特集・コラム
2019/10/05ブロックチェーンTCG『Gods Unchained』完全攻略 -6種類のGodを理解しよう-
Gods Unchained (ゴッズアンチェインド 以下:GU)は、近頃注目を集めているブロックチェーンベースのトレーディングカードゲーム(TCG)です。 HearthstoneやMTG、Faeriaなどに似た緻密なゲームメカニックはもちろん、ブロックチェーンの活用によりユーザー間でカードを取引できるのも魅力です。 GUは1年以上前からカードのプレセールが行われていますが、その間に日本語の記事が幾つかあったものの、その時からルールや状況に変化があります。現状では公式による日本語発信は全く行われていない為、今回の記事ではGods Unchainedの基本的なルールを紹介していきます。 ゲームの登録方法や操作方法についてはある程度直感的に理解できる部分も多いでしょうし、検索すれば色々記事が出てきます。またこちらのようなバトル解説動画もあります。また、カードの入手方法と種類について、課金要素を主とした内容はこちらの記事で説明しています。 よって、本記事ではそこからもう一歩踏み込んでの紹介をしていきたいと思います。 Gods UnchainedにおけるGodとは まず、6種類ある「God」の特徴を紹介していきます。 GodとはHearthStoneで言うところの「Hero」、クリプトスペルズの「文明」、シャドウバースの「リーダー」にあたります。 Godにはそれぞれ以下のような特徴があります。 God毎に4種類の基本スキル(God Power)を持つ God固有のカードが存在する (中立のカードも存在する為、God固有カード+中立カードでデッキを構成する) God毎に得意とする効果や能力が異なる 結果としてGod毎に得意とする戦法が変わってくる God Powerとは まずはGod Power(以後Power)の特徴をまとめます。 各Godが持つ4種類の基本Powerと、カードによって一時的に得られる特殊なPowerがある (調整中の為使えないものがある場合もあります)。 試合開始時にお互い1種類だけ選択する 毎ターンに1度のみ、マナを消費して発動できる (言い換えればターン毎に繰り返し使う事が出来る) Powerはカードを消費せずに繰り返し使える能力である為、上手く使う事によって大きなカードアドバンテージを得る事も出来ますし、コンボ用カードの前提にもなるという事です。 それでは、各Godの特徴と、それぞれのGod Powerをみていきましょう。 Gods Unchainedに存在する6種類のGod Nature Natureは最もバランスが良く、扱いやすい様にデザインされたGodと言えるでしょう。 TCG初心者であればとりあえずNatureから…という選択がお薦めです。 特徴 ランダム性と引き換えにマナコストより高い効果を得られる傾向が強い ステータスが高いクリーチャーを多く持つ 様々な効果のカードをバランス良く持っている ランダム性と引き換えに高い効果を得るという特徴は、初心者のプレイへの敷居を下げるはたらきがあります。 また上級者は、対象を絞ったりタイミングを適切にする事で、ランダム要素を減らす形でマナコストより高い効果を得ることができます。 こんな人にオススメ 手持ちカードがないしゲームも慣れていないので、とりあえず遊んでみたい 色々な効果、能力を試したい ランダム性を上手く管理してプレイしたい NatureのGod Power Forage: 自分のVoid(墓地)からランダムに6枚のカードを除去する。Voidが空になった場合にはランダムなNatureカードを1毎引く Animal Bond: 1/2のBadgerもしくは2/1のEagleどちらかをランダムに召喚する Flourish: ランダムな味方クリーチャー二体を+1/±0する Leech Life: ランダムな敵クリーチャー一体に2ダメージを与える。自分のGodを1点回復させる。(敵クリーチャーが居なくても1点回復します) Magic Magicは豊富なクリーチャー除去やドロー関連(カードを引く)の能力で長期戦に持ち込み勝利に繋げる事が得意です。 特徴 クリーチャーやGodへのダメージスペルやPowerが豊富 扱いやすい敵全体除去カードが豊富 スペル関連の効果、ドローやドロー効率化、マナブースト関連が豊富 Powerも除去に直結するものが多く、Natureとは違う形ながらも扱いやすいGodと言えるでしょう。 特に試合の鍵を握りやすい全体除去系が豊富且つGod Powerでも除去が豊富な事から、手持ちカードが少ない状態でもデッキが組みやすいと言えます。 更に踏み込むと、マナ関連の効果を扱って展開速度を調整したり、ドロー系を織り交ぜて後半のアドバンテージを大きく伸ばしたりもできます。 こんな人にオススメ とにかくクリーチャー除去に困りたくない じっくり長期戦で試合を進めたい マナブーストやドロー系が好き MagicのGod Power Blastwave: 敵クリーチャー2体に1ダメージを与える(選択基準はHealth(体力)が高い順です)。 Discovery: 自分のVoid(墓地)からSpellカードを1枚選んで手札に加える。対象カードはその際コストが+2され、Soullessという属性が付く事により再利用が出来なくなる。※ちなみにSpellにはRuneも含まれます Clear Mind: Foresee2、更にGodにProtectedを付加する (Foresee Xとは、今後引くカードを上からX枚分確認した上、不要なものを選んでデッキの一番下に回す事が出来る効果です。Protectedはダメージを1回だけ防ぎます) Magebolt: 対象の敵クリーチャーに2ダメージを与える。 War Warはクリーチャーの強化やBlitz(召喚酔いを無くす速攻能力)、Relic(武器)を使った強力な一撃が得意なGodです。 特徴 クリーチャー強化が豊富 誰にでもBlitzを付加できるPowerを持つ 最も多くのRelicを持ち、Relic用Powerを使う事でRelicを延命させられる これらの能力はクリーチャー戦で優位性を持ち易くするものが多いですが、その反面間接的なクリーチャー除去はあまり得意でなく、長所を活かしてクリーチャー戦で盤面を優位に保つ事が求められます。 またRelicによる攻撃は強力ですがクリーチャーを殴ってGodが受けたダメージを回復する手段が非常に乏しい為、Relicの活用は長期戦には厳しいでしょう。 こんな人にオススメ クリーチャーを強化したりクリーチャー戦を有利に進めたい 先手を取り続けて展開をリードしたい 兎に角一回で大きなダメージを出したい WarのGod Power Onslaught: 対象の味方クリーチャーにBlitzを与える(尚、Blitzで攻撃可能になる対象は相手クリーチャーのみであり、相手Godは攻撃出来ません。また一部のクリーチャーが持つAbilityはBlitzで使える様にはなりません)。 Enrage: 対象のクリーチャーを+2/+2します。加えて味方ならばBurn+2を、敵ならばBurn+4を与える(クリーチャーの持ち主のターン終了時にBurn+X分のダメージを与え、それを毎ターン繰り返す)。 Intense Training: 自分のターン終了時、手札内のランダムなクリーチャーに+1/+2する。 Slayer: 装備しているRelicの耐久値を+1する。もしRelicを装備していない場合は攻撃力2、耐久値1のRelicを装備する。 Death Deathは代償を支払う代わりに強力な効果を得られる様なカードを多く持ちます。 扱いにくいところもありますが、それ以上に強力な要素が多く魅力的なGodと言えるでしょう。 特徴 何らかの代償がある代わりに強力な効果のカードが多い クリーチャーの死亡を有効活用する手段に長け、Reanimte(Voidからの直接的な復活)が扱える クリーチャーの除去カードが豊富、且つダメージ依存しないものが多い 例えば、Godのライフや味方クリーチャーを犠牲にする、または全体除去なら味方諸共、Godへのダメージならお互い同時といった様な両刃のカードが多くあります。 そうした効果を扱う為、クリーチャーの死亡を有効活用したり、ライフ吸収効果を与えたりと欠点を補うPowerを扱う事も出来ます。 更にクリーチャー除去が豊富な上に、ダメージ依存せずに除去出来るカードを非常に多く持ちます。 こんな人にオススメ 復活系、味方犠牲系が大好き とにかくコンボを楽しみたい 大型クリーチャーが好き DeathのGod Power Soul Burn: 対象のクリーチャーにBurn+2を与え、加えて敵Godに2ダメージを、その次に自分に2ダメージを与える(クリーチャーの持ち主のターン終了時にBurn+X分のダメージを与え、それを毎ターン繰り返す)。 Undying Wish: 対象のSoullessでない味方クリーチャーに、”死後2/1のGhoulを召喚する”能力を与える。 ※尚、GhoulもSoulless属性である為、GhoulをGhoul化しての再利用は出来ません。 Blood Ritual: 対象の味方クリーチャーを+1/-1した上、ターン終了時までLeechを与える (Leechを持つクリーチャーが与えたダメージ分、持ち主のGodを回復します)。 Reanimate: 対象の味方クリーチャーにSoullessを与え、更に破壊する。自分のVoid(墓地)から破壊したクリーチャーのマナコスト+1までのマナコストを持つクリーチャーを選んで復活させる。※尚、Voidから復活させた場合はRoar効果が発動しません Light Lightは回復と守り、クリーチャーのステータス操作に長けるGodです。 結論としては扱いにくい部類かもしれませんが独特の長所を持ちます。 特徴 Heal(回復)とステータスのコントロールに長ける Frontlineが多く、トークンクリーチャー生成能力も高い クリーチャー除去は少し特殊で扱いにくい Heal能力を持つのはほぼLight系と一部のNatureのみであり、更にCleansingというBuff/Debuffをリセットする効果を持つのはLightのみです。 またFrontline(前衛)が多く、2/2や1/1のトークンクリーチャーの生成能力にも長けています。 逆にステータスに優れる大型クリーチャーの様なものは非常に少ない欠点を持ちます(とは言えNeutralで補える)。 こんな人にオススメ 回復、防御系とディフェンシブに試合を進めたい 沢山クリーチャーを召喚したい 相手の使う強力クリーチャーを逆手に取りたい LightのGod Power Heavens's Light: 対象の敵クリーチャーを±0/-2する。ただし2以下には下がらない。 Heal: 対象を2点回復する(God/クリーチャー可)。またクリーチャーのHealthがMaxだった場合には±0/+1する。 Chosen Vision: デッキのカードを上から2枚確認し、Chosen One(ランダムに選ばれる1体のクリーチャー)を3枚分デッキの上側に近付け、更に+2/+2する。※既に選ばれたクリーチャーが手札や場に出ていた場合でも+2/+2されます。 Summon Acolyte: 2/2のAcolyteを召喚する Deception Deceptionは最も扱いにくいGodであると明言されており、TCG初心者向けではありません。 相手の環境やカードを利用したり、コピーしたりする能力に長けています。 特徴 クリーチャーを手札に戻す、コントロールを奪う、相手のカードをコピーする様な能力を持つ 相手や盤面の状況に依存するカードが多く、扱いやすさに欠ける 上手く機能すると相手の意表をついたり、大きな結果を得られる 色々なカードや戦術への知識が求められる傾向があり、クリーチャー除去も条件付きの物が多いです。様々な手管で相手への嫌がらせが出来るカードが豊富で、効果的に行使する為のタイミングが非常に重要と言えます。 特に序盤の展開が早いタイプが苦手で、巻き返しが厳しい傾向にあります。 こんな人にオススメ 人間相手の駆け引きが大好き カード同士のシナジーが重なると楽しい 色々なGodのカードを織り交ぜてプレイしたい DeceptionのGod Power Thievery: 自分のGod Powerを対戦相手が現在使っているものと同じものに変更する。更に相手が次に引くカードを1枚確認し、望めばデッキの1番下に回す事が出来る。※God Powerの使用は1ターン1回である為、これを使ったターンにはコピーしたPowerが使えません。 Memory Charm: 対象クリーチャーを+2/±0する。更に自分のターン終了時、そのクリーチャーはSleep(1ターンの間、能動的アクションが取れない)する。※敵クリーチャーに使った場合、直後の敵ターン終了時までSleepが継続します。 Cheat: 対象クリーチャーにHidden(敵からのターゲット不可、Frontlineを持っていても無効)を与え、更に1ダメージを与える。※主にダメージ用途と、敵Frontlineを隠して機能させない事、味方を隠す事等に利用します。 Flip: 敵Godに属するランダムなカードを1枚手札に加える。※相手デッキのカードではなく、相手Godのカード全てが対象となります。 まとめ 今回の記事では、Gods Unchainedのプレイでもっとも重要な「Gods」の特徴を紹介しました。 Godsはそれぞれ異なるPowerを持っているため、Neutralカードとの組み合わせで様々なプレイスタイルを楽しめます。 現在、日本でもクリスペがTCGブロックチェーンゲームとして、人気を集めていますが、海外でもTCGの人気には火がついているとみられ、開発元のImmutable社は今年9月に1500万ドルの資金調達したことを発表しました。 最近ではGods Unchainedの勝利報酬だけでブラジルのプレイヤーが最低沈金を稼ぐという話題が出てきました。 https://twitter.com/nouminkou3/status/1178926405867859968?s=20 それ以外にも、10月末にはGods Unchainedが正式リリースすることが決まっています。 今回の記事で興味を持った方は、是非Gods Unchainedをプレイしてみてはいかがでしょうか。
特集・コラム
2019/10/05兼業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【10月5日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 先月の更新後、BTCはディセンディングトライアングルを下抜け、見事に垂直落下していきましたね。しかし、そんな状況が続いているものの、どことなく一部のアルトコインが元気になりつつあるように思います。 ということで、今回はBTCはサラッと分析し、比較的主要アルトの分析に重きをおいてみようと思います。是非、最後までお付き合いくださいね。 それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) BTCに関しては、9月5日公開の記事以降、おおむね予想通りといった展開ですね。ざっくりここまでの流れを振り返ってみましょう。 黄色チャネルにてリターンムーブ(橙矢印)、のちディセンディングトライアングルを下抜け、本格的な調整下げへ突入。現在は緑チャネルに移行し、さらに調整が継続するのか?といった状況です。 とはいえ、日足的にはどちらに転んでもおかしくない状況ですので、中期チャートを元に、より細かく分析していきましょう。 BTCチャート(中期) こちらが中期チャート(4時間足)になります。 緑チャネルの下限周辺+長期サポート帯(7500-7800ドル)に接触後、やや底形成っぽい展開に傾いていますね。では、ここをピックアップして見てみましょう。 今回の重要ポイントは、「8500ドル周辺の黄色ゾーン」。これは、現在の直近安値からのリバウンドに対し、再度戻り売られたポイント、つまりリバ取りロンガーも中期ショーターも「ここから上は厳しい」と判断し、売りを入れたポイントということです。 となれば、ここから「底形成を完了させるのか?」、それとも「底形成できず再度安値を更新する展開となるのか?」、これを占う指標として「8500ドル」というのは非常に重要な位置づけであることが推測されます。 また、少し形は汚いですが、現状を底値周辺での推移を逆三尊形成中と仮定すると、8500ドルはそのネックラインに当たるポイントになります。 ですから今後は、常にこの8500ドルを判断指標とした状況分析をお勧めします。では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 8500ドルを上抜け(逆三尊成立) ⇒一旦上昇(9400ドルを目処) 8500ドルを上抜け出来ず ⇒緑チャネル下限(7000ドル)へ 正直、比較的下優位な展開ではありますが、前回の下げ幅がかなり強烈だったのもあり、8500ドルをすんなり上抜け、一旦上に振ってくる可能性も否めないです。 なので、現状ポジションを持っていないのであれば、わざわざツッコんで売るのではなく、8500ドル上抜けでのロング、もしくはその後の戻り売りポイント、9400ドルまで待つというのが懸命でしょう。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 少し振り返ってみますと、9月4日以降、BTC(価格)の下落に伴って、BTCドミナンスが下落、そしてそれと同時に主要アルトドミナンスが上昇しています。恐らく、資金がBTCから主要アルトへと移動したのでしょう。この資金移動によって、主要アルトの上昇相場が発生したわけですね。 しかしその後、BTC(価格)は大きく下落し、調整が本格化していきました。前回記事では、「このBTC下落のタイミングで、アルトから再度資金が抜けるのでは?」と見ていましたが、実際はどうでしょうか?少し拡大してみて見ましょう。 一時、BTCの下落により大きく下落したものの、その後の出戻りにより、アルトドミナンスは全く下落していませんね。これはかなり予想外でした。 そしてさらに驚いたのが、USDTからも資金が流出しているという点。これはつまり、『「BTCは下げ相場だが、RRを踏まえるとUSDTに資金撤退させるのではなく、アルトに資金を回したほうがいい」と判断したトレーダーが多くいる』ということです。 これを踏まえると、ここからは「アルトから資金が抜けるか?」が肝になってきそうですね。 当然、ここから再度アルトに資金が流れるとなると、アルトを投機目的で購入すべく、現物BTCが買われはじめます。こうなると、BTCが現物主導で買い支えられるため、下値も限定的になり、アルト↑、BTC→となる可能性も考えられますね。 では次に、主要アルトの分析を通して、アルト市場全体の展開予想、それを踏まえた上でのBTCの推移について、分析+解説していきましょう。 主要アルトコインの動向 これまでは、「BTC↑ アルト↓」、もしくは「BTC→ アルト↑」といった展開がほとんどでしたが、現状は「BTC↓ アルト↑」と綺麗に逆相関して推移しています。 やはりその中でも、前回記事でも取り上げた「ETH」「XRP」、そして「IOTA」の推移が目立ちますね。とはいえ、BTC価格が下がっているため、ドル建て価格はほぼ変わりませんが、BTCが下落しないのであれば、BTC建てアルトでの差益獲得も十分に見込めます。 ということで、今回は「ETH」「XRP」「IOTA」の3通貨を分析していこうと思います。 ETH/BTC 現状、綺麗に上昇していますが、サポートラインをすぐ下に控えているため、少し窮屈な展開ですね。このまま、直近高値を更新できれば問題ありませんが、サポートラインをした抜けるとなると、ダブルトップ形成に傾く可能性が急上昇してしまいます。 これらを踏まえると、ここから買うのはややリスキーですね。状況としては悪くないが、恐らくETHが上げるのであれば、他のアルトも上げると思うので、RRを踏まえると「わざわざETHにする必要もないのでは?」というのが個人的な所感です。 XRP/BTC 久しく抜けれていなかった200MA(赤)を上抜けており、この後押し目を作れるかが非常に重要な展開です。万が一、押し目を作れた場合には、白ゾーンの突破で逆三尊成立になりますし、BTCの状況を踏まえず考えると、かなり上昇見込みが高いチャートですね。 もちろんBTC建てですから、BTC価格は無視できませんが、「押し目を作ったときに、BTCがどうなっているか?」次第では、かなり投機対象としては優秀だと思われます。 IOTA/BTC コチラもパターン形成はしていないものの、状況としては全く悪くはないですね。 しかし、レジスタンス(白ゾーン)を上抜けはいるものの、なかなか伸び切れておらず、今後は「上抜けたレジスタンスをサポート(押し目)に出来るかどうか?」というのがポイントになってきそうです。 以前までは、BTCが大きく伸びるときには、その前触れとしてIOTAが急上昇する傾向があったため、それを頭の片隅に入れておくとよいでしょう。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは調整本格化 →8500ドルが肝 BTC⇒アルト以降、資金が抜けていない →リスクオン転換の可能性(?) だいたいこんな感じでしょうか。 BTCだけで見ると、先日のディセンディングトライアングル下抜けもあり、目線は下ですが、主要アルトだけで見ると再度アルト上昇展開もありそうな展開ですね。 BTCは下でアルトは上・・・と、結構複雑な相場ですが、アルトを仕込むにしてもBTCを仕込むとしても、焦って動くような地合いではないと思います。とりあえず、BTC8500ドル周辺での動向を見てから・・・、といった立ち回りが最も無難でしょう。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/10/04イチからわかるマイニング事情【第2回】: 実際の統計からみるマイニング産業
前回はマイニングの難易度やハッシュレート、ビットコインの価格下落などがマイニング産業にもたらす影響を解説しました。 今回は、BitMEXが出しているリサーチを元に、去年2018年11月初めから12月初めに見られた価格下落と、ハッシュレートやマイナー報酬の関係性を実際の統計と共に見ていきたいと思います。 この記事を読めば、暗号資産と難易度の密接な関係、そしてそれらが市場に及ぼす影響がわかると思います。 基本統計 みなさんも記憶に新しいと思いますが、2018年11月〜2018年12月にビットコインの価格は45%近い下落を見せました。 価格の下落後に、ハッシュレートも31%ほど下がったという統計がBitMEXから出ています。 ハッシュレートの低下はマイナーの市場撤退を意味します。より少ないマイナー人口でマイニングを進めようとすると必然的にハッシュレートが低下していきます。 今回の31%ものハッシュレート低下は、ビットコイン価格の下落のために市場からマイナーが撤退したことによって起きたということです。 BitMEXは、130万人以上のマイナーが市場撤退したと概算しています。 結果的に、1日のマイニングによる利益が1300万ドル(現在の日本円換算で約14億2千万円)から600万ドル(約6億5千万円)まで落ち込んでしまいました。 難易度調整の遅れ またこの価格下落が、11月16日と12月3日にそれぞれ7.4%と15.1%の難易度下落を引き起こしたようです。 状況をより複雑にしているのが難易度調整の遅れです。難易度は2016ブロックごとに行われますが、その2016ブロック、約2週間の間にも価格の低下が起きてしまうことが多々あります。 価格は一夜にして暴落することもある一方で、マイニングの難易度は2週間おきに行われます。難易度の調整が価格の下落についていけないことが大きく市場自体に影響を及ぼしているのです。 価格が下落したとしても難易度の適切な調整でハッシュレートの低下は抑えられるはずですが、難易度の再調整に遅れが出てしまい、ビットコインの価格に対するマイニングコスト(電気代)が割に合わず、マイナーの数が激減することが昨年起こりました。 マイニング産業の利益率推定 BitMEXのリサーチによれば、1kWh(電気ストーブを一時間使用したときの消費電力量)につき0.05ドルの電気使用料のみを可変費用と仮定した場合、価格が下落する以前は約50%ほどの利益率を保っていました。 これは、0.05ドルの費用に対して1ドルの収益を上げていたということになります。これが価格の下落以後、ビットコインの場合30%に下落してしまいました。 これらの概算は、全てのマイナーに同一の費用がかかっていることを想定した場合でした。しかし現実には全てのマイナーが同じ費用を抱えているわけではありません。 中国でマイニングを行うマイナーはアメリカや日本でマイニングを行うマイナーに比べて可変費用(1kWhの電力量をしようする時の費用)が少なくて済みます。 そのことも考慮に入れた概算をBitMEXが出しており、そちらの方が現実を分析する上で適しています。 実際は、価格の下落に伴って電気代と比較して元が取れなくなったマイナーから順に市場退出をしていくことが考えられるからです。 そこでBitMEXは、電気代が平均0.05ドル・標準偏差0.01ドルの正規分布に従っていると仮定して分析を行いました。 平均0.05、標準偏差0.01の正規分布に従っているということは、だいたい68%のマイナーが1kWhあたり0.04ドルから0.06ドルの費用を持っている仮定になります。 そしてマイニングコストが高くつくマイナーから徐々に市場退出していくということです。 ですから、ビットコインの価格が下落すると、初めに0.09ドル/khw(平均から4つ標準偏差づれている費用)から0.08ドル/khw(平均から3つ標準偏差高い費用)のコストがかかってしまうマイナーが先に市場退出していきます。 次に0.07ドル/khwから0.06/khwの費用がマイニングにかかってしまうマイナーが市場退出をしていくといった次第です。 この仮定の下で価格下落がどれほど利益率に影響するのかということを分析しています。 この仮定で分析を行った結果、利益率が50%から40%台の下落で抑えられていることがわかりました。 これは市場にいるマイナーにとっては以前の30%に比べ幾分良い状況であるということになります。 マイニング市場からマイナーが撤退するとトランザクションの処理速度に遅れが出てしまう他、51%攻撃などのブロックチェーンに対する攻撃に無防備になってしまうということが考えられるため、当初の仮想通貨の理想から遠ざかってしまう恐れまであるのです。 価格下落の考えられる原因 それでは価格下落が起こった原因はなんでしょうか。 はっきりした原因はわかっていません。 しかし、見過ごすことのできない前兆として、価格が下落する前にマイナーによる大量の売り注文があったことがわかっています。 投資家向けに仮想通貨市場のデータを提しているプラットフォームーBoltzmannが、11月12日に大量にビットコインの売り注文を入れるマイナーを確認したと報告しています。 その中でも多くのマイナーが巨大マイニングプールであるSlushpoolのメンバーだった可能性が高いと見ています。 マイナーが保有しているビットコインを売ることで価格下落の原因を作ってしまったことも考えられるということです。 まとめ 今回はマイニングのハッシュレートと難易度、そして価格の関係を顕著に表している実際のデータを見ていただきました。 BitMEXのリサーチからもわかるように、やはり価格の下落とマイニングの難易度、そしてマイナー達のインセンティブの間には大きな関係があります。 このあたりをしっかり理解して、難易度の再調整などのニュースを見ればよりマイニング事情が頭に入るのではないでしょうか。 また今回紹介したリサーチに関して、マイナー達の売り注文がビットコイン価格の変動に大きく影響していることもおわかりいただけたかと思います。 独占状態にあるマイニングプールが価格の変動にまで影響することも見て取れたと思います。 次回は「マイニングプールの形成と巨大化は防げるのか?−理論と現状」と称しまして、マイニングプールの説明とその巨大化が懸念される中でどのような理論的枠組みが提供されてきたのかを、The Miner's Dilemmaという論文をご紹介しながらご説明していきたいと思います。
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2019/10/03リップル(XRP)とSBIの関係性とは?最新ニュースと合わせて紹介!
リップル(XRP)に関して調べていると、「リップル×SBI」というワードの組み合わせをよく目にすると思います。 本記事では、リップルとSBIが行う共同事業について解説していきます。 後半には、リップルとSBIに関する最新注目ニュースの解説やXRP(リップル)の今後についても紹介しているので、是非最後まで読んでみてください。 リップル(XRP)とSBIの関係とは? リップルとSBIは主に以下の3つの点で関わりがあります。 ・SBIがリップル社の株を10%保有している ・SBIとリップル社が合同出資でSBI Ripple Asiaを設立した ・SBI RemitでxRapidを用いた国際送金を計画中 それぞれどういうことか詳しくみていきましょう。 SBIとは? 時価総額5000億以上の持株会社「SBIホールディングス」を筆頭に、ネット銀行やネット証券会社を傘下に構えているグループ会社の総称。 SBIがリップル社株の約10%を保有している SBIグループのベンチャーキャピタル「SBI インベストメント」は過去にリップル社に出資を行っており、現在SBIグループはリップル社の株式も保有しているようです。 ここでの注意点として、SBIが保有しているのは暗号通貨XRPではなくリップル社の株式です。 つまり、例え暗号通貨XRPが普及しなかったとしても、リップル社が手がける他のサービスが普及すればSBIが困ることはありません。 合同出資でSBI Ripple Asiaを設立 2016年にSBIホールディングスとリップル社が出資して「SBI Ripple Asia」という合同企業を設立しました。 この会社では、リップル社の技術やサービスをクラウド上で利用できる「RCクラウド」を開発しています。 また同社は、日本の銀行60行以上が参加する「内外為替一元化コンソーシアム」を主導しています。 "内外為替の一元化"とは、かんたんに言うと「外国為替と内国為替に関する取引をスムーズにする」という意味です。また、"コンソーシアム"とは「共同事業体」や「集団」という意味を表す言葉です。 つまり「内外為替一元化コンソーシアム」とは、「外国為替と内国為替に関する取引をスムーズにしたい人や企業が集まるグループ」と捉えてもらえばイメージしやすいと思います。 ↓は内外為替一元化コンソーシアムなどについて解説している公式動画です。 (動画引用元:ripple.com) グループ会社SBI RemitでxRapidが利用される計画 SBIグループには国際送金事業を手がける「SBI Remit」という企業があります。 このSBI Remitは今後、リップル社のxRapidというサービスを利用して国際送金事業のさらなる拡大を目指すと発表しています。 SBI Remitは、リップル社も提携を結んでいる世界大手送金業者のMoneyGramのネットワークを活用し、国際送金累計7000億円を突破するなど、国内の送金業者としては最大規模を誇っています。 リップルとSBIの最新ニュース(最新版) リップルとSBIは「SBIがリップル社の株を10%保有している」「SBIとリップル社が合同出資してSBI Ripple Asiaを設立」「SBI RemitでxRapidを用いた国際送金を計画中」という3点で関わりがあることがわかりました。 両者の関係性について理解できたところで、「リップル×SBI」に関する最新のニュースを紹介していきます。 マネータップ株式会社へ三井住友信託銀行・大和証券グループ本社が資本参加(9/30) SBIホールディングスが今年設立したマネータップ社に、三井住友信託銀行と大和証券グループが資本参加しました。 マネータップ社は、リップル社のxCurrentという技術を利用したスマートフォン向け送金アプリ「Money Tap」を手掛けている企業です。 同アプリでは、24時間365日リアルタイムで送金が可能で、さらに相手の銀行口座情報がわからなくても携帯電話番号、QRコードのいずれかで送金をすることができます。 現在は住信SBIネット銀行と、スルガ銀行の2つの銀行のみに対応していますが、今後対応銀行が増えたらとても便利なアプリです。 マネータップへ出資している企業 SBIホールディングス、京葉銀行、足利銀行、阿波銀行、愛媛銀行、北日本銀行、きらぼし銀行、群馬銀行、山陰合同銀行、滋賀銀行、島根銀行、清水銀行、新生銀行、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、セブン銀行、仙台銀行、第三銀行、筑邦銀行、東邦銀行、東和銀行、栃木銀行、広島銀行、福井銀行、福岡中央銀行、福島銀行、北陸銀行、みちのく銀行、三井住友信託銀行、大和証券グループ本社(*3)、その他1行 SBIコスマネー社が約90%海外送金手数料の削減を実現(9/27) 韓国ソウルを拠点にフィンテックを活用した新しいサービスを提供するSBIコスマネー社が、国際送金手数料の約90%削減を実現しました。 SBIコスマネー社は、9月中旬にアジア・ヨーロッパ・北米などへの送金をサポートする「InstaReM(インスタレム)」という企業と提携を発表しました。 このInstareMは2018年2月にRippleNetに参加しています。 「SBIコスマネー社⇄InstaReM⇄RippleNet」と間接的ですが、SBIとリップルが関わっている事例となります。 まとめ リップル社のサービスが普及していくには既存の大手企業との連携が必要不可欠で、SBIはその役割を果たす重要なポジションにある企業です。 リップル×SBIの動向には今後も要注目ですね! 以下の記事では、XRP(リップル)の今後のシナリオについて解説しています。 リップル社のサービス、そして暗号通貨のXRPが今後どのようになるのか気になる方は是非読んでみてください。 XRP(リップル)は今後どうなる?Ripple社が予想する将来を紹介! 関連記事: ・XRP(リップル)とは?特徴や仕組み、銀行の実用化例まで紹介! ・なぜXRP(リップル)は中央集権的と言われるの?わかりやすく解説! ・【初心者向け】XRP(リップル)の買い方とおすすめ取引所を紹介!
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2019/10/02イチからわかるマイニング事情【第1回】: マイニングとは?
こんにちは、Takahiroです。 「マイニング」という概念は、ブロックチェーンや仮想通貨に興味があれば誰でも聞いたことがあると思います。 こちらでは、ビットコインなど主要ブロックチェーンのネットワーク維持や価格形成に欠かせないマイニングについて、基礎概念から過去データの解析、近況などを4回に分けて解説したいと思います。 第1回では、マイニング事情の理解に不可欠なハッシュレートとマイニングの難易度、そしてマイニング設備の遍歴を見ていきたいと思います。 こちらを読めば、ハッシュレートや難易度という概念はマイニング産業の基軸で、ひいてはビットコインの価格形成にまで影響を及ぼすことがお分かりいただけると思います。 また、マイニング機器の進化に伴ってマイニング事情が大きく変動していることが見て取れると思います。 第2回では、BitMEXが発表したリサーチを元に、去年のビットコインの価格下落に関する実際の統計を見ていきたいと思います。 価格下落とマイニング産業との関連性が実際のデータから理解できると思います。 第3回・第4回では「マイニングプールの巨大化は防げるのか」を題材に、マイニングを行うインセンティブを経済学的視点から分析した二つの論文:The Miner's DilemmaとMajority is not Enough:Bitcoin Mining is Vulnerableの内容をご紹介します。 様々な疑問に答えることで、マイニング事情を包括的に理解できるようなコンテンツとなっております。少し専門的な部分もありますが、できる限りわかりやすく説明していきます。 また今回の一連の記事では主にビットコインを題材にしていますが、お伝えする内容はProof of Work(PoW)コンセンサスを採用している仮想通貨全般に通じます。 それでは、早速見ていきましょう。 マイニングってなに? マイニングとは、ブロックチェーン上のトランザクションを管理するシステムで、ビットコインなどのPoWブロックチェーンで円滑な仮想通貨経済を保つための仕組みです。 マイニングではコンピューター(ノード)に膨大な計算をさせて、その中で「当たり」の計算をしたノードがブロックチェーンの新しいブロックを生成することができます。 以下では、このマイニングの詳しいプロセスを解説します。 マイニングの仕組み マイニングは、「ハッシュ値」と呼ばれる、一定の桁数のランダムな値を算出する作業です。 ハッシュ値は「B74D18C0BAB527A9A97B42B1AC5611D01D5436F41373B9B233F25B56C8345978」のように、アルファベットの混ざった16進数で表されることが一般的です。 試しに、コチラからSHA-256と呼ばれる「ハッシュ関数」に適当な文字や数字を入力してみてください。すると、毎回同じ桁数で値の異なるハッシュ値が出てくるはずです。 マイニングでは、この「ハッシュ関数」に取引データ、ナンス値、前ブロックのハッシュ値を入力して、次のブロックのハッシュ値を計算します。 上記で述べた「当たりの計算」とは、このハッシュ関数を用いて、一定以下の大きさのハッシュ値を見つける計算のことを指します。 取引データと前ブロックのハッシュ値というのは決まった値ですから、ここをいじくって当たりのハッシュを出すわけにはいきません。 なので、ナンス値を「総当たり方式」で変えて、ハッシュ値の計算を重ねて、当たりの計算を見つけにいくのがマイニング作業なのです。 当たりの計算を最初に見つけた人が、ブロックを生成することができます。ビットコインは、このブロック生成が約10分に一回起こるようになっています。 なぜマイナーはマイニングをするのか? マイニングには莫大な計算力が必要で、処理のためのコンピューターを稼働させるには電気代がかかります。マイニングをする「マイナー」はどうして電気代を支払ってまでこの作業に携わるのでしょうか? マイニング作業の結果新たなブロックの生成に成功したマイナーは、報酬としてビットコインを得ることができます。これがマイナーにとってマイニングを続ける動機(インセンティブ)となるのです。 この報酬は、新たに発行されるビットコインによって支払われます。市場にすでに流れているビットコインがマイナーに循環するのではなく、新規に発行されるビットコインがマイナーの手に渡り、世の中に出回ることになります。 このように、膨大な計算の末ビットコインが新たに発行される様を、金などを掘り出す作業になぞらえて「マイニング(採掘)」と呼ぶわけです。 ですから、マイニングやマイナーの数はビットコインの価格やネットワークの円滑化に大きな影響を与えうるのです。 マイニングの難易度とは? マイニングには、「難易度(ディフィカルティ)」と呼ばれる、ターゲットとなるナンス値の見つけにくさが設定されています。 上の項目で、ビットコインは10分に一度新しいブロックが生成される、と解説しました。 ここで難易度の調整が行われないと、マイナーの数やコンピューターの計算能力が増えることで「一定期間内に打てるハッシュの数(ハッシュレート)」が増加し、ブロック生成の時間(ブロックタイム)が短縮されます。 そうすると、一定期間内に市場に流れ込むビットコインの枚数は増えますから、その価値がインフレしてしまいます。 そこでビットコインでは、2016ブロック毎に一度マイニングの難易度を自動で調整して、人の手を加えずにインフレ率を安定させているのです。 2016ブロック×10分間は2週間となるので、2016個目のブロックが生成されてから難易度の再調整が行われるまでに2週間の間隔があるということです。 マイニングの難易度は以下の算出式から求められます。 次の2016ブロックを掘り出す難易度 = (前回の難易度 × 2週間) / 最新の2016ブロックを掘り出すためにかかった時間 つまり、直近2016ブロック分の難易度の総量を直近2016ブロックを掘り出した総時間で平均化した値ということになります。 このように決定された難易度で再調整が行われ、ブロックの生成速度はだいたい10分に保たれます。 難易度と価格の関係性 マイニングの難易度は、どのような条件で上下するのでしょうか? 以下の時系列統計では、去年2018年12月3日から12月31の間で難易度が低下しているのが見て取れます。 この背後には、ビットコインの価格が下がり、電気代などの可変費用に対して割りが合わなくなってきたマイナー達が市場退出をしたことが考えられます。 マイニングの難易度を決定する処理速度にはマイナーの人口も関係するため、このように難易度の低下が起こっているものと考えられます。 そして結果的にビットコインの機能に欠かせないマイナーが減り、またビットコインの価格を低下させるという事態を招いているのです。 これは、一般に「死のスパイラル」と呼ばれている現象で、ちょうど経済学のデフレスパイラルと同じような構造を持っています。 景気が悪化すると(ビットコインの価格が下がると)、家計の収入が減ってしまい(マイナーが得られる報酬が少なくなってしまい)、消費を抑えることで(マイナーがマイニングを控える・やめることで)、より一層景気が悪化する(ビットコインの価格がより一層下がってしまう)という悪循環に似ているのではないでしょうか。 早稲田大学大学院商学研究科の岩村充教授は、ビットコインは価格変動に合わせたマイニングに対するインセンティブの付け方を変えなければいけないと指摘しています。 また、サンタクララ大学の財政学教授であるAtulya Sarin氏は、ビットコインは「死のスパイラル」に突入し終焉を迎えるだろうという述べていました。 難易度とは、マイナーのインセンティブ、そしてビットコインの価格形成などと切っても切り離せない重要なものだということですね。 ハッシュレートとは 続いて重要になるのが、ハッシュレートと呼ばれるものです。 ハッシュレートとは、1秒間にハッシュ値を何回計算できるのか(hash/s)という単位です。 通常ハッシュレートと言うと、マシン一つ当たりのハッシュレートか、ビットコインなどネットワーク全体のハッシュレート(各マイナーのハッシュレートの合計)のどちらかを指します。 2019年10月時点のビットコインのハッシュレートは 、秒間86,263,993テラハッシュ(TH/s)となっています。 1TH/sとは1秒間に1,000,000,000回(1兆回)の計算するということですから、現在のハッシュレートでは1秒間に86,263,993×1兆回の計算が行われていることになります。 [caption id="attachment_43153" align="aligncenter" width="801"] (Blockchainから引用)[/caption] ハッシュレートの数値は、より多くのマイナーが参加すれば当然上がります。 マイニング機器の歴史 また、マイニング機器の性能もハッシュレートに大きく関わってきます。 まずは、マイニング機器の遍歴を見ましょう。 一番初めにマイニングをするために用いられてきた装置は、CPUです。 1秒に約2000万ハッシュを計算する能力をもつといわれているCPUですが、現在の難易度のマイニングを行おうとしても全く歯が立ちません。 CPUの処理速度の欠点を補うために、続いて使われるようになったのがGPUでした。 しかし、GPUはマイニングには使えないビデオ処理をするハードウェアがたくさん組み込まれており、効率性にはまだ改善の余地がありました。 その後、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application-specific integrated circuit)というようなマイニング専用のハードウェアが生まれました。 [caption id="" align="aligncenter" width="600"] CPU, GPU, FPGA, ASICの比較[/caption] 市場原理に導かれて多くのマイナーが利益を得るために労力を費やした結果、CPUからASICに至るまでかなりの処理能力の向上が見られました。 処理装置の性能が上がれば新たにブロックが生成されるまでの時間が短くなり、マイニングの難易度が上がらなければならないということが分かりますね。 しかし一方で、マイニング機器がより高価になっていったことや設備に高度な専門知識を要することなどが原因となり、誰もが参加でき、分散化された非中央集権的システムという理想から遠のいていると言えるのではないでしょうか。 一旦高性能で処理の速い装置が世に送られると、その装置を使ってマイニングが行われることになります。 仮にCPUやGPUで計算できるほどにまでマイニングの難易度が落ちたとしても、高性能なマイニング機器を持つ者が圧倒的に有利であることには変わりありません。 したがって現在の枠組みでは、専門知識を持たない、また高価な設備を備える資本を持たない人がマイニングに参入する隙が存在しないことになります。 まとめ シリーズ第一回目となる今回は、難易度やハッシュレートに焦点を当てて、それらが理論上ビットコインの価格形成にどのように影響するのかということをお伝えしました。 マイニングに関する基本的な知識をつけておけば、仮想通貨ニュースの理解度も増します。 マイニング事情はビットコインの価格変動にも影響を与え、結果的に仮想通貨が掲げる理念にも影響することが見て取れた思います。 次回は、BitMEXから出ているリサーチとともに実際のデータを見ながら、マイニングの難易度・ハッシュレート、そしてビットコインの価格下落の関係性についてお伝えします。
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2019/10/01罰金はなぜこんなに少ない?EOSは証券ではない?「EOS対SEC」の決着まとめ
米証券取引委員会(SEC)は昨日、ブロックチェーンプラットフォーム「EOS」の開発・運営を手がけるBlock One社に、認可を受けずに証券を販売したとして、2400万ドルの罰金命令を下したことを発表しました。 Block Oneは、2017年6月26日から2018年6月1日の間にかけて、ICOという形でEOSのERC-20テストネットトークンを販売し、合計41億ドルを調達しました。 SECはこのトークンが証券法に基づく証券であるとして、米国で必要な登録・免除申請を行わないまま米国市民にもトークンを販売したとして、Block Oneを証券法違反の疑いで起訴しました。 今回の決着を受けBlock Oneは、今日1日にブログを更新し、SECの主張に肯定も否定しないとした上で、命令の履行をもって一切の論争を終えたと発表しました。 メインネットトークンは証券ではない? SECが今回証券法に抵触すると判断したのは、Block OneによるERC-20テストネットトークンのICOです。 Block Oneの声明によれば、今回の一件では、このテストネットトークンを証券としてSECに登録する必要はない、という結論に至ったとされています。 これが本当にSECの意見と一致していると仮定した上で、この結論からはいくつか以下の含意が汲み取れます。 SECが優先的に着目したのは「トークンが証券であるか」ではなくて、ICOが証券発行(セキュリティ・オファリング)に当たったこと。つまり、ハウイ・テストの一部にのみ焦点を当てていた。 今回の裁判のフォーカスは、あくまでICOで発行されたテストネットトークンにある。「EOSのメインネットトークンが証券かどうか」は対象ではない。 ただ、SECの論点が商品自体(テストネットトークン)ではなく商品契約(ICO)に寄っている点、加えてこの商品を証券登録する必要がないと判断された点を踏まえると、メインネットトークンが証券にあたらない可能性は高い。 補足として、SECが4月に公開した文書では、証券とみなされない暗号資産の基準が詳しく記述されています。これでは、 ネットワークやプラットフォームがすでに稼働済み・トークンもすぐに利用可能である トークンの価格上下は偶然によるものである(スペキュレーションでない) 該当ネットワークのユーザーのみが適量のトークンを保有・交換している という要素をポイントに、デジタル資産がネットワークの利用のみに使用されることが重要視されています。さらに、SECは一度証券と判断したトークンを再度検討して、結果証券との判断を撤回するケースもあり得るとしています。 過去にSECは、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は証券ではないと発表しています。公式に認定されたわけでは決してありませんが、EOSは事実上この2銘柄に続く非証券トークンと考えられるのではないでしょうか。 罰金はなぜこんなに少ない? Block Oneが調達した41億ドルに対し、SECが命令した罰金は2400万ドルとなっています。こう見ると罰金がなぜこんなに少ないのか疑問です。 しかし、Block OneのICOはグローバルに行われていた点や、米国のIPアドレスをブロックしていた点、参加者に米国市民でないことを同意させていた点などを踏まえると、実際に参加した米国市民はそれほどの割合を占めなかったのではないかと考えられます。 「本人確認や規約に同意した参加者がいたにも関わらず罰金を課すのは酷では」という意見は最もですが、Block Oneは米国内のカンファレンスでプロモーションを行ったり、各地で広告を打ったりもしていたようです。 また、Block Oneに比較的有利な罰金命令に関し、ツイッターでは「単純に弁護士が優秀だった」という指摘も挙がっています。 まとめ: Block Oneや業界への今後の影響は? Block Oneにとって、今回の裁判は以下のような結果となりました。 罰金は調達額に比べるととても小さく済んだ 今回を以ってSECとの論争を終えることができた EOSのメインネットトークンは(おそらく)証券にあたらない ICOというトークンセール行為が証券法に抵触したことは間違いありませんが、過去に証券と判断されたトークンがプラットフォームの発展と共に(実質)非証券とみなされるケースが出てきたのは業界にとっては良いことではないでしょうか。 また、SECは今まで固執してきたハウイ・テストからもう少し視野を広げた見方をしているようにも伺えます。 しかし、同様に証券法違反で裁判の最中にいるKikが事業中止を予定するなど、過去にICOを行ったプロジェクトとSECの争いはまだまだ続きそうです。 参考サイト: SEC Block One
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2019/09/30LINEの仮想通貨販売所「BITMAX(ビットマックス)」の登録方法を徹底解説!
BITMAXは、LINE株式会社の子会社で、暗号資産・ブロックチェーン関連事業を展開するLVC株式会社が運営を手がける仮想通貨販売所です。 BITMAXは月間ユーザー数8100万人を誇るLINEアプリ内から利用することができ、LINE Payを介しての取引も可能になることから、暗号資産が人々の生活により身近になることが期待されています。 こちらのページでは、そんなBITMAXの特徴と登録方法を解説していきます。 ※1.LVC株式会社が提供するBITMAXは、中国に拠点をおく暗号資産取引所のBitMaxとは異なるためご注意ください。 ※2.BITMAXは暗号資産販売所です。販売所では、ユーザー間ではなく、販売所を相手に資産を売買します。 暗号資産販売所BITMAXの特徴とは? まずは、BITMAXが持つ、LINEと連携したサービスならではの強みを紹介します。 セキュアなウォレット管理 モバイル送金・決済サービスのLINE Payと連結 LINEアプリから簡単にアクセスができ、少額から購入可能 セキュアなウォレット管理 BITMAXは、技術力が高く評価されているBitGo Inc.のウォレットを採用しています。 ユーザーとLVC株式会社の資産は完全に分別して管理され、顧客資産はネット通信と分離されたコールドウォレットで保管されます。 したがって、専門のチームが管理するBITMAXのウォレットは、サイバー攻撃などに対する標準的な対策が整っていると言えます。 LINE Payとの連携で取引がスムーズに! BITMAXは、LINE Payと連携させることで日本円での入出金がすごく簡単になります。 また、LINE Payをすでに登録済み・使用中の方は、BITMAXの登録プロセスが短縮されスムーズに取引に移行できます。 BITMAXへの日本円の入金は、LINE Payからもできますし、LINE Payに紐付けしてある銀行口座からも可能となっています。 LINEアプリから簡単にアクセスでき、少額購入が可能 BITMAXの大きな特徴は、LINEアプリを開くだけで簡単にアクセスできる点にあります。 取引も1000円以下の少額から可能であるため、アプリ内から気軽に仮想通貨取引を行うことができます。 誰もが使うアプリから簡単に暗号資産にアクセスできて、しかも少額からスタートできるのですから、潜在ユーザーにとって暗号資産はより身近なものになっていくと考えられます。 BITMAXの登録方法 こちらでは、BITMAXの登録方法を詳しく解説していきます。 登録は早ければ5分ほどで完了できる簡単な手続きですが、スマートフォンからのみになりますのでご注意ください。 ステップ1:LINEアプリからBITMAXにアクセス BITMAXの登録は、BITMAX公式サイトから、または、LINEアプリ内からスタートします。 BITMAXの公式サイトにアクセスし「上記に同意してBITMAXをはじめる」、そのあと利用規約などへの同意を求められるので、よろしければ「同意する」をタップします。 BITMAX公式サイト ここまで完了すると、自動的に自身のLINEアプリに飛びます。その後は、上記画像右側の「口座開設に進む」から登録に進みます。 この画面には、LINEアプリからも直接アクセスすることができます。わざわざ公式サイトに行くのが面倒な方は、LINEアプリの「ウォレット」欄(下画像)からBITMAXにアクセスしましょう。 [caption id="attachment_43015" align="aligncenter" width="213"] (BITMAX公式ブログから引用)[/caption] ステップ2:お客様情報の入力 「口座開設に進む」をタップすると、「登録」と書かれた画面に移ります。項目にチェックを入れ、よろしければ「同意する」を押してください。 その後「お客さま情報の入力」に入るので、項目を埋めて「完了」ボタンをタップします。 ステップ3:本人確認書類の提出 続いて「LINEでかんたん本人確認」から本人確認書類を提出する方法を解説します。 以下の6つの書類が証明書として利用できます。 運転免許証 運転経歴証明書 日本国政府発行のパスポート 在留カード 特別永住者証明書 マイナンバーカード ここから本人確認書類を提出する3つの方法を解説していきますが、その3つの方法それぞれで有効な証明書が異なる場合がありますのでご注意ください。 本人確認方法は以下の3つがあります。 スマホでかんたん本人確認 銀行口座+身分証提出で本人確認 郵送で本人確認 この3つの方法それぞれで有効な証明書が異なる場合がありますのでご注意ください。 ①スマホでかんたん本人確認登録 (おすすめ) ステップ1:「スマホでかんたん本人確認」をタップし「LINE Pay利用規約」、「LINE Pay本人確認」を済ませる 上で行った「お客さま情報の入力」が終わると、「LINEでかんたん本人確認」という画面に移れます。 その画面にある「スマホでかんたん本人確認」を選択すると「LINE Pay利用規約」に移ります。そこで規約文を全てスクロールした後、よろしければ「同意する」をクリックしてください。 そのあと「LINE Pay本人確認」で個人情報を打ち込むページになるので、情報を打ち込んでください。 ステップ2:身分証の撮影 続いて身分証の撮影に入ります。提出する身分証を選択し、選択した身分証の表面・裏面の両方を撮影します。 ステップ3:スマホで本人確認 ①下部に見えるキャラクターのガイドに従ってアクションをとります。 ②写真付きの身分証と一緒に撮影をします。 ③身分証を動かしながら撮影をしていきます。 [caption id="attachment_43064" align="aligncenter" width="818"] (BITMAX公式ブログから引用)[/caption] これで「スマホでかんたん本人確認」の作業は終わりです。 ②銀行口座+身分証提出で登録 2つ目の方法は、銀行口座の登録と身分証のアップロードで本人確認手続きを完了させる方法です。 こちらの方法では銀行口座の登録が必要となります。銀行口座の登録がお済みでない方はこちらの銀行口座登録(LINE Pay公式ブログ)を参考にしてください。 ③郵送で登録・ハガキが届く 「LINEでかんたん本人確認」から「郵送で本人確認」を選んでも、「スマホでかんたん本人確認」の場合と同様に「LINE Pay本人確認」で個人情報を入力する必要があります。 「郵送で本人確認」をする場合、ここに登録した住所に後日ハガキが郵送されます。 ハガキに記載されているQRコードを読み取るか、一番下に記載されている16桁の英数字を入力すれば本人確認が完了します。 [caption id="attachment_43069" align="aligncenter" width="666"] (BITMAX公式ブログから引用)[/caption] 1日の入金上限・出金上限を確認しよう! BITMAXには、LINE Payと紐付く銀行口座のデビット支払いによる「入金方法1」と、LINE Pay残高から入金する「入金方法2」があります。 LINE Pay残高から入金する方が上限が圧倒的に高いことがわかります。なお、入金方法1、2を併用しても上限は1日100万円までとなります。 出金に関しては、本人確認の認証レベルによって変わります。認証レベル1が、セルフィーによる本人認証の未実施段階を指し、認証レベル2(任意)がセルフィーによる本人認証を完了している段階を指しています。 セルフィーによる本人認証は一応任意となっていますが、完了すれば出金上限が大幅に上がる点を踏まえておきましょう。 本人確認手順 入金上限 /1日 出金上限 /1日 入金方法1 入金方法2 認証レベル1 認証レベル2 銀行口座登録+身分証確認まで完了している場合 10万円 100万円 10万円 100万円 郵送で本人確認まで完了している場合 10万円 100万円 10万円 100万円 スマホでかんたん本人確認まで完了している場合 10万円 100万円 100万円 まとめ 以上、BITMAXの登録方法となります。 BITMAXは暗号資産販売所と言うことで、取引所に比べ高くつきがちですが、LINEアプリと連携している点は暗号資産のアダプションに大きく貢献するファクターとなるのではないでしょうか。 今後、同取引所がどれほど普及してくるのかに大きな注目が集まります。
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2019/09/30働き方を変える?社内通貨のメリットや国内企業での導入事例を紹介
仮想通貨という言葉が世間に認知され始めてしばらく経ちましたが、似たような言葉で「社内通貨」というものが存在する事はご存知でしょうか? 社内通貨は企業の労働環境や福利厚生に大きな影響を与えうる存在で、最近では導入する企業も増えつつあります。 今回の記事では、そんな社内通貨の導入事例やメリット、仮想通貨との違いをご紹介していきます。 社内通貨ってそもそも何? 社内通貨とは企業が自社の社員に向けて企業内限定で使える通貨を発行する仕組みの事を指します。 一説には2005年頃に導入され始めたと言われており、ブロックチェーンの登場も合間って最近では導入する企業が増えています。 主に企業内での評価制度やコミュニケーション手段として導入されている例が多く、企業側が用意した商品およびサービスの購入や、給与の金額に影響を与えるなどの使われ方をしています。 しかし、社内通貨と一括りにされてはいるものの、定義は広く、ポイント制度であったりブロックチェーンを用いた仮想通貨そのものであったりします。 仮想通貨との違いは? 社内通貨と仮想通貨の最も大きな違いは利用者の違いです。 上でも説明しているように、社内通貨は主に企業内での使用に止まるため、ユーザーは社員に限られます。一方の仮想通貨は誰でも取引に参加できるため、ユーザーは世界中の人々という事になります。 どちらもトークンをベースにした経済圏(トークンエコノミー)を構築しているという点では似ていると言えます。 実際に導入されている社内通貨の例 社内通貨はすでに複数の企業で導入されており、成功を納めているケースも少なくありません。ここでは、実際に社内通貨を活用している企業の例を紹介します。 ロート製薬株式会社|「ARUCO(アルコ)」 目薬やスキンケア用品の販売で知られるロート製薬は社内通貨を導入した最新の例の一つです。CryptoTimesでも報じているように、ARUCOは社員の健康を考えて設計された社内通貨です。 ロート製薬が従業員の健康促進のため社内通貨「ARUCO(アルコ)」を導入 ー CRYPTO TIMES 具体的な獲得方法としては、1日8,000歩(早歩き20分を含む)で1日10コイン、非喫煙で毎月500コイン、週に2回30分以上の運動で50コインとなっています。 そして、コインの使い道ですが、こちらも健康食のランチチケット1,000コイン、食リラクゼーション体験2,000コインなどと健康を意識した内容になっています。 ロート製薬はARUCOの導入を通して社員が自主的に健康と向き合う事を目標として掲げています。 株式会社DISCO|「Will(ウィル)」 半導体などの精密機器加工装置で高いシェアを誇る株式会社ディスコは、2003年に独自の会計管理システムとしてWill(ウィル)を導入しました。 当初は部門ごとの収支記録を管理するために使われていたWillですが、2011年に個人レベルに落とし込み、現在のWillのシステムに至ります。 1Willは1円の価値に固定されており、それぞれの社員がWillを管理する口座を保有しています。Willは全ての業務によって獲得もしくは支出する事が必要となっており、各社員がWillの最大化を目指す事で結果として会社全体の利益も最大化されるという仕組みの元運用されています。 具体的な例としては、製品の保守点検で10万Will獲得、航空券の手配で1.7万Will獲得となっています。 一方で、会議室の利用や備品の使用の際にはWillを支払う必要があります。さらには残業も支出としてWillが差し引かれるようになっています。 また、ディスコでは社内業務をオークション形式で受発注する仕組みがあり、Willを多く保有していれば仕事を発注できる機会が増えるという事になります。 獲得したウィルはボーナスの金額に影響を及ぼすため、社員は率先してウィルの最大化を考える事ができるようになっています。 株式会社オロ|「Oron(オロン)」 ビジネスソリューション事業とコミュニケーションデザイン事業を手がける株式会社オロでは社員同士が感謝の気持ちを伝える手段として社内通貨「Oron(オロン)」が導入されています。 社員には毎月3Oronづつ配布され、感謝の気持ちを伝えるメッセージとともに他の社員に贈る事ができます。Oronを贈るケースとしては、プロジェクト完了後や社員総会の終了後の他にも、結婚時や部署移動の際にも贈られているそうです。 Oronのやりとりは匿名通貨のように非公開となっており、気兼ねなく贈りあえる環境が整備されています。 溜まったOronはアイテムと交換する事ができ、Oron限定アイテムやMacbook Air、極め付けにHummer(30,000Oron)も用意されています。 カブドットコム証券|「OOIRI(オオイリ)」 ネット証券会社のカブドットコム証券は2016年10月に、三菱UFJフィナンシャル・グループのイノーベーションラボおよびイスラエル発のフィンテックベンチャー企業、ZEROBILLBANKと共同で開発した社内通貨OOIRI(オオイリ)を発表しました。 OOIRIはブロックチェーンを用いて開発されたコインとなっており、スマートコントラクトで付与する条件が設定されています。そして、ジオフェンシング技術を活用して特定の場所に決められた時間までに入る/出るという条件をクリアするとOOIRIが社員のZ-Walletに送付されます。 さらに、Z-WalletはLINEとの連動が可能となっており、IoT技術やBot技術も取り入れられた最先端の取り組みとなっています。 OOIRIの使い道としては、他の社内通貨と同様に感謝を伝える際や、社内でのインセンティブとして付与するケースがあります。また、使い道の一つとして大手町エリアの近隣の飲食店でも利用できるような施作が講じられているようです。 カブドットコム証券およびイノベーションラボはOOIRIを通して、働き方改革や社員の健康促進の実現を目指します。 株式会社Wiz|「Wiz(ワイズ)コイン」 20代の社員が7割以上を占め、ベストベンチャー100に5年間連続で選出されているIT総合商社のWizは「Wizコイン制度」という制度を導入しています。 Wizは若い社員が多いためSNSのように従業員同士が簡単に評価し合える環境作りのためにWizコインを活用しています。 この制度の特徴は社員のみならずアルバイトも対象である点、良いとされる行動に対してWizコインを送ることができる点、業務以外の行動でも評価可能な点となっています。 溜まったWizコインはオーダメイドのスーツやPCなどの商品に交換することができます。 株式会社フュービック|「FRICA(フリカ)」 株式会社フュービックはDr.ストレッチや岩盤ホットヨガスタジオを運営している企業です。同社はFRICAという社内通貨をやりとりできる専用のアプリを導入しています。 このFRICAは従業員同士のコミュニケーションツールとして機能し、受信したメッセージの文字数分コインがもらえる仕組みになっています。 溜まったポイントは社長との食事権やリゾートホテルの宿泊券、サプリなどの商品と交換することができます。 社内通貨のメリットとは? 社内通貨には数多くのメリットが存在します。上で紹介した導入企業のように、社員間でのコミュニケーション向上や仕事のモチベーション向上、評価される機会の増加などに繋がり、最終的には企業全体の業績にもポジティブな影響を与える事ができます。 これはブロックチェーンを用いた仮想通貨にも言える事ですが、社内通貨は中央集権であった企業の体制から個々が価値を決める体制へとシフトさせています。 また、独自の経済圏を築けるという点もメリットの一つに数えられるでしょう。カブドットコム証券のOOIRIでは、大手町エリアでのオフィス経済圏を形成しており、近隣の飲食店との交流や企業間をまたいでの交流が実現されています。 社内通貨は目的がはっきりとしていれば、社員側にとっても企業側にとってもプラスなシステムだと言えるでしょう。 一方でデメリットも存在 しかし、一方で社内通貨にはデメリットも存在します。当たり前ではありますが、社内通貨を新たに導入するという場合にはそれ相応のコストが発生します。 開発段階はもちろん、運用していくのにもコストがかかってくるため、そのコスト以上のパフォーマンスが発揮できないと導入した意味が薄れてしまいます。最近では、社内通貨の導入をサポートするサービスも登場していますが、自社で開発するという場合は知識も必要となってきます。 また、他の企業や店舗などと提携して包括的な経済圏の創出を目指すという場合には各所との連携が必要です。ここにも手間や時間、コストがかかってきます。 そして、手間やお金をかけて開発した社内通貨も使われないと全くもって意味をなしません。これは企業側が社内通貨の目的を明確にして、社員に積極的に利用してもらうように呼びかける事が必要だと言えるでしょう。 社内通貨でブロックチェーンを活用する意味とは 社内通貨と仮想通貨はぱっと見似た字面に見えますが、社内通貨の中にはブロックチェーンを採用しているものもあれば、全く別のシステムを使っているものもあります。では、社内通貨にブロックチェーンを導入する意味とは何なのでしょうか。 信頼性の獲得 社内通貨にブロックチェーンを組み込む事のメリットの一つは信頼性だと言えます。 ブロックチェーンではネットワークに参加するノードの合意形成によって取引情報が承認され、ブロックチェーン上に記述されます。また、ブロックチェーンは取引情報をまとめたブロックが連なる構造になっているのですが、この連鎖構造により、取引内容の改ざんは非常に困難になっています。 特にOOIRIのように金銭的なやりとりが絡む社内通貨や、給与に影響を与える社内通貨では信頼性や透明性は非常に重要な要素となってきます。 開発における難易度とコスト もう一つのメリットとしては、既存のブロックチェーンプラットフォームを活用する事で簡単かつコストを抑えて社内通貨を開発する事ができます。 イーサリアムやNEMなどのプラットフォームを使えば比較的用意に独自のトークンの発行が可能であり、一から社内通貨を開発するよりは手軽に行えます。 しかし、社内通貨は社員や近隣コミュニティ内で完結するように設計されており、不特定多数の相手と取引を行う仮想通貨とは根本的に異なります。社員や社内通貨の利用者を信頼できる相手だという前提があれば、ブロックチェーンのようなノードによる合意形成は必要ないかもしれません。 実際、現在提供されているブロックチェーンサービスの中にはブロックチェーンを用いなくても実現可能なものが多数存在します。社内通貨もこの例に漏れず、明確な理由を持ってブロックチェーンを採用しない限り大きな恩恵は受けられないでしょう。 まとめ 10年以上前からいくつかの企業で導入されてた社内通貨は仮想通貨およびブロックチェーンの登場によってじわじわと増えつつあります。個人的には社内通貨導入の最も大きなメリットは個々がお互いを評価し合えたり、より自由に仕事ができる環境の実現だと感じています。 実際に、株式会社ディスコはGreat Place to Work Institute Japan(GPTW)が選出する2019年版「働きがいのある会社ランキング」で第3位に選ばれています。ランキングへの選出は過去11年間連続となっており、社内通貨が与える影響の大きさが伺えます。 仮想通貨が非中央集権の社会の実現を目指しているのと同様に、今後企業でもより自由で自律的な働き方を目指して社内通貨の導入が進んでいくのではないでしょうか。
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2019/09/27XRP(リップル)にはマイニングがない?理由を簡単に解説!
ブロックチェーンや暗号資産について学ぶ上で必ず耳にするのがRipple(リップル)のXRPです。 ビットコインや現行のイーサリアムなどは「マイニング」が存在し、「ステーキング」を導入したブロックチェーンもあるなか、XRPはどちらのシステムも採用していないと聞いて疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。 そこでこちらの記事では、XRP(リップル)にマイニングが存在しない理由や、それによるメリット・デメリットを紹介します。 それでは、早速みていきましょう。 XRP(リップル)にマイニングが存在しない理由とは? 最初に結論を言ってしまうと、XRPにマイニングが存在しないのは、全ての通貨がすでに発行されているからです。 マイニングとは「データの承認作業を行い、新規通貨を発行すること」を表す造語です。BTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)はマイニングによって通貨が少しずつ市場に流れていきます。 一方、XRPは発行上限数の1000億枚全てがすでに発行されているため、「マイニングがない」と言うことができるわけです。 では、XRPは全てが市場に流れているのかというとそうではなく、全体の約6割(600億枚)を発行元のRipple社が保有して、少しずつ市場に売り流しています。 XRPはどのような承認作業を行っているのか マイニングはデータの承認作業と深いつながりがあると解説しましたが、マイニングがないXRPは一体どうやって承認作業を行っているのでしょうか。 XRPでは、PoCというコンセンサス・アルゴリズム(承認方法)が採用されています。このPoCでは、バリデータ=UNL(ユニークノードリスト)と呼ばれる、投票で選ばれた特定の人・企業が承認作業を行ないます。 UNLの80%以上が取引を承認することで取引が成立し、台帳にトランザクションデータが記録されます。 コンセンサス・アルゴリズムには他にもビットコインのPoWやイーサリアムのPoSなど、いくつか種類があります。 どれが一番良いかというのは、現在も議論が交わされており一概には決めることができません。 通貨のコンセプトや、目指す未来などによって採用されるコンセンサス・アルゴリズムは変わってきます。 コンセンサス・アルゴリズム 代表的な通貨 PoW ビットコイン、イーサリアム(現在) PoS イーサリアム(将来) PoC XRP(リップル) DPoS EOS、Lisk メリット・デメリットは? XRPが持つ「全ての通貨が発行済」「特定の人が承認作業を行う」という2つの特徴には、当然メリット・デメリットが生じてきます。 メリット ・マイニングが存在しないため、無意味な計算に電力を消費しない ・特定の人だけで承認作業を行うため素早く送金できる 1点目に関して、XRPは全ての通貨が発行済で、マイニングをする必要がないため無駄な電力を使う必要がありません。 ビットコインなどのマイニングでは、マイニング専用のコンピューターを無数に並べ、それをさらに空調で冷やしています。このようなマイニングに伴う電力浪費は環境保護の面からも問題視されています。 その点XRPでは、こういったマイニング作業を行う必要がないので、比較的省エネであると言えます。 [caption id="attachment_42962" align="aligncenter" width="450"] マイニングのイメージ[/caption] 2点目に関して、XRPはPoC方式で特定の人・企業が承認作業を行うため、合意形成までの時間が速くなります。 つまり、合意形成が速い=トランザクションのスピードが速い=送金のスピードが早いということになります。 XRPは国際送金を効率化するために発明されたネットワークなので、このメリットはとても大事になってきます。 デメリット XRPのデメリットとされているのが「一部の権力を信用しなければならない」ということです。 現在約30個の団体・企業がUNLとしてデータの承認作業を行っています。 [caption id="attachment_42956" align="aligncenter" width="614"] (UNLの分布:画像引用元https://minivalist.cinn.app/)[/caption] つまり、XRPという通貨を信用するには、この数十社からなるUNLを信用しなければなりません。仮にこの30社が手を組めば、特定の取引を承認しないということも可能になってしまいます。 機関や企業、国などの中央集権機関を信用しない経済圏の構築というのがビットコインなど当初の分散型台帳の理念であったことを考えると、XRPはUNLに依存した集権的なモデルであることがデメリットとも捉えられます。 まとめ XRPにマイニングが無いのは「全ての通貨が発行済みだから」ということがわかりました。 今回の記事で紹介した点以外にも、XRPは独自の分散型台帳技術「XRPLedger」を使っているなど暗号通貨の中でも少し異質な存在となっています。 以下の記事では「XRPがそもそもどういう目的で作られたものなのか」などを仕組みと共にわかりやすく解説しているので、気になった方は是非読んでみてください。 XRP(リップル)とは?特徴や仕組み、銀行の実用化例まで紹介! 最後まで読んでくださりありがとうございました! 関連記事 ・XRP(リップル)は今後どうなる?Ripple社が予想する将来を紹介! ・なぜXRP(リップル)は中央集権的と言われるの?わかりやすく解説! ・【初心者向け】XRP(リップル)の買い方とおすすめ取引所を紹介!
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2019/09/25兼業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【9月25日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 先週の全体的なアルト上げ相場からひと段落し、相場の雰囲気も少し落ち着きを取り戻してきましたね。出来ることなら、ここからもう1段階、2段階とアルトに資金が流れてほしいですが、それもBTCがどちらに抜けるか次第・・・といったところです。 ということで、2ヶ月ほど続いた保ち合い相場もようやく終盤!ここからの動きにしっかり付いていけるよう、今回もしっかり分析していきますので、ぜひ最後までお付き合いください! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) 9月上旬記事での下げ予想(下矢印)以降、だいぶもたついていましたが、じわじわと下落し、ついに日足でもディセンディングトライアングルが確認できるようになりましたね。出来高も衰退傾向にありますが、恐らくこれも「ディセンディング待ちの展開」による影響でしょう。 前回記事でも、「このディセンディング内で無理にエントリーすべきじゃない。抜けてからでOK」とお話しさせていただきましたが、これだけ多くの人が見ているであろうポイントですから、このブレイク時にはどちらかに大きく振れる可能性が高いと思われます。 ですが、分かりやすいが故に、それを逆手に取られてしまう可能性もあります。では、それらを踏まえて、中期チャートの分析、考察を進めていきましょう。 BTCチャート(中期) こちらが中期チャート(4時間足)になります。 9300-9500ドルをサポートにした、非常に綺麗なディセンディングトライアングルですね。 展開的には、下抜けが多いとされるディセンディングトライアングルですが、分かりやすいが故に、この下抜け時の売りを狙い打たれる場合があります。(この仕組みについては、前回記事にて解説済みですので、そちらをご覧ください) 参考記事:『兼業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【9月15日】』 とはいえ、Sを入れるまたとない機会であることも確かです。そのため個人的には、「ディセンディングトライアングルの下抜けでショートIN。その後サポート(9300-9500ドル)を上抜けてくる展開となれば損切り」といった立ち回りで行こうと考えています。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 ディセンディングトライアングル下抜けダマシ ⇒再度大きく上昇する可能性も視野 ディセンディングトライアングル下抜け ⇒8000ドルも視野 現状のBTCを見ると、下げるにしても上げるにしても燃料(既存ポジション)不足感は否めません。下げる場合でも、それなりにLポジションが溜まっていないと下げ切れませんし、上げる場合にもSポジションが溜まっていないとしっかり上げ切るのは困難です。 これを踏まえると、なんだか「下抜け時のSを燃料にして急上昇!」の可能性が高いように見えてしまいますよね。しかし、そんな時こそ忘れていけないのが『アルトコイン』です。 つい先週までは、主要アルトの全体的な上昇もあり、どことなく楽観ムードのように見えました。Twitterでも、応援していた通貨が久しぶりに上昇したからか、若干のお祭り騒ぎになっていましたね。 ですが今回のように、アルト市場が楽観ムードになってしまうと、BTCはその分下げやすくなります。 例えば、先週の全体的なアルト上昇を通して、多くのトレーダーが「これ以上出遅れまい!」と積極的にアルトを買ったとします。そんな楽観ムードの中、突如BTCが急落したらどうなるでしょう・・・? 大抵の場合、アルトトレードでBTCの枚数が増やしたところで、BTC価格が落ちてしまっては元も子もありませんから、みな我先にとアルトを手放し始めます。アルトを手放した際、BTC建てであれば手元にはBTCが残りますから、更なる損失拡大を防ぐべく、今度はBTC(現物)の投げ売りが始まります。 このように、一見下げの燃料不足と思われる相場状況であっても、アルトコインがその働きを担い、現物主導で下げていく場合があるわけです。 では次に、先週の楽観フェーズで「どれだけの資金がアルトに流れたのか?」を判断するためにも、ドミナンス分析に移りましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) ドミナンスを見てみると、「先日のアルト急上昇の背景には、BTC→アルトへと資金が流れた可能性」が確認できますね。このまま、BTCからアルトへと流れ続けてくれればいいのですがどうでしょうか・・・? 少し拡大して見てみましょう。 少し分かりづらいかもしれませんが、ETH、XRPのドミナンスが大きく上昇し、下げに転じて以降、USDTのドミナンスが上昇に転じていますね。恐らく、先にお話したような「今回のアルトリバウンドが、更なるアルト買いを呼び、BTC下落のトリガーになりうる」といったリスク回避思考によるものだと思われます。 とはいえ、これだけでは断定は出来ないので、今後は「大きな上昇を見せたETH、XRPが押し目を作るのか?」をメインに見守りつつ、USDTのドミナンス状況を元に、「現状の相場がリスク回避に向いているのか?」を判断していくべきでしょう。 では、次に主要アルトコインの動向について解説していきましょう。 主要アルトコインの動向 これを見ると、先ほどお話しした「BTC⇒アルトへと資金が流れた可能性」というのが一層現実味を増しますね。その中でもやはり、ETHやEOS、XRPの動きが目立ちます。 ということで、今回は、今後アルト相場を牽引しうる「ETH」、「XRP」。この2つに対象を絞って、分析していこうと思います。 ETH/USD 長期チャネル(緑)の下限周辺にて、レジスタンス上抜け後、小さなチャネル(緑細)を形成しながら推移していますね。ここで押し目を作れれば、再度水色ラインまで上昇・・・、も無くはないですが、その割には直近の推移が弱すぎる印象です。 確かに、今から仕込めばリワードもそれなりに見込めますが、それ以前にリスクが大きすぎますね。そのため個人的には、「勝負すべきポイントではない」と判断しています。 もし仮に、BTCの上昇を前提に買いに向かうのであれば、「BTCが一旦ディセンディングトライアングルを下抜けてから下ヒゲで仕込む」ぐらいのほうがパフォーマンス的にも優秀かと思います。 ただ、「無理して買うような場面ではない」というのは確実ですね笑 XRP/USD こちら、長期を通しての推移が分かりやすいよう、Bitstampのチャートをお見せしておりますが、正直買う理由が見当たらないですね。 確かに、「長期で見れば、0.25-0.5ドル間のレンジ」という風にも考えられなくもないですが、レンジ継続と仮定するのであれば、レンジ下限で反転上昇後、全戻しというのはいくらなんでも弱すぎると思います。 レンジと仮定した場合のRR(リスクリワード)で言えば、ETHよりも幾分触りやすい印象を受けますが、いくらRRが良かろうと、上がる見込みの薄いところでわざわざリスクを背負う必要はありません。よって、個人的にはパスですね。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは引き続きディセンディングトライアングル →下抜け騙しの可能性もアリ BTC⇒アルト(ETH,XRP)へ資金移動 →アルト逃げ遅れが下げ(投売り)トリガーになる可能性 ETH,XRPは、少なくとも攻めるポイントではない →RR自体は悪くないが、勝負する地合いではない だいたいこんな感じでしょうか。 個人的所感ではありますが、やはり「BTCがこんな状況にもかかわらず、アルトが盛り上がる」という動きに若干違和感を覚えますね。(むしろ、BTCがこんな状況だからこそ油断できないはずなのに・・・) 今回の記事でもお話ししていますが、私個人の予想としては、「先週からのアルト楽観を巻き込んだ現物主導でのBTC下げ」です。(あくまで、現時点での予想にしか過ぎないので、状況に応じて変わる可能性もありますが・・・) これまで、約2ヶ月にわたって保ち合いを形成してきたわけですから、上だろうと下だろうと、大きく動くであろう事は目に見えています。各自あらかじめ、無理のないロットに調整しなおすなど、衝撃に備えるようにしてくださいね! 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)