仮想通貨の詐欺とは? 過去の事例と対策を紹介

2024/03/01・

Daichi

仮想通貨の詐欺とは? 過去の事例と対策を紹介
ct analysis

この記事では仮想通貨における詐欺(スキャム)の種類や危険性、具体的な対策などについて解説します。

この記事のポイント
  • 仮想通貨詐欺(スキャム)とは、仮想通貨関連の資産の詐取を目的とした詐欺行為のことを指す
  • 仮想通貨詐欺には様々な手口があり、代表的なものにはフィッシングやポンジ・スキームの他、ICOやクラウドマイニングを利用したものもある
  • 過去にはBitConnectやプラストークンなど大規模な仮想通貨詐欺が発生している
  • 仮想通貨詐欺から身を守るために正しい知識を身に着け、適切な対策を講じる必要がある

仮想通貨詐欺とは?=仮想通貨に関連した詐欺

仮想通貨詐欺とは、仮想通貨に関連した資産の詐取を目的とした詐欺行為のことです。英語ではスキャム(Scam)とも言います。

仮想通貨詐欺には、SNSやメッセージによる個人間でのやりとりから発生する場合や、不特定多数に対して行われる大規模なものまで、実に様々な手口があります。

仮想通貨関連のサービスでは自分の資産は自分で適切に管理することが必須であり、それゆえに詐欺行為の標的となりやすいと言えるでしょう。

仮想通貨詐欺の主な4つの手口

一言で仮想通貨詐欺といってもその手口は様々です。ここでは主な手口を4つ紹介します。

ICO(スキャムコイン, 詐欺コイン)

代表的な仮想通貨詐欺のひとつにICOを用いたものがあります。すべてのICOが詐欺ということではないですが、ICOを利用して詐欺行為が行われることがあるため注意が必要です。

ICOとは?
ICO(新規仮想通貨公開)とは、新規事業(プロジェクト)の上場前に仮想通貨(トークン)を発行・販売すること。投資家にトークンを購入してもらうことで、プロジェクトの資金を調達する。

ICOで集まった資金は事業の開発などに使用されることが通常です。

しかし、仮想通貨詐欺の場合は、プロジェクトはかたちだけでその実態は存在せず、もしくは予定されていたサービスや商品が提供されず、資金を集めるだけ集めて持ち逃げされてしまう可能性があります。

このように詐欺目的で作られたプロジェクトやトークンのことを、「スキャムコイン(詐欺コイン)」と呼ぶこともあります。

なかには実在のICOを名乗ったり模倣することで資金を詐取するという手口も考えられます。ICOはIPO(新規株式公開)と比べて上場の基準や審査が厳しくないため、プロジェクトの中身については信用リスクが高くなることもおさえておきましょう。

また最近では、IDO(Initial DEX Offering)= 分散型取引所で行われるICOのような新しい手法も主流となっており、怪しいDEX上で詐欺が働かれる可能性もあるため注意が必要です。

フィッシング

フィッシングは、実在する(もしくは架空の)サービスを模倣し、個人情報を詐取する手法です。

フィッシングのなかでも様々な手口がありますが、実在するサービスを模倣したウェブサイトに誘導し、パスワードなどの個人情報を入力させ抜き取るという手口が最もわかりやすい例でしょう。

一定の条件を満たしたユーザーを対象に無料で仮想通貨が配布されるエアドロップなどをあるプロジェクトが実施する際、偽のXアカウントから偽サイトへ誘導し、ウォレットを接続させ資産を盗難するケースも発生しています。

SNSでシェアされている内容や、SMSやDMで送られてきたメッセージから誘導されることも多いため、見覚えのないURLやウェブサイトへの警戒はもちろんのこと、よく使うウェブサイトについても偽物ではないか注意することが必要です。

クラウドマイニング

クラウドマイニングについてもすべてが詐欺ということではないですが、詐欺目的のものが紛れていることもあるため注意が必要です。

マイニングとは?
仮想通貨には中央銀行のような管理者が存在しないため、不特定多数の参加者が第三者として取引の承認・管理を行うが、この行為をマイニングと呼ぶ。
参加者は取引の承認・管理への貢献に対する報酬として新規発行される仮想通貨を得ることができる。
クラウドマイニングとは?
マイニングを事業として行う企業に投資することで、その投資額に応じて事業収益の一部を得ることができる。

クラウドマイニングを利用した仮想通貨詐欺だった場合、その実態はマイニング事業を行っていなかったり、ある日突然事業閉鎖となるなど、預けた資金が持ち逃げされてしまう危険性があります。

HYIP(ハイプ)

HYIP(ハイプ)とはHigh Yield Investment Programの略称で、「高利回り投資案件」などと呼ばれます。このタイプでとくに注意すべき例として以下のようなものがあります。

ネズミ講やMLM(マルチレベルマーケティング)

ネズミ講は、最初に高額の会費を支払い入会し、後に組織外の人を勧誘し入会させることで、それ以前の親会員が会員費の一部をマージンとして受け取ることができるとする違法ビジネスです。

MLM(マルチレベルマーケティング)は、商品販売の売上に応じてマージンを受け取り、さらに自分が勧誘した販売員の数やその販売員の売上額に応じてさらにインセンティブを得るといったビジネスです。

ネズミ講に対してMLMは違法ではありませんが、この2つに共通していることとして、紹介できる人の数には限界があるため問題に発展しやすく、無理な勧誘による人間関係への悪影響も考えられます。

ポンジ・スキーム

出資者から集めた資金を運用し、その利益の一部を出資者へ配当金として還元すると謳いながら、その実態としては資金の運用はせず、集めた資金の一部を配当金と偽って還元する出資金詐欺です。

この種の詐欺では、資金が一定以上集まった段階で突然事業停止になるなど、預けた資金を出金することができなくなってしまうといった危険性があります。

過去にあった仮想通貨詐欺の事例

ここからは過去に実際にあった仮想通貨詐欺の事例を紹介します。

BitConnect(BCC)

2016年に海外市場にて上場した仮想通貨で、日利1%という高利回りのレンディングを謳っていましたが、当時は時価総額上位にランクインするほどの人気ぶりでした。

しかし、その後ポンジ・スキームであるとの疑惑をかけられ、レンディング事業は閉鎖、BBCは暴落してしまいました。

創業者をはじめ、関係者やプロモーターが次々と逮捕・起訴されましたが、レンディングをしていた人々に大きな損害を残す結果となってしまいました。

イカゲームコイン(SQUID)

2021年に大流行した韓国のNetflixドラマ「イカゲーム」に便乗し、同作品を模したオンラインゲームのゲーム内通貨として使用される予定であるとして販売された仮想通貨です。

しかし、同ゲームがリリースされることはなく、開発者は集めた資金を現金化し行方をくらます事態となりました。

開発者の資金持ち逃げが発覚するやいなやSQUIDは暴落し、時価総額にしておよそ60億ドル分がたちまち蒸発してしまいました。

プラストークン(PlusToken)

2018年にスタートした仮想通貨ウォレットサービスで、仮想通貨を預けるだけで月利10%という高利回りに加え、利用者を紹介することで高額のインセンティブも得られると謳っていました。

結果的にポンジ・スキーム及びネズミ講であることが発覚し、被害者総数は推定1000万人、被害額は30億ドル相当にもなりました。

2020年には首謀者27名と重要メンバー82人が逮捕されましたが、現在もウェブサイトは残っています。

仮想通貨詐欺から身を守るために必要な5つの対策

今も横行する仮想通貨詐欺の被害から身を守るために、5つのポイントを説明します。

1. 美味しい話や怪しい文言は疑う
2. 情報の収集・確認を怠らない
3. 個人情報を入力する前に立ち止まる
4. 金融庁認可の取引所を利用する
5. 正しい知識を身につけ、常にアップデートし続ける

1. 美味しい話や怪しい文言は疑う

まずは美味しい話や怪しい文言は真っ先に疑うクセをつけましょう。

冷静な状態では「そんな美味しい話があるわけ…」と思っていても、それが実際に目の前にあるときには冷静な判断ができない可能性もあります。

以下のような内容にはとくに気をつけましょう。

このような場合は要注意!
• 高利回り、高配当を強調する
• ノーリスクを強調する
• 具体的な商品の話が少ない、もしくはない
• 買いを煽るような宣伝
• 非公式のアカウントからの発信
• SNSでの宣伝、メール/SMS/DMで送られてくるURLや宣伝・勧誘

2. 情報の収集・確認を怠らない

「DYOR(Do Your Own Research)」という言葉があります。

これは「自分で調べる」という意味であり、自らの身を守るために常に情報収集・確認を怠らないことの重要性を示す言葉でもあります。

プロジェクトのHP、公式アカウント、ホワイトペーパー、評判などを確認し、信用に足るかを慎重に判断しなければなりません。

以下のような場合はとくに気をつけましょう。

このような場合は要注意!
• HPがない、もしくは質が低かったりわかりにくい
• HPはあるが更新されていない
• 公式アカウントが更新されていない
• ホワイトペーパーの内容に現実味がない、実現性を感じない
• 明らかに評判が悪い
• 非公式のアカウントからの買いを煽るような宣伝が多い

3. 個人情報を入力する前に立ち止まる

とくにフィッシングについては、個人情報を入力する前に思いとどまることで防ぐことができる部分もあります。

パスワードなどの個人情報の入力を求められたら、一旦立ち止まり、そのウェブサイトやサービスが本物か、信用に足るものかを今一度確認しましょう。

最近のフィッシングサイトの模倣はより高度になっており、一見しただけでは違いがわからないといったことも多いです。

また、フィッシングサイトがGoogleのリスティング広告の上位に表示されることもあるため、検索結果上位の広告をクリックすることは避けたほうが良いと言えるでしょう。

リスティング広告とは?
検索結果の上位に表示される広告のこと。
ウェブサイト名の前に「広告」もしくは「PR」といった文言が一緒に表示されるため、目視で判断することができる。

とくにフィッシング系詐欺に対しては以下のようなことに注意しましょう。

このような場合は要注意!
• リスティング広告はクリックしない→本物のウェブサイトをブックマーク登録すれば毎回検索しなくて済むのでリスク回避につながる
• 送信元の名前/アドレス/ドメインが違う、もしくは見覚えがない
• 送信元のドメインがフリーアドレスになっている(@gmail.comや@yahoo.co.jpなど)
• URLが違う(1文字だけ違ったり、似た文字列が使われているなどの細かな違いに注意)
• URLが「https://~」ではなく「http://~」で始まる→暗号化されていないため危険(※ただし、暗号化されていても安全とは限らない)
• 個人情報の入力や即時入金を煽る文言などが表示されても焦って対応しない
• もしも個人情報を入力してしまった場合、ただちにIDやパスワード等を変更する

4. 金融庁認可の取引所を利用する

リスク回避の方法のひとつとして、金融庁認可の取引所だけを利用するという手もあります。

逆に、怪しい取引所や代理店を名乗る場合は、金融庁認可を受けているかを確認することで避けることもできるでしょう。

不安な場合は、海外の取引所や見知らぬ代理店は利用しないほうが得策かもしれません。

金融庁認可の取引所の確認の仕方
金融庁HPの暗号資産関係というページから、「暗号資産交換業者登録一覧」というファイル(PDF/Excel)にて確認できます。

5. 正しい知識を身につけ、常にアップデートし続ける

仮想通貨関連の業界は日進月歩であり、これからも新しい技術やサービスがどんどん登場することでしょう。

これは仮想通貨詐欺においても同じことで、新たな技術やサービスの登場はつまり、新たな詐欺の手法が横行することにつながると言っても過言ではないでしょう。

そのため、ユーザー自身が正しい知識を身につけるため積極的に学び、さらにその知識を常日頃からアップデートし続けることが大切です。

まとめ

仮想通貨詐欺の種類や事例、対策や心構えについて解説しました。

最近はNFTの加熱とともにまた新たな仮想通貨詐欺も増えてきているようです。

常に情報収集を怠らず、慎重な判断で自らの資産を詐欺の脅威から守りましょう。

Crypto Timesでは仮想通貨やweb3をもっと楽しむための初心者向け記事を発信しています。様々なトピックをわかりやすく解説しているので、以下の記事もぜひご覧ください。

ニュース/解説記事

Enable Notifications OK No thanks