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2018/04/11【RSK Blockchain Conferenceレポート】Root Stock CEOが考えるブロックチェーンの未来
4月10日、ベルザール東京日本橋で行われたRSK主催のブロックチェーン・カンファレンスにCrypto Timesはメディアスポンサーとして参加させていただきました。 当カンファレンスの主催者でありRSKのCEOであるDiego Gutierrez Zaldivar氏は、自ら第一スピーカーとしてインターネット普及・ブロックチェーンの登場そしてデジタル社会の未来について語りました。 インターネットが解決できなかった問題 「インターネットの普及は社会に膨大な利便性をもたらしたものの、まだ完璧とは言えない面がたくさんある」と語るZaldivar氏。 ”価値のやり取り”の側面ーVisa、MasterCard、Paypalなどといったプライベート・ネットワークには第三者の介入による非効率性や信用の問題が残ると指摘しました。 「そこで2008年に登場したのがビットコインです。といってもこれはただの通貨ではなくて、ブロックチェーン・Proof of Work・分散型コンセンサスといった革新的な技術が詰まったものです。」 「社会というのは法律というプログラミング言語、政治家というプログラマー、そして市民というコンピューターで成り立っています。スマートコントラクトはこういった既存のシステムを考え直すものとなるかもしれません。」と語ります。 ここでZaldivar氏はブロックチェーンの普及した近未来について触れます。 「スマートコントラクトを応用したタクシーについて考えてみましょう。あなたは全自動タクシーに乗り、サービスを享受し終わったところで自動でお金が払われる。給油が必要なタクシーはガソリンスタンドへ行き、メーターが満タンになったらお金が払われる。このタクシー会社の利益の一部はブロックチェーンの運営に貢献した人に還元されるのです。」 ビットコインをより使いやすく RSKの仕組み ブロックチェーンについて熱く語ったZaldivar氏は、RSKがビットコインの普及をどう助けるのかについても言及しました。 「ビットコインがStore of Value(価値貯蔵)の役割を果たすのに対し、RSKはその上にビジネスロジック、つまりスマートコントラクトといった拡張機能をつける役割をします。」 「スマートコントラクトがついたRSKは、ビットコインと取引所、ウォレットなどのサービスとの間に立つ存在になるのです。」とZaldivar氏は語ります。 また、RSKには「五本の柱」があると言います。 Root Stock5つのポイント イーサリウムとの互換性 RSKの普及によってBTC-ETH間のアプリ・インフラ・インターフェースの互換性が生まれる。 BTC-RSKペグ・サイドチェイン 1BTC = 1RSKの固定レート。 マージマイニング マイナーが複数のブロックチェーンを同時にマイニングが可能。 グローバル・フェデレーション 教育機関等の専門知識のある人々で形成されるフェデレーションが、コンセンサス形成に置ける投票権を持つ。その他にもマイナー、ユーザー間のPoS、RSKおよびビットコインのデベロッパー、ビットコイン関連の非営利団体も投票権を持つ。 コミュニティ RSKには賞金付きのハッキング・コンテスト(ペネトレーション・テスト)やアンバサダー制度、ビジネスおよびデベロッパー向けのブロックチェーン・プログラミング教材などといった多様なコミュニティーがある。 まとめ ビットコインで何もかも支払う時代も、もしかしたら目前まできているのかもしれませんね。 その一歩を手助けする役割を担うRoot Stock / RSKは、自社のプロモーションだけに及ばずブロックチェーン普及へ向けてのコミュニティー開発にも大きく貢献しているということがよく伝わってくる発表でした。
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2018/04/09【Beyond Blocks二日目レポート】パネルディスカッション プロ投資家たちの本音!ブロックチェーンをめぐる投資・取引
4月5日 恵比寿のウィストンホテル東京にて行われたBeyond Blocks2日目。Crypto Timesではメディアパートナーとして参加させていただきました。 今回は、世界各国で活躍されている投資ファンドの投資家たちがブロックチェーンをめぐる投資・取引の違いや特徴についてパネルディスカッション形式で議論したもののレポート記事となります。 パネル登壇者 司会: Jonathan Ha氏 (CEO, Redpulse) John Burbank氏 (創設者・投資顧問, Passport Capital) Phil Woods氏 (マネジング・パートナー, Abele International Pte Ltd) Darius Sit氏 (マネジング・パートナー, QCP Capital) Masa Kakiya氏 (CEO, Smart Contract Inc.) Nithin Eapen氏 (投資顧問, Arcade Crypto Ventures) 投資と取引の違いとは? ディスカッションの最初の焦点はブロックチェーン技術をめぐる投資と取引の違いについてでした。 1日目にも登場したPassport Capital 創設者のJohn Burbank氏は「短期的な取引といえばアービトラージ。投資というと長期的な目線でコツコツとお金を入れていくことになる。」と語ります。 アービトラージとは取引所ごとの価格差を利用して利益を稼ぐ手法です。 例えば、取引所Aで1Xコインを100円で購入します。それを1Xコインあたり102円で買取をしてくれる取引所Bに売りさばくのです。そうすると2円の儲けが出ますね。 ファンド業界に20年以上携わってきたBurbank氏は、アービトラージは長期型投資の待ち時間に利益を出す良い方法だとしました。 これに反してWoods氏とKakiya氏は、こうしたアービトラージは自動売買などのツールが揃った投資機関だからこそできるものであるということを指摘しました。 つまり、小規模、または個人投資家等の場合、多数の取引所を個々にチェックしたり取引を行なっている間に、投機がなくなってしまうということです。 Brubank氏 vs. Eapen氏 アービトラージはするべき? ディスカッションが一番盛り上がったのがBurbank氏とEapen氏が対極した投資戦略について語っている時でした。 前述の通りアービトラージをアクティブに利用していくBurbank氏に対し、Eapen氏はアービトラージを避ける戦略であることを明らかにしました。 「ブロックチェーンへの短期的な投資・取引はボラティリティーに振り回される。Arcade Crypto Venturesでは、長期的な戦略を固めていて、こまめに仮想通貨に投資を積み立てている。」とEapen氏は語ります。 Woods氏やSit氏も賛成する一方でBurbank氏は「自分の金ならそれでも良いだろうが、クライアントの資金を動かす時はそっち側の顔色も伺って短期で結果も出さなければいけない。」と反論します。 それに対しEapen氏は、「クライアントの皆さんには"とにかく気長に待って!"と言っています。短期的な価格の上下で恐怖感を抱くのはわかるが、5年、10年と待てば必ず成果が出る」と返答しました。 まとめ 短期的な投機獲得、長期的な投資の両方とも長所・短所があるということがよくわかるディスカッションでした。 短期で利益を出す手法としてアービトラージを使うというのは投資機関だからこそできることであり、クライアントが資金が引かないようにするための経営戦略でもあるということでした。 一方で、ブロックチェーンの長期的な成長は大きく期待されており、短い時間軸での上下に一喜一憂せず5~10年という長いスパンで見ていくことが大切だとのことでした。
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2018/04/07【Beyond Blocks初日レポート】Passport Capital 海外ファンドが見る「仮想通貨時代の到来」
4月4日 恵比寿のウィストンホテル東京にて行われたBeyond Blocksに関して、Crypto Timesではメディアパートナーとして参加させていただいております。 今回は、サンフランシスコベースの投資ファンド Passport Capitalの創設者であるJohn Burbank氏の「仮想通貨時代の到来」をテーマにした講演に関してのレポート記事です。 「トレンドを見越す」投資 Burbank氏は講演の始めに「革新的な技術に伴う市場の上昇トレンド到来を見越して投資し、のちに平均線へのリターン(=上昇トレンドの崩壊)をヘッジする」ことが投資のゴールであると語りました。 Burbank氏は続いて革新的な技術の例を業界別で挙げました: ブロックチェーン・仮想通貨 (金融/流通) 遺伝学 (ヘルスケア) 自動運転車 (交通) Katerra (建設) 人工知能 (機械が仕事を奪う時代) 遺伝子検査のコストが例年激減していることや、自動運転車がすでにレベル3(=ほとんどの状況で安全に運転をこなせる)に達していることなどを例に挙げ、「こういったテクノロジーは思うより早く私たちの生活に影響を及ぼす」と主張しました。 また、仮想通貨・金融の業界でも、規制の不透明さ、保証人の不在、手数料の高さなどといった従来のブロックチェーンをめぐる問題を解決するサービスが次々と登場してきていることも指摘しました。 テクノロジー・プラットフォームの歴史 Burbank氏は、テクノロジー・プラットフォームは歴史を通して集権化と分権化の動きを交互に繰り返しており、次の時代ではブロックチェーンが分権化を進めると語りました。 およそ1960-80年、IBMやTANDEMなどの時代が「メインフレーム時代」、集権的と取れる時期だとしました。 続いて、80-2000年がEMCやMicrosoftなどの「クライアント・サーバー時代」、テクノロジーが分権化に振れた時代だと語りました。 そして2000年から現在がAmazon、FacebookやGoogleなどの「クラウド時代」であるといいます。大企業が莫大なデータをコントロールする集権的な時代となったとBurbank氏は主張します。 Burbank氏は、まだ時間がかかるものの、いずれは「ブロックチェーン時代」がテクノロジーをまた分権的なものにすると予測しています。 仮想通貨の種類 講演の後半はより仮想通貨にフォーカスしたものとなりました。最も興味深かったトピックの一つが、用途からみる仮想通貨の違いでした。 仮想通貨・トークンは開発者の意図に応じて、以下の四種類に別れるといいます。 支払い用途・お金 国境を越えた素早い取引 国家の金融政策を受けない 銀行へのアクセスがない人(世界の役35%)を助ける 例: Bitcoin, Bitcoin Cash, Monero 分権型プラットフォーム スマートコントラクトを利用し詐欺、監視、第三者の介入を防ぐ 仲介者不要のサービス 証明可能安全性(パブリック・ブロックチェーン) 例: Ethereum, Stellar, NEM ユーティリティー・トークン 未使用のストレージやCPUの計算能力などを「資産」と考え、活用する 流動性の増加 未使用の資産をアクセスの届かない人々が使用できる(例: ブロードバンド) 例: Augur, Filecoin セキュリティー・トークン ブロックチェーンを利用した金融商品の取引 仲介人不要なトレード 決済時間の短縮 例: Bitcoin Capital, Science Blockchain まとめ 以上がBurbank氏による講演のレポートとなります。 投資で成功するにはトレンドを見越す必要があり、ブロックチェーンを始めとする数々のテクノロジーは既に急成長を見せ始めている、ということでした。 Burbank氏は的確な考察をすごくわかりやすく説明していたので、個人的にとても勉強になりました。
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2018/03/29行動経済学から見る仮想通貨【第3回】- ハイマン・ミンスキーとビットコインバブル-
Crypto Times公式ライターのYuyaです。 「行動経済学から見る仮想通貨」シリーズ第二回では、人々が仮想通貨ブームに乗りたがる理由を心理学的な定義から解説しました。 第三回となる今回では、こういったブームがなぜ仮想通貨の価格を激しく上下させるのかを解説し、そして究極の「仮想通貨市場ではバブルが起こっているのか?」という質問にお答えしたいと思います。 行動経済学から見る仮想通貨【第1回】 -仮想通貨を買う人とその動機- - CRYPTO TIMES 行動経済学から見る仮想通貨【第2回】- 仮想通貨ブームとバイアス- - CRYPTO TIMES ハイマン・ミンスキーのバブル理論 ハイマン・ミンスキー(1919-1996)はアメリカ出身の経済学者で、「バブルを組み込んだ」景気変動の理論を提唱し世界中から注目を集めました。 経済景気にはバブルの発生・崩壊が大きく関わっているとし、バブルには決まったサイクルがあると主張したのです。 上の画像はミンスキーの功績を元にしたバブルのチャートパターンの典型的なものです。 仮想通貨の価格チャートがミンスキーのバブルサイクルチャートに一致していれば、仮想通貨市場もバブルである、と言えるかもしれません。 青字でナンバリングされている部分がバブルの段階と言われています。それぞれ詳しく見てみましょう。 1. きっかけ バブルの始まりには必ずきっかけがあります。 新たなテクノロジーや低金利などがきっかけとなり景気が刺激されます。これがバブルの種となるわけですね。仮想通貨の場合はもちろんビットコインとブロックチェーンのことを指します。 2. ブーム きっかけが起こってすぐは価格も低いものですが、いずれメディアからの注目と共にブームが起こります。 市場参入者が毎日のように増え、価格がプラス方向にモメンタムを持ちます。第二回でも解説したように、「チャンスを逃したくない」と恐れて市場になだれ込む人々も増え、市場の熱はドンドン上がります。 3. ユーフォリア チャートの一番大きい山の周辺をユーフォリア(景気の繁栄局面)と呼びます。 「価格はまだまだ上がる」「仮にバブルだったとしても、明日崩れることはないだろう」と言って市場のリスクを軽視し、買い上げ続ける人々が後を絶たない場面です(グレーターフール理論)。 4. インサイダーによる利益搾取 資本のもうけが最高水準に達した時、銀行やファンドなど情報・知識のある機関から商品を手放して行きます。 価格が下向きになり、人々はバブルが崩壊し始めたのではと憶測します。 5. パニック バブルの崩壊が目に見えてわかり始めると、投資家・投機家たちはパニックに陥ります。 取引にはマージンの絡みもあるため、人々はあまり損益のことを考えず、今すぐに商品を手放すことを最優先します。 その結果、商品の価格は急降下します。 6. 後悔と分析 バブルの最大の特徴は弾けるまでわからないというところです。人々はこの段階でようやくバブルの存在を認知します。 中には「このバブルが起こることはわかっていた」と錯覚する(ハインドサイト・バイアス)者も出てきます。 経済は次第に回復し、バブルの起こった商品はより厳しく規制・監視される傾向にあります。 しかし、経済の回復、または相対的に規制の緩い商品の登場などが新たなバブルのきっかけとなる場合があります。 (6)の後(1)に戻るからバブル「サイクル」なんですね! ビットコインバブルは起こっているのか? 何やら長々と理論を書いてるけど、結局ビットコイン市場はバブルなの? 実際にビットコインの価格チャートを分析してみましょう。 うーん、右端の部分、ミンスキーのバブルチャートにそっくりですね。 「バブルなの?」という質問には、「バブルでした」とお答えするのが最適かもしれません。 赤色の丸が付いている部分はなんだか小さい版のバブルチャートに見えますね。小さいバブルをいくつか経験した後に、大きなバブルが弾けた後という感じでしょうか。 今後の展開 バブルが弾けた後なのはわかったけど、じゃあこの後はどうなるの? 「バブル」という言葉はその商品の価値が過大評価されているということを示唆します。 土地の価値(日本)や住宅ローンの信用(アメリカ)が過大評価されてバブルになる、と言うのはわかります。過去、あるいは他国の価格・需要・信用を見て相場が出せるからです。 しかし、仮想通貨の場合はどうでしょうか?仮想通貨の本当の価値というのは誰にもわかりません。 将来に今回のスケールを遥かに超えるような「バブル」がおこるかもしれませんし、価格が安定して、不換紙幣に取って代わる通貨になるのかもしれません。 逆に、政治的観点やハッキングのリスク等から見捨てられ、高ボラティリティー系金融商品となり続けるかもしれません。 そもそも、分権性や匿名性といった特徴はどのように価格に反映されているのでしょうか。このように仮想通貨のバブルは他の商品のバブルと状況が大きく違うということがわかります。 では、こういった仮想通貨特有のバブルというものを仮想通貨界・金融界の専門家たちはどう見ているのでしょうか。ここからはまた次回解説したいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました! 参考記事: 5 Steps Of A Bubble
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2018/03/23ICO詐欺?救済?ベネズエラの仮想通貨「ペトロ」の概要と問題点とは
Crypto Times公式ライターのYuyaです。 今回は話題のベネズエラ政府が発行する仮想通貨「ペトロ」とは一体何なのか、そしてこれにはどういった問題があるのかを解説していきたいと思います。 この記事の3つのポイント ベネズエラではハイパーインフレーションが起こっている 対策として、「ペトロ」を新たな通貨として普及させる作戦 政治状況を踏まえるとペトロが国内外の信用を得ることは考え難い ベネズエラの政情 ベネズエラでは現在、Nicolas Maduro大統領の独裁的な政治が大きな問題となっています。 Maduro大統領は、野党がアメリカ等と共謀してベネズエラを不安定にしている、と主張し独裁政治を行っており、国民の間で反政府デモや飢餓が起こっています。 これを受けアメリカはMaduro大統領および他の関係者数名のドル資産を凍結するなど、他国までをも巻き込んだ問題になっています。 この不安定な状況に伴い、ベネズエラでは「ハイパーインフレーション」が起こっています。 経済成長がなく海外からの投資もないため、ボリバル(ベネズエラの通貨)の需要・信用が極端に少なくなってしまったのです。 その結果として、ベネズエラの国内総生産は今年、2013年比で40%も低下すると予想されています。 不穏な政治状況を見て、世界中の投資家たちがボリバルを売り払ってしまったんですね。 ブラジルはレアル、ベネズエラはペトロ? それでは、何故ベネズエラ政府は仮想通貨「ペトロ」を作ったのでしょうか? ジンバブエやエクアドルといった国は、アメリカドルを国の通貨と制定することによってハイパーインフレから脱出しました。つまり、インフレし切った自国の通貨を捨て、国際通貨であるドルを新たな通貨としたのです。 一方で、ブラジルは90年代にレアルという新しい自国の通貨を作り出すことによってハイパーインフレから脱出しました。 このように一から通貨を作り出す場合、国内外からの信用が大切になります。利用者が通貨の価値を認めて初めて、国の通貨となるからです。 ベネズエラのハイパーインフレ対策はブラジルに似たものです。 ブラジルがドルの代わりにレアルを導入したように、アメリカを嫌うMaduro政権はドルの代わりに仮想通貨「ペトロ」を新しい、信用のある通貨として採用しようとしているのです。 政府はペトロをボリバルに取って代わる通貨にしたいんですね。 石油で裏付けされた仮想通貨 他の仮想通貨のようなボラティリティー・投機ラッシュがあった場合、ペトロは日常で使用する通貨として機能しません。 昨日1ペトロあたり100ドルだったものが次の日50ドル、なんて事態が発生すると、膨大な損益・混乱が起こるからです。 したがって、ベネズエラ政府はペトロの値段を安定させなければなりません。 そこで政府が考えた作戦が、ペトロを自国の代表的輸出品である石油で裏付けするというものです。言い換えると、ペトロを相応量の石油と交換できるようにする、ということです。 国際的に価値のある石油をペトロと紐付けすることによって、投機ラッシュ等で極端に上下しない、安定した仮想通貨にするというのが政府の作戦なのです。 しかし、現在の不安定なベネズエラで、この作戦は成功するのでしょうか? 現に政治の混乱の影響でベネズエラ政府の石油会社、PDVSAには投資が行き渡っておらず、石油の生産や外貨の貯蓄が伸びることはまずありえないと言われています。 こうなってしまうと、ペトロはボリバル同様、価値も信用もないものになってしまいます。つまり、投資・投機家のお金だけ集めて、始まってみたら何も起こらないなんて可能性があるのです。 ペトロには投資を得るための詐欺っぽいところがあるんですね。 ベネズエラの未来はいかに ペトロはハイパーインフレーションから脱出するためのベネズエラの新通貨であるという事でした。 そして政府は、価格安定性を図るために石油で紐付けを行ったという事です。 ベネズエラ政府のこの戦略の成功には国内外からの信用が必要です。ここで一番の鍵となるのはやはり安定した政治と石油の生産量でしょう。 しかし、反政府デモが日常的に行われ、飢餓が起こり、石油の生産量も明らかに激減している現在の状況ではペトロが新たな通貨として信用を得る確率は極めて低いといえます。 また、ペトロの成功にはアメリカやロシアなどの動きも大きく関わってくると考えられます。現在、アメリカのトランプ大統領は国民のペトロの購入を禁止しています。一方で、ベネズエラ同様に自国の仮想通貨を開発したいロシアは今回のペトロの開発に協力したという噂も出ています。 最後まで読んでいただきありがとうございました! 参考記事: Venezuela's crypto-currency: salvation or scam? Venezuela's crisis explained from the beginning
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2018/03/23金融庁が世界最大の仮想通貨取引所BINANCE(バイナンス)に警告!
この記事の3つのポイント 金融庁がバイナンスに国内での無登録営業をやめるよう警告する方針 同社での口座開設における「日本人の本人確認制度なし」が警告の理由の模様 同社が営業をやめない場合改正資金決済法違反で告発する方針 本記事引用元:世界最大の仮想通貨業者に警告へ 無登録営業で金融庁 - 日経新聞 無登録企業の摘発に力を入れる金融庁 金融庁が香港ベース・世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスに日本国内での無登録営業を止めるよう警告する方針であることを明らかにしました。 金融庁は、同社での日本人の口座開設における本人確認がないことを今回の警告に至る理由としています。その上、匿名性の高い通貨を多数扱っていることや、マネーロンダリング防止策が十分になされていないという事実も警告を後押ししている模様です。 現在の改正資金決済法では、登録業社と登録申請中業社のみが日本での営業を許可されており、無登録業社は仮想通貨の交換を一切禁止されています。 日本に数十社あるといわれる無登録業社を利用すると、詐欺やその他の損害を被る可能性がある上、法律適用外のために利用者保護を活用できない恐れがあるといわれています。 警告を受けても営業をやめない場合、金融庁は同社を改正資金決済法違反の疑いで告発するとしています。警告後の日本人の顧客への返還手続きの方法に注目が集まります。 二月に起こったコインチェックのNEM流出事件を受け金融庁は仮想通貨市場の監視をより厳しくしており、三月には立ち入り検査ですでに7社を行政処分しています。 https://twitter.com/cz_binance/status/976783934074732544 また、今回の報道を受けてバイナンスCEOのChangpeng Zhao氏は公式Twitterで「金融庁とは常に健全なコミュニケーションを取っていた上、今回のような警告は事前に受けた事がなかった。警告方針を我々より先に報道機関に表明した理由が理解できない。」とコメントしています。 これを受けてビットコインは大幅に下落しており、日本時間23:46現在で5.37%安となっています。
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2018/03/20行動経済学から見る仮想通貨【第2回】- 仮想通貨ブームとバイアス
CryptoTimes公式ライターのYuyaです。 「行動経済学から見る仮想通貨」シリーズ前回では、仮想通貨市場には「仮想通貨を次世代通貨として支持する人」、「一攫千金を狙う投機家」、「クリプトETFなどの金融商品開発を狙うファンド」など、様々な動機を持った参加者がいる、ということをお話しました。 行動経済学から見る仮想通貨【第1回】 -仮想通貨を買う人とその動機- 今シリーズ第二回では、人々が次々と市場に参入し、仮想通貨ブームが形成されるメカニズムを行動経済学の観点から解説したいと思います。 ハーディング効果 ハーディング効果とは? 「みんながやっているから私もやった方がいいのかも」という心理のことをハーディング(=群集)効果といいます。 ニュースで仮想通貨の話題が取り上げられているのを見て、「ニュースになるくらい注目されているのだから私も今のうちに始めなきゃ」と市場に参入することなどがハーディング効果の例と言えるでしょう。 また、投機を見逃すことや損を出すことへの恐怖に負けトレンドに従うという考えは仮想通貨市場のボラティリティーをハーディング効果の観点から見たものと言えるでしょう。 ハーディング効果は物事の決断に際して理由付けを省略する方法であると言えます。しかしこれが裏目に出てしまうと、真っ当な根拠・調査も無しに投資・投機の決断をしてしまうことになります。これは、現在の仮想通貨市場、およびバブル等でよく見られます。 ビットコインのチャートは典型的なバブルのチャートに酷似している。 利益を見逃すことや損を出すことの恐怖から、ついトレンドをフォローしてしまうんですね! 可用性ヒューリスティクス 可用性ヒューリスティクスとは1974年にAmos TverskyとDaniel Kahnemanという二人の心理・行動経済学者によって定義された認知バイアスの一つで、現代の行動経済学の基盤的な考えとなっています。 可用性ヒューリスティクスとは? 「頭にすぐ浮かぶ」「印象に残っている」現象は起こる確率が高い、と誤認してしまうバイアスを可用性ヒューリスティクスと言います。 「ブーム前に持っていた●●コインが膨らんで大金持ちになった」などというサクセスストーリーを皆さんもお聞きになったことがあるのではないでしょうか。このような印象に残る話は仮想通貨市場に参加するか、しないか迷っている人の背中を押してくれるヒューリスティクスなのです。 しかし、1600以上あるとも言われている仮想通貨の中で、実際に何百・何千倍にも膨らむコインは果たしていくつあるのでしょうか?また、世界中に数え切れないほどいる仮想通貨市場参加者の中で、本当に大金持ちになった人は一体どれくらいいるのでしょうか? また、サイバー攻撃のニュースが出るたびに仮想通貨が批難されますね。これも印象に残る報道を見たため取引所がハッキングされる確率を実際より高く見積もっていると言えます。またこの場合、仮想通貨は実体のある通貨と違って物理的に盗まれることはない、という事実を無視しています。 仮想通貨市場のボラティリティーにはこういった印象に残る報道やイベントが大きく関係しているのです。 印象に残った情報だけを取り入れて、他の重要な情報を軽視してしまうということですね。 代表性ヒューリスティクス TverskyとKahnemanは「代表性ヒューリスティクス」というもう一つの認知バイアスも定義しました。 代表性ヒューリスティクスとは? ある事象"X"が"Y"に似ていれば似ているほど、"X"が"Y"の仲間であると信じやすくなる、というバイアスを代表性ヒューリスティクスと言います。 言い換えれば、「ステレオタイプ / レッテル」のようなです。 では、これが仮想通貨ブームとどう関係するのでしょうか? 仮想通貨は供給量に上限があることからしばしば金の代替商品と捉えられることがあります。これに伴い、「膨れ上がるコインを素早く見つけたものが大金を得る」という仮想通貨版・ゴールドラッシュが起きていると言われています。 しかし、仮想通貨と金が有限の供給量という特徴を共有することは確かに事実ですが、ここで本当にこの二つの商品が似たものだと言って良いのでしょうか? 仮想通貨を類似する特徴から他の金融商品の一種または代替品と考えるのは代表性ヒューリスティクスの働きと言えます。 必ずしも悪い習慣という訳ではありませんが、この考えでは仮想通貨のテクノロジー、分権性、次世代通貨としてのポテンシャルといった他の商品にはない特徴を無視していることになります。 仮想通貨にしか見られない特徴がある訳ですから、この投機ブームもゴールドラッシュやドットコムバブル時とは違う、今までにないタイプのものである可能性があるということです。 このバイアスに頼りすぎると、「仮想通貨にしかない利点・リスク」を見逃してしまうということですね。 まとめ 行動経済学から見る仮想通貨シリーズ第二弾となる今回では、ハーディング効果、可用性ヒューリスティクスと代表性ヒューリスティクスが仮想通貨ブームを形成する理由について解説しました。 これらのバイアスは複雑な仮想通貨市場を他人の意見や似た経験を用いて簡易的に理解するツールとして役立つ一方、真っ当な根拠付けや統計的な事実を無視させる働きもあるということでした。 最後まで読んでいただきありがとうございました! 参考記事: A Behavioral View of Cryptocurrencies - Part II
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2018/03/15日本がG20各国に仮想通貨を用いた資金洗浄の防止に協力を求めていく方針を発表
この記事の3つのポイント 日本がG20各国に仮想通貨関連の資金洗浄防止への協力を要請 全参加国からの合意が得られる可能性は低い見通し フランス・ドイツは今回の案に合意する方針 本記事引用元:Japan to urge G20 for steps to prevent cryptocurrency use for money laundering 日本がG20各国に求める資金洗浄防止策 日本が来週開催されるG20会議にて参加国に仮想通貨を用いたマネーロンダリング(資金洗浄)の防止策への参加・協力を求めることを政府関係者が明らかにしました。 G20関係者の見解では、参加国がこのような世界共通の協定に合意する可能性は低いとのことです。それぞれの国が異なった方法で仮想通貨を利用したマネーロンダリングの防止策を既に実施・考案していることが今回の見解への根拠とのことです。 日本政府は、厳しすぎる規制では他国の合意を得られないことを肝に置きながら、仮想通貨のマネーロンダリング防止策や消費者保護に焦点を当てていくとのことです。 会議は3月19、20日にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われる予定で、G20各国の金融庁および中央銀行関係者が仮想通貨をテーマに会合するとのことです。 マネーロンダリング防止を推める政府間機関「FATF」は、今回の会議で具体的にどのような方策を行うべきかをG20各国に報告するとされています。 他国に比べ仮想通貨を利用したマネーロンダリングに関する規制が緩い国は、今後そういった違法な活動の穴場になる恐れがある、と日本政府は述べています。 フランスとドイツは既に今回の案件に賛成する方向性を示しています。今回の協定ではマネーロンダリングおよびテロリストの財源凍結に焦点を当て、仮想通貨市場での闇取引の危険性に関して銀行や消費者の理解を図るべきだ、EU関係者は述べています。 仮想通貨およびブロックチェーン等のテクノロジーの発展を阻害せず、かつ消費者を守り違法な活動を阻止するような規制を考えていくことが鍵となる、と日本政府関係者は述べています。 マネーロンダリング等の違法活動の規制が進むことによって仮想通貨が私たちにより身近で安全なものになっていけばいいですね!
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2018/03/14コインチェックの補償・返金開始に伴いNEM(ネム)が急上昇 / 他通貨は降下
この記事の3つのポイント 他通貨の降下に逆らいNEMは16%上昇 取引の大半は韓国・日本が占める 上昇の理由はコインチェックの補償・返金声明 本記事引用元:NEM Price Jumps 16% as Other Top Coins Tumble 市場の流れに逆らいNEMが急上昇 トップ100通貨のうち97通貨もが下目に出た今日。その下降トレンドに逆らうようにNEM(XEM)が16%(対USドル)の急上昇、時価総額ランキング12位(約40億円)にまで上り詰めました。 取引ボリュームの約60%は韓国ウォンや日本円とのペアが占めており、他のペアもアジア圏の取引所の存在が大きいです。 急上昇のワケはコインチェックの補償・返金声明 3月12日、コインチェックは1月26日に起きた約5億XEMの不正送金に関する補償を発表しました。 前代未聞のスケールのハッキングとなった今回の事例では、当時レートで約5億3千万ドル相当のNEMが不正送金されました。しかし、現在のレートで換算するとほぼ半分の約2億3千万ドルとなります。 1コインあたり88.549円の補償レートに対し、現在のレートは約45円/XEMほど。今回のNEMの急上昇は、返金を受けた投資家が当時の約半額になったNEMを買い戻したことが影響していると考えられます。 日系取引所、ZaifのJPY/XEMペアは現在のNEM取引ボリューム全体の4分の1以上を占めており、補償対象者によるNEM買い戻しを裏付けています。 補償・返金対象者による買い戻し、およびハッキング事件を受けNEMを手放した他国投資家による再購入が今後も続いた場合、NEMは更に上昇し続けると考えられます。 これからも上昇し続けるのか、しないのか。気になって夜もNEMれませんね!
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2018/03/13仮想通貨取引所大手のBinanceがハッカーに関する情報に対し25万ドルの賞金を支払うと発表
この記事の3つのポイント! Binanceがサイバー攻撃犯人に関する情報提供者に賞金を与えると発表 7日に行われた大型ハッキングによる資産への被害はない模様 CEOは今後の仮想通貨取引所・企業間でのセキュリティ対策強化を呼びかける 本記事引用元:Crypto Exchange Offers a $250,000 Bounty for Hacker Tip-Offs ハッキング被害を受けたBinanceの声明 大手仮想通貨取引所、Binanceが同社へのハッキングに対する守りを固めるために、情報提供者に賞金を支払う制度を始めることを発表しました。 Binanceの声明によると、同社は先週3月7日に大型のサイバー攻撃を受けたとのことです。攻撃は失敗に終わり、資産への被害もなかったものの、ハッカーの正体を掴むことはできなかったと報告しました。そこで同社CEOのZhao Changpeng氏は、今回のサイバー攻撃に関する有用な情報を最も早く提供した者に25万ドル(約2660万円)相当のBinance Coin (BNB)を賞金として支払うと発表しました。 (Zhao Changpeng氏) また、同社は今後のハッキングに対する賞金として更に1000万ドル相当の仮想通貨を備蓄していることも発表しました。Changpeng氏は更に他の仮想通貨取引所や企業にも同様の対策をするよう勧めていることも明らかにしました。 今年で既に日本のCoincheckやイタリアのBitGrailなどが大型のサイバー攻撃の被害を受けていますが、大手取引所であるBinanceのChangpeng氏による今回の声明が取引所や企業のセキュリティ強化に更に拍車を掛けると考えられます。 仮想通貨の難点とも言えるハッキングのリスク。大手取引所の活動によってセキュリティが更に改善されると安心ですね。 参考記事: Massive Cryptocurrency Heist Spurs Call for More Regulation Italian cryptocurrency exchange gets hacked for $170 million in Nano