次のブームとなるか | NFTFi系プロジェクト「Pine Protocol 」を解説
ユッシ
5月にトークンのローンチや、NFTのエアドロップが予定されているNFT担保型ローンプロジェクトの「Pine Protocol」。
Pine Protocolは、公式Discordメンバーが数百人程度のマイナーなプロジェクトですが、今後重要キーワードになりうる「NFTFi」の分野を手がけています。
本記事では、そんな注目のPine Protocolについて解説していきます。
目次
なぜ今「Pine Protocol」なのか?
2021年後半から2022年現在にかけて、NFTは暗号資産・ブロックチェーン業界の1つの主要な分野として確立されました。
上記は直近のOpenSeaの取引ボリュームを月毎に表しているデータで、NFTの取引ボリュームが急激に増加しているのが分かります。
さらに、取引ボリュームだけでなく、単体のNFTが数億円以上の高額で取引される事例も増えています。
上記は2022年4月の高額NFT取引のデータで、1位の「CryptoPunks 7756」は、約4億円(取引時)にあたる1050ETHで販売されました。
関連:CT Analysis NFT『2022年4月度版 NFT市場レポート』
浮かび上がったNFTの課題
順調に成長を続けるNFT市場ですが、新たな課題が浮上してきました。
それは「NFTは運用が難しい」という問題。
基本的にNFTは「半分だけ運用して、もう半分は長期保有しておこう」といった、自由度の高い運用は行えません。
単体で数百万 ~ 数億円するNFTを保有しているユーザーが増加し「NFTを資産として運用したい」というニーズも高まってきている中で、NFTの運用が出来ない問題は次なる解決すべき点と言えます。
さらに、BAYCシリーズのNFT保有者に対して行われた※1$APEの高額エアドロップの事例などをきっかけに「いつ、どのウォレットにNFTがあるか」がこれまで以上に重要視されるようになりました。
関連:BAYC関連トークン「$APE」ローンチ。BinanceやCoinbaseなどの取引所への上場も決定
こんな中、昨今注目され始めているのがNFTとDeFiを組み合わせた造語の「NFTFi」です。
NFTFiは、これまでに説明してきた、
- NFT市場の拡大
- 高額NFT保有者の増加
- NFT保有者に対する高額エアドロップ
などを理由として、次なる重要キーワードとなることが予想されます。
そんなNFTFi分野を知るきっかけとして、同分野の注目プロジェクト「Pine Protocol」について紹介します。
※1 = NFTコレクション「BAYC」のNFTホルダーに対して、$APEトークンが配布された事例。1回のエアドロップで数千万円規模のトークンを獲得したユーザーが多く見られた
Pine Protocolに投資しているVC
Pine Protocolはシード、プライベートラウンドを合わせて下記企業から資金調達を行っています。
その中には、FTXの親会社のAlameda Reserch等の著名VCも入っています。
- シードラウンド
Sino Global、Amber Group、Spartan Capital、Gate Ventures、Alameda Research、Impossible Finance、Shima Capital - プライベートラウンド
Amber Group、Republic Capital
出資を受けたプロジェクトは、そのVCが持っているコネクションを利用できるケースが多いです。
そのため、業界で著名なVCが出資しているか否かは、プロジェクトの将来の成否を考える1つの材料として機能する可能性が高いと言えるでしょう。
Pine Protocol = NFT担保型ローンプラットフォーム
Pine Protocol は、NFTを担保として暗号資産を借りることができるNFT担保型ローンプラットフォームです。
現在Pineでは、
- Azuki
- Bored Ape Yacht Club (BAYC)
- Mutant Ape Yacht Club (MAYC)
- Cool Cats NFT
- Doodles
- Moonbirds
- Otherdeed for Otherside
など合計29のシリーズのNFTが担保として利用可能です。
借り手側のユーザーは、対応しているNFTを担保として預け、ETHやステーブルコインを借りて資産運用が行えます。
後述のPineレンディングプールの作成時には、作成者の好きなNFTシリーズを設定できるため、今後は誰でも自分が持っているNFTを用いてローンが借りられるようになるでしょう。
Pineでは借りた金額に対して利子が付いていき、有効期限までにローンが全額返済できなかった場合、担保にしたNFTは貸付プール所有者 (Pine Protocol側)に差押えられてしまいます。一般的なローンと同じですね。
2021年の12月にベータ版のメインネットがローンチされたPineは現在、
- NFT担保のパーミッションレスな借入
- Pine Now Pay Later (PNPL)
の2つの機能が利用可能。
Pine Now Pay Later (PNPL) とは、ウォレット内の資金とローンを合わせてNFTを購入できる機能で「住宅ローンを組んで家を購入するイメージ」と言うと分かりやすいでしょう。
貸付機能も実装予定
Pineでは今後、パーミッションレスな貸付機能、つまり誰でも暗号資産を貸し出せる機能が実装予定です。
貸付側は、
- 担保として受け入れるNFTコレクション
- ローンできる通貨の種類
- 最大担保係数
- 清算ローン to バリュー(LTV)
- 1ローンあたりの最大金額
等を設定し、Pineレンディングプールの作成を行えます。
PineでNFTを担保に入れる場合、通常10秒未満でNFTの価格が評価されます。
同シリーズでも個体によって価格にバラつきがあるケースが常のNFTでは、評価額の決定は借入側にも貸付側にも重要なポイント。
Pineでは、PineDAOによって管理されている”Pine Pricer”と呼ばれるオラクルで担保にするNFTの評価額が決定されます。
Pine Pricerについて公式ページでは、
- 「PineDAOが管理するPine Pricerは、すべてのローン債務に対するNFT(担保)の価値について、公正かつ透明な価格フィードを提供するNFT価格オラクルである。」
と記載されており、本格的にPineを利用予定の方は注意深くリサーチする必要があるポイントとなります。
ここまでのまとめ
• Pine = NFTを担保に暗号資産が借りられるNFT担保型ローンプラットフォーム
• 借入側 = NFTを担保にして、ETHやステーブルコインを借りられる
• 貸出側 = 通貨やNFTコレクションの種類などを設定しプールを作成して暗号資産を貸せる
• NFTの評価 = “Pine Pricer”と呼ばれるオラクルが利用
$PINEトークン
$PINEの概要
ティッカー | $PINE |
---|---|
ネットワーク | Ethereum |
トークン供給 | $200M |
初期トークン流通量 | 2.55% |
初期時価総額 | $1.275M |
上場プラットフォーム | Bybit、Solanium、Gate.io |
リスティング価格 | 1 PINE = $0.25 |
TGEマーケットキャップ | $1.275M |
$PINEトークンには下記ユースケースがあります。
- ネイティブガバナンストークン
- 経済的インセンティブ
- アクセストークン
$PINEの保有者は、オンチェーンでの提案や投票を行うことで、Pine Protocolやそのプラットフォームを管理するPineDAOのメンバーとなれます。
また、$PINEはPine Protocolを利用するインセンティブとして機能し、取引頻度や取引量に比例して追加で付与される仕組みが採用されています。
さらに、$PINEの注目すべきポイントがアクセス権としての機能も備えている点です。
$PINEの保有量や取引量等に基づいて、ユーザーはいくつかのレベルに分類されます。高いランクのユーザーは、
- 清算された特定のNFTを購入する独占的な優先権
- 借入の金利やサービス料の割引
- 貸し手への有利な金利の請求
等の権利を得られます。
時計のNFTシリーズがエアドロップされる?
Pine Protocolは「Pine Pieces」と呼ばれるNFTシリーズを手がけており、先日その第1弾のエアドロップが初期ユーザーを対象に行われました。
Pine PiecesのNFTは、Pineのプラットフォームの機能をサポート、拡張するために特別に設計されたユーティリティを備えています。
現在、Pine Piecesの具体的なNFTデザインは明かされていませんが、
- Pine Piecesのリリースに向けてNFTコレクション「Tempus by UTS」を買収したとPine側が発表
- Pine PiecesのOpenSea公式ページでは「Tempus by UTS」と同じデザインが表示
以上の2点から、Pine PiecesはTempus by UTSと同デザインの時計のNFTシリーズである可能性が高いと言えます。
Pineのプラットフォームで現在取り扱われている最も安いNFTシリーズはフロア価格で0.13ETH程なので、資金に余裕がある方はNFTを用意してPineを使ってみるのも良いかもしれません。
まとめ
次の重要キーワードになりうるNFTFi。
今後はPine Protocolだけでなく、さまざまなNFTFiプロジェクトがさらに登場してくるでしょう。
文章を読んだだけの人と、実際にプロダクトを触っている人とではプロジェクトに対する理解度は大きく異なります。
資金面でのリスク管理をしっかりとした上で、興味を持った方はPine Protocolを使ってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
– Pine Protocol公式リンク –
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記事ソース:Medium、Pine Paper、CryptoKudasaiJP
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