給与支払いの新時代|より広範なチェーンサポートを持つ「Hedgey」の概要と使い方
Henry
– 著者:Henry(@HenryWells1837)
以前の記事では、新しい給与の支払い方法として分散型資産ストリーミングプロトコルのSablier Financeをご紹介しました。今回は、その競合である「Hedgey」に焦点を当てます。
Hedgeyは、従来の総務や経理部門で発生していた人的コストを大幅に削減するポテンシャルを持っているプロジェクトです。
実際の導入事例や使い方と共にHedgeyついて紹介していきます。
目次
Hedgeyとは?
Hedgeyは、Sablier Financeと同様にトークンの配布を自動化できる分散型プロトコルです。
このプラットフォームは、Celo、Gitcoin、Gnosis、Shapeshift、Index Coop、Collablandなどの著名なチームと協力して開発を進めており、トークンの配布を効果的かつ柔軟にすることが可能です。
主なオンチェーン機能
- Token Vesting
- Investor Lockups
- Automated Token Grant Payouts
- Token Streams
- Community Token Drops
- Periodic Token Distributions
- General Token Time – Locks
これらの機能は完全にオンチェーンベースで行われ、発行から管理までのプロセスをシンプル化します。
また、Hedgeyの対応チェーン数は26となっており、Sablierの対応チェーン10と比較して2倍以上多いことも注目すべき点です。テストネットに関しても、Hedgeyは3チェーン、Sablierは1チェーンと非常に柔軟に対応しています。
トークンの給与払いについて
Sablierと同様にHedgeyでも日時なども含めた様々な詳細設定を決めた上で配布が可能で、最大で50,000人に配布をすることができます。
トークンのべスティングについて
Hedgeyによるベスティングプランは、従来のベスティング方式を踏襲しており、クリフ、*遡及的開始日、柔軟なベスティングスケジュールを含むオンチェーン上での運用となります。Sablierと同様に、発行者や管理者による取り消しも可能です。
さらに、線形や周期的なアンロック戦略、オプションでのオンチェーンガバナンス投票や委任権などの機能も備えており、無料で利用することが可能です。
*遡及的開始日について:Web3プロジェクトで働く場合、プロジェクトに貢献を開始した日付よりも後にトークン配布のベスティング計画が作成されるケースが多々存在します。その際、ベスティングの開始日をプロジェクトへの貢献開始日(遡及的開始日)に前倒しにする方式が取られることがあります。
トークングラントの特徴
グラント機能では、ベスティング機能と同様に、線形や周期的な配布、取り消し可能または不可能なオプション、転送可能性の設定など、高度にカスタマイズ可能です。
Hedgeyの実際の導入事例
Celo財団への導入
「Hedgeyの最大の魅力は、人事部門が以前は財務部門が行っていた多くの作業を自分たちで処理できるようになる点です。直感的なUIとSafeとの緊密な統合により、私たちのチームはより少ない労力で、より多くのことを、より良く、より速く行うことができます。」 – Thomas Kwon:Celo Foundation
Celo財団では、以前はオフチェーンでのベスティングを行っていましたが、効率化を図るためにオンチェーンのベスティングに移行し、その際Hedgeyを採用しました。Celo財団の前CFOであるThomas Kwan氏は、従来の財務担当者が行っていた作業を大幅に削減できたと述べています。
$PLUGのエアドロップ
Genesis airdrop allocates 33% to the community, including:
• 15% to Honeycomb holders
• 2.5% to Ooga Booga Ticket holders
• 6.6% to @ApiologyDAO seat holders from @mijanidao acquisition
• and other criteriaCheck your wallet and claim here: https://t.co/CREjKaM9CU
— the honey jar 🍯 (@0xhoneyjar) February 14, 2024
Bera Chain上でのローンチを予定しているBera Plugからの$PLUG配布は、対象ユーザーがHedgey経由でトークンをクレームできるように行われました。
Nile Exchange への導入
Welcoming @NileExchange to Hedgey!
Nile is building the native liquidity layer on @LineaBuild and uses Hedgey for their team token vesting.
Great to have you on board🐊 pic.twitter.com/WJRWyAIh0Q
— Hedgey 🦔 (@hedgeyfinance) January 26, 2024
Nile Exchangeでは、チームメンバーへのトークンのベスティングにHedgeyを導入しました。
Hedgeyの使い方
それでは、実際にHedgeyを使ってみましょう。
【ケーススタディ】
株式会社Xは、新規プロジェクトを立ち上げることになり、本日付で海外で活動しているフリーランスのコンサルタントBobさんと3ヶ月間の戦略アドバイザー契約を結びました。
報酬条件は、以下の通りです。
♢契約条件
- 3ヶ月間の合計報酬額は300 $LION (テストネットトークン)。
- 支払いスパンは1ヶ月に1回。
- 契約日にトークンによる報酬のトランザクション履歴を送付する必要がある。
今回の記事ではSepoliaテストネットを利用していますが、こちらのテストネットではSepolia ethを配布することが出来ません。
もし実際に使用する場合は、OptimismやAbitrumなどのガス代が安価なメインネットチェーンを活用ください。
- Hedgeyへアクセスします ( https://app.hedgey.finance/vesting )。
- 実際に使用する「ネットワーク」を選択してください。
- 次に、画面左上に対象ネットワークのトークンが表示されていることを確認してください。
- Token – 配布するトークンを選択します。今回は、専用のテストネットトークンの$LIONを使用します。
- Unlock frequency – 今回は、定期的に配布するので “Periodic” を選択します。
- Unlock Period Schedule – 毎月配布するので、”Monthly” を選択します。
- Vesting Term – 3ヶ月にかけて配布するので、”3″と入力します。
- Cliff – こちらは0になります。
*ここまでの選択と入力が終わったら画面下へスクロールすると下記のPlan Summaryが表示されるので、配布スケジュールを確認しましょう。
6. 上記の選択と入力が終わったら、”Next : Administration”をクリックします。
Administrationの設定を行います。今回は、テストネットトーンのため、”Allow on-chain governance”が選択できませんが、ガバナンスを実施しているトークンの場合、こちらを選択することで配布期間中もガバナンスに参加することができます。
また “Vesting admin Address”では、アドミンのウォレットアドレスを決めることで、そのアドレスがトランザクションを途中で中止することなどもできます。Sablierよりも、より詳細に設定することができます。
これらの設定が完了したら、”Next : Details”をクリックします。
- Recipient Address – 受取人のウォレットアドレスを入力します。
- Amount of tokens – 配布するトークンの合計数量を入力します。
- Vesting Start date – 配布開始日を選択します。
Plan Summaryを確認します。
今回の配布スケジュールでは、2024年5月18日に配布が完了します。
- 内容を確認して、チェックボックスにチェックマークを入れてConfirmします。
- 配布トークンのApproveを実行します。
- Approveが完了したら、Distributeをクリックしトランザクションを実行します。
トランザクションが完了したら上記の画面になります。こちらで完了です。
トランザクションが無事完了した後、Etherscanなどのリンクを受取人に共有しても良いかもしれません。
上記は、受取人のウォレットアドレスでHedgeyにアクセスした際の画面です。Received Vesting Plansに、配布したトークンについて反映されています。
HedgeyとSablier、どちらを選ぶべきか?
HedgeyとSablierのどちらを選ぶかは、プロジェクトのニーズによって異なります。
5人のような少数人へトークン配布を行う場合、どちらを使用しても大きな差はありません。
より多くのチェーンをサポートする必要がある場合は、Hedgeyが良いかと思います。
もし利用したいチェーンがどちらでも対応している場合はまずはテストネットで両方試していただき、「操作性」や「UI」などから各自にとって使いやすいものを選んでいただくのが良いのではないでしょうか。
まとめ:Hedgeyの導入による最先端の給与支払い
本記事では、Hedgeyの概要及び使い方について説明しました。HedgeyやSablierの出現により、従来の総務や経理部門で発生していた人的コストを大幅に削減することが可能になりました。
削減されたコストは、新たな事業への投資や従業員の福利厚生の向上など、さまざまな形で再投資することができ、新しい組織構造の創出へもつながるのではないでしょうか。
新しい技術ツールの導入により、従業員との関係性の再定義や組織内の再構築が期待されます。
Hedgey 公式リンク