インタビュー
2019/11/28エンタープライズ領域でのブロックチェーン活用を支援, 電縁 吉田健一さんインタビュー
CRYPTO TIMESでは先日、株式会社電縁のイノベーションオフィスにてブロックチェーン関連事業に携わる吉田健一さん(@DENEN_YOSHIDA)にインタビューを行いました。 今回のインタビューでは、電縁が取り組むブロックチェーン事業や、2019年から加速を続ける事業者のブロックチェーン導入の動向などを詳細に語っていただきました。 本記事はインタビューのスクリプトを書き起こして一部編集したものになります。 電縁 吉田健一さんインタビュー 自己紹介 ――本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。初めに、自己紹介をお願いします。 はじめまして、株式会社電縁の吉田と申します。社内では、イノベーションオフィスというところで室長をやっています。 電縁自体はシステム開発を行う会社で、イノベーションオフィスではブロックチェーン技術に限らず、新しい技術の取り込みにフォーカスしています。 社内では勉強会なども開催されており、新しい事業に繋がる動きを模索しています。 ――ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何ですか? 個人的には、ビットコインの名前はMtGOXなどの話で知っていたのですが、儲かるらしいぞということで興味を持ちました。 最初はビットコインではなく草コインをマイニングしようと思って、家にあるサーバーを使ってCPUを利用したマイニングソフトを動かしたりはしていましたが、「なんだこれ全然儲からないじゃん」っていうのがありましたね(笑) その後、実際に親会社がブロックチェーンに関わるとなり、「電縁で誰かいないか?」と募集があったので「やらせてください」と名乗り出ました。当時は「ビットコインはブロックチェーンというもので動いてる」くらいしか知りませんでした。 すると、調べれば調べるほど面白い仕組みであることがわかり、会社ではBitcoinCoreのソースを覗いたりいじってみたりするようになりました。同時に社内ではインターン中心にBitcoinCoreを改造し「DENコイン」を作ってみたり、スマホのウォレットアプリも改造して災害時の安否情報確認アプリを開発・リリースなども行ったりしました。 ――ブロックチェーン関連事業は、どのような経緯で始まったのですか? 2015年末に、当時の親会社が日本ブロックチェーン協会(JBA)の立ち上げに関わっていたことがきっかけで、2016年の頭くらいには既にブロックチェーンの受託開発を始めました。 ただ、明確にプロジェクトチームや部署があるわけではなくて、社内のリソースを割きながら、私ともう一名くらいで取り組みだした感じです。 外向きの営業などは特に行わず、引き合いがあればご相談を受け、開発まで話が進めばリソースを確保して実証実験等もやらせていただく流れでした。 仮想通貨取引所でハッキング事件があった頃は業界も冷え込んでおり、その時はブロックチェーンの活動はあまり行っていなかったのですが、今年に入って少し空気感も変わってきたので会社としてももっと力を入れていこうということで、8月にアドバイザーも迎えて色々動いている段階です。 電縁のブロックチェーン関連事業について ――電縁として現在携わっているブロックチェーン事業について教えてください 今提供しているサービスの1つが「PoCの一括支援パッケージ」です。元々2016年からやってきた実証実験のノウハウを生かし、主にエンタープライズ領域でのブロックチェーン活用を一括支援していくサービスになります。 もう一つが「仮想通貨取引所向けの支援サービス」です。 仮想通貨取引所を運営していくためには様々な業務が必要で、非常に大変だというお話も聞きますし、開発にとどまらず広く様々な業務をサポートしていければと考えスタートしました。 この二つが軸としてあり、他にも企業の担当者からエンジニアまでブロックチェーンリテラシーを上げたいというニーズに応える「教育・人材育成サービス」もやっています。 「ブロックチェーンサービスの事業担当者は基礎知識を持っているが、社内全体は理解していない」というケース向けに社内研修をやったり、エンジニアをブロックチェーンエンジニアに育てたい会社さん向けにハンズオン的なサービスも提供しています。 そして最後に、社員が使っている電子機器や端末などを正しく管理し、セキュリティリスクを未然に防ぐ「端末管理」サービスもやっています。 一般の大きい会社さんはすでに導入が進んでいますが、仮想通貨取引所さんですとそこまで手が回っていないケースも有るかと思い、特に「取引所向けにカスタマイズした端末管理サービス」もつい先日発表させていただいています。 ――コンサルティングはヘビーに見えますが、社内のリソースはどのように確保していますか? 一番メインの担当は私なのですが、社内には元コンサルファーム出身の人間もいるので、コンサルティングはそこにお願いしています。 開発分野では、社内でも勉強会含めブロックチェーンエンジニアを育成していて、案件もこなしています。 現段階でブロックチェーンエンジニアと呼べる人間は社内に7~8人います。案件の兼ね合いでブロックチェーンとは関係ない部分もやっていますが、リソースとしてはそれぐらいですね。 ブロックチェーンを使ったシステムと言っても、実際にブロックチェーンに関わらなければいけない1〜2割程度なので、他は普通のエンジニアがいれば十分だと考えています。 そう言った意味では、弊社は社員120名のうちほぼほぼエンジニアなので、ここのリソースは確保しやすいです。 特に、実証実験系は社内のリソースをうまく活用してやるということが大きいです。 仮想通貨取引所向け事業に関しては、ほぼほぼ金融の世界になってきて社内だけでは厳しいので、アライアンスを組ませていただいている会社さんと連携しながらやっています。 先日アライアンスを組んだ例ですと、AMLツールの提供を行うBassetさんと協力し、弊社はそのツールの導入支援などを行っています。 ――PoCや取引所の支援サービス等色々やっていらっしゃるとのことですが、特に取引所支援の実例等ありますか? これは発表させていただいたのも10月なので、まさにこれからといった感じです。 ただ日本の取引所は数も限られているため、日本国内のニーズは当然あると思いつつ、海外にも視野に入れ営業をかけているような段階です。 弊社の公式のツイッターアカウントで、先週は「今タイにいます」みたいなツイートもしているくらい現在は営業メインでやっています。 ブロックチェーンの実社会適用について ――電縁は「ブロックチェーンを適用した際の効果を最大化させる」ことを掲げていますが、これを達成するために特に注目しているポイントなどはありますか? 一社でプライベートチェーンを使うのはご存じの通りあまり効果がありません。 ブロックチェーンを使うにあたりブロックチェーンのいいところをすべて使う必要はないと思っていて、いい感じに適用できてメリットもある要素が一つでもあるなら、そこは使っていこうと考えています。 例えば通常のRDBですと、管理者権限が手に入ってしまうとログを残すことなくデータの書き換えが可能だったりします。そしてそれを防ぐためには別のツールを導入し、そこで何百万もかかったりというケースもあります。 こういったところにブロックチェーンを適用すると、そうそう改ざんはできないし、ログも残るし、さらに安く済むので良いなと考えています。 また、コンソーシアムのケースなら、複数の企業間でデータを共有する際にそれぞれがシステムを作って繋ぎ込むより絶対安く速くできるという明確なメリットがあるので、使う価値はとてもあると思っています。 どこまで適用するのか?というポイントは、実証実験を進めていく中で考えればよくて、それを本番の事業に反映できればと考えています。 ――ブロックチェーンを導入したい事業者向けにこういったサービスを展開していると思いますが、パブリックチェーンに対する関心はどうですか? パブリックチェーンへの興味関心という点では、2016年くらいにあるコンサル会社さんに共同事業を提案され、当時よくあった契約書のハッシュを利用して真贋証明をというようなものがありましたが、これはパブリックのEthereumを使っていました。 日本語の情報も少なくて、色々調べながらスマコンを作った感じでした(笑) でもやはり、法人向け事業だとパブリックという考え方は基本的にないですね。 パブリックとプライベートの説明から始まることもよくあるんですが、要件を聞いていくとパブリックじゃデータを隠せないとか、そういうところを含めて実現できないことも多いです。 なので、基本的にはコンソーシアムかプライベートになってしまいますね。 ――逆に、パブリックチェーンを適用することで効果が最大化される領域というのは何かありますか? あり得るとは思っていますが、ブロックの承認時間等が問題になると思っています。そこをクリアできれば、データもより信頼できるようになると考えています。 弊社は使ってはいないですが、アメリカのファクトムとかは裏にビットコインを使っていたりして、これはまさにいい事例だと思っています。 使いたいお客さんがいれば使いたい、という気持ちはありますが現状あまりニーズがないですね(笑) そこまでしてデータを残したいケースってがなかなかないですが、これから世間の関心がToBよりToCに近くなれば、出てくるのではないでしょうか。 ――2016年頭からやってきて様々な知見がたまっていると思いますが、ブロックチェーンと特に相性がいいと感じるような業界・事業はありますか? 弊社は金融以外の領域への適用が面白いなと考えていて、よく言っているのがトレーサビリティ(追跡可能性)などがわかりやすいと思っています。 オラクルなど現実との紐づけ的な文脈でブロックチェーンだけでできない部分がたくさんありますが、AIやIoTなどと組み合わせて適用していけば非常にいいものができるのではと思っています。 弊社でも一時期、AIをやっていたり、センサー等ハードウェアの業者とも親交があったりします。 ブロックチェーンはあくまでもツールの一つとして考えて、様々なものと組み合わせてこれからより面白い仕組みが作れたらと思っています。 現状だと、クリプトスペルズなどNFTを利用したゲームが流行っていますが、この延長でNFTに関連したコンテンツ系サービスが色々出てくるかなと考えています。 まさに、スタートバーンさんがやろうとしているアート作品への適用ですとか、或いはデジタルコンテンツへの適用であるとか、ここら辺から社会的に使われるサービスが誕生してくるのではないでしょうか。 ただ、会社として自社サービスを作る段階には入っていないのかなといった印象です。 今後の方向性について ――業界的な部分で言うと、2018年は相当厳しく、2019年にようやくブロックチェーンの技術に焦点が当たるようになってきましたが、今後この業界に何を期待していますか? 特にゲーム系がそうなのですが、今のブロックチェーンはこの推しすぎ感がよくないと思っていて、「よいサービスが出てきて、裏を見たらブロックチェーンを使っていました」という流れになってほしいです。 そっちのほうが、ブロックチェーンって実はすごい技術だということを一般の方々もわかってくれると思います。 仮想通貨とブロックチェーン、ビットコインとブロックチェーンが違うんだよっていう認知もされてほしいですが、それを一般の人に広めるのは相当難しいので、いいサービスが先に登場してほしいですね。 その他の点では、「ブロックチェーンといえばこの人」みたいな界隈の有名人はいますが、世間的に「仮想通貨・ブロックチェーンといえばこの人」みたいな方が出てくると面白いですね。 ――様々な業務提携などのニュースを拝見しましたが、今後の方向性は? 会社としては、相変わらずシステム開発がメインになっていますが、今後もブロックチェーンはもっと盛り上がると信じています。 ブロックチェーン事業を会社の一つの柱としてやれていければと思います。 ただ、現時点ではブロックチェーンのどこをやれば間違いないといったものがないので、なるべく幅広く色々な案件等に関わっていければという感じです。 ―最後に読者の方に何か伝えたいことはありますか! ブロックチェーンにお困りの時は是非お声かけください!! 関連リンク 株式会社電縁 公式ウェブサイト 電縁ブロックチェーン 公式Twitter 電縁 吉田健一さん Twitter
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2019/11/13IOSTインタビュー ブロックチェーンブーム再到来の中国で次のステップは?
IOSTはスケーラビリティと非集権性の両立を目指すブロックチェーンプラットフォームです。 今年2月にメインネットをリリースしてから大きな進展を遂げているIOSTですが、CRYPTO TIMESはこれまで、CEOをはじめとするチームメンバーにインタビューを行ってきました。 CEOのJimmy Zhong氏、CTOのTerrance Wang氏、CMOのSamantha Wang氏に次いで今回インタビューに応じていただいたのは、IOSTでマーケティング代表を務めるBingjing Meiさんです。 フランスのメガバンク ソシエテ・ジェネラル出身のMeiさんは、従来の金融システムの短所に疑問を抱き、昨年末にIOSTチームに加わりました。 Meiさんは今年2月のメインネットローンチ前までは技術チームに属していましたが、以降マーケティングチームで代表を務めることになりました。 以下は、Meiさんとのインタビューを編集したものになります。 中国のブロックチェーン事情について −−中国では、習近平首相によるブロックチェーン推進発言が注目を集め、中国アルトコイン銘柄の上昇などにも繋がりましたね。他国はこの件をポジティブに捉えている印象がありますが、中国国内ではどうですか? Meiさん: 習近平首相の発言は、2017年のビットコイン急騰時に次ぐ第二のブロックチェーンブームを呼び起こしたと考えています。 2017年のブームでは、中国はまだ市場をどのように規制すべきかわかっていない状況にありました。ブロックチェーン技術や仮想通貨自体には2013年から目をつけていた政府ですが、今回は規制が整備できてきたと見たのか積極的に開発を進める動きに出たようです。 私は、首相の発言はどちらかというと政治的なインパクトがメインだと考えています。 中国は政府発行型暗号通貨(CBDC)の話もあり、米国のリブラの競合になっています。リブラが規制当局からバッシングを受け停滞する中、中国は我先にと新興技術の開発に注力しています。国ぐるみで開発戦略を立て、専門チームを作り、国内マイニング企業のIPOにも協力的な姿勢を示しています。 加えて中国の都市はそれぞれが業界の中心となるべく、優れた才能を持つ人間を取り合っています。 そんな中、IOSTは中国系プロジェクトの中でもトップレベルに属するとみなされているため、少なくともIOSTとしてはこの新たなブームの到来はとても好ましいものと受け止めています。 (IOSTのCTOであるTerrance Wang氏は、習近平首相の発言に関するコメンテーターとして中国の国営テレビにも出ています) https://twitter.com/thin9rypto/status/1189537957994098688?s=21 −−それでは、この絶好のチャンスを受け、IOSTはどのように前進していく計画ですか? Meiさん: IOSTでは、B2CとB2Bそれぞれの分野で次の動きを計画しています。 まずB2Cにおいては、色々なモデルが実際に登場してきて、キャッシュフローも生み出せるようになりました。Crypto Sanguoは大きな成功例のひとつです。IOSTではこういったプロジェクトが成功するようにアシスタンスを提供しており、個別にトレーニングセッションを設けることまであります。 [caption id="" align="aligncenter" width="444"] Crypto Sanguo[/caption] B2Cにおけるこれからの課題は、国際展開などに向けてコンプライアンス問題を解決することです。特に、DApps使用状況におけるギャンブルアプリの割合には注意しています。 この辺りは、IOSTによるインキュベーションの対象を、ネットワークのエンゲージメントを高めるものに絞ることで、プラットフォームの分散性を保ちながら健全性のバランスも取りたいと考えています。 これからより肝心になってくるB2Bに関しては、ビッグデータやサプライチェーンマネジメントなどの分野でプロジェクトを進めています。 こういった企業の中にはこれまでブロックチェーン技術の重要さを完全に把握していなかったところもありましたが、習近平首相の発言などもあり法人向けソリューションも注目されるようになってきました。 −−具体的にどんなプロジェクトがあるのか教えていただくことはできますか? Meiさん: 政府にサービスを提供しているIT系企業とは、ブロックチェーンを活用したソリューションを提供できないか話し合っています。政府のデータはセンシティブなものも多いので、こちらは現在開発中のコンソーシアムチェーンソリューションを活用していくかもしれません。 それから、資産のトークン化という分野では、あるギャラリーと協力してアンティーク商品の証明書をブロックチェーン上に発行するシステム開発に取り組んでいます。こちらは、特典や割引のあるメンバーシップのトークン化にも力を注いでいます。 また、ドローン関係でもIOSTの技術を活用する話が挙がっています。ドローンが発信する情報には異なるプライバシーレベルのものがあるため、ブロックチェーンを用いたソリューションが効果を発揮します。こちらはすでに実証実験段階のプロジェクトとなっています。 今後の日本での展開について −−日本ではステラ・ルーメン(XLM)が日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)によって承認され、コインチェックで上場しましたね。IOSTもトークンを日本で上場させる為の活動を行っていますか? Meiさん: もちろんです。日本は規制が明確に設けられているので、これから私たちは慎重に物事を決断していかなければなりません。特に、先程話したコンプライアンスに関する問題は対処していかなければいけません。 今のところ、私たちのエコシステムでは全体の30%ほどをギャンブル系が占めていますが、これを例えば20%以下にまで持っていき、進出のメドが立つまでさらにネットワークの実用性をブラッシュアップしたいと考えています。 −−最後に、日本の皆さんに一言お願いします。 Meiさん: 私たちはもっとたくさんの日本の方々と一緒にプロジェクトを大きくしていきたいと考えています。日本の政府や企業もブロックチェーン技術の重要さにより注目しており、IOSTにとっても良いタイミングだと感じています。 日本マーケットへの進出もとても前向きに考えていますので、たくさんの日本企業と協力して実用的なビジネスモデルを築き上げることでコンプライアンス面でも説得力を持たせていきたいと思います。
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2019/10/21Bitcoinの思想に基づき、開発を行うNervos Networkが目指す世界とは? Nervos Networkインタビュー
CRYPTO TIMESでは先日、独自のスケーリング手法を持ち、かつビットコイン的な思想を受け継ぐブロックチェーンプロトコル『Nervos』のチームにインタビューを行いました。 今回実施したインタビューでは、ビットコインとイーサリアム両方にバックグラウンドを持つNervosチームならではのレイヤー1に対する熱い思想や、その他のブロックチェーンとは異なるセキュリティ担保のための経済的インセンティブなど、詳細に語っていただきました。 Nervosチームにインタビュー ブロックチェーン業界に足を踏み入れたキッカケとは −−本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。自己紹介、バックグラウンド、なぜブロックチェーン業界を選んだのかなどを教えてください。 Jan: Janです。Nervosではアーキテクト・リサーチャーとして活動しています。元々はエンジニアで、2012年にこのブロックチェーンの業界を選びました。この業界ではイーサリアムで働いていたこともありますし、許可型のブロックチェーン、マイニングプールなどにも携わっていた経験があります。 Kevin: Kevinです。Nervos共同創設者の一人です。バックグラウンドはエンジニアで、昔から開発者として様々なエンジニアリングをしてきました。この業界には2013~14年くらいに携わるようになり、当時はビットコインのみで、プロジェクトに正式に参加してやり始めたのは、昨年の頭になります。 −−JanさんはBitcoinとEthereumの両方にバックグラウンドを持っていますが、そこで何を学び、また、なぜ新たなプロジェクトに参加しようと決めたのですか? Jan: Ethereumのリサーチチームでは多くのことを学びました。当時は、シャーディングやCasperのPoCなどを研究していました。 また、その前はビットコインの開発もしていたので、ビットコインやビットコインのスクリプトに関しても知識があります。 ビットコインとイーサリアム両方の問題や利点を知っていて、それを比較しながら客観的に判断することができる、というのがNervosに参加した理由の一つです。 (以下は、JanさんとKevinさんの発言を編集したものになります) Nervosが目指すべきものとは −−Nervosのプロジェクトについて、簡単な説明と実現したいことを教えていただけますか? NervosのCommon Knowledge Base (CKB)はレイヤー1のプロトコルで、ビットコインからインスピレーションを受けています。 CKBはオープンネス、ボーダーレスネス、中立性、検閲耐性を兼ね備えた分散型レイヤー1プロトコルです。同時に、イーサリアムのようにスマートコントラクトも実装することも可能です。 Nervos CKBはStore of Value (SoV, 価値の保存)プラットフォームとしてデザインされています。そのため、CKBは複数の暗号資産のストレージのような役割を果たします。 したがってこのプロトコルは、TPS等を最大限に追求せず、代わりにこのようなセキュリティの部分を優先したものになっています。 レイヤー1で「誰もがノードになれるパブリックさ」を重視し、スケーリングに関してはビットコインのLightning Networkのように、レイヤー2を利用して実現していくというのが私たちの計画です。 −−レイヤー1と2にはどのような違いがありますか? 私たちは、レイヤーという言葉に独自の定義付けをしています。レイヤーの違いは、その合意形成に基づいています。 例えば、レイヤー1 のプロトコルはビットコインやイーサリアムですが、これらは最も広義での合意形成で、世界中の誰もが理論上このプロセスに参加することができます。 私たちの中では、レイヤー1はグローバルな合意形成を行うためのもので、誰もが参加・離脱できるネットワークとなる必要があると考えています。 「パーミッションレスでグローバルな合意形成」というのは最も重要な合意形成というわけです。 一方、レイヤー2プロトコルはこの合意形成のスコープを縮めることで高パフォーマンスを実現するものです。例えば、Plasmaのようなレイヤー2ブロックチェーンのバリデーターは10人ほどだったり、あるいは1人しか存在しない場合もあります。 これには、ブロックチェーン自体が高いスループットを実現できる利点があります。数千~数百万のTPSも理論上実現可能ではありますが、これはトランザクションが少数の人々による承認しか必要としないためです。 私たちは、仮にレイヤー1と呼ばれるものでも、分散性を妥協しているものはレイヤー2プロトコルと呼んでいます。 −−NervosはStore of ValueブロックチェーンでもあるとWhitepaperなどにも書かれていますが、これはどういう意味でしょうか? ビットコインの話に戻りますが、ビットコインのUTXOの半分以上は1年以上動いていません。これは、人々がトランザクションを執行し、送金はせずに価値を保つ方法としてそのままにしておく(ホールドしておく)ということです。 ビットコインはP2Pの決済システムであるので、ビットコインのレジャーに保存される価値は必然的に金銭的な価値ということになります。 Nervosのデザインも方向性的には同じですが、Nervos CKBは複数の資産を発行することができます。 さらに、Nervosの経済的インセンティブが、発行されるこれらの資産に十分なセキュリティを担保できるような仕組みとなっています。NervosがStore of Valueブロックチェーンである、というのはこういった意味合いからです。 Nervosでは、ほぼすべてのトランザクションをレイヤー2で行う −−独自の経済的インセンティブはNervosの大きな特徴の一つだと思いますが、これは具体的に他のブロックチェーンとどのように違うのでしょうか? 大半のスマートコントラクトプラットフォームでは、そのプラットフォームのネイティブ通貨を経済的なインセンティブとして利用しています。 ネイティブ通貨固有の価値は、そのプラットフォームでのトランザクション手数料を支払うことができる点にあります。この仕組みは、DoS攻撃やスパム攻撃などを防ぐ手段として必ず実装される必要があります。 しかし、ほとんどのプラットフォームはここで終わってしまっています。これは大きな問題です。ブロックチェーンの業界がこれからも成長を続け、ブロックチェーンのプラットフォーム上により多くの価値が蓄積されるようになればどうなるでしょうか。 基本的には、より多くの資産がブロックチェーン上に載ると同時に、セキュリティ、攻撃コストも比例して高くなっていく必要があります。ある都市により多くのお金が蓄積されていけば、都市の防御(攻撃コスト)もそれに比例して高めていく必要性が生まれますよね。 スマートコントラクトプラットフォームの中でこの特徴が再現されているものはありません。 短期間だけ資産を入れておいて、という形であれば問題ありませんが、長期間資産をチェーンに保管する場合を考えると、チェーンが守る価値の総額が上がるにつれ、自動的に防御(攻撃コスト)も高くなっていく必要があります。 −−防御という意味では、チェーンのセキュリティはPoSが注目されていますが、なぜPoWをレイヤー1のセキュリティに採用しているのですか? 「セキュリティを共有してあらゆるチェーンの資産をメインチェーンで管理する」という構造を聞いてPolkadotが頭に浮かびましたが、これとは何が違いますか? Polkadotとはスケーラビリティ問題を解決するためのアプローチが大きく違います。PolkadotではParachainsがそれぞれ異なる役割を果たし、ネットワークを形成しています。 Nervosは基本的に、レイヤー1におけるスケーリングは諦めています。イーサリアムのシャーディングなどはレイヤー1のスケーリングアプローチの一つです。 レイヤー1におけるスケーリングは、高TPSを実現するために性能の高いコンピュータを要求するので、分散性を犠牲にしています。 Nervosでは代わりに、ほぼすべてのトランザクションをレイヤー2で行います。レイヤー2は計算をオフチェーンで行うことが可能で、必要に応じてトランザクションをレイヤー1と同期させていきます。 これを行うことで、一つのレイヤーだけでなくシステム全体のスケーリングを実現することができます。 Nervosが今後狙う市場、業務提携・パートナーシップとは −−先日、DeFiに特化しているとされるHuobi Finance Chainのローンチが発表されましたが、Nervos CKBとはどのように使い分けていくのでしょうか? 全くの別物ですか? Huobi Finance Chainは高TPSを実現するブロックチェーンですが、これは主にHuobiの資産をサポートします。 HuobiからHuobi Finance Chainにこれらの資産を送ることで、このチェーン上でDeFiの領域に属するサービスを享受することができます。これはBTCやXMRなどあらゆるアセットを利用したDeFiです。 DeFiといえば今はイーサリアムですが、イーサリアムのDeFiではイーサリアムに関連したアセットにしか対応していません。 そしてHuobi Finance ChainはNervos CKBと接続されていきます。これは、インターオペレーションのプロトコルを通じて直接的に接続されます。 Nervos CKBは資産の保存という役割を果たし、一方でHuobi Finance Chainはより規制を遵守するプラットフォームです。法定通貨とのゲートウェイも出来上がります。 将来的には、今回のケースのように、他の分野でソリューションを提供するチェーンとも連携し、より多くのユースケースを見つけていきます。 −−中国のCMBI(China Marchant Bank International / 招商銀行)との提携の話がありましたね。ブロックチェーンのプロジェクトがトラディショナルな銀行と提携を結ぶことは稀だと思います。この提携の裏にはどのような目的やビジョンがありますか? 私たちは、ブロックチェーンが持つ最も大きな価値というのは分散的なトラストにあると思っています。インターネットのような分散型のデータネットワークやメッセージネットワークではなく、分散型の価値のネットワークです。 金融アプリケーションというのは、ブロックチェーンのような種類のインフラにとっては非常に自然で適しています。安全で分散的に資産を送金する場合、ブロックチェーンが必然的に利用されます。 CMBIはトラディショナルな金融のバックグラウンドを持ち、パブリックチェーンやDeFiに足を踏み入れることでともに新たな可能性を探っていきます。 −−ブロックチェーンのファイナンスといえば、現在だとイーサリアムのDeFiが大きな注目を集めていると思います。仮にここにCMBIのような企業が参入してくる場合、どのようなインパクトがあると考えていますか? DeFi自体は新しいコンセプトで、現在は実験的に様々なことが行われています。 なので、明確な答えは出せないのですが、私たちがやっていることもまた実験的で、とにかく異なるデザインの哲学から生まれたプラットフォームを提供していくことで、業界全体を導けたらと考えています。 こういった新たなユースケースを探すことは本当に面白いことだと思います。 日本のブロックチェーン市場に対して期待すること −−今回、Devconで大阪に来られたと思うのですが、それ以外にも日本に対してどんな期待をしてきましたか? おいしい食べ物ですね(笑) 日本の食べ物が好きなので、ここ何日かは日本の料理を食べることができて満足です。 もちろん日本のブロックチェーンのコミュニティからはぜひ支持をいただきたいと思っています。特に、パブリックブロックチェーンは局地的ではなく、グローバルに拡大していくために存在しています。 誰もが参加し、それを利用し、プロジェクトに対してコードを貢献することができます。日本のコミュニティメンバーにも、是非一緒にプロジェクトを育ててくれれば嬉しいです。 日本に来るのは今回が初めてですが、小さなところでもどこかから始めていかなければいけないのは事実なので、模索しながら頑張っていきたいと思っています。 −−日本のコミュニティに対して何か伝えたいことはありますか? 2013~14年にビットコインに関しての開発やリサーチを始めたとき、日本は市場に対するインパクトが大きいと言えましたが、現在は少しづつ状況も変化しています。 規制に関しても納得がいきますし、日本のコミュニティにはビットコインの思想などを理解している人々がたくさんいます。 今後、日本で何かニュースがあればと期待しています。ちなみに、Nervosという名前も日本で有名なあのアニメにインスパイアされたものなんです。どのアニメかは日本の読者なら是非当ててみてくださいね(笑) インタビューを終えて Nervosはビットコインの思想に基づき、その方向性を追求するプロジェクトということで、今回のインタビューでは非常に感銘を受けました。 プロジェクトもBitcoinの思想やEthereumの思想を受け継ぎながら新しいものを作ろうとしているということが伺えました。 また、ネットワークの価値が拡大した時に、そこに対する攻撃コスト(=防御)を高めるという点に着目しているのはとても理に適った考え方と言えるでしょう。 中国を中心に提携も拡充するNervosですが、今後日本でも少しずつ存在感を強めていくことに期待です。 現在、NervosはCoinlistを通じたPublic Saleなども実施しています。興味がある方はぜひとも見てみてはいかがでしょうか。 関連サイト Nervos Official Site Nervos Medium Nervos Twitter Nervos GitHub
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2019/09/18「最新技術は消費者に使って欲しい」Kakaoのブロックチェーン「Klaytn」にインタビュー
「Klaytn (クレイトン)」は、韓国の大手インターネットサービス企業「Kakao」の系列企業「Ground X」が開発を手がける今話題のブロックチェーンプラットフォームです。 今年6月にメインネットをリリースしたKlaytnは、韓国の大手取引所「Upbit」に上場することがすでに決定しており、9月18日にはダッチオークション方式でメインネットトークン「KLAY」が販売されます。 今回CRYPTO TIMESはKlaytn (Ground X)チームに直接インタビューできる機会をいただきました。そこでこちらの記事では、メンバーの想うKlaytnの魅力や開発状況、今後の展開などを紹介します。 要点チェック: Klaytnとは? Klaytnは、エンタープライズによるサービス商品の展開に焦点を置いたブロックチェーンプラットフォームです。 コンセンサスアルゴリズムはBFT(ビザンチン障害耐性)をベースにしており、トランザクションの処理は運営評議会(コンソーシアム)による書き込みと、通常のノード(エンドポイントノードと呼ばれる)による読み取りの2つに分ける「ハイブリッド型」を採用しています。 この「集権性と分散性のバランス」の狙いは当インタビューを通して詳しく解説していただきました。 運営評議会は大手IT企業やゲーム企業を中心に構成されており、多数のプロジェクトがKlaytnエコシステム上でプロダクトを展開することもすでに決まっています。 (↓Klaytnの仕組みは、コイン相場のイ・ヨンソンさんがこちらの記事で解説しています↓) 韓国最大のメッセージングアプリ「カカオトーク」を提供するKAKAOのブロックチェーン戦略 Klaytn・Ground Xチームとのインタビュー [caption id="" align="aligncenter" width="585"] 左からYG Kang氏、Young Kang氏、Soo Kim氏[/caption] 今回、Kakao Games日本支部のワーキングスペースにて、Klaytn (Ground X)のメンバー3名にインタビューに応じていただきました。 Soo Kim氏: ブランドマーケティングチーム リーダー Young Kang氏: 事業開発チーム リーダー YG Kang氏: 企業開発部 ディレクター Klaytn誕生の経緯 −− Klaytn (Ground X)は有名企業Kakao傘下のプロジェクトとして注目されていますが、どのような経緯で開発が決定したのでしょうか? YG Kang氏: KakaoPayなどのサービスを抱えるKakaoでは、ペイメント系技術の研究を2016年ごろから行なっていました。以降、2017年中旬くらいからブロックチェーン技術の研究も開始されました。 当初は、イーサリアムなどの上でDApps(分散型アプリケーション)を開発することを考えていましたが、大規模なDAppsの展開には独自のブロックチェーンプラットフォームが必要だと言うことに気がつきました。 そこでJason Han(韓在善/ハン・ジェソン氏; Ground XのCEO)は、イーサリアムを元にして自分たちでプラットフォームを作ってしまおうと考えました。 イーサリアムからコンセンサスアルゴリズムやトランザクションタイムを変えることで大規模なDAppsも処理できるようにしたKlaytnは、クリプトに馴染みのない人でも使えるプラットフォームになりました。 集権性と分散性のバランス [caption id="" align="aligncenter" width="739"] Klaytnのガバナンス・カウンシル(運営評議会) | Klaytnウェブサイトより[/caption] −− Klaytnの合意形成はコンソーシアム制とオープンパブリック制を組み合わせた「ハイブリッド型」ですが、どちらか1つではなく両方を採ったのはなぜでしょうか? YG Kang氏: 大半のプラットフォームは分散性(decentralisation)に焦点を当てていますが、こういったプラットフォームは処理速度が遅いのが現状です。 逆を言えば、分散性を少し犠牲にすれば、TPS(秒間トランザクション数)は改善されます。これが運営評議会とエンドポイントノードを設けた理由です。 これに加え、Klaytnは「サービスチェーン」と呼ばれるサイドチェーンソリューションを搭載しており、これでTPSは毎秒4000件くらいになります。 「最新技術はすぐ消費者に」 −− 最近は有向非巡回性グラフ(DAG)にフォーカスした、「トリレンマ問題」を解決するようなプロトコルも登場してきていますが、このようなプロトコルはなぜ採用しないのでしょうか? YG Kang氏: これには2つの理由があります。 先ほど触れた通り、Klaytnはイーサリアムのコードをベースにしています。ここにこだわる理由は、すでに大きなユーザーベースを誇るイーサリアムとの互換性を保ちたいからです。 また、スループット・分散性共に優れたプロトコルは、まだ開発中ですぐには実用化できない、というのがもうひとつの理由です。 Soo Kim氏: KakaoやGround XはB2C(企業から消費者へ)に重点を置いた企業なんですよね。ですから、最新技術は消費者に今すぐ使って欲しいんです。 運営評議会を設けたのも、新しいプロトコルを採用しないのもこのため(=スピード感)です。また、ゲーム系企業と多く提携しているのも、消費者が手軽にKlaytnに触れられるプロダクトを作りたいからです。 エコシステム構築について −− KlaytnはISP(Initial Service Partners; 初期サービスパートナー)とKlay BApps Partnersという2つのカテゴリで多くの提携を結んでいますね。こういったエコシステム開発周りについて教えてください。 Young Kang氏: ISPというのは、「すでにプロジェクトがあって、それをKlaytn上で展開したい」というパートナーです。現在42社のプロジェクトとこのパートナーシップを締結しています。 一方、Klay BApp Partners*は現在9社ほどで、こちらはKlaytnと共同でプロダクトを展開していくパートナーになります。このうち多くはゲーム系のパートナーです。 *Klaytnでは、DApps (Decentralised Application)をBApps (Blockchain Application)と呼んでいます。 [caption id="" align="aligncenter" width="822"] 初期サービスパートナー(ISP)のリスト[/caption] −− みなさんが今個人的に期待しているISPは何ですか? Soo Kim氏: ブロックチェーン技術のマスアダプションという観点から見て、Klaytnのパートナーはどこもチーム、ビジネスプラン、ユーザーベース全てが充実しています。 私の個人的なチョイスはPiction Networkですね。これは、ゲーム系のウェブトゥーン(韓国発のデジタルコミックの一種)プラットフォームで、トークンを使って優良なクリエイターに「投資」することができるというものです。 [caption id="" align="aligncenter" width="576"] Piction Networkより[/caption] Young Kang氏: 私は「Whooo」というデートBAppに期待しています。ここは運営評議会にも加入しているプロジェクトです。 (Whoooはユーザーの位置情報や興味などに基づいたマッチングを提供するアプリで、Klaytnを活用したデータ管理技術やトークンエコノミーが実装されている) [caption id="" align="aligncenter" width="497"] Whoooより[/caption] YG Kang氏: 私が期待しているのはCarry Protocolです。 通常、大企業が運営するチェーン店では顧客情報が分析に利用され、その対価としてポイントシステムなどを設けています。Carry Protocolは、これを個人経営店レベルで展開できるようにすることで、消費者と経営者の間で新しいエコノミーを築き上げるプロジェクトです。 [caption id="" align="aligncenter" width="546"] Carry Protocolより[/caption] DApps市場の現実・他チェーンとの比較 −− ゲーム系BAppsの展開を計画しているということですが、すでに存在するメジャーなネットワークでもアクティブユーザー数はあまりふるわないのが現状だと認識しています。Klaytnはどのようにシェアを伸ばしていく戦略ですか。 Soo Kim氏: プロジェクトが特定のブロックチェーン上でビジネスを展開する際、例えば直近3年とかで、そのプラットフォームの将来性というのが重要になってきます。こういった意味合いで、(資金力・規模共に大きな)ビジネスを他のプラットフォームで展開していくのは難しいのではないかと思います。 Klaytnはトークンエコノミーの構築計画も明確ですし、ガス代もかなり安くなっています(イーサリアムの10分の1)。ですから、ネットワークの安定性やガス代に付随する不確定要素も少なくなり、サービスプロバイダは事業計画やコスト見積もりがしやすいわけです。 (Klaytnが展開するネイティブトークンウォレット「KLIP」は、KakaoTalkアプリやSamsungの新しいスマートフォンに統合されている。KakaoTalkの月間アクティブユーザー数は、2017年のデータで5000万人を記録している。したがって、Klaytnはスタート時から莫大な潜在顧客を抱えられるアドバンテージがある) −− EOSやTRONでは、ギャンブル関連のDAppsがアクセス数の大半を占めているのが問題視されていますね。 [caption id="" align="aligncenter" width="700"] EOSのDAppsアクセス数ランキング | Dapp.comより[/caption] Soo Kim氏: そうですね。ですからKlaytnでは、ギャンブル系BAppのパートナーはあまり探していません。もちろんパブリックネットワークですから、ギャンブル系BAppsが作れないということはありませんが。 Samsung × Klaytnの「The KlaytnPhone」について −− KlaytnはSamsungと共同で、BAppsをプレインストールした「The KlaytnPhone」をリリースしますね。これ、少し中身を見せていただけませんか? Young Kang氏: ちゃんと持ってきましたよ。これがThe KlaytnPhoneです。 [caption id="" align="aligncenter" width="333"] The KlaytnPhoneはSamsung Galaxy Note 10のスペシャルエディションとして販売される。[/caption] Young Kang氏: The KlaytnPhoneには、トークンウォレットのKLIPに加え、5つのDAppsがプレインストールされています。これも、ユーザーに「ブロックチェーンが使われているなんてわからない」と感じてもらうのが狙いです。 Soo Kim氏: 一般ユーザーの方には、便利なサービスやアプリに自然な形で触れてもらうのが一番です。こうすることで、ブロックチェーン技術もインターネットやスマートフォンなどの技術と同じようにマスアダプションされていくと考えています。 KlaytnPhoneのプロダクトイメージ 「ブロックチェーン技術普及は大企業としての宿題」 −− 韓国では暗号資産周りの規制が厳しくなってきていますが、この辺はやはり大変ですか? YG Kang氏: 規制当局との話も進めていますが、やはり(KLAYトークンの価格の)スペキュレーションについては気をつけるように言われていますね。 しかし、彼らは私たちKlaytnにホンモノのユースケースを作って欲しいと考えているようです。 Soo Kim氏: ですから、このプロジェクトを広く普及させることは世界的に大きなIT企業としての「宿題」だと考えています。 加えて、韓国では釜山が「ブロックチェーン都市」として認定されるなど、厳しい規制状況とは裏腹に、この業界が成長するための良い環境づくりが進んでいます。 まとめ Klaytnのサービスは基本的に日本でも利用可能となっており、チームは今後もアジア圏にフォーカスを置いた事業展開を行なっていくといいます。 Facebook(フェイスブック)のLibra(リブラ)やLINEのLINKと並び、Klaytnは大手インターネットサービス企業が開発するブロックチェーンプラットフォームとして今後も注目されていきます。 今回のインタビューでは、分散性とスループットの両立に力を置いたプロジェクトが多出する中、「最新技術は消費者に使ってもらう」モットーに即し、敢えて今あるものを使っていくというビジョンが大変面白いと感じました。 韓国最大のメッセージングアプリ「カカオトーク」を提供するKAKAOのブロックチェーン戦略
インタビュー
2019/09/09イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは
ブロックチェーンの主要技術の一つであるイーサリアム・ファウンデーションのエグゼクティブ・ディレクターである宮口あや氏。今回、一時帰国にあわせてGRASSHOPPERでの取材が実現した。宮口氏のブロックチェーンとの出合い、イーサリアム・ファウンデーションへの想い、既存ビジネスとの融合、今後の展望などを伺った。 ※ 今回のインタビュー記事は、CRYPTO TIMES の新井が協力の下、GRASSHOPPER編集部とインタビューを実施し、株式会社電通様が運営するWEBメディアGRASSHOPPERに掲載されたインタビューの転載となります。 転載元記事 : イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは– GRASSHOPPER サンフランシスコでのブロックチェーンとの出会い -ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何でしょうか。 元々、日本で長い間高校教師をしていたのですが、生徒達には外の世界を見に行きなさいと伝えていました。生徒達を海外に送り出しているうちに自分自身ももう一度挑戦したくなり、自ら行動しようとサンフランシスコに渡り、ビザのためにMBA取得から始めました。そのときに Kraken(クラーケン、米仮想通貨取引所大手)を立ち上げたJesse Powellからビットコインの話を聞いたのがブロックチェーンに興味を持ったきっかけです。 ビットコインについてある程度理解してきたところで、ちょうどその頃自分が専門にしていたマイクロファイナンスとすごく相性がいいということに気づきました。途上国の発展についての自分の興味関心と ビットコインの組み合わせで何か面白いことが起こるのではないか、と。 そこで、開発者が3名くらいで取り組んでいたスタートアップKrakenに参加することに決めました。いまではKrakenは800名ほど社員がいるので良いタイミングで参加できたと思っています。ちょうどクリプト業界自体が立ち上がった状態で、その頃から生き残っている取引所だとCoinbase、BitStamp、Krakenの3つぐらいです。その中に女性がいるのも珍しかったし、日本人もいない状態でした。 元々、日本市場担当としてスタートアップに入ったわけではないのですが、メンバーも日本に興味を持っているということで、日本市場開拓を決定した矢先にMt.GOX事件が起こりました。日本でまだビットコインを知っている人が少ない時期に、Mt.GOX事件というネガティブな印象が広まってしまい、Krakenの説明だけではなく、ビットコイン自体のイメージアップを行うためにメディアや政治家に説明する活動や、Bitflyerの加納裕三さんらと業界団体を作る流れにも繋がっていきました。 サンフランシスコと日本を行き来し、日本の業界を立ち上げることにはミッションを感じつつも、「取引所」の仕事というのは 私の情熱からは離れたところにあったため、個人的に途上国の難民支援をするためにブロックチェーンを活用したものなど、ソーシャルインパクトを起こすプロジェクトにアドバイスをしていました。 そのような活動を続けている折、イーサリアム・ファウンデーションのメンバーから仕事を手伝ってくれないかと相談が入りました。エグゼクティブ・ディレクターになってほしいと。因みにこの話があったのは、2017年末にメキシコでDevCon(イーサリアム開発者のカンファレンス)があったときです。イーサリアム創始者のVitalik Buterinも含めて、イーサリアムを作っている人たちは、まったくお金を儲けるのが得意じゃない感じで、純粋に情熱で社会を良くする技術を作りたいという気持ちでやっています。そのような想いにも共感をし、引き受けました。 分散型の究極を考えていくと、日本の「引き算の美学」に落ち着く ーイーサリアム・ファウンデーションで行っていること、現在のミッションを教えてください。 イーサリアムに関わること全部です。研究開発、助成金サポートや教育。サポートしている人たちをサポートする役割もあります。つまり私のポジションは、イーサリアム・ファウンデーションをまとめるだけでなく、イーサリアム全体のコミュニティをサポートしていくことなんだと気づいたときにはプレッシャーで夜も寝られないこともありましたね。 ー現在のポジションについて、世界の見え方はどう変わりましたか? イーサリアム・ファウンデーションにいると、意外と、日本人であることがぴったりだと感じます。イベントでよく日本の「引き算の美学」という言葉を使うのですが、いわゆるファウンデーションの在り方とか、分散型の究極を考えていくと日本の「引き算の美学」に落ち着くのです。世の中がもっと大きくなればいいとか、お金がもっとあればいいとか、資本主義的な流れへのカウンターでもあります。 サンフランシスコにいると、みんな優秀・給料も高い・Macを使っている…などとサンフランシスコが中心に思えてきます。しかし、一歩引いて考えてみた時に、世界の力のバランスがどれだけ悪いかということがより見えます。本来、力はみんな平等にあるべきだということを考えた時に、やはりブロックチェーンにもつながってきます。 ー資本主義の過熱から引く動きがある一方で、EEA(イーサリアムの企業利用を進める団体Enterprise Ethereum Alliance(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス )加入など、ビジネスシーンでの活用を促進する動きもありますよね? 最初はどちらかというと、Vitalikも含めて、イーサリアム・ファウンデーションは資本主義の流れから生まれた大企業とやりとリしない流れを歩く志向がありました。ですが、現在ではイーサリアムを作ったVitalikらファウンダー自身も想像がつかなかった程大きなコミュニティに成長し、大きな力を無視をすると影響力に限界があるということが見えてきました。 完全に一緒になることはなくても、どちらかに転んでしまうなら、私たちの理念を伝えることでなるべく良い方向に行ってほしいですし、こちら側もイーサリアムのスケーリングがある程度進んできたので、足並みを揃えることが可能になってきたともいえます。 ー大企業と足並みを揃えて活動する上で必要になるのはどのようなことでしょうか? 企業でイーサリアムのパブリックのメインネットを利用するために、我々のチームやコミュニティの活動がサポートできればと考えております。 新しく出来上がるスケーリングによってプライバシーでもできることが増えるので、タイミング的にはもっとファウンデーションの研究者などとも話し合って勉強しておく必要性があるのです。 ーイーサリアムがもっとも大企業向けに活用できる領域はどこなのでしょうか。 一番取り上げられやすいのはファイナンスのところなのですが、サプライチェーンや、情報をシェアすることによってメリットがあるもの、またそれによってビジネスが成り立つものですね。 今は保険などの領域でもそういった形が作れます。ただ、注目されるのはファイナンスの方が多いです。金融系のほうが規制や「パブリックかプライベートか」というところにだけフォーカスしてしまうので、それ以外のNFTやゲームや、トークンで作るシステム・社会などが出てくると面白いと思っています。まだまだこれからだと思います。 イーリアサムの活用事例とは? ー「イーサリアムが活きてくる」プロジェクトはどのようなものでしょうか? 自分がアドバイスしているもので、Everestというプロジェクトがあります。分散型アプリケーションを作るときに大事になる利用者の特定・その取引の管理に取り組んでいます。もともとチームのミッションは世界中で大きな問題となっている「人身売買」。誘拐された人の身元を指紋や顔認証などで証明できるようになり、被害を1パーセントでも減らせたら、ということも考えていした。今はさらに大きなレベルで、インドネシアの難民のIDなど、Digital Identityのソリューションを提供しています。 うちの財団はイーサリアムのプラットフォームの開発支援がメインで、あまりdApp(分散型アプリ)の特定のビジネスを応援することをしないのですが、エコシステムの中で欠けている部分が埋めていくためにもある程度啓蒙活動をしていかないと、と思っています。 Etheriskという保険プロジェクトのプラットフォームでは、普通の保険ではカバーできないような自然災害に適用できる保険プログラムを作っていて、すでに実際に使われています。他にも、保険加入率が7%ほどのスリランカの農家を対象に、天候インデックスを絡めたスマートコントラクト型保険などもやっています。 このようなプロジェクトに適用できるイーサリアムに魅力を感じています。 ーよりソーシャルインパクトを起こしていくために、日本では今どういうお話をされているのですか。 日本はオープンソースソフトウェア開発に取り組んでいる人が、優秀でも隠れており、あまり報われない環境だと思います。日本人なのでみんな控えめという性格ももちろんあり、その点をうちのチームにわかってほしいなと色々と話を進めています。 ー日本の大企業側には現在、どういう姿勢でアプローチしてきてほしいでしょうか。 日本は文化的に、まだまだ優秀な個人が大企業にいると思います。また、エンジニアの給料が安いと言われる日本では、自分で興味があることを勉強する時間もあまりないと思います。オープンソースは参加して初めて学べるので、優秀な人がチャレンジできる環境を提供して頂けたらいいなと思いますし、そのためにうちの財団などがイーサリアム・コミュニティの優秀な人を金銭的に支援するなど、研究勉強できる場を提供していくような取り組みが大事だと思っています。将来的には仕事をやめなくてもイーサリアムが勉強できる、というのが理想です。 ー日本では10月に大阪でブロックチェーンの国際イベントDevConが開催されます。日本に対して期待していることは何ですか。 日本のブロックチェーン業界の起爆剤になればいいなと思っています。もっと日本のブロックチェーン業界が中身のある形に育っていかないとと思っていますし、日本もブロックチェーンを引っ張って欲しいと思っています。 Devconを開催する国の選定理由は、ブロックチェーン業界がきちんと活性化する兆しがある国であることです。以前よりブロックチェーン・コミュニティの人たちには、今後、日本にブロックチェーン業界がもっと良くなっていく未来がないとDevconの開催はできないと話をしていました。ですが、私の懸念をよそにコミュニティが中心となって行った東大でのイーサリアムイベントや、大日方祐介さんが企画した、サッカー選手であり投資家である本田圭佑さんとのイベントで、日本の若い方々がブロックチェーンへの熱意持って取り組んでいる姿勢が見えたので、今後に期待しようとDevconの日本開催を決定しました。 ー今後、世界のブロックチェーン業界に日本のプレイヤーが増えていくためにはどのようなことが必要でしょうか。 みんな控えめなので、自信を持ってほしいということです。私も海外でポジションにつくと「日本人でよかった」「日本人だから活かせることもある」「日本人だからわかる細かいところがある」ということに気づくことが多くありました。 イーサリアムは今ちょうど、アプリケーションがどんどん作れる状況になっています。アプリケーション開発にあたってユーザー目線でより良いものを作る、面白いものとかを作ることのも日本人の得意分野だと思うので、自分を殺さずにそれぞれが活躍できる場所を上手に見つけていってほしいと思います。 ー最後に、宮口さんが想像する未来は、ブロックチェーンが社会にどのように浸透していくと考えますか。 不公平のない、不均衡のない世の中というものを目指して現在色々と取り組みをしています。そのため、今の世の中を変えていくというよりは、バランスが崩れているところを適正なものに戻していくという表現が近いと思っていますし、私自身もそういう部分に魅力があります。バランスが崩れてしまった部分をブロックチェーンが正していってほしいと考えています。 Interview & Text:西村真里子 協力:CRYPTO TIMES 新井進悟 転載元記事 : イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは– GRASSHOPPER
インタビュー
2019/08/15[Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎
2019年4月末に2日間にかけて代々木公園で行われた『東京レインボープライド2019』。 当イベントに参加していたブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるFamiee Projectの前編のインタビューでは開発チームにフォーカスしたインタビューとなりました。 今回の後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様、そして、Famiee Project発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project カップル宣誓書発行サービス 今回のFamiee Projectではブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験することが可能となっていました。 ブースには発行された『カップル宣誓書』が飾られており、ブロックチェーンに刻まれた『カップル宣誓書』を持ち帰ることができるようになっています。 この発行書に書いてあるURLとパスワードを入力することで、WEB上でもブロックチェーンに刻まれたカップル宣誓書を本人たちで確認することが可能となっていました。 今回は内山さんと川くんにご協力いただき、実際に宣誓書を発行していただきました。 [caption id="attachment_40822" align="aligncenter" width="800"] 発行書に掲載する写真を撮る内山さんと川くん[/caption] 今回発行する証明証の手順はiPadにて写真を撮影、その後に互いの名前と誓いの言葉を入力し、お互いがサインした後にブロックチェーンに書き込まれる仕組みとなっています。 [caption id="attachment_40823" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンで新しい証明証を発行していくことを誓う川くん[/caption] [caption id="attachment_40825" align="aligncenter" width="800"] 互いの誓いと名前が記載された証明書[/caption] [caption id="attachment_40827" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに刻まれた[/caption] [caption id="attachment_40826" align="aligncenter" width="800"] 発行された証明書、パスワードとQRコードが記載されており、確認ができる[/caption] ブロックチェーンに刻まれた後は、証明書が発行され、発行された証明書に書かれているパスワードとQRコードにアクセスすることでブロックチェーン上に記録されていることが確認ができるような仕組みになっています。 Famiee Project 発起メンバーへのインタビュー LGBTの人たちへの差別をなくす支援活動と、会社として取り組もうとしたブロックチェーンの話が結びついた瞬間 [caption id="attachment_40800" align="aligncenter" width="667"] 左 : 石渡さん , 右 : 内山さん[/caption] -- 今回はインタビューありがとうございます。お二人の自己紹介をお願いします。 石渡 : 石渡と申します、ホットリンクのCEO特別補佐で弁理士の資格を有しています。大学卒業後、弁理士資格の勉強をしながら企業法務などの仕事をしていました。弁理士の資格を取得後、特許事務所で働きその後独立するタイミングでホットリンクの監査役に就き、今年の4月からCEO特別補佐をしています。 ブロックチェーンについては、真新しい技術ということで着目しておりましたが、さらに、ホットリンクでブロックチェーンの勉強会がありまして、それをきっかけにブロックチェーンに関わりを持ち始めました。ブロックチェーンはインターネットに変わる技術やこれからの時代を変えていく可能性のある技術だと思っていますし、「非中央集権」や「分散型」といった観点でも注目しています。 内山:内山といいます。元々、大学院の博士課程のとき(1995年頃)に日本の最初で最初期の検索エンジンを作ったプロジェクトのメンバーでした。それがきっかけで大学時代に検索エンジンベンチャーを作って博士課程を中退して、ITの世界に入りました。その会社はYahoo Japanができて、Googleができて叩きのめされていくわけですが(笑)。 その当時、検索エンジンを作るには人工知能でには無理と言われており、ここのコンテンツは人を感動させる、人間がブックマークした、リンクを貼った、など人間の知恵を社会全体で集めてきて、共有化して人工知能がそのビッグデータを学習して凄い検索エンジンができる。それを人間に介したときに、好きとか嫌いとか人間と人工知能で知識が循環される社会インフラができて、初めてホッとする社会ができるだろう。そんなビジョンを2000年のときに思いつきました。 それでホットリンクを立ち上げました。ホットリンクの社名の由来は、ホッとする(hotto)というところから来ています。ホットリンクはSNSやビッグデータ、AIが社会に広まっていないときに、そういう社会を目指してつくりました。時代よりも早かったこともあり、潰れそうなこともいっぱいありましたが。日本でブログが流行りだした頃に、ブログのポータルサイトを日本で最初期に作りました。 そのときに1995年くらいの検索エンジンを思い出して、当時の検索エンジンはキーワードをいれるとそのキーワードに関する情報がどこにあるか指し示すものでした。ブログやTwitterは一個一個の情報は大して重要ではなく、あるキーワードをいれると、世の中でみんなはどんなことを言っているのか、情報を要約してくれる検索エンジンが必要だとブログが始まったときに気づいて、ブログのテキストマイニング(ブログ分析エンジン)を作り、TwitterがきたときにTwitter分析エンジン、FBがきたときにソーシャル分析エンジンになり、ビッグデータ分析エンジンになり、2013年にマザーズへ上場しました。 今は、世界中のソーシャルメディアのデータ流通ビジネスや、データ分析サービス、そして、分析結果を活用してブームを作りだすためのSNSマーケティングサービス等を、日本・中国・欧米で提供しているホットリンクという会社の代表をやっています。 -- 内山さんはどういう経緯でブロックチェーンと出会ったのでしょうか 内山 :会社の中長期的な成長を見据えた際に、非連続的な成長の種をいくつか撒いておかねばならないと考えて、2018年の頭くらいからブロックチェーンの研究開発を始めました。その流れの中で、東大ブロックチェーン寄付講座を作ったり、ブロックチェーンベンチャーへの投資を初めたりというところです。 -- ありがとうございます。Famieeはいつ頃に立ち上がったプロジェクトでしょうか 内山 : このプロジェクト自体は昨年の暮れぐらいからです。それまではブロックチェーン技術がどういう分野で適応できるかということを考えて、社内勉強会を昨年の5月頃からやっていました。当時はLGBTという話はでていませんでしたね。 実は、ブロックチェーンの事業開発とは全く別に、3年ほど前に、東京レインボープライドの主催者の杉山さんや、世界的なLGBTの活動家の柳沢さんらとの出会いがあって、お二人が参加されているパネルディスカッションに参加したんです。私はそれまで、自分はオープンで、LGBTの人たちに対する偏見や差別をしていない人間と思っていたんです。しかし、実は、無知なまま、そういう考えを持っていることが一番いけなかったことを知ったんです。 [caption id="attachment_40804" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに書き込んだ後の完了画面[/caption] どういうことかというと、我々は差別をしていないないと思っても、LGBTの当事者の人たちからすると、普段の何気ない生活の中でたくさんの障害があります。例えば、会社に置き換えて話をすると、社内の誰かが結婚すると、結婚手当をもらったり、育休休暇をとったりしますよね?でも、LGBTの人達は、そんな制度の恩恵を受ける機会がないんです。差別をしていないといいながらも、それを前提とした会社制度にはなっていない。 会社外の例だと、例えば、交通事故にあって緊急手術をしないといけない時は、通常家族の同意がないと手術ができない。しかし、LGBTのカップルの一人が、死にそうな状況でパートナーと一緒に救急車に乗っていても、パートナーの人は手術の同意書にサインできない。既存の制度でいうところの親や兄弟を待たないといけない。このような現状であるにも関わらず、会社のトップとして、当社は差別しない会社だと言っていた自分の無知さ加減にショックをうけ、セッションを聞きながら、私は涙がボロボロでて止まらなくなってしまったんです。 それをきっかけに、LGBTの人達の生きづらさを解消しようという勉強会や活動に参加するようになっていったんです。個人的な活動としてやっていたLGBTの人たちへの差別をなくすための支援活動と、会社としてやっていたブロックチェーンで何ができるんだろうという話が、何かの拍子で、頭の中で結びついたんです。 石渡:当時、ブロックチェーンと相性が良い分野として、不動産の権利流通や、サプライチェーン分野での活用などがあがっていました。ただ、これらの仕組みを実際に変えるのはかなり大変です。ブロックチェーン技術は、社会を大きく変えるポテンシャルはあるが、現実社会にすでに存在する仕組みを入れ替えるためには、技術ではない障害があると思っていました。 内山:アイデアはたくさんでたのですが、自分達の強みが活きるのか?、現実的に世の中を動かせるのか?というところです。ブロックチェーンとの親和性でいうと金融が一番早いような気がしますが、正直、我々は金融の分野はあまりわくわくしませんでした。 スポーツは面白いです。スポーツチームやアスリートとファンとのコミュニティーにトークンエコノミーを適応すると、スポーツチームを応援しようとするファンの熱量がトークンエコノミーへ変わると凄いです。ですので、ブロックチェーン x スポーツは明確に事業としてやっています。 石渡:実際に、3月には、スポーツテック企業にホットリンクとして投資をさせていただいております。 [caption id="attachment_40797" align="aligncenter" width="733"] ホットリンクが出資するスポーツテックのサービスEsporta[/caption] ブロックチェーン技術を用いて社会変革を起こす、多くの企業をその変革に巻き込んでいくことが重要 -- 先程の話に少し戻ります。今後、LGBTの人たちがパートナーシップ証明を持てるようになるために、民間証明書を発行していくとありました。こちらに関して具体的に教えてください。 内山:すでに渋谷区やその他のいくつかの市区町村で、LGBT向けのパートナーシップ証明書というものが発行されています。夫婦と思われる方々に対して、婚姻届けを出せない代わりにパートナーシップ証明書を発行しているんです。これは実は法的効力はありませんが、行政が発行したパートナーシップ証明書をもってきたら、ローンの審査の際、二人の収入を合算して査定しますよという動きや、生命保険の受取人にパートナーを指定できるとか、携帯電話の家族割引をうけられたりとか、飛行機のマイルを家族で共有できたりと、民間企業が、法的な家族ではなくても家族として認めるようになってきています。法律を変えなくても、思いのある民間企業が受け入れてくれたことで、世の中が変わってきているんです。 しかし、ここで問題が出てきます。例えば、渋谷区が発行するパートナーシップ証明書は、渋谷区に住んでいる人しか申請できない。そして、引っ越しをすると無効になる。かつ、引っ越し先の行政が、パートナーシップ証明書を発行していない地域かもしれない。これでは不便ですよね。かといって、まだパートナーシップ制度を導入していない全国の市区町村が導入するまでに何年かかるかわらない。 そこで、我々のような民間が、一部の行政が発行しはじめているパートナーシップ証明書に相当するものを、日本のどこに住んでいる人であっても発行できれば、現状の不便さがもっと解決されるのでは?と思い付きました。更には、夫婦関係に限らず、親子関係に応用できると思っています。今では、卵子提供や精子提供、または代理母の助けを借りて生まれてくる子供も増えてきていますが、現状に法律が追いつかず、親子として認定されない親子がたくさんできてきています。そういう人たちの関係を、民間団体がしっかりと確認し、認め、親子関係証明書を発行し、それを受け入れてくれる民間企業が増えれば、今よりはそういう人たちが生きやすいやすい世の中になるんじゃないかと。 正直、会社の利益になるようなプロジェクトではないですが、この考えに共感してくれるメンバーでやってみようといって始めたのが、今回のプロジェクトのキッカケになります。 石渡 : そうです。そのためには、発行するだけではなく、民間団体が発行したパートナーシップ証明書を受け入れる企業を増やしていくことが大事だと考えておりまして、竹中平蔵先生にもこのお話をしたところ、非常に賛同して頂き、アドバイザーに就任して頂きました。 内山 : やりたいことを実現するには、技術とは別に、こういった民間企業の巻き込みをやっていかなくてはいけない。その両方をやっていくプロジェクトになっています。ブロックチェーンの分野には非常に優秀で想いを持った若者が多くいます。しかし、彼らだけでは社会を巻き込んでいく力はまだまだ弱い部分があります。ブロックチェーンで社会変革を起こすには、若い人たちの技術力に加えて、世の中を巻き込んでいく大人達の力も必要だと思っています。 -- 今回のパートナーシップ証明書を発行する際、ブロックチェーンの技術を使わないといけない理由はどこにあるのか教えて下さい 内山 : 夫婦や家族の関係って、一人の人の生涯に渡って、それを超えて、何代にも渡って続くていくものですよね?だからこそ、何十年・何百年にも渡って、そのデータは安全に保管され、そして、発行された証明書が正しいものである事が検証できるようになっていなければならないと思います。例えば、現在の日本の戸籍は、”国”という、何十年何百年にわたって永続する存在が管理しているからこそ、長く管理できているのです。 それほど重要で、かつ永続性が必要とされるデータを、一民間団体のシステムやデータベースで管理しようするのは、発行者の責任としてありえないと思うんです。しかし、BitcoinやEthereumのようなパブリックなブロックチェーンをデータベースとして活用すれば、ブロックチェーンの仕組みと、世界中のコンピュータパワーを使って、そのシステムとデータを永続させる事ができるようになります。ある意味、発行団体がなくなったとしても、データとシステムは残り続けます。だからこそ、ブロックチェーンなんです。 [caption id="attachment_40801" align="aligncenter" width="800"] ブースで証明書の発行をする内山さん[/caption] -- 今回、Famieeのブースをだしてみての反応などはいかがでしたか? 石渡 : 今回は、あくまでもイベント用の企画として、カップルさんお二人の誓いの言葉をブロックチェーンに永遠に刻んで、その誓いを証拠として、”カップル証明書”というものを発行する企画でした。多くの人が興味を持って、我々のサービスを利用してくれました。ブロックチェーンを知らない方も多く、ブロックチェーンの仕組みをちゃんと説明した上で、カップル関係をブロックチェーンに刻み、証明書を発行しました。 お二人のプライバシーを守るために、お二人の情報は暗号化してブロックチェーンに刻まれ、発行した証明書に書いてあるパスワードを入力することで、お二人の誓いとパートナーとしての証明を確認して頂けるようになっています。今回は、イベント用に企画した簡単な証明書ですが、今後は、行政発行のパートナーシップ証明書に相当する、本人確認等を本格的にする本当のパートナーシップ証明書を発行するようにしていきます。 -- このパートナーシップ証明をブロックチェーンで行う際、難しい点や苦労していることも多いと思います。そこに関して、お聞かせください。 内山 : これらの証明書発行で難しいのは、技術面では、プライバシー保護と検証可能性との両立の仕組みです。LGBTの当事者の方からすると、自分はゲイやレズビアンですと公表するということは、最悪の場合、迫害されて自殺に追い込まれたりすることもありえるリスクがあることです。なので、パートナーシップ証明書を取得するためとはいえ、役所の人や我々のような発行者側にさえ、本当は個人情報や二人の関係を開示したくはないのです。しかし、本人確認をちゃんとせずに発行して、保険金詐欺などが起こっても駄目。 究極的には、我々にもわからない形で、彼らが申請者本人であると確認をし、また、ホントに独身(パートナーがいない)であるということを確認する仕組みが欲しくなります。ブロックチェーンでは、ゼロ知識証明のアルゴリズムとかが活用されたりしますが、そういった問題にまず直面します。 また仮に、ブロックチェーンに、なんらかの二人の情報を書き込む際には、第三者が見たときにわからないように暗号化しなくてはいけません。これらは、本人たちにしかわからないような暗号にしたいけれども、後々、その証明書を提出された民間企業とかから証明書の正当性確認の要請があったときに確認できないといけない。 もう一つは、証明書を発行するのことはできても、それを受け入れてくれる民間企業を巻き込まなくてはいけません。ブロックチェーン技術は、社会変革を起こすポテンシャルはあるが、技術だけだと実際に社会変革は起こせなくて、多くの企業をその変革に巻き込んでいく必要があります。社会的な信用や政治的なパワーがある人がこれを取り組むことで、初めてブロックチェーンで社会変革を起こせるんだと思います。 石渡:あとは現状だとお金の問題も出ています。現状、ボランティアで思いのある人が手伝ってくれていますが、今後ちゃんとした良いものを作っていく、時間をかけて社会を巻き込んでいく、これらのことをしようとするとどうしてもお金の問題は出てきてしまいますね。 [caption id="attachment_40803" align="aligncenter" width="800"] Famieeチーム[/caption] -- 色々と技術的問題や環境的な問題などまで多くのことがあると思います。しかし、社会的に見て非常に重要な問題を解決できるプロジェクトだなと思いました。 内山:ありがとうございます。マイノリティの人たちに対する差別という社会課題を解決するという点で、このプロジェクトはとても意義のあるプロジェクトだと思っています。が、ブロックチェーンによる社会変革という側面からも、重要だと思っています。 今回のこのプロジェクトを通じて、ブロックチェーンを使った社会変革のユースケースを一つ作ってみると、ブロックチェーン技術で社会を動かすためにはどうどういうプロセスだったり要素が必要なのかが見えてくると思っています。今後、ブロックチェーン技術で様々な社会変革を実現していくという意味でも、このプロジェクトは絶対に成功させたいと思っています。 後編の記事では、Famiee Projectの発起人であるお二人へのインタビューをお届けしました。 前後編に分けてのFamiee Projectに関しての特集でしたが、現在のLGBTにおける問題点をブロックチェーンでどうやって解決するか、そして社会変革を起こすためにはどうやって世間を巻き込んでいくか、プライバシーをどうやって守っていくかなど、多くの観点から考えるべきことが多かったと思います。 今回の記事を読んだ方が少しでもLGBTに関しての理解が少しでも深まり、Famiee Projectの今後の動向に関しての興味を持っていただけたら非常に嬉しく思います。 前編 : [Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
インタビュー
2019/08/14SankaNetworkを通じてトークンで多くの人が、ネットワークに参加する社会を作る – HashHub CEO 平野淳也
2019年7月にステーキングプールであるSanka NetworkをローンチしたHashHub。 日本でもステーキングプールを提供する事業者が増えてきている中、HashHubがSanka Networkで狙っていること、そしてCEOである平野さんがブロックチェーンの将来を見据えて色々と語っていただきました。 Sanka Networkとは 株式会社HashHubが運営するステーキングプールです。ユーザーが保有する対象となる通貨をSanka Netowrkへデリゲート(委任)することで、ユーザーの資産を預かることなく、ユーザーは自身のウォレットで資産を管理しながら報酬を得ることができるサービスとなっています。 現在では、下記の3通貨を対象にサービスを開始しています。 COSMOS (ATOM) Tezos (XTZ) IOST Sanka Network ホームページ HashHub CEO 平野氏へのインタビュー HashHubの新規事業としてSanka Networkを立ち上げたキッカケ --HashHubは、コワーキングスペースを事業として行っていますが、新規事業として、Sanka Network いわゆる、Validator Poolを作ろうと思ったのは何がきっかけだったのでしょうか? 実は、HashHub自体はもう既にコワーキングスペースを提供している企業というわけではなく、Lightning Networkや金融機関との実証実験にもいくつか動いています。言ってみればブロックチェーン総合企業という名目でやっています。 コワーキングスペースの売上自体で言うと、既に全体の5%程度であり、今回、目に見えるToC向けのサービスとして出てきたのがSanka Networkということです。 -- Sanka NetworkはHashHubとして、To C向けのプロダクトとしては1個目のプロダクトだと思います。何故、1個目にこのようなプロダクトを出そうと思ったのでしょう。 HashHubはリリースしていないような、裏側でやっているようなこともたくさんあります。 その中で、ToC向けに何かを提供していこうと考えたとき、何からやるのかという点はすごく考えました。その中で、これからのブロックチェーンというのはProof of Stakeが主流になっていくと考えました。 前回の仮想通貨バブルの際、マイニング事業者というのが非常に増えました。殆どは、海外に事業者がいたわけですが、電気代の観点などでいうと、日本国内ではマイニング事業者というのは、なかなか生まれづらかったという前提がありました。 そのため、産業の川上における存在のような事業者が日本国内にもう少しいるべきであると考え、ユーザーが対象の通貨を利用することで、簡単に毎日報酬を得ることができるValidator Poolの提供をということになりました。 最初は報酬を受け取れると言うだけですが、将来的にはダッシュボードを作り、ガバナンスに参加できるみたいなことも考えています。 [caption id="attachment_40750" align="aligncenter" width="800"] SankaNetworkホームページより[/caption] -- ありがとうございます。日本で法人がValidator Poolをやる際、障壁があるのかなと私は考えていました。例えば、CosmosだとNodeの条件に入るためには数千万円のATOMトークンを買う必要があります。 その後、買ったトークンをステークすることで条件が整いますが、法人でこれらをやると、会社の期を跨ぐときに、保有しているトークンを時価計算する必要があり、その際に、資産価値が上がってしまっている場合など、自分たちのステークしているトークンを期が終わる前に売ったりするのかなと考えたことがあります。 これらから、法人でのValidator Pook事業はハードルが高いのかなと思ったのですが、このような障壁やそれ以外の障壁にも対応できるのでしょうか Validator Poolを国内で展開する意味での障壁に関しては、主に3つの論点があると思っています。これから施行されるカストディ規制に当たるか、今お話されたように法人税の面、そして、集団投資スキームに当たるかどうかというところです。 順番に話していきます。まず、カストディ規制の論点で言うと、ユーザーの資産を、我々が預かるということは一切やっていません。ですので、これはカストディ規制には当たりません。カストディ規制では、"ユーザーのために暗号資産を預かる事業"という文言になっています。Sanka Networkでは、秘密鍵はユーザーから一切預からないので、この規制には当てはまりません。 -- これは、ユーザーは自分たちのウォレットを利用してトークンをDelegate(委任)するからということですね。 そうです。そのため、我々のサービス自体はカストディ規制には当たりません。次に、買ったトークンの自己ステーク分の期末の法人税関連がどうなるのか?という話ですが、管理する部分はちゃんと管理します。事業をやっているのは日本の法人でも、自己保有のステーク分は海外の関連会社を利用してというような方法もできますし、色々とやり方があります。 一方で、仮に自分たちで保有していたとして、期末での時価評価にそこまで法人税がかかるのかというと、そこまで影響がないと思っています。自社でトークンを発行していたり、流動性に関係なく、その分のvaluationとかで課税されるみたいな形だと、問題が発生してくると思うのですが今回のステーキング周りのビジネスに限って言うと、我々はそこまで大きな問題ではないと思っています。 因みにですが、現段階では、Cosmosなどの自己保有分に関しては、HashHubとは違う法人で持っており、そちらで管理しています。 そして、集団投資スキームに当たるのかというような観点でも、我々はあくまでもValidator Poolを運営しているという観点なので、集団投資スキームにも当たらないという認識でいます。これら3つの観点から踏まえても、国内でValidator Poolの事業をやるのは問題がないというところです。 [caption id="attachment_40756" align="aligncenter" width="1024"] IOST SankaNetwork 投票画面[/caption] -- ありがとうございます。Sanka Networkではダッシュボードにガバナンス的な機能をということを冒頭で少しお話されていました。リリース初期でできること、将来的に計画していることなどに関して教えてください 初期時点に関していうと、機能としてできることは限られています。最低限ステーキングできて報酬が受け取れるという形です。今後に関して言うと、ユーザーがガバナンスに参加できるような、ガバナンス周りを実装したダッシュボードなども提供できたらと思っています。この背景としてはブロックチェーンにおいて、オンチェーンガバナンスというものが、賛否があれど、将来的に必ず増えていくものだと思っています。 PolkadotやCosmosでもネイティブで実装されていますし、Tezosも同様です。後はCosmos SDKを使っているプロジェクトでも、ウォッチをしていると大体オンチェーンガバナンスを実装しようとしています。 そうなると、トークン設計をしていても、トークンホルダーにガバナンスに参加できる権利を付与するような動きは必然であると思っています。ただ、その一方で、トークンホルダーに求められるリテラシーが大きくなってきますが、これらのガバナンスに参加できるダッシュボードやそれに近いものはありません。 Cosmosの例を上げます。Cosmosでは既にValidatorへの投票が始まっています。我々もこの投票に既に参加しているのですが、一方で私たちのValidator Poolを通じてステーキングしている人は、現在、ガバナンス周りに関しては見ていません。しかし、インターフェースを提供して、我々が、Validator Poolとして、どういう投票をしていくのか、どのような意見をプロトコルに対して行うのかなど、そういう部分に対して干渉できるようにしたいなと思っています。 -- ユーザーもSanka Networkに投票するのだから、委任先がどういうことを行っているかを知る権利はあるということですね。現状、ユーザーがガバナンスに参加できるようなダッシュボードを持っているプロジェクトなどはありますか? Aragonとかは、フレームワークで作っていますし、他にも作っているところはあります。ただ、ユーザーはガバナンスに参加できるとか、ネットワークを作るというのは、面倒だし、別に投票したくないというユーザーも普通にいるわけです。 例えば、ユーザーは10トークンくらい持っていて、その中で毎月5~6個くらい投票案件があったら、面倒くさいですよね。投票するインセンティブというのは、プロトコルとして設計されている場合もあります。殆どは、設計されていないことが多いんですが、仕様としては、設計されているものがいくつか存在します。今後、そういうものがまだまだ出てくると思っています。 で、私が考えているのは、Validator Poolっていう中間者、サードパーティという立場でも、投票するインセンティブやステーキングに参加するインセンティブというのを、外側からもっと付与できるんじゃないかと考えており、今色々とやっています。 -- 私も会社でCosmosでバリデーターに投票したり、IOSTに限ってはノードを建てていたりとするのですが、このインセンティブに関しては色々なアイディアが出てくると非常に良いなと思っています。ただ、インセンティブでいうと、収益率が上がるというのが多いと思いますが、収益率が上がる以外の考え方はありますか? 現時点でどのくらい話せるかというところはあるのですが、プロトコルの設計で言うとCosmosやLivepeerが顕著です。より多くの人がネットワークに参加できるように、所謂トークンをどれだけステークさせるかみたいな設計となっています。ネットワーク全体で、トークンがあまりステークされていない場合、Yield Curve(利回り曲線)がより利益率の大きいYield Curveになったりします。逆に、ネットワーク全体でステークされているトークンの量が、十分に大きくなったら、yield curveが減っていくとかというのはあります。 これも言ってしまうと収益率の話になってしまいますね(笑) 結局、収益が一番のインセンティブになるってことです。ただ、仮に投票に参加するっていう以上に、より多くの人が、ネットワークにステークという形でもネットワークに参加するということを大事にしていて、そういう意味でネットワークに参加する『Sanka Network』というサービス名にしています。 サービスは、既に開始しており、現在、Cosmos、Tezos、IOSTの3通貨に対応しており、既にブロック生成をしています。 -- Validator Poolのサービスは海外だと取引所がやっていたり、ファンド系が参入してきたり、日本でもStirのような競合他社があると思うのですが、Sanka Networkが他と比べたときの強みで言うとどこでしょうか。 現状で言うと、基本的かつ、わかりやすいサポートで実施していくというところです。その他にも、セキュリティの構築にも気を配っています。アーキテクチャをどのように設計しているかなどは、また追ってブログなどで公開すると思います。 また、将来的に考えている部分として、さっきお話したようなガバナンスの部分、ダッシュボードに関してというところです。それ以外にもこれからもっと考えていかなければいけない部分もたくさんあると思っていますし、派生して、シナジーのある何かをみたいなことも考えています。 これからの未来におけるブロックチェーンの世界 [caption id="attachment_40757" align="aligncenter" width="800"] d10n ホームページより[/caption] --ここからは少しSanka Networkから逸れてしまうのですが、平野さんは将来的にどういうブロックチェーンの世界観を考えていますか? まず、1st layerのいわゆるスマートコントラクトプラットフォーム的な話で話していきます。最近はこういう論争も減りましたが、以前はPoWが優れているのか、PoSが優れているのかという話が多くあったと思います。 PoSは実装するのが、とても難しいのですが、一方でPoWだと、アプリケーションを乗せるためのブロックチェーンとしては絶対にスケールしないということが、すでに明らかになっています。これらの観点から言うと、1st layerのブロックチェーンプロジェクトがPoSでローンチをしているように、Proof of Stakeを模索しなければいけないという事実はまず間違いないと思っています。 そして、EthereumがPoSに移行、2つのブロックチェーンでネットワークを構築するというような、複雑なことを行っていますが、持続性のあるPoSの構築は非常に難しいというのはまず間違いないです。一方で、少なくとも、将来的なところに向かっているのはPoSであるということはまず間違いなく、アプリケーションが乗るP2Pのブロックチェーンネットワークとしては、今最も主流となっています。 そして、今、スマートコントラクトプラットフォームみたいなプロジェクトは沢山出てきていると思いますが、多分いくつもは残らないと思っています。正直、無駄だろ!って突っ込むくらいの数が現在、存在してますよね?(笑)ただ、これらのプラットフォームが全部なくなり、完全に一つにはならないと思っていて、地域性とか用途に応じて複数は残るのかなと考えています。 例えばEthereumであれば、DeFiみたいなものが残るのが妥当なシナリオかなと考えています。で、思い返すと、少し前までのICOプロジェクトって全部Ethereum上でトークンを発行していましたが、最近は資金調達のためのトークンはBinance Chainで発行する傾向が多いです。Tezosに関して言えばSTOをやっていて、セキュリティトークンと相性が良かったりしますし、ゲームとかギャンブル系のアプリであったらEthereumほどの分散性とかを求めないでEOSとかTRONで、などのような感じで、用途が分かれてきて、いくつかがプラットフォームとして継続していくだろうなと思っています。 そして、アプリケーションレイヤーにおいても、トークンを利用してステークをしていくという概念がこれから出るだろうと思っています。 例えば、Enigmaというプロジェクトは1st layerのブロックチェーンというよりは、layer2という言葉もあまり正しくないんですけれど、1個目のレイヤーで動くcomputationのレイヤーです。そこではノードがENGトークンをステークして、秘匿計算を行うというようなことをしています。このノードがENGをステークしているから、Enigmaのネットワークに対して悪意のある行動をしないだろうっていうことをもとに、ENGをステークしていることから秘匿計算を行うという仕事を許され、その仕事に対してインセンティブをもらうということを実施しています。 そして、このようなプロジェクトは増えつつあります。 -- Enigma以外だと、どういうプロジェクトがあるのでしょうか? 私はこれらのモデルをMedalion ModelとかWorking Capitalって括りにすることが多いんですが、トークンを持っていることで、仕事ができたり、パーミッションが得られるトークンのことをこれらに当てはめています。 Augurで言うとREPをステークすることで予測市場を作成することができたり、0xが今後少し変わっていくのですが、ZRXトークンをステークすることによって、マーケットメイクができるようになります。現状、マーケットメイクは誰でもできますが、ZRXトークンをステークすることでインセンティブを得ながらマーケットメイクをすることができ、さらにマーケットメイカーにDelegateもできるようになります。 トークン設計の観点で言うと、少し前までプラットフォームを作って、そのプラットフォームの交換価値としてそれらのトークンが設計されるというものが多く存在しました。しかし、あのトークンモデルは絶対にワークしません。そのあと色々模索されているのが、こういうステークモデルだったり、アプリケーションにも何かしらのステークの要素を用いるとか、Delegateの要素を用いるとかです。 また、Cosmos SDKを利用して立ち上げたブロックチェーンは自分たちでセキュア性を管理しなければいけません。そのとき、ネイティブトークンを発行して、アプリケーションでの用途としてのトークンと、Validationに参加させるためのトークンという二つの役割を持ったトークンが、Cosmos SDKによって作られたブロックチェーンから出てくると思いますし、既にTerraのようなプロジェクトでもでてきています。 そういう意味でも、トークンホルダーが受益する価値は今後大きくなっていくと思っていて、ネットワークにおけるトークンホルダーの重要性というのは、大きくなってくるはずだと考えています。トークンホルダーっていうのは、現在だと大抵の場合投資家だと思います。彼らが"適切な形でネットワークに参加できる"っていうインターフェースを作りたいってところですね。 -- 今、お話しいただいたのは、ブロックチェーンが社会に浸透していく世界を見据えた上でという話ですね。私もそういう未来を信じています。そんな中で、その未来というのは、どのくらいで大衆に普及していくと考えていますか? 例えば、私たちが現在だとValidator Poolという機能だけを提供していると思うんですけど、そこで気が付いたらブロックチェーンが実装されてたみたいなところでお話します。 適切な例えかどうかわかりませんが、ETHを買う人っていますよね。Sanka NetworkのValidator Poolにステークしたら年利4%くらい儲かるから、よくわからないけどステークしようみたいな感じでステークする人が出てきます。だけど、そのステークがどういった仕組みなのか、よくわかりません。 しかし、将来的にインターフェースはどんどん簡単にしていくつもりなので、ブロックチェーンのステーキングっていうのが具体的にどういうことかわからない人でも、簡単にステーキングできるようにしていく予定です。もちろん、少し時間はかかると思っています。 少し時間はかかると思うんですけれども、その人がステーキングをするという行為、その利息を得る目的だけで参加していたとしても、結果としてEthereumのネットワークは少しセキュアになっています。そして、別の事業者が、Ethereumのネットワークで他の事業をやっていたり、もしくはどっか違う国でセキュリティトークンが発行されていたりとか、それもまた一つの形なのかなと思います。 あとは、最近社内でした話になるのですが、Ethereum界隈で最近よく使われている言葉『Programmable Money』というものがあります。世界が全部Programmable Moneyになったら便利だよねという話をしていて、具体的にどう便利になるのかってことを簡単にお話いたします。今も、私は会社を経営しているわけですけれども、日本円がProgrammable Moneyになるととても便利になります。今、会社の銀行口座に運転資金が入っています。それが日本の銀行の低金利な口座に入っていて、何もできない状態です。 しかし、日本円がProgrammable Moneyだったら、地球の裏側にいる人でも、コントラクトでお金を貸し出すことができます。コントラクトにCompoudのような担保率が設定されているのであれば、それが確かに担保があるというのを検証できると、会社の運営資金でも地球の裏側の人に貸し出せる可能性がでてきます。 あとは、もう少し未来の話をすると、請求書にスマートコントラクトを噛ませるとかも想像できますね。そして、今後、そういう世界になったら良いみたいな話はよくしています。 今、実際なんでそういう世界が実現していないのだろうかと考えて、それらを箇条書きにしてみたら、色々出てくるわけですけれどもそれぞれの課題が解決されるのは、割と時間の問題かなと思っています。そういうのが部分的に実装されて~みたいなことを考えると3~4年ってところかなぁと思います。 [caption id="attachment_40758" align="aligncenter" width="800"] HashHubで撮影の平野氏[/caption] -- そんな未来の中で、今、CoinMarketCapとかを見ても沢山の種類のトークンが発行されていると思います。 そのトークンも用途はバラバラで、それこそ新興プラットフォームがトークン発行しているものがあったり、アプリケーションレイヤーで必要とか様々なものがあると思います。EthereumのようなプラットフォームやCompoundのようなDeFiやその他のDAppsなど様々なものがあると思うのですが、全部が全部にトークンって必要か?みたいな事をよく思うのですが、ココらへんに関して、平野さんの考えはいかがですか そうですね、CoinMarketCapとか見ていても、全部にトークンは必要ないと思っていますし、実際、必要のないトークンはかなり多いです。その一方で、d10n Labでリサーチ・レポートを配信しているように、トークンメトリクスを考えたり、設計を分析するのが非常に好きだったりします。 色々なプロジェクトを見ていて感じることとしては、2017年くらいと比べて、トークンの設計に妥当性を見出せるプロジェクトが増えてきてはいるなということです。世界がどこまで行っても、このトークンというものを買っている人というのは投資家です。 投資の対象かつそのプロトコルに意味のあるコンポーネントがあるという要件が満たされていないと、そのトークンは存在する価値がないはずです。この2つの要件が満たされるトークンモデルが、まだ割合としては少ないですが、2017年とかと比べるとはるかに増えてきていますね -- これは、私が個人的に感じている点ですが、この間も話題に出ていたTerra(d10n Labのレポート参照)なんかも、ステーブルな役割を持つトークンとネットワークで利用されるトークンの2種類が存在するデュアルトークンモデルを採用しているプロジェクトですが、このようなプロジェクトなんかもかなり増えていますよね 単なるステーブルコインじゃない通貨も増えてきていると思います。Terraのモデルは、ステーブルコインがあって、そのステーブルコインの経済圏が活性化されることによって、受益するための価値を享受するためのトークンがあるというような感じです。 FacebookのLibraなんかも同じで、ステーブルコインとは別でLibra Investment Tokenがあります。結局、トークンというのは、インターネットでプロトコルができたとき、それを受益するもの。 それをどういう形で受益するのか、証券ではないけれども何かしらのもので受益するということですね。 Maker DAOなんかもMKRトークンをバーンして、価値が上がるみたいなロジック、Terraも同じような仕組みで、送金手数料がLUNAをステークしている人に支払われる。これは、新しいプロトコル的なものの価値を受益するものなのかなと考えています。 -- TerraもLibraも、Maker DAOなんかもそうですが、壮大な社会実験みたいですね。こういうものがうまくいって、それがMassに受け入れられるともっと面白くなるのかなとか 思ったりします。 そうですね。今、受益とかそういう言葉を使っていて、そういう言葉を使ってしまうと、それって証券だよみたいな話でもあるんですが、確かに証券的といえば証券的です。 Libra Investment Tokenとかは実際セキュリティトークンとなっています。ただ、今までとの決定的な違いは、"インターネット上"でその"受益者"は"P2P"で"離合集散的"にという部分です。その受益者というのが変わるんです。 例えば、TerraにおいてLUNAトークンをステークしている人っていうのは、別に株主名簿を入れ替える必要もなく、ステークしている人が流動的に変わります。これはすごいインターネット的ですよね。 そういう意味でも、色々なプロジェクトのトークンモデルというのは少しづつ洗練されつつあって、それが非常に面白いなと思っています。そういったプロジェクトを見る中で、自分たちが作っているようなものも、今後、需要が出てくるのかなあと考えています。 -- 色々と話が沢山それてしまいましたが、楽しいお話でした。HashHubのCEOとして、最後にコメントをお願いいたします。 HashHubというのは、一番最初は、暗号通貨、ブロックチェーンっていう新しい技術をきっかけにできた会社でした。この技術の特徴というか、暗号通貨の特徴って何だろうみたいなところを考えてきていました。 ビットコインで言うと、ビットコインというのは一人ひとりの選択肢を作ったと思っています。政府を信用できない人だったり、銀行を信用できない人はビットコインを持つ、そういうのでなければ別にビットコインを持つ必要はないと思っています。 そのような前提で、HashHubという会社のミッションとしては、選択肢をより増やした世界を作っていくというものになっています。そ事業ごとにミッションがあるんですけれども、d10e labで言うと『Distribution of Knowledge』という、ブロックチェーン関連の知識を広めるっていうミッションです。 『Sanka Network』で言うと、トークンを用いてより多くの人が、ネットワークに参加する社会を作るっていうミッションを掲げています。HashHubは色々な事業が連続的に生まれる会社だと思っているので、コアな部分に選択肢を増やすっていうのがあって、そのうえでいろんな事業を作っていくとい来たいと思っています。 その上で採用も積極的に行っているので興味のある方はご連絡ください!! 7月にHashHubがリリースしたSankaNetworkは対象となる通貨のトークンを持っていれば、誰でもSankaNetworkに委任をしてステーキング報酬を受け取ることができます。 海外プレイヤーだけでなく、国内でもステーキングプールを運営する企業が徐々に増えてきていますが、SankaNetworkは今後、ユーザーがよりガバナンスに参加できる仕組みを取り入れていきたいとのことです。 今後の動きにも注目しながら、対象となる通貨を持っているユーザーは是非ともステーキングに参加して、ステーキング報酬も受け取りましょう。 Sanka Network ホームページ ※Sanka Networkでは8月まで手数料が0%になるキャンペーンを実施中です。
インタビュー
2019/08/13[Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮
2019年4月末に代々木公園にて、「LGBT、いわゆる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指した団体、およびイベントである『東京レインボープライド2019』が2日間にかけて行われました。 本イベントでは、ブロックチェーン技術を活用するFamiee Projectが「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるようで、イベントに参加し、取材を行ってきました。 今回の記事から2回に分け、Famieeに関する思いや考えをお届けしていきたいと思います。 前編記事ではFamiee Projectの概要や目指すもの、開発チームであるStaked株式会社 CEO 渡辺創太さん、株式会社withID CEO 川 大揮さんのお二人へのインタビューをお届けいたします。 後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様に加え、発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project 概要 「Famiee」プロジェクトは、地方自治体が発行するパートナーシップ証明書に相当する証明書を、改ざん不可能性といった特徴を有するブロックチェーン技術を活用して、民間で発行し、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指すプロジェクトです。 内山幸樹の呼びかけに応じて、LGBT支援活動家、ブロックチェーン事業に取り組む起業家等「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現」という理念に共感するメンバーが集まり誕生しました。 [caption id="attachment_40726" align="aligncenter" width="646"] ハフポスト調べ[/caption] パートナーシップ証明は、2015年11月に渋谷区や世田谷区で導入され、現在でも導入されている地域が徐々に増えており、2019年4月1日には9つの地域で導入がなされました。 現在、Famiee Projectでは、一般社団法人Famiee の設立手続き中となっています。 背景・目的 「家族」という概念は、近年、とても多様化してきています。LGBTのカップル、事実婚のカップル、精子・卵子提供を受けてできた親子、代理母の協力でできた親子、互いに支え合って生活するシングルマザー同士など、従来の概念での「夫婦」「親子」「家族」に当てはまらない新しいカタチの家族の形態が生まれてきています。 しかし、従来の家族の概念に基づいて作られた社会制度の中で、新しい概念に基づき生きる人たちは、多くの困難に直面しています。 一方、日本では、既に複数の地方自治体でパートナーシップ制度が導入されていますが、制度の導入に際しては、市区町村の強いリーダーシップが必要とされ、パートナーシップ制度が日本全国に広がるには時間がかかると考えられます。 そこで、「Famiee」プロジェクトでは、LGBTカップルや事実婚カップル等、法的には婚姻関係と認められない多様な家族形態の人たちが、住んでいる地区に関わらず家族関係を証明することができるよう、ブロックチェーン技術を用いたパートナーシップ証明書の発行を目指しています。 さらに、多様な家族形態の人たちが等しく民間企業の家族向けサービスを受けることができるよう、パートナーシップ証明書を採用する民間企業を増やすための啓蒙活動を行い、これらの活動によって多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指しています。 Famiee Project 開発メンバーへのインタビュー ブロックチェーンに何の情報を書き込むかをとても悩んだ [caption id="attachment_40721" align="aligncenter" width="800"] 左 : 渡辺 , 右 : 川 証明書の中身をブロックチェーンで確認している[/caption] -- 自己紹介をお願いいたします。 川:川 大揮といいます。ブロックチェーンに興味をもったのは2年前、インターンシップでLINE株式会社へいったときです。 そこでディーテクノロジーの中林さんからおすすめされてビットコインを買ったのがきっかけになります。 ビットコインは今もですが、当時も価格変動も凄かったので、価格予想などをTwitterで調べたときにPoS , PoWという言葉を見かけました。当時意味がわからなかったので、これらの言葉を見て、調べ出したことをきっかけにブロックチェーンってテクノロジーに興味を持ち、面白いと感じました。 難しいと思われがちですが、ブロックチェーンは理解もしやすいですし、シンプルな仕組みというところから新しいテクノロジーだと感じました。 その後、もっと深く知りたいと思い、Bancor(バンコール)の日本のカントリーマネージャーやWPの翻訳の手伝い、ウォレットの作成も行いました。これらの経験を経て自分のプロダクトを作っていきたいと思い会社を設立したというところです。 -- 聞いたお話だと、川くんは、東工大の卒業証明をブロックチェーンを利用して作ったとお伺いしています。(※取材は4月に実施) 川: 厳密に言うと、これからやりたいと言うところです。東工大初のベンチャー申請をしたのが先日です。東工大の教授に同じことをやりたいと考えている人もいて、お手伝いをしながらやっていきたいと思っています。(※withIDでは7月末に東工大発ベンチャーの称号を取得済み) 私がやりたいと思っていることは権利証明や生活で使えるようなデジタルID 作りたいと考えています。 渡辺:渡辺創太といいます。現在、ステイクという会社を設立し、SubstrateやPolkadotを研究しながら、現在はPlasmというプロダクトを作っています。 Substrateはカスタマイズしながらブロックチェーンをつくることができるので、Plasmaのライブラリをインポートして、Substrateで作るブロックチェーンをPlasmaのように出来ます。 ルートチェーンを作ってその下に子チェーンを階層化して出来るような機能をデフォルトで通ったブロックチェーンを現在、作っています。 その中でWeb3 Foundation、Parityと関わりを持っており、最近では、彼らに認知されてきたので、これから我々は世界展開していきたいと考えています。 -- 今回、Famieeにジョインしたキッカケや理由を教えてください 渡辺:元々、東大のブロックチェーン活用に関する研究室の場で内山さんと知り合いました。学生が自分達でプランを作って実装までしようというような研究室だったのですが、その中で、内山さんもプランをいくつか持っており、その持ってきていたプランの中でブロックチェーンを利用できるのではないかと考えました。 ただ、実装できる人がいなかった中で、開発者として川くんにピンときて、川くんに連絡を取り、誘いました。 川:僕は、権利証明や身分証明の分野をブロックチェーンでやりたいと考えていました。BlockcertsというIDのウォレットみたいなものはおもしろいなと考えていた時期で、色々とやれることがあるかなと思っていたときに、創太くんからfamieeの話をいただきました。話を聞いてみると、身分証明や権利証明に近いところがあったこと、ビジョンも共感できたので、すぐにジョインを決めました。 渡辺:内山さんは上場企業の社長であり、新経済連盟で三木谷さんの下でプロジェクトを立ち上げたりもしているので、日本国内において、ブロックチェーンユースケースを生み出していき、社会に浸透させていくことも出来るのでは?と考えました。僕ら、やりたいことや思いはあるけれど、それを社会に浸透していくには力が足りない。そういう意味で強い大人の力を借りることもできます。そういう意味でも今回のfamieeというプロジェクトは、すごくやりがいがあります。 - - お二人はいつからfamieeにジョインしたのでしょうか 渡辺:僕は、内山さんと出会ったのは去年の10月くらいです。で、その後にfamieeにジョインしたのは今年の2月というところでしょうか。川くんも僕が誘ったのは2月の終わりくらいとかだったと記憶しています。 - - そうすると、今回のイベントまでは実質3カ月ほどの期間しかなかったと思いますが、実装などは大変ではなかったですか 川:仕様設計からブロックチェーンに何をかきこんでいいのか、どうやって結婚証明するのかなど考える部分が多く、大変でした。 ブロックチェーンは一回書き込んだデータは取り消せないので、じゃあ離婚の場合はどうするのか、個人情報をどうするのか(サーバー挟むのか、そのまま書き込むのか、暗号化するのか、IPFS使うのかなど)などの話をしていて、そこに時間がかかりました 渡辺:あとは量子コンピューターの話もしましたね。量子コンピューターで解読されたらどうするのかって。 川:そういう話もたくさんしましたね。現在、使われている暗号って鍵の長さが128ビットや256ビットなどと色々ありますが、例えば 2030年にはコンピュータの計算速度は速くなるので、使いものにならないと言われている暗号がいくつかあります。 コンピュターの処理速度向上のために使いものにならないと言われている暗号を使用して、今証明したい内容をブロックチェーンに書き込んでしまうと、将来LGBTの方々や、結婚していることを公にしたくない方々の情報が丸裸になってしまいます。 例えば、あるプロジェクトでは個人の住所や名前などをハッシュ化してブロックチェーンに入力していますが、ハッシュ値も15年くらいで破られると言われています。可逆じゃないと世間的には言われていますが、今は可逆じゃないだけで将来的にはなくなる可能性があります。 また量子コンピュータになると処理速度が劇的に向上するので、じゃあどうすればいいのかなどの話合いも沢山重ねました。 -- その中でfamieeの実現のために、最も苦労した点は何でしょうか 川:結局の所、何を暗号化するのか、何をブロックチェーンに書き込むのかというところでした。これは、今までの例を見ても、実例がありません。そして、これらのことを考えているプロジェクト自体も少ないです。 一般の方は暗号化してるのなら安全、そして、それをブロックチェーンに書き込めば、誰でも読めないと思っている方も多いです。そういった価値観などをまずは変えなくてはいけません。 ブロックチェーンはオープンであること、誰でもデータが読めてしまうこと。そして、いくら暗号化してもダメだなど、こういったことの共有が必要になります。 また最終段階として、暗号化したり書き込んだものはEtherScanで復号して見ることができないという問題がありました。この部分に関しては、自前で実装しなくてはいけません。 書き込んだものをEtherScanのAPIを利用して、それを復号化する必要があったり、パスワードを使って復号化するなどのこういう処理が大変でした。 ex.) ブロックチェーンに暗号化で書き込む → EtherScanでみると文字化けしている → 自分達のサイトで暗号化を復号化する(EtherScanでは復号化はできない) [caption id="attachment_40719" align="aligncenter" width="800"] Etherscanに書き込まれているが、暗号化されていて確認ができない[/caption] 自分達だけで発行した証明書には価値はない、そこからどれくらい人を巻き込んでいけるか -- 今回のfamieeの体験では、ニックネームでも登録が可能ですが、ニックネームで登録したものでも実際に市役所に持っていけるのでしょうか 川:今回はあくまでも体験なので、そのような仕様にしているだけで、本番ではまた違う方法を考えています。例えば、IPSFという技術ではデータをバラバラに保存しますが、IPSFはどこにあるかをブロックチェーンに書き込むのでそれはプライベートではありません。 現在、考えているのはそのデータを参考に一つのデータをばらばらにして色々なブロックチェーンに書き込むことを考えています。Bitcoin、Ethereum、EOSなどにデータをバラバラにしてランダムなタイミングでそれぞれのブロックチェーンに書き込む方法です。 こうすることでブロックチェーンにあるデータは本人しかわからないし、消えることはないのでうまい使い方ができるのではないかと思っています。 [caption id="attachment_40720" align="aligncenter" width="800"] 復号化するサイトを構築し、確認が可能[/caption] -- 今日のイベントで実際に証明書の発行をしてみて、利用してみたユーザーからの反応というのはどうでしたか? 渡辺:反応はとても良かったと思っています。LGBTの人たちは私たちが思っている以上に社会に認めてほしいという気持ちが強いと思いました。今日話してみたのですが、こういうサービスが出てくると非常に助かるなどの言葉をいただいたり、ブロックチェーンって言葉は知っていたけど、実際にこうやって社会で使われているのは初めて知りましたなどの言葉をいただきました。 セキュリティー的にはまだまだ問題はあるけど、とてもニーズはあるのだなと手応えも感じています。 川:今まで証明書を発行するっていう概念は国が行っていました。しかし、ブロックチェーンの技術を利用すれば、改ざんされないという特性を利用して民間や一般の方が作れると思えたのが凄いと思っています。 実際、良いか悪いかはわからないけれども、そういう発想に行きついて、皆がそこに価値を感じていて、それがおもしろいと思いました。同じく手応えを感じました。 今日のイベントの中には、やめときますという人もいました。その人はブロックチェーンに書き込まれるのが嫌だと言ってましたが、それは書き込まれると一生残り続けるので嫌だということで、個人的にはこういう思いも含めてとても良いと感じました。それなりの信用がブロックチェーンにあるのだなと思えた瞬間でした。 私たちが出した証明書が、今後ちゃんと世の中に認められたら良いなと思います。 --今後、このような取り組みが認められる社会になっていくと良いと私も思っています。最後に、今後、ブロックチェーンがLGBTや社会の中に、より一層実装されていくために必要なことは何だと思いますか。 川:大きいことはいきなりできないので、小さなことからまずは始めることが大切だと思います。今回のように効力はないが、まずは発行してみること。そして巻き込んでいく人を増やしていくこと。 ブロックチェーンに書き込んだものは改ざんできません。そもそも僕らの発行した証明書が信頼できるものであると認めてくれる人がいないと意味がありません。ビットコインに関しても書き込まれているデータを認めてくれる人がいることに価値があると思っているので、まずは自分達だけで発行した証明書には価値はなく、そこにどれくらい人を巻き込めるのかが大切だと思います、 そうして、ようやく改ざんできないということが効いてきます。ただ、やりました!とかだけだと、最初は意味がないと思うので、そこにどれだけ価値を出せるかの人の巻き込みが一番大事だと思います。 渡辺:私としてはテックドリブンすぎることは、限界が来るだろうと思っています。ブロックチェーンの業界はテックドリブンすぎる人が多いです。世の中を巻き込んでやっていくとなると、例えば、新経済連盟のようなところに呼びかけていったり、本来の証明書であれば、必要な要件はあるけれども、ブロックチェーンで刻むなら、もっと簡単にしたもので、政府が認めてくれたら楽になるのように、技術以外のところをもっとやっていく必要があると思います。 前編の記事では、Famiee Projectの概要と開発メンバーであるお二人のインタビューをお届けしました。 後編の記事では、イベントの様子に加え、現在のLGBTにおける問題点やブロックチェーンを活用してどうやって解決していくか、巻き込んでいくかなどを株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんに語ってもらっています。 後編 : [Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
インタビュー
2019/07/03PoLの利用で学習を頑張った人が頑張った分だけ報われる世界を創る – 株式会社techtec 田上 智
現在、世界中でブロックチェーンへの注目が再度集まっています。この流れは、過去に盛り上がった投機的なブームとは違い、ブロックチェーンをどのように社会に実装していくか?ということが焦点となり、世界でのムーブメントが起きているように感じています。 日本でも仮想通貨だけでなく、ブロックチェーンを実装しようという企業が多く増えているように感じますが、実際問題、どのように学習すればよいかという課題を抱えている企業や個人も少なくないのが現状です。 今回、インタビューを行った株式会社techtecでは、ブロックチェーンに対してのオンライン学習サービス『PoL』を提供しています。 エンジニア向けの学習サービスが増える中、PoLでは初学者やビジネスマンを対象にしています。その狙いと新しく実装されたPoLトークンに関して話を聞きました。 PoLについて [caption id="attachment_39173" align="aligncenter" width="778"] PoLで準備されているカリキュラムの一部[/caption] PoL(ポル)は、無料で利用可能なブロックチェーンに特化したオンライン学習サービスです。 無料で始められる豊富なカリキュラムと、「英語コース」を現在は提供しており、今後、「ビジネスコース」「ライターコース」「エンジニアコース」も公開予定とされています。 現在、学習すればたまるPoLトークンの提供も開始しており、PoLを利用したトークンエコノミーも拡大させていく予定としています。 株式会社techtec 代表 田上 智裕氏へインタビュー ブロックチェーンに興味を持ったキッカケ -- 田上さんの自己紹介とバックグラウンドについてお聞かせいただけますか。 田上 : techtecという会社で代表をしている田上と申します。今はPoLというブロックチェーンの学習サービスをメインに行っており、そのほかにもリサーチ系の業務などもしています。 バックグラウンドとしては、3年前にリクルートという会社でブロックチェーンのR&Dをしていました。リクルートには新卒で入り、1年半ほどブロックチェーンの仕事をしました。 その後、元々起業することを考えていたので、昨年の1月に起業をしたという流れになります。 -- ブロックチェーンのどのあたりに興味を持たれたのでしょうか。 田上 : 私は、ブロックチェーンのことを知ったのはビットコインからでした。一番最初にビットコインを購入したのが2013年末にあったKrakenでビットコインを購入しました。 最初にビットコインを購入したのがMt.GOXの時なので2013年ですね。元々チームラボという会社でアプリを作っていて、テクノロジーにはすごく興味がありました。 なので、ビットコインとテクノロジーというところで、仮想通貨の仕組みってどうなってるんだろうと思い、ブロックチェーンに興味を持つようになりました。 私はもともと経済学部だったので、最初はテクノロジーとは違う分野、お金の仕組みというところに興味がありました。その中で、仮想通貨やビットコインが出てきて、信頼不要な形で通貨があるというようなことを耳にし、これはもしかしたらすごいことなのではないかと思うようになりました。 そこから調べれば調べるほど、それこそVitalikがEthereumを作ったように、通貨じゃない分野でもブロックチェーンが使えるというようなことも思うようになりました。 -- 最初はビットコインへの興味だったけれども、純粋に興味がどんどんブロックチェーンに移っていったんですね。リクルートでブロックチェーンのR&Dをとのことですが、そちらもお聞かせいただけますか 田上 : 私は、チームラボでアプリ開発をしていたのでテクノロジー周りに関しては詳しかったのですが、ビジネスが分かりませんでした。そこで、ビジネスのことなら起業家の登竜門であるリクルートに入って修行をしようと思い、2年ほど入りました。 内定者のときに、FacebookでブロックチェーンについてPostしていたのをリクルートの役員が見て、声を掛けられました。そこから、ブロックチェーンのR&D担当にアサインされてという流れです。 今でこそ、リクルートはBeamやCOTIなどに出資していますが、当時はスタートアップへの投資や、不動産事業(SUUMO)にブロックチェーンを活用したり、組み込めないか?というようなことを考えていました。 -- そして、リクルートを経て株式会社techtecを創業に至るということですね。 田上 : 起業したのが2018年の1月31日でした。ただ、皆様も記憶に新しいかと思いますが、その5日前にコインチェックの事件が起こったので、本当に大変な時期に作ってしまったという感じです。(笑) ブロックチェーン業界には、信頼できるメディアもありますが、間違っている情報を発信してしまうようなメディアも多くありました。だからこそ、そこにちゃんとした人間をアサイン出来るようにしないといけないと思い、仮想通貨メディア向けのライターサービスからスタートしました。 当時、ライターもかなり集まって、メディアも数十社集まりました。ですが、なかなか契約が成立しなかった。 というのも、当時集まったライターの質が良くなかったんです。純粋に、ライターになりたい!というような人を集めていたので、テストライティングをしてもらったのですが、クオリティの面で心配がかなりあり、このままでは紹介できないなという状態でした。 そこで、課題はライティングではなく、ブロックチェーンの理解をつけてもらわなければいけないと思い、学習サービスを作り始めました。現在では、PoLのライターコースというのを出そうとしているところなのですが、当初やりたかったことが一年越しに出来るようになろうとしています。 PoLトークンの使いみち -- 今、話にも出てきましたが、techtecが出しているプロダクトPoLに関してのご紹介をお願いします。 田上 : PoLは、無料で始められる仮想通貨・ブロックチェーンの学習サービスです。エンジニアではなく、ビジネスマン向けに作っています。 ブロックチェーンというと、前提知識が無いと始められないので、PoLは体系的に学べるようなサービスになっています。そのため、何から始めればいいの?といった疑問を持つ方に是非始めてもらいたいと思っています。 学習した後、業界に還元してほしいと思っているので、アウトプットをどんどん行って欲しいと考えています。 そういった観点から、グローバルに活動してもらうためには英語が使えたほうが良いので、英語コースを設けたり、ライターとしてメディアと一緒に活動していく人を増やしたいのでライターコースも設けています。 近々ビジネスコースもオープンする予定なのですが、いろいろな企業にブロックチェーン活用事例を増やしてもらうのが狙いです。 日本人って過去から学ぶのは得意ですが、ゼロから作り出していくのは難しいところがあります。そもそも、ブロックチェーン業界は事例をどんどん増やしていかないと産業が伸びていかないと思っているので、このコースを設けました。 -- 英語コース以外は無料となっていますね!ユーザーとしてはありがたい半面、マネタイズなどはどこでやっていくのでしょうか。 田上 : 正直、マネタイズは今から考えるところです。去年、資金調達を行っているので、資金はそこから回しています。業界が発展していけば自分たちに跳ね返ってくると思っているのでそこを目指しつつも、アドバンスドコースのほうで今後はマネタイズをしていく予定となっています。今無料で公開しているものについては今後も無料で提供していく予定です。 ただ、オンライン学習サービスの課題として、ユーザーの継続率が低いという部分があります。海外のオンライン学習サービスのデータを見てみると、ユーザーの継続率5%などと書かれたりしています。 継続率5%ってWEBサービスとしては致命的で、そこの部分をPoLにトークン組み込むことで解決できないかと思っています。 [caption id="attachment_39169" align="aligncenter" width="800"] PoLのWebサイト、現在PoLトークンがもらえる[/caption] -- 今、話題にも出てきたPoLトークンですが、このトークンの使いみちを教えてください。 田上 : PoLトークンは一定経済圏として、コミュニティを作って、リテンションやリファラルを狙っていきたいなと思っています。学習すればするほどトークンが溜まっていく仕組みにしていきます。 これによってトークン保有量が多いほど学習量が多いという風に定義づけられると思うので、トークン保有量に応じて仕事を依頼したり、将来的には転職に使える一つの指標として使えるようになるのではないかと考えています。 オンライン学習サービスなので、例えばサービス内に誤字脱字があったりしたとします。その場合、ユーザーからフィードバックを貰ったらインセンティブとしてトークンを付与したりもしていく予定でいます。 -- 溜まったトークンは主にどこで利用することができるのでしょうか。 田上 : 今後の規制との兼ね合いにもなります。5月31日に改正資金決済法と改正金融商品取引法が参院本会議で可決されました。これの影響は結構大きくて、スタートアップ関連はかなりシビアになってきています。 改正資金決済法を考慮しなければいけませんし、ポイント周りの規制、前払式支払手段、あとは景品表示法などの規制も見ておかなければなりません。 自社で発行しているポイントを他社のサービスで使えるようにすると、景品表示法に引っ掛かります。 そのため、最初はPoL内のみで使えるようにし、無料サービスで得たトークンを有料サービスで使えるようにしていく事を考えています。 ポイントにすると前払い式や景品表示法の対象になりますし、仮想通貨だと資金決済法の対象になるので、データベース上にあるユーザーのただの数字のようなものととらえ、両方の対象にならないようなスキームでやっていこうと考えています。 トークンと表現しているからややこしくなっていますが、現状は割引に近い感じでの利用がメインです。学習して溜まっていった分を割り引いていくというイメージです。学習するほどトークンが付与されるようにしていきますが、付与量は常時変動するような設計となっています。 PoLが目指していく世界 -- PoLは将来的にブロックチェーン上での実装なども考えていますか? 田上 : 選択肢の一つとしては当然考えています。ユーザーの学習履歴を全てブロックチェーンに記録していくという案です。 BlockcertsやuPortといったようなサービスが既にありますが、これは学位をブロックチェーンに入れるだけです。 そうではなく、学習履歴をブロックチェーンに記録していきたいと考えています。 学歴は実際、重要な証です。例えば、東大の人は、やはり優秀です。そこの学歴に対して、改ざんされると被害が出てくるので、ブロックチェーンに乗せることは重要ではないかと考えています。 企業の人事は、実際に採用した人が経歴に書いた大学を卒業しているかを電話で確認します。それが、ブロックチェーンに情報を乗せることで無駄なコストの削減につながるのではないかと思います。 これらは一種の信用スコアではないかと考えていて、学習を頑張った人が頑張った分だけ報われるように、トークン付与のインセンティブで解決していくつもりです。 -- 最近ではブロックチェーンにおけるオンライン学習サービスも色々ありますが、他社との具体的な違いとかはどこでしょうか。 田上 : PoLと他のオンライン学習サービスにおける決定的な違いとしては、他社はエンジニア向けのサービスが多く、初学者向けやビジネス向けにやっているのはPoLぐらいかなと思っています。 ブロックチェーン業界外の人に入ってきてもらうには、やっぱり初学者向けやビジネス向けの部分の学習サービスが必要だと思います。 エンジニアは正直なところ、ソースコード読んだりすれば、学習サービスがなくても学べます。オープンソースでGitHubにもソースコードが上がっていますのでこの傾向は特に強いと思います。 他社は、純粋にブロックチェーンの学習サービスをやっていこうというところが多いですが、我々はブロックチェーン産業と教育業界を発展させたいと考えています。 ブロックチェーンは面白いし、確かにすごい技術ではありますが、あくまでも手段であって、目的になりすぎるのは事業としてはよくないと思います。 -- 現在だと海外でもBinance Academyなどの海外の学習サービスも出てきていますが、そういうプロダクトなども意識されていますか? 田上 : Binanceは意識しています。他にもCoinbase Earnなどのようなサービスもありますが、あれはあくまでも取引所が新規ユーザーの獲得のために行っていて、取引所のアカウントが無いと作れません。 なので、当分日本に入ってこないと思っています。BinanceやCoinbaseと競争していくとなると相当厳しいですね。Binance Academyの情報の網羅性が非常に高いので、仮に日本に入ってきたら厳しいかなというところです。 ただ、PoLは日本人が作っているというところが大きいかなと思っています。ただ、入ってくる前にコミュニティを作っておこうとは考えています。 国内であれば競合というよりはみんなで協力してやっていこうという感じですが、海外はBinance Academyは意識していますね。 -- 今後のPoLが見据えていることや最後に一言お願いいたします。 田上 : 将来的には総合オンライン学習サービスにしていきたいと考えています。数学とか国語とかそういうような分野です。そこにトークンエコノミーの概念を組み込んでいきたいと考えています。 その前段階としてブロックチェーンに力を入れていて、今後はあらゆる分野に展開していきたいと思っています。 仮想通貨は怪しい、ブロックチェーンは怪しいといったイメージを我々のプロダクトで変えていきたいと思っています。テクノロジーは面白いですし、そこにどんどん新しい人達が入ってきてもらいたいです。 それこそPoLで無料のカリキュラムを用意していますので気軽に入ってもらいたいと思っています。仮想通貨は知ってて損はないと思うので、今後の同僚と差をつけるためにもつながりますし、是非ともやってほしいと思います。 後は皆で協力して発展させていきましょう!というフェーズで、教育コンテンツを欲しがっている企業さんも散見されるので、是非とも気軽に相談して欲しいと思っています。 Interview :新井進悟
インタビュー
2019/06/11分散型台帳技術をセキュリティメカニズムに取り込むことで信頼の担保を Trias CEO Ruan Anbang , CTO Wei Ming
Triasはコンピューターセキュリティのエキスパートたちが開発を手がける中国発の分散型台帳システムです。 コンピューターやネットワークの信頼性を高める「トラステッド・コンピューティング」に焦点を当てた同プロジェクトには、セキュリティ・スケーラビリティ・分散性の全てを確立するための様々な仕組みが備わっています。 2018年にICOを実施予定だった同プロジェクトは当時、海外からも非常に注目されており、2019年5月末にKuCoinで実施したIEOでは上場後、約3倍近い価格をつけました。 今回は、Trias Japan株式会社設立記念イベントのために来日していたTriasのRuan Anbang氏(CEO)とWei Ming氏(CTO)にインタビューを行い、プロジェクトの技術的な内容や他プラットフォームとの違い、実績・計画等について詳しく聞いてみました。 Triasとは? Triasが特にフォーカスしているのは分散型台帳としての汎用性とその「コンピューティングセキュリティ」となっており、「Leviatom」「Prometh」「MagCarta」と呼ばれる3つのレイヤーで成り立っています。 Leviatomはネットワークの基盤となるレイヤーで、HCGraphと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを用いています。さらにLeviatomはシステムの拡張性を保つために別のコンセンサスアルゴリズムを実行できるようにも設計されています。 その上に位置するPromethは各種データやソフトウェアの追跡を行うレイヤーで、法人向けSaaSなどのソフトウェアを開発するためのプラットフォームです。 最上レイヤーのMagCartaはスマートコントラクトやトークンエコノミーを包括したもので、サプライチェーンや所有権追跡、偽造検知など様々なユースケースが次々と開発されています。 TriasはTrusted Computingを追求した企業 今回インタビューに応じてくれたのはTriasのCEOであるRuan Anbang氏とCTOであるWei Ming氏です。 CEOであるRuan Anbang氏は英オックスフォード大でトラステッド・コンピューティングの博士号を取得しており、コンピューターを信頼できるようにするための研究を2007年から続けています。 CTOのWei Ming氏は北京大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、ブロックチェーンなどのコンピューター技術の信頼性を高めるメカニズムをAnbang氏と研究するためにTriasを共同設立しました。 [caption id="" align="aligncenter" width="400"] 左からRuan Anbang氏(CEO)とWei Ming氏(CTO)[/caption] Triasがブロックチェーンで目指す先 −本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。Triasはどういうプロジェクトなのか、紹介をお願いいたします。 Trias: 今回はインタビューをありがとうございます。Triasはコンピューターセキュリティのエキスパートが集まった企業です。弊社では「信頼できるコンピューター」を作るためのトラステッド・コンピューティングシステムを12年以上研究しています。 私たちは50名ほどのチームで、そのうち40名以上がエンジニアです。北京大学との共同研究室もあり、そこには4名の教授が常駐しています。さらに、エンジニアのうち18名は博士号課程に在籍しています。英オックスフォード大学の教授2名やそのほか研究者もTriasのアドバイザーになっています。 また、TRIASは日本法人「Trias Japan」も設立し、日本の大学7校と提携しています。今後は、日本においてもアカデミック方面でも提携していけたらと思っております。 ブロックチェーンという技術は比較的新しいテクノロジーです。しかし、私たちTriasにとっては、長年重ねてきた研究と組み合わせることによって更なる最新技術を開発しています。 「Trias」という名前はラテン語で数字の3を意味しています。それにちなんで、TriasネットワークはLeviatom, Prometh, MagCartaの3つのコンポーネントで構成されています。 Leviatomはシステムの大元の基盤で、一般的なコンピューターでいうOSのような役割を果たします。LeviatomをWindows OSと例えるならば、Promethはその上でアプリケーションを開発するための「Visual Studio」のようなものです。最後のMagCartaは、こういったアプリの分散型スケジューリングを担当するコンポーネントになります。 −ブロックチェーンはTriasの一部にしか過ぎないということですね。では、なぜトラステッド・コンピューティングにそこまでフォーカスしているのでしょうか? Trias: トラスト(信頼)というのはセキュリティの基盤だからです。例えば、あなたがボディーガードを雇うとしたら、能力・実績のある、つまり「信頼できる」人を雇わないと意味がないですよね。 コンピューターセキュリティでもこれは同じわけですが、「機械を信頼する」とは一体どういうことなのか。私たちはこういったトピックに惹かれて研究を積んできました。 トラステッド・コンピューティングのコンセプトはとてもシンプルで、「対象となるマシンが正しいアプリケーションを実行しているか」というたった1つのタスクを行うためのものです。 コンピューターは、必ず何らかのアプリケーションを通して他のマシンとコミュニケーションをとります。トラストコンピューティングではこういったアプリの動作を検閲するためのチップなどを開発する分野です。 例えば、MacBookやiPhoneでは、何をするにもアプリを通して行わなければいけません。これらのアプリに脆弱性があれば大切なデータが筒抜けになってしまうことになります。 こういった事態を防ぐためのセキュリティチップは、サーバーなどの大きな端末からカメラのような小さなものにまで埋め込むことができます。要するに端末の「頭」にチップを埋め込んで何を考えているかをチェックする、ということです。 Triasではこのコンセプトを応用して、様々なブロックチェーンプラットフォーム上でこの「アプリケーションのチェック」を実行できるメカニズムを開発しています。 こういった技術が分散型台帳上での不正なアクティビティを防止することで、ブロックチェーンは複雑なコンセンサスメカニズムを採用する必要がなくなると私たちは考えています。 −ブロックチェーンでは、トリレンマという問題をどのプロジェクトも解決しようとしています。この問題に対して、Triasは「セキュリティ」「スケーラビリティ」「分散性」のトリレンマの問題をどのように解決していきますか? Trias: 分散性とスケーラビリティという問題はコンセンサスメカニズムの技術向上にあわせて、両立しやすくなってきました。 Triasは先に説明したセキュリティチップ(TEE)を導入することで、分散性とスケーラビリティを保ったままセキュリティも担保できるようになっています。 TEEはトラステッド・コンピューティングの一分野で、ブロックチェーンとの融合は真新しい取り組みだと考えています。 TEEをコンセンサスノードに組み込むことでそれが「嘘発見器」のような役割を果たし、複雑なコンセンサスプロトコルをデプロイする必要を省くことができます。こレを利用することで、TPSの向上にも繋がっていきます。 Triasと競合プロジェクトの違いとは? −Triasの分散型台帳と他のブロックチェーンプラットフォームの違いや優位性は何でしょうか? Trias: 私たちは分散型SaaSを提供することを目標としており、一般向けのDAppsというよりは法人向けアプリケーションを容易に開発・デプロイできる環境を構成しています。 例えば、Facebookなどのような大型ソーシャルメディアをまるまるTrias上に作り、プラットフォーム上でデータの動きを透明化する、などといった大規模なスケールのプロジェクトも想定しています。 ソフトウェアプロバイダはTrias上でスマートコントラクトを書くだけで簡単に分散型SaaSをデプロイすることができ、MagCartaレイヤーではトークンを発行することももちろん可能です。 もちろん、このようなTrias上のアプリケーションに対して、エンドユーザーは自身が使っているアプリの正当性を確認することもできます。私たちのブロックチェーンはまた一歩先を行くものだと考えています。 −Triasトークンはどのような役割を果たすのでしょうか? Trias: 私たちは、プロダクトを開発して企業にそれを売り、得た資金をエコシステムの拡大に費やす、というオールドファッションなやり方に「トークンエコノミー」を加えています。 トークンはプロジェクトの認知度を上げ、投資家の方々に早い段階から利益を得てもらうための絶好のツールだといえます。 そして最終的にはTriasトークンだけでエコシステムを支え、分散型SaaSのデプロイにかかる各種費用も全てTriasトークンで支払えるような環境を作っていきたいと思っています。 Triasトークンは、発行枚数の30%がマイニング報酬に充てられており、インフレーションなどの仕組みは今のところ考えていません。 [caption id="attachment_38371" align="aligncenter" width="800"] Trias アーキテクチャ[/caption] −ありがとうございます。トラステッド・コンピューティングと分散型台帳技術は両方とも一般的な企業にはまだ馴染みのないコンセプトだと思います。ユーザー・パートナー企業獲得のための戦略はありますか? Trias: 私たちは、ブロックチェーンやトラステッド・コンピューティングなどといった技術的コンセプトを詳しく説明するようなことはあまりせず、代わりにTrias上のソフトウェアがどれだけ信頼できるのかといったところをピッチしています。 Triasが話を進めている企業の多くはかなり多くのデータを抱えており、しかもそのほとんどが顧客データなどセンシティブなもので、セキュリティの担保を必要としています。 企業側としてはそういったデータの取り扱いに関して、「利用規約などで約束したことまでしかやっていない」ことを証明しなければいけません。 これがとても難しいところなのですが、私たちは分散型台帳技術をセキュリティメカニズムに取り込むことで信頼の担保を可能にしています。「信頼の担保」は実はとても大きな市場なのです。 アダプションに関する戦略としては「まずはエンタープライズから」ということで、中国系の企業16社にソリューションを提供しています。そして、いずれはこういったクライアントのシナリオを一般化させて、スピンオフとして日本などにも持ってきたいと考えています。 こういったソリューションをメインネット公開時までにデプロイ可能にしておく、という目標も他のプラットフォームと異なる戦略だと考えています。 実際のところ、技術的にはもうすでにメインネットを公開することもできますが、こういった理由でまずはユースケースを作ってから、と考えています。 メインネットのリリースは今年末くらいになる予定です。 エンタープライズ向けのソリューションが出来上がった後は、一般ユーザー向けのプロダクトも開発し、汎用性のある分散型ネットワークの構築を目指していきます。 PromethではDAppsごとにコンセンサスメカニズムを選ぶこともでき、各々がセキュリティや効率を考慮した上で最適解を選べる応用性を生み出しています。 例えば、先ほどのフェイスブックの例では、サービス自体は分散型SaaSですが、その内側はDAppsの集合体です。ここで、「アカウント周りのDAppsはセキュリティ、写真・ビデオ周りはスループットを重視したプロトコル」などといったような使い分けができるわけです。 −現在のTriasの運用実績はどうですか? 先ほども言った通り私たちは中国でのユースケースをたくさん作り出しています。その中でも特に自信を持って紹介できるのは電力会社との共同事業です。 100社以上の企業が集まる省で3兆円近い業績を上げているこの企業との事業では、現地の政府と密接に働き、サプライチェーンのデータ管理をTriasで一括しようとしています。 こういった信用性の担保されたデータは地方政府のためだけでなく、銀行がビジネスの価値を決めたりするのにも利用でき、企業向けの融資環境も整えたりできるとも考えています。 −最後に、日本に向けて一言お願いします。 本日は、貴重な機会をありがとうございました。この後のイベントもとても楽しみにしています。 日本は規制が明確に制定されているため、私たちにとっても可能性に満ち溢れた大きな市場です。メインネット公開に向けてユースケースをたくさん開発していき、いずれそのいくつかを日本にもぜひ持ってきたいと考えています。 まずはTriasに関して、たくさん知っていただけたら我々も嬉しいです。 Trias Japan設立記念イベント インタビューの後は、BINARYSTAR(同中央区銀座)でTrias Japan株式会社設立の記念イベントが開催されました。当日は、衆院議員の海江田万里氏、NodeTokyo Founderの大日方裕介氏らをゲストに迎え、約100人の参加者が訪れました。 Trias Japanからの挨拶として、「企業向けにブロックチェーンプロダクトを開発・提案するとともに、ブロックチェーンの社会実装を推進していきたい」と述べました。 そして、CEOであるRuan氏からはTriasのビジョンや実績などが紹介されました。Triasは単なるDApps(分散型アプリケーション)ではなく、DSaaS(分散型SaaS)と呼んでおり、「たった数行のスマートコントラクトを書くだけで、FacebookのようなSaaSを構築できるような未来」を作っていきたいと強調しました。 関連サイト 【TriasHP】 https://www.trias.one 【Trias公式SNS】 <Twitter> https://mobile.twitter.com/triaslab <Telegram> https://t.me/triaslab 【Trias JapanHP】 https://www.trias.tokyo 【Trias Japan公式SNS】 <Twitter> https://twitter.com/JapanTrias?lang=ja <Facebook> https://m.facebook.com/Trias-Japan-517868675417009 <Telegram> https://t.me/triasjapan <LINE@> https://line.me/R/ti/p/%40868pcfii