ゴールド高騰の裏でBTC苦戦。地政学的リスク下の新常識

地政学的リスクの高まりを背景に伝統的な安全資産である金が価格を急騰させる一方で、「デジタルゴールド」と称されるビットコイン（BTC）は苦戦を強いられています。両資産の対照的な値動きは、市場の不確実性に対する投資家の異なる反応を浮き彫りにしています。

金価格は10月17日、1オンスあたり4,376ドルの史上最高値を記録。これにより時価総額は30兆ドルを超えビットコインの時価総額の約14倍に達しています。年初からの上昇率は60%と米国の主要株価指数であるS&P 500やビットコインを大幅に上回る成績です。

「デジタルゴールド」は幻想？BTCと金が非相関

この価格上昇の背景には米国の対中関税計画に端を発した貿易摩擦の再燃があります。また各国の中央銀行が外貨準備の多様化を進め米ドルへの依存を減らすために金の購入を続けていることも、需要を押し上げる一因です。

フィデリティの専門家は「ハードマネーである金が不換紙幣であるドルから市場シェアを奪っている」と指摘しています。

Another major feature of the markets these days has been the relentless rise in the price of gold, joined by silver and of course Bitcoin. As the brilliant Eric Peters of One River Capital points out, perhaps gold (and by extension Bitcoin) and AI are interconnected in a way.… pic.twitter.com/QHwqzIFtkd

— Jurrien Timmer (@TimmerFidelity) October 17, 2025

一方で、ビットコインは同じマクロ経済の圧力の下で価格が下落しています。価格は一時10万3300ドルまで下落し、6月以来の安値を付けました。

しかしながら有識者の間では、この下落を構造的な弱さではなく関税ショックに起因する「短期的なパニック売り」と分析しています。同氏はビットコインを「ハイブリッド資産」と位置づけ、次のように述べています。「マクロ経済ショックの初期段階ではリスク資産のように売られますが、伝統的な市場への信頼が揺らぐと、その固定された供給量や国家からの独立性により、安全資産としての役割に転じることが多いです」。

短期的には金が安全資産としての地位を確固たるものにしていますが、ビットコインは異なる特性を持つ資産として、長期的な視点での評価が注目されます。