
$BTC / ビットコインとステーキング銘柄の相関関係を分析 – 価格連動は起きづらいのか?-

Crypto Times 編集部
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ビットコインの価格が時価総額の高い通貨に対してどれほど相関があるのかというのは昔からのテーマとして上げられてきています。
今から少し前、時価総額Top20の通貨を対象に大規模な相関分析がまとめられたリサーチ記事がBinanceより公表されました。
[考察]
Binanceが先程出した年次レポートです。
各Qや年次単位でTOP20の通貨の相関が出ています。これを見ると、BTCとの相関が低い通貨は $ATOM $XTZ $LINK が挙げられます。
ATOMは上場がXTZより後ですが、共通するのは両方ともStakingを採用しているという点です。https://t.co/04jNYxtn2T— CRYPTO TIMES@ブロックチェーンメディア (@CryptoTimes_mag) January 22, 2020
このBinanceが公開したリサーチは単純に通貨と通貨の相関を分析したものですが、似た特色の通貨をグルーピングした場合の相関係数、平均相関係数はどうなるのかを調べると面白い結果になるのではないだろうかと思い、リサーチを行いました。
暗号資産・仮想通貨といってもその機能性は多岐に渡ります。それら個別の通貨同士の相関係数はもちろんですが、各通貨をグループに分けそれらのグループ同士の平均相関係数を測定することには大きな意味があるのではないでしょうか。
通貨としての機能しか持たない暗号資産(Bitcoinなど)もあれば、スマートコントラクト・トークン、取引トークン、またステーキングを実施ている通貨もあり、暗号資産・仮想通貨と一括りにはできません。
今回のBinanceリサーチから、特に(ツイートしたように)ステーキング通貨とBTCの相関が低いように感じ、仮説検証のもと分析を行いました。
そこで今回の記事は、ステーキング通貨に限り、そのステーキング通貨をさらにいくつかの種類に分けて出来高トップ5通貨との相関係数を分析します。
分析対象
今回の分析対象は、時価総額トップ5となる通貨(2020年2月時点)とステーキング通貨です。
今回のデータはMessariを参考にしています。同サイトによると時価総額トップ5通貨は、BTC、ETH、XRP、BCH、BSVとなります。
次にステーキング銘柄に関してですが、はじめにステーキングとは 自身の保有する仮想通貨をネットワーク上のコントラクトに預け入れることで 、セキュリティの向上に貢献し 、 それにより報酬を獲得することができるという仕組み を指します。
ステーキングに関して、より詳しく知りたい方はCRYPTO TIMESが提供するレポートCT Analysisの2回目でステーキングに関するレポートが配信されているのでそちらを参考ください。
今回はMessariより、IOST、XTZ、DASH、DCR、NEO、ONT、VET、XZCを主に分析するステーキング通貨として、選択しました。
この8銘柄は広義の意味でステーキングと分類していることを最初に注意としてあげます。この8銘柄をさらに、通常のステーキング、ハイブリッド型(PoS/PoW)、デュアル・トークン型と3つの種類に分割したいと思います。
通常のステーキング銘柄としてはIOST、XTZの2銘柄をあげます。
次に、ハイブリッド銘柄ですが、本記事ではコンセンサス・アルゴリズムとしてProof of WorkとProof of Stakeの両方を採用している通貨のことを指しています。
ここではハイブリット銘柄として、DASH、DCR、XZCの3銘柄を採用したいと思います。
最後に、一般にセキュリティー・トークンとユーティリティー・トークンの2つの性質を兼ね備えたデュアル・トークンとして、ステーキングを実施している通貨を加えました。
それらの通貨が、NEO、ONT、VETです。
本来であれば、CosmosのATOMがステーキング銘柄として分類されますが、2019年の途中からの上場だったため、本分析では省いています。
分析結果
結果は以下の図のようになります。それぞれ見ていきましょう。
ステーキング銘柄とビック5の相関性
それぞれ表の列にBTCからXTZが対角線上に並んでおり、それぞれの通貨との相関係数がわかります。
BTCとETHの相関係数が高いのは当然として、本題であるBTCとIOST、XTZの相関係数を見てみましょう。
BTCとIOSTは最下段右から2つめから、0.56と相関係数が出ています。またBTCとXTZは0.48程度となっています。
結論から言うと、この2つの数値、特にBTCとXTZの0.48という数値は、全てのステーキング通貨と比べてもBTCとの相関係数が一番低いという結論になりました。
このことから、通常のステーキング通貨とBTCの相関性が比較的低いことが言えます。
さらに、全体の平均相関係数も算出しました。結果は0.52で、相関してはいますが、あまり強い相関とは言えません。
この結果もまた以下に示す他のステーキング通貨の平均相関係数より多少低いという結果になっています。
[考察]
Binanceが先程出した年次レポートです。
各Qや年次単位でTOP20の通貨の相関が出ています。これを見ると、BTCとの相関が低い通貨は $ATOM $XTZ $LINK が挙げられます。
ATOMは上場がXTZより後ですが、共通するのは両方ともStakingを採用しているという点です。https://t.co/04jNYxtn2T— CRYPTO TIMES@ブロックチェーンメディア (@CryptoTimes_mag) January 22, 2020
最初に貼ったツイートを再掲しますが、ステーキング通貨とBTCとの相関係数が低いという仮説を多少なりともサポートする結果ではないでしょうか。
続いて、その他グルーピングのステーキング通貨との相関係数も見てみましょう。
ETHとIOST、BCHとXTZなどの結果に関しては、個別にご覧ください。
ハイブリッド銘柄とビッグ5の相関性
続いて行うのは、ハイブリッド銘柄とビッグ5の相関分析です。これらをみると純粋なステーキングに比べて明らかに濃い赤色で表が埋まっているのがわかります。BTCとの相関係数は全通貨に渡り高いですが、特にDASHとETHの相関係数が0.82が飛び切り高いことがわかります。
全体の平均相関係数は、0.6でややハイブリッド通貨との相関係数の方が高いと言えます。
デュアル・トークン銘柄とビッグ5の相関性
こちらも平均相関係数は、0.6となりハイブリッド銘柄と同じ程度に相関しています。
デュアル・トークンに関しては、セキュリティー・トークンとセキュリティー・トークンと2つの異なる性質を持っているため、どちらかに引っ張られ相関係数が高くなっている可能性が考えられます。
VeChainが唯一BTCとの相関が低いようにも見えますが、これはVeChainのガスとしての役割を持つVTHORが有名な取引所に上場していないことも考えられます。
まとめ
これまでに見てきたように全てのグループとの相関分析で、ステーキング通貨とビッグ5通貨に0.5から0.6ほどの相関が見つかりました。つまりこれは、ビッグ5通貨が全体として1単位の変動を受けた時、ステーキング通貨はだいたいその50%から60%ほど同一方向に価格が推移していくということを意味しています。
確かにグループ別で見た際に、全体で見れば平均相関係数はあまり変わらなかったものの、BTCとの相関係数においては比較的低い結果になりました。
今後、さらにグループを増やして同一の分析をすれば面白い結果がいくつも得られそうです。
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