MakerDAOの「SAI」と「DAI」の違いとは?
   公開日 : 2019/11/22

MakerDAOの「SAI」と「DAI」の違いとは?

極度信玄(してます)

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USDステーブルコイン「DAI」のプラットフォームであるMakerDAOが、複数担保型のDAI (Multi Collateral DAI、略してMCD)をローンチしました。

これまではイーサリアム(ETH)のみを担保とするDAI (Single Collateral DAI、略してSCD)が存在しましたが、MCDの登場により他のアセットも担保にできるようになります。

これに伴い、MakerDAOの各要素の名称が以下のように変更されています。

担保ポジション

  • 既存の単担保型=「CDP」から「SCD」へ
  • 新規の複数担保型=「MCD」から「Vault」へ

MakerDAOのUSDステーブルコイン

  • SCDより発行されるUSDステーブルコイン=SAI
  • Vaultより発行されるUSDステーブルコイン=DAI

つまり今までDAIと呼ばれていたもの(=SCD)がSAIとなり、これから発行されるMCDはDAIと呼ばれます。多くのプラットフォームやWalletでは既に名称が変更されています。

Metamaskの表示: SAIとDAIは名称もアイコンも異なる

MCD/Vaultからの新要素

  • ETH以外の担保資産によりDAIが発行可能。ローンチではBATが追加された。
  • MakerDAOによるDAI預入の金利受け取りがカウンターパーティリスク無しとなった(名称はDSR)
  • ETH担保時の保有形式や精算処理、その他様々な点が変更されている(非常に複雑なので詳細は省略)

MakerDAOの移行に関する当面のゴール

SCDからMCDへの完全な移行は容易な事ではありません。理想としては、発行されたSAIが全てDAIへ置き換われば良いですが、WalletやContract、取引所に保管されるSAIをDAIへ移行していくのはそれぞれの所有者です。

Dappsや取引所はともかく、個人のWalletは運営側が干渉する手段を持たない上、下手すると秘密鍵をロストして持ち主が動かしたくとも動かせないケースもあるでしょう。

よって100%完璧な移行というのは実質的に不可能と言っても良いかと思われます。概ね大半が移行して全体の利用がDAIとMCD(=Vault)に向く事がゴールとなるのではないでしょうか。

参考までに、レンディングプラットフォーム最大手のCompoundは現在Version2ですが、未だにVersion1にも資産が取り残されています。

MakerDAOを取り巻くプラットフォームやサービス達は協力的です。本来の所有者が意識せずともレンディングや取引所においておくだけでSAIからDAIへ移行が済んでいるというパターンもあります。

SAIからDAIへの移行に対するインセンティブ問題

如何にサービスやプラットフォームが協力してSAIからDAIへの移行を進めようとも、SAIの持ち主が拒否すれば彼等のSAIは移行されません。

それでは何故意図的に移行を拒む人々が現れるのでしょうか? 答えはシンプルにインセンティブです。

詳細は省略しますが、様々な要因でSAIの需要に対して供給が不足する可能性があります。

そしてもしもSAIの需要に対して供給が大きく不足する場合にはSAIの値上がりや金利の上昇が発生する為、それを狙う人々も現れます。

これは善悪の話ではなくパブリックでありDecentralizedであるが故の性質です。SAI/DAIは性質上MakerDAOの財団により強制されるのではなくユーザーの善意やインセンティブにより移行されるべきでというのが理想です。

しかし…もしもこの問題が悪化して全くDAIへの移行が進まない場合、Maker財団により緊急シャットダウンが提案され、MKRトークンの投票によって可決された場合にはそれが実行されます

そうするとSAIの需給問題は解決しますが、理想からはかけ離れてしまいますし、ユーザーは少々の損害を被る可能性もあります。出来ることならばユーザーもMaker財団も緊急シャットダウンは避けたいところでしょう。

MakerDAOの移行に関する参考リンク

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