ステーブルコインUSDCの発行体、Circle社へ移行

ステーブルコインUSDCの発行体、Circle社へ移行
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ステーブルコインUSDCの発行体がCentreから大手決済プロバイダCircle社へと移行することが発表されました。

これまでUSDCの発行体として機能していたCentreは、米大手仮想通貨取引所CoinbaseとCircle社の2社によるコンソーシアムで、今後、同機関の存在は無くなるとしています。

今回の変更の背景には、米国および世界中でのステーブルコイン規制の明確化が挙げられており、Coinbase社は自社ブログの中で、昨今の規制環境の下でCentreのような独立したガバナンス機関は必要なくなった旨を説明しています。

今後の新体制下では、USDCの発行体としてCircle社が下記において責任を持つことに。

  • 全スマートコントラクトキーの保持
  • 準備金のガバナンスに関する規制の遵守
  • 新しいブロックチェーン上でのUSDCの有効化

発行体から退いたCoinbase社は、今後Circle社の株式を取得し、両社で連携していくとしています。

米ドルの行方

今年6月、Circle社共同創設者兼CEOのジェレミー・アレール氏が米国下院の公聴会に登壇し、1990年代に存在した国際間の技術力の格差が縮小している現状を指摘し「米ドルは岐路に立たされている」と自身の懸念を示しました。

同氏は世界の外貨準備高を占める米ドルの割合が、過去6年間毎年平均して約1%減少している状況に言及しながら「地政学的な要因が第二次世界大戦後に構築された米ドル中心の世界金融システムに圧力をかけている」と見解を述べました。

上記のような状況の中、インターネット上の安全で確実な米ドルへの需要は高まっており、ステーブルコインやブロックチェーンネットワークは数十億人のユーザーと数十兆ドルの決済活動をサポートできる可能性があるとアレール氏は主張。ステーブルコインの法案に関して「デジタル資産市場を超えて米ドルの世界的な役割に大きな影響を与える」とコメントしています。

アレール氏は「適切な措置が講じられなければ、米国に壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と述べ、米ドルの未来が重大な局面を迎えていることを強調しました。

関連:「ドルは岐路に立たされている」Circle社CEOが米下院で提言

BRICS首脳会議が開催

米ドルの将来への懸念が米国内で指摘されるなか、本日、8月22日から南アフリカ最大都市ヨハネスブルクでロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカからなる「BRICS」の首脳会議が開催されています。

昨年6月には露プーチン大統領が、BRICSにて通貨バスケットに基づく準備通貨の開発に関する作業を進めていると発言していることなどから、BRICS共同通貨の議題が首脳会議で取り上げられることが一部で予想されていたものの、南アフリカ外交官でBRICS関係者のアニル・スークラル氏が「BRICS通貨という話は一度も出ておらず、議題にもなっていない」と述べたことなどを理由に、今回の首脳会議ではBRICS共同通貨の議論は行われない可能性が高いとされています。

先月、海外メディアBloombergのインタビューに登場した”BRICS銀行”として知られる新開発銀行(NDB)最高財務責任者レスリー・マースドルプ氏は「BRICS加盟国は自国通貨の使用を推進し、米ドルからの脱却を図っているが、BRICSは米ドルの支配に対抗するための共通通貨をすぐに創設する計画はない」とコメントしました。

米ドルやステーブルコイン法案への懸念を示したアレール氏が運営するCircle社が今後舵をとっていくこととなったUSDCは米ドルを軸とするステーブルコインです。

米ドルからの脱却を図るBRICSと共に今後の動向に注目が集まります。

記事ソース:CoinbaseBloombergBitcoin.com

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