話題のL1チェーン「Aptos」とは?概要や特徴を徹底解説【480億円調達済】
airutosena
元Diemメンバーによって開発されたL1チェーン「Aptos」が先日、FTXベンチャーズ等から1.5億ドル(約205億円)の資金調達を行い大きな話題を呼びました。
1/ Today, we announced our $150M Series A funding round. This is a testament to our team’s technical expertise, the strength & activity of our ecosystem and the vision & ethos we all share. https://t.co/GGnn4TY9Lw
— Aptos (@AptosLabs) July 25, 2022
一定の条件下において16万TPSを記録するなど、高い処理性能・スケーリングの観点からも注目を集めるAptos。
元Diemチームメンバーのチェーンということもあり、Moveを採用していたりとDiemの片鱗を感じる面も。
この記事では、そんな注目のAptosにフォーカスして、Aptosの概要から特徴、注目のプロダクトなどについて解説しています。
記事内容のまとめ
・Diemで使われていた開発言語Moveを採用
・1時間に数百万のミントができる処理性能
・3.5億ドルを超える資金調達
・年内にもメインネットがローンチへ
元DiemメンバーによるL1チェーン「Aptos」の概要
Aptosは、開発中のL1(Layer 1)ブロックチェーンやそのプロジェクトの総称です。
高処理能力・低遅延を強みとしており、スマートコントラクトを扱うこともできるため、AvalancheやSolanaといったチェーンと競合するプロジェクトであると言えるでしょう。
Aptosは、Diemの元メンバーであるMo Shaikh氏・Avery Ching氏が中心となって開発がスタートしました。
Diemとは、Meta社が主導していたプロジェクトです。(現在は運用が頓挫し、Diem関連の資産も売却済み)
Diemの元メンバーが開発しているということもあり、プロジェクト全体でDiemで培ったリソースや技術・知見が活かされているものが多いです。
年内にはメインネットをローンチする方針ということもあり、現在注目が集まりつつあります。
Aptosの5つの特徴
抑えておきたいAptosの特徴を以下の5つの観点から解説していきます。
Aptosの強み・特別なポイントをチェックしていきましょう。
①開発にMove・MVMを採用
②高い処理能力と低遅延
③独自のコンセンサスアルゴリズム「Aptos BFT」
④著名なプロジェクトが参画
⑤3.5億ドル(約480億円)を超える資金調達
①開発にMove・MVMを採用
Aptosは、Diemのプロジェクトで開発されていたプログラミング言語「Move」と、スマートコントラクトのプラットフォームとしてMove VM(MVM)を採用しています。
両者は、イーサリアムにおける「Solidity(Move)・EVM(MVM)」にあたる存在です。
Moveは、線形論理から着想を得た概念を活用しており、安全性などの観点からWEB3と相性の良い開発を可能にしています。
Aptosの「バリデーターの管理」「取引手数料」「アカウント」といったコアとなる機能は全てMoveで開発されています。
また、Aptosに限らず、元Diemメンバーが関連しているようなプロジェクトで、Moveが活用されているケースが見られ(Suiなど)、今後開発言語の1つとしてSolidityと競合する可能性もあるかもしれません。
②高い処理能力と低遅延
Aptosでは、トランザクションの実行とコンセンサスを切り離す、並列実行エンジンのBlock-STMの実装など、さまざまな技術的なアプローチによって高い処理能力を実現しています。
Aptosのブログでは、一定の条件下において「TPSが16万」を記録したという情報も見られ、ファイナリティまでの時間(TTL)についても、1秒未満という数値を記録しています。
また、Aptosのdevnet(開発者向けのネットワーク)における実験では、1時間以内に数百万のNFTをミント(作成)できるという結果を得られたようです。
ただし、上記はあくまでメインネットの数値ではなく試験的な数値です。
メインネットでどのような数値を出すのか?については不透明な点は否めないものの、一定のポテンシャルは期待できるでしょう。
③独自のコンセンサスアルゴリズム「Aptos BFT」
Aptosは、コンセンサスや安全性の領域においてもさまざまなアプローチを行っています。
Aptosでは、コンセンサスアルゴリズムに「Aptos BFT」というHotStuffに改良を加えたものを採用しています。
HotStuffとは、BFT(ビザンチン将軍問題に耐性を持つ)コンセンサスプロトコルのことで、Diemのコンセンサスにおいても活用されていた技術でした。
ここでも、元Diemメンバーという特性が出ていると言えるでしょう。
また、詳細は明らかになっていませんが、安全性向上のため秘密鍵をローテンションさせる機能や、紛失による損失を防止するために秘密鍵をリカバリー(復元)する新たな機能も開発しているようです。
④著名なプロジェクトが参画
さまざまな著名なプロジェクト・企業が、Aptosのチェーンでの構築や参画を公表しています。
AptosのDevnet(開発者向けのネットワーク)へ参加しているものから抜粋すると以下が挙げられます
- BNB CHAIN
- Coinbase
- Rarible
- NODEREAL
- Livepeer
Aptosの注目度が高まるにつれて、上記のような企業・プロジェクトが増えていく可能性もあるでしょう。
⑤3.5億ドル(約480億円)を超える資金調達
Aptosはここ数ヶ月で、2回ほど数億ドル規模の資金調達に成功しています。
はじめの資金調達は2022年3月に行われ、a16z crypto主導で2億ドル調達の調達に成功しており、出資者には以下のような名前が挙がっています。
- Multicoin Capital
- Katie Haun
- 3 Arrows Capital
- ParaFi Capital
- IRONGREY
- Hashed
- Variant
- Tiger Global
- BlockTower
- FTX Ventures
- Paxos
- Coinbase Ventures
上記に加え2022年7月には、FTX VenturesとJump Cryptoが主導し、1.5億ドルの追加の資金調達に成功しました。
- Apollo
- Griffin Gaming Partners
- Franklin Templeton
- Circle Ventures
- Superscrypt
- a16zcrypto
- Multicoin
上記2つの資金調達を合わせると、合計で3.5億ドル(約480億円)を超える調達に成功しています。
Aptosでローンチ予定のプロジェクト3選
Aptosのメインネットはローンチされていないものの、すでにAptosでローンチ予定のプロジェクトはいくつか確認できます。
これから、Aptosの公式Twitterで触れられていた注目のプロジェクトを3つご紹介していきます。
・Liquidswap
・Hippo Labs
Martian
Martianは、AptosにおけるMetaMaskのようなウォレットを手掛けるプロジェクトです。
Martianを利用することで、Aptos関連の仮想通貨の管理や、Aptosに構築されたアプリケーションなどにアクセスできるようになります。
DAppsを利用するにはウォレットが必須になりますから、Martianのようなプロダクトは今後必要になるでしょう。
公式Twitter:https://twitter.com/martian_wallet
Liquidswap
Liquidswapは、Aptosに構築されたはじめてのAMMのDEXです。(Pontem Network曰く)
Liquidswapでは、Aptosチェーンにあるさまざまな仮想通貨の取引を、Aptosのチェーン上で行えます。
Uniswapなどと同じようにLiquidswapはAMMのため、流動性の提供なども可能で、そこから利益を出していくことも可能です。
また、Liquidswapを開発した「Pontem Network」は、MoveやAptosのプラットフォームを用いてさまざまなプロダクトを開発中で、今後も新たなプロダクトをローンチしていく旨を明らかにしています。
Liquidswapはもちろん、Pontem Network自体の動向も注視していきたいと言えるでしょう。
公式Twitter:https://twitter.com/PontemNetwork
Hippo Labs
Hippo Labsは、各DEXの中から最適な取引レートを探し出すアグリゲーターなどを開発しています。
今後、Hippo Labsによるアグリゲーターがローンチされることで、Aptosに構築された各DEXが提供するレートの中から、最適なレートで取引が可能になるかもしれません。
既出のプロジェクトでは、1inchに近しいプロジェクトであると言えるでしょう。
Hippo Labsは最も開発の優先順位が高いプロダクトとして、開発中のアグリゲーターを挙げています。
しかし、同時に開発者が利用するようなコンパイラ・SDK・フレームワークといったツールを開発・提供していく旨も公表しています。
今後Aptosのエコシステムを支えるさまざまなプロダクトをローンチしていくのかもしれません。Hippo Labsの動向には要注目です。
公式Twitter:https://twitter.com/hippolabs__
Aptosのこれまでとこれから
最後に、Aptosのこれまでと今後について、過去に公表されたタイムラインを元に解説していきます。
これまでの開発状況・運用状況や、今後の注目イベントをチェックしていきましょう。
2022年Q1 開発者向けのテストネット
Aptosは、2022年月からDevnet(開発者向けのネットワーク)をローンチしました。
18,000を超えるフルノードが参加したようです。
2022年Q2 インセンティブテストネット
インセンティブテストネットでは、テストネットへの参加に伴って、一定のインセンティブが用意されています。
また、開発者でなくとも、要件をクリアすることで参加可能です。
Aptosのインセンティブテストネットには、各テストネットの目的に応じて、テストネットにおける成功の基準・参加人数・報酬などが設定されています。
現在公開されている範囲における各テストネットの参加人数と各報酬は以下のとおりです。
テストネット名 | 参加人数と報酬 |
AIT1 | 100名 500Aptosトークン |
AIT2 | 100ノード~500ノード 成功した参加者全員に500Aptosトークン (上位の投票者ノードには別途インセンティブ) |
AIT3 | 1,000名 成功した参加者全員に500Aptosトークン (上位の投票者ノードには別途インセンティブ) |
AIT4 | 1,000名以上 500Aptosトークン 他のインセンティブは検討中 |
記事執筆時点では、AIT1・AIT2が終了しています。
上記の予定だと、メインネットのローンチまで、あと2つのインセンティブテストネットが実施されることになるでしょう。
2022年Q3 メインネットのローンチ
2022年Q3に、Aptosのメインネットはローンチされます。(予定)
多くの方はこのタイミングで、Aptosチェーンに触れることになるでしょう。
すでに、Liquidswapなどいくつかのプロダクト・プロジェクトはローンチされていますから、メインネットのローンチまでは気になるプロジェクトに目星をつけておくのもよいかもしれません。
2022年Q4~2023年Q1 新機能のアップデート
まだ詳細は明らかになっていないものの、何らかの重要な機能を2022年Q4~2023年Q1あたりに、Aptosにローンチすることが明らかとなっています。
こういったアップデートは、チェーンに大きな影響を与えることが少なくないため、注視していきたいところです。
Aptosについてまとめ
この記事では、Aptosについて解説しました。
Aptosは、まだメインネットがローンチされておらず、現在進行系でテストネットが実施されている未完成なL1チェーンです。
周辺のプロダクト・エコシステムも、既存のチェーンと比較すると、整備されていない印象を受けるかもしれません。
しかし、Moveや独自のコンセンサスアルゴリズムの採用など、独自のアプローチでWEB3における諸問題を解決しようとしています。
未完了のテストネットやメインネットのローンチなど、今後注目したいイベントが多いので、これからも目が離せないプロジェクトであると言えるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
– Aptos 公式リンク –
- 公式サイト:https://aptoslabs.com/
- Twitter:https://twitter.com/aptoslabs
- ドキュメント:https://aptos.dev/