特集・コラム
2019/08/152016-2019年における $BTC と $GOLD の相関分析を実施!そこから感じた日本メディアへの疑問
どうも、おは養分。CRYPTO TIMES編集部 でトレンド分析の記事を書いているNです。 本日のビットコインの価格下落において、Twitter上のTLでは、BTCとGOLDに相関関係があったんじゃないのか!という声が非常に多くのトレーダーから上がっていました。 そこで、今回の記事では、Bloombergで掲載されていたゴールドとビットコインの相関関係に関しての話題に触れてみようと思います。 このBloombergの記事を取り上げている様々な国内メディアを見たところ、単にBloombergが出したデータの結果のみを翻訳して記事にしているだけのメディアが非常に多く、色々と疑問点を感じたので、改めてデータを元に自分で相関係数を算出しました。 今回利用したデータは2016年1月1日 - 2019年8月8日までのBTC/USD, GOLD/USD の 日程の終値を各データごとに集計。なお、ゴールドの市場は土日は休みなので、ビットコインも同じように土日のデータは利用せずにしています。 今回は単純に相関関係を求めただけなので、下記の数式に各データを入れたものとなります。 BTCとGOLDの相関分析 年ごとの相関関係 この相関分析より、年々、相関係数が上がっていることがわかります。特に直近の結果で見るとゴールドとビットコインは正の相関が強まってきているといえます。 Bloombergのデータと比較すると、相関係数に差異はあるものの、2019年が正の相関が強いことは同じ結果が出ております。 今回、Bloombergが出しているデータを元に、様々な国内のメディアがゴールドとビットコインに強い相関関係がある!と結果だけを論じていました。 しかし、海外の記事を翻訳して速報性だけを重視し、数字の根拠を出していないことに非常に私は違和感を覚えています。 例えば、今回、相関係数が強いと言える話においても、単純にどこかの月で強い相関が出ていると、その年の相関係数もつられて上がってしまうのではないか。などが考えられます。 他にも、今回は日足の終値を利用しているが、短い足(1時間足や4時間足)で相関係数を出してみたら同じような結果になるのか。その方がより詳しいデータが出るのではないか。 など、様々な仮説を立てることができますし、データを元にした記事を書くのであれば、何らかの疑問が生じるのが一般的であるといえます。 続いて、私は2019年だけにフォーカスをして、さらに相関係数を算出してみました。 2019年月ごとの相関関係 今回も日足の終値のデータを利用してみたところ、2月と6月に関しては強い正の相関が見られました。しかし、7月で見ると負の相関が出ています。 これはあくまでも月毎の日足の終値を利用したものなので、より短い足で見ていくなどするとかなり結果は変わってくることが考えられます。 この日足の結果だけを見ると、年ごとに纏めた相関関係だととある月にかなり引っ張られているという印象が見受けられます。 まとめ ただ、Bloombergのデータやそれを翻訳しているだけのメディアの情報を鵜呑みにして、ゴールドとビットコインの価格が相関があると信じて、ポジションを持ってしまうと痛い目を見てしまいます。 本日までに起きていた下落はゴールドと相関関係がないと騒いでる方も見受けられましたが、そもそも相関関係があったのか?というところが本質的な部分かもしれません。 今回はデータを元に単純に相関係数を出しただけですが、他のメディアも翻訳をただ行うのではなく、データを元に分析を行い、記事を出すなど心がけてほしいと思います。 CRYPTO TIMESも今後、私を含めて、データを元にした分析や考察などの記事を出していくことを心がけていくようにします。 それでは、日々の市場分析の記事でまたお会いしましょう
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2019/08/15専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【8月15日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCだけでなく仮想通貨市場全体が大きく下落しましたね。お盆ということもあり、ゆっくり一息つきたいところですが、なかなかな局面のため、ここで一度現状とそれを踏まえた今後についてしっかり抑えておきましょう! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(超長期) 今回は長期目線でも非常に重要なポイントですから、まずは週足の分析から行っていこうと思います。 こちらが、現在のBTCチャート(週足)です。 一度、14000ドル周辺まで大きな上ヒゲをつけていますが、11500ドルに終値をつけた後、ダブルトップ成立に向けて綺麗に推移しています。 そして、その際のネックラインは「9500ドル」。ですから、長期的にはこの「9500ドルを下抜け、ダブルトップを成立させるか?」というのが一先ずの注目ポイントでしょう。 BTCチャート(長期) こちらが現在のBTCチャート(日足)になります。 やはり黄色チャネルがしっかり効いてきましたね。その上、黄色チャネル(下限)もしっかりと下抜けてきました。 つい売りたくなってしまうポイントですが、週足のダブルボトムネックライン(9500ドル)周辺ということもあり、焦って売りで入るのは危険です。焦らず9500ドル周辺まで引き付け、常に週足ダブルトップを視野に入れた立ち回りがベストでしょう。 BTCチャート(中期) こちらが現在のBTCチャート(4時間足)になります。 やはり黄色チャネルを下抜けてはいますが、その後の支持帯である9500ドルがネックですね。今回は深堀りしませんが、黄色チャネル下抜け時のS増加量次第では、9500ドルでのリバウンド、そのリバウンドに伴った突っ込みSの撤退(買戻し)の可能性もありえます。 ですから、ここからSを打つのであれば、9500ドル周辺まで引き付けた上で、週足ダブルトップの成立を見守ってからがベストだと思われます。 また、9500ドルを下抜ける展開となった場合には、次は緑チャネル、8250ドルの支持帯でのリバを視野に入れながら押し引きしていきましょう。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 週足ダブルトップ非成立へ ⇒再度緑チャネル上限へ 週足ダブルトップ成立へ ⇒緑チャネル下限へ 長期足に重きを置くと、高値圏というのもあり、ダブルトップ成立へと向かうのが自然な流れですね。とはいえ、直近の売り出来高急増もあり、リバ発生となった場合にはそれなりに大きく上昇する可能性もあります。そのため焦りすぎず、しっかりと長期足を踏まえた上でのトレードをお勧めします。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 節目であったBTCドミナンス70%を一時更新したものの、BTCの下落に伴い、現在69%前後まで下落してきていますね。 BTCドミナンスだけを見ると、71%→69%の下落とそこまで大きな下落でないため、特に問題ないようにも見えますが、このように市場全体の時価総額は大きく下落しております。 ですから、「ドミナンスがそこまで下がっていない」というよりも、「それぞれの通貨による占有率(ドミナンス)に大きな変動はないが、全体的に仮想通貨市場から資金が抜けてきている」と考えるべきでしょう。 それでは、少し拡大して見てみましょう。 一部アルトコインは、BTCの下げを受けてドミナンス上昇となりましたが、それよりも注目すべきは「USDT(Tether)ドミナンス」ですね。 USDT(Tether)は、米ドルと連動する通貨(ステーブルコイン)という性質上、仮想通貨売買における差益が発生した際、それを確定する際の手段として活用されます。つまり、USDTドミナンスの上昇というのは、「市場からの一時撤退(利益確定)」を意味するわけです。 今回で言えば、ここまでBTC価格はぐんぐん上昇してきました。その上昇で利益を得たトレーダーらは当然、「BTC価格が下がる前に売り抜けたい、利益を確定させたい」と考えますよね。となれば、BTCからステーブルコインであるUSDTへと資金が流れていきます。 このように多くの場合、USDTドミナンスの上昇は市場のリスクオフ(利益確定フェーズ)を意味します。そして今回の場合、BTCドミナンス下落を受け、主要アルトよりもUSDTドミナンスの方が大きく上昇している点も踏まえると、「市場はリスク回避ムードへと傾きつつある」ということが分かりますね。 主要アルトコインの動向 黄色点線のBTC反転下落以降、一部アルトは上昇しておりますが、ドミナンス推移を踏まえて見てみると、特に資金が流れているような形跡もありませんね。 先ほどお話ししたように、USDTドミナンスの急上昇(リスク回避ムード)もありますし、ここからアルトで差益を取りにいくのはかなり厳しいでしょう。 もちろん、ドル建てアルトのリバ取りであれば、ある程度利益を出すことも可能ですが、「無理して手を出すような地合いではない」というのが正直なところです。(今回はアルトコイン分析については控えさせていただきます。) 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 週足ダブルトップ(9500ドル)に注目 →成立(緑チャネル、8250ドルに注目) →非成立(突っ込みSを焼く展開か?) USDTドミナンス急上昇 →リスク回避ムードへ転換か? 大体こんな感じでしょうか。 ここ最近までは、株や為替のリスクオフに対する退避先としてBTCに資金が流れていたように見えましたが、現在はどちらもリスクオフムードの色が強く、全体的に資金が抜けてきていますね。 「抜けた資金がどこに流れるのか?」といった状況ではありますが、米国債市場における逆イールド現象など、世界景気の先行きに対する不安要素が露呈した背景もあり、しばらくは株や為替だけでなく、BTCも同様に不安定な動きをしてくるのでは?と見ています。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/08/15[Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎
2019年4月末に2日間にかけて代々木公園で行われた『東京レインボープライド2019』。 当イベントに参加していたブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるFamiee Projectの前編のインタビューでは開発チームにフォーカスしたインタビューとなりました。 今回の後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様、そして、Famiee Project発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project カップル宣誓書発行サービス 今回のFamiee Projectではブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験することが可能となっていました。 ブースには発行された『カップル宣誓書』が飾られており、ブロックチェーンに刻まれた『カップル宣誓書』を持ち帰ることができるようになっています。 この発行書に書いてあるURLとパスワードを入力することで、WEB上でもブロックチェーンに刻まれたカップル宣誓書を本人たちで確認することが可能となっていました。 今回は内山さんと川くんにご協力いただき、実際に宣誓書を発行していただきました。 [caption id="attachment_40822" align="aligncenter" width="800"] 発行書に掲載する写真を撮る内山さんと川くん[/caption] 今回発行する証明証の手順はiPadにて写真を撮影、その後に互いの名前と誓いの言葉を入力し、お互いがサインした後にブロックチェーンに書き込まれる仕組みとなっています。 [caption id="attachment_40823" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンで新しい証明証を発行していくことを誓う川くん[/caption] [caption id="attachment_40825" align="aligncenter" width="800"] 互いの誓いと名前が記載された証明書[/caption] [caption id="attachment_40827" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに刻まれた[/caption] [caption id="attachment_40826" align="aligncenter" width="800"] 発行された証明書、パスワードとQRコードが記載されており、確認ができる[/caption] ブロックチェーンに刻まれた後は、証明書が発行され、発行された証明書に書かれているパスワードとQRコードにアクセスすることでブロックチェーン上に記録されていることが確認ができるような仕組みになっています。 Famiee Project 発起メンバーへのインタビュー LGBTの人たちへの差別をなくす支援活動と、会社として取り組もうとしたブロックチェーンの話が結びついた瞬間 [caption id="attachment_40800" align="aligncenter" width="667"] 左 : 石渡さん , 右 : 内山さん[/caption] -- 今回はインタビューありがとうございます。お二人の自己紹介をお願いします。 石渡 : 石渡と申します、ホットリンクのCEO特別補佐で弁理士の資格を有しています。大学卒業後、弁理士資格の勉強をしながら企業法務などの仕事をしていました。弁理士の資格を取得後、特許事務所で働きその後独立するタイミングでホットリンクの監査役に就き、今年の4月からCEO特別補佐をしています。 ブロックチェーンについては、真新しい技術ということで着目しておりましたが、さらに、ホットリンクでブロックチェーンの勉強会がありまして、それをきっかけにブロックチェーンに関わりを持ち始めました。ブロックチェーンはインターネットに変わる技術やこれからの時代を変えていく可能性のある技術だと思っていますし、「非中央集権」や「分散型」といった観点でも注目しています。 内山:内山といいます。元々、大学院の博士課程のとき(1995年頃)に日本の最初で最初期の検索エンジンを作ったプロジェクトのメンバーでした。それがきっかけで大学時代に検索エンジンベンチャーを作って博士課程を中退して、ITの世界に入りました。その会社はYahoo Japanができて、Googleができて叩きのめされていくわけですが(笑)。 その当時、検索エンジンを作るには人工知能でには無理と言われており、ここのコンテンツは人を感動させる、人間がブックマークした、リンクを貼った、など人間の知恵を社会全体で集めてきて、共有化して人工知能がそのビッグデータを学習して凄い検索エンジンができる。それを人間に介したときに、好きとか嫌いとか人間と人工知能で知識が循環される社会インフラができて、初めてホッとする社会ができるだろう。そんなビジョンを2000年のときに思いつきました。 それでホットリンクを立ち上げました。ホットリンクの社名の由来は、ホッとする(hotto)というところから来ています。ホットリンクはSNSやビッグデータ、AIが社会に広まっていないときに、そういう社会を目指してつくりました。時代よりも早かったこともあり、潰れそうなこともいっぱいありましたが。日本でブログが流行りだした頃に、ブログのポータルサイトを日本で最初期に作りました。 そのときに1995年くらいの検索エンジンを思い出して、当時の検索エンジンはキーワードをいれるとそのキーワードに関する情報がどこにあるか指し示すものでした。ブログやTwitterは一個一個の情報は大して重要ではなく、あるキーワードをいれると、世の中でみんなはどんなことを言っているのか、情報を要約してくれる検索エンジンが必要だとブログが始まったときに気づいて、ブログのテキストマイニング(ブログ分析エンジン)を作り、TwitterがきたときにTwitter分析エンジン、FBがきたときにソーシャル分析エンジンになり、ビッグデータ分析エンジンになり、2013年にマザーズへ上場しました。 今は、世界中のソーシャルメディアのデータ流通ビジネスや、データ分析サービス、そして、分析結果を活用してブームを作りだすためのSNSマーケティングサービス等を、日本・中国・欧米で提供しているホットリンクという会社の代表をやっています。 -- 内山さんはどういう経緯でブロックチェーンと出会ったのでしょうか 内山 :会社の中長期的な成長を見据えた際に、非連続的な成長の種をいくつか撒いておかねばならないと考えて、2018年の頭くらいからブロックチェーンの研究開発を始めました。その流れの中で、東大ブロックチェーン寄付講座を作ったり、ブロックチェーンベンチャーへの投資を初めたりというところです。 -- ありがとうございます。Famieeはいつ頃に立ち上がったプロジェクトでしょうか 内山 : このプロジェクト自体は昨年の暮れぐらいからです。それまではブロックチェーン技術がどういう分野で適応できるかということを考えて、社内勉強会を昨年の5月頃からやっていました。当時はLGBTという話はでていませんでしたね。 実は、ブロックチェーンの事業開発とは全く別に、3年ほど前に、東京レインボープライドの主催者の杉山さんや、世界的なLGBTの活動家の柳沢さんらとの出会いがあって、お二人が参加されているパネルディスカッションに参加したんです。私はそれまで、自分はオープンで、LGBTの人たちに対する偏見や差別をしていない人間と思っていたんです。しかし、実は、無知なまま、そういう考えを持っていることが一番いけなかったことを知ったんです。 [caption id="attachment_40804" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに書き込んだ後の完了画面[/caption] どういうことかというと、我々は差別をしていないないと思っても、LGBTの当事者の人たちからすると、普段の何気ない生活の中でたくさんの障害があります。例えば、会社に置き換えて話をすると、社内の誰かが結婚すると、結婚手当をもらったり、育休休暇をとったりしますよね?でも、LGBTの人達は、そんな制度の恩恵を受ける機会がないんです。差別をしていないといいながらも、それを前提とした会社制度にはなっていない。 会社外の例だと、例えば、交通事故にあって緊急手術をしないといけない時は、通常家族の同意がないと手術ができない。しかし、LGBTのカップルの一人が、死にそうな状況でパートナーと一緒に救急車に乗っていても、パートナーの人は手術の同意書にサインできない。既存の制度でいうところの親や兄弟を待たないといけない。このような現状であるにも関わらず、会社のトップとして、当社は差別しない会社だと言っていた自分の無知さ加減にショックをうけ、セッションを聞きながら、私は涙がボロボロでて止まらなくなってしまったんです。 それをきっかけに、LGBTの人達の生きづらさを解消しようという勉強会や活動に参加するようになっていったんです。個人的な活動としてやっていたLGBTの人たちへの差別をなくすための支援活動と、会社としてやっていたブロックチェーンで何ができるんだろうという話が、何かの拍子で、頭の中で結びついたんです。 石渡:当時、ブロックチェーンと相性が良い分野として、不動産の権利流通や、サプライチェーン分野での活用などがあがっていました。ただ、これらの仕組みを実際に変えるのはかなり大変です。ブロックチェーン技術は、社会を大きく変えるポテンシャルはあるが、現実社会にすでに存在する仕組みを入れ替えるためには、技術ではない障害があると思っていました。 内山:アイデアはたくさんでたのですが、自分達の強みが活きるのか?、現実的に世の中を動かせるのか?というところです。ブロックチェーンとの親和性でいうと金融が一番早いような気がしますが、正直、我々は金融の分野はあまりわくわくしませんでした。 スポーツは面白いです。スポーツチームやアスリートとファンとのコミュニティーにトークンエコノミーを適応すると、スポーツチームを応援しようとするファンの熱量がトークンエコノミーへ変わると凄いです。ですので、ブロックチェーン x スポーツは明確に事業としてやっています。 石渡:実際に、3月には、スポーツテック企業にホットリンクとして投資をさせていただいております。 [caption id="attachment_40797" align="aligncenter" width="733"] ホットリンクが出資するスポーツテックのサービスEsporta[/caption] ブロックチェーン技術を用いて社会変革を起こす、多くの企業をその変革に巻き込んでいくことが重要 -- 先程の話に少し戻ります。今後、LGBTの人たちがパートナーシップ証明を持てるようになるために、民間証明書を発行していくとありました。こちらに関して具体的に教えてください。 内山:すでに渋谷区やその他のいくつかの市区町村で、LGBT向けのパートナーシップ証明書というものが発行されています。夫婦と思われる方々に対して、婚姻届けを出せない代わりにパートナーシップ証明書を発行しているんです。これは実は法的効力はありませんが、行政が発行したパートナーシップ証明書をもってきたら、ローンの審査の際、二人の収入を合算して査定しますよという動きや、生命保険の受取人にパートナーを指定できるとか、携帯電話の家族割引をうけられたりとか、飛行機のマイルを家族で共有できたりと、民間企業が、法的な家族ではなくても家族として認めるようになってきています。法律を変えなくても、思いのある民間企業が受け入れてくれたことで、世の中が変わってきているんです。 しかし、ここで問題が出てきます。例えば、渋谷区が発行するパートナーシップ証明書は、渋谷区に住んでいる人しか申請できない。そして、引っ越しをすると無効になる。かつ、引っ越し先の行政が、パートナーシップ証明書を発行していない地域かもしれない。これでは不便ですよね。かといって、まだパートナーシップ制度を導入していない全国の市区町村が導入するまでに何年かかるかわらない。 そこで、我々のような民間が、一部の行政が発行しはじめているパートナーシップ証明書に相当するものを、日本のどこに住んでいる人であっても発行できれば、現状の不便さがもっと解決されるのでは?と思い付きました。更には、夫婦関係に限らず、親子関係に応用できると思っています。今では、卵子提供や精子提供、または代理母の助けを借りて生まれてくる子供も増えてきていますが、現状に法律が追いつかず、親子として認定されない親子がたくさんできてきています。そういう人たちの関係を、民間団体がしっかりと確認し、認め、親子関係証明書を発行し、それを受け入れてくれる民間企業が増えれば、今よりはそういう人たちが生きやすいやすい世の中になるんじゃないかと。 正直、会社の利益になるようなプロジェクトではないですが、この考えに共感してくれるメンバーでやってみようといって始めたのが、今回のプロジェクトのキッカケになります。 石渡 : そうです。そのためには、発行するだけではなく、民間団体が発行したパートナーシップ証明書を受け入れる企業を増やしていくことが大事だと考えておりまして、竹中平蔵先生にもこのお話をしたところ、非常に賛同して頂き、アドバイザーに就任して頂きました。 内山 : やりたいことを実現するには、技術とは別に、こういった民間企業の巻き込みをやっていかなくてはいけない。その両方をやっていくプロジェクトになっています。ブロックチェーンの分野には非常に優秀で想いを持った若者が多くいます。しかし、彼らだけでは社会を巻き込んでいく力はまだまだ弱い部分があります。ブロックチェーンで社会変革を起こすには、若い人たちの技術力に加えて、世の中を巻き込んでいく大人達の力も必要だと思っています。 -- 今回のパートナーシップ証明書を発行する際、ブロックチェーンの技術を使わないといけない理由はどこにあるのか教えて下さい 内山 : 夫婦や家族の関係って、一人の人の生涯に渡って、それを超えて、何代にも渡って続くていくものですよね?だからこそ、何十年・何百年にも渡って、そのデータは安全に保管され、そして、発行された証明書が正しいものである事が検証できるようになっていなければならないと思います。例えば、現在の日本の戸籍は、”国”という、何十年何百年にわたって永続する存在が管理しているからこそ、長く管理できているのです。 それほど重要で、かつ永続性が必要とされるデータを、一民間団体のシステムやデータベースで管理しようするのは、発行者の責任としてありえないと思うんです。しかし、BitcoinやEthereumのようなパブリックなブロックチェーンをデータベースとして活用すれば、ブロックチェーンの仕組みと、世界中のコンピュータパワーを使って、そのシステムとデータを永続させる事ができるようになります。ある意味、発行団体がなくなったとしても、データとシステムは残り続けます。だからこそ、ブロックチェーンなんです。 [caption id="attachment_40801" align="aligncenter" width="800"] ブースで証明書の発行をする内山さん[/caption] -- 今回、Famieeのブースをだしてみての反応などはいかがでしたか? 石渡 : 今回は、あくまでもイベント用の企画として、カップルさんお二人の誓いの言葉をブロックチェーンに永遠に刻んで、その誓いを証拠として、”カップル証明書”というものを発行する企画でした。多くの人が興味を持って、我々のサービスを利用してくれました。ブロックチェーンを知らない方も多く、ブロックチェーンの仕組みをちゃんと説明した上で、カップル関係をブロックチェーンに刻み、証明書を発行しました。 お二人のプライバシーを守るために、お二人の情報は暗号化してブロックチェーンに刻まれ、発行した証明書に書いてあるパスワードを入力することで、お二人の誓いとパートナーとしての証明を確認して頂けるようになっています。今回は、イベント用に企画した簡単な証明書ですが、今後は、行政発行のパートナーシップ証明書に相当する、本人確認等を本格的にする本当のパートナーシップ証明書を発行するようにしていきます。 -- このパートナーシップ証明をブロックチェーンで行う際、難しい点や苦労していることも多いと思います。そこに関して、お聞かせください。 内山 : これらの証明書発行で難しいのは、技術面では、プライバシー保護と検証可能性との両立の仕組みです。LGBTの当事者の方からすると、自分はゲイやレズビアンですと公表するということは、最悪の場合、迫害されて自殺に追い込まれたりすることもありえるリスクがあることです。なので、パートナーシップ証明書を取得するためとはいえ、役所の人や我々のような発行者側にさえ、本当は個人情報や二人の関係を開示したくはないのです。しかし、本人確認をちゃんとせずに発行して、保険金詐欺などが起こっても駄目。 究極的には、我々にもわからない形で、彼らが申請者本人であると確認をし、また、ホントに独身(パートナーがいない)であるということを確認する仕組みが欲しくなります。ブロックチェーンでは、ゼロ知識証明のアルゴリズムとかが活用されたりしますが、そういった問題にまず直面します。 また仮に、ブロックチェーンに、なんらかの二人の情報を書き込む際には、第三者が見たときにわからないように暗号化しなくてはいけません。これらは、本人たちにしかわからないような暗号にしたいけれども、後々、その証明書を提出された民間企業とかから証明書の正当性確認の要請があったときに確認できないといけない。 もう一つは、証明書を発行するのことはできても、それを受け入れてくれる民間企業を巻き込まなくてはいけません。ブロックチェーン技術は、社会変革を起こすポテンシャルはあるが、技術だけだと実際に社会変革は起こせなくて、多くの企業をその変革に巻き込んでいく必要があります。社会的な信用や政治的なパワーがある人がこれを取り組むことで、初めてブロックチェーンで社会変革を起こせるんだと思います。 石渡:あとは現状だとお金の問題も出ています。現状、ボランティアで思いのある人が手伝ってくれていますが、今後ちゃんとした良いものを作っていく、時間をかけて社会を巻き込んでいく、これらのことをしようとするとどうしてもお金の問題は出てきてしまいますね。 [caption id="attachment_40803" align="aligncenter" width="800"] Famieeチーム[/caption] -- 色々と技術的問題や環境的な問題などまで多くのことがあると思います。しかし、社会的に見て非常に重要な問題を解決できるプロジェクトだなと思いました。 内山:ありがとうございます。マイノリティの人たちに対する差別という社会課題を解決するという点で、このプロジェクトはとても意義のあるプロジェクトだと思っています。が、ブロックチェーンによる社会変革という側面からも、重要だと思っています。 今回のこのプロジェクトを通じて、ブロックチェーンを使った社会変革のユースケースを一つ作ってみると、ブロックチェーン技術で社会を動かすためにはどうどういうプロセスだったり要素が必要なのかが見えてくると思っています。今後、ブロックチェーン技術で様々な社会変革を実現していくという意味でも、このプロジェクトは絶対に成功させたいと思っています。 後編の記事では、Famiee Projectの発起人であるお二人へのインタビューをお届けしました。 前後編に分けてのFamiee Projectに関しての特集でしたが、現在のLGBTにおける問題点をブロックチェーンでどうやって解決するか、そして社会変革を起こすためにはどうやって世間を巻き込んでいくか、プライバシーをどうやって守っていくかなど、多くの観点から考えるべきことが多かったと思います。 今回の記事を読んだ方が少しでもLGBTに関しての理解が少しでも深まり、Famiee Projectの今後の動向に関しての興味を持っていただけたら非常に嬉しく思います。 前編 : [Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
特集・コラム
2019/08/14SankaNetworkを通じてトークンで多くの人が、ネットワークに参加する社会を作る – HashHub CEO 平野淳也
2019年7月にステーキングプールであるSanka NetworkをローンチしたHashHub。 日本でもステーキングプールを提供する事業者が増えてきている中、HashHubがSanka Networkで狙っていること、そしてCEOである平野さんがブロックチェーンの将来を見据えて色々と語っていただきました。 Sanka Networkとは 株式会社HashHubが運営するステーキングプールです。ユーザーが保有する対象となる通貨をSanka Netowrkへデリゲート(委任)することで、ユーザーの資産を預かることなく、ユーザーは自身のウォレットで資産を管理しながら報酬を得ることができるサービスとなっています。 現在では、下記の3通貨を対象にサービスを開始しています。 COSMOS (ATOM) Tezos (XTZ) IOST Sanka Network ホームページ HashHub CEO 平野氏へのインタビュー HashHubの新規事業としてSanka Networkを立ち上げたキッカケ --HashHubは、コワーキングスペースを事業として行っていますが、新規事業として、Sanka Network いわゆる、Validator Poolを作ろうと思ったのは何がきっかけだったのでしょうか? 実は、HashHub自体はもう既にコワーキングスペースを提供している企業というわけではなく、Lightning Networkや金融機関との実証実験にもいくつか動いています。言ってみればブロックチェーン総合企業という名目でやっています。 コワーキングスペースの売上自体で言うと、既に全体の5%程度であり、今回、目に見えるToC向けのサービスとして出てきたのがSanka Networkということです。 -- Sanka NetworkはHashHubとして、To C向けのプロダクトとしては1個目のプロダクトだと思います。何故、1個目にこのようなプロダクトを出そうと思ったのでしょう。 HashHubはリリースしていないような、裏側でやっているようなこともたくさんあります。 その中で、ToC向けに何かを提供していこうと考えたとき、何からやるのかという点はすごく考えました。その中で、これからのブロックチェーンというのはProof of Stakeが主流になっていくと考えました。 前回の仮想通貨バブルの際、マイニング事業者というのが非常に増えました。殆どは、海外に事業者がいたわけですが、電気代の観点などでいうと、日本国内ではマイニング事業者というのは、なかなか生まれづらかったという前提がありました。 そのため、産業の川上における存在のような事業者が日本国内にもう少しいるべきであると考え、ユーザーが対象の通貨を利用することで、簡単に毎日報酬を得ることができるValidator Poolの提供をということになりました。 最初は報酬を受け取れると言うだけですが、将来的にはダッシュボードを作り、ガバナンスに参加できるみたいなことも考えています。 [caption id="attachment_40750" align="aligncenter" width="800"] SankaNetworkホームページより[/caption] -- ありがとうございます。日本で法人がValidator Poolをやる際、障壁があるのかなと私は考えていました。例えば、CosmosだとNodeの条件に入るためには数千万円のATOMトークンを買う必要があります。 その後、買ったトークンをステークすることで条件が整いますが、法人でこれらをやると、会社の期を跨ぐときに、保有しているトークンを時価計算する必要があり、その際に、資産価値が上がってしまっている場合など、自分たちのステークしているトークンを期が終わる前に売ったりするのかなと考えたことがあります。 これらから、法人でのValidator Pook事業はハードルが高いのかなと思ったのですが、このような障壁やそれ以外の障壁にも対応できるのでしょうか Validator Poolを国内で展開する意味での障壁に関しては、主に3つの論点があると思っています。これから施行されるカストディ規制に当たるか、今お話されたように法人税の面、そして、集団投資スキームに当たるかどうかというところです。 順番に話していきます。まず、カストディ規制の論点で言うと、ユーザーの資産を、我々が預かるということは一切やっていません。ですので、これはカストディ規制には当たりません。カストディ規制では、"ユーザーのために暗号資産を預かる事業"という文言になっています。Sanka Networkでは、秘密鍵はユーザーから一切預からないので、この規制には当てはまりません。 -- これは、ユーザーは自分たちのウォレットを利用してトークンをDelegate(委任)するからということですね。 そうです。そのため、我々のサービス自体はカストディ規制には当たりません。次に、買ったトークンの自己ステーク分の期末の法人税関連がどうなるのか?という話ですが、管理する部分はちゃんと管理します。事業をやっているのは日本の法人でも、自己保有のステーク分は海外の関連会社を利用してというような方法もできますし、色々とやり方があります。 一方で、仮に自分たちで保有していたとして、期末での時価評価にそこまで法人税がかかるのかというと、そこまで影響がないと思っています。自社でトークンを発行していたり、流動性に関係なく、その分のvaluationとかで課税されるみたいな形だと、問題が発生してくると思うのですが今回のステーキング周りのビジネスに限って言うと、我々はそこまで大きな問題ではないと思っています。 因みにですが、現段階では、Cosmosなどの自己保有分に関しては、HashHubとは違う法人で持っており、そちらで管理しています。 そして、集団投資スキームに当たるのかというような観点でも、我々はあくまでもValidator Poolを運営しているという観点なので、集団投資スキームにも当たらないという認識でいます。これら3つの観点から踏まえても、国内でValidator Poolの事業をやるのは問題がないというところです。 [caption id="attachment_40756" align="aligncenter" width="1024"] IOST SankaNetwork 投票画面[/caption] -- ありがとうございます。Sanka Networkではダッシュボードにガバナンス的な機能をということを冒頭で少しお話されていました。リリース初期でできること、将来的に計画していることなどに関して教えてください 初期時点に関していうと、機能としてできることは限られています。最低限ステーキングできて報酬が受け取れるという形です。今後に関して言うと、ユーザーがガバナンスに参加できるような、ガバナンス周りを実装したダッシュボードなども提供できたらと思っています。この背景としてはブロックチェーンにおいて、オンチェーンガバナンスというものが、賛否があれど、将来的に必ず増えていくものだと思っています。 PolkadotやCosmosでもネイティブで実装されていますし、Tezosも同様です。後はCosmos SDKを使っているプロジェクトでも、ウォッチをしていると大体オンチェーンガバナンスを実装しようとしています。 そうなると、トークン設計をしていても、トークンホルダーにガバナンスに参加できる権利を付与するような動きは必然であると思っています。ただ、その一方で、トークンホルダーに求められるリテラシーが大きくなってきますが、これらのガバナンスに参加できるダッシュボードやそれに近いものはありません。 Cosmosの例を上げます。Cosmosでは既にValidatorへの投票が始まっています。我々もこの投票に既に参加しているのですが、一方で私たちのValidator Poolを通じてステーキングしている人は、現在、ガバナンス周りに関しては見ていません。しかし、インターフェースを提供して、我々が、Validator Poolとして、どういう投票をしていくのか、どのような意見をプロトコルに対して行うのかなど、そういう部分に対して干渉できるようにしたいなと思っています。 -- ユーザーもSanka Networkに投票するのだから、委任先がどういうことを行っているかを知る権利はあるということですね。現状、ユーザーがガバナンスに参加できるようなダッシュボードを持っているプロジェクトなどはありますか? Aragonとかは、フレームワークで作っていますし、他にも作っているところはあります。ただ、ユーザーはガバナンスに参加できるとか、ネットワークを作るというのは、面倒だし、別に投票したくないというユーザーも普通にいるわけです。 例えば、ユーザーは10トークンくらい持っていて、その中で毎月5~6個くらい投票案件があったら、面倒くさいですよね。投票するインセンティブというのは、プロトコルとして設計されている場合もあります。殆どは、設計されていないことが多いんですが、仕様としては、設計されているものがいくつか存在します。今後、そういうものがまだまだ出てくると思っています。 で、私が考えているのは、Validator Poolっていう中間者、サードパーティという立場でも、投票するインセンティブやステーキングに参加するインセンティブというのを、外側からもっと付与できるんじゃないかと考えており、今色々とやっています。 -- 私も会社でCosmosでバリデーターに投票したり、IOSTに限ってはノードを建てていたりとするのですが、このインセンティブに関しては色々なアイディアが出てくると非常に良いなと思っています。ただ、インセンティブでいうと、収益率が上がるというのが多いと思いますが、収益率が上がる以外の考え方はありますか? 現時点でどのくらい話せるかというところはあるのですが、プロトコルの設計で言うとCosmosやLivepeerが顕著です。より多くの人がネットワークに参加できるように、所謂トークンをどれだけステークさせるかみたいな設計となっています。ネットワーク全体で、トークンがあまりステークされていない場合、Yield Curve(利回り曲線)がより利益率の大きいYield Curveになったりします。逆に、ネットワーク全体でステークされているトークンの量が、十分に大きくなったら、yield curveが減っていくとかというのはあります。 これも言ってしまうと収益率の話になってしまいますね(笑) 結局、収益が一番のインセンティブになるってことです。ただ、仮に投票に参加するっていう以上に、より多くの人が、ネットワークにステークという形でもネットワークに参加するということを大事にしていて、そういう意味でネットワークに参加する『Sanka Network』というサービス名にしています。 サービスは、既に開始しており、現在、Cosmos、Tezos、IOSTの3通貨に対応しており、既にブロック生成をしています。 -- Validator Poolのサービスは海外だと取引所がやっていたり、ファンド系が参入してきたり、日本でもStirのような競合他社があると思うのですが、Sanka Networkが他と比べたときの強みで言うとどこでしょうか。 現状で言うと、基本的かつ、わかりやすいサポートで実施していくというところです。その他にも、セキュリティの構築にも気を配っています。アーキテクチャをどのように設計しているかなどは、また追ってブログなどで公開すると思います。 また、将来的に考えている部分として、さっきお話したようなガバナンスの部分、ダッシュボードに関してというところです。それ以外にもこれからもっと考えていかなければいけない部分もたくさんあると思っていますし、派生して、シナジーのある何かをみたいなことも考えています。 これからの未来におけるブロックチェーンの世界 [caption id="attachment_40757" align="aligncenter" width="800"] d10n ホームページより[/caption] --ここからは少しSanka Networkから逸れてしまうのですが、平野さんは将来的にどういうブロックチェーンの世界観を考えていますか? まず、1st layerのいわゆるスマートコントラクトプラットフォーム的な話で話していきます。最近はこういう論争も減りましたが、以前はPoWが優れているのか、PoSが優れているのかという話が多くあったと思います。 PoSは実装するのが、とても難しいのですが、一方でPoWだと、アプリケーションを乗せるためのブロックチェーンとしては絶対にスケールしないということが、すでに明らかになっています。これらの観点から言うと、1st layerのブロックチェーンプロジェクトがPoSでローンチをしているように、Proof of Stakeを模索しなければいけないという事実はまず間違いないと思っています。 そして、EthereumがPoSに移行、2つのブロックチェーンでネットワークを構築するというような、複雑なことを行っていますが、持続性のあるPoSの構築は非常に難しいというのはまず間違いないです。一方で、少なくとも、将来的なところに向かっているのはPoSであるということはまず間違いなく、アプリケーションが乗るP2Pのブロックチェーンネットワークとしては、今最も主流となっています。 そして、今、スマートコントラクトプラットフォームみたいなプロジェクトは沢山出てきていると思いますが、多分いくつもは残らないと思っています。正直、無駄だろ!って突っ込むくらいの数が現在、存在してますよね?(笑)ただ、これらのプラットフォームが全部なくなり、完全に一つにはならないと思っていて、地域性とか用途に応じて複数は残るのかなと考えています。 例えばEthereumであれば、DeFiみたいなものが残るのが妥当なシナリオかなと考えています。で、思い返すと、少し前までのICOプロジェクトって全部Ethereum上でトークンを発行していましたが、最近は資金調達のためのトークンはBinance Chainで発行する傾向が多いです。Tezosに関して言えばSTOをやっていて、セキュリティトークンと相性が良かったりしますし、ゲームとかギャンブル系のアプリであったらEthereumほどの分散性とかを求めないでEOSとかTRONで、などのような感じで、用途が分かれてきて、いくつかがプラットフォームとして継続していくだろうなと思っています。 そして、アプリケーションレイヤーにおいても、トークンを利用してステークをしていくという概念がこれから出るだろうと思っています。 例えば、Enigmaというプロジェクトは1st layerのブロックチェーンというよりは、layer2という言葉もあまり正しくないんですけれど、1個目のレイヤーで動くcomputationのレイヤーです。そこではノードがENGトークンをステークして、秘匿計算を行うというようなことをしています。このノードがENGをステークしているから、Enigmaのネットワークに対して悪意のある行動をしないだろうっていうことをもとに、ENGをステークしていることから秘匿計算を行うという仕事を許され、その仕事に対してインセンティブをもらうということを実施しています。 そして、このようなプロジェクトは増えつつあります。 -- Enigma以外だと、どういうプロジェクトがあるのでしょうか? 私はこれらのモデルをMedalion ModelとかWorking Capitalって括りにすることが多いんですが、トークンを持っていることで、仕事ができたり、パーミッションが得られるトークンのことをこれらに当てはめています。 Augurで言うとREPをステークすることで予測市場を作成することができたり、0xが今後少し変わっていくのですが、ZRXトークンをステークすることによって、マーケットメイクができるようになります。現状、マーケットメイクは誰でもできますが、ZRXトークンをステークすることでインセンティブを得ながらマーケットメイクをすることができ、さらにマーケットメイカーにDelegateもできるようになります。 トークン設計の観点で言うと、少し前までプラットフォームを作って、そのプラットフォームの交換価値としてそれらのトークンが設計されるというものが多く存在しました。しかし、あのトークンモデルは絶対にワークしません。そのあと色々模索されているのが、こういうステークモデルだったり、アプリケーションにも何かしらのステークの要素を用いるとか、Delegateの要素を用いるとかです。 また、Cosmos SDKを利用して立ち上げたブロックチェーンは自分たちでセキュア性を管理しなければいけません。そのとき、ネイティブトークンを発行して、アプリケーションでの用途としてのトークンと、Validationに参加させるためのトークンという二つの役割を持ったトークンが、Cosmos SDKによって作られたブロックチェーンから出てくると思いますし、既にTerraのようなプロジェクトでもでてきています。 そういう意味でも、トークンホルダーが受益する価値は今後大きくなっていくと思っていて、ネットワークにおけるトークンホルダーの重要性というのは、大きくなってくるはずだと考えています。トークンホルダーっていうのは、現在だと大抵の場合投資家だと思います。彼らが"適切な形でネットワークに参加できる"っていうインターフェースを作りたいってところですね。 -- 今、お話しいただいたのは、ブロックチェーンが社会に浸透していく世界を見据えた上でという話ですね。私もそういう未来を信じています。そんな中で、その未来というのは、どのくらいで大衆に普及していくと考えていますか? 例えば、私たちが現在だとValidator Poolという機能だけを提供していると思うんですけど、そこで気が付いたらブロックチェーンが実装されてたみたいなところでお話します。 適切な例えかどうかわかりませんが、ETHを買う人っていますよね。Sanka NetworkのValidator Poolにステークしたら年利4%くらい儲かるから、よくわからないけどステークしようみたいな感じでステークする人が出てきます。だけど、そのステークがどういった仕組みなのか、よくわかりません。 しかし、将来的にインターフェースはどんどん簡単にしていくつもりなので、ブロックチェーンのステーキングっていうのが具体的にどういうことかわからない人でも、簡単にステーキングできるようにしていく予定です。もちろん、少し時間はかかると思っています。 少し時間はかかると思うんですけれども、その人がステーキングをするという行為、その利息を得る目的だけで参加していたとしても、結果としてEthereumのネットワークは少しセキュアになっています。そして、別の事業者が、Ethereumのネットワークで他の事業をやっていたり、もしくはどっか違う国でセキュリティトークンが発行されていたりとか、それもまた一つの形なのかなと思います。 あとは、最近社内でした話になるのですが、Ethereum界隈で最近よく使われている言葉『Programmable Money』というものがあります。世界が全部Programmable Moneyになったら便利だよねという話をしていて、具体的にどう便利になるのかってことを簡単にお話いたします。今も、私は会社を経営しているわけですけれども、日本円がProgrammable Moneyになるととても便利になります。今、会社の銀行口座に運転資金が入っています。それが日本の銀行の低金利な口座に入っていて、何もできない状態です。 しかし、日本円がProgrammable Moneyだったら、地球の裏側にいる人でも、コントラクトでお金を貸し出すことができます。コントラクトにCompoudのような担保率が設定されているのであれば、それが確かに担保があるというのを検証できると、会社の運営資金でも地球の裏側の人に貸し出せる可能性がでてきます。 あとは、もう少し未来の話をすると、請求書にスマートコントラクトを噛ませるとかも想像できますね。そして、今後、そういう世界になったら良いみたいな話はよくしています。 今、実際なんでそういう世界が実現していないのだろうかと考えて、それらを箇条書きにしてみたら、色々出てくるわけですけれどもそれぞれの課題が解決されるのは、割と時間の問題かなと思っています。そういうのが部分的に実装されて~みたいなことを考えると3~4年ってところかなぁと思います。 [caption id="attachment_40758" align="aligncenter" width="800"] HashHubで撮影の平野氏[/caption] -- そんな未来の中で、今、CoinMarketCapとかを見ても沢山の種類のトークンが発行されていると思います。 そのトークンも用途はバラバラで、それこそ新興プラットフォームがトークン発行しているものがあったり、アプリケーションレイヤーで必要とか様々なものがあると思います。EthereumのようなプラットフォームやCompoundのようなDeFiやその他のDAppsなど様々なものがあると思うのですが、全部が全部にトークンって必要か?みたいな事をよく思うのですが、ココらへんに関して、平野さんの考えはいかがですか そうですね、CoinMarketCapとか見ていても、全部にトークンは必要ないと思っていますし、実際、必要のないトークンはかなり多いです。その一方で、d10n Labでリサーチ・レポートを配信しているように、トークンメトリクスを考えたり、設計を分析するのが非常に好きだったりします。 色々なプロジェクトを見ていて感じることとしては、2017年くらいと比べて、トークンの設計に妥当性を見出せるプロジェクトが増えてきてはいるなということです。世界がどこまで行っても、このトークンというものを買っている人というのは投資家です。 投資の対象かつそのプロトコルに意味のあるコンポーネントがあるという要件が満たされていないと、そのトークンは存在する価値がないはずです。この2つの要件が満たされるトークンモデルが、まだ割合としては少ないですが、2017年とかと比べるとはるかに増えてきていますね -- これは、私が個人的に感じている点ですが、この間も話題に出ていたTerra(d10n Labのレポート参照)なんかも、ステーブルな役割を持つトークンとネットワークで利用されるトークンの2種類が存在するデュアルトークンモデルを採用しているプロジェクトですが、このようなプロジェクトなんかもかなり増えていますよね 単なるステーブルコインじゃない通貨も増えてきていると思います。Terraのモデルは、ステーブルコインがあって、そのステーブルコインの経済圏が活性化されることによって、受益するための価値を享受するためのトークンがあるというような感じです。 FacebookのLibraなんかも同じで、ステーブルコインとは別でLibra Investment Tokenがあります。結局、トークンというのは、インターネットでプロトコルができたとき、それを受益するもの。 それをどういう形で受益するのか、証券ではないけれども何かしらのもので受益するということですね。 Maker DAOなんかもMKRトークンをバーンして、価値が上がるみたいなロジック、Terraも同じような仕組みで、送金手数料がLUNAをステークしている人に支払われる。これは、新しいプロトコル的なものの価値を受益するものなのかなと考えています。 -- TerraもLibraも、Maker DAOなんかもそうですが、壮大な社会実験みたいですね。こういうものがうまくいって、それがMassに受け入れられるともっと面白くなるのかなとか 思ったりします。 そうですね。今、受益とかそういう言葉を使っていて、そういう言葉を使ってしまうと、それって証券だよみたいな話でもあるんですが、確かに証券的といえば証券的です。 Libra Investment Tokenとかは実際セキュリティトークンとなっています。ただ、今までとの決定的な違いは、"インターネット上"でその"受益者"は"P2P"で"離合集散的"にという部分です。その受益者というのが変わるんです。 例えば、TerraにおいてLUNAトークンをステークしている人っていうのは、別に株主名簿を入れ替える必要もなく、ステークしている人が流動的に変わります。これはすごいインターネット的ですよね。 そういう意味でも、色々なプロジェクトのトークンモデルというのは少しづつ洗練されつつあって、それが非常に面白いなと思っています。そういったプロジェクトを見る中で、自分たちが作っているようなものも、今後、需要が出てくるのかなあと考えています。 -- 色々と話が沢山それてしまいましたが、楽しいお話でした。HashHubのCEOとして、最後にコメントをお願いいたします。 HashHubというのは、一番最初は、暗号通貨、ブロックチェーンっていう新しい技術をきっかけにできた会社でした。この技術の特徴というか、暗号通貨の特徴って何だろうみたいなところを考えてきていました。 ビットコインで言うと、ビットコインというのは一人ひとりの選択肢を作ったと思っています。政府を信用できない人だったり、銀行を信用できない人はビットコインを持つ、そういうのでなければ別にビットコインを持つ必要はないと思っています。 そのような前提で、HashHubという会社のミッションとしては、選択肢をより増やした世界を作っていくというものになっています。そ事業ごとにミッションがあるんですけれども、d10e labで言うと『Distribution of Knowledge』という、ブロックチェーン関連の知識を広めるっていうミッションです。 『Sanka Network』で言うと、トークンを用いてより多くの人が、ネットワークに参加する社会を作るっていうミッションを掲げています。HashHubは色々な事業が連続的に生まれる会社だと思っているので、コアな部分に選択肢を増やすっていうのがあって、そのうえでいろんな事業を作っていくとい来たいと思っています。 その上で採用も積極的に行っているので興味のある方はご連絡ください!! 7月にHashHubがリリースしたSankaNetworkは対象となる通貨のトークンを持っていれば、誰でもSankaNetworkに委任をしてステーキング報酬を受け取ることができます。 海外プレイヤーだけでなく、国内でもステーキングプールを運営する企業が徐々に増えてきていますが、SankaNetworkは今後、ユーザーがよりガバナンスに参加できる仕組みを取り入れていきたいとのことです。 今後の動きにも注目しながら、対象となる通貨を持っているユーザーは是非ともステーキングに参加して、ステーキング報酬も受け取りましょう。 Sanka Network ホームページ ※Sanka Networkでは8月まで手数料が0%になるキャンペーンを実施中です。
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2019/08/13[Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮
2019年4月末に代々木公園にて、「LGBT、いわゆる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指した団体、およびイベントである『東京レインボープライド2019』が2日間にかけて行われました。 本イベントでは、ブロックチェーン技術を活用するFamiee Projectが「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるようで、イベントに参加し、取材を行ってきました。 今回の記事から2回に分け、Famieeに関する思いや考えをお届けしていきたいと思います。 前編記事ではFamiee Projectの概要や目指すもの、開発チームであるStaked株式会社 CEO 渡辺創太さん、株式会社withID CEO 川 大揮さんのお二人へのインタビューをお届けいたします。 後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様に加え、発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project 概要 「Famiee」プロジェクトは、地方自治体が発行するパートナーシップ証明書に相当する証明書を、改ざん不可能性といった特徴を有するブロックチェーン技術を活用して、民間で発行し、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指すプロジェクトです。 内山幸樹の呼びかけに応じて、LGBT支援活動家、ブロックチェーン事業に取り組む起業家等「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現」という理念に共感するメンバーが集まり誕生しました。 [caption id="attachment_40726" align="aligncenter" width="646"] ハフポスト調べ[/caption] パートナーシップ証明は、2015年11月に渋谷区や世田谷区で導入され、現在でも導入されている地域が徐々に増えており、2019年4月1日には9つの地域で導入がなされました。 現在、Famiee Projectでは、一般社団法人Famiee の設立手続き中となっています。 背景・目的 「家族」という概念は、近年、とても多様化してきています。LGBTのカップル、事実婚のカップル、精子・卵子提供を受けてできた親子、代理母の協力でできた親子、互いに支え合って生活するシングルマザー同士など、従来の概念での「夫婦」「親子」「家族」に当てはまらない新しいカタチの家族の形態が生まれてきています。 しかし、従来の家族の概念に基づいて作られた社会制度の中で、新しい概念に基づき生きる人たちは、多くの困難に直面しています。 一方、日本では、既に複数の地方自治体でパートナーシップ制度が導入されていますが、制度の導入に際しては、市区町村の強いリーダーシップが必要とされ、パートナーシップ制度が日本全国に広がるには時間がかかると考えられます。 そこで、「Famiee」プロジェクトでは、LGBTカップルや事実婚カップル等、法的には婚姻関係と認められない多様な家族形態の人たちが、住んでいる地区に関わらず家族関係を証明することができるよう、ブロックチェーン技術を用いたパートナーシップ証明書の発行を目指しています。 さらに、多様な家族形態の人たちが等しく民間企業の家族向けサービスを受けることができるよう、パートナーシップ証明書を採用する民間企業を増やすための啓蒙活動を行い、これらの活動によって多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指しています。 Famiee Project 開発メンバーへのインタビュー ブロックチェーンに何の情報を書き込むかをとても悩んだ [caption id="attachment_40721" align="aligncenter" width="800"] 左 : 渡辺 , 右 : 川 証明書の中身をブロックチェーンで確認している[/caption] -- 自己紹介をお願いいたします。 川:川 大揮といいます。ブロックチェーンに興味をもったのは2年前、インターンシップでLINE株式会社へいったときです。 そこでディーテクノロジーの中林さんからおすすめされてビットコインを買ったのがきっかけになります。 ビットコインは今もですが、当時も価格変動も凄かったので、価格予想などをTwitterで調べたときにPoS , PoWという言葉を見かけました。当時意味がわからなかったので、これらの言葉を見て、調べ出したことをきっかけにブロックチェーンってテクノロジーに興味を持ち、面白いと感じました。 難しいと思われがちですが、ブロックチェーンは理解もしやすいですし、シンプルな仕組みというところから新しいテクノロジーだと感じました。 その後、もっと深く知りたいと思い、Bancor(バンコール)の日本のカントリーマネージャーやWPの翻訳の手伝い、ウォレットの作成も行いました。これらの経験を経て自分のプロダクトを作っていきたいと思い会社を設立したというところです。 -- 聞いたお話だと、川くんは、東工大の卒業証明をブロックチェーンを利用して作ったとお伺いしています。(※取材は4月に実施) 川: 厳密に言うと、これからやりたいと言うところです。東工大初のベンチャー申請をしたのが先日です。東工大の教授に同じことをやりたいと考えている人もいて、お手伝いをしながらやっていきたいと思っています。(※withIDでは7月末に東工大発ベンチャーの称号を取得済み) 私がやりたいと思っていることは権利証明や生活で使えるようなデジタルID 作りたいと考えています。 渡辺:渡辺創太といいます。現在、ステイクという会社を設立し、SubstrateやPolkadotを研究しながら、現在はPlasmというプロダクトを作っています。 Substrateはカスタマイズしながらブロックチェーンをつくることができるので、Plasmaのライブラリをインポートして、Substrateで作るブロックチェーンをPlasmaのように出来ます。 ルートチェーンを作ってその下に子チェーンを階層化して出来るような機能をデフォルトで通ったブロックチェーンを現在、作っています。 その中でWeb3 Foundation、Parityと関わりを持っており、最近では、彼らに認知されてきたので、これから我々は世界展開していきたいと考えています。 -- 今回、Famieeにジョインしたキッカケや理由を教えてください 渡辺:元々、東大のブロックチェーン活用に関する研究室の場で内山さんと知り合いました。学生が自分達でプランを作って実装までしようというような研究室だったのですが、その中で、内山さんもプランをいくつか持っており、その持ってきていたプランの中でブロックチェーンを利用できるのではないかと考えました。 ただ、実装できる人がいなかった中で、開発者として川くんにピンときて、川くんに連絡を取り、誘いました。 川:僕は、権利証明や身分証明の分野をブロックチェーンでやりたいと考えていました。BlockcertsというIDのウォレットみたいなものはおもしろいなと考えていた時期で、色々とやれることがあるかなと思っていたときに、創太くんからfamieeの話をいただきました。話を聞いてみると、身分証明や権利証明に近いところがあったこと、ビジョンも共感できたので、すぐにジョインを決めました。 渡辺:内山さんは上場企業の社長であり、新経済連盟で三木谷さんの下でプロジェクトを立ち上げたりもしているので、日本国内において、ブロックチェーンユースケースを生み出していき、社会に浸透させていくことも出来るのでは?と考えました。僕ら、やりたいことや思いはあるけれど、それを社会に浸透していくには力が足りない。そういう意味で強い大人の力を借りることもできます。そういう意味でも今回のfamieeというプロジェクトは、すごくやりがいがあります。 - - お二人はいつからfamieeにジョインしたのでしょうか 渡辺:僕は、内山さんと出会ったのは去年の10月くらいです。で、その後にfamieeにジョインしたのは今年の2月というところでしょうか。川くんも僕が誘ったのは2月の終わりくらいとかだったと記憶しています。 - - そうすると、今回のイベントまでは実質3カ月ほどの期間しかなかったと思いますが、実装などは大変ではなかったですか 川:仕様設計からブロックチェーンに何をかきこんでいいのか、どうやって結婚証明するのかなど考える部分が多く、大変でした。 ブロックチェーンは一回書き込んだデータは取り消せないので、じゃあ離婚の場合はどうするのか、個人情報をどうするのか(サーバー挟むのか、そのまま書き込むのか、暗号化するのか、IPFS使うのかなど)などの話をしていて、そこに時間がかかりました 渡辺:あとは量子コンピューターの話もしましたね。量子コンピューターで解読されたらどうするのかって。 川:そういう話もたくさんしましたね。現在、使われている暗号って鍵の長さが128ビットや256ビットなどと色々ありますが、例えば 2030年にはコンピュータの計算速度は速くなるので、使いものにならないと言われている暗号がいくつかあります。 コンピュターの処理速度向上のために使いものにならないと言われている暗号を使用して、今証明したい内容をブロックチェーンに書き込んでしまうと、将来LGBTの方々や、結婚していることを公にしたくない方々の情報が丸裸になってしまいます。 例えば、あるプロジェクトでは個人の住所や名前などをハッシュ化してブロックチェーンに入力していますが、ハッシュ値も15年くらいで破られると言われています。可逆じゃないと世間的には言われていますが、今は可逆じゃないだけで将来的にはなくなる可能性があります。 また量子コンピュータになると処理速度が劇的に向上するので、じゃあどうすればいいのかなどの話合いも沢山重ねました。 -- その中でfamieeの実現のために、最も苦労した点は何でしょうか 川:結局の所、何を暗号化するのか、何をブロックチェーンに書き込むのかというところでした。これは、今までの例を見ても、実例がありません。そして、これらのことを考えているプロジェクト自体も少ないです。 一般の方は暗号化してるのなら安全、そして、それをブロックチェーンに書き込めば、誰でも読めないと思っている方も多いです。そういった価値観などをまずは変えなくてはいけません。 ブロックチェーンはオープンであること、誰でもデータが読めてしまうこと。そして、いくら暗号化してもダメだなど、こういったことの共有が必要になります。 また最終段階として、暗号化したり書き込んだものはEtherScanで復号して見ることができないという問題がありました。この部分に関しては、自前で実装しなくてはいけません。 書き込んだものをEtherScanのAPIを利用して、それを復号化する必要があったり、パスワードを使って復号化するなどのこういう処理が大変でした。 ex.) ブロックチェーンに暗号化で書き込む → EtherScanでみると文字化けしている → 自分達のサイトで暗号化を復号化する(EtherScanでは復号化はできない) [caption id="attachment_40719" align="aligncenter" width="800"] Etherscanに書き込まれているが、暗号化されていて確認ができない[/caption] 自分達だけで発行した証明書には価値はない、そこからどれくらい人を巻き込んでいけるか -- 今回のfamieeの体験では、ニックネームでも登録が可能ですが、ニックネームで登録したものでも実際に市役所に持っていけるのでしょうか 川:今回はあくまでも体験なので、そのような仕様にしているだけで、本番ではまた違う方法を考えています。例えば、IPSFという技術ではデータをバラバラに保存しますが、IPSFはどこにあるかをブロックチェーンに書き込むのでそれはプライベートではありません。 現在、考えているのはそのデータを参考に一つのデータをばらばらにして色々なブロックチェーンに書き込むことを考えています。Bitcoin、Ethereum、EOSなどにデータをバラバラにしてランダムなタイミングでそれぞれのブロックチェーンに書き込む方法です。 こうすることでブロックチェーンにあるデータは本人しかわからないし、消えることはないのでうまい使い方ができるのではないかと思っています。 [caption id="attachment_40720" align="aligncenter" width="800"] 復号化するサイトを構築し、確認が可能[/caption] -- 今日のイベントで実際に証明書の発行をしてみて、利用してみたユーザーからの反応というのはどうでしたか? 渡辺:反応はとても良かったと思っています。LGBTの人たちは私たちが思っている以上に社会に認めてほしいという気持ちが強いと思いました。今日話してみたのですが、こういうサービスが出てくると非常に助かるなどの言葉をいただいたり、ブロックチェーンって言葉は知っていたけど、実際にこうやって社会で使われているのは初めて知りましたなどの言葉をいただきました。 セキュリティー的にはまだまだ問題はあるけど、とてもニーズはあるのだなと手応えも感じています。 川:今まで証明書を発行するっていう概念は国が行っていました。しかし、ブロックチェーンの技術を利用すれば、改ざんされないという特性を利用して民間や一般の方が作れると思えたのが凄いと思っています。 実際、良いか悪いかはわからないけれども、そういう発想に行きついて、皆がそこに価値を感じていて、それがおもしろいと思いました。同じく手応えを感じました。 今日のイベントの中には、やめときますという人もいました。その人はブロックチェーンに書き込まれるのが嫌だと言ってましたが、それは書き込まれると一生残り続けるので嫌だということで、個人的にはこういう思いも含めてとても良いと感じました。それなりの信用がブロックチェーンにあるのだなと思えた瞬間でした。 私たちが出した証明書が、今後ちゃんと世の中に認められたら良いなと思います。 --今後、このような取り組みが認められる社会になっていくと良いと私も思っています。最後に、今後、ブロックチェーンがLGBTや社会の中に、より一層実装されていくために必要なことは何だと思いますか。 川:大きいことはいきなりできないので、小さなことからまずは始めることが大切だと思います。今回のように効力はないが、まずは発行してみること。そして巻き込んでいく人を増やしていくこと。 ブロックチェーンに書き込んだものは改ざんできません。そもそも僕らの発行した証明書が信頼できるものであると認めてくれる人がいないと意味がありません。ビットコインに関しても書き込まれているデータを認めてくれる人がいることに価値があると思っているので、まずは自分達だけで発行した証明書には価値はなく、そこにどれくらい人を巻き込めるのかが大切だと思います、 そうして、ようやく改ざんできないということが効いてきます。ただ、やりました!とかだけだと、最初は意味がないと思うので、そこにどれだけ価値を出せるかの人の巻き込みが一番大事だと思います。 渡辺:私としてはテックドリブンすぎることは、限界が来るだろうと思っています。ブロックチェーンの業界はテックドリブンすぎる人が多いです。世の中を巻き込んでやっていくとなると、例えば、新経済連盟のようなところに呼びかけていったり、本来の証明書であれば、必要な要件はあるけれども、ブロックチェーンで刻むなら、もっと簡単にしたもので、政府が認めてくれたら楽になるのように、技術以外のところをもっとやっていく必要があると思います。 前編の記事では、Famiee Projectの概要と開発メンバーであるお二人のインタビューをお届けしました。 後編の記事では、イベントの様子に加え、現在のLGBTにおける問題点やブロックチェーンを活用してどうやって解決していくか、巻き込んでいくかなどを株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんに語ってもらっています。 後編 : [Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
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2019/08/07【クリスペ】初心者おすすめデッキ&序盤の攻略・コツ【CryptoSpells】
こんにちは。しまりすです。 日本初のブロックチェーンカードゲームCryptoSpells(クリプトスペルズ|クリスペ)が正式リリース後からユーザー数が1万人に迫る盛り上がりを見せています。 CryptoSpells(クリプトスペルズ)が炎上を乗り越え驚異的な盛り上がり! - CRYPTO TIMES 2019年7月20日にはCryptospellsリリース記念公式大会βが開催され、過去最大の114名のユーザーが参加しました。 そして、なんと公式大会の初代優勝者になることができました。 https://twitter.com/crypto_spells/status/1152479419757240320 この他にも優勝賞金0.5ETHがかかったクリスペまとめ杯などでも優勝しており、大きな大会は今のところ全て抑えています。 https://twitter.com/tcg_cryspe/status/1143560503983140864 大会に参加して今までに獲得した賞品をまとめると以下のとおりです。(2019年7月執筆時現在) クリスペTシャツ クリスペステッカー 0.5ETH クリスペスマホリング 公式大会優勝記念カード 新カード1枚提案権(シルバーランク) 提案カードのマーケット売買手数料50%永続獲得権 本記事では公式大会優勝者のしまりすがカードゲームをやったことがない初心者向けに、クリスペでの勝ち方のコツや攻略法を解説します。 クリスペはカードの引きなど運要素もありますが、基本的なルールや理論をしっかり押さえれば必ず勝率を上げることができます! この記事が今からクリスペを始めようと思っている方や、クリスペってなんだか難しそう・・・と思っている方の参考になれば幸いです。 CryptoSpells(クリスペ)のルールを覚えよう カードゲームをするにあたってルールを覚えることは必須です。 クリスペの細かいシステムは公式Mediumでも確認することができますが、まずは基本的なルールを押さえてとにかくプレイしてみるのが手っ取り早いと思います。 基本ルール ・ライフ25スタート ・初期MP(マナポイント)1~(ターン経過で1増える) ・手札上限枚数:9枚(ここからモンスター召喚) ・場のユニット上限数:6体(相手に攻撃など) ライフはお互い25スタートで、相手のライフを0にするか、デッキの枚数を0にしてカードを引けなくするとバトルに勝利します。 まずはざっくりこれだけ押さえてとにかくプレイしてみて、分からない点や疑問に思ったことがあったら公式Mediumをチェックしましょう。 これだけですぐにルールは覚えられます。 プレイヤーのレベルを上げる フリー対戦でバトルをして勝利するとプレイヤーレベルを上げることができます。 レベルが上がれば採掘チケットがもらえ、新しいカードを手に入れることができるのでまずはフリー対戦でレベルを上げましょう。 採掘してみよう レベルが上がったら採掘チケットを使ってカードを入手します。 採掘ではレアリティがシルバーまたはブロンズのカードが出ますが、シルバーカードが出ることは稀です。(シルバー採掘の確率は非公表ですが感覚的には1%くらいです) シルバーが出たらラッキーというくらいに考えて、まずはブロンズのカードをそろえましょう。 連勝するとシルバー採掘の確率が上がると言われていますが、初期デッキではカードがとても弱くフリー対戦で勝つことが難しいので、採掘チケットを入手したら積極的に採掘することをオススメします。 クリスペを今から始めようと思っている方は、こちらから登録すると採掘チケットが20枚もらえるのでぜひ。 デッキを組もう クリスペは、初期デッキの構成カードがとても弱いため、始めたばかりの初心者はなかなか勝てないという壁にぶち当たります。 なので最初のうちは勝てなくて辛いですが、採掘でブロンズカードがそろっていくまでの辛抱です。 感覚的に、100枚くらい採掘するとある程度勝てるデッキを作ることができるのでそこまで頑張りましょう。 この項目では「初心者へのおすすめ度」という視点から、おすすめのリーダーとデッキを紹介します。 強さだけではなく、デッキの作成しやすさやプレイ方針の分かりやすさも考慮して選定したのでぜひ参考にしてみてください。 初心者におすすめのリーダー クリスペ初心者におすすめのリーダーは赤:竜騎将 フェルトゴルトです。 序盤から積極的に相手のライフをタイプのアグロデッキは戦い方の方針が非常に分かりやすいです。 バトル開始時に選ぶリーダーのクリプトスペルは、「コスト4 相手ユニット1体に6ダメージ」の方を選択して相手の前衛カード、ホルスの門番などが出てきたときに使うのが有効です。 初心者おすすめデッキ このデッキは序盤から積極的に相手のライフを攻撃していくタイプのアグロデッキです。 相手のリーダー(フェイス)をどんどん殴っていくという方針がわかりやすく、シルバーカードを持っていなくても構築できるので初心者におすすめのデッキとなっています。 ぜひ試してみてください。 強い人と交流をしよう カードゲームで勝つために大切なのは「情報」です。 本記事を書いたのは2019年7月ですが、クリスペにおいても強いデッキやメタゲームの情報は日々移り変わるので、どんなに強いプレイヤーでも高い勝率を上げるには「情報」が非常に重要になります。 そこで僕が実践しているのが、「強いプレイヤーのいるコミュニティに入りそこから情報を得る」とうことです。 コニュニティに入れば、分からないことを教えてもらったり、他プレイヤーのリプレイ映像などから戦略やデッキ情報を集めることができます。 以下、僕がおすすめするコミュニティを2つご紹介します。 Gaudiyのクリスペコミュニティ GaudiyのCryptoSpellsコミュニティには、沢山のクリスペユーザーがいて攻略情報や最新の情報が集まります。 また、コミュニティ内での活動や貢献によって、クリスペコインをGETすることが出来ます! コインはコミュニティ内のギフト(限定カードなど)に交換できるのでGaudiyのコミュニティには必ず入ることをオススメします。 ↓コミュニティ参加はこちら↓ https://gaudiy.com/community_details/avJEInz3EXlxNXKMSWxR/0 CryptoSpells公式Discord CryptoSpells公式Discordでは、ユーザーが企画する大会やイベントなどの情報が集まっています。 過去の大会のプレイ動画などもアップされているので、強い人のプレイングから研究することができます。 ↓CryptoSpells公式Discord参加はこちら↓ https://discord.gg/uY8BuwH とにかく数をこなして経験を積む ここまでクリスペで強くなる方法を紹介しましたが、結局大切なのは試行錯誤―トライアンドエラーを重ねることです。 強いプレイヤーと自分のプレイのどこが違うのかを考え修正する。 地道ではありますが、これを繰り返せば確実に実力はついていきます。 まとめ 以上、カードゲーム初心者が強くなるための方法でした。 参考にしていただければ幸いです。 ではよいクリスペライフを。 Twitterではクリスペの情報など随時アップしているのでしまりすのフォローもぜひお願いします。 CryptoSpells
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2019/08/06専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【8月6日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後から、BTCは再度12000ドル周辺まで大きく上昇しましたね。簡単に売らせてはくれないだろうなとは思っていましたが、さすがにこの勢いには驚きました。 そんな絶賛荒ぶり中のBTCですが、今回も仮想通貨市場全体を踏まえて、今後の価格推移について分析していきます。今回は、やや立ち回りに重きを置いてお話しをしていきますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 直近高値である14000ドルをつけた後、ダブルトップを形成して調整転換。そして、その後の戻り売りを見た限りでは、再度安値を大きく更新しそうな状況でしたね。しかし、中期チャネル(黄)に下落を阻まれ、結果ダブルボトムを成立させ大きく上昇していきました。 このように、現状としては買い優勢といった状況ですが、前回トレンドと比較して出来高も少ないため、ここから乗っかるには不安が残ります。そのため、買いで入るのであれば今からではなく、もう少し様子を見てからの判断が妥当だと思われます。 またその際には、この中期チャネル(黄色)だけでなく、14000ドル以降の高値を結んだ緑チャネルも踏まえた売買判断が賢明でしょう。 では次に、中期チャートの分析に移りましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTCの中期チャートになります。 こちらを見ていただくと、「中期チャネル(黄)と緑チャネルが如何に重要な指標か?」というのがお分かりいただけると思います。 そして現状、レートはその中期チャネル(黄)と緑チャネルの交点周辺であり、ある程度の利食い売り、新規売りが見込めるポイントです。そのため個人的には、中期チャネル(黄)下限をネックラインとした三尊推移の可能性を視野に、この緑チャネルを背に売り(ショート)を入れてみています。 恐らく、ここから出来高が急増しない限り、上抜けは難しいと見ていますが、直近の短期トレンドはいうまでもなく上昇トレンドです。ですから今後、押し目を付けて再上昇する可能性も見据えておくべきでしょう。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 押し目を付けて再上昇(白) ⇒2本のチャネルを上抜け 中期チャネル(黄)で下げ止まり(青) ⇒三尊非成立により再度上昇の可能性 中期チャネル(黄)下抜け(橙) ⇒三尊成立により下落。8500ドル周辺まで視野に 大体こんな感じでしょうか。 恐らく、黄色チャネルと緑チャネルの2本を基準にした保ち合い形成をメインに見ている方も多くいらっしゃると思いますが、三尊形成に向かったにも関わらず、非成立となった場合には「一時上昇」と判断するのがセオリーであり、その時点で若干の「買い優勢」と判断すべきです。 ですから、三尊を成立させず保ち合いに向かった場合には、下げに向かう絶好のタイミングをスルーしたわけですから、その時点で「この保ち合いは上抜けの目のほうが高い」と少し買いに偏って分析してみることをお勧めします。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) まず、注目すべき点としては、「BTCドミナンスが節目である70%を越えた」という点ですね。次の節目は75%になりますが、ドミナンスの直近高値を抜けたことも踏まえると、75%到達までは再びアルトからBTCへと資金が吸い取られていく可能性が高いと思われます。 では、次に少し拡大して見てみましょう。 直近の転換点としては7/30、ここを境にBTCドミナンスは上昇、アルトドミナンスは下落と、7/30を機に市場内の資金が大きく動いております。 個人的には、以前もお話ししていたLTC半減期に向けて、少しはアルト市場活性化に向かうのでは?と思っていたのですが、恐らく仮想通貨市場だけでなく、金融市場全体がリスクオフに転換し、BTCがその流入先になったのを機にBTCへと資金が集中したのでしょう。 主要アルトコインの動向 現状、「BTCが上がっても下がる、BTCが下がっても下がる」と、やや混沌としているアルト市場ですが、直近の好材料でもあったLTC半減期を終えたのもあり、今から無理に手を出す必要はないでしょうね。 仮に攻めるのであれば、主要アルトでもBTC建てでなく、USD建てを中心に攻めていくのが無難だと思われます。 ということで今回は主要アルトの中でも注目度が高い2通貨のUSD建てチャートを対象に分析を進めていこうと思います。 ETH ETH/USDについては前回も取り上げましたが、依然悪くないといった状況です。 青サポートへの接触後上昇、その後白ラインのように底値を示唆するチャートパターン「アダムとイブ」を形成しています。節目としては、アダムとイブの成立ラインである「235ドル」。これを上抜けると、少しは現状の雰囲気も変わってくるのでは?と見ています。 今から直接、BTCに買いで乗っかるのはRRも悪いため若干気が引けます。しかし、ETHには235ドルという明確な節目が存在するため、直接BTCを買うよりも比較的買いやすい状況にあります。ですから、これまでのようにBTC上昇に引っ張られる可能性も踏まえて、「BTCショートに対するヘッジ」として活用するのも1つの手でしょう。 LTC 半減期を終えても尚、事実売りに向かわず、未だに同価格帯にて推移していますね。個人的にはこれがちょっとしっくり来ていません。 ファンダというのは事実売りがセオリーです。つまり今回で言えば、「半減期による価格上昇」を見込んで買い集めていた投資家らが8/5の半減期を機に売却(利益確定)する、という動きです。 ですが今回、好ファンダを前に大きく上昇してきたにも関わらず、出来高を見てもその後の事実売りが非常に少ないんです。しかもその上、上昇パターンとされているアセンディングトライアングルっぽい形で調整に入っています。 こちらも先ほどのETH同様、103ドルあたりと節目が分かりやすく、買い方でも乗っかりやすい状況のため、個人的にはBTCの上昇に乗っかるよりもそれに引っ張られるETH、LTCに乗っかる方向で・・・、と考えています。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは黄チャネル+緑チャネルを注視 →一時調整(下げ)が妥当 USD建てアルトにも注目 →BTCがチャネルを上抜けたとしても、天井判断が難しく乗りづらい。そのため、より節目が明確なUSD建てアルトで上げを取る 以上になります。 これは余談ですが、今年に入って以降、ビットコインの性質が若干変わりつつあるように思います。これまでは、株や為替などの金融市場からはやや独立したものとして認識していたのですが、最近では明らかに株や為替、中でも新興国通貨などに対する避難先として動いているように見えます。 現状のビットコインは以前ほどの注目度もなく、出来高も減少傾向にありますが、こういった流れを経て、金融商品として徐々に世の中へと浸透していくのかなと思ったら、「仮想通貨市場としてはいい方向、あるべき姿へと進んでいるのかな?」と思いました。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/07/25専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【7月25日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCは一時1万ドルを割りはしましたが、再度勢いづき、現在9500~11000ドル間のレンジ推移を見せています。出来高も今月始めと比べれば、やや減少傾向にありますが、それでも尚しぶとい・・・、そんな状況ですね。 ファンダ面においても、好材料や悪材料が入り乱れており、やや長期の方向感が掴みにくいポイントではありますが、今回もBTCチャートやドミナンス、主要アルトらの動向から仮想通貨市場全体について、分析していこうと思います。 それでは、早速BTCのチャート分析に参りましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 状況としては、前回記事とそこまで大差ありませんね。13000ドルの抵抗帯(黄色ゾーン)への到達を機に推進波5波が完了し、「さらに調整が進むのか?」といったポイントですね。 ではそれらについて、中期チャートを元に掘り下げてみましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTCの中期チャートになります。 黄色チャネル(上限)の下抜け、その後のリターンムーブ(200SMA)成立。これらを踏まえると、方向は依然『下』だと思われます。 しかし、その後の動きがやや気がかりです。これは少し経験といいますか、感覚的な部分が多いのですが、「リターンを終えた後、さらに出来高が少ないにも関わらず、買いがしぶとい」といった印象を受けました。 それらを踏まえると、11000ドル周辺まで上昇し、再度推進波移行の可能性も考えられます。ですから、一概に「下!ショートのみ!」と決めうちしていくような状況ではないと思われます。 では、「どこを元に上下の判断を行うのか?」 まず11000ドルを抜ける展開となると、直近のショートポジション決済(損切り)に向くと思われます。そのため、11000ドルを上抜けた場合には、これまでの下目線、ショートを巻き込んだ上目線優位に運ぶのではないかと見ています。 ですが逆に、11000ドルを超えられなかった場合には、出来高も衰退傾向にありますし、ジリジリと落とされ、黄色チャネル内50%(白ライン)の下抜けを機に、下目線へと向くと思われます。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 11000ドル上抜け ⇒再度推進波へ 11000ドル上抜けできず ⇒ジリ下げ、チャネル下限へ リターンムーブを終えたにもかかわらず、直近でしっかりリバウンドしたところを見ると、未だ白シナリオ(11000ドル上抜け)は否定しきれない、と思います。そのため、少なくとも上記のような2通りを踏まえた上で立ち回っていくべきでしょう。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 7/15のBTCドミナンス70%到達を機に、ドミナンスは反転下落。そして、それと同時に主要アルトのドミナンスが上昇転換しております。 主要アルトのドミナンス上昇といってもさほど大きな上昇ではありませんが、「以降、資金が主要アルトへと流れるのか?」というのは、非常に重要です。 というのも、ここから再度資金が主要アルトに集中するのであれば、投資家としては「資金が集まるアルト」を買うことで利益獲得が可能になります。そのため、わざわざ資金を撤退させる必要がないのです。 しかし、主要アルトコインらからも資金が抜けるとなると、「ビットコインが下げそう。それに主要アルトも巻き込まれる可能性もある」と考え、そのリスクを回避すべく市場から資金を撤退させる投資家が増加すると考えられます。 そのため、アルトコインが軒並み下落し、若干のリバウンドを見せている現状況において、「引き続きアルトコインらに資金が流れるか?」というのは非常に重要なのです。 では、これらを踏まえた上で、少し拡大して見てみましょう。 主要アルトの中でも、今のところ綺麗に資金が流れてきているのは、「ETH」、「BNB」でしょうか。それに対して、USDTやOthersのドミナンスは比較的停滞傾向にあるため、先ほどお話しした通り「アルトの中でも、主要アルトに流れてきている状況」だと考えられます。 次項目にて、さらに掘り下げて分析を行っていきますが、これらの2通貨の進退については、ドミナンスの観点からも要注目しておくべき通貨だと思われます。 主要アルトコインの動向 やはり白ラインのBTC上昇転換を境に、主要アルトは軒並み下降しており、黄色ラインのBTC下降転換を境に主要アルト上昇転換と、BTC市場とアルト市場が逆相関関係にあるように見えますね。 こちらのチャートからは、XRPなども動きも気になりますが、今回はドミナンス解説の際にも取り上げた、ETHとBNB、そして半減期を控えたLTCの3通貨を対象に分析を進めていこうと思います。 ETH 直近の下落を見ると、少し嫌な下げ方をしていますね。しかし、半値+サポート(青)周辺と損切り幅も少なく、押し目候補として資金流入が見込めるポイントだと思われます。 しかし、すでに半値からは大きくリバウンドしておりますし、ここからは235ドルの上抜けなど、「短期的な底形成を成立させるのか?」に注目しつつ、押し引きしていくのが妥当でしょう。 BNB サポートラインを機に大きくリバウンドしましたが、半値の戻り売りポイントで再度売られ、サポートライン下抜けに向かうか?それとも、戻り売りポイントを上抜けるか?といった状況です。 これまで大きく上昇してきた分、比較的上昇の見込みは少ないですが、アルトが盛り上がる背景にはBNBも相関して動きやすい傾向があるため、チェックしておくべき通貨の1つだと思われます。 LTC 8月に半減期を控えたLTCですが、チャネルを下抜け大きく崩れたものの、半値周辺かつ、200MAの上にて綺麗に下げ止まっています。 率先して買えるような状況ではないかもしれませんが、仮に再度推進波へと移行すると仮定するのであれば、押し目としてふさわしい下げ止まり方もしているようにも見えますね。 とはいえ、今すぐ飛びつけるような状況ではありませんので、現状からは中期チャートにおけるレジスタンス(青)を突破などを機に買い方に回るのが妥当だと思われます。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは11000ドルがポイント →上も下も考えられる アルトがこのまま買われるか? →買われなければ全下げ相場の可能性 BTCだけで見ても、買い場にも見えるし売り場にも見える・・・、そんな難しい相場ですね。しかし、今回ご紹介したアルトコインは3つとも、綺麗にサポートラインや半値といった「買われうるポイント」になっております。 以前から仮想通貨市場では、こういった買い場、売り場といった節目になると、「複数コインが同じようなチャートパターンになりやすい」といった傾向があります。 そして、今回取り上げた3通貨においても、半値やサポートライン上と買い場が一致しており、それに伴った推移を見せています。もちろん、ここから買われると決まったわけではありませんが、BTCだけでなく、このような主要アルトにおける重要ライン等も踏まえて、分析していくと市場全体の動きや流れが見えてくると思います。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/07/17CryptoSpells(クリプトスペルズ)が炎上を乗り越え驚異的な盛り上がり!
ブロックチェーンTCG「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」は、2019年6月25日に正式リリース及びクラウドセールを開始し、7月9日の第1回クラウドセール終了の段階でゲーム内通貨SPLの売上金額が累計900ETH(約3000万円)を達成した。 これにより、CryptoSpells(※以後クリスペ)は、累積黒字化見込みであることを発表した。 累積黒字とは?開業までに掛かった費用や運営費など今まで掛かった費用を利益が上回ること。 毎月の費用を利益上回ることは「単月黒字」という。 ソーシャルゲーム業界においては、開発費の回収は通常1.5-2年程度かかるといわれているので、これを2ヶ月弱で達成したクリスペは驚異的なスピードだ。 2018年10月にプレセール中断の炎上騒ぎから不死鳥のごとくみごとに復活し、ブロックチェーンゲーム業界の希望となった。 有名ブロガーやYoutuberも取り上げ始める 素晴らしいスタートを切ってブロックチェーンゲームの存在を世に知らしめたクリプトスペルズ。 クラウドセール成功をキッカケに有名なブロガーやYoutuberが取り上げ始めてきているので紹介したい。 むじょるさん 大人気スマホカードゲーム「シャドウバース」Youtube実況者のむじょるさん。 Youtubeのチャンネル登録者数は17万人以上のシャドバをやっている人なら知らない人はいないほどの有名Youtuberだ。 https://twitter.com/mujol_sv/status/1146427750816681984 そんな有名配信者のむじょるさんもクリスペに参入した様子。 今後、Youtubeでクリスペの配信などが行われれば、かなりの数の新規参入者が期待できるだろう。 イケハヤさん イケハヤさんのことは仮想通貨界隈で知らない人はいないと思うので説明は省略するが、彼もいくつかツイートをしている。 https://twitter.com/IHayato/status/1148914613804601348 イケハヤさんは流行にとても敏感なので、ブロックチェーンゲームが普及する日も近いかもしれない。 ふくみみさん https://www.youtube.com/playlist?list=PL3XL4_Ku1ZqNgliaSZiMsaJLYvrLIO4EU DQMSL(ドラクエモンスターズスーパーライト)やポケモンカードゲームで有名なYoutuberのふくみみさんもクリスペのユーザーで動画をアップしている。 オフ会にも積極的に顔を出していて、クリスペの熱狂的なファンであることが伺えるだろう。 クリスペファンの方はぜひチャンネル登録してほしい。 CRYPTO TIMES編集部 https://twitter.com/CryptoTimes_mag/status/1148204724346212352 我らがCRYPTO TIMES編集部も編集長アラタさんのETHを利用してクリスペに参戦! どうやら、レジェンドカードのパープルミストの最後の1枚を購入しているようだ。 CRYPTO TIMESとクリスペのコラボイベントとか開催されたらアツい! CryptoSpellsの面白さ リアルタイムでの対人戦 クリスペは従来のブロックチェーンゲームとは異なり、リアルタイムでの対人戦を楽しむことができるという点が魅力だ。 画面越しに生身の人間がいるので、いくら強いカードを持っていてもプレイング次第では負けてしまうことも当然あるし、自分のカード出し方で負けそうな試合をひっくり返すことも可能だ。 対戦前のデッキ編成や対戦中の戦略が大切で非常にやりこみ要素が多いゲームとなっている。 始めたての頃は持ってるカードも弱いし、ルールもよくわからないしで負け続けて嫌になってしまうこともあるかもしれないが、対戦を繰り返していくうちにルールやコツは掴むことができる。(今後CPU対戦などカードゲーム初心者でも楽しめるゲームモードも用意されるとのこと) また、有志のユーザーによる大会もほぼ毎週開催されていて、豪華賞品があったり、参加者も30名を超える大会もあったりして盛り上がりをみせている。 筆者もテスト版の頃から大会を開催していたが、現在はプレイヤーとして参加することに集中している。でもまたいつか大会は企画したいと思う。 ゲームにつぎ込んだ時間や情熱が資産になる 従来のDCG(デジタルカードゲーム)では、プレイヤーの課金=カードの生産となるため、カードの供給は実施無限であるため価格が高騰するということはない仕組みになっている。 しかし、クリスペではカード毎に発行枚数が決められているため、需要次第ではカードの価格が跳ね上がる可能性がある。 https://twitter.com/CryptospellsS/status/1148542679807979520 第1回のクラウドセールで販売されたレジェンド以上のカードは完売。 価格も リミテッドレジェンド:開始価格10ETH → 終了価格 15.7ETH レジェンド:開始価格2ETH → 終了価格 6.6ETH ゴールド:開始価格0.1ETH → 終了価格 0.16ETH と全て値上がりという結果だった。 無課金で手に入れることのできるシルバーカード(最大発行枚数9999枚)も0.05ETHほどの価格でユーザー間で売買されているので、無課金であってもETHを稼ぐことは可能になっている。 また、2019年6月15日に大阪で開催されたマイクリ&クリスペ大阪オフ会において以下のようなクリスペ貢献プレイヤーに対するインセンティブの構想について発表があった。 1 コミュニティ育成者にインセンティブ 2 デッキビルダーにインセンティブ 強いデッキのレシピを公開して、そのレシピが他のユーザーに採用されたらインセンティブがもらえる仕組みなど、ブロックチェーンゲームの強みを活かした構想があるようだ。 これからの開発に期待したい。 筆者も1枚50万円近くするカードを購入 僕もクリスペにはかなり期待していて、約15ETHで最高ランクのリミテッドレジェンドカードを購入した。 https://twitter.com/shimaris_coin/status/1145263736296394754 クラウドセール時のETHレートで50万円近くするので少しやりすぎたかもしれないが、今後クリスペに情熱を注いでいく僕なりの決意だ。 クリスペリリース記念公式大会β 開催! https://twitter.com/crypto_spells/status/1150606835818217473 7月20日(土)13:00より公式によるクリスペリリース記念大会が開催 優勝者にはシルバーランクの新カード提案権と売買手数料の50%永続還元権が優勝賞品として与えられる非常に盛り上がりそうな大会だ。 予選は、最大参加人数128名、5回戦のスイスドロー形式で、各試合1本先取 決勝は、予選上位8名で行われる、シングルエリミネーション形式で、各試合1本先取 と1本勝負の運要素がかなり強い大会となっているので、無課金のユーザーでも十分優勝の可能性がある。 エントリーがまだの方はこちらから では大会で会いましょう。 Twitterではクリスペの情報など随時アップしているのでしまりすのフォローもぜひお願いします。 CryptoSpells
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2019/07/15専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【7月15日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、一度は高値を目指したものの、上値も重く、未だ11000ドル周辺で停滞していますね。 前回記事でもご紹介したとおり、個人的には「その間に資金がアルトへ流れてくるのでは?」と予想していたのですが、残念ながら損切り撤退となってしまいました。 今回は、こういったアルトやBTCにおける資金の動きに重きを置いて、今後の動向について分析していこうと思います!是非、最後までお付き合いください。 それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 中期保ち合いの上方ブレイクにより大きく上昇しましたが、上値も重く「再度この価格帯で保ち合いを作れるか否か?」といった状況ですね。推進5波を終えた後ということもあり、ここからは調整転換の判断を見切るべく、転換ポイントを抑えておきたいところです。 長期(日足)チャートにおける調整転換基準は、前回高値圏で形成したチャネル(黄)をベースに考えるとよいでしょう。恐らく、これを抜けると以降は買い場も少ないため、比較的売り優勢な展開に進むと思われます。 このチャネル(黄)、並びに支持価格帯(白ゾーン)を元に、調整開始ポイントを推測してエントリー、その後MACDの安値ポイントをつないだサポートライン(黄)、このブレイクを元に推進力の低下、つまり日足スパンでの調整継続判断を行うと良いでしょう。 では次に、中期チャートの分析に移りましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTCの中期チャートになります。 現状、前回高値圏にて形成したチャネル(黄)が依然有効、といった様子ですね。ですから一先ずは、この「チャネル下抜けが調整開始のサイン」として見ておくべきでしょう。 しかし、このチャネルを守りつつ、青レジスタンスとの保ち合いに進んだ場合には、要注意です。 これは前回のお話ししましたが、高値圏でしっかり保ち合いを形成した場合には、その否定に進まない限り、既存ロングポジションの利食い(売り)につながりません。 つまり、ここから保ち合いに進んだ場合には、再度高値を叩きに来る可能性があるわけです。ですから、仮にチャネルの下抜け後に下ひげをつけて、保ち合い形成に向かった場合には、即座にポジションを解消し、再度チャネルの下抜けで持ち直すよう動くべきでしょう。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 チャネル(黄)を下抜け ⇒本格調整開始 チャネル(黄)で押し目形成 ⇒青レジとの保ち合い 上では特別取り上げませんでしたが、以降は200MA(赤)についても要注視しておくべきでしょう。また、チャネル(黄)と200MA(赤)を下抜け、調整開始に向かうようであれば、グランビルの法則(MAでのリターンムーブ)までを視野にいれてロット調整を行うとよいと思います。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 一時はアルト市場への資金流出を予想しておりましたが、BTCドミナンスは緩やかながら依然上昇しております。しかし、前回高値かつ節目でもある70%を前に、今後転換に向かうのか注目ですね。 主要アルトは依然下落傾向にありますが、7月に入って以降、徐々にUSDTのドミナンスが上昇に向かっています。恐らくBTCドミナンス70%に向けて、徐々に現物BTCやアルトなどが処分され始めているのでしょう。 しかしそんな中、気がかりなのは来月頭に控えたLTC半減期です。LTCはチャート的にもかなり大きく崩れてきましたが、半減期前どこかのタイミングで大きなリバを見せる可能性もあります。 主要アルトコインの動向 先ほどお話ししたように、アルトは全体的に下落傾向にはありますが、その中でも半減期を控えたLTCが気がかりです。そのため今回は、再度アルトブームの火種となりうる、LTCのみを対象に分析を進めていこうと思います。 LTC まずはBTC建てから見ていきましょう。 緑ゾーンまで落ちてきてくれるようであれば、若干買ってみたい気もしますが、現状はそこまで魅力的ではありませんね。 こちらは参考までに軽く見ておく程度で、実際の売買はUSD建てをメインに行っていくのが無難でしょう。 では次にUSD建てを見ていきましょう。 これまで時間をかけて築いてきたチャネル(緑)を下抜け、急降下していますね。チャート的には下優勢といった状況ですから、仮に半減期前のリバを狙うにしても、ポイントを絞った上でエントリーしていく必要がありそうです。 候補としては、支持価格帯である90ドル(白ゾーン)、もしくはチャネル内の安値、高値における半値(85ドル)が妥当でしょう。特にこういった安定的な上昇後に、半値を守れた場合には、大きなリバの契機となりやすい傾向があります。 むやみに攻めすぎず、要所要所BTCでヘッジポジションを建てるなど、若干のリスクヘッジを行いながら動いていくのが妥当だと思われます。 半減期の詳細時間については、下記サイトをご参考ください。 参考サイト:『Litecoin Block Reward Halving Countdown』 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCはチャネル(黄)を基準に押し引き →下抜けで本格調整開始 アルト⇒BTC→USDT(?) →LTC半減期リバ警戒 今回の分析を通して、アルト市場から大きく資金が抜け、BTCとUSDTドミナンスが上昇と、ややリスクオフに向きつつあるように感じました。 地合いとしては、更なる資金流入というよりは、流入してきた資金が抜けるかどうか?といったポイントですし、無理せず要所要所で付き合っていくのが妥当でしょう。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)