AIがお金を動かす時代へ|ステーブルコイン大手が狙う「次の巨大市場」
Crypto Times 編集部
PJ McDonnell / Shutterstock.com
AIが自ら資金を持ち、仕事を受け、報酬を受け取り、別のAIに仕事を依頼する。そんな「AIがお金を動かす経済圏」を、USDC発行元のCircleが次の市場として見据えています。
その基盤となるのが同社が先日メインネットを公開した独自レイヤー1ブロックチェーン「Arc」です。
Arcはガス代をUSDCで支払えるほか、決済が約0.5秒で確定する設計を採用。企業はネットワークを利用するためだけにETHなど価格変動のあるトークンを保有する必要がなく、送金用のUSDC残高からそのまま手数料を支払えます。創設バリデーターにはブラックロック、DTCC、Visa、Mastercardといった大手金融機関が名を連ねています。
Circleの最高製品・技術責任者(CPTO)Nikhil Chandhok氏は、Arcを「Economic OS(経済のOS)」と表現。目指すのは既存チェーンからDeFiの流動性を奪うことではなく、現在は銀行や証券市場、企業間決済などで行われている金融活動をオンチェーンへ広げることです。
その動きはすでに始まっています。CircleはArc上で約16種類のステーブルコインを扱い、各国通貨をオンチェーンで交換する「StableFX」を展開。ブラックロックはマネー・マーケット・ファンド「BUIDL」のArc展開を進めており、DTCCも2027年後半を目標に保管資産のArc接続を計画しています。
AI同士の仕事と決済が「市場」になる
その先にCircleが見ているのがAIエージェントが経済活動の主体になる世界です。
エージェント自身が資金を持ち、仕事をこなし、報酬を受け取るだけでなく、別のエージェントを雇ったり実績や信用をもとに融資を受けたりする世界まで想定されています。Circleはこうした経済圏に向けて、AIエージェントを探すマーケットプレイスやレピュテーション機能、エージェント間の超少額決済などをArc上に構築する考えです。
特に象徴的なのが100万分の1ドル規模の決済まで想定する「Circle Nano Payments」。人間が数円単位の仕事を一件ずつ発注し、請求や決済まで行うのは現実的ではありません。一方でAI同士が自動的に仕事を発注し、即座に支払いまで完了できるのであれば、これまで採算が合わなかった小さな取引も市場として成立する可能性があります。
この見立てはCircle独自のものではありません。マッキンゼーは2030年までにエージェント主導の取引額が3〜5兆ドルに達すると試算しており、バイナンス創業者CZ氏もAIエージェントの決済需要にはブロックチェーンが最も自然な手段になると予想しています。CoinbaseらによるAI決済プロトコル「x402」は市場を先行しており、Circleは有力プレイヤーが出揃いつつある市場に自前のL1で乗り込む形です。
ただし1件あたりが極小額のため、件数の割に決済総額はまだ小さいのが実態です。AIにどこまで支払い権限を委ねるかという「承認の委任」の課題も残っています。
AIエージェントによる決済はまだ立ち上がったばかりですが、インフラ整備はすでに進み始めています。Arcがその基盤の一つとして存在感を高められるか、今後の展開が注目されます。
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記事ソース:Bankless
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