェーン/ L2を構築する
- アプリケーションをビルドする
私達は2つ目の方法を選択しました。なぜならこの方法でのみ、ターゲット顧客を獲得しながらサービスを提供できるからです。
そして、Polkadotを選んだ2つ目の理由が、EOS、Ethereum L2、Cosmos、Polkadotの中で、Polkadotが最も技術的および経済的設計の面で進んでいることが分かったからです。
私達は2019年の初めにPolkadotを選択しました。そして2年が経過した今、私たちの選択が正しかったことが証明されています。
3つ目の理由は、Substrate自体が重要なツールであり、チェーン開発の反復作業を大幅に短縮することが可能なために開発者を自分達のビジネスに集中させることができるからです。
最後の理由は、PolkadotにはWeb3 Foundation、Parity、およびGavinなどの多くをサポーターがいるからです。
他のどの財団もテクノロジーの継続的かつ主要な変革を達成することはできません。
しかし、彼らは戦略立案に長けており、開発者に寛大であり、常に優れたチームを掘り起こします。チーム間の違いは、エコロジーサポーターに市場操作への自信を与えます。
Q4. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はありますか?
Parachain Offeringは40億ドル規模、年率20%というイベントなので、市場へのFOMOになると思います。
これはおそらくクレイジーに盛り上がるでしょう。(是非、下記をチェックしてください)
・https://forum.phala.network/t/phala-ipo-strategy-on-polkadot-parachain-slots-auction/1083
・http://parachain.live/
リストの上では他にも大きなプロジェクトが待っていますがPhalaはKusamaおよびPolkadotの両方でスロットを獲得できるでしょう。そのためにもPhalaは包括的な準備をしています。
まず、Phala Networkのプレメインネットとメインネットは、莫大な費用をかけてKusama&Polkadotスロットオークションの準備をしています。
私たちは自分たちの事業能力、資金、市場管理、およびオークション戦略を信じており、もちろんこれはPolkadotコミュニティのサポートと認識からは切っても切れません。
Rococoチームはすでに下記のようにテストを行うプロジェクトを発表しており、今後は順不同でテストが行われていきます。
- ・2番目のバッチ:KiLT InterLay(2021年1月18日の週)
・3番目のバッチ:Darwinia、Phala、Crust、HydraDX
・4番目のバッチ:Bifrost、Starks Network、Clover、Zenlink
Phalaはスロットを獲得した場合の報酬としてPHAの一部を配布します。これは、オークションでPhalaをサポートする投資家の意欲を高めるために使用されます。
PhalaはこれらのことからParachain Offeringで良い結果が得られると信じています。
Q5. 日本の印象はどうですか?今後のターゲット市場になると思いますか?
日本のポリシーは暗号通貨に非常に厳しいですが、それは暗号通貨市場をよりコンプライアンスに徹底したものにできるので良いことだと考えています。
そして、私たちは日本を大いに評価しています。また、日本の投資家や開発者もPhala Networkに期待を寄せてくれることを願っています。
ちなみに、Plasmは親交のあるプロジェクトです。彼らは日本のプロジェクトですが、Polkadotにフォーカスしてますよね。あと、SoraなんかもPolkadotにフォーカスしていますね。
Polkadotのコミュニティは日本でも大きく成長していくと思うので、ポテンシャルとチャンスを持っていると思います。
Q6. プライバシー保護は世界的に見ても、まだ議論がたくさんされています。その中でも段階的なプロセスを踏みながら、立法やコンプライアンスの点から始めなければいけないかと思います。Phalaの高度な技術的手段は、これらのプロセスを踏む上での摩擦を減らし、より効率的で徹底的なプライバシー保護のソリューションへと繋げることはできますか?
まず前提として私は、保護されるべきプライバシーの権利には下記の4つがあると考えています。
- 1. 金銭的なプライバシーの権利
2. データのプライバシーの権利
3. 言論のプライバシーの権利
4. 物理的な世界で監視されない権利
Orchidは4つ目について解決でき、Dimensionの目標は3と4、私達Phalaの目標は1、2です。
そして私達は2つ目のデータのプライバシーの権利について特に注目しています。
ビッグデータの時代、データは爆発的に増えていますが、データの保存は大企業に対する信用に依存しています。
そんな中で下記のような問題点が発生していますよね。
- ・アカウントをたくさん登録していくと、嫌がらせ電話や詐欺に私たちのID番号や電話番号が利用される
・人工知能機能の成長に伴い、私たちの顔写真が機械学習を行うために多くの企業のデータベースに組み込まれていることが分かったが、これらのデータはロックを解除し、身元を確認するための「ブロイラー」としても使用されてしまう
・(上記のような犯罪行為ではないが)インターネット企業があなたの行動習慣を研究するためにあなたのデータを使用して、それを元に企業がさらにお金稼ぎをする
これらは、個人のプライバシーの観点からの事例であり「ビジネスデータの転送によって企業の機密性が守られない」というさらに大きな規模のケースも存在します。
このような問題に対して実際に様々な国でプライバシー権の保護に関して大規模に改善し始めています。そしてこれにはブロックチェーン技術が不可欠です。
Q7. プライバシーに特化したブロックチェーンは多くありますがこれらのプロジェクトとPhalaの違いやアドバンテージは何でしょうか?(その1つとしてPolkadotのクロスチェーンソリューションを使うことが考えられますがこれは当てはまりますか?)
-Phalaとその他のブロックチェーンとの違いについて-
PhalaはSubstrateをベースにしたTEE-ブロックチェーンハイブリッドアーキテクチャです。
しかし、これまでのところすべてのTEEプロトコルは、コンポーザビリティと相互運用性を欠いています。
コンポーザビリティと相互運用性はEthereumのDeFiエコシステムの最も重要な前提条件です。
Phalaでは創造的な設計により、コントラクト間の比較可能性と相互運用性を兼ね備えたブロックチェーンを完成させました。
-Phalaのアドバンテージについて-
Phalaは、ビザンチン将軍問題に基づいていないトラストレスなハードウェアによって保証されていますが、電源を切るとハードウェアが機能しなくなることから、単一のハードウェアは可用性(システムが継続して稼働できる能力)と状態の一貫性を達成することはできません。
そのため複数の信頼されたコンピューティングノードが相互作用する必要があるのですが、不明瞭なコードの実行順序では二重支出(デジタルトークンを複数回使用できてしまう欠陥)が発生してしまい、この状態ではシステムの一貫性が保てません。
我々はこの問題に対して、3つのアドバンテージを持っています。
まず1つ目に、Phalaではステータスデータをチェーン上に格納することで、誰もが勝手にデータをダウンロードできるようにしています。
このコンセンサスコンピューティングの下では、各ノードは一貫性を持ってステータスを取得することが可能です。
2つ目にコントラクトレベルの並列性です。
Phalaでは、全てのノードの確認がトラストレスである必要がないため、非常に効率的です。
3つ目は、初めからクロスチェーンとして機能できる点です。
Phalaのコントラクトは並列性があり、スマートコントラクト間の相互運用プロトコルと連携して比較可能性を達成する必要があり、複数のクロスチェーンに対応しています。
-Polkadotのクロスチェーンソリューションの利用について-
これをチェックしてみてください、
私たちはすでにAcala Networkを使ったクロスチェーンのユースケースを一緒に作っていますが、これはすでに下記を証明しています。
・他のすべてのParachainに対するPhalaのプライバシーの価値
・Phala fit Rococoは、技術的にParachainの準備ができていることを意味します。
Q8. どこかでPhala Networkでシークレット・スマートコントラクトを利用するとKeyが管理しやすくなると書かれていました、これに関して教えて下さい。
TEEはTrezorやLedgerのようなハードウェアウォレットとして想像できると思いますが、どちらもデータをより安全にするためにHSMを使用しています。
TEEは一般的なCPUの標準的なHSMのようなもので、安全な環境でKeyを保護することもできます。
Q9. 現在のブロックチェーンでは秘密鍵の管理が乱雑でUXが非常に悪いことも多いですが、シークレット・スマートコントラクトを利用すればUXが良いアプリも作れるようになるのでしょうか?
ブロックチェーンアプリのUXは、秘密鍵を署名して管理する必要があるためはっきり言って最悪です。
しかし、Phalaの技術のおかげで開発者はシークレット・スマートコントラクトの機能が付随したものを一般人が身近に感じられる形で開発することができます。
開発者がシークレット・スマートコントラクトを使うと、まるでインターネット上のアプリを作っているかのような感覚になり、ユーザー側も一般的なアプリと何も変わらないように感じるかと思います。
Q10. Phalaが開発したWeb3 Analyticsはどうやって使うのですか?Google Analyticsとの違いも教えてください。
https://youtu.be/UwD6G233SsU
Web3 Analytics(以下:W3A)では、データプロバイダー(ウェブサイトやアプリケーション、そのユーザー)をスマートデバイスやスタンドアロン(オフラインのコンピュータ)のデータベースのように、さまざまな分析ツール/製品で使用することができます。
その中核となる機能は、入力データを明らかにすることなく分析結果を出力するエンドツーエンドのチャネルを可能にすることです。
Google Analyticsとの違いは「ソフトウェアがデータプロバイダの後を追うスパイに使われていないことを検証しながら、サードパーティのデータ消費者や分析サービスプロバイダが目的を定義できる」ということが一般化されている点です。
W3Aは、Web2のインフラだけでなく、Ethereum、IPFS、Polkadotのような分散型のWeb 3のネットワークでも動作します。
Q10. 長期的に持続可能なプロジェクトとして、PHAトークンの将来的な価値をどのように維持し、どのように成長していくと考えていますか?
誇大広告するよりも、製品自体にもっと注目した方が良いと思います。トークンの公平な分配だけがプロトコルを本当にパワフルなものにすることができます。
ここでいう”パワフル”とは、コミュニティや世界中の人々に支持されるという意味です。こうなると、Bearマーケット(弱気相場のこと)が来ても失敗しないと思います。
まとめ
Phala Networkについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
内容がかなり専門的でしたが、直接プロジェクト内部の人の話を聞ける機会はなかなか無いと思います。
引き続きCRYPTO TIMES並びにPolkadot Labs. JPでは、Polkadot関連プロジェクトの内部の人を交えながらのAMAや記事を提供していくので、興味はある方は是非チェックしてみてください。