権力の集中を防ぐ公平性重視のブロックチェーン「Idena」とは?
Yuya
Idena(アイデナ/$DNA)は、ノードを一個人にひとつまでに限定することで権力の集中を防ぐ画期的なブロックチェーンプラットフォームで、プライバシー保護やボット耐性が重要な分野でのユースケースが期待されています。
Idenaの最大の特徴は
- 個人情報を開示せずにユーザー確認ができる。
- ノードは一人ひとつまで。一般的なスペックのPCで動く。
- 公平なブロックチェーン。プライバシー保護やボット耐性に長ける。
という3つの点にあります。
こちらのページでは、これらについて詳しく解説するとともに、トークンやシステムのユースケースも紹介していきます。
※本記事は暗号資産への投資活動を推奨し、勧誘するものではありません。
目次
Idena(イデナ)とは?概要を紹介
−Idenaの概要−
通貨名/ティッカー | Idena(イデナ) / $DNA |
創設者 | 匿名グループ |
時価総額 | 約330万ドル (2020年12月時点) |
特徴 | 個人情報不要の本人確認システム |
公式リンク | Webサイト |
Medium | |
Telegram | |
GitHub | |
Discord |
Idenaが解決する問題
Idenaはシャーディング技術を搭載したスケーラブルなブロックチェーンです。
ですが、最大の特徴はスケーラビリティではなく、ブロックチェーンプラットフォームとしての「公平さ」を追求している点にあります。
集権型システムと対比されるブロックチェーンですが、Idenaが収集したデータによると、昨今の現状はどうも完全な分散型システムとは言い難いものになっています。
PoWを採用したブロックチェーンの代表格・ビットコインでは、19のマイニングプールがハッシュレートのほとんどを占めています。
そのうちの80%が中国のプール、そしてハッシュレートの51%はたった3つのプールで構成されているというのが現状のようです。
PoSに至っても現状は同じで、イーサリアムではたった400のウォレットがETH供給量の53%を保有しています。
その他のコンセンサスメカニズムに関しても、ブロック生成・承認者が少数に限られているケースがほとんどで、「権力のある一定層がどんどん力を増していく」状況になっていることがわかります。
Idenaは、こうしたブロックチェーンの「権力の集中化」問題を解決し、コンピューティングパワー(=財力)に依存しないフェアなシステム構築を目指しています。
ネット上の監視とボット社会
また、Idenaはインターネット上でのプライバシーの欠如や監視システムを革新するというビジョンも持っています。
近年では、WeChatやFacebookなどの大手IT企業が独占的に膨大なユーザー情報を抱えており、顔写真や経済状況などのデータがヒトやお金の監視に利用されています。
また、大量のボットによる情報操作行為が政治やビジネスの分野に大きな悪影響を与えていることも大きな問題となっています。
Idenaは、公平性を重視したブロックチェーンを開発することで、このようなネット上の社会問題も解決できるとしています。
Idenaの特徴
Idenaに組み込まれている「Proof of Person (PoP)」は、個人情報の開示を必要とせずに個人(一人の人間であること)を確認できるシステムです。
このシステムをブロックチェーンに組み込むことにより、公平なエコシステムの構築が可能となります。
また、システムの特性上、個人情報を守ったアプリケーションやサービスの展開がしやすいという利点も生まれます。
公平性・プライバシー・ボット耐性などの観点でこういった「人間証明システム」の必要性は強く認識されており、イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏もブログにその需要を綴っています。
Some form of (secure, decentralized, robust) proof-of-unique-human is going to be a very valuable primitive for applications in the years to come.
See https://t.co/cezOk10KQ0 for a detailed argument for why it's a needed ingredient in robust governance mechanisms, for example.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) April 4, 2020
では、ブテリン氏もその重要性を強調しているPoPとはいったいどういう仕組みなのか見ていきましょう。
Proof of Person (PoP)
Idenaでは、一個人につきひとつのノード(およびウォレット)が割り当てられます。そのため、ブロック生成権の獲得において誰かが優位に立つことはできません。
このシステムを可能にするのが、PoPになります
PoPでは、ノードの持ち主それぞれが「人間であること」を証明するために、「フリップ(Flip)」と呼ばれるパズルを解きます。
フリップはコンピュータには解きにくく、人間にしか解けないような仕組み(後述)になっています。
肝心なのはこのフリップがあらかじめ決められた時間に「一斉に」行われることです。
回答に設けられた時間はとても短いため、人間が複数ノード分のフリップを一気に解くことはできません。したがって一個人による複数ノードの管理は難しくなります。
こうして持ち主が「一人の人間であること」を証明できたノードは、ブロックやフリップの生成等に携わり、対価としてDNAトークンを得ることができます。
そして、ノードは一般的なコンピュータ(将来はスマートフォンも)で動作するように作られているため、他のブロックチェーンで目立つ参入障壁の高さも改善しています。
人間であることを証明する「フリップ」
フリップは様々なサービスで利用されている「CAPTCHA」に似た、適切な画像を選択して人間であることを証明する仕組みです。
フリップがCAPTCHAよりも優れているのは、複数画像に示されている物体だけでなく、その画像間の「コンテクスト」も理解する必要があるという点です。
上記のフリップでは同じ4枚の画像が縦二列に、異なる順序で並んでいます。ユーザーのタスクは、この二択のうち「よりストーリーが繋がっている」ほうを選択することです。
左側の場合「花瓶をネコが倒したので、こぼれた水をスポンジで吸い取る」といったストーリーが連想できます。
一方、右側の場合はあまりピンとこない並び方になっています。
こういった要領で世界中の人々がこのフリップを一斉に回答するわけですが、そのうち「より多く選ばれた方」が正解となります。
フリップは人間であれば10秒ほどで解くことができ、その正解率は95%近くになります。一方、人工知能は未だ類似したテストで最高79%しか達成していません。
Idenaはフリップで71%以上の正解率を出せる人工知能を開発したチームに最大55000ドルの賞金を与える「フリップチャレンジ」も開催しています。
ノードの役割と消滅条件
Idenaノードは招待制になっており、エポックごとの招待の生成数もあらかじめ決められています。
招待を受けた「新規ノード」は早速マイニング(後述)に参加することができ、それとともに「フリップを作成する義務」と「フリップに参加する義務」が課せられます。
新規ノードがフリップに参加しなかった場合、そのノードはその場で消滅します。
一方、一定数以上のフリップを回答したノードは「承認済みノード」または「人間ノード(正答率92%以上)」とみなされ、新規ユーザーを招待できるようになります。
これらの二つのノードはフリップを連続2回まで欠席することができ、それ以上逃すと消滅となります。
また上述の通り、ノードは回答セッションまでにフリップを作成する義務もあり、未提出は欠席と同じ扱いとなります。
Idenaのユースケース
Idenaは個人情報の開示を必要とする本人確認(KYC)をせず、ノードの持ち主が一人の人間であることを証明できるシステムです。
この利点は様々な分野での活用が見込まれており、公式ウェブサイトではたくさんの例が挙げられています。こちらではそのうちのいくつかを紹介します。
投票システム
ブロックチェーンでの従来の投票システムは、トークンのステーク量に応じて投票権を得られるシステムが一般的なため、個人間で投票への影響力に差が生じます。
一方、Idenaではフリップを介してノードひとつひとつが個人であることを証明できるため、「一人一票」の公平な投票システムを構築することができます。
オラクルの選定
ノードが行う様々な仕事のうち、外部からのデータをスマートコントラクトにインプットするものを「オラクル」と呼びます。
ここで、スマートコントラクトを正常に動作させるために、オラクルには質や信憑性の高い情報を提供してもらわなければいけません。
Idenaでは承認された個人がノードを運営するため、オラクルに割り当てられたノードをそのデータの質などに応じて評価することができます。
ダイレクトマーケティング
ボットがはびこるウェブ広告・マーケティングの分野でも、Idenaの活用を想定することができます。
広告主がIdenaのDNAトークンをバーン(焼却)することで、ひとつのアカウントが一人の人間であることが証明された「ユニークユーザー」に対して広告を打つことができます。
こうすることで広告主はボットに煩わされることなくエクスポージャーを得ることができます。
また、広告の需要に応じてDNAが買い付けられるため、トークンエコノミーの循環も予想されます。
以上の他にも、サーバーを必要としないメッセージアプリや、ベーシックインカム制度の基盤など、「個人情報を開示せず一人の人間であることを確認できること」そして「ボットによるシステムの悪用を防げること」を利用した様々なユースケースが期待されています。
Idenaトークンについて
−DNAトークンの概要−
発行上限 | なし |
1日あたりのマイニング報酬 | 25,920 DNA |
1日あたりの承認報酬 | 25,920 DNA |
ブロック プロポーズ報酬 | 2 DNA |
ブロック コミット報酬 | 4 DNA |
トランザクション手数料焼却率 | 90% |
トークンにまつわるその他の情報はこちらから
マイニングや承認作業で得られたトークンの20%は自動でステーキングされ、ノードを自発的に終了するまで取り出すことができないようになっています。
ノードへの参加(=マイニング)は前述の通り招待制となっています。公式のTelegramグループでは定期的に招待を行なっているようです。
ノードのクライアント(およびウォレット)自体は公式ウェブサイトからダウンロードすることができます。
まとめ
Idenaはこれまでのブロックチェーンが抱えてきた「権力の集中化」や、大型IT企業が生むネットでのプライバシー、ボット問題の解決に臨む画期的なブロックチェーンプラットフォームです。
「特定時間でのアクションが求められる」という斬新なシステムがエコシステムの普及にどう影響してくるかには要注目でしょう。
また、KYCを要しない個人特定システムは、プライバシーやボット耐性が必要とされる分野での活躍することが期待できます。
Idenaについてもっと知りたい方は、各種公式チャンネルへのリンク(上の概要に飛ばす)をぜひチェックしてみてください。