2018年9月26日、SBIホールディングスは、子会社のSBI・リップルアジアが電子決済等代行業者としての登録を受けたことを発表。これにより、SBI・リップルアジアから銀行送金アプリケーション『MoneyTap』がリリースされることになりました。

2020年に東京オリンピックが開催されれば、世界中からたくさんの観光客の来日が予想されます。現金決済が中心の日本と比べて、世界のキャッシュレス化は進んでおり、決済手段が限られていることでオリンピック特需を鈍化させる可能性もあります。

日本政府はキャッシュレス化を推し進める政策をとっていますが今のところ上手くはいっていません。『MoneyTap』は、日本のモバイル決済の普及を進める起爆剤になるのでしょうか?

今回の記事では、銀行送金アプリ『MoneyTap』の特徴、個人間送金アプリとの比較、MoneyTapによってモバイル決済するとは進むのかということについての考察です。

SBIリップルアジアから『MoneyTap』がリリース

SBIホールディングスは、子会社であるSBI・リップルアジアが関東財務局から電子決済等代行業者としての登録を受けたことを発表。

日本では「銀行法等の一部を改正する法律」(2018年6月1日施行)のため、国内で新規で電子決済代行業を行うには財務局の登録を受ける必要がありました。SBI・リップルアジアが電子決済等代行業者を取得したことによって、銀行送金アプリケーション『MoneyTap』がリリースされることになりました。

SBIリップルアジアは、SBIホールディングスとリップル社による共同運営会社。

日本の国内送金・国際送金を一元化し、アジアの国際送金におけるリップル(XRP)利用の普及を目指しています。SBIホールディングスは、リップル社の株式を10%保有しています。

ちなみに、SBIホールディングスは、仮想通貨取引所「SBIバーチャル・カレンシーズ」も運営しています。

引用 : 「電子決済等代行業」登録に関するお知らせ – SBI GROUP News 

『MoneyTap(マニータップ)』とは?

『MoneyTap』とは、銀行預金者の送金をより簡単で便利にするために開発されたアプリケーションです。MoneyTapは、リップルの分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)を活用した「RCクラウド2.0」に接続することで、銀行間のよりスムーズな送金業務を実現します。

MoneyTapの具体的な特徴は以下の通りです。

24時間365日の送金が可能に!

従来の個人送金・銀行間送金は銀行の営業時間(一般的に9:00~15:00)に制約されていました。MoneyTapを利用することで送金による時間の制約はなくなり、銀行口座からの送金が「24時間365日」できるようになります。

携帯番号を指定した送金が実現

MoneyTapは銀行口座を指定した送金だけでなく、携帯番号を指定して送金することも可能となります。(携帯番号と銀行口座の紐付け、Moneytapの利用等の条件は必要。)

また、QRコードを読み込んでの送金も可能です。

メガバンク・地方銀行を合わせて61銀行で『MoneyTap』の利用がスタート!

SBIリップルアジアは、国内・国際送金を一元化して管理する「内外為替一元化コンソーシアム」に参加のメガバンクや地方銀行など61の銀行に対して『MoneyTap』を提供することを発表しています。

全国で利用者が多いゆうちょ銀行などのメガバンクだけでなく、青森銀行、広島銀行、福井銀行など地方銀行も内外為替一元化コンソーシアムには参加しています。このため、都会だけでなく地方からも送金業務に変化が見られることになるでしょう。

既に『MoneyTap』は、SBIネット住信銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3社が先行商用化として運用を開始しており、『MoneyTap』の本格リリースによって日本の送金業務に大きな変化が訪れようとしています。

『MoneyTap(マニータップ)』と個人間送金アプリとの比較

みなさんは、「LINEPay(ラインペイ)」「Kyash(キャッシュ)」「paymo(ペイモ)」といった個人間送金アプリをご存知でしょうか?

個人間送金アプリは、チャージした現金をアプリ内で送金することができます。アプリ内に貯まった現金は銀行口座に出金したり、提携店で現金の換わりとして利用することができます。

ただ、個人間送金アプリは、銀行口座の出金は本人口座に限られていることや出金までに時間がかかるというデメリットがありますす。また、支払いを行うには同じアプリをダウンロードしていなくてはいけません。

一方の、『Moneytap』は銀行口座への即時送金が可能です。また、MoneyTapも携帯番号と銀行口座の連結ができていれば、送金相手の携帯番号さえ分かっていれば相手の銀行口座に即時送金することも可能となります。

銀行への送金をより手軽にクイックにすることを実現したMoneyTapによって、よりアプリを利用した送金業務が拡大していくことになっていくでしょう。

『MoneyTap(マニータップ)』はモバイル決済化を進める起爆剤になるか?

Moneytapによって日本のキャッシュレス化が進む可能性はあるものの、現状ではまだまだ難しいというのが私の予想です。

世界中でも有数のキャッシュレス大国となった中国。中国国民のおよそ38%に当たる5億185万人がモバイル決済を利用しています。(参考 : 『第40回中国インターネット発展状況統計報告』) 日本のモバイル決済の普及率は7.5%となっていることからも、いかに中国のモバイル決済の普及が著しいかが分かります。

中国でモバイル決済の利用が広がった背景には、モバイル決済を利用に圧倒的な恩恵があったからです。かつては中国で切符購入には長い時間を要していたのが、モバイル決済を利用することで瞬時に済むようになりました。

中国政府も電子決済の規制緩和を行って屋台や露店で利用できる環境を整えたり(屋台や露店の手数料は無料)、Alibabaなどの大手企業はモバイル決済利用に対して大々的なキャッシュバックキャンペーンを行ったりすることで一気にモバイル決済が広がっていきました。

日本においても2020年東京オリンピックに向けて政府がキャッシュレス化を進めているので、『MoneyTap』や個人間送金アプリに対して税制の優遇措置を行うなど、モバイル決済利用になんらかのメリットを与える必要があります。また、SBI銀行は他のメガバンクとの繋がりを深めて内外為替一元化コンソーシアムに参加する銀行数を増やしていく必要もあるでしょう。

SUICAの利用者増加を後押しした背景には、交通機関やコンビニで利用できるようになったことが挙げられます。『MoneyTap』の普及のためには、交通機関やコンビニで利用できるような状況を整えておく必要も出てくるでしょう。

まとめ

仮想通貨に利用されているブロックチェーン技術が銀行の送金機能においても利用できる時代になってきました。内外為替一元化コンソーシアムに参加している銀行は『MoneyTap』を利用することができるようになるため、リップルを利用した送金業務の流れはこれから広がっていくことになるでしょう。

ただ、『MoneyTap』だけの力では現金決済が根強く残っている日本の決済状況を一変させる力はありません。政府だけでなく、銀行、企業が一体となってキャッシュレス化・モバイル決済化を推し進めていく必要があります。

今後もSBIホールディングス並びにSBIリップルアジアの動きには注目していきましょう。

記事参考:Japanese Regulator Grants SBI Ripple Asia a Payments License for Blockchain-based App – Cointelegraph

世界の決済事情から考える「日本でモバイル決済が普及しない理由 – ITMediaMobile

中国でキャッシュレス化が爆発的に進んだワケ – Wedge Infinity