ビットコインマイニング「Hut 8」、株価が+16%|高まるAI需要への対応が評価か
ユッシ
ビットコインマイニング事業を手掛けるHut 8社の株価が急騰しています。
同社の株価は記事執筆時点過去24時間で16.7%上昇し、昨年末以来約6ヶ月超ぶりの高値を記録。株価上昇の前、同社は投資企業Coatueから1億1500万ドルの戦略的投資を受けると発表しています。
We are incredibly excited to announce a $150 million strategic investment from @coatuemgmt to partner in building a next generation AI infrastructure platform. This investment will accelerate growth in our data center portfolio and provides access to Coatue’s extensive network of… pic.twitter.com/BYvpHx50PS
— Hut 8 (@Hut8Corp) June 24, 2024
Hut 8は調達資金を活用し次世代のAIインフラプラットフォーム構築を目指し、データセンターポートフォリオの成長を加速させると述べています。
高まるAI需要の中で注目の仮想通貨マイニング施設
現在のデータセンター分野では、急増するAI需要に対して電力不足や施設拡張に必要な時間と費用が課題となっています。
ブロックチェーンデータセンターの設計・運営コンサルタント会社Saber56のCEO、フィル・ハーベイ氏によると、仮想通貨マイニング施設の構築費用が2500万ドルから3500万ドルとなるなか、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)AI施設では3億ドルから5億ドルが必要になるといいます。
すでに電力や広大なエリアを確保している仮想通貨マイニング施設は、AI向けのHPC施設としても利用価値が高く事業者からの注目が高まっています。
既存マイニング施設のHPC AI施設への転換には一定の時間がかかるものの、仮想通貨マイニング施設ではすでに不足する電力へのアクセスを有しているため、通常36~60ヶ月かかるHPC施設の稼働開始までのリードタイムを大幅に短縮できるとハーベイ氏は説明しています。
広がる買収戦略
AI需要やそれに伴う施設の需要増加や電力不足の問題が指摘されるなか、マイニング事業者間で現在進められている戦略が競合他社のM&Aです。
ビットコインマイニング事業を行うRiot Platforms社は、カナダや南米で事業を展開する競合Bitfarms社の買収に向けた動きを進めており、上記の認識が業界で普及していることが窺えます。
Riot Requisitions Special Meeting of Bitfarms Shareholders and Nominates Three Highly Qualified, Independent Directors to Bring Urgently Needed Change to Bitfarms Board.
Read the full press release here: https://t.co/8DHy75xC3i.
— Riot Platforms, Inc. (@RiotPlatforms) June 24, 2024
マイニング大手のMarathon Digital Holdings社も、昨年から施設拡張と並行して競合企業や関連インフラの買収を進めています。
フィル・ハーベイ氏は、企業の成長に必要な電力が物理的に不足している現状を踏まえ「今後もM&A戦略は加速する」と予想。今回のHut 8の資金調達に基づくデータセンター事業拡大は、AI市場の成長と仮想通貨マイニング施設、既存インフラの制約における業界の現状を表す動きと言えるでしょう。
記事ソース:CNBC