【ユーロ連動型】ステーブルコイン$EUROCとは?発行企業Circleも解説
m_crypto
米ドルと連動したステーブルコイン「USDC」を発行しているサークル・インターネット・フィナンシャル(Circle Internet Financial)は先日、ユーロに裏付けられたステーブルコイン「EUROC」の発行の開始を発表しました。
1/ Euro Coin ($EUROC) is now live via the Circle Account!
Our newest #stablecoin is designed with the same full-reserve model as $USDC so that it’s always redeemable 1:1 for euros.
Learn all about it: https://t.co/3PclycHxPk pic.twitter.com/5MpPjgbFPD
— Circle (@circlepay) June 30, 2022
世界の通貨でユーロは米ドルに次いで2番目に取引されている通貨ですが、ユーロをペッグとした代表的なステーブルコインは未だありません。
本記事では、ステーブルコイン$EUROCや、$EUROCを発行するCircleの概要について紹介します。
是非本記事を読んで発行元のCircle、ユーロと連動したステーブルコインEUROCについて学んでみてください。
目次
「Circle Internet Financial」について
Circle Internet Financialは、米ドルにペッグされたステーブルコインUSDCと、後述するユーロにペッグされたEUROCを発行している企業です。
Circleは、2013年にアメリカ合衆国のボストンにてジェレミー・アレール氏とショーン・ネビル氏によって共同設立され、会社として以下の使命をもっています。
- “To raise global economic prosperity through the frictionless exchange of financial value”
-Our Mission-
”摩擦のない金融価値の交換を通じて、世界経済の繁栄を高めること”です。
また、Circleは従来の金融システムと世界をリードするパブリックブロックチェーンの橋渡しを行う企業としても活躍しています。
Circleを牽引するチームメンバー
暗号資産・ブロックチェーン業界で世界経済、暗号資産投資家、企業をより成長させる事を目的としているCircleですが、どのような経歴の方がリーダーシップをとって牽引しているのか公式サイトにて経歴を確認出来ます。
あらゆる業界で経験を培い実績を残してきたプロフェッショナルが集うチームメンバーではありますが、個人的に興味深い人物は、最高戦略責任者兼グローバルポリシーの責任者であるDanteです。
Danteは、米Meta(旧Facebook)が発行を計画していたDiem(旧Libra)のプロジェクト管理を担うDiem Associationの副社長を務めていたのでステーブルコインの発行・運用に関して知見が深い人物であることが推察できます。
ステーブルコインUSDCとは
USDCは、1:1で米ドルとペッグされており米ドルや暗号資産と交換が可能なCircle社が手がけるステーブルコインです。
2018年に発行を開始したUSDCですが、2021年から右肩上がりで市場価値を高め、執筆時点で時価総額が$55.7Bを誇り時価総額ランキングは4位。1日の取引量は$4.15Bを記録しています。
もう少し細分化してみると2021年7月~2022年6月の期間によるUSDCの時価総額は、なだらからな曲線ではありますが、ステーブルコインの選択肢としてUSDCの需要が高まっています。
このようなことからUSDCは、ブロックチェーン間をシームレスに流動する市場インフラストラクチャの位置付けとなっています。
マーケットキャップ・ドミナンスのデータベース
https://defillama.com/peggedassets/stablecoins
USDC
マーケットキャップ | 54.67B |
ドミナンス | 35.7% |
USDT
マーケットキャップ | 66.92B |
ドミナンス | 43.7% |
執筆時点のデータによると、USDTに対してマーケットキャップの差は12.25B、ドミナンスの差は8%であることからUSDTの時価総額、ドミナンスには及ばないものの着実とシェアを獲得しており1位であるUSDTに迫る勢いです。
ペッグされているブロックチェーン
https://defillama.com/stablecoin/usd-coin
USDCはどのブロックチェーンで循環しているのか時価総額の割合とシェアを見ていきましょう。
- Ethereum 40.34b(73.34%)
- Solana 4.1b (7.45%)
- Tron 2.88b (5.23%)
- Avalanche 1.95b (3.56%)
- BSC 1.88b (3.42%)
- Polygon 1.54b (2.80%)
- Arbitrum 715.04m (1.30%)
- Fantom4 08.47m (0.74%)
- Algorand 244.89m (0.45%)
- Optimism 196.23m (0.36%)
- Others 722.74m (1.31%)
最も循環しているのがイーサリアムブロックチェーンで全体の7割を占めています。
ステーブルコイン「EUROC」とは
本題に入っていきましょう。
Euro Coin (EUROC)は、暗号資産市場557億$の市場価値をもつ時価総額ランキング4位であるUSDCと同じ発行元であるCircleが発行しています。
EUROCの裏付け資産であるユーロは、米国で認可されている金融機関が保管するユーロ建ての準備金によってペッグされており、Custodian(管理・保管)は、サンディエゴを拠点とする金融機関シルバーゲート銀行(Silvergate Bank)が担っています。
イーサリアムのチェーンで展開されているEUROCは、1EUROC:1EUROの比率で固定されており、ユーロとの交換が可能です。
Euro Coin (EUROC)をサポートしている企業は?
以下の取引所や企業がEuro Coin (EUROC)のサポートを表明しています。
- 取引所(CEX): Binance.US、Bitstamp、Bybit、FTX、Huobi Global
- DeFi:Compound、Curve、DFX、Uniswap Protocol
- カストディアン: Anchorage Digital、CYBAVO、Fireblocks
- ウォレット: Ledger、MetaMask Institutional
グローバルな取引所が名を連ねてサポートしていますが、Binanceは米国のUSがサポートをします。
活発に取引が行われるCEXであるBinance本家へのリスティングは、今後の注目ポイントになると思います。
Euro Coin (EUROC)の考察
先に市場にローンチしているUSDCはDeFiのイールドファーミングやレンディングで利用されていることからEUROCもDeFiに使われる可能性が大いにあります。これは投資家や暗号資産トレーダーにとって利点があるポイントと言えます。
EUROCは現在イーサリアムブロックチェーンで展開されていますが、イーサリアムブロックチェーンで全体の7割の流動性の確保に成功しているUSDCの事例があるため、EUROCが浸透していくマーケティング計画があるのは間違いないでしょう。
ただし、ヨーロッパ圏の暗号資産市場で主要ステーブルコインとなる可能性が高いEUROCを、米国の企業がユーロ連動型のステーブルコインを発行、展開していく事について規制当局がどのような対応をするのかは一つの懸念点として挙げられます。
実際ECB(欧州中央銀行)の理事会は、2021年7月14日にCBDC(中央銀行デジタル通貨)を準備するデジタルユーロプロジェクトを正式に開始することを決めており、金融システムが混乱しないように慎重に準備を進めるため2026年以降に発行運用に入る模様です。
ECB(欧州中央銀行)はMeta(旧Facebook)が企画・発行を進めていたステーブルコインDiemに強い警戒心を持っており、実用化に向けて発行・運用予定のCBDCに対しても数年かけて導入準備、検証をかけています。
基本的にインターネットに接続出来れば誰でも取引可能なEUROCですが、ユーロ連動型のステーブルコインとして今後何かしらのアクションが取られるのではないかと考えています。
まとめ
こちらの記事では、ユーロと連動したステーブルコインEUROC、発行元のCircleについてご紹介しました。
Circleは、プロフェッショナルが集うチームメンバーである事、先に発行しているステーブルコインUSDCの時価総額が上位に位置付いており2021年から需要が高まっている事が分かったと思います。
長年に渡ってSECから担保の疑惑をかけられているテザー社のUSDT、市場崩壊を招いたステーブルコインUSTによって再度ステーブルコインについて問題視されていますが、新たなユーロ連動型ステーブルコインEUROCの発行運用を開始したCircleは、ステーブルコインについてかなり強気な姿勢である事がうかがえます。
今後ECB(欧州中央銀行)、規制当局とドラマを繰り広げそうな予感がするステーブルコインEUROCではありますが、ヨーロッパ圏の暗号資産市場を更に活性化させる一躍を担うプロジェクトである事間違いなしなので是非注目していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。