Bybitは日本で使えるか。2026年の可否と出金・税金|金融庁の無登録警告
Crypto Times 編集部

2026年7月、Bybitに残っていた日本居住者の未決済ポジションが一斉に強制決済されました。同社はその2日後「日本における是正措置の完了」を告知しました。
日本語のサイトも日本語の告知もいまなお動いています。それでも日本居住者にできるのは資産の変換と出金だけです。
判断の中心はこの取引所を使うかどうかではなく、口座に残った資産をどこへ引き揚げ、過去の損益をどう申告するかに移りました。
目次
Bybitは日本人が使えるのか|2026年8月時点の可否
日本居住者と判定されたアカウントでは、新規の取引も入金もできません。残っているのはBTC・ETH・USDCへの暗号資産どうしの変換と、暗号資産および法定通貨の出金だけです。

2026年8月時点で日本居住者のBybit口座に残っている操作と利用できない機能を左右に並べた比較図
居住者かどうかの判定に使われるのは日本発行の本人確認書類、日本の住所証明書、日本のIPアドレスのいずれかです。既存口座の扱いは、国籍ではなくこの3つのいずれかに該当するかで決まります。
Bybitはどこの国の取引所なのか
運営会社はBybit Fintech Limited(日本語では「バイビット」とも表記されます)、代表者はBen Zhou氏です。
金融庁が2024年11月に公表した警告資料では所在地が「ドバイ(2023年より)」と記載されており、2023年3月の公表時点ではシンガポールと記載されていました。日本の資金決済法にもとづく暗号資産交換業の登録は、どの時点でも受けていません。
サービス終了までに何が起きたのか
日本居住者向けの縮小は、およそ1年9か月かけて段階的に進みました。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2025年10月31日 | 日本居住者・日本国籍者からの新規アカウント登録の受付を停止(報道ベース。Bybit公式は「2025年10月以降」の是正プロセスと記載) |
| 2025年12月22日 | 日本居住者向けサービスの提供終了と段階的な口座制限を公式発表 |
| 2026年1月22日 | 本人確認レベル2(住所証明)の期限。未完了は日本居住者とみなす |
| 2026年3月23日 | 口座がクローズオンリーへ移行。新規のポジション構築・追加が不可に |
| 2026年7月22日 | 未決済ポジションを強制決済、カードサービスを停止 |
| 2026年7月24日 | 「日本における是正措置の完了」を公表 |
「いつまで使えるのか」という問いはすでに答えが出ています。取引の窓は2026年3月23日に閉じ、7月22日にポジションの清算まで終わりました。
金融庁がBybitに出した3度の警告と根拠条文
金融庁はこの運営会社に対し、2021年5月28日・2023年3月31日・2024年11月28日の3度にわたって警告書を発出し、社名を公表してきました。
根拠は資金決済に関する法律の第63条の2で「暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない」と定めた条文です。
| 発出日 | 発出機関 | 根拠法 | 指摘された行為 |
|---|---|---|---|
| 2021年5月28日 | 金融庁 | 資金決済法 | インターネットを通じ、日本居住者を相手方として暗号資産交換業を行っていたもの |
| 2021年6月25日 | 関東財務局 | 金融商品取引法 | インターネットを通じて店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの |
| 2023年3月31日 | 金融庁 | 資金決済法 | 同上(暗号資産交換業) |
| 2024年11月28日 | 金融庁 | 資金決済法 | 同上(暗号資産交換業) |
2024年11月28日の警告は、KuCoin、bitcastle LLC、MEXC Global、Bitget Limitedにも同じ日に発出されています。海外の大手取引所がまとめて対象になった日でした。
関東財務局が扱ったのは、暗号資産の証拠金取引をデリバティブ取引として見る側面です。同局は外国為替証拠金取引(FX取引)と暗号資産を用いた証拠金取引がいずれも金融商品取引法に規定されるデリバティブ取引にあたると明示しています。
金融庁の一覧には注記があり、掲載されているのは警告書を発出した時点で違反が確認できた者であって、必ずしも現在の無登録営業の状況を示すものではない、と書かれています。Bybitについては同社が日本向け提供の終了を公表済みで、掲載はその時点の記録として読むのが正確です。
同じ一覧には、名前を知られた海外取引所がいくつも並んでいます。
| 掲載されている主な海外取引所 | 運営元の表記 |
|---|---|
| KuCoin | KuCoin(代表者Johnny Lyu氏) |
| MEXC Global | MEXC Global |
| Bitget | Bitget Limited |
| LBank | LBank Exchange |
| Binance | Binance Holdings Limited |
| bitcastle | bitcastle LLC |
日本人がBybitを使うこと自体は違法なのか
規制がかかるのは業者の側です。無登録での営業と勧誘が禁じられている一方、利用者個人が海外の取引所を使うこと自体を処罰する規定は、資金決済法にも金融商品取引法にもありません。

日本の規制が業者側にかかり利用者側には処罰規定も日本法上の保護も存在しないことを左右に整理した概念図
金融審議会のワーキング・グループ報告(2025年12月10日)は、金商法上、外国証券業者が勧誘することなく本邦居住者からの注文を受けることは認められている、と整理しています。
そのうえで、暗号資産取引についても同様のルールを整備し、規制の適用関係を明確化することが適当だとしています。
ただし同じ報告は脚注で、外国の交換業者がどのような規制に服しているかは定かではないと断っています。日本法の下で与えられている利用者保護が及ばず、トラブルが生じた際の対応も困難になりうる、という指摘です。
違法ではないことと、守られることは、まったく別の話です。 日本語のサイトや日本語の告知が動いていることも登録の有無とは関係がありません。
同報告は外国の無登録業者が日本語のウェブサイト等により本邦居住者向けに勧誘している状況そのものを、課題として挙げています。
Bybitの出金|口座に資産が残っている人の実務
できるのはBTC・ETH・USDCへの変換と、暗号資産・法定通貨の出金です。ワンクリック購入、Bybitカード、P2P取引、現物、デリバティブ、資産運用、仕組商品は2026年3月23日にまとめて使えなくなり、コピートレードと取引ボットも同日に停止しました。
引き揚げ先は自分で鍵を管理するウォレットか国内の登録業者の口座になります。国内で暗号資産交換業の登録を受けているのは、2026年6月30日時点で26業者(関東財務局24・近畿財務局2)です。
金融庁は無登録業者との取引について、出金を拒まれたり法外な出金手数料を請求されたりする、それまで連絡が取れていたのに急に取れなくなる、といった事例を挙げて注意を促しています。
国内の登録業者と無登録の海外業者の利用者保護の差
手数料や取扱銘柄の数より大きく効いてくるのは資産が返ってこなくなったときに何が働くかです。日本の登録業者には分別管理・履行保証暗号資産・紛争解決機関との契約が法律で義務づけられており、無登録の海外業者にはそのいずれも適用されません。

国内の登録業者に義務づけられた分別管理・履行保証暗号資産・紛争解決機関・責任準備金の4層と、無登録の海外業者に残る事業者の裁量を対比した図
| 項目 | 国内の登録業者 | 無登録の海外業者 |
|---|---|---|
| 登録 | 資金決済法第63条の2により内閣総理大臣の登録が必須 | 登録なし。金融庁が無登録業者として公表・警告 |
| 利用者財産の分別管理 | 第63条の11。金銭は信託会社等へ信託し、暗号資産は原則コールドウォレット等で分別管理して公認会計士または監査法人の定期監査を受ける | 日本法上の分別管理義務も監査義務もなし |
| 履行保証暗号資産 | 第63条の11の2。ホットウォレット等で預かる利用者資産と同じ種類・数量を自己の暗号資産として保有 | 同種の補填原資を持つ義務なし |
| 紛争解決 | 第63条の12。指定暗号資産交換業務紛争解決機関との契約義務 | 日本の金融ADRの枠外 |
| レバレッジ | 暗号資産の証拠金取引は2倍まで | Bybitの無期限契約(perp)は銘柄ごとの設定で、BTCUSDTは最大100倍、上場銘柄の多くは20〜25倍(2026年8月時点・日本居住者は利用不可) |
個人向けレバレッジの2倍上限は2020年施行の規制で定着した水準です。海外業者が銘柄ごとに設定する高い倍率は魅力にも見えますが、その差は同時に証拠金が飛んだときに誰が責任を負うかという制度の差でもあります。
2025年2月の流出事件が示した補填の担保のなさ
2025年2月21日、Bybitから約15億ドル相当の暗号資産が流出しました。FBIは2025年2月26日の公表でこれを北朝鮮による窃取と特定し、その活動を「TraderTraitor」と呼んでいます。
Bybitは当時、顧客資産は1対1で裏付けられており損失を補填できると表明し、実際に出金は続きました。
補填されたという結果と補填を担保する制度があることは同じではありません。 国内の登録業者であれば分別管理と履行保証暗号資産が、改正後は責任準備金が制度として働きますが、無登録の海外業者では事業者の裁量と体力に委ねられます。
2026年の法改正で無登録業者の扱いはどう変わるのか
暗号資産を扱う法律の土台は資金決済法の枠から金融商品取引法の枠へ移されます。先に動くのは罰則です。
金融商品取引法上の無登録業に対する罰則は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金から10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金へ引き上げられます(併科あり)。この部分の施行日が2026年8月12日です。

2026年改正法の成立・公布・罰則引上げ施行・金商法への移管本体という4段階の日程を並べた年表
改正法が成立したのは2026年7月15日、公布は7月23日です(令和8年法律第64号)。同じ8月12日から、無登録業は証券取引等監視委員会の犯則調査の対象にも加わります。
暗号資産を用いた証拠金取引は金融商品取引法のデリバティブ取引にあたるため、その無登録の勧誘はこの引き上げの射程に入ります。
一方、無登録で暗号資産交換業を行った場合の罰則は資金決済法第107条が定める3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金のままです。この行為が10年・1,000万円の水準に移るのは、暗号資産の規制が金融商品取引法へ移管された後になります。
暗号資産交換業者という呼び名は「暗号資産取引業者」へ変わり、第一種金融商品取引業に相当する規制がかかります。情報公表規制の整備、インサイダー取引規制の創設、不正流出時の補償原資となる責任準備金の積立ても同じ法律に入りました。
移管の本体がいつ動き出すかは、公布から1年以内で政令が定める日とされ、2026年8月時点では決まっていません。
海外取引所で得た利益の税金|雑所得・総合課税・調書の扱い
日本の居住者であれば、取引した場所が海外の取引所でも課税されます。国税庁のFAQ(2025年12月改訂)は、暗号資産取引で生じた利益を原則として雑所得(その他雑所得)に区分するとしています。
| 項目 | 現行の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 所得区分 | 原則として雑所得(その他雑所得)。その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円超で、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得 | 国税庁FAQ 2-2(2025年12月更新) |
| 証拠金取引 | 申告分離課税の適用がなく、総合課税で申告 | 同FAQ 2-12 |
| 海外取引所での保有 | 国外財産調書ではなく財産債務調書の記載対象 | 同FAQ 7-3 |
外国為替証拠金取引(FX取引)が申告分離課税なのに対し、暗号資産の証拠金取引には適用がありません。Bybitで無期限契約を建てていた人ほど、この違いが税額に効いてきます。
2026年1月1日には、非居住者の暗号資産取引情報を各国・地域の税務当局が相互に提供する枠組み(日本版CARF)の報告制度が施行されました。枠組みが相互的である以上、日本居住者の海外取引所での取引情報が相手国から日本へ渡る経路もできます。
金融庁の令和8年度税制改正大綱(2025年12月)は暗号資産の譲渡所得を申告分離課税とし、税率20%、損失の繰越控除を3年間認める方向を示しました。
| 論点 | 2026年8月時点の状況 |
|---|---|
| 利益の所得区分 | 雑所得・総合課税で確定 |
| 証拠金取引の申告分離課税 | 適用なしで確定 |
| 日本版CARFの報告制度 | 施行済み。実際の情報交換は当局間の合意にもとづくため時期は未公表 |
| 申告分離課税への移行 | 大綱に方向が示された段階。施行日は改正金商法に連動し未確定 |
| 無登録の海外取引所での取引が分離課税に入るか | 大綱の記述からは読み取れない |
まとめ
Bybitの日本居住者向けサービスは2026年7月22日に終わり、口座に残るのは資産の変換と出金だけになりました。
判断が分かれるのは引き揚げ先で国内の登録業者に移すのか、自分で鍵を管理するウォレットに移すのかという選択が残ります。過去の損益は海外の取引所で得たものであっても雑所得として総合課税で申告する対象です。
2026年8月12日から罰則が上がるのは金商法上の無登録業者であって利用者ではありませんが、日本法の保護が及ばない場所に資産を置くことの意味はこの改正でむしろ重くなりました。
出典
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について(海外)」(2026年)
- 金融庁「無登録業者への警告書(Bybit Fintech Limited)」(2024年)
- 金融庁「暗号資産・電子決済手段関係(警告書発出一覧)」(2026年)
- 関東財務局「無登録で金融商品取引業等を行う者の名称等について」(2021年)
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」(2026年)
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(2026年)
- 金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」(2026年)
- 金融庁 金融審議会ワーキング・グループ報告(2025年)
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年)
- 金融庁「令和8年金商法等改正に係る政令の公布について」(2026年)
- 衆議院「議案審議経過情報 第221回国会 閣法第57号」(2026年)
- 金融庁「令和8年度税制改正大綱(金融庁関係主要項目)」(2025年)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(2025年)
- 国税庁「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度」(2026年)
- Bybit「日本居住のお客様向けサービス変更のお知らせ」(2026年)
- Bybit「日本における是正措置の完了について」(2026年)
- Bybit「Important Notice for Japanese Residents」(2025年)
- FBI IC3「North Korea Responsible for Bybit Hack」(2025年)
- Investing.com「Bybit、日本居住者の新規登録受付を停止」(2025年)


























































