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2023/09/23アスターネットワーク(Astar Network)とは?プロジェクトの概要を徹底解説!
この記事では、Astarについて解説しています。 Astarは日本発のパブリックチェーンで、相互運用性やマスアダプションに焦点を当てたプロジェクトです。 日系企業との連携や、米国大手のCoinbaseから出資を受けているなど、注目点も多いです。 この記事では、そんなAstarについて以下のポイントから解説しています。 この記事のまとめ ・Astarはパラチェーンの1つ ・日系企業との連携に関するニュースなどが多い ・相互運用性などに焦点を当てる ・dAppに対してステーキングが可能 Astarとは?日本発のパブリックチェーン これから、Astarの基本的なポイントについて以下の観点から解説していきます。 ・Astarの概要 ・AstarとPolkadot ・AstarのTVL Astarの大枠をチェックしていきましょう。 Astarの概要 Astarは、ブロックチェーンの相互運用性やマスアダプションに焦点を当てたプロジェクトです。 日本発のプロジェクトはいくつかありますが、その中でも代表的なプロジェクトの1つになっています。 Astarは複数の側面を持つプロジェクトですが、特に複数のVMへの対応と相互運用性、dApp ステーキング、著名な企業との連携などに対して注目が集まることが多いです。 直近では、ガバナンスやトークノミクスへの変更を行うAstar 2.0や、zkEVMへの展開など、積極的な開発が行われています。 AstarとPolkadot Astar(Astar Network)は、Polkadotのパラチェーンの枠を獲得したプロジェクトの1つです。 そのため、AstarはPolkadotのエコシステムに組み込まれています。 Polkadotでは、リレーチェーンという中心となるチェーンに、パラチェーンというチェーンが複数接続されています。 リレーチェーンを囲む形で展開されているパラチェーン同士は相互運用性を持ち、ブロックチェーンを通してさまざまなものが行き来しています。 また、リレーチェーンを中心にパラチェーンに対して、バリデーターが割り当てられており、セキュリティもパラチェーン間で共有されています。 Astarは、そんなパラチェーンの1つです。 AstarのTVL (引用元:DefiLlama) DeFiLlamaによると、全体のランキングで41位、Astarの2023年9月時点におけるTVLは約2,800万ドルです。 最盛期の2022年4月には、3億ドルを超えるTVLを持っていたので、最盛期の10分の1ほどの規模になっています。 ASTR建てのTVLでは、6分の1程度の減少になっています。 もちろん、同時期は他チェーンのTVLについても、現在よりも非常に高いTVLを維持していたので、減少率に違いはあるものの、TVLの大幅なAstar特有の現象ではありません。 また、CoinMarketCapによると、ASTRの時価総額は400億円程度、98位です。 Astarの特徴 これから、Astarの持っている特徴について以下の点から解説していきます。 ・複数のVM ・dApp ステーキング ・大企業との連携 ・zkEVMへの展開 Astarの特別な点をチェックしていきましょう。 複数のVM Astarの大きな特徴の1つが、EVMとWasmの両者に対応している点です。 EVMは、ブロックチェーンにおいてもっとも普及しているVMで多数の開発者が存在です。 ブロックチェーンにおいて、EVMの互換性の有無がdAppsがチェーンを採用する大きなポイントになることもあります。 EVMと比較して、Wasmは複数のプログラミング言語に対応していることや、性能の観点からメリットがあります。 しかし、ブロックチェーンにおいて、EVMほどの普及は見せていません。 Astarは、2023年4月に従来より目標としていたWasmの導入を完了させました。 dApp ステーキング Astarにおいて、さまざまな面から注目を集めているポイントが、dApp ステーキングです。 dApp ステーキングを端的にまとめると、Astarで開発を行っている開発者に対して、インセンティブを与えるという趣旨の仕組みです。 具体的には、dApp ステーキングは、AstarのユーザーがAstar上のdAppにステーキングできる機能です。 dAppに対するステーキング量が多いdAppほどより多くの報酬を獲得できます。 ブロック報酬の一部が報酬の元となっており、ステーキングされている限り報酬も発生するので、dApp開発者から見ると安定的な収入になり得ます。 発生した報酬は、dAppの開発者とステーキングした主体の間で、分配される仕組みです。 通常のチェーンにおけるバリデーターなど、ネットワークを保護する主体が受け取っている報酬の一部を、dApp ステーキングでは開発者とステーキングを行った主体に回します。 活発な開発を促進したり、魅力的なプロジェクトが人気を集めやすくなるといった効果を期待しています。 記事執筆時点で、2万件を超えるステーカーによって1億8,000万ドル分の$ASTRが、dApp ステーキングに対してロックされています。 Astarは、Astar 2.0としてさまざまな設計に変更を加える方針となっており、その中にTokenomics 2.0があります。 上記では、元となる全体のブロック報酬が動的になったり、インセンティブの設計も変化し、dAppステーキングについても変更が加えられる方針です。 大企業との連携 Astarはもっとも日本の大手企業と何らかの連携を行っているプロジェクトの1つです。 Astarでは、この点を積極的に強化しており、さまざまな事例が見られます。 直近ではAstarの関連会社であるStartale LabsとSonyが合弁会社を設立し、ブロックチェーンやエコシステムを行う旨を明らかにしました。 \スターテイル・ラボと新会社設立へ/ 「Sony Network Communiations Labs Pte. Ltd.」の設立が決定👐 新会社では、Web3時代を支えるグローバルインフラとなるブロックチェーンの開発を目指します。 スターテイル・ラボの詳細はこちら👇https://t.co/NmC59jccQS pic.twitter.com/GdH602nlPa — ソニーネットワークコミュニケーションズ (@sonynetworkcom) September 12, 2023 直接Astar(Astar Network)に関連して、何らかの開発が行われるのか?については不明です。 しかし、Astarエコシステムとの連携を狙った動きは期待できるでしょう。 似たような動きは複数確認できるため、今後もAstarと日本の何らかの企業が協力していくといった動きが見られる可能性があります。 zkEVMへの展開 Astarは、2023年9月に新たにAstar zkEVMを発表しました。 Astar zkEVMは、EVMと互換性を持つゼロ知識証明を活用したイーサリアムベースのロールアップです。 ロールアップは、イーサリアムなどのL1をベースに構築したトランザクションを処理するもう1つの場所のようなもので、ロールアップを活用するとイーサリアムと比較してガス代が安くなります。 (ただし、パラチェーンベースのAstarとAstar zkEVMを比較した場合、前者の方がガス代は低い) Polygon Labsと協力して提供され、10月にテストネットが運用される予定になっています。 今後、PolkadotのパラチェーンベースのAstarと、イーサリアムベースのロールアップであるAstar zkEVMが存在することになりますが、Astar zkEVMで独自のトークンを発行する予定はありません。 Astar zkEVMで発生したETH収入を元に、$ASTRを市場から買い戻し、バーンするといった大まかな方針は発表されている状態です。 これにより、$ASTR保有者に一定の恩恵が発生する可能性があります。 ただし、トークノミクスの詳細は、今後テストネットを通じて調整されます。 Astar zkEVMを通して、開発者の選択肢を増やしたり、イーサリアムのエコシステムとAstarが持つdApp ステーキングとの連携などを目指しています。 AstarのdApp ステーキングの使い方 これから、AstarのdApp ステーキングのやり方について以下の点から解説していきます。 ・dApp ステーキングのやり方 ・注意点 実際に、dAppにステーキングしていく手順をチェックしていきましょう。 dApp ステーキングのやり方 前提として、取引所などから購入した$ASTRと、それを送金したウォレットが必要となります。 推奨されているウォレットは「Polkadot{.js}」です。 コチラで、Polkadot{.js}の使い方については解説していきます。 また、MetaMaskなどを使用して、EVMからの転送を行う場合はXY Financeを使用する例が、公式ドキュメントでは紹介されています。 準備が完了したら、コチラのページにアクセスしてください。右上からウォレットを接続してください。 dApp Stakingの画面から任意のプロジェクトを選択し、以下のステーキングの画面にアクセスしてください。 使用する残高、金額やトランザクションのスピードを選択して「Confirm」を選択してください。 また、ステーキングが完了すると、「dApp Staking」の「My Staking」現在のステーキングの状態が表示されます。 各項目の意味は以下のとおりです。 Total Staked :ステークした総額 Estimated Rewards:推定される未確定の報酬。実際は変動可能性あり Re-Stake After Claiming:報酬請求時の自動的な再ステーク Total Earned (all time):これまでの獲得報酬 直近で解除する意志がないなら、Re-Stake After Claimingをオンにしておくと利便性が高いです。 また、すでに何らかのdAppsにステーキングしている場合、ほとんど同じ手順で残高を変更することで、そのまま別の新たにステーキングしたいdAppに資金を移すことも可能です。 注意点 dApp ステーキングには、いくつか注意点があります。 ステーキングを行う場合には、最低でも500ASTR以上が必要で、これ以下の金額をステーキングすることはできません。 上記に加えて、最低でも10ASTRがウォレットに残っている状態にしないといけないので、最低でも510ASTR以上が必要です。 また、ステーキングを解除できるのは10日間を経過した後からです。 一定期間はロックされるので、予め押さえておきましょう。 $ASTR購入方法 $ASTRは、さまざまな取引所から購入可能です。 ただし、国内仮想通貨取引所で$ASTRを扱っているところは限定的です。 すでに国内仮想通貨取引所で、$ASTRが扱われていない場合は、OKCoinJapanなどから購入しましょう。 OKCoinJapanでは$ASTRを取り扱っており、取引所・販売所・積立など基本的にニーズの高いサービスに対応しています。 OKCoinJapan経由から、直接ASTRのネットワークに送金することも可能です。 Astarについてまとめ この記事では、Astarについて解説しました。 日本の代表的なプロジェクトの1つであり、日系企業とのさまざまな連携など期待したい話題の多いプロジェクトでもあります。 今後、関連会社とSonyのブロックチェーン開発や、zkEVMなど注目ポイントが多いので注視していきたいと言えるでしょう。
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2023/09/17Aerodrome徹底解説|Base上に構築された急成長中の流動性提供プロトコル
先日、8月29日にBase上でローンチされた「Aerodrome」は多くの注目を浴びています。 イーサリアムにはトランザクションの速度の遅さや手数料の高さという問題点が存在します。これらの課題に対応するため、レイヤー2の開発が盛んに進められています。 [caption id="attachment_98095" align="aligncenter" width="568"] 画像引用元:https://www.orbiter.finance/data?rollup_tab=optimism[/caption] 現在、多くのレイヤー2が登場し、イーサリアムメインネットのトランザクションを大きく上回る取引がレイヤー2で実施されています。 その中で、Coinbaseはレイヤー2「Base」を開発しました。 コインベースのL2「Base」の概要や特徴、使い方を徹底解説 そして、現在Base上で最も高いTVLを持つプロトコルは「Aerodrome」です。 しかし、なぜAerodromeはこれほど急速にTVLを増やすことができたのでしょうか?Aerodromeとは、具体的にどのような特徴を持つプロダクトなのでしょうか? この記事では、Aerodromeの機能や特徴について詳しく解説します。 Aerodromeの概要 Aerodromeは、Base上で動作するDEXです。 DefiLlamaのデータによれば、記事執筆時点でのBaseのTVLは3.74億ドルとなっています。その中で、AerodromeのTVLは1.33億ドルを占め、Base全体のTVLの約3割以上を担っています。 BaseのTVLの変動については、以下で詳しく説明します。 [caption id="attachment_98067" align="aligncenter" width="800"] DefiLlamaより引用。[/caption] 8月31日を境に、BaseのTVLは急激に増加し、2億ドルから3.5億ドルへと上昇しました。この急激な増加の要因は、Aerodromeのローンチにあります。 既にOptimism上にて実績を有するVelodromeのフォーク Aerodromeが登場するまで、Base上の流動性提供プロトコルはBaseSwapなどが担当していました。しかし、Aerodromeの登場以降、Aerodromeが圧倒的な存在感を放っています。では、なぜAerodromeはこれほどまでの注目を集めているのでしょうか。 AerodromeはBase上でのプロダクトでありますが、これが初のDEXではありません。実は、Velodromeという名前のプロトコルとして、イーサリアムのレイヤー2であるOptimism上で既にローンチされていたのです。言い換えれば、AerodromeはVelodromeのフォーク版となります。 [caption id="attachment_98068" align="aligncenter" width="800"] DefiLlamaより引用。[/caption] VelodromeはOptimism上のDEXカテゴリでトップのTVLを持ち、全体としてもSynthetixに次ぐ第2位のプロダクトとして位置づけられています。 Velodromeの実績は既に確立されており、その成功したプロダクトがBase上にもローンチされたことで、Base内での圧倒的なシェアを獲得することができました。 Aerodromeの特徴 Aerodromeが流動性提供プロトコルであり、Velodromeのフォークであることを既に触れました。 しかし、多くの流動性提供プロダクトが存在する中で、なぜAerodromeがこれほどの注目を浴びているのでしょうか? Aerodromeの魅力の一つは、$AEROトークンを中心とした充実したエコシステムにあります。 まず、DEXにおいて最も重要な要素は、流動性です。ユーザーは流動性を提供することで報酬を得ることができます。例えば、Curveでは、報酬として$CRVトークンを受け取ることができます。 多くのDEXが独自トークンを発行し、それを流動性提供のインセンティブとして使用しています。しかし、このような独自トークンは、売り圧となる可能性があります。独自トークンの供給増加は、その価値の希薄化と関連しています。 Aerodromeは、流動性提供者が得るトークンの活用方法を多様化することで、この売り圧を軽減する仕組みを導入しています。 $AEROをロックすることで多くの手数料をもらえる Aerodromeは、トークンの流動性を集めることでトレーダーからの手数料を得る設計となっています。流動性プロバイダーは、毎エポックで$AEROトークンを受け取ることができます。 これだけを見ると、他のDEXと同様の仕組みに思えます。しかし、Aerodromeの特徴は、$AEROをロックすることで受けられるインセンティブが充実している点にあります。 [caption id="attachment_98072" align="aligncenter" width="725"] Aerodoromeドキュメントより引用。[/caption] ユーザーは$AEROをロックすることで、次のエポックの排出量配分への投票が可能となり、これにより「$veAERO Voters」としての権利を得ることができます。 $veAERO Votersは、投票に応じて、前エポックのプロトコル取引手数料の100%と、現在のエポックの追加投票者インセンティブを受け取ることができます。 この追加の投票者インセンティブは、ロックされた$AEROの量に比例しています。そのため、多くの$AEROをロックすることで、より多くのインセンティブを受け取ることができる仕組みとなっています。 $AEROのロックによるインセンティブは、$AEROの売り圧を軽減する役割を果たしています。さらに、多くの$AEROをロックすることが有利という仕組みは、流動性プロバイダーを引きつける効果も持っています。 ロック期間が長ければ長いほど、より多くの投票権を得られる $AEROに関して詳しく説明してきましたが、特筆すべき点として、$AEROはAerodrome内での投票には直接使用できないことが挙げられます。 Aerodromeは、ユーティリティとガバナンスの目的のために、2つの異なるトークンを採用しています。 AERO:プロトコルのERC-20ユーティリティトークン veAERO:NFT形式のERC-721ガバナンストークン ガバナンスにはveAEROが使用されます。しかし、veAEROを取得するためには、$AEROをロックする必要があります。そして、ロックされる$AEROの量と期間によって、配分される$veAEROの量が変わります。 具体的には、以下のような配分がされます(ロック期間の上限は4年): 100$AEROを4年間ロック → 100$veAERO 100$AEROを1年間ロック → 25$veAERO このように、$AEROのロック期間が長いほど、得られる$veAEROの量が増える仕組みが取り入れられており、これにより$AEROを長期間ロックするインセンティブが提供されています。 リベースによる$veAEROの調整 [caption id="attachment_98087" align="aligncenter" width="642"] 画像引用元:https://medium.com/@aerodromefi/aerodrome-launch-tokenomics-30b546654a91[/caption] $veAEROの保有者は、$AEROの排出量や$veAEROと$AEROの供給量の比率に応じてリベースを受け取ることができます。この仕組みは、$veAEROの投票力が新たなトークンの排出によって希釈されるのを防ぐためのものです。 リベースとは、ステーキング報酬として新しいトークンをミントし、それをステーカーに分配することを指します。具体的な例で説明します。 $AEROが100万枚ステーキングされ、それに対応して100万枚の$veAEROが分配されたと仮定します。次に、プロトコルが利益を上げ、その利益から1万枚の$AEROをミントすると、合計で101万枚の$AEROと100万枚の$veAEROが存在することになります。この状況で、$veAEROの1%、すなわち1万枚が追加で発行されます。 このリベースの仕組みは大まかな説明ですが、このようにして利回りを複利的に増加させることができます。その結果、トークンを継続的に保有することが最も収益性が高くなるというインセンティブが生まれます。 OlympusDAOのメカニズムを参考:(3, 3)メカニズム このリベースメカニズムは、OlympusDAOの仕組みをベースに構築されています。 OlympusDAOは分散型準備通貨プロトコルで、そのトークンであるOHMをステーキングすることで報酬を受け取ることができます。この報酬レートは、投票を通じてコミュニティのメンバーによって決定されます。また、ステーキングをせずにトークンを売却すると、そのトークンの価値が希薄化する仕組みが取り入れられており、これによりトークンの売却という行動に対して負のインセンティブが生じるよう設計されています。 この仕組みは一般的に「(3, 3)メカニズム」として知られています。このメカニズムはゲーム理論の考え方を基にしており、具体的には、ユーザーとOlympusDAOの両者が「Stake」、「Bond」、そして「Sell」の3つの行動選択肢を持つと仮定した場合、それぞれの行動がもたらす利益を指数として示しています。 このメカニズムの中で、もし「Stake」を選択することが両者にとって最も利益をもたらす選択となる場合、最適化の結果として自然にステーキングが促進されることになります。 [caption id="attachment_98080" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:https://dune.com/0xkartod_bounty/OlympusDAO[/caption] 上記のデータを見ると、OHMの約80%がステーキングされていることが明らかです。 この仕組みに関して一般的な誤解として、「全てのユーザーがステーキングを行うと、売る人がいなくなり、その結果、価格の下落が防げる」という考えがあります。 しかし、実際には、先に市場から撤退することで利益を得る人が現れる可能性があるため、「Stake」が必ずしも利益をもたらすわけではありません。この問題を解決するために、リベースというメカニズムが導入され、ステーキングに対するより強力なインセンティブが提供されています。 Velodromeユーザーにはエアドロを実施 [caption id="attachment_98088" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:https://medium.com/@aerodromefi/aerodrome-launch-tokenomics-30b546654a91[/caption] Aerodromeのエコシステム拡大の一環として、Velodromeのユーザーを取り込む戦略も見逃せません。 Velodromeで既に流動性を提供しているユーザー(veVELOホルダー)に対して、veAEROのエアドロップを実施しています。このエアドロップの量は初期供給の40%にも上る大量で、Aerodromeがエコシステムの構築に熱心であることが伺えます。 まとめ ここまでAerodromeの概要およびトークノミクスについて解説してきました。 流動性を提供するDEXは数多く存在しますが、Aerodromeの特徴として特筆すべきは、$AEROトークンのロックに強力なインセンティブを設けることで、$AEROの売り圧を抑制している点です。 さらに、Aerodromeは新規のプロダクトというわけではなく、Optimism上で既に実績を持つVelodromeのフォークとして存在しているため、ユーザーからの信頼も厚いです。 チェーンの発展には流動性の供給が不可欠です。Baseは新進のイーサリアムレイヤー2としての地位を築いていますが、そのTVLの約3割をAerodromeが占めていることから、Aerodromeが今後のBaseの発展に大きく寄与することは間違いないでしょう。 興味を持たれた方は、Aerodromeのトークノミクスに参加してみてはいかがでしょうか。
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2023/08/30BSCレイヤー2「opBNB」とは?BSCや他チェーンと比較して優れている点を徹底解説
opBNBは、BSC(BNBチェーン)のレイヤー2ソリューションです。この技術は、BNBのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたもので、その名前の"op"は、Optimismに基づいて構築されていることを示しています。 2023年8月16日、opBNBのメインネットがインフラプロバイダー向けに公開され、これにより注目が高まりました。ただし、一般向けのメインネット公開はまだ行われておらず、このプロジェクトについての情報が不足している方も多いかもしれません。 本記事では、opBNBの概要から特徴、現在の状況までを詳しく解説していきます。 opBNBの概要 opBNBは、BSCのスケーラビリティの問題を解決するために開発されたBSCのレイヤー2ソリューションです。 ユーザーはBSCから資金を入金し、opBNB上のアプリケーションやコントラクトを利用することで、opBNBネットワークとやり取りします。このプラットフォームを使用することで、ユーザーは高いスループットと低い手数料を享受しながら、資金の入出金、スマートコントラクトの実行、ネットワークデータの閲覧などが可能です。 opBNBの特徴として、イーサリアムレイヤー2である「Optimism」のテクノロジーが採用されており、非常に高速で低コストなトランザクション処理を実現しています。また、EVMとの互換性があるため、既存のイーサリアムアプリケーションの移行や拡張が容易に行えます。 具体的な数値に関する詳細は次の章で説明しますが、まずは周辺情報を整理して理解を深めていきましょう。 インフラプロバイダー向けにメインネットがローンチ 8月16日、opBNBはインフラプロバイダー向けにメインネットをローンチしました。 https://twitter.com/BNBCHAIN/status/1691721686825980199?s=20 一般ユーザー向けのopBNBの公開は、9月1日に予定されており、現在は一般ユーザーがテストネットに参加できる状態です。 OP Stackを搭載したBSCレイヤー2ソリューション [caption id="attachment_97424" align="aligncenter" width="632"] OPスタックのモジュール画像(画像引用元:https://optimism.mirror.xyz/fLk5UGjZDiXFuvQh6R_HscMQuuY9ABYNF7PI76-qJYs)[/caption] opBNBには、OP Stackが組み込まれています。 OP Stackは、Optimismの開発元であるOP Labsが提供する「レイヤー2ネットワークを構築するためのデータ構造」を指します。これにより、レイヤー2への展開における開発の負担を軽減することが可能となります。 opBNB以外でも、OP Stackを採用しているプロジェクトが存在します。例えば、Coinbaseの「Base」やByBitの「Mantle」などがその例です。 opBNBが必要とされる理由:Web3アプリを展開する上で発生するスケーラビリティを解決 一般ユーザーの観点から考えると、BSCを利用する理由として最も一般的なのは「低い手数料」でしょう。そして、opBNBはレイヤー2であるため、BSCよりも遥かに低い手数料を提供します。 しかしながら、opBNBが導入される目的は、既に安価なBSCの手数料を更に削減するためだけではありません。もちろん、低い手数料は重要ですが、それ以上にもう一つの理由が存在します。それがスケーラビリティの課題です。 Web3アプリケーション、ゲーム、ソーシャルネットワーク、メタバースなどが、レイヤー1チェーン上に直接構築される場合、大きな問題が生じます。それは、BSCやイーサリアムなどのネットワークが、これらのアプリケーションの多くのトランザクションや集中的なデイリーアクティブユーザーを処理するためには設計されていないという点です。 ここで、具体的なBSCのケーススタディを見てみましょう。 2021年、BSC上のWeb3ゲームで1日あたり800万件以上のトランザクションが記録されました。この事態は2つの主な懸念を引き起こしました。 BSCのスループットを超えることによるトランザクションの遅延とユーザーエクスペリエンスの低下の可能性。 1日のガス代が6,800BNB以上に達する可能性があり、ユーザビリティとネットワークの持続可能性が危うくなる可能性。 大規模なdAppはさらなるトランザクション負荷をもたらすことがあります。特に人気のあるアプリがプロモーションキャンペーンを展開すると、通常よりもトラフィックが急増することがあります。例えば、Crypto Bladeなどのゲームは、30万人以上のデイリーアクティブユーザーと1日あたり1,800万件以上のトランザクションを生成しています。これがBSCに大きな負荷をかけ、ガス代の急上昇やネットワークの遅延を引き起こす可能性があります。 しかしながら、現行のBSCの状態では、これらのトランザクションを効率的に処理することは極めて困難であり、大幅な最適化とスケーリングソリューションが求められていました。 また、BSCはイーサリアムメインネットに比べて手数料が安いですが、それでもレイヤー1という性質上、多くのゲームやアプリケーションにとってはまだ高額です。 これらの問題に対処するために、レイヤー2であるopBNBの開発が必要とされました。 何故、zkBNBやBNB Greenfieldとはまた異なったプロダクトを開発したのか BSCの開発は活発に進行中です。実際、昨年8月には「zkBNB」というL2ソリューションを、今年の2月には分散型ストレージシステム「BNB Greenfield」を発表しています。 「zkBNB」(https://zkbnb.bnbchain.org/) ゼロ知識証明を利用したスケーリングソリューション。 zkBNBの導入により、BSCは最大1億アドレスの管理が可能になります。 「BNB Greenfield」(https://greenfield.bnbchain.org/en) 分散型ストレージシステムであり、データの作成、所有、取引を可能にするインフラストラクチャー。 現在、アマゾンウェブサービス(AWS)、NodeReal、Blockdaemonと協力してテストネットを構築中です。 既に2つのレイヤー2ソリューションを開発している中で、新たにopBNBが開発されました。その背景には、BSCのシニア・ソリューション・アーキテクトであるArnaud Bauer氏が、EVMとの互換性を挙げています。 一方で、zkBNBにはEVMとの互換性がない一方、opBNBはその互換性があるため、エコシステムの更なる成長を支援する役割を果たします。さらに、zkBNBとopBNBの両方が採用されることで、ArbitrumやOptimismなどのプロジェクトを含むイーサリアムのレイヤー2エコシステムと競合することになるとされています。 徐々にではあるが減少傾向にあるBSCの預かり資産(TVL):起爆剤として期待されるopBNB opBNBの開発目的は、BSC上におけるWeb3アプリの需要を満たすために行われました。 ここで、BSCのTVLを見てみましょう。 [caption id="attachment_97426" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:https://defillama.com/chain/BSC[/caption] 上記の図をご覧いただければわかる通り、BSCの預かり資産(TVL:Total value locked)は現在28億ドルとなり、減少している傾向があります。以前はイーサリアムに次ぐ第二位のブロックチェーン市場でしたが、現在ではトロンに抜かれて第三位に位置しています(トロンのTVLは52億ドル)。 ブロックチェーン市場が盛り上がるためには、魅力的なコンテンツやプロダクトが必要です。そのような要素が不可欠ですが、opBNBというレイヤー2の取り組みは、こうしたコンテンツの拡大に寄与することが期待されています。 opBNBの特徴:将来的なBNBエコシステムの拡大を見据えて、大規模な処理を可能とするソリューション opBNBは将来的にWeb3アプリを充実させる際に直面する大量のトランザクション処理と手数料のコスト削減を実現するために開発されました。 次に、具体的な特徴や数値について詳しく紹介していきます。 opBNBの8つの特徴:トランザクション処理やガス代等の具体的な数値。 opBNBには以下のような多くの特徴があります。その中でも、トランザクションの大量処理やコスト削減、相互運用性に関する重要なポイントを詳しく紹介します。 最大ガスリミットの向上: opBNBの最大ガスリミットは毎秒1億ガスに設定されており、これにより高速かつ効率的なトランザクション処理が可能です。 拡張性: OPスタックフレームワークの活用により、4,000トランザクション/秒(TPS)を超えるスケーラビリティが実現され、大量のアプリケーションにも対応可能です。 コスト効率: opBNBは送金取引のガス料金を平均0.005ドル以下に抑え、取引コストを大幅に削減します。 互換性: opBNBはBSCと整合されており、ブロックタイムを1秒に合わせています。これにより高速なトランザクション処理が可能となっています。 セキュリティ: opBNBはBNBスマートチェーンのコンセンサスとデータ可用性ソリューションによって保護され、強固なセキュリティを提供します。 柔軟性: OPスタックにより、opBNBは単一のクライアント実装に依存せず、さまざまな方法でブロックチェーンネットワークと相互作用できるようになりました。 相互運用性: opBNBのOPスタック採用により、他のEVMやSolidityをサポートするレイヤー2プラットフォームとの相互運用が可能となり、オープンで協調的なエコシステムが育成されます。 データ可用性: opBNBはデータ可用性(DA)レイヤーを実行レイヤーから分離し、さまざまなDAオプションの選択を可能にし、セキュリティとパフォーマンスの需要に基づいて異なるDAスキーム間のシームレスな切り替えを可能にします。 これに加えて、opBNBは他にも多くの特徴を備えていますが、ここでは主要な特徴を紹介しました。これらの特徴により、BNBエコシステムをより広範囲に拡大し、柔軟な対応が可能となることが期待されています。 opBNBと他レイヤー1ネットワークとの比較 opBNBの特徴の一つは、BSCやイーサリアムを大幅に凌ぐ毎秒1億のガスリミットです。これにより、高速で大量のトランザクションを処理することが可能となっています。 さらに、opBNBではトランザクションコストを極めて安く抑えています。具体的には、BSCに比べて6分の1、イーサリアムに比べて200分の1のコストでトランザクションを実行できることが分かっています。 opBNBと他レイヤー2ネットワークとの比較 opBNBは、他のイーサリアム上のレイヤー2ソリューションであるOPメインネットやArbitrumと比較して、ガス代が低く、ブロックガス上限が高く設定されています。 ただし、opBNBとOPメインネットは固定ブロックタイムを採用しており、Arbitrumは可変ブロックタイムを採用しています。したがって、記載されている「0.25秒(最小値)」という表記は、最速の場合を示すものであることに注意が必要です。 opBNBのガス代と手数料 以下のポイントを整理してみましょう: フロア・ベース価格: opBNBの最小ベース価格であり、使用状況によって変動することに注意が必要。例えば、使用量が1億ガスの50%に達した場合、基本価格は12.5%上昇。 最低優先価格: ユーザーが設定でき、この値より高い優先価格を設定可能。通常はAPIを使用してガス代の見積もりを取得し、履歴ブロックの平均ガス価格に基づいて推奨される価格。 BSCのガスコスト削減目標: BSCは取引コストを大幅に削減し、opBNBは送金取引のガス代が0.005ドル以下を目指している。これに基づいて最低基本価格と優先価格が計算される。 レイヤー2のガス代: 最初の設定は0.2gwei。最小優先価格は調整可能で、BSCコミュニティのガバナンス・プロセスで管理される。 これらのポイントがopBNBのガス価格に関する重要な要素です。 現時点でのopBNB opBNBは8月16日にインフラプロバイダー向けにメインネットがローンチし、およそ半月ほどが経過しようとしています。 では、現時点のopBNBのTVLや、エアドロの可能性についてはどのようになっているのでしょうか。 ブリッジ額とTVLは伸び悩む [caption id="attachment_97432" align="aligncenter" width="800"] データ引用元:(左)https://dune.com/cryptokoryo/opbnb、(右)https://defillama.com/chain/Op_Bnb[/caption] opBNBのブリッジ額とTVL: 現在のブリッジ額は約800万ドル、TVLは約75万ドル。 プロジェクトの規模: 現状ではまだ規模は大きくない。主要なプロジェクトは存在しない。 バイナンスの関与とBSCの影響: バイナンスの関与が深いことや、BSCのレイヤー2であることを考慮すると、将来性は未知数。 BSCの影響力: BSCはレイヤー1領域で第三位の規模を持つ。これがopBNBの将来の展望に影響を与える可能性がある。 これによって、opBNBの現状と将来性についての情報が整理されます。 関連:opBNBのメインネット公開初日で入金額550万ドルを記録 エアドロップの可能性は公式が否定 こうした新興チェーンにおいて多くの方が気になるのが、エアドロップの存在かもしれません。しかしながら、エアドロップは公式によって否定されています https://twitter.com/BNBCHAIN/status/1671578853234585600?s=20 ツイート内容は、エアドロップの予定はないこと及び、詐欺に対する注意喚起に関するものです。 まとめ:9月1日より一般向けのメインネットが公開予定 opBNBの魅力は、大量のトランザクションを迅速かつ経済的に処理できる点にあります。そして、バイナンスの関与が欠かせない要素です。BNBエコシステムには既に数百万人の顧客が存在し、潜在的に大規模な市場が形成されています。他のプラットフォームと比較して、マーケティングや顧客獲得に大きなコストがかかることなく、優位性があると言えるでしょう。 https://twitter.com/BNBCHAIN/status/1691057910816669697?s=20 9月1日から一般向けのメインネットがローンチされることもあり、BSCの新しいエコシステムの拡大に注目が集まります。
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2023/08/23「friend.tech」Dapp|インフルエンサーが注目する新たな分散型SNS
急速に話題を集める「friend.tech」Dappに注目が集まっています。 8月10日にベータ版がリリースされ、これに伴い多くのインフルエンサーが参入し、高額の収益を上げることで話題となりました。その後も新たなインフルエンサーが参入するたびに話題が再燃し、日々注目が高まっています。 しかし、この急速な注目の中で、friend.techの仕組みやエコシステムについて理解が追いついていない人も多いかもしれません。 この記事では、friend.techの概要を紹介し、同時に懸念されている事項などに焦点を当ててみます。 急に注目を浴びたfriend.tech friend.techは、Coinbaseが提供するイーサリアムレイヤー2「Base」上に展開されたDappです。このアプリケーションは、Twitterと連携して個人の影響力を収益化する仕組みを提供しており、特にクリプトインフルエンサーたちの間で大きな注目を浴びています。 ベータ版がリリースされたことを受けて大注目:プロトコル手数料がイーサリアムに次いで、第二位に。 8月10日にfriend.techのベータ版が公開されました。このアプリケーションへの注目度を反映する興味深い側面は、ユーザーが支払うプロトコル手数料です。以下では、その規模を具体的に探ってみましょう。 [caption id="attachment_97206" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:DefiLlama “Fee / Revenue”[/caption] 8月22日時点で、friend.techは過去24時間で約168万ドルの手数料を獲得しています。この数字は、イーサリアムに次ぐ第二位の位置に位置し、プロダクトの登場から半月も経たない段階で、他の多くの名だたるサービスを上回る成果を収めています。これにより、friend.techの高い注目度が浮き彫りにされています。 friend.techの影響によってBaseのユーザー数が10万人を突破 friend.techの影響は、そのサービスの成長だけでなく、Baseにも波及しました。 [caption id="attachment_97207" align="aligncenter" width="800"] データ引用元:https://dune.com/tk-research/base[/caption] 8月10日の時点で、Baseの日次アクティブユーザー数は13万人以上に達し、これはBaseの過去最高記録となりました。元々Baseへの注目度は高かったとはいえ、急激なアクティブユーザーの増加には明らかにfriend.techの影響があると考えられます。 friend.techに登録するには、必ずBase上でイーサリアムをデポジットする必要があります。これがBaseのアクティブユーザー数の増加に寄与した要因の一つでしょう。ただし、現在friend.techへの新規登録は招待コードを介したものに限られており、アプリへのアクセスが制限されています。 誰もが自由に利用できるわけではないアプリケーションであるにもかかわらず、多くの人々がアプリに参加している様子を見ると、その注目度の高さがわかります。 Paradimからシードラウンドの支援 https://twitter.com/friendtech/status/1692588652172640666?s=20 突如として現れたfriend.techは、周囲の情報が十分でないため、その信頼性に疑念がありました。しかしこのような状況の中、8月19日に、Paradigmからシードラウンドの支援を受けていることが明らかになりました。 Paradigmは、暗号資産に特化したベンチャーキャピタルであり、Coinbaseの既存投資家でもあります。最近ではAI分野への投資も行っており、その幅広い投資活動を展開しています。 friend.techの仕組み:「Share」を中心としたエコシステム friend.techの特筆すべきポイントは、「Share」を中心に据えた独自のエコシステムを構築している点です。このセクションでは、その中心的な要素である「Share」を基盤に、その仕組みを詳しく解説していきます。 ユーザーはShareを発行:Share保有者は発行者と独占的にチャットなどのコミュニケーションを行うことが可能に。 friend.techのユーザーは、自身が発行する「Share」と呼ばれる独自のソーシャルトークンを持つことができます。そして、これらのShareはfriend.techのプラットフォーム内で取引可能です。 Shareを所有するユーザーは、Shareの発行者であるインフルエンサーの投稿を閲覧するだけでなく、そのインフルエンサーと個人的なメッセージのやり取りも可能です。さらに、同じ発行者のShareを持つユーザー同士は、その発行者の返信内容を他の保有者からは隠すことができるため、独占的な個人間コミュニケーションが可能です。 著名インフルエンサーのShareは2ETHを超えるものも [caption id="attachment_97225" align="aligncenter" width="576"] 画像引用元:https://twitter.com/yugacohler/status/1689973528185999360?s=20[/caption] Shareは価格が一定ではなく、株式のように変動します。特に人気のあるユーザー(この記事では「インフルエンサー」と呼びます)のShareは高額で取引される傾向があります。要するに、Shareの価格はそれを発行したインフルエンサーの人気度を示す指標と言えます。 Shareが売買される度、そのShareの発行者にはロイヤリティ収益が発生。 Shareの取引は購入と売却の両方で手数料が発生し、この手数料からプロトコルの収益や、Shareを発行したインフルエンサーに支払われるETHのロイヤリティが供給されます。 具体的な上位インフルエンサーのETH還元例を見てみましょう。 [caption id="attachment_97223" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:https://www.coingecko.com/research/publications/friend-tech-royalty-earnings?utm_campaign=Data%2BVisualization&utm_medium=social[/caption] Cobie氏(https://twitter.com/cobie) 著名なクリプトインフルエンサーであり、Coinbaseでのインサイダー取引についても言及したことで知られています。 最近では、バイナンスの創設者であるCZ氏に関する「Red Notice」(国際逮捕手配書)の情報をツイートしていますが、その真偽は不明であり、公式発表はないことに注意が必要です。 Racer氏(https://twitter.com/0xRacerAlt) friend.techの創設者として知られています。 CoinGeckoのデータによれば、Cobie、0xRacerAlt、HsakaTradesの3人の合計ロイヤリティが、上位25アカウントが受け取ったロイヤリティの34.6%を占めています。 Shareの売買や価格決定の仕組み ここまでfriend.techのエコシステムの中心であるShareについて説明してきましたが、次にそのShareの売買に関する詳細を探ってみましょう。特に、Shareの販売方法や価格設定に焦点を当てて説明していきます。 Shareの売買には全て運営が関与。個人間の取引は不可。 ここまでShareの売買について詳しく説明してきましたが、重要な点として、インフルエンサーやユーザー同士が直接的にShareを売買しているわけではないことに留意する必要があります。 ユーザーは自分の保有するShareをいつでも売却することができますが、これは運営側がそのShareを買い取っているためです。同様に、ユーザーはいつでもShareを購入することができますが、これは運営側が所有しているShareを売却しているものです。 Shareの価格を発行者(インフルエンサー側)は決められない 重要な点として、Shareの売買はすべて運営側によって行われているため、インフルエンサーはShareを発行することはできますが、そのShareの価格を自ら設定することはできません。代わりに、運営が設計したアルゴリズムによって自動的にShareの価格が決定される仕組みとなっています。 この仕組みにより、個別のインフルエンサーによる価格設定の偏りや操作を防ぎつつ、公平な取引が行われることが保証されています。インフルエンサーやユーザーは自分の保有するShareをいつでも売買することができますが、その価格は運営のアルゴリズムに基づいて決定されるため、市場における需要と供給のバランスを考慮した価格設定が行われています。 報酬ポイントのエアドロを実施中:ガバナンストークンの発行予定も。 2023年8月15日、friend.techは公式Twitterを通じて、アプリ利用者に報酬ポイントのエアドロップを実施することを発表しました。 https://twitter.com/friendtech/status/1691209818697355264?s=20 毎週金曜日に、8月18日から合計で1億ポイントが配布されるとのことです。先週の金曜日には、4万4千人を対象として最初のエアドロップが行われたことが発表されました。 また、将来的にはガバナンストークンの発行も計画されています。 friend.techの懸念されるリスクや問題点 ここまでFriend.techのエコシステムに関して詳しく説明してきましたが、新興のプロダクトであるために情報が限られている点や、その仕組みがまだ不透明な部分もあることから、多くの懸念事項が存在しています。 プライバシーポリシーが不明。セキュリティへの不安も [caption id="attachment_97215" align="aligncenter" width="552"] (現状、プライバシポリシーは公開されていない)[/caption] friend.techは、インフルエンサーとしての価値を直接的に金銭に変換できるサービスと言えます。これまでInstagramやYouTubeなどでインフルエンサーは自身の知名度を活かしてビジネス展開し、収益を上げてきましたが、friend.techではインフルエンサーが自分の価値をより手軽に金銭的な価値に変えることができる仕組みを提供しています。 ただ、こうしたサービスを提供する上で、プライバシーや情報管理が非常に重要です。しかし、friend.techのプライバシーポリシーは現在まだ公開されておらず、「coming soon」となっています。 Hypeの懸念 「Hype(ハイプ)」は、元々は誇大宣伝や過度な宣伝を指す言葉でしたが、最近では、特定の商品やサービスが大きな注目を浴び、熱狂的な受け入れを受けている状態を指す用語としても使われています。 現在のfriend.techに関する状況は、かつての「Hype」の意味と現代の意味の両方を含んでいるようです。 手数料の増加からも分かる通り、friend.techのShareの取引は盛んです。しかしながら、具体的なビジョンが明確でなく、サービスの実際の姿を把握することは難しいです。多くのインフルエンサーが参加していますが、これが継続するかどうかは未知数であり、一時的な現象で終わる可能性も考えられます。 また、friend.techはParadigmがシードラウンドの資金調達に関与したことを発表し、これに反応して多くの人々がShareを購入したことで、Buyersの比率が急速に上昇しました。 [caption id="attachment_97221" align="aligncenter" width="669"] データ引用元:https://dune.com/cryptokoryo/friendtech X引用元:https://twitter.com/caitlinxyz/status/1692588912990982281?s=20[/caption] データを見ると、Paradigmの関与が明らかになる前は、BuyersとSellersの間で需要と供給が安定していました。しかし、その関与が判明した後、Buyer側の需要が急激に高まり、一時的に4:1という比率にまで達しました。その後も、基本的にはBuyer側の需要が高い傾向が続いていることが分かります。 一見すると、非常に活気のある状態に見えますが、これは実際には実体のないものに影響されている可能性があるため、冷静な分析が必要です。良い側面もあれば悪い側面もあり、現実との乖離があるため、過度な期待に振り回されることなく、状況を冷静に評価することが重要です。 導入が初心者向きではない これまでfriend.techの懸念事項にフォーカスしてきましたが、ここからはプロダクトの使いやすさについて詳しく見ていきます。筆者自身も試してみましたが、正直なところ、ユーザビリティは高くはありません。特に、暗号通貨初心者にとっては取り扱いが難しいと言えるでしょう。 Base上にETHが必須 friend.techが注目を浴びる中で、実際にShareを発行したり売買したりしなくても、その仕組みに触れてみたいと考える人もいるかもしれません。しかし、実際に登録する手続きはかなり煩雑です。 登録には電話番号かメールアドレスが必要ですが、その際にETHのデポジットが不可欠です。デポジットを行わずに進むことはできないため、friend.techの内容を確認するだけでも、わざわざETHをデポジットしなければならないという状況です。 さらに、ETHのデポジットを行う際には多くの手数料が発生します。 手続きの煩雑さや手数料に加えて、最も重要な点は、新興プロジェクトに大量の資産を預けることは、大きなリスクを伴う可能性があることです。少しでも試してみたいと考える人でも、Shareを購入しない限り、最低限のETHデポジットに留めることが賢明かもしれません。 招待コードが必要 さらに、手続きの面倒さを除いても、friend.techはどんな人でも簡単にアクセスできるアプリではありません。まず、招待コードが必要です。招待コードを手に入れるためには、旧Twitter(X)などで招待コードを提供している人を見つけるしか方法がありません。 おわりに インフルエンサーにとって、InstagramやYouTubeなどでのマネタイズは重要な課題です。たとえば、YouTubeではスーパーチャットなどを通じてファンから直接収益を得ることが可能ですが、多くの場合、企業案件や広告収入が主な収益源となっています。広告収入を得るには登録者数や総再生時間などの要件を満たす必要があり、ハードルが高いとされています。 以前はマネタイズの仕組みが整備されていなかったX(旧Twitter)も、最近になって収益分配プログラムが導入されましたが、それにも関わらずインプレッションを確保する難しさが残り、ハードルが依然として高いと言えます。 このような状況の中で、friend.techの仕組みが存在することは、著名インフルエンサーがXに偏るクリプト領域の需要を満たす潜在的な能力を持っていることを意味します。friend.techはXとの連携によって自身の知名度を利用し、容易に収益を生み出すことができるプラットフォームを提供しており、そのために多くの注目を浴びる要因となりました。 ただし、friend.techはプライバシーやユーザビリティに関して多くの懸念事項を抱えており、その将来には不透明な要素も存在します。その進展にどのような方向性が示されるかは分からないものの、friend.techの動向には引き続き注目が集まるでしょう。 friend.techが過去24時間の収益で全Dapps中1位を記録/
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2023/07/16L2ソリューション「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説!
DeFiなどを利用していると、悩ましいのがガス代や処理性能といった問題です。 特にもっとも知名度が高いイーサリアム経済圏では、問題になりがちであると言えるでしょう。 そんな中で、活用を検討したいのがL2ソリューションであるArbitrum Oneです。 この記事では、Arbitrum Oneの概要や仕組みから、ネットワーク設定からデポジット・解除までの一連の利用方法を解説しています。 Arbitrum Oneを使いこなしていきましょう。 CT Analysis第26回レポート『Ethereumを飛躍的にスケールさせるロールアップの概要と動向』を無料公開 Arbitrum Oneの概要 まず、はじめにArbitrum Oneの概要や仕組みなどについてチェックしていきます。 Arbitrum Oneを利用する前に知りたい基本的な部分を掴んでいきましょう。 L2について Arbitrum Oneについて理解するためには、Layer1(以下L1)やLayer2(以下L2)に対する基本的な知識が不可欠なため、簡単にご紹介していきます。 なにもしていない状態(L2のソリューションなどを利用していない)で、DeFiの利用や送金などを行う場合、基本的にL1のネットワークを利用している状態です。 L1は、イーサリアムに関連したサービスやソリューションの土台となっているネットワークとなっており、一般的な環境ではL1を利用していると考えて問題ありません。 しかし、近年では利用者が増加傾向にあり、L1で処理するトランザクションも増えつつあります。 特にイーサリアムは、トランザクションが増えれば増えるほど、ガス代(トランザクションを通すときの手数料)が上がる仕組みになっています。 そのため、DeFiなどが流行した際には、ガス代の高騰が問題視されるようになりました。 このような現象に対する対処法が、L2のソリューションです。 L2のソリューションでは、L1とは異なる場所や方法でトランザクションを処理するため、ガス代軽減・処理性能向上を期待できます。 Arbitrum OneはL2ソリューションの1つ Arbitrum Oneは、前述したようなL2ソリューションの1つです。 L2ソリューションといっても、トランザクションを処理する際の仕組みによっていくつか種類があり、Arbitrum Oneは「ロールアップ」に分類されるソリューションです。 そのロールアップの中でも、Arbitrum Oneは「Optimistic Rollup」というロールアップの技術を利用したソリューションになっています。 Optimistic Rollupは、2021年12月時点でもっとも利用されている主流なロールアップです。 また、Arbitrum Oneでは、AVM(Arbitrum Virtual Machine)という実行環境で、一連のトランザクションの処理を行なっています。 ロールアップの仕組みをもっと詳しく知りたい L2周りのソリューションをチェックしたい クリプトオタクとしてもっと成長したい! という方は、ぜひCT Analysisの詳細な無料レポート『Ethereumを飛躍的にスケールさせるロールアップの概要と動向』をご覧ください。 CT Analysisでは、DeFiや仮想通貨周りの関連技術についてのレポートを「無料」で公開しています。 CT Analysisのレポートへ Arbitrum Oneの特徴 次に、Arbitrum Oneの特徴についてご紹介していきます。 Arbitrum Oneを利用することによりメリットや特別なポイントをチェックしていきましょう。 手数料が安い Arbitrum Oneを利用する際の大きなメリットは、ガス代が安くなるという点でしょう。 CT Analysisで計測したデータでは、各L2ソリューションとイーサリアムのガス代比較は、以下のような数値になっています。 イーサリアムと比較すると、Arbitrum Oneの手数料が大きく低下していることが分かります。 ただしL2ソリューション間で比較すると、Arbitrum Oneは他のロールアップ系L2ソリューションと比較すると若干割高になっています。 しかし、Arbitrum Oneよりも大幅に手数料が安い「zkSync」「Loopring」は、別のロールアップを使用したものです。 そのため、一概に比較することはできません。(特徴が異なり、各ロールアップごとにメリット・デメリットがある) L2ソリューション間の競争はあるものの、Arbitrum Oneを利用すると、イーサリアムよりもガス代の大幅な軽減が可能です。 もっとも資金が集まっている Arbitrum OneのTVLは、2023年7月時点で21.7億ドル程度の金額になっています。 [caption id="attachment_95291" align="aligncenter" width="739"] ArbitrumのTVL|画像参照元:DefiLlama[/caption] ローンチ移行、非常に早いペースで資金がロックされており、現在Arbitrum Oneは最も資金がロックされているロールアップ系L2ソリューションです。 それだけ利用されいているということですから、Arbitrum Oneを利用できる各サービス間での開発などが加速する影響が期待できるでしょう。 利用できるサービスが多い 前述の通り、Arbitrum Oneには資金が集まっているため、Arbitrum Oneに対応するサービスがすでに多数発表されています。 一例ですが、以下のようなサービスが挙げられます。 1INCH AAVE ADAMANT AMY Curve SushiSwap Uniswap また、この他にも複数のブリッジ・ウォレット・ツールなどが利用可能となっており、Arbitrum Oneに対応したプロダクトはコチラからチェック可能です。 資金が集まっており知名度が高いことから自然と周辺環境が整っているのは、Arbitrum Oneが他のL2ソリューションに差をつけているポイントに挙げられるでしょう。 $ARBの概要 ArbitrumはDAOなどの発表とともに、2023年3月に独自のトークンである$ARBが発表されました。 $ARBは以下のような割合で分配されます。 2023年7月時点で約16.4億ドルの時価総額となっており、類似のロールアップであるOP(Optimism)を大きく上回っています。 以下の記事で、ARBのエアドロを詳しく振り返っています。 Arbitrum、約2100億円規模の大型エアドロップを振り返る|今後の獲得戦略も解説 Arbitrum OneとNova・Orbitの違いを解説 Arbitrumは、現在複数のチェーン(もしくはソリューション)を展開しており、どれも名前が似通っており混乱している方もいるかもしれません。 これから、そんな方に向けてArbitrum Oneと類似するソリューションやチェーンについて解説していきます。 Arbitrum OneとNova Arbitrum Novaは、Arbitrum Oneと似通った技術を採用しているものの、一部分を犠牲にしてより低コストな処理を可能にしているソリューションです。 Arbitrum Oneではより厳格なプロセスでトランザクションを処理しイーサリアムと同等のセキュリティを確保しますが、Novaは一定のセキュリティに留まっています。 具体的には、Arbitrum Oneでは全てのデータをイーサリアムに渡しますが、Novaでは基本的に別の場所でデータを処理し、問題が発生した場合のみオンチェーンで処理します。(また必要な委員会の量も圧縮) その代償として、Arbitrum NovaではOneよりもより早く・低コストで、さまざまな処理が可能です。 Arbitrum Novaは、Oneと比較して厳格なセキュリティが必要のないユースケース(ゲームやソーシャルなど)に焦点を置いており、若干Arbitrum Oneと特色が異なります。 ただし、両者ともL2であり細かな違いはあるものの、イーサリアム上に構築されています。 Arbitrum OneとArbitrum Orbit Arbitrum Orbitは、$ARBの発表などとともに発表されたArbitrum関連の技術を活用して、L3を構築するためのソリューションです。 Arbitrum Orbitにより、開発者はL2をベースにしたL3のブロックチェーンを開発可能です。(L2のL2のようなイメージ) Arbitrum OrbitのL3は、Arbitrum One・Novaのどちらにも構築できます。 L3によって、各アプリケーション固有のブロックチェーンといったよりカスタマイズ性の高いブロックチェーンを構築できるようにすることなどが、目的となっているようです。 Arbitrum Orbitによって構築されるL3ブロックチェーンは、パーミッションレスになっており自由に開発ができ、DAOなどを通す必要がありません。(新規のイーサリアム上のL2はDAOへの提案が必要) 複数のチェーンを展開するという観点から、CoinbaseのBaseが活用したOPスタックやスーパーチェーンとの類似性なども考慮できるでしょう。 Arbitrum Oneを利用するときの全体の流れ Arbitrum Oneを利用する際に、利用までの長い手順に対して戸惑ってしまうケースも少なくありません。 特にL2ソリューションをはじめて利用するという方にとっては、ハードルになりがちです。 そのため、Arbitrum Oneを利用するときの全体の流れを、まとめておきます。 ETHなどを予め入手 MetaMaskの設定を行う ブリッジを行う(L1からL2へ) 各サービスとの接続などを行う Arbitrum Oneから資金を解除(L2からL1へ) 少々長く感じられるかもしれませんが、実際はそれほど難しくありません。 また、Arbitrum Oneの利用には、前提としてイーサリアムなどのERC20規格のトークンが必要です。 まだ、仮想通貨を購入していないという方は、日本の仮想通貨取引所でイーサリアムを購入しましょう。(ガス代の支払いなどに必要なため、イーサリアムがおすすめ) はじめての仮想通貨取引所は、ビットコイン取引量日本1位で、スマホアプリから快適に取引可能なビットフライヤーがおすすめです。 ビットフライヤーの登録はコチラ。 Arbitrum OneのMetaMaskの設定方法 これから、Arbitrum Oneを利用するために必要なMetaMaskの設定方法(ネットワーク設定)についてご紹介していきます。 以下の手順で、MetaMaskでArbitrum Oneを利用できる状態にしていきましょう。 自動で行う方法 Arbitrum Oneにアクセス ウォレットを選択 ウォレットの承認 「Add L2 Network」へ ウォレットの承認 自らネットワーク設定を行う方法 MetaMaskへ 上部へ 「ネットワークの追加」へ 情報を入力 「保存」へ 入力する情報 ネットワーク名:Arb1 RPC:https://arb1.arbitrum.io/rpc チェーンID:42161 通貨記号:ETH ブロックエクスプローラーのURL:https://arbiscan.io どちらの方法であっても、MetaMaskのネットワーク欄に「Arbitrum One」が以下のように追加されていたら、成功しています。 Arbitrum Oneのブリッジ手順 Arbitrum Oneを利用するためには、ブリッジを利用してL1の仮想通貨をL2にて利用できる状態にする必要があります。 以下の手順で、Arbitrum Oneで仮想通貨を利用できる状態にしていきましょう。 L1からL2へのBridge Arbitrum Oneのブリッジへアクセス L1からL2にBridgeする仮想通貨を選択 (ティッカーなどを検索すると出てくる) 金額を入力 「Deposit」へ ウォレットの処理などを行う また、L1からL2へのブリッジを行う際には、ウォレットのネットワーク設定を「イーサリアムメインネット」になっている必要があります。 Arbitrum Oneのネットワークでは、利用できないため注意です。 1INCHでAAVEを使える状態にしてみる これから、一例として1INCHでArbitrum Oneを利用できる状態にしてみます。 AAVEをArbitrum Oneで利用する手順 1INCHへアクセス 右上から「Arbitrum」へ 「Connect Wallet」へ MetaMaskなどのウォレットを選択 ウォレットの承認などを行う 右上に文字列が表示されたことを確認 これ以降の1INCHの利用方法は、他のネットワークと大きく変わりません。 関連:マルチチェーン対応DEXアグリゲーター「1inch.Exchange」の基本的な使い方・リスクを徹底解説! また、他のサービスでArbitrum Oneを利用する場合であっても、利用手順はネットワークの設定・ウォレットの接続を完了すれば、基本的に利用可能です。 Arbitrum Oneの解除手順(Withdraw) 次に、Arbitrum Oneの利用を解除する手順をご紹介していきます。(仮想通貨をL2からL1へ) 以下の手順で、仮想通貨をL1で利用できる状態に戻していきましょう。 Arbitrum OneのWithdraw手順 Arbitrum Oneのブリッジにアクセス 真ん中の矢印をクリックして「L2」を振替元に トークンを選択 金額を選択 「Withdraw」へ ウォレットの処理を済ませる また、ここまでの処理が終了すると「7日間」程度の検証期間が必要です。 L2からL1に仮想通貨を戻すには、7日間の期間が必要であり、なおかつ検証の終了後にいくつか手順が必要になっています。 その手順は以下のとおりです。 Arbitrum Oneのブリッジにアクセス 検証中はトランザクションの以下のような履歴が表示 [caption id="attachment_70691" align="aligncenter" width="1012"] 引用元 Arbitrum (https://arbitrum.io/bridge-tutorial/)[/caption] 検証が完了したら「イーサリアムメインネット」に切り替え 検証が完了したトランザクション履歴の欄の「claim」をクリック L2からL1へのブリッジの際には「Arbitrum Oneのネットワーク」に設定されている必要があり、最終的な請求(claim)では「イーサリアムメインネット」への切り替えが必要です。 デポジットの際の手順も考慮すると、ネットワーク設定を何度か切り替えるタイミングが複数存在するため、注意しましょう。 絶対にチェックしたいArbitrum Oneの注意点・リスク これまでArbitrum Oneの使い方などについて解説しましたが、いくつか注意点やリスクも存在しています。 把握しておかないと、仮想通貨を無くしてしまうリスクなどもあるため、利用する上での注意点を1つ1つチェックしていきましょう。 中央集権的な取引所への送金は注意 ティッカーなどがほとんど変わらないため、勘違いしやすいのですが、Arbitrumネットワーク上の通貨をそのまま中央集権的な取引所へ送金する際は注意が必要です。 現状、Binanceのような大手取引所ではArbitrumネットワークのETHに対しての対応がなされていますが、まだ多くの通貨は未対応となっています。 そして、その他の中央集権取引所では、まだArbitrumネットワークのETHすら対応していない取引所も多く存在します。 通常、中央集権的な取引所では、L1用のアドレスを表示しているため、そのアドレスにL2の仮想通貨を送金すると、仮想通貨が失われる可能性が非常に高いです。 L1へのアドレスを送金する際は、その前にArbitrumネットワークからEthereumのネットワークへ戻してから送金を行いましょう。 予期せぬトラブルが発生する可能性 Arbitrum Oneに限ったことではありませんが、基本的にDeFiなどで運用を行う場合は、エラーなどによるリスクが伴います。 しかし、Arbitrum OneなどL2ソリューションの利用には、L2特有のエラーなどが出てくる可能性が否定できません。 Arbitrum Oneの公式チュートリアルでも、スマートコントラクトのリスクが指摘されています。 このようなリスクがあることから、Arbitrum Oneの利便性が高いからと言って、全ての資産をArbitrum Oneにデポジットするといった利用はおすすめできません。 仮想通貨の取り扱いに注意 Arbitrum Oneを利用する際には、送金や、頻繁にネットワークを切り替えたり、ブリッジの際に振替先・元をチェックする機会があります。 上記のような仮想通貨を取り扱う際にミスをしてしまうと、最悪の場合仮想通貨が無くなってしまうことや、意図しない操作をしてしまう可能性が考えられます。 特に注意したいのは、L2にブリッジした仮想通貨の送金です。 例えば、L2ソリューション間であっても、他のソリューションを利用する際には一度L1にブリッジした上で、再度L2へのブリッジを行う必要があります。 また、L2にブリッジした仮想通貨をそのままダイレクトに、L1のアドレスに送金することはできません。 L2ソリューションで仮想通貨を取り扱う際は、ネットワーク・振替元・振替先や送金先の情報をしっかりと確認した上で実行しましょう。 機能に制限がある可能性あり Arbitrum Oneに対応しているサービスであっても、すべての機能が利用できるとは限りません。 例えば、1INCHで「DAO」に該当する機能は、Arbitrum Oneのネットワークで利用できない状態になっています。 他のサービスでも、イーサリアムメインネットで利用できていた一部の機能が、Arbitrum Oneでは利用できないということがあります。 各サービスの核となる機能は利用できるケースがほとんど(DEXならSwapなど)ですが、絶対に利用したい機能などがある場合は、予め各サービスの対応状況をチェックしておいた方が良いでしょう。 デポジット・解除の問題 Arbitrum Oneは、解除(Withdraw)までに7日程度の時間が必要です。 このことから、解除されるまでに仮想通貨の価格に大きな変化があった場合、機会損失が発生する可能性は否定できません。 また、デポジットを行う際はイーサリアムメインネットでのガス代が適用されるため、タイミングによっては高額なガス代が必要になる可能性があります。 しかし、上記のようなデメリットは、Arbitrum Oneというよりも、Arbitrum Oneと同じロールアップを利用している他のL2ソリューションにも共通している問題となります。 Arbitrum Oneのデメリットやその仕組みなどを正確に把握するためには、Arbitrum Oneが採用しているロールアップである「Optimistic Rollup」への理解が不可欠です。 CT Analysisのレポートでは、Optimistic Rollupのデメリットについて詳しく解説しており、それが発生してしまう仕組みについても網羅的に解説しています。 「Arbitrum Oneの裏側の仕組みをもっと詳しく知りたい!」という方は、ぜひCT Analysisのレポートをご覧ください。 CT Analysisのレポートへ Arbitrum Oneについてまとめ この記事では、Arbitrum Oneについて解説しました。 Arbitrum Oneは、L2ソリューションでもっとも注目度の高いソリューションの1つであると言え、利用を検討している方も少なくないでしょう。 しかし、注意点やリスクが無いわけではありません。 注意点・リスクを把握した上で、活用していきましょう。 画像:https://arbitrum.io/
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2023/07/14L2ソリューション「zkSync」とは?特徴や使い方を徹底解説!
zkSyncは、zk-Rollupを利用したL2ソリューションの一つです。 トークンの引き出しの期間が短いなど、主流のOptimistic Rollup系ソリューションと比較してもメリットが多く、利用を検討している方も多いはずです。 しかし、その一方でzkSyncはプロダクトが少ないといったデメリットも見られます。 本記事では、そんなzkSyncの概要から特徴、使い方からデメリット・注意点について解説しています。 この記事に書いていること ・zkSyncとは何なのか ・zkSyncの規模について ・zkSyncの特徴 ・zkSyncの使い方 ・トークンを失うリスクについて zkSync = "zk-Rollup"を利用したソリューション zkSyncは、zk-Rollupを利用したLayer2(以下、L2)ソリューションの一つです。 zkSyncの全容を把握するには、L2ソリューションやzk-Rollupへの理解が不可欠です。 そのため、まずはzk-Rollupの概要や、zkSyncのL2ソリューションにおける立ち位置・規模感などについて紹介していきます。 L2とzk-Rollupの概要 イーサリアムの利用が広まるにつれて、イーサリアムのガス代高騰や処理性能低下が問題視されるケースが多くなりました。 タイミングによっては、シンプルにトークンを送信・DEXでスワップするだけで、数千円が請求されるといった事例も見られます。 上記のような問題を解決するのが、L2ソリューションです。 L2ソリューションにはさまざまな種類がありますが、zkSyncはその中でもロールアップを利用したプロジェクトに分類されます。 ロールアップとはトランザクションをまとめる技術で、主流なロールアップに「Optimistic Rollup」と「zk-Rollup」が挙げられます。 zkSyncは、前述した主流なロールアップの内、zk-Rollupを利用したL2ソリューションです。 他のロールアップとzk-Rollupの技術的な詳細などについては、CT Analysisで提供中の「Ethereumを飛躍的にスケールさせるロールアップの概要と動向」にて解説しています。 L2周りの技術やソリューションが気になる zk-RollupとOptistic Rollupの違いを詳しく知りたい 今熱い仮想通貨の話題を網羅的に把握したい といった方は、ぜひ下記のCT Analysisレポートを御覧ください。 CT Analysisのレポートへ zkSyncはTOP3に入る規模を持つ 記事執筆時点において、zkSyncのTVLは約6,100万ドルであり、zk-Rollupの中では第3位に位置しています。 [caption id="attachment_75970" align="aligncenter" width="1024"] 引用元:L2BEAT[/caption] ただし、これはあくまでzk-Rollupの中でのランキングであって、Optimistic Rollupなど他のソリューションを加えると第6位です。 また、最もTVLが高いOptimistic Rollup系のArbitrumは、20億ドルを超えるTVLを記録しています。 現状ではTVLの観点から見ると、全体的にOptimistic Rollupのほうが大きな規模となっています。 ただ、zkSyncはzk-Rollup内の規模としてTOP3に入っているため、zkSyncも代表的なL2ソリューションであると言えるでしょう。 zkSyncの3つの特徴 これから、zkSyncの特徴を以下の3つの観点から、ご紹介していきます。 ①コストが低い ②引き出しまでの時間が短い ③zksync eraの登場とEVM zkSyncの注目点・特別なポイントをチェックしていきましょう。 ①コストが低い zkSyncは、他のL2ソリューションと比較して、ガス代のコストが低いです。 上記の画像の通りOptimistic Rollupのソリューションと比較しても、大きな違いがあります。 このようなコストの低さは、ガス代の節約のために利用するL2ソリューションにとって大きなメリットです。 ②引き出しまでの時間が短い zkSyncは、L2からL1へトークンを引き出す際の期間が、Optimistic Rollupと比較して、非常に短いです。 ロールアップ系のL2ソリューションを利用する際は、L1にあるトークンを、L2で利用できる状態にする必要があります。 そして反対に、L2に送信したトークンをL1で利用できる状態にするには、L2から引き戻す必要があり、この過程で一定の遅延時間があります。 Optimistic Rollupを利用するソリューションでは、セキュリティの仕組み上、この期間が2週間ほど必要で、デメリットの1つに挙げられることが多いです。 一方のzk-Rollupを利用するzkSyncでは、利用者が多く早い場合は10分程度、遅くとも7時間程度でL1への引き出しが完了します。 この特徴は、ユーザーの使用感にポジティブな影響を与える大きな要素の一つでしょう。 ③zkSync eraの登場とEVM 2023年4月時点で、zkSyncにはera・Liteという2種類が存在しています。 zkSync eraは、zkEVMのL2ソリューションであり、シンプルな用途のみに利用されているLiteと比較すると汎用性が高いです。 zkEVMとはEVMとの互換性を持つzkロールアップのことであり、同じくEVM互換を持つOPロールアップと比較して、前述したようなさまざまな優位性が認められるため、現在複数の機関・企業が開発を進めています。 zkSync eraはLiteの後継として登場しており「Liteを1.0」、「eraを2.0」と表記することもあります。 zkSync eraの登場によって、zkSyncはEVM互換を達成したロールアップの1つになることができました。 gm zkEVM! 👋🏻 zkSync Era Mainnet Alpha is now open to all users. Developers, projects, and users can now experience the power of zkEVM. Read more: https://t.co/pL5PuZqanu 1/11 pic.twitter.com/oS6dwmXzeB — zkSync (∎, ∆) (@zksync) March 24, 2023 また、zkSync eraはzkEVMというポイントのみならず、大きなトピックとして注目されているAA(Account Abstraction)に対応しており、次世代のロールアップとして注目が集まっています。 AAは、現状広く普及しているEOAからCAへ移行していく流れのことです。 (EOA・CAともにアカウントの種類のことですが、EOAはコントラクトを扱えるCAと比較して柔軟性が低い) AAが進むことでアカウントの管理やガス代の支払いなど、利用者の観点から見たときに、さまざまな場面で利便性を大きく向上させることが期待されています。 zkSyncの使い方 これから、zkSyncの使い方を、以下のポイントからチェックしていきます。 zkSyncを利用する前準備 デポジットのやり方 アカウントのアクティベーション 引き出しのやり方 各プロダクトの利用方法 まだ、L2ソリューションを利用したことが無い方でも利用できるように、zkSyncを使い方を一から解説していきます。 zkSyncを利用する前準備 前提として、zkSyncの利用には以下のようなも準備が必要です。 ETHの購入 ウォレットの作成 ETHをウォレットへ送金 まだETHを持っていないという方は、国内仮想通貨取引所でETHを購入しましょう。 コチラの記事で、国内仮想通貨取引所であるビットフライヤーの口座開設手順を解説しています。 また、zkSyncの利用にはMetaMaskなどのウォレットの作成とETHの送金が必要です。 コチラの記事で、ウォレットの一連の作業はチェックできます。 ここまで完了したら、zkSyncを利用するための前準備は完了です。 デポジットのやり方(L1→L2) zkSyncを利用するには、L1のトークン(ETHなど)をL2で利用できる状態にしていく必要があります。 以下の手順で「L1からL2へ」の送金を完了していきましょう。 zkSyncとウォレットの接続 zkSyncの接続ページへ 「Ethereum Wallet」へ MetaMaskへ ウォレットの認証を済ませる トークンをL1からL2へ 「Top up」 へ 「zkSync」へ トークンを選択し、金額を入力 「Top up」へ ウォレットの認証を済ませる 上記の手順を済ませて、zkSyncに反映されるまでの時間は、設定したガス代などに左右されます。 アカウントのアクティベーション zkSyncでは、入金後、はじめての取引をする前に、一度ウォレットをアクティベーションする必要があります。 以下の手順で、ウォレットをアクティベーションしていきましょう。 取引を行う際に「Authorize to Sign account activation」が表示される 「Sign」へ 「Sign account activation」が表示される 「Sign」へ この作業は、はじめての場合のみ必要なので、一度アクティベーションすると再度要求されることはありません。 引き出しのやり方(L2→L1) 次に、zkSyncの引き出し(Withdraw)は下記の手順で行えます。 「Transfer」へ 「Send to Ethereum」へ 金額を入力 「Send to Ethereum」へ ウォレットで認証 また、通常送付先のアドレスは自動で入力されますが、任意のアドレスを入力することも可能です。 上記の処理を行うと、10分から数時間程度でL1に反映され、利用可能になります。 zkSyncの3つの注意点 これから、zkSyncの注意点やリスクについて以下のポイントからご紹介していきます。 ①プロダクトが少ない ②送受信に注意が必要 ③取引所への直接的な引き出しは非推奨 zkSyncを利用する上で、気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。 ①プロダクトが少ない zkSyncはera・Liteともに、まだまだ対応しているプロダクトが少ないです。 まず前提として、lite(これまでのzkSync)はEVMとの互換性を持たず、複雑なプロダクトをzkSync上で構築することができませんでした。 zkSync eraではその点を克服しているものの、ローンチからの日も浅く、まだまだOptimistic Rollup系のロールアップと比較すると、プロダクトの量も多くありません。 規模自体はまだまだOptimistic Rollup系のソリューションに達していないものの、今後に期待したいと言えるでしょう。 プロダクトの多いL2ソリューションであるOptimistic Rollup系のソリューション関しては、以下の記事で解説しております。 ・L2ネットワーク「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説! ・L2ネットワーク「Optimistic Ethereum」| 概要・使い方・リスクまで徹底解説! ②送受信に注意が必要 zkSyncにデポジットしたL2にあるトークンを、他のL2ソリューションに送付することはできません。 他のソリューションへ送付したい場合は、一度L1へ引き出して、その上でもう一度他のL2ソリューションへデポジットする必要があります。 ここでミスをすると、最悪の場合、トークンを失ってしまう可能性も考えられます。 zkSyncのトークンを送受信する際は、送付元・先の「アドレス・ネットワーク」を必ずチェックしておきましょう。 取引所への直接的な引き出しは非推奨 また、zkSyncの公式チュートリアルでは、取引所への直接の引き出しは推奨されていません。 引き出しを行う際に、送信先のアドレスで取引所のものを利用するものは、推奨されていないということです。 取引所へ送信する場合でも、一度自身のウォレットに送信してから、再度ウォレットから取引所へ送信するのがおすすめです。 まとめ:zkSyncは今後も大きな進化が期待できる ここまでzkSyncについて概要や使い方、注意点について解説してきました。 zkSyncは引き出しの短さや、ガス代の低さなどzkSyncさまざまなメリットがあります。 zksync eraの登場など、zkSyncに関する明るいニュースは多いです。 zkSyncは今後も注目したいL2ソリューションの1つであると言えるでしょう。 今後も是非CRYPTO TIMESでの情報発信を参考にL2関連の情報を追ってみてください。 最後までありがとうございました。 「ゼロ知識証明とzk-SNARKs」を初心者にもわかりやすく解説!
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2023/07/01ZetaChainとは?特徴や仕組みを解説【複数チェーンに対応】
ZetaChainは、オムニチェーンを志向するL1のブロックチェーンです。 独自のアプローチでインターオペラビリティに取り組み、ブロックチェーン間のやり取りをスムーズに行えるようにするプロジェクトになっています。 また、多くのブロックチェーンに対応しており、その中には類似プロジェクトにおいて対応されることが珍しいビットコインなどが含まれす。 この記事では、そんなZetaChainについて概要や特徴、仕組みなどについて以下のポイントから解説しています。 この記事のまとめ ・ZetaChainはチェーン間のやり取りをスムーズにする ・bitcoinなどのチェーンにも対応 ・ZetaChainベースからさまざまなチェーンに展開可能 ・メインネットが近づきつつある ZetaChainとは?オムニチェーンを志向するL1チェーン ZetaChainは、さまざまなブロックチェーンを接続し相互運用性を高めるCosmos SDKとTendermint Consensusで構築されたL1ブロックチェーンです。 現在、市場にある複数のブロックチェーンでは、さまざまなアプリケーション、コントラクト、資産が各チェーンに存在していますが、その各々が独自のルール・技術で運用されています。 そのため、ブロックチェーン間のやり取り・通信には大きなハードルがあり、さまざまなソリューションやプロジェクトがその問題に取り組んでいる状態です。 ZetaChainは上記の課題に取り組むプロジェクトの1つです。 ZetaChainによって、ブロックチェーン間のコントラクトの展開・資産の移動といったやり取りが容易になります。 まだ、メインネットはローンチされていませんが、公式によると既に1万件を超えるアプリケーションが展開されています。 ZetaChainのかんたんな特徴 これから、ZetaChainの特徴について、以下の3点から解説していきます。 ・多くのチェーンに対応 ・幅広いやり取りに対応 ・ZetaChainへの構築も可能 ZetaChainの特徴をチェックしていきましょう。 多くのチェーンに対応 ZetaChainは、非常に幅広いチェーンに対応しています。 Ethereumといった主要なスマートコントラクトに対応しているのはもちろん、bitcoinなどスマートコントラクトに対応していないブロックチェーンにも対応可能です。 そのため、Ethereum → Bitcoin、Ethereum → Dogecoinといったやり取りも可能になります。 これまでのクロスチェーン(チェーン間のやり取り)プロジェクトの多くは、スマートコントラクトを実装しているブロックチェーンにのみ対応が限られていることが一般的でした。 ZetaChainによって、非スマートコントラクト系のブロックチェーンに対しても、チェーン間のやり取りが可能になります。 また、ZetaChainは対応や導入に伴って、各チェーンごとに大きな変更を要求しないのも特徴の1つです。 幅広いやり取りに対応 ZetaChainは、資産の移動といった単純な用途に以外にも、コントラクトのやり取りなどにも対応しています。 ZetaChain以外の外部チェーンをコントラクトを通して管理したり、何らかの操作を行うことも可能です。 また、これはスマートコントラクトに対応している仮想通貨のみではありません。 ビットコインなどスマートコントラクトに対応していない仮想通貨に対しても有効です。 そのため、スマートコントラクトに対応したビットコインなどを、ZetaChainを通して利用可能になります。 例えば、ネイティブなビットコインをDeFiで扱うといったことが可能です。 ZetaChainへの構築も可能 ZetaChain自体はL1ブロックチェーンであり、構築も可能です。 他のクロスチェーン関連のプロジェクトは単一のアプリケーションや、通信に特化したものも見られます。 しかし、ZetaChainは他のL1ブロックチェーンと同様に、さまざまなアプリケーションの土台として機能します。 ZetaChainに構築されたアプリケーション・プロジェクトは、ZetaChainに構築するだけでさまざまなブロックチェーンに対応させることが可能です。 開発者はローンチするチェーンごとに開発やコントラクトの展開を行う必要がなく、ZetaChainを通してまとめて接続・コントロールができます。 ZetaChainの仕組み 特徴の次にZetaChainの仕組みについて、以下のポイントから解説していきます。 ・ZetaChainの全体の設計 ・オブザーバー ・TSSを用いた署名 ・zEVM ・クロスチェーンのやり取りの例 ZetaChainの動く仕組み、特徴を実現している裏側について詳しくチェックしていきましょう。 ZetaChainの全体の仕組み ZetaChainの用途は幅広く、それに伴っていくつか構造に特徴が見られます。 ZetaChainが可能にする主要な要素・機能は以下のとおりです。 オブザーバー:外部チェーンからの受信内容への処理 TSSを用いた署名:外部チェーンへの送信内容への処理 zEVM、ZRC-20:ZetaChain内のVMとトークン オブザーバーとTSSを用いた署名を含む領域は"ZetaClient"、zEVMを含む領域は"ZetaCore"と呼称されています。 ZetaClient・Coreともに、ZetaChain内のバリデーターに含まれており、ZetaChainのPoSネットワークに基づいている仕組みです。 また、オブザーバー・TSSを用いた署名の両者に何らかの方法で、不正や問題を発生させないための工夫が取り込まれています。 オブザーバー (引用元:whitepaper) ZetaChainのオブザーバーは、ZetaChainが接続している外部チェーンからの関連トランザクションを処理するセクターです。 オブザーバーは含まれる作業には、主に2つのトピックがあります。 1つ目がトランザクションの検出、2つ目がトランザクションの検証です。 オブザーバーは外部チェーンのトランザクションを監視し、関連するトランザクションを検出します。これには、コントラクトの呼び出しなども含まれます。 検出されたトランザクションは検証され、最終的なファイナリティを得るまでにZetaChainでのコンセンサスを通すことが必要です。 ZetaChainにおけるオブザーバーは、外部チェーンからの情報のやり取りにおける入り口のようなものと捉えられます。 TSSを用いた署名 ZetaChainは、外部チェーンとやり取りを行うに伴い、外部チェーンにウォレットを保有します。 しかし、ウォレットを動かすには秘密鍵を用いた署名が必要です。 そのため、ZetaChainサイドから外部チェーンへ何らかのアクションを行うには署名を行う必要があります。 これは、ウォレットの管理の核である秘密鍵を、一連のアクションに伴い何らかの方法で共有する必要があるということです。 そこで、ZetaChainではTSSに基づいたキーを用いて、外部チェーンに対する署名を可能にします。 (引用元:whitepaper) 上記をかんたんに解説すると、分散で鍵を保有・署名するための仕組みです。 具体的には秘密鍵の情報を分割し、ノードに対して一部分ずつ別個に配布していきます。 これによって、秘密鍵の全ての情報が単一の主体に漏れることはありません。(全ての情報が単一の主体に漏れなければ悪用されることはない) 上記の仕組みを通じて、分散して保有した秘密鍵を通じて、署名を行います。 外部チェーンからすると一般的な秘密鍵を用いた署名と大きな違いはありませんが、ZetaChainサイドでは秘密鍵の所有と署名は分散化されている状態です。 スマートコントラクトのブロックチェーンに限らず、Bitcoinなどに対しても同様のプロセスで署名していきます。 オブザーバーがZetaChainへの入り口なら、TSSを用いた署名はZetaChainから外部チェーンに対する出口のようなものとイメージすると良いでしょう。 zEVM zEVMは、ZetaChainの仮想マシンです。 EthereumのEVMと互換性を持ち、EVMと似通った機能を持っています。 同時に、いくつかzEVM独自の特性も追加されており、これらは概ね各ブロックチェーンとのやり取りに特化したものです。 zEVMに展開したコントラクトは外部チェーンとのやり取り、外部チェーンからのやり取りに対応しており、接続されている各ブロックチェーンと高い相互運用性を持ちます。 また、zEVMの資産はZRC-20というERC-20の拡張版として呼称されています。 クロスチェーンのやり取りの例 ZetaChainがクロスチェーンで行うやり取りの例について、クロスチェーンメッセージパッシングという仕組みから見ていきましょう。 この仕組みは、クロスチェーンのコントラクトコールなどに用いられます。 利用者がチェーンAのコントラクトとやり取り オブザーバーが検出しZetaCoreに通知 ZetaCoreが外部チェーン向けのトランザクションに変更 TSSの署名を行う主体にその旨を通知し検出される TSSの署名者はトランザクションに対して署名を行い、外部チェーンに送信 トランザクションが承認された場合、それを検出 問題が無い場合はクロスチェーンのトランザクションを終了する 上記の例は、主に外部チェーンに存在するコントラクトとやり取りを行う場合のプロセスです。 zEVMに展開されたコントラクトが外部チェーンとやり取りを行う場合はまた異なるプロセスを踏み、前述したzEVMが持つ特性を発揮します。 ZetaChainと他のプロジェクトの比較 これから、ZetaChainと似通ったプロジェクトの比較を行っていきます。 ・LayerZero ・Cosmos IBC 他のブロックチェーン間のやり取りに焦点を当てたプロジェクトとの違いを押さえていきましょう。 LayerZero ZetaChainとLayerZeroの最も大きな違いは、その対応範囲です。 LayerZeroは、ブロックチェーン間のやり取りに特化したシンプルなプロジェクトです。 ただし、ZetaChainと異なり、BitcoinなどのEthereumに対応していない仮想通貨とやり取りすることはできません。 Cosmos IBC CosmosもIBCを通じて、さまざまなブロックチェーンとの通信を可能にするプロジェクトの1つです。 Cosmosもインターオペラビリティを重視したプロジェクトになっていますが、通信可能なのはIBCに対応するブロックチェーンに限られています。 一方で、ZetaChainはIBC対応・非IBC対応に限らず、通信が可能です。 ZetaChainのこれから・今後 ZetaChainは2023年6月時点でテストネットが展開されています。 まだメインネットはローンチされていません。 また、具体的なメインネットの時期についても不明ですが、段階的にテストネットのフェーズが完了しつつあります。 テストネットの段階も後半に入っており、メインネットが近いという発信も確認できます。 📢 ZetaChain’s new long-term, decentralized testnet, Athens is now live. The future of omnichain and ZetaChain mainnet is close: https://t.co/Nnb9zSZ1OJ — ZetaChain (@zetablockchain) June 21, 2023 ZetaChainのテストネットはインセンティブが付いていることもあり、これまで160万人以上のユーザーが参加しています。 テストネットの段階から非常に注目を集めていると言えるでしょう。 ZetaChainについてまとめ この記事では、ZetaChainについて解説しました。 ZetaChainは、インターオペラビリティ・オムニチェーンを志向するプロジェクトの1つです。 類似するプロジェクトは複数見られ、このトピックは今後より注目を集める可能性が高いでしょう。 ZetaChainはそんな中で、注視したいプロジェクトの1つです。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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2023/06/20「MatchNova」の概要、遊び方を解説 -遊ぶだけでトークンが手に入る!対戦型マッチ3パズルゲーム-
MatchNova(マッチノヴァ)は、様々な能力を持つNFTキャラクターを用いて相手を対戦するマッチ3パズルゲームです。 今年4月に正式ローンチされたMatchNovaは、AppStoreおよびGoogle Playにてすでにダウンロードできるようになっています。 本記事では、MatchNovaのゲーム概要や基軸通貨のMCCトークン、ガバナンストークンのWCCとそのトークンエアドロップ情報等を紹介します。 対戦型マッチ3パズルゲームMatchNova MatchNovaは、同じ色の宝石を3つ以上並べて消す対戦型マッチ3パズルゲームです。 スコア等のゴールを目指して遊ぶシングルプレイヤーではなく、相手と同じボードを共有して消した数を競うマルチプレイヤー対戦型である点が大きな特徴です。 ゲームプレイは、以下の動画でわかりやすく紹介されています。 https://youtu.be/imhhOITax34 対戦はターン制で行われ、各ターンに2回スワップができるようになっています。宝石を消すとアルティメット(必殺技)のゲージが溜まっていき、溜まりきるとそれが発動し、より多くの宝石を消すことができます。 対戦にはキャラクターNFTが必要となり、それぞれのキャラクターが異なるアルティメットを持っています。例えばサルのMiloであればランダムに5つの宝石を消す、キツネのDexterであれば十字に5つの宝石を消すといったように、ターン制のパズル対戦の戦略性を深めるユニークな技がたくさん用意されています。 MCCトークンとキャラクターNFT 対戦ゲームプレイにはNFTで表されたキャラクターが必要になります。キャラクターNFTにはアップグレード可能な能力値が付与されているほか、各々が固有のアルティメットを持っています。 キャラクターNFTは一度使用すると消滅するお試しタイプのWarrior NFTはアプリ内で1.99米ドルから、一度購入するとスタミナを消費して何度でも使えるHero NFTはマーケットプレイスにてBNBで購入できるようになっています。 NFTのアップグレードには、MatchNovaのゲーム内通貨であるMCCトークン(BSCベース)が必要になります。MCCトークンは発行枚数無制限のユーティリティトークンで、アプリ内の基軸通貨となっています。 MCCトークンはアプリ内で購入するほかに、通常のゲームプレイを通しても獲得することができます。 MatchNovaの3つの対戦モード MatchNovaにはフリープレイ、ノーマルモード、バトルモードの3種類の対戦モードが用意されています。 フリープレイはスタミナの消費やキャラクターNFTを必要としない完全無料のゲームモードで、対戦の練習になるだけでなく、プレイ後に小量のMCCトークンが手に入るようになっています。 ノーマルモードはキャラクターNFTが必要になるMatchNovaの標準的なゲームモードで、スタミナを消費してランダムな相手とマッチングし対戦します。勝利するとMCCトークンが手に入りますが、この際報酬をランダムで0.1~10倍になる「ラッキースピン」に賭けることもできます。 バトルモードはスタミナは消費せずキャラクターNFTだけが必要な対戦モードで、対戦参加フィーを掛け合って特定の相手と対戦し、勝者がすべてを持っていくというゲームモードです。 このように、MatchNovaでは、キャラクターNFTの強化に必要なMCCトークンを無料のものも含め様々な方法で入手できるようになっています。 ガバナンストークンのWCCとエアドロップ情報 MatchNovaには、ゲーム内の機能利用に必要なMCCの他に、ガバナンストークンの役割を果たすWCCトークンが存在します。 WCCはゲーム内の特定の機能をアンロックしたり、開発元(SuperNova Lab Ltd.)の別ゲームでの利用、そしてWCCのトレジャリーの使い道への投票といったユーティリティと持っています。 総発行枚数20億枚となっているWCCは、以下の通りの割り当てとなっています。 プレイヤー: 35% エコシステム: 30% プライベートインベスター: 15% チーム: 15% パブリック: 3% アドバイザー: 2% MatchNovaはWCCのIEOを行わず、かわりに6月16日から7月15日にかけてWCC5,000万枚をユーザーにエアドロップします。 エアドロップへの参加はMatchNovaから可能で、エアドロ期間のスタートと同時にゲーム内から獲得へのタスクが表示される予定です。 MatchNovaのプレイ方法・レビュー MatchNovaはAppStore (iPhone/iPad)およびGoogle Play (Android)からダウンロードできるようになっており、誰でも気軽にプレイできます。 MCCやWarrior NFTの購入もすべてアプリ内からできるようになっており、特別外部ウォレット等を利用しなくてよい点もユーザーフレンドリーです。 AppStoreにおいて、暗号資産をインゲームでアプリ内購入できるBCGはほかにAxie InfinityとStepnしかありません。 キャラクターNFTに関してはアプリ内で購入する以外に、友人等からギフトしてもらう、レベル5以上の同じNFTを組み合わせて新しいものに替える、MatchNovaのプロモーションイベントに参加する等様々な方法があります。 アプリ内から購入する場合は、マーケットプレイスから好きなキャラクターを選んで購入するか、またはランダムで何かが得られるNFTボックスを購入することもできます。 またMatchNovaをプレイするにあたり、インフルエンサー等向けのアンバサダープログラムや、招待した側とされた側両方が特典を得られる招待プログラム等も用意されています。 MatchNovaを実際にプレイ 以下は、実際にMatchNovaのアプリをiPhoneでダウンロードして触ってみたレビューになります。 NFTキャラクターの購入 ノーマルモードおよびバトルモードのプレイに必要なキャラクターNFTですが、現状MCC自体では購入することはできず、アプリ内決済を通して現金のみとなっているようです。Warrior NFT一度手に入れれば何回でも使えるわけではなく、ノーマルプレイではNFT自体を消費する点が要注意です。 一方、BNBで購入できるHero NFTはスタミナを消費/回復することで何度でも使えるようになっています。スタミナの回復はMCCを払って行うことができます。 今回は、トラのキャラクターのLeo Warrior NFTを一枚(ワンプレイ分)購入して遊んでみました。キャラクターにはランダムに生成されたステータスが付いています。 ノーマルモードのゲームプレイ プレイ画面は上画像のような形になっています。各ラウンド2スワップずつですが、一度に4つ以上の宝石を消すともう1ターン動かせるようになるため、できるだけ4つ以上消す、そして相手が4つ以上消せる形を残さないことがバトルのキーになります。 自身は青、相手は赤の宝石を消すとアルティメットのゲージが溜まっていき、100%になると自分のターンに任意で技を発動することができます。相手の色の宝石をなるべく残さないようにするのも、有効な戦略となるでしょう。 ラッキースピンに挑戦! こうして4ラウンドのスワップを繰り返し、最終的により多くの宝石を消した方が勝者となります。 今回は勝利できました!勝利報酬として2.89MCCを入手しました。 ノーマルモードでは、NFTとスタミナを消費する点、勝った後にもらえるMCCトークンをラッキースピンに賭けられる点がフリープレイと異なります。今回はラッキースピンに挑戦し、見事報酬を3倍にすることに成功しました。 Spending AccountとBSCアプリ内ウォレット 獲得したMCCや他のトークンは、ゲーム内ですぐに使えるSpending Accountに保管されます。任意のタイミングで、外部ウォレット(BSC)に移行することが可能です。 BSCウォレットはアプリ内から新しいものを作れるほか、シードフレーズを介して外部ウォレットをインポートすることもできるようになっています。 チーム・インベスター情報 MatchNovaのリード役となるのはNicky Jin氏とRaymond Wu氏で、どちらともブロックチェーン業界に長年携わってきています。 その他のチームメンバーも、ブロックチェーン関連のデベロッパーは6年以上の経歴、ゲームデベロッパーは10年以上の経歴と、熟練のメンバーが揃っています。 主要インベスターはAIPOLLO、LINKVC、ACE DIRECT INTERNATIONALの3社で、パートナーはBNBチェーンをはじめとする以下となっています。 MatchNovaの関連リンク: 公式ウェブサイト Twitter Discord Instagram MatchNovaのアプリダウンロードリンク: AppStore (iPhone/iPad) Google Play (Android)
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2023/06/18NFTアグリゲーター「OpenSea Pro」の使い方、出品・購入を解説【完全ガイド】
NFTのマーケットプレイスは大小さまざまありますが、OpenSea Proはこれらを集約したNFTマーケットプレイスアグリゲーターです。 大手NFTマーケットプレイスであるOpenSeaが、定評のあったプロNFTトレーダー向けアグリゲーターのGemを買収してリブランドしたもので、2023年4月から稼働しています。 この記事では、OpenSea Proの特徴と使い方について説明しました。 操作画面のイメージを交えて解説したので、最後まで読めばOpenSea Proを使ってNFTの取引ができるようになりますよ。 OpenSea Proの7つの特徴を解説 最初にOpenSea Proの特徴について説明します。 単なるNFTマーケットプレイスではなく、マーケットプレイスアグリゲーターであるがゆえの有利さをしっかり確認しておきましょう。 OpenSea Proの7つの特徴 1. 170を超えるNFTマーケットプレイスを集約したアグリゲーター 2. NFTマーケットプレイスの情報をリアルタイムで反映 3. 先行のNFTアグリゲーターBlurと並んでトップクラスの規模 4. まとめ買いなどの高度な注文が可能 5. NFTのマーケット分析機能が豊富 6. ライブミント機能でNFTがリアルタイムでミントできる 7. OpenSeaでの手数料は期間限定で0% 170を超えるNFTマーケットプレイスを集約したアグリゲーター OpenSea ProはNFTマーケットプレイスではなく、たくさんのマーケットプレイスを集約したアグリゲーターです。 集約しているマーケットプレイスは170以上の膨大な数で、それらに出品されているNFTを最も有利な価格で取引可能です。 多数のマーケットプレイスを探し回って比較検討する必要がないので、労力が大幅に削減できますよ。 NFTマーケットプレイスの情報をリアルタイムで反映 リアルタイム性はOpenSea Proの重要な特徴です。 OpenSea Proは集約しているマーケットプレイス上でのNFTの動きやユーザーのアクティビティを、OpenSea Proの画面にリアルタイムで反映するので、OpenSea Proだけにアクセスすれば、マーケットプレイス群全体の状態をリアルタイムに把握することができます。 また、OpenSea Proでのユーザーのアクションも個々のマーケットプレイスに即座に展開されるので、多数のマーケットプレイス群を同時に利用するのと同様の効果が得られます。 先行のNFTアグリゲーターBlurと並んでトップクラスの規模 これまでNFTアグリゲーターのリーディングプレーヤーはBlurでしたが、2023年4月4日の立ち上がり以来OpenSea Proは多くのアクティブユーザーを獲得し、一気に互角に近いレベルにまで成長しました。 アクティブアドレスのシェアと取引回数はすでにBlurを超えており、取引総額もBlurにせまりつつあります(※)。 メジャーな2大NFTマーケットプレイスアグリゲーターとして、OpenSea ProとBlurで市場を2分しているのが現在の状態です。 ※Dune Analyticsのデータによる まとめ買いなどの高度な注文が可能 OpenSea Proでは複数のNFTをまとめて購入する機能が用意されています。購入するNFTを複数選択してカートにいれて、それらをまとめて購入することが可能です。 またスイープ機能を利用すれば、同一コレクションのNFTのうち指定された個数のものを購入してくれます。 まとめ買い機能のメリットは単に便利というだけではありません。単品で購入する場合と比較してガス代が少なくて済むため、NFT一点あたりの購入コストが下がりますよ。 NFTのコレクションとは? 複数のNFTをとりまとめたものをコレクションと呼びます。同一シリーズのNFTをまとめるフォルダのようなものでコレクション名が付与されており、NFT群の管理単位として利用されています。 NFTのマーケット分析機能が豊富 OpenSea Proの長所のひとつにNFTのマーケット分析の機能が豊富な点があります。 NFTは日々増え続けており様々なマーケットプレイスで取引されるため、それらの情報を集約して分析することは困難でした。 OpenSea Proは、NFTコレクションに含まれるNFTの取引量や売買価格のトレンドを、様々なマーケットプレイスから情報を取り出して集約して見せてくれます。 さらにはNFTを保有しているウォレットの情報も詳細に確認できるため、分析の時間が大幅に効率化できます。 ライブミント機能でNFTがリアルタイムでミントできる 多くのコレクションが、購入成立時にNFTのミントを行うLazy Minting方式でNFTを配布しています。 OpenSea Proでは、Lazy Mintingを行っているコレクションを様々なマーケットプレイスから集約し、購入とミントを同時に行うことができるライブミント機能を提供しています。 ライブミント機能のダッシュボードからその時点でミント可能なコレクションを一覧してミントできるので、とても便利です。 Lazy Mintingとは? NFTをミントしてから販売するのではなく、NFTの取引が成立したときにミントする方式です。ミントのためのガス代は取引が成立した時点で発生するため、NFTがまだ売れていない状態でガス代を支払う必要がありません。 OpenSeaでの手数料は期間限定で0% OpenSea ProからNFTを取引する場合の手数料は、対象のNFTが出品されているマーケットプレイスによります。 ただし、OpenSea ProからOpenSeaにNFTを出品した場合は、取引手数料が0%です。通常はOpenSeaの取引手数料は2.5%なので、OpenSea Proから出品したほうがずっとお得です。 このメリットについてOpenSeaは「期間限定」と明言しているで、今後変更される可能性がある点には留意しましょう。 OpenSea Proの基本的な使い方を紹介 OpenSea Proの特徴が理解できたので、次は基本的な機能の使い方を説明します。 操作画面の画像を交えて解説したので、順を追って確認していきましょう。 この記事ではウォレットとしてMetaMaskを使用した場合の画面イメージを使用していますが、他のウォレットでもほぼ同様です。 OpenSea Proの基本的な使い方 使い始めるまでの事前準備 OpenSea Proの画面構成 NFTを購入する 自分が保有するNFTを確認する NFTを出品する NFTをミントする 使い始めるまでの事前準備 OpenSea Proを使うには、OpenSea Proと接続するウォレットと取引の原資となるETHが必要です。 これらの準備は、OpenSea Proを使い始める前にすませておきましょう。 仮想通貨のウォレットの準備 OpenSea Proに接続可能なウォレット MetaMask WalletConnect Coinbase Wallet Rainbow Phantom Rabby Ledger Live OpenSea Proを使用するには、OpenSea Proに接続できるウォレットを準備する必要があります。 OpenSea Proに接続可能なウォレットは複数ありますが、使用できるウォレットをインストールしていない場合は事前にインストールしておきましょう。 仮想通貨ETHの準備 OpenSea Proで扱えるのはイーサリアムのブロックチェーン上のNFTです。 そのため、OpenSea ProでNFTの取引を行う場合にはETHが必要になります。 ウォレットにETHが無い場合は、仮想通貨取引所で購入してウォレットに送金しておきましょう。 OpenSea Proとウォレットを接続する ウォレットとETHの準備ができたら、OpenSea Proのサイトにアクセスしましょう。 画面の右上部の「Connect Wallet」をクリックし、開いたダイアログで自分が使用するウォレットを選択します。 ウォレット側でのパスワード入力などの認証が成功すれば、OpenSea Proとウォレットの接続は完了し、OpenSea ProでNFTの取引が可能になります。 OpenSea Proの画面構成 OpenSea Proの画面構成 構成要素 説明 ナビゲーションバー 詳細情報表示エリアに表示する内容を選択するメニュー 検索ボックス 詳細情報表示エリアに表示される情報を検索によって絞り込むボックス ウォレット情報表示ボタン 接続中のウォレットに関する情報を表示するボタン カートボタン カートに入っているNFTのリストを表示するボタン 詳細情報表示エリア ナビゲーションバーでのメニュー選択に応じて、情報を一覧表示する部分 OpenSea Proの基本的な画面構成について確認しておきましょう。 OpenSea Proの画面は、左にナビゲーションバー、中央に詳細情報の表示エリア、上部に検索ボックスや各種ボタンという配置です。 ナビゲーションバーのメニュー選択によって、それに応じた内容が詳細情報表示エリアに表示されます。 NFTを購入する 次は、出品されているNFTを購入する手順について解説します。 数多くのNFTの中からターゲットとなるNFTを見つけ出して購入する方法を、順を追って確認していきましょう。 出品されているコレクションやNFTを確認する OpenSea Proから購入できるNFTを探す場合は、ナビゲーションバーで「Market」を選びましょう。すると、現在出品されているNFTを含むコレクションが一覧表示されます。 コレクションのリストが表示された画面で個々のコレクションを選択すると、そのコレクションに含まれるNFTがリスト表示されます。 そして個々のNFTを選択すると、そのNFTの詳細情報が表示されます。 クリエーターや現在のオーナー、出品価格や過去の売買履歴など、このNFTに関するすべての情報をこの画面から確認することが可能です。 NFTを購入する 購入するNFTが決まったら、個別のNFTの情報画面で「Buy now」を選びましょう。 するとウォレットからの支払い画面が立ち上がります。ここで「確認」を選択すれば、NFTが購入されます。 支払い画面には必要なガス代の見積もり額や、NFTの購入額を合わせた支払総額が表示されているので、しっかりチェックしましょう。ガス代は刻々と変わるので、安くなるタイミングを待ってNFTを購入するのも賢い方法です。 複数のNFTをまとめて購入するには 複数のNFTをまとめ買いするときには、カートを使います。 購入したいNFTにチェックをすれば、選択したNFTがカートに入ります。カートの画面で「Buy Now」を選べば、カートに入っているすべてのNFTをまとめて購入します。 まとめ買いをするならスイープ機能を使うのも便利です。 コレクションに含まれるNFTのリストが表示されている状態で、画面最下部にNFTの購入個数を入力すれば、指定された数のNFTが選択されてカートに入ります。 NFTのまとめ買いはガス代がお得 複数のNFTを購入する場合は、個々のNFTを個別に購入するよりも、カートに入れてまとめて買いましょう。個別購入よりもガス代が節約できるのでお得です。 自分が保有するNFTを確認する 自分が保有するNFTを確認するには、画面左部のナビゲーションバーで「Profile」を選択しましょう。すると自分が保有しているNFTがリスト表示されます。 またこの画面では、タブを選択することで自分が保有しているNFTに関するさまざまな情報を表示することが可能です。 保有しているNFTの状況や出品中のNFTのステータスなど、接続中のウォレットに紐づいているNFTの詳細をすべて確認できますよ。 NFTを出品する 保有しているNFTを出品する時には、ナビゲーションバーで「Profile」を選択して自分が保有しているNFTのリストを開き、リストするNFTを選びましょう。 そして「List Items」を選択すると、出品内容の設定画面が開きます。 ここで出品価格や出品期間を入力し、出品するマーケットプレイスの選択を行って「Start Listing」を選択すると、出品処理が実行されます。 基本的には出品にはガス代はかかりません。しかし、コレクションごとに初回の出品時にのみコレクションを承認するためにガス代がかかります。 コレクションの承認 自分が保有するNFTを出品するためには、そのNFTを含むコレクションの販売を承認する必要があり、それにガス代が必要になります。一度承認すれば同一コレクションのNFTの出品時に承認は不要です。 NFTをミントする Lazy Mintが可能なコレクションのNFTは、OpenSea Proからミントすることが可能です。 ミントするには、ナビゲーションバーから「Mints」を選びます。するとミント可能なコレクションのリストが表示されるので、リストの右端の「Mint」のボタンをクリックしましょう。 「Mint Now」のダイアログが表示されるので、そこでミントするNFTの数を入力し、Term & Conditionsに同意するチェックを入れて、ダイアログの下部にある「Mint Now」のボタンを選択しましょう。 Mintに必要な金額の確認画面がウォレットからポップアップするので、ガス代の見積もり額を含めた支払総額をしっかりチェックし、「確認」を選べばミントが始まります。 ミントが終わると、自分が保有するNFTのリストにミントされたNFTが追加されます。 OpenSea Proを使うときの5つの注意点 ここまでOpenSea Proの使い方について説明してきました。OpenSea ProでのNFTの取り扱いについて、だいぶイメージできてきましたよね。 ここからはOpenSea Proを使う上で注意すべき点について紹介します。 OpenSea Proを使うときの5つの注意点 1. 不正に入手されたNFTを避ける 2. フィッシング詐欺に気を付ける 3. ウォレットのシードフレーズをなくさない・教えない 4. 取引時は必ずガス代を確認する 5. イーサリアムの価格に敏感になる 不正に入手されたNFTを避ける NFTマーケットプレイスでは、盗品や改造品などの不正に入手したNFTが販売されていることがあります。そういったNFTにかかわるとトラブルに巻き込まれる可能性が高いので、購入することは避けましょう。 OpenSea ProのUI上では、怪しいNFTに対しては警告のマークがついており、注意を喚起しています。 フィッシング詐欺に気を付ける NFTマーケットプレイス関連のフィッシング詐欺が多く発生しています。 メジャーなマーケットプレイスを偽装したメールをユーザーに送り、不正なスマートコントラクトに署名するよう誘導してNFTを盗むといった事例が報告されています。 届いたメールに反応する前に、心当たりのあるメールかどうか、クリックするURLに怪しい所はないかなどの基本的な確認を怠らないようにしましょう。 ウォレットのシードフレーズをなくさない・教えない ウォレットのインストール時に12個の単語からなるシードフレーズが割り当てられます。 シードフレーズはウォレットをリカバリーする際に使用するもので、ウォレットを紛失したり削除したりしても、シードフレーズがあれば以前の状態に復元できます。 シードフレーズの保管には細心の注意を払う必要があります。 なくしてしまうとウォレットのリカバリーは不可能です。また、誰かに知られてしまうとウォレットを自由に使われるリスクを抱えることになります。 取引時は必ずガス代を確認する NFTを取引するときには、NFTの売買価格以外にネットワークに支払うガス代がかかります。 常に一定の金額ではなくネットワークの込み具合によって変動するので、ガス代が高い時期に取引を行うと、NFTの買値に加えて想定以上のコストがかかることになります。 NFTの取引時には、取引を確定する前にガス代がいくらかかるのかを必ず確認しましょう。 またネットワークの状況を確認し、ガス代が比較的安い時を狙って取引を行うことも重要です。 >>イーサリアムのガス代の状況を確認するにはこちら イーサリアムの価格に敏感になる OpenSea ProでNFTを売買する際に使用する暗号資産はイーサリアムです。OpenSea Pro上では、NFTの取引価格やガス代はすべてETHの単位で表示されています。 しかし、法定通貨に対するイーサリアムの価値は日々大きく変動するので、ETH単位での値段が変わっていないNFTでも、法定通貨に換算した場合の価値が大きく変動していることも多くあります。 OpenSea ProでNFTを取引する場合には、イーサリアムの価格に常に目を配っておくことが必要です。 まとめ この記事ではOpenSea Proの使い方について解説しました。操作画面の画像を交えて順を追って説明したので、しっかりイメージできましたよね。 OpenSea Proは、たくさんあるNFTマーケットプレイスを集約したアグリゲーターです。 OpenSea Proにアクセスするだけで、さまざまなマーケットプレイスに出品されているNFTを比較検討して最良の取引ができます。 まとめ買いなどの機能を使いこなせばガス代も節約できるので、NFTをトレードする機会の多い人にはとても便利ですね。
プロジェクト
2023/06/17相互運用性プロトコル「LayerZero(レイヤーゼロ)」とは?特徴や使い方を解説
LayerZero(レイヤーゼロ)は、ブロックチェーンの相互運用性を確保するプロジェクトの1つです。 これまでの相互運用性を確保する上でデメリットになっていた課題を、解決する存在として注目されています。 LayerZeroは、複数の資金調達を実施しており、直近では30億ドルの評価で1.2億ドルの資金調達にも成功しました。 この記事では、そんなLayerZeroについて以下の観点から解説しています。 この記事のまとめ ・LayerZeroは相互運用性に焦点を当てている ・さまざまな課題を解決 ・トラストレスで多種多様なチェーンに展開可能 ・オラクルとリレイヤーを中間に設置 ・他の類似プロジェクトと比較しても利点を持つ LayerZeroとは?=ブロックチェーン間の相互運用性に特化したプロトコル Layer Zeroは、ブロックチェーン間の相互運用性に特化したプロトコルです。 現在、多数のブロックチェーンが乱立しており、各ブロックチェーンにさまざまなアプリケーションが構築されています。 その一方で、各ブロックチェーン間のやり取り(トークンの転送、クロスチェーン取引など)を可能にする手段は限られており、利用者サイドにもさまざまなデメリットが生じています。 そのため、さまざまな角度からの相互運用性への取り組みが存在していますが、各ソリューション・機能にはいくつかのデメリットが存在しています。 上記のような課題を解決するために、LayerZeroは開発されました。 オラクル、リレイヤー、エンドポイントといった主要な機能を用いて、ブロックチェーン間のやり取りをスムーズにします。 https://twitter.com/LayerZero_Labs/status/1643238493714280455?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1643238493714280455%7Ctwgr%5E776635bb5be119e74a1224ce2e0a5984324f9625%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.neweconomy.jp%2Fposts%2F307430 LayerZeroを開発するLayer Zero Labは、2023年4月にa16z cryptoなど著名な複数のVCから1.2億ドルの資金調達に成功しており、30億ドルの評価も受けています。 LayerZeroを利用した開発や、統合したプロダクトもいくつか確認でき、注目されているプロジェクトの1つになっています。 LayerZeroの特徴 これから、LayerZeroのかんたんな特徴について、以下のポイントから解説していきます。 ・チェーン間のシンプルなやり取り ・各チェーンへ展開できる汎用性 ・トラストレスな転送 LayerZeroの特別なポイントを押さえていきましょう。 チェーン間のシンプルな転送・取引 LayerZeroでは、ブロックチェーン間でシンプルな転送・やり取りが可能です。 ブロックチェーン間で、データやトークンの転送を行う方法はすでにいくつか存在していますが、その多くが複雑だったり、リスクがあったり、コストが掛かったりすることが多いです。 これは、各ブロックチェーン間でルールやさまざまな規格が異なることによって発生しています。 LayerZeroではオラクル、リレイヤーという2つの要素のみをブロックチェーン間の中間に置くことでシンプルな転送を可能にし、複雑性やリスク・コストの軽減などを実現します。 各チェーンへ展開できる汎用性 LayerZeroは、各チェーンに対して容易に展開できます。 LayerZeroの枠組みを利用して、各チェーンを接続するにはいくつかの機能・技術を各ブロックチェーンで開発する必要性はあるものの、さまざまなチェーンへの展開が比較的容易です。 例えば、EVM、非EVM、Ethereum系のサイドチェーンやロールアップにも展開可能です。 実際に、すでにLayer Zeroでは、以下のような多数のブロックチェーンで対応してます。 Ethereum BNB Chain Avalanche Aptos Polygon 主要なEthereum系のロールアップ (あくまで一例であり、この他にも多数のブロックチェーンに対応) また、今後も多数のブロックチェーンに対応していく旨が明らかにされています。 トラストレスな転送・取引 Layer Zeroでは、トラストレスな転送・取引が可能になります。 現状、利便性やコストを重視すると、ブロックチェーン間のトラストレスな転送は難しいです。 例えば、CEX(中央集権的な取引所)を利用する場合、CEXへのトラスト(信頼)が必要になります。 オンチェーンのプラットフォーム、ソリューションを利用する場合は軽減できるものの、依然としてコストが増えたり、複数のリスクを抱えることになります。 LayerZeroにおいて、各ブロックチェーン間に存在するのはリレイヤーとオラクルのみであり、各々は独立していることで整合性が保たれています。 LayerZeroの核となる機能や仕組み これから、Layer Zeroの特徴を実現している核となる機能・仕組みについて、以下のポイントから解説していきます。 ・エンドポイント ・オラクル ・リレイヤー ・一連の流れ ・オラクル・リレイヤーンに対する懸念 LayerZeroの仕組みと、実際にトランザクションが処理されていく過程をチェックしていきましょう。 エンドポイント LayerZeroにおけるエンドポイント(Endpoint)は、各ブロックチェーンで展開している情報の送受信や検証を行う部分です。 具体的には、後述するオラクルとリレイヤーが送信してきた情報を処理して、利用者に反映させる役割を担います。 エンドポイントが存在することで、トランザクションが有効なものであるということを各ブロックチェーンで確認でき、反映させることが可能です。 エンドポイントには、いくつかの要素がありますが、その中でもCommunicator・Validator・Networkという要素が、トランザクションを処理するまでの過程で主要なものになります。 何らかのリクエストが送信された場合、非常に簡素的に解説すると、概ね以下のような順番でエンドポイントにおいて段階的に処理されていきます。 Communicator Validator Network (上記は送信元の順番。送信先では上記の逆から段階的に処理される) 上記の過程で処理されたものが直接利用者に反映されていくため、エンドポイントは各ブロックチェーンに存在する利用者に最も近い要素です。 オラクル Layer Zeroのオラクルは、送信元のチェーンから必要な情報の一部を読み取り、送信先のチェーンに送信する役割を担います。 具体的には、送信元エンドポイントから受け取ったデータと送信元のチェーンから読み取ったブロックヘッダーを、送信先のチェーンに送信します。 上記の過程は後述するリレイヤーとは独立して、実行されます。 オラクルはデフォルトのものを使用することで構築する必要はありませんが、独自に構築していくことも可能です。 リレイヤー リレイヤーについても、送信元のチェーンから必要な情報を一部読み取り、送信先のチェーンに送信します。 リレイヤーは、送信元のチェーンから処理されるトランザクションのプルーフを読み取り、送信先のエンドポイントから受け取ったブロックヘッダを元に対応するプルーフを送信先に返します。 その後、受け取ったブロックヘッダとプルーフを元に、送信元から送られた情報の有効性が送信先のエンドポイントにて検証されます。 こちらも、デフォルトではLayerZeroによる提供されるリレイヤーを使用可能ですが、独自のリレイヤーを構築することが可能です。 一連の流れ 上記を踏まえた上で、Layer Zeroの全体的なトランザクションが処理されるまでの流れを解説します。 送信元のチェーンから送信したい情報が、送信元のエンドポイントに対してリクエスト 送信元のエンドポイントとチェーンがリレイヤーとオラクルに複数の情報を送信 その中でも重要なブロックヘッダーはオラクルに、プルーフはリレイヤーが独立して受信 オラクルから送信先エンドポイントにブロックヘッダーを送信 送信先エンドポイントからブロックヘッダーがリレイヤーへ リレイヤーは対応するブロックヘッダと情報を送信先エンドポイントへ 送信先エンドポイントが内容を検証し、送信先にて反映 LayerZeroではリレイヤーとオラクルは独立しているという前提のもと、送信先エンドポイントにて「リレイヤーとオラクル間の情報に矛盾は無い」とチェックできることで、トランザクションの有効性を確保できます。 そのため、Layer Zeroにおいては各エンドポイントにおける処理と反映、そしてリレイヤーとオラクルの独立性が守られているというのが核になります。 オラクルとリレイヤーに対する懸念 前述したとおり、LayerZeroでは、オラクルとリレイヤーの独立性が守られていることが重要です。 仮にオラクルとリレイヤーの独立性が守られていない場合、有効ではない(悪意のある)ものが処理されてしまう可能性があります。具体的には、オラクルとリレイヤーが結託・共謀することで、有効ではないものに対しても、プルーフとブロックヘッダーの2つが矛盾しないものを送信可能となってしまいます。 しかし、この場合でも、他のクロスチェーンのソリューションと比較すると、上記リスクは(前提として発生しにくいもので、仮に、不正が発生したとしても、あくまで不正が発生したリレイヤーとオラクルを利用する主体に被害は限られる可能性が高いです。 一方で、これまでのソリューションでは、中間に位置する何らかの主体に対して問題があった場合、プロダクトやソリューション全体に影響が出る可能性がありました。 これらの点を考慮すると、LayerZeroには依然としてメリットがあるといえるでしょう。 LayerZeroと他のプロジェクトとの比較 LayerZeroのように相互運用性を実現するためのソリューション、プロジェクトはいくつか存在しています。 これから、LayerZeroのホワイトペーパーで触れられているものからピックアップして、以下の3点から解説していきます。 ・Thorchainなどとの比較 ・Polkadotとの比較 ・Cosmosとの比較 LayerZeroと他のプロジェクトの違いを押さえていきましょう。 Thorchainなどとの比較 Thorchainでは、各ブロックチェーン間の取引に各ブロックチェーンのトークンと結合したRUNEを用いります。 RUNEを用いることで、各通貨ごとに流動性のプールを作成する必要がなくなり、通貨ペアが増えていくごとに大量に必要になる流動性のプールを不要にします。 一方で、RUNEを活用するThorchainのようなソリューションでは、取引が複雑になり処理に過剰なリソースが必要です。 LayerZeroでは、前述したような技術で、中間にトークンを必要としません。 Polkadotとの比較 Polkadotでは、中心となるリレーチェーンに各パラチェーンが接続され、各パラチェーン同士の相互運用性が確保されています。 リレーチェーンが中間に存在することで、さまざまな情報のやり取りが可能になりますが、リレーチェーンを使用することで追加のコストが発生します。 LayerZeroでは、リレーチェーンのようなブロックチェーンを置く必要はなく、コストの発生を防ぐことが可能です。 Cosmosとの比較 Cosmosのエコシステムでは、IBCに対応したブロックチェーンは全て接続することが可能です。 IBCに対応したブロックチェーンであれば、相互運用性を容易に確保可能です。 その一方で、IBCに対応していない場合は、接続することはできません。(また、IBCに対応にはいくつかの条件が存在しており、ブロックチェーンの種類によっては対応へのハードルが高い) LayerZeroでは拡張可能な余地が残されており、IBCほどのハードルはありません。 LayerZeroの使い方 LayerZeroを利用したアプリケーション、プロトコルについて気になった方もいるかも知れません。 一例として、LayerZeroを利用した代表的なプロトコルであるStargateがあります。 Stargateでは、複数のブロックチェーンを介した取引・ファーミングに対応しており、さまざまな用途で利用が可能です。 これから、そんなStargateのベーシックな機能の使い方について以下のポイントから解説していきます。 ・Stargateに接続 ・Stargateで転送 ・Stargateで流動性の提供 Stargateの基本的な使い方をマスターしていきましょう。 Stargateに接続 Stargateへアクセスし「Connect Wallet」へ ウォレットを選択し接続へ 上記の手順で、Stargateとウォレットの接続が完了します。 Stargateで転送 画面上部の「Transfer」へ トークン、ネットワーク、金額などを設定し「Transfer」へ StargateのTransferでは、各ブロックチェーン間のトークンの1対1の交換が可能です。 取引手数料はSTGトークンの場合無料、STGではない場合は0.6%かかってきます。 また、プールの状況によってリバランス料金というものが発生することがあります。(プール内のトークンの需給バランスに応じて変化) Stargateで流動性の提供 上部の「Pool」から任意のプールを選択 金額などを指定し、流動性の追加を行う Stargateでは、予め設定されている各ペアの流動性の提供に伴って報酬を獲得できます。 流動性の提供を行うとLPトークンが配布され、プール内の比率に伴って発生した手数料を獲得可能です。 LPトークンを返却することで、資金を取り戻すこともできます。 まとめ この記事では、LayerZeroについてさまざまな面から解説しました。 LayerZeroは対応するチェーンを積極的に増加させており、著名なプロトコルとの統合なども確認できます。 重要なキーワードになっている相互運用性を確保する代表的なプロジェクトなので、今後も注目していきたい存在と言えるでしょう。