Oasysとは?ゲーム特化型ブロックチェーンの特徴や概要を解説
airutosena
ゲームに特化したブロックチェーンを展開するOasys。
Oasysは「利用者のガス代が無料になる」「特定の環境下のみで利用可能なNFTを発行できる」など、独自のアプローチでブロックチェーンゲーム体験の向上を目指しているプロジェクトです。
2022年7月には2,000万ドルを超える資金調達にも成功しており、今注目のブロックチェーンの1つです。
Oasys successfully completed a private token sale round of USD20 million led by Republic Capital, blockchain financing and investment platform, with participation by other renowned investors. 🎉
1/3 pic.twitter.com/AxvnZQfqH5— Oasys🏝Blockchain for Games (@oasys_games) July 6, 2022
本記事では、そんなOasysの概要・特徴・注目したい仕組みなどについて解説しています。
記事の内容まとめ
・ゲームに特化したブロックチェーン
・利用者はガス代無料で利用可能
・WEB2レベルのレスポンス
・IP保護を意識したNFTを作成可能
・ヴァースを構築することによる柔軟な開発が可能
目次
Oasysとは?= ゲーム特化のブロックチェーン
Oasysは、ゲームに特化したブロックチェーンやプロジェクトの総称です。
ゲームに特化しているということもあり、現状のブロックチェーンゲーム(以下:BCG)に関する課題や問題点を解決することに焦点をおいたプロジェクトです。
注目度の高いトピックの1つであるBCGですが、既存チェーンを利用したBCGには現状以下のような課題があり、Oasysはこれらの課題の解決を目指しています。
- 利用者の参入障壁
- DeFiと比較して膨大なトランザクションを高速に処理できない
- 著名なIPを保有するような開発サイドのさまざまなリスク
また、Oasysには著名企業が多数参画しており、初期バリデーターには、仮想通貨やエンタメ・ゲーム関連の企業を中心に以下のような企業が参画しています。
- ASTAR
- BANDAI
- bitFlyer
- GREE
- UBISOFT
- SEGA
- PlayArt
- SQUARE ENIX
既に著名なIPを保有している大手企業も参加し、国内企業も多く参画している傾向が分かるでしょう。
今後もバリデーターに限らず、さまざまなレイヤーで著名な企業の参画が見られるかもしれません。
BCGを進化させるOasysの3つの特徴
・高速なレスポンス
・開発者サイドのリスクを回避
BCGを進化させるOasysの特徴について、上記3つの観点から解説していきます。
OasysがBCGをより進化させるために備えている特徴をチェックしていきましょう。
利用者のガス代が不要
Oasysでは、利用者(エンドユーザー)によるガス代の支払いが、原則不要になります。
そのため、利用者はゲームをプレイするために、ガス代などに用いる初期費用を用意する必要がありません。
現状のBCGの多くは、ガス代の支払いなどに伴って初期費用が必要になっており、一般的な利用者にとって大きな参入障壁となります。
ガス代など、運用に関わるコストの多くはヴァースレイヤー(後述)が負担することになります。
高速なレスポンス
Oasysでは、1秒未満で完了する大量のトランザクション処理を可能にしています。
現状のチェーンでは、トランザクションが通るまでに数秒〜数十秒ほどの時間が発生します。
このタイムラグは、一般のWeb2のゲームをプレイする利用者にとって大きなストレスになる可能性が高いです。
そのため、OasysではWeb2と同等程度のレスポンスを可能にする設計を行っており、一般の利用者でもストレスを感じない体験ができます。
開発者サイドのリスクを回避
Oasysは、著名なIPを保有する従来の企業が懸念するリスクを払拭しています。
現状のBCGやNFTといった領域への参入は、既存のIPを持つ企業や開発者などにとっては、大きなリスクを抱えています。
その1つが、レピュテーションリスク(ネガティブな評判・風評など)です。
これは、ブロックチェーンが持つ誰にでも開かれたパーミッションレスという特性が要因となっています。パーミッションレスであるがために、現状のWEB3には魅力的なプロダクトが存在している一方で、詐欺的なプロダクト・プロトコルも多く存在しているのが現状です。
上記のような環境では、IPを保有する従来の企業が参入は、評判や風評に対する一定のリスクが含まれます。
また、NFT化した際のIP保護といった問題も存在しています。
上記のような既に魅力的なIP・コンテンツを持つ企業の参入を阻む要因を、さまざまなアプローチでOasysでは克服しています。
高品質な体験を提供するOasysの仕組み
次に、前述したような特徴を実現するOasysの仕組みについてチェックしていきましょう。
Oasysの仕組みで注目なのが多層的な構造を持っている点です。
Oasysでは、以下のように複数のレイヤーが存在しており、各レイヤーがそれぞれ重要な役割を担っています。
- アプリケーション
- ヴァースレイヤー(Verse Layer)
- ハブレイヤー(Hub Layer)
各レイヤーを、1つ1つチェックしていきましょう。
アプリケーション
具体的にOasysのホワイトペーパーなどで、明記されているレイヤーではありませんが、利用者にとって最も身近なレイヤーがアプリケーション(Dapps)です。
実際にOasysに構築されたゲームなどのアプリケーションを指し、一般的な利用者が認識するのはこちらのレイヤーになるでしょう。
ヴァースレイアー(Verse Layer)
Oasysにおけるヴァースレイヤー(Verse Layer)は、前述したようなDapps(ゲームなど)を構築しているレイヤーになります。
ヴァースの基本的な役割は、Dappsなどで発生したトランザクションをOpsitimic ロールアップを用いて処理を行うといったものです。
100万OASをデポジットすれば誰でもヴァースの構築が可能で、構築された各ヴァースは構築者(Verse Builder)によって自由にカスタマイズできます。
具体的にはヴァースの構築者は、
- ヴァース上のさまざまな権限を制限
- 構築されるDApps自体の制限
といったことが可能。ヴァースの構築者の任意で、パーミッションレスな環境にすることも出来ます。
各ヴァース自体は許可型(Permissioned)といった環境を構築することも可能で、これによりヴァースの構築者・管理者は、
- 権限を用いて詐欺のようなプロジェクトを排除
- 自社の限られたDappsだけが構築される排他的なヴァースを構築
といった運用も行えます。
また、ゲームの中でもFPS・RPGといったジャンル別のヴァース、DeFi向けのヴァースといったように構築されるプロダクトに合わせたヴァースが構築されるといった可能性も考えられるでしょう。
ハブレイヤー(Hub Layer)
Oasysのハブレイヤー(Hub Layer)は、前述したようなOasysエコシステム全体を司る基礎のようなレイヤーです。
ハブレイヤーは、ヴァースレイヤーのように細かなトランザクションの実行・処理などは行いません。
そのため、ハブレイヤーが処理するトランザクションは、ヴァースレイヤーと比較して限定的です。
その代わりに、Oasysのエコシステム全体に関わるような以下のような処理やデータの管理をハブレイヤーで行います。
- ロールアップのデータの管理
- FT/NFTの管理
- ブリッジの管理
前述のとおり、OasysのヴァースレイヤーはOpsitimic ロールアップを使用しており、ロールアップで処理されたデータはハブレイヤーに記録されます。
上記のヴァースレイヤーとロールアップはハブレイヤー上に構築されているため、各ヴァースがダウンしたとしてもハブレイヤーからデータにアクセスすることが可能です。
その他にも、ハブレイヤーではNFTや各チェーン上を行き来させるブリッジの管理などを行います。
ハブレイヤーでのコンセンサスアルゴリズムにはPoSが採用されており、1,000万OASのステーキングで誰でもバリデーターになれます。
Oasysと3種類のトークンの概要
- ヴァースレイヤーのみのトークン(vFT/vNFT)
- 相互運用性の高いトークン
- 外部のトークン
トークンの柔軟な運用を可能にするために、Oasys内では上記3つのトークンが扱えます。(いずれも、FT・NFTを含む)
各トークンごとに、特性が異なっているので一つ一つチェックしていきましょう。
ヴァースレイヤーのみのトークン(vFT/vNFT)
Oasys内で、もっとも特徴的なトークンとなっているのが「vFT/vNFT」と呼称されているトークンです。
vFT/vNFTは、ヴァースレイヤーで作成可能となっており「特定のヴァースでしか利用できない」という特徴を持っています。
そのため、他のヴァースで利用できないのはもちろん、他のチェーンへのブリッジなどに対応していません。
実際のユースケースとしては、ゲーム内通貨(FT)やIP(IP)などが想定されているようです。
vFT/vNFTが存在することで、IPが載っているNFTなどを意図しない用途に利用させないなど、NFTの運用におけるIP保護などに応用できます。
例えば、IP保護を重要視する企業が特定のヴァースを構築し、なおかつ特定のヴァースでしか利用できないNFTを作成するといった運用が可能になるかもしれません。
相互運用性の高いトークン(oFT/oNFT)
oFT/oNFTは、ハブレイヤーで作成される相互運用性の高いトークンです。
oFT/oNFTは、Oasysに構築されたさまざまなヴァースで利用可能なのはもちろん、他のチェーン(イーサリアムなど)で利用することもできます。
一般的にトークンと言われて、思い当たるのがこのタイプになるでしょう。
oFT/oNFTとvFT/NFTの両者を活用することで「一部のゲーム要素・トークンのみを外部にもオープンにする」といった柔軟な運用が可能になります。
外部のトークン(exFT/exNFT)
最後のOasysで利用できるトークンが「exFT/exNFT」です。
こちらは外部のチェーンで作成されたトークンで、例えばイーサリアムで作成されたFT/NFTのような存在にあたります。
外部のトークンは、ハブレイヤー・ヴァースレイヤーともに利用可能となっており、Oasys内のエコシステムで自由に利用することができます。
OASとトケノミクス
Oasysのネイティブトークンは、OASです。
OASの初期の供給は、100億OASに設定されており、各用途ごとに以下の割合が設定されています。
- 38% エコシステムとコミュニティ
- 21% ステーキング報酬
- 15% 開発
- 14% プライベートセールでの投資家
- 12% 財団(Oasysをサポートする)
長期的な成長と持続可能性を重視し、OASは段階的に供給されていきます。
ネイティブトークンのため、OASはOasysエコシステムの中核となる存在で、Oasys内におけるさまざまなアクションに対してOASが必要になっています。
一例になりますが、OASには以下のような用途が存在しています。
- ガス代
- ヴァース構築(100万OAS)
- ガバナンス
- PoSでのバリデーターになる(1,000万OAS)
- エコシステム内での支払い(ゲームアイテムの購入など)
さまざまな用途が設定されていることが分かるでしょう。
Oasysの将来性・今後の計画
Oasysは、最終的にDAOによって管理されるパブリックブロックチェーンになることを目指しています。(目標は6年)
その最終的な形態に向けて、期間ごとの目標が設定されたロードマップが公開されているので、これを参考に期間ごとのイベントをチェックしていきます。
〜2023年まで
Oasysは、2023年6月までに以下のような目標を掲げています。
- CEXでの上場
- メインネットのローンチ
- Oasys内でのプロジェクト数 20以上
- Oasys内での分散型IDの数 100万以上
2023年までの焦点は「ローンチ」と「トークンの配分」という2点に当てられているようです。
今後、Oasysが成長していくための基礎を作っていく時期であると言えるでしょう。
2023年〜2024年まで
Oasysでは、2024年6月までに以下のような目標を掲げています。
- Oasys内でのプロジェクト数 100以上
- Oasys内での分散型IDの数 1,000万以上
2023年〜2024年までの期間は、主にエコシステムの成長に焦点を当てているようです。
2024年〜2025年まで
Oasysでは、2025年6月までに以下のような目標を掲げています。
- Oasys内でのプロジェクト数 1,000以上
- Oasys内での分散型IDの数 1億以上
2024年〜2025年までの焦点は、大衆に受け入れられるというのがテーマのようです。
そして、最終的には前述の通り、2028年程度を目処にDAOとして機能することを目標にしています。
Oasysについてまとめ
この記事では、Oasysについてさまざまなポイントから解説しました。
仮想通貨周りのプロジェクトやトピックは、海外を中心としたものであることが少なくありませんが、Oasysは珍しく多数の国内企業が関わっています。
Oasysと相性の良さそうな企業も多数参画している様子が垣間見れるので、今後も注目していきたいと言えるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
-Oasys公式リンク-