Fuel Networkとは?特徴や今後を解説|モジュール型ブロックチェーンの可能性

2024/01/01・

airutosena

Fuel Networkとは?特徴や今後を解説|モジュール型ブロックチェーンの可能性

この記事では、Fuel Networkについて解説しています。

Fuel Networkは、ブロックチェーンに必要な要素を分業で行うモジュール型のブロックチェーンの実行レイヤーを担います。

モジュールの特性を持つブロックチェーンは、ブロックチェーンが持つ諸問題を解決するとして注目されており、Fuel Networkはその点に取り組むプロジェクトの1つです。

過去には8,000万ドルを超える資金調達にも成功しており、各方面から注目が集まっています。

この記事では、そんなFuel Networkの概要から特徴、高いパフォーマンスを出す仕組みなどについて解説しています。

この記事のまとめ

・Fuel Networkは実行を担うレイヤー
・モジュール型のブロックチェーンでは分業で処理を行う
・Fuel Networkによると世界最速の実行レイヤー
・並列処理が可能
・EVMを改良したFuelVMを搭載

Fuel Networkとは?=実行レイヤー特化のモジュール型ブロックチェーン

Fuel Networkは実行レイヤーに特化し、ブロックチェーンをスケーリングさせるプロジェクトです。

イーサリアムの混雑・遅延・ガス代高騰を改善するために、これまでさまざまな対策が取られてきました。

その代表例が、サイドチェーンやロールアップといったソリューションです。

特にロールアップは、イーサリアムのセキュリティを備えた上で高い処理能力や低いガス代を実現することで、普及が進んでいます。

その一方で、ロールアップが処理できるトランザクションの上限は、仕様上L1の容量・能力に依存します。

そんな中で、新たなスケーリング方法として、Fuel Networkや複数のプロジェクトが提案しているのが、より一連の仕組みを分割するモジュール型のブロックチェーンです。

Fuel Networkは、モジュール型の中でも、特にブロックチェーンの処理における「実行」に焦点を当てたプロジェクトです。

Fuel Networkではさまざまな技術を用いて一定のセキュリティを確保した上で、高いパフォーマンスを発揮します。

また、Fuel Networkを開発するFuel Labsは、Blockchain CapitalとStratosが主導して2022年9月に8,000万ドルの資金調達に成功しています。

上記のようなポイントからも、Fuel Networkへ熱い視線が向けられていることが分かるでしょう。

(Fuel Networkには、Fuel v1というソリューションもありますが、そちらはロールアップで、この記事で執筆しているものとは異なります。)

Fuel Networkの簡単な特徴

これから、Fuel Networkのかんたんな特徴について、以下のポイントから解説していきます。

・モジュール型のブロックチェーンの一種
・世界最速の実行レイヤー

Fuel Networkの特別なポイントや、Fuel Networkを理解する上で必要となる基礎的なポイントをチェックしていきましょう。

モジュール型のブロックチェーンの一種

Fuel Networkは、モジュール型ブロックチェーン、モジュラー型ブロックチェーンの実行レイヤーにあたるソリューションです。

モジュール型のブロックチェーンとは、ブロックチェーンに必要な要素を各レイヤーが分割して担う方式で、分割することで分散性やスケーリングの向上が期待できます。

ブロックチェーンがトランザクションを処理し機能するには、以下の4つの要素が必要です。

  • 実行
  • 決済
  • コンセンサス
  • データの可用性

利用者がブロックチェーンを通して行ったアクションは、上記過程を何らかの形で通ります。

実行はトランザクションを実行、スマートコントラクトのやり取りなどを実現する過程。決済は異なるレイヤー間でのやり取りや、トランザクションを確定させます。コンセンサスでは検証する主体の間で合意を行い、データの可用性は過去のデータを見られることを意味します。

通常のブロックチェーンは、上記の過程を1つのブロックチェーンで行います。(図の左側”Monolithic”部分)

一方で、モジュール型のブロックチェーンの仕組みでは、各過程を役割に応じて各レイヤーが担当します。(図の右側”Modular”部分)

Fuel Networkは、上記の中でも実行レイヤーに焦点を当てたプロジェクトです。

また、モジュールの対義語として、上記の全てを1つのブロックチェーンで行う方式を「モノリシック」と呼称することもあるので合わせて覚えておきましょう。

世界最速の実行レイヤー

Fuel Networkによると、Fuel Networkは世界最速の実行レイヤーです。

Fuelは後述する技術により、トランザクションの並列処理(同じタイミングで複数のトランザクションを処理)と新たなVM・言語を実装し、高いパフォーマンスを実現します。

実行レイヤーが高いパフォーマンスを発揮することで、トランザクションの速度が早くなるなど、利用者が高い利便性を享受できます。

また、Fuel Network単体でも全ての機能を持ったモノリシックなブロックチェーンとしての運用も可能ですが、そのような用途は推奨されていません。

Fuel Networkはあくまでモジュール型のブロックチェーンの普及重視しており、その中でも「早い実行レイヤー」の実現に焦点を当てています。

Fuel Networkの仕組み

これから、Fuel Networkの重要な仕組み・技術について、以下の観点からさらに詳しく解説していきます。

・実行レイヤーの役割
・並列実行を可能にする方法
・FuelVMと言語

・FuelVMとEVMの比較

Fuel Networkについて理解を深めていきましょう。

実行レイヤーの役割

まず、はじめにFuel Networkが焦点を当てている実行レイヤーの役割・立ち位置について解説していきます。

モジュール型のブロックチェーンでは、ブロックチェーンを動かすために必要な要素を複数のレイヤーに分割し、複数のソリューションが各レイヤーを担当します。

Fuel Networkが焦点を当てている実行レイヤーは「トランザクションの処理・状態遷移(変化した内容を適用する)」が主な役割です。

実行レイヤーでは、上記のポイントのみを担当します。

実行された内容を検証するプロセスが必要になりますが、その他の別のレイヤーに渡すというのが、モジュール型の基本的な流れです。

前述したブロックチェーンを構成する要素に例えると、実行レイヤーは実行のみを担当します。

実行レイヤーの役割が終わった後は、決済・コンセンサス・データの可用性を別のレイヤーに渡します。

そのため、仮に実行レイヤーで何らかの問題が発生した場合、検証を行う異なるレイヤーに問題がなければ、無効なトランザクションは通りません。

また、設計に組み込まれている場合は何らかのソリューションが複数のレイヤー担うことも可能です。(Fuel Networkであれば、実行・決済など)

並列処理を可能にする方法

Fuel Networkが、高いパフォーマンスを発揮する背景の1つが、トランザクションの並列処理(同時に複数のトランザクション)を可能にしている点です。

並列処理を可能にすることで、トランザクションを処理するコンピュータが持つポテンシャルをフルで発揮できるようにします。

並列処理は、何らかの要素を共有しているトランザクションを同時に処理すると、非決定的な事例が発生する可能性がある方法。そのため、イーサリアムではトランザクションを1つ1つ順番に処理していき、シーケンシャルに実行します。

Fuel Networkでは、上記の問題を発生させず、並列処理を実装するために共有する要素をまとめたリストを作成し、そのリストを元にトランザクションを並列処理していきます。

また、そのリストは UTXO(未使用トランザクションアウトプット)を用いて実装されます

FuelVMと言語

Fuel Networkが持つさまざまな特徴を実現するために、Fuel Networkでは「FuelVM」という環境と「Sway」というプログラミング言語を用います。

FuelVMは、EVMにさまざまな改良を加えたVM(バーチャルマシン)であり、同時にSolana・Cosmos・Bitcoinなども参考にしながら開発されました。

Swayは、FuelVMで使用することを想定したスマートコントラクトを扱うためのプログラミング言語で、主に、Rustをベースにして開発され、Solidityも参考にされました。

FuelVMとEVMの比較

FuelVMは、EVM(イーサリアムバーチャルマシン)と比較してさまざまな違いを持ちます。

例えば、複数のトークンをネイティブアセットとして使用可能です。

ガス料金に用いられるのはベースとなるトークンのみですが、ネイティブアセットになることができるトークンはイーサリアムのようにETHのみではありません。

ネイティブアセットのバリエーションが増えることで、利用者の観点から見たときにいくつか、利便性の向上が期待できます。

例えば、DEXの使用時において、FuelVMではETH以外のトークンであっても単一のトランザクションで扱うことが可能です。

通常、DEXを使用する際、イーサリアムではETH以外のトークンは、2つのトランザクションを通す必要があります。

2つのトランザクションを通すことでコストがかかるのはもちろんですが、特にリスクとして認識したいのは「上限のない承認」です。

2つのトランザクションのうち、1つのトランザクションはアクセスを許可するトークンの量を指定する要素があり、実用上、上限のない承認を与えていることが一般的です。(ここでトークンの金額の上限を設定すると、上限を超えると再度コントラクトの承認が必要になるため)

これは、承認したコントラクトが悪意のあるものであった場合、全てのトークンが失われることを意味し、DeFiを使用する際の主要リスクの1つに挙げられます。

Fuel Networkでは、上記のような課題を解決していると言えるでしょう。

Fuel Networkとロールアップについて

Fuel Networkは、その特性上、OP・ZKロールアップとの類似点が非常に多いです。

ロールアップ、Fuel Networkともに処理した内容を別のレイヤーに渡すという点では似通っています。

モジュール型のブロックチェーンの全体図を考慮すると、ロールアップは「実行」にあたるレイヤーを担っているとも言えるでしょう。

この点もFuel Networkとの類似性を高くしていますが、いくつかの違いもあります。

例えば、ロールアップはL1チェーンとの関係が非常に強く、前述した通り基盤となるL1チェーンが持つさまざまなパフォーマンス・限界に大きく左右されます。

Fuel Networkに関しては、他のモジュール型のブロックチェーンを併用して、より各レイヤーが複数のソリューションが担う構造を実現できる可能性を秘めています。

Fuel Networkの今後

Fuel Networkは、これまでいくつかのテストネットをローンチしています。

2022年9月からBeta-1、2022年11月からBeta-2、2023年3月からBeta-3、2023年9月Beta-4が実施されています。

まだ、テストネットで試験的に運用されており、明確なメインネットのローンチ時期などは判明していません。

現在、FuelではEthereumのSepoliaネットワークとBeta-4 テストネット間のブリッジを公開しています。

具体的な明言できないものの、徐々にメインネットに近づいていると考えられます。

どのテストネットについてもインセンティブがついたテストネットではないと明言されていますが、一般の利用者でも参加自体は可能です。

Fuel Networkについてまとめ

この記事では、Fuel Networkについて解説しました。

Fuel Networkは、スケーリング問題やブロックチェーンのトリレンマを解決する答えの1つになるかもしれないポテンシャルを持つプロジェクトです。

Fuel Networkや、類似のモジュール型のブロックチェーンを目指すさまざまなプロジェクトには、今後も注視していきたいと言えるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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