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2023/02/23Coinbase、Ethereumのレイヤー2「Base」を発表
Coinbase、Ethereumのレイヤー2「Base」を発表 Coinbaseが、Ethereumのレイヤー2ネットワーク「Base」のテストネットを行う発表しました。 公式発表によると、この度発表された「Base」について、「Ethereum Layer 2(L2)ネットワークで、誰でも、どこでも、分散型アプリケーションまたはdappsをオンチェーンで構築するための安全で低コストで開発者に優しい方法を提供するものです」と述べています。 1/ 🔵 We’re excited to announce @BuildOnBase. Base is an Ethereum L2 that offers a secure, low-cost, developer-friendly way for anyone, anywhere, to build decentralized apps. Our goal with Base is to make onchain the next online and onboard 1B+ users into the cryptoeconomy. pic.twitter.com/RmwZFJzGGs — Coinbase (@coinbase) February 23, 2023 また、発表されたBaseのツイッターアカウントも開設され、Baseの概要を説明するスレッドが投稿されました。 0/ 🔵 Hello world. Meet Base, an Ethereum L2 that offers a secure, low-cost, developer-friendly way for anyone, anywhere, to build decentralized apps. Our goal with Base is to make onchain the next online and onboard 1B+ users into the cryptoeconomy.https://t.co/Znuu3o3pJw — Base (@BuildOnBase) February 23, 2023 投稿されたスレッドによると、Zoraで日曜深夜0時(米国東部時間)まで記念NFTが1アドレスにつき1つまで自由にミント可能となっているとのことです。 事前のツイート 今回のBaseの発表に際して、事前に新規の発表を匂わせるツイートがCoinbase公式Twitterアカウントからされていました。 🔵 2.23.23 pic.twitter.com/DRvvBS5y9v — Coinbase (@coinbase) February 22, 2023 このツイートに対して、海外や日本の仮想通貨事業者からはツイートに反応するリプライが投稿され、一時お祭り騒ぎとなりました。今回は、その中からいくつかリプライを紹介します。 pic.twitter.com/1w62H5pniF — LooksRare (@LooksRare) February 22, 2023 WAO — Solana (@solana) February 22, 2023 🔵 — frankdegods.eth (@frankdegods) February 22, 2023 昨今、Ethereumのレイヤー2のシェア争いは激戦を極めていますが、このCoinbaseのL2参入は、この激戦にどのような結果をもたらすのか注目です。
リサーチ
2023/02/22Web3データ分析を極める – 第1部「チェーン/プロトコル編」【ツール14選】
時の流れが目まぐるしい暗号資産/Web3市場では効率的な情報収集が重要になってきます。 今回は、チェーン/プロトコル分野で使われるデータツールをまとめました。 本トピックでは、下記の三部作を予定しています。 1、チェーン/プロトコル分析 2、トランザクション分析 3、NFTの分析/その他 おすすめツールを全部で14個紹介していくので、気に入ったプロジェクトは是非利用してみてください。 プロトコル/チェーン分析 データツールのジャンルの分け方はさまざまありますが、今回は、それぞれ扱っている機能に分けて紹介していきます(全てのツールにおいて、英語が標準ですが、DeepL翻訳を活用することで英語が苦手な方でも使うことができます)。 また、今回の記事では、それぞれの簡単な特徴を解説していきます。 CryptoFees 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 特徴 一覧でチェーンやプロトコルがどのくらいの収益を上げているかをすぐに確認できます。 ページ上部から、別観点でのデータが見れるため、簡単に情報を確認したい場合におすすめです。 Telegram/サービスサイト Dapp Radar 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 特徴 チェーンごとにプロトコル/マーケットプレイスなどを横断的に分析表示してくれます。 Unique Active Wallet(UAW)と呼ばれる、アクティブなウォレットの数を表示してくれる指標もあるため、活発化しているDappをいち早く発見することができます。 Twitter/Discord/Telegram/サービスサイト Token Terminal 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 特徴 メインページ下部で、わかりやすい一覧での分析結果が表示されます。 詳しく見たい場合はページ左部で、様々な観点での分析結果を見ることができます。 Twitter/Discord/サービスサイト Artemis 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 リサーチレポート 特徴 トップページにて、重要指標がカラフルなグラフで見ることができます。 各チェーンやプロトコルごとにカラフルで見やすいグラフを利用できます。また、細かなカスタマイズも可能です。 Twitter/Discord/Telegram/サービスサイト Chain Broker 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 特徴 今最も取引されているトークンや、利益率の良いトークン、新しく追加されたトークンなどを一括で確認できます。 また、ICOのプラットフォームごとに利益率も確認できたり、独自の指標も揃っています。 Twitter/Telegram/サービスサイト DefiLlama 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 リサーチレポート 資金調達分析 ハッキング関連分析 ニュース/まとめ配信 アグリゲーター 特徴 DeFiで迷ったらとりあえずこれを使っておけばいいと筆者は思っています。 新参者からベテランまで、幅広いニーズに対応するDeFiの総合プラットフォームです。 Twitter/Discord/サービスサイト Token Unlock 機能 トークンアンロック分析 リサーチレポート 特徴 トークンのアンロック状況が一覧でわかりやすく閲覧できるサイト。 UIも直感的でわかりやすく、MT.GOXなどの事件などにフォーカスしたトラッキングも提供しています。 Twitter/Telegram/サービスサイト BlockPour 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 レイヤー2分析 特徴 ほぼタイムラグがない形で現在行われているスワップを表示する機能がダッシュボードに備えられており、金額帯でのソートも可能です。 Rug Pullsというタブでは、ラグプルしたプロジェクトが一覧で閲覧可能となっており、独自の機能となっています。 その他、通常のデータ分析プラットフォームに備えられている分析機能もあります。 Twitter/サービスサイト L2BEAT 機能 ブリッジ レイヤー2分析 リスク分析 市場分析 特徴 レイヤー2にフォーカスを絞った分析が閲覧できます。 また、各プロトコルをクリックすると、詳細な情報を閲覧することができ、プロダクトのマイルストーンや、リスクとなる要素のまとめ、技術的な特徴のまとめ、スマートコントラクトを図式化したものなどを閲覧することができます。 Twitter/Discord/Medium/サービスサイト Orbiter 機能 ブリッジ レイヤー2分析 プロトコル分析 特徴 ユーザー数、アクティブユーザー数、インタラクション(ユーザーとアプリ/コントラクトのやりとり)数、トランザクションなど、包括的なデータが閲覧できます。 arbitrum, optimisim, zksyncのDappデータのみをサポート Twitter/Discord/サービスサイト 【トークン発行予定】分散型クロスロールアップブリッジ「Orbiter Finance」を解説 Sentiment 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 特徴 さまざまな観点で構築されたデータを閲覧することができます。 「アカデミー」という機能も備えており、実際にトレードをする際に、これらのデータを活かしたらいいのかが丁寧に書かれています。 Twitter/Discord/Telegram/サービスサイト intothblock 機能 価格予想 市場分析 特徴 各重要指標とクリプトの価格を一覧で閲覧できます。 価格予想機能もあり、よりトレーダー向きのツールになっています。 Twitter/サービスサイト Exponential(Beta) 機能 プロコトル分析 市場分析 リスク分析 特徴 ダッシュボード(ワンクリックでの投資が可能)は現在Beta提供ですが、各プロトコルを独自の観点で分析して、サマリーを出してくれています。 Riskの評価なども行なっており、知らないプロトコルを簡単に理解するには適しています。 Twitter/Discord/サービスサイト CryptoRank 機能 プロトコル分析 チェーン分析 市場分析 新規上場関連 特徴 ランキング形式でさまざまなデータを閲覧できます。 ICO/IDOを控える銘柄をいち早くチェックできるのも特徴です。 Twitter/Telegram/サービスサイト まとめ チェーン/プロトコルの分析ツールを14個紹介してきました。 これらのツールを使いこなすことで、インフルエンサーやメディアが発信する情報を元に想像していた市場の姿をより鮮明に捉えられるようになるかと思います。 次回の第2部では「トランザクションの分析」に特化したツールを紹介予定です。今後のCrypto Timesからの発信を是非チェックしておいてください。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
リサーチ
2023/02/20イーサリアムステーキングサービスの種類と最新動向 | 業界のトレンドを知る
本記事は、昨年PoSに移行したイーサリアムについて解説するコラムシリーズの第3部です。 ・第1部:「イーサリアムのPoS移行:マージの概要とその理由を理解する」 ・第2部:「イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは」 シリーズ最後となる本記事では、イーサリアムのステーキングサービスについて解説していきます。 ステーキングサービスプロバイダー(Staking-as-a-Service Providers) ステーキングサービスの誕生は、ETHホルダーのステーキング能力と意欲を妨げている下記の問題を解決するためのものです。 高い必要資金(32ETH) バリデーターノードの設定に関する技術的な複雑さ ステーキングロックアップ期間の延長(マージ後、6カ月から1年) ステーキングサービスプロバイダーは、バリデーターのハードウェアと日々のオペレーションを設定し、維持、運営します。 ブロックチェーンの維持と安全性確保において重要な役割を担っているバリデーターは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)型ブロックチェーンのマイナーと同様、トランザクションの処理、確認、新しいブロックへの書き込みを担当します。 プルーフ・オブ・ステークに基づくすべてのブロックチェーンには、取引手数料やプロトコルのセキュリティ予算から得られるプロトコルの収益の一部を得るために、これらのタスクを競って実行するバリデーターがいます。 ステーキング報酬は以下2種類に分類されます。 トランザクション手数料:トランザクションに含まれる標準的な手数料であり、ブロックチェーン上でトランザクションを処理するために発生 プロトコルベースの報酬:グローバルなプロトコルで定義された、インフレ率から発行 イーサリアム(Ethereum)、ソラナ(Solana)、アバランチ(Avalanche)、ポルカドット(Polkadot)は プルーフ・オブ・ステークコンセンサスメカニズムを使用しており、ネットワーク上のバリデーターは、ブロックチェーンに追加すべきと考えるブロックに投票することでコンセンサスに参加する機会があり、それによってその特定ブロックに含まれる有効取引を確認することができます。 ただし、すべてのバリデーターの投票が均等に扱われるわけではありません。とあるバリデーターがより多くのステークをしていればいるほど、そのバリデーターはコンセンサス投票の結果を決定する上でより大きな影響力を持つことになります。同様に、ステークの少ないバリデーターは、投票結果を決定する上でより小さな影響力しか持っていません。 コンセンサスメカニズム 投票によるコンセンサスメカニズムは、生来、民主的であり、ネットワーク上のノードによる投票数をカウントすることで、トランザクションや重要なネットワークの決定に関するコンセンサスを達成します。 ステーキングサービスプロバイダー比較 ステーキングサービスプロバイダーは、リキッドステーキングプラットフォーム、中央集権型取引所ステーキングプロバイダー、ステーキングプールの3種類に分類されます。以下の表は、主要なイーサリアムステーキングサービスプロバイダーの概要で、ステーキングされたETHに対する現在のAPY、手数料、相対的な市場シェアなどを示しています。 [caption id="attachment_87497" align="aligncenter" width="936"] 図7:2022年12月2日時点のイーサリアムの主要ステーキングサービスプロバイダーの概要[/caption] ここからは、それぞれのタイプの利点、トレードオフ、メカニズムについてさらに説明していきます。 リキッドステーキングプロバイダー 中央集権型取引所のステーキングサービス ステーキングプール Dune Analyticsによると、リキッドステーキングはすべてのカテゴリーの中で最も高いマーケットシェア、33.5%(下の図8を参照)を占めています。また、ステーキングサービスプロバイダーは、イーサリアムのステークされた総額の50%以上を占めています。 [caption id="attachment_87499" align="aligncenter" width="502"] 図8:ビーコンチェーンステーキングDepositors。※出典:Dune Analytics[/caption] [caption id="attachment_87501" align="aligncenter" width="1016"] 図9:ETH2リキッドステーキング残高(時系列)。 ※出典:Dune Analytics[/caption] リキッドステーキングプロバイダー リキッドステーキングとは? リキッドステーキングにより、人々はステーキング報酬を得るためにステークすると同時に、自分のトークンのリキッドにアクセスすることができます。リキッドステーキングプロトコルは、基礎となるステーキングポジションに対する請求権であるデリバティブステーキングトークンと呼ばれるステーキング資産のオンチェーン表象をトークン化し、発行します。 例えば、LidoでETH(自分のトークン)をステークすると、見返りとしてstETH(デリバティブステーキングトークン)を受け取ります。stETHはあなたの元のポジションを表しています(下、図11参照)。 [caption id="attachment_87503" align="aligncenter" width="936"] 図11:リキッドステーキングの仕組み[/caption] CT Analysis 『Ethereum リキッドステーキング 全体像と周辺動向調査』レポートを無料公開 なぜ、リキッドステーキングは重要なのか? リキッドステーキングプロトコルは、プルーフ・オブ・ステークネットワークに共通する以下の問題を解決しようとするものです。 機会費用:ステーキングされた派生トークンにより、ユーザーはDeFiに参加し、ステーキングの利回りに加えてより一層、報酬を得ることができます。 アンボンディング期間(unbonding period):ステークされたデリバティブトークンは、その原資産とすぐに交換できるため、ユーザーは通常のアンロック準備期間を待たずにトークンをアンステーク(unstake)できます。 単一のバリデーターへの依存:リキッドステーキングプロトコルは、通常、ステークされたトークンをさまざまなバリデーターに委ねることで、エクスポージャーを分散し、一人のバリデーターが悪質な行為を行い、スラッシングペナルティを引き起こした場合のリスクを最小にします。 スラッシング(slashing)とは? スラッシングは、参加者に良い行いを強制するために導入されたメカニズムです。これは不可逆的な罰であり、違反したバリデーターの現在のステークを一定割合で切り捨てることになります。その結果、ネットワークがそのバリデーターを強制的に退去させ、「スラッシングされた」というラベルを貼るまで、時間とともにETHが失われていきます。スラッシングは、過去のチェックポイントを証明するバリデーターのフォークに矛盾を生じさせるといった、労力の少ない攻撃を防ぐことができます。 Dune Analyticsによると、リキッドステーキングプロトコルでステーキングされたETHは全体の33%で、83億ドルの価値があります。その中でもLidoとRocket Poolは最大のプレーヤーで、それぞれ58億ドルと2億7300万ドルの資産がロックされています。他の著名なプレーヤーは、Stakewise、Ankr、StakeHound、Cream、StaFiなどを含みます。Lidoがこの空間を支配しているため、このプロトコルでステークされたETHの集中は、Lidoがイーサリアムネットワークのセキュリティを妨害するのではないかという懸念を生みます。Dune Analyticsによると、ステークされた金額で見ると、LidoはステークされたETH全体の30%を占めています。バリデーター選択の仕組みから、LidoはRocket Pool Protocolよりもはるかに中央集権的であると批判されています。 ここからは、LidoとRocket Poolのバリデーター選択メカニズムについて精査してみます。LidoやRocket Poolのようなリキッドステーキングプロトコルは、連携するバリデーターの選定に慎重ですが、その仕組みは様々です。 Lido バリデーター選択メカニズム Lidoは業界をリードするステーキングプロバイダーのホワイトリストを持っており、プロトコルのステーキングパフォーマンスを追跡するためにコミュニティが所有するスコアカードを保持しています。Lidoはノードオペレーターの選定に関して、ブランド、信頼性、知名度、専門性を重視しているため、既存の強力なノードオペレーターと連携しがちであり、過度の集中化を招く可能性があります。しかし、Lidoはその懸念の解消に努め、より分散化へ向けたロードマップを立ち上げました。 Lidoは現在、ノンカストディアルでパーミッションレスなプロトコルであるため、分散化に向けた最大の課題は、そのノードオペレーターの選定と管理の仕組みにあります。 Lidoは、 ダウンタイムリスク 検閲への耐性 優れたバリデーターセットを評価するための期待される最大処理能力 以上の3つの重要なパラメータを特定しています。 また、堅牢で多様なバリデーターセットの詳細は、Lidoの良いバリデーターセットの定義に基づき、以下の特徴を有しています。 出資比率1%以上の事業者がいないこと。 イーサリアムのクライアントの多様性を向上させることに重点を置いていること。 法的にも物理的にも無関係であること。 運営者が独自のノードを運営していること(インフラの中において、ホワイトラベルや有料APIがないこと)。 運営が地理的、法管轄的に分散していること。 オンプレミスインフラと異なるクラウドプロバイダーの分散型バリエーションであること。 パフォーマンスが良いこと。 セキュリティと鍵管理において最良の業務をしていること。 オペレーターが、ステーキングで収益性の高い、信頼できるビジネスを構築するために十分な収入を得ていること。 イーサリアムと分散型経済の成功の長期的な整合性を有していること。 Lidoは、これらの特性の観点からパフォーマンスの検証に励み、その進捗を示す四半期報告書を発表しています。Lidoは現在、27のノードオペレーターを擁しています。それらのノードオペレーターは、世界中の様々なデータセンターで数千のバリデーターを運用しています。 分散化の弊害は、Lido DAOがノードオペレーターの選定をいまだコントロールしていることです。この懸念を軽減するために、Lidoはバリデーターの選択プロセスをよりパーミッションレスなものに調整してきました。 そのために、Lidoは2つの根本的な改善案を提案しました。分散型バリデーター技術の採用と、ノードオペレータースコアの作成です。 分散型バリデーター技術の採用 分散型バリデーター技術とは? これは、バリデーターを独立したコミッティーにグループ化し、ブロックの提案とアテストを一緒に行うものであり、個々のバリデーターの性能低下や誤動作のリスクを大幅に低減するものです。 メリットは? 分散型バリデーター技術により、Lidoは信頼できないノードオペレーターを信頼できる大多数のノードオペレーターと組ませることで、より分散化された多様なノードグループがネットワークを運用し、Lidoステーカーとイーサリアムの安全性を損なうことなく、信頼できないノードオペレーターを含むことを可能にします。 ノードオペレータースコアの作成 ノードオペレータースコアとは? よく設計された指標に基づいて、ノードオペレーターにスコアを割り当て、それに基づいてステークを割り当てます。現在、Lidoは異なるノードオペレーターに同じ影響力を配分しており、信頼できるノードオペレーターと信頼できないノードオペレーターのバイナリノードしか存在していません。 メリットは? ノードオペレーターのスコアはプロトコルのステーク配分に直接影響し、ノードオペレーターに強力なパフォーマンスと整合性を維持するインセンティブを与えます。\ [caption id="attachment_87504" align="aligncenter" width="468"] 図12:Lidoの第三四半期決算におけるイーサリアムノードとバリデーターの指標[/caption] Lidoのビジネスモデル Lidoの収益は、Lidoがプロトコル料として徴収するステーキング報酬のパーセンテージから得られます。手数料を徴収するために、プロトコルは新しいstETHトークンシェアを作り出し、手数料の受取人に割り当てます。 現在、Lidoプロトコルが徴収する手数料はステーキング報酬の10%で、その半分はノード運営者に、残りの半分はプロトコルのトレジャリーに入ります。例えば、10ETHをステークして、その見返りとして10stETHを得た場合、1年間で0.5stETHをステーキング報酬として受け取ることが出来ます。あなたは0.5 stETHの90%を、バリデーターは0.5 stETHの5%を、Lidoは0.5 stETHの残りの5%を報酬として得ることが出来ます。つまり、Lidoの収益はステーキングで発生するステーキング報酬の一部から来ています。 最大の市場シェアと、より分散化されたロードマップを持つLidoは、間違いなくステーキングエコノミーの最強プレイヤーの1つです。 しかし、独自の提案とトークノミクス(tokenomics)を持つ新興プレイヤー、Rocket Poolが存在します。 流動性ステーキング「Lido」とは?概要や特徴、使い方を徹底解説 Rocket Pool バリデータ選択メカニズム Rocket Poolは、より分散化されたステーキングソリューションの構築を目指しています。バリデーターとして運用するには、かなりの資本と労力が必要です(32ETHが預託された大規模なハードウェアが必要です)。それを可能にするために、Rocket Poolは、ノードオペレーターとRocket Poolのステーカーの両方からETHを集約するという、革新的なメカニズムを設計しました。 ノードオペレーターは、バリデーターごとに16ETHを預けるだけで済むようになりました。これを、ステーキングプールから、ステーカーがrETHと引き換えに預けた16ETHと結合し、新しいバリデーターを作成します。この新しいバリデーターをミニプールと呼びます。 Rocket Poolのユーザーグループ スマートノードオペレーター 16ETHを保有するだけで、スマートノードオペレーターとして運用することができます。あなたが16ETHを提供し、バリデーターのETHの10%以上をRPL(Rocket Poolのガバナンストークン)に出資すると、Rocket Poolはあなたがミニプールバリデーターになるためにユーザー預託ETHの16ETHを集計するようにします。 この独自の仕組みにより、ノードオペレーターは少ない資本でバリデーターになることができ、イーサリアムネットワークの分散化が促進されます。 スマートノードオペレーターは、以下の3種類の報酬を受け取ることができます。 RPL報酬:ノードオペレーターは、RPLの5%の排出率によって資金を供給されるRPL報酬を受けることができます。RPL報酬は、担保として計上された有効RPLの合計の割合によって重み付けされます。 手数料:ノードオペレーターは、ETHが彼らのミニプールに追加されたステーキングから15%の手数料を受け取ります。 ・ステーキング報酬:ノードオペレーターは、自身でステークしたETHに対して手数料のないステーキング報酬を受け取ることができます。 ステーカー:ステーカーは、Rocket Poolのリキッドステーキング派生トークンであるrETHと引き換えに、Rocket Poolの預託プールに0.01ETHから預託できます。rETHは、Rocket PoolプロトコルにおけるユーザーのETHのステーキングを表し、rETHホルダーは、Rocket Poolノードオペレーターの報酬の生成に応じてステーキング報酬を収集することが可能です。ステークホルダーがRocket Poolプロトコルに入金すると、入金プールに入金額が蓄積され、入金されたETHの16ETHは、ノードオペレーターがミニプールバリデーターになるためにノードオペレーターの16ETHとマッチングされます。 [caption id="attachment_87506" align="aligncenter" width="936"] 図13:Rocket Poolの仕組み[/caption] もし、トークノミクスについてより興味が湧いたのであれば、リキッドステーキング市場の3.2%のシェアを持ち、分散型リキッドステーキングプレイヤーの中で2番目に大きいRocket Poolは、その注目に値する価値があります。 Rocket PoolのガバナンストークンであるRPLは、バリデーターがミニプールのバリデーターになるために1.6ETH相当のRPLを購入する必要があるため、ミニプールの成長と結びついているのです。 Swell Network バリデーター選択メカニズム Swell Networkは、パーミッションレスでノンカストディアル、かつリキッドステーキングプロトコルです。Swellは、イーサリアム2.0プルーフ・オブ・ステークの検証に多くのユーザーが参加できるように、ノードオペレーターの前提資本とステーカーの技術/インフラ要件を引き下げることによって、より分散化されたイーサリアムのエコシステムに貢献することを目的としています。 イーサリアムネットワークをより分散化するために、Swellが考案したイノベーションは数多くあります。 アトミックデポジット:アトミックデポジットは、ユーザーが選択したノードオペレーターに直接ステークすることを可能にします。最小ステーク下限は1ETHです。ユーザーがSwellにETHをステークすると、swNFTとswETHが作られ、ステークした人に渡されます。swNFTはswETHとステーク、利回り、バリデーターの情報を格納できるコンテナであり、預けたETH(元本)と1:1でswETHが返却されるようになっています。 swETH:Swellのリキッドステーカーは、swETHと呼ばれる1:1のステークされたトークンを受け取ります。このトークンは、DeFiエコシステムで使用することができ、追加の利回りを得ることができます。 swNFT:リキッドステーカーはswNFTと呼ばれるNFTを受け取り、このNFTには引き出し時にステーキング報酬を計算するために必要なすべてのメタデータが含まれています。一部のリキッドステーキングプロトコルとは異なり、派生物のswETHは利子付きトークンではなく、イーサリアム2.0ステーキングコントラクトにステークされたあなたのETHに対するレシートに過ぎません。 Swell vaults:Swell vaultsに預けられたswETHは、デポジッターが追加の利回りを得ることができ、これはYearn vaultsの仕組みと非常によく似ています。 SSVネットワーク:Swellは新しいイーサリアムのステーキングアップデートであるShared Secret Validator (SSV) (これはDistributed Validator Technology (DVT) としても知られています)を統合しました。このアップグレードにより、ノードを運営するための金銭的負担がバリデーターあたりわずか1ETHとなり、標準的な最低枚数の32ETHやRocket Poolの必要担保の16ETHよりも大幅に低くなりました。 [caption id="attachment_87507" align="aligncenter" width="936"] 図14:Swellの仕組み[/caption] 中央集権型取引所のステーキングサービス Binance、Kraken、OKX、Coinbase、Huobiなどの中央集権的な取引所もステーキングサービスを提供しています。中央集権的な取引所のステーキングサービスの中には、より高いAPRを提供しているものもありますが、中央集権的なエンティティにステーキングすることにはデメリットがあります。 ユーザーが中央集権的なエンティティにステークする場合、対応するトークンを見返りとして受け取ることができず(リキッドステーキングデリバティブ)、したがって、DeFi内でその後の活動を行う機会を失うことになるのです。しかし、Binanceはこの欠点に取り組むためにbETHを立ち上げたと思われます。 中央集権的な取引所では通常、分散型リキッドステーキングと比較して、ステーカーのロックアップ期間が長くなっています。中央集権的な取引所でのステーキングで最も懸念される点は、資産のセキュリティとブロックチェーンネットワークの全体的な健全性です。 ユーザーが中央集権的な取引所でステーキングを行う場合、その資産は中央集権的な団体に保管され、最近のFTX危機がもたらした教訓のように、「あなたが鍵を持たない場合、あなたのコインではない」のです。 その上、ユーザーは自分の投票権(ステーク)をそれらの中央集権的なエンティティに委ねることになり、ブロックチェーンネットワークに関する重要な問題を統治する機会を失うことになるのです。 Binance(バイナンス)、国内取引所の完全買収で日本市場へ参入 ステーキングプール ステーキングプールは、ステーキングによって得られる報酬を増やすために、複数のプルーフ・オブ・ステークバリデーターを1つのプールに統合したものです。複数のユーザーが自分のトークンを1つのバリデーターノードにロックでき、そのノードのスマートコントラクトは、ステークされた資本の合計サイズにより、ステーキング報酬のより大きなシェアを獲得できるようになります。 このコンセプトは、プルーフ・オブ・ワーク型ブロックチェーンにおいてハッシュ(hash)パワーをプールするマイニングプールに似ています。ステーキングプールは、ブロック報酬をより高い確率で獲得するために、新しいブロックの検証と妥当性確認のプロセスでステーキングパワーを統合します。有名なステーキングプールには、Figment、Bitcoin Suisse、Staked.usがあります。 ステーキングプールにはパブリックとプライベートがあり、各プールには通常、ノードやバリデーターを稼働させるプール管理者がいます。プールでステークされ、多くの場合ロックアップ期間を伴います。 一部のプールでは、ユーザーが第三者にステークする必要がありますが、個人のウォレットに保有したまま、ユーザーがステーキングパワーで貢献できる代替案も数多く存在します。例えば、いわゆるコールドステーキングプールは、ユーザーがハードウェアウォレットに資金を保持したままステーキングプロセスに参加できるため、より安全なモデルを可能にします。 ステーキングプールの利点 柔軟性と低い参入障壁:莫大な資金がない場合、プールステーキングは、自分自身で調べ、収益性の高いプールに参加することを保証できる限り、受動的収入を得るための信頼できる代替手段です。 低メンテナンス:ユーザーは、バリデーターノードのセットアップと運営に関する技術的な実装やメンテナンスを気にする必要はありません。 トレードオフ 完全ではない透明性:ほとんどのステーキングプールは、ユーザーの資金を管理及び追跡するためのスマートコントラクトを使用せず、オフチェーンで管理されています。リキッドステーキングプロバイダーはスマートコントラクトで運営されており、資金はコントラクトに預けられ、コントラクトはユーザーのステークをトラストレスに管理及び追跡し、その価値を表すユーザートークンを発行することが可能です。これは、すべての活動がシステム管理者の下に集中するステーキングプールの場合とは異なります。 業界はパーミッションレスモデルに移行している ノードマネージメントサービスプロバイダーとステーキングサービスプロバイダーは、ユーザーがステーキングエコシステムに参加するための敷居を大幅に下げ、より分散化した将来を可能にするので、プルーフ・オブ・ステークエコノミーの重要な基盤となっています。この分野はかなり成熟していますが、Swell Networkのようにブロックチェーンネットワークの集中化の問題を緩和するために、よりパーミションレスな方法でサービスを提供することを目指す新しいプレーヤーがこの分野に参入しています。 より多くのユーザーとクリプトコミュニティが、ノードオペレーターが中央集権的なクラウドプロバイダに大きく依存する際に示される検閲のリスクと相容れない価値観に対して懸念を示す中で、プロトコルやそのコミュニティは、個人投資家やユーザーがステーキングエコシステムに参加するためのより分散されたパーミッションレスな方法を開発するために、絶え間ない議論と一貫した努力を行っていると見ています。 終わりに この記事は、Web3edgeのために@lingchenjaneliuが書き、0xPhillanが編集しました。そして翻訳はnoob botterが担当しました。翻訳の許可を頂けた@lingchenjaneliuおよび、0xPhillanにこの場を借りて感謝いたします。この記事に関するご意見、ご感想は、Twitterの@lingchenjaneliuまでお寄せください。 ・第1部:「イーサリアムのPoS移行:マージの概要とその理由を理解する」 ・第2部:「イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは」 CT Analysis 初心者向けにDeFiを完全解説したレポート『How to DeFi 2022』を配信開始 参考資料 https://messari.io/report/governor-note-lido-and-l2 https://cms.stakingrewards.com/wp-content/uploads/2021/10/2021-Staking-Ecosystem-Report-1.pdf https://blog.ethereum.org/2021/10/15/amphora-merge-milestone/ https://hackmd.io/@n0ble/the-merge-terminology https://aws.amazon.com/blockchain/decentralization-in-blockchain/https://ethereum.org/en/developers/docs/nodes-and-clients/ https://www.quicknode.com/guides/infrastructure/ethereum-full-node-vs-archive-node https://messari.io/report/governor-note-lido-and-l2 https://cms.stakingrewards.com/wp-content/uploads/2021/10/2021-Staking-Ecosystem-Report-1.pdf https://blog.ethereum.org/2021/10/15/amphora-merge-milestone/ https://hackmd.io/@n0ble/the-merge-terminology https://aws.amazon.com/blockchain/decentralization-in-blockchain/ https://ethereum.org/en/developers/docs/nodes-and-clients/ https://www.quicknode.com/guides/infrastructure/ethereum-full-node-vs-archive-node
リサーチ
2023/02/15イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは
前回の記事「イーサリアムのPoS移行:マージの概要とその理由を理解する」では、イーサリアム最大のアップグレードであるマージの概要や、PoSへ移行した理由などを解説しました。 第2部となる今回の記事では、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)エコノミーを語る上で欠かせないノードマネジメントサービスについて下記内容を交えながら紹介していきます。 ノード、クライアント、バリデーターなどの前提知識 開発者がノードインフラと関わる時の選択肢 各選択肢のメリット/デメリット 中央集権型と分散型との微妙な違い *本記事の内容は@lingchenjaneliu氏のコンテンツを許可を得て翻訳したものとなります。 ・第3部「イーサリアムステーキングサービスの種類と最新動向 | 業界のトレンドを知る」 ノードマネージメントサービス そもそも、ノードとは? ノードとは、イーサリアムのクライアントが動作するための装置です。サーバーは、データの保存、送受信を行います。複数のサーバーが集まってネットワークを構成しています。 イーサリアムは、ブロックやトランザクションデータを検証できるソフトウェアが動作するコンピュータの分散型ネットワークです。イーサリアムのネットワークに参加するためには、クライアントと呼ばれるソフトウェアをパソコンにインストールし、イーサリアムノードにする必要があります。 クライアントとは? クライアントは、イーサリアムにおいてデータをプロトコルのルールに照らし合わせて検証し、ネットワークの安全性を保ちます。クライアントにはさまざまな実装、つまりソフトウェアのバージョンがありますが、いずれもイーサリアムネットワークの同じプロトコルルールに従ったものです。 イーサリアムネットワークには、フルノード、ライトノード、アーカイブノードの3種類のノードがあり、それぞれ異なるデータ消費をしています。イーサリアムブロックチェーンで使用されるこれらのイーサリアムノードの種類とその違いについて分析していきます。 フルノード(Full Nodes) フルノードはブロックチェーンデータの完全なコピーを保持し、他のフルノードからトランザクションとブロックを受け取り、検証し、他のフルノードに転送することでネットワークに貢献します。フルノードを稼働させるには、そこそこ強力なハードウェアと帯域幅が必要です。 ライトノード(Light Nodes) ライトノードはフルノードよりはるかに小さく、フルノードのようにブロックの検証に参加しません。ライトノードは、フルノードのように完全なブロックデータではなく、直前のブロックのハッシュやタイムスタンプなどのブロックヘッダーデータを保存します。ライトノードはフルノードにオンデマンドでリクエストを送り、ユーザーが必要とする部分の状態のみを検証します。 ライトノードは、イーサリアムブロックチェーンと作用する可能な限り最小限のデータを使用し、他のすべての情報をフルノードからアウトソースします。新しいライトノードごとに、検閲への耐性、不正への耐性がより増し、イーサリアムネットワークの中央集権化を防止します。 アーカイブノード(Archive Nodes) アーカイブノードは、フルノードのすべてを保存し、すべての履歴状態のアーカイブを構築します。これらのノードを実行するために必要なデータ容量は非常に大きいので、一般的なユーザーがアーカイブノードを実行することはあまり望ましくありません。 しかし、ブロックエクスプローラ、ウォレット、オンチェーン分析会社などのサービスプロバイダーにとっては価値があります。アーカイブノードとフルノードの違いは、データの保存期間です。アーカイブノードには、(ジェネシスブロックと呼ばれる)最初のブロック以降のすべての履歴データが格納されているのに対し、フルノードには、新しいトランザクションの検証に必要な現在の状態データのスナップショットのみが格納されています。 バリデーター(validator)とは? バリデーターはフルノードまたはアーカイブノードであり、フルノードから送信されたトランザクションを受信してトランザクションを実行し、その適格性を検証して(コンセンサスレイヤーで)状態のコンセンサスを達成することにより、コンセンサスに参加することが出来ます。 バリデーターとして参加するには、ユーザーは32ETHを入金して、エグゼキューションクライアント、コンセンサスクライアント、バリデーターという3つの別々のソフトウェアを実行する必要があります。 バリデーターは、ブロックチェーンの維持と安全性確保において重要な役割を担っています。バリデーターは、プルーフ・オブ・ワーク型ブロックチェーンのマイナーと同様に、取引の処理、確認、新しいブロックへの書き込みを担当するブロックチェーンノードです。 プルーフ・オブ・ステークに基づくすべてのブロックチェーンには、バリデーターが存在し、トランザクション手数料やプロトコルのセキュリティ予算から得られる収益の一部を得るために、これらのタスクを競って実行します。 前述してきたようなノード、クライアント、バリデーターの基本を理解した上で、「ステーキングサービス」(staking-as-a-service)インフラの概念を理解することが重要です。 Web3開発者がノードインフラと関わるための3つの選択肢 分散型アプリケーションを構築及び運用するためにイーサリアムネットワークにアクセスする場合、Web3開発者はノードインフラと関わる必要があります。 開発者がこれを行うには、3つの選択肢があります。 自分自身のノードを動かす InfuraやAlchemyのような中央集権型ノードインフラプロバイダを利用する。 Pocket NetworkやAnkrのような分散型ノードインフラプロバイダを利用する。 選択肢1:自分自身のノードを動かす 自前のノードを運用するには、24時間、常に安定した電力供給と、インターネットに接続された物理的なハードウェアを自宅で運用する必要があります。 利点 ネットワークの分散化とセキュリティを向上させ、最も安全な方法でご自身の資金を保有しながら、ステーキング報酬を満額受け取ることが出来ます。 トレードオフ(デメリット) 労力、時間、資本を必要とします。まず、バリデーターソフトウェアを有効化し、バリデーターノードになるために最低32ETHを入金する必要があります。 バリデーターノードになるということは、新しいブロックを追加し、トランザクションを処理し、データを保存する責任を負うということです。ネットワークにセキュリティを提供することで、報酬として新しいETHを受け取ることができます。 次に、運用を担当するということは、機械やネットワークのメンテナンス、トラブルシューティングを行う必要があります。技術的な理解が必要なため、必要な専門知識がない人にとっては参入障壁となる可能性があります。 選択肢2:中央集権型ノードインフラプロバイダーを利用する Microsoft Azure、Google Cloud、Amazon Web Services(AWS)は、巨大なデータセンターに収容されたクラウドベースのオペレーションを実行するためのノードインフラを提供しています。そして、これらのクラウドプロバイダーは、Web3の世界でも優勢であることがわかります。 クリプト分析プラットフォームMessariによると、「AWS、Hetzer、OVHの3大クラウドプロバイダーは、データセンターでホストされているイーサリアムノードの65%のうち69%を担っています。」とのことです。イーサリアムノードの5~10%を占めるAlchemyとInfuraは、イーサリアムノードのホストをこれら3大クラウドプロバイダーに大きく依存しています。完全な分散型であると主張するWeb3企業は、Infuraがイーサリアム上での構築を容易にしているとはいえ、Infuraのような中央集権的なノードプロバイダーを使用している場合、実際には分散型の方法で稼働しているとは言えません。 利点 1.コストがかからない:中央集権型ネットワークは、小規模なシステムにおいて最も費用対効果の高い選択肢であり、セットアップやメンテナンスに必要なリソースも少なくて済みます。 2.導入を早く出来る:クライアントノードとメインサーバー間の接続を作成または削除するだけで、ネットワークからクライアントノードを簡単に追加または削除することができます。 トレードオフ(デメリット) 1.権力の集中:中央集権的なプロバイダーが、ブロックチェーンのノード数によってインフラ支配の大部分を獲得した場合、分散型システムのセキュリティと継続性が損なわれる可能性があります。 2.検閲:最近(2022年8月)のトルネードキャッシュの制裁から、中央集権型プロバイダーは政府の規制を遵守しなければならないことが明確であり、これは中央集権型のプロバイダーに依存しているdAppsも検閲の対象となることを意味しています。 3.単一障害点:InfuraやAlchemyのような中央集権型ノードインフラプロバイダーは、AWSのデータセンターのみを使用してノードを収容しています。このため、AWSがオフラインになると、それに依存している分散型アプリケーションもオフラインになるという単一障害点が発生します。 具体的な事例: ・Metamaskは、法令遵守とInfura APIへの依存のため、特定の法域では使用できません。 ・Twitter の NFT 表示機能は、Alchemy サーバーを頼りにしているOpenSea API に依存していたために、困難でした。 主要な該当者:Infura、Alchemy 選択肢3:分散型ノードインフラプロバイダーを利用する 分散型ネットワークは、1つの中央サーバーに依存するのではなく、複数のデバイスに作業負荷を分散させます。これら個別のデバイスは、それぞれ他のノードと独立して相互作用します。その結果、マスターノードの1つがクラッシュしたり危険に晒されたりしても、他のサーバーはユーザーへのデータアクセスを提供し続けることができ、ネットワーク全体が限定的な混乱もしくは一切の混乱なく動作し続けることができます。 ネットワークと通信するために、Web3開発者、ソフトウェア(dApps、Walletなど)、ユーザーはノードと通信し、ネットワークにコマンドを送信するように指示する必要があります。これは、RPC(remote procedure call)コマンドによって実現されます。これは基本的に、サーバーに何か特定のことを行うよう指示するコマンドを送信し、サーバーがそれを実行する(例えば、ネットワークに特定のトランザクションを送信する)ものです。 中央集権型インフラの検閲という側面は、プロバイダーにノードを送信させる前に受信したRPCコマンドを検査出来ること及び、トランザクションを効果的に検閲する方法があることを意味しています。 ポケットネットワークとAnkrでは、RPCへのアクセス自体が分散化されているため、個々のノードがRPCコマンドを拒否することを防いでいます。理想的には、このようなインフラは必要なく、個人が自身のノードを立ち上げ、完全に検閲されない方法で使用できるようにすべきですが、中央集権型のインフラに大きく依存し、自身のノードを実行することができないため、残念ながらこれが必要になっているのです。 利点 1.より高い柔軟性:分散型ネットワークは、マスターノードが危険に晒された場合でも、運用を継続することができます。また、分散型ネットワークは、ノードを追加するだけで分散性を高め、十分なコマンド処理能力を確保することができるため、拡張が容易です。 2.プライバシー:ネットワーク上に保存された情報は、複数箇所に分散されるため、ネットワーク上のデータの流れを追跡することが難しくなります。それに加えて、悪意のある行為者が特定の情報を狙うことも難しくなります。 3.パフォーマンスの最適化:ネットワーク事業者は、広大な場所にある単一の中央集権型サーバーへの接続をルーティングするのとは対照的に、ユーザーの活動が活発な場所にマスターノードを作成することができます。 トレードオフ 1.高い維持コスト:分散型ネットワークでは、システムをサポートするために複数のデバイスに依存するため、デバイスの十分な稼働時間を確保するためのメンテナンスは、個人の努力に依存することになります。 2.トランザクション処理能力の低下:最適な分散化を達成すると、ネットワークの処理能力が低下する傾向があります。より多くのマイナーがコンセンサスを通じてネットワークを確保すると、取引速度は低下する可能性があるのです。 主な該当者:Pocket Network, Ankr そもそも、Web2とWeb3のノードインフラは異なるのか? Web3 では、中央集権型のインフラサービス (IaaS:Infrastructure-as-a-Service) プロバイダーが所有及び運営する閉じたネットワークにアクセスする代わりに、ユーザーは公開ネットワークにアクセスします。 その公開ネットワークは、ネットワーク上のすべてのノードで実行されるクライアントソフトウェアのコードで定義された厳格なルールを遵守している何千もの独立ノードによって運営されています。 [caption id="attachment_87492" align="aligncenter" width="936"] 図6:Web2とWeb3のインフラの概要[/caption] 高いトランザクション処理を達成するためには、まだいくつかの技術的な課題がありますが、インターネットの権力は、データを保有する組織にあることを念頭に置く必要があります。一部の強力な中央集権的ノードプロバイダーに情報が集中すると、Web3のビジョンである分散化されたより公平なインターネットが損なわれてしまうのです。 第2部「イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは」は以上となります。第3部では、イーサリアムのステーキングサービスについて紹介予定です。 最後まで読んでいただきありがとうございました。 第3部「イーサリアムステーキングサービスの種類と最新動向 | 業界のトレンドを知る」
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2023/02/11イーサリアムのPoS移行:マージの概要とその理由を理解する
本記事は、@lingchenjaneliu氏がステーキング市場の展望、主要なアクターやトッププレーヤー、プルーフ・オブ・ステークの最新開発について説明した内容を本人の許可を得て翻訳した解説シリーズの第1弾です。 ・第2部:「イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは」 ・第3部「イーサリアムステーキングサービスの種類と最新動向 | 業界のトレンドを知る」 彼女の他のコンテンツについては、SubstackのニュースレターCrypto Observeを購読するか、Web3edgeニュースレターを購読してください。 現在のイーサリアムのサービス状況を俯瞰することができます。 マージ(Merge)とは? マージは、イーサリアムネットワークの歴史において最も重要なイベントです。2015年にイーサリアムが立ち上げられたとき、イーサリアムの目標は、ビットコインとその派生通貨で使われていた当時の標準的なプルーフ・オブ・ワークスタイルのセキュリティに代わり、斬新なプルーフ・オブ・ステークコンセンサスプロトコルによってネットワークを保護することでした。しかし、プルーフ・オブ・ステークは新しいコンセプトであったため、イーサリアムはプルーフ・オブ・ワークで立ち上げられ、問題が解決されたと確信した後にプルーフ・オブ・ステークに移行することを選択したのです。 プルーフ・オブ・ステークのチェーンは、一般公開の前に、スムーズに動作するよう、別のビーコン・チェーンとして立ち上げられました。ビーコンチェーンがプルーフ・オブ・ワークチェーンと統合され、プルーフ・オブ・ステークへの移行が完了した時に、マージとなります。これはイーサリアムのメインネットを停止させることなく達成されました。マージ後のイーサリアムには、データ及び実行レイヤーと、コンセンサスレイヤーの2つが存在します。 データ及び実行レイヤー (Data and Execution Layer) データ及び実行レイヤーは、ネットワークで送信される新しいトランザクションを取り上げ、EVM(Ethereum Virtual Machine:イーサリアムヴァーチャルマシン)で実行し、データベースと現在のすべてのイーサリアムデータアーカイブの最新の状態を保持します。 コンセンサスレイヤー (Consensus Layer) コンセンサスレイヤーは、プルーフ・オブ・ステークコンセンサスアルゴリズムを実装し、実行クライアントからの検証済みデータに基づいてネットワークが合意を達成することを可能にします。 [caption id="attachment_87476" align="aligncenter" width="792"] 図4:マージの説明(PoWからPoSへの移行について)[/caption] イーサリアム「The Merge」とは?概要を詳しく解説 マージの背景 2022年9月15日、イーサリアムネットワークのマージ(Merge)が行われ、これはETHのアセットの基本原理を変化させました。現在、ETHの長期保有は、以下の理由により、投資家にとってさらに魅力的な選択肢となっています。 ETHの発行量の減少 マージの最も目に見えるオンチェーンでの影響は、ETHの発行率の減少です。イーサリアムのプルーフ・オブ・ステークへのアップデートにより、ネットワークはブロックごとに発行される新しいETHの量を劇的に減少させました。長期的には、ネットワークアップグレードEIP-1559で導入されたバーンメカニズムにより、イーサリアムのデフレ化、つまりトークン供給量が時間とともに減少する可能性があります。 Stake(ステーク)へのインセンティブの増加 EIP-1559を伴うマージの後、イーサリアムはビーコンチェーンでは得られなかったトランザクションの手数料(ガス料金のチップ)から収益を得ることができるようになりました。この収益は、ETHをステークしたい強いインセンティブを持つステーカーとプロバイダーとなる投資家を増やすきっかけになります。 ステークされたETHは流通しなく(売られなく)なり、ETHの価格に対する強いサポートを生み出します。 [caption id="attachment_87477" align="aligncenter" width="936"] 図1:ETH保有者の分類を波で表示 ※出典:Coin Metrics[/caption] 図1から、マージ後に長期ETH保有者が増えていることがわかります。これは、保有者が長期的には発行枚数の減少とステーキング需要の増加により資産価格が上昇するという期待を持っているためだと考えられます。 マージ後、投資家のステーキング需要は、イーサリアムのステーキングエコノミー全体の利益を着実に増やしています。 そのため、ステーキングエコノミーを支えるサービスやインフラを精査する必要性と価値があります。 [caption id="attachment_87479" align="aligncenter" width="549"] 図2:リアルタイムでETHの発行及びバーン量の可視化をしているダッシュボード ※画像元:Ultrasound.money (2022年12月)[/caption] [caption id="attachment_87480" align="aligncenter" width="555"] 図3プルーフ・オブ・ワークでのETH発行と燃焼をシミュレーションしたダッシュボード(右上の「Simulate PoW」ボタンをクリックしている) ※出典:Ultrasound.money(2022年12月)[/caption] 図2と図3のETH発行量と供給量の数字を比較すると、マージが起こらなかった場合、これらの数字がどうなるかが分かります。これによって、ETHの発行と供給の伸びに対するマージの影響を視覚化することができます。マージ後、ETHの供給の伸びはほぼ横ばいですが、もしマージが起こっていなければ、シミュレーション上の供給の伸びは+3.5%だったはずです。 CT Analysis第32回レポート『Ethereum 2022年夏 次期アップグレード「The Merge」とその後のロードマップを理解する』を無料公開 何故、プルーフ・オブ・ステークへ移行するのか? イーサリアムのプルーフ・オブ・ワークチェーンはうまく機能していたのに、なぜわざわざマージをして、プルーフ・オブ・ステークに移行するのでしょうか? プルーフ・オブ・ワークは信頼性が高く確実ですが、デメリットもあります。ひとつはエネルギー消費です。これは「マイナー」とも呼ばれるバリデーターが、次のトランザクションの一群を検証するために暗号式を解くレースを行うことで、ネットワークを安全にするものです。そのレースに勝てば、その努力に見合った報酬がネイティブネットワークトークンで支払われるのです。 最先端のハードウェアを持っていなければ、計算競争に勝てる可能性は極めて低く、マイニング活動全体は、誰が最も多くの計算能力を所有しているかによって検証作業が決まるわけではないプルーフ・オブ・ステークネットワークでの検証に比べ、無駄な電力を使うことになるのです。 これがマージの重要な点です。イーサリアムがプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークに切り替わることで、エネルギー使用量は最大で99.98%減少すると推測されています。大規模なマイニング作業は必要なくなります。きちんとした性能の良いノートパソコンがあれば、誰であってもステーキングバリデーターを実行出来るのです。また、計算集約型の問題を解決するために競争するわけではないので、ネットワークに貢献するために異常に高いエネルギー量を必要とすることもありません。検証用ノードを実行するコンピュータは、通常の使用におけるエネルギーよりも遥かに多いエネルギーを使用することはないでしょう。 関連:イーサリアム「マージ」でエネルギー消費量が大幅減少 | 実施後-99%に 本シリーズ第一部は以上となります。 公開予定の第2部では、ステーキングエコノミーの全貌を紹介するため「イーサリアムのノードマネジメントサービス」に焦点を当てて解説した記事をお届けします。 ・第2部:「イーサリアムのノードマネジメントサービス:3つの選択肢とその利点・欠点とは」 ・第3部「イーサリアムステーキングサービスの種類と最新動向 | 業界のトレンドを知る」
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