旧パナソニック工場が光半導体の拠点に、総額6000億円の増産計画

2026/09/29・

よきょい

旧パナソニック工場が光半導体の拠点に、総額6000億円の増産計画

イスラエルの半導体受託製造大手タワーセミコンダクターが、日本国内でシリコンフォトニクス(SiPho)とシリコンゲルマニウム(SiGe)、先端光パッケージングの生産能力を大幅に拡張する計画を進めています。

シリコンフォトニクスは半導体チップ上で電気信号を光信号に変換し、大量のデータを高速かつ省電力で伝送する技術です。AIデータセンターではGPUやサーバー同士を結ぶ配線が性能のボトルネックになりつつあり、銅配線に代わる光接続の需要が急速に高まっています。今回の計画は、この「光の通り道」を担う部品の供給力を日本で確保するものと位置付けられています。

同社は2026年7月14日に計画を公表し、同日、経済産業省が経済安全保障推進法に基づく安定供給確保計画として認定しました。総事業規模は約6000億円で、政府の助成額は最大約1600億円と同法に基づく半導体分野の助成として過去最大の規模です。タワー側はドル建てで、自社投資約30億ドルに対し約10億ドルの政府助成を受ける構成と説明しています。

計画は2つの柱で構成されています。1つ目は、2022年7月に生産を終えていた新潟県妙高市の新井工場(旧Fab6)を300mmのSiPhoと先端パッケージングの拠点として再生し、あわせて富山県魚津市の魚津工場(Fab7)の稼働を最大化するものです。同社はこの段階の本格的な生産準備が2027年10〜12月期に整うとしています。2つ目は魚津工場の隣接地に300mmの新工場を建設する計画で、関連契約の締結を前提に、2029年以降の収益貢献を見込んでいます。

旧パナソニック工場を軸に進む日本事業の再編

両工場はもともとパナソニックの半導体工場で、タワーは2014年に合弁会社タワーパートナーズセミコンダクター(TPSCo)として事業を引き継ぎました。2026年3月にはTPSCoを共同保有するヌヴォトン・テクノロジーとの事業再編を発表しており、300mmの魚津工場はタワーの完全子会社が200mmの砺波工場はヌヴォトン側が引き受ける予定です。再編の完了は2027年4月1日を目標としています。今回の増産計画は、この再編と一体で進められる形です。

タワーは増産計画にあわせて事業目標を引き上げ、2028年に売上高36億ドル、純利益12億ドルを目指すとしています。同社は2026年5月、大口顧客との間で2027年のシリコンフォトニクス売上として13億ドル規模の契約を結んだとも説明しています。ただし、2028年の数値はあくまで会社側の目標であり、確定した実績ではない点には注意が必要です。

日本政府はこれまで、TSMCの熊本工場やラピダスなど先端ロジック半導体への支援を中心に進めてきました。今回は回路の微細化ではなく、AIインフラを支える光接続部品という新たな領域への大型支援となります。

2027年の供給開始に向けて、妙高・魚津の2拠点の立ち上げ状況が今後の焦点となりそうです。

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