2017年5月に仮想通貨への投資を開始。ブロックチェーンや仮想通貨の将来に魅力を感じ、積極的に情報を渋谷で働く仮想通貨好きITリーマンのブログを通じて発信するように。
最近書いた記事
ニュース
2019/10/02DeFiのポータルサービスを提供するInstaDAppがシードラウンドで240万ドルを調達
スマートウォレットレイヤーとブリッジコントラクトを使用して主要なプロトコルを集約するDeFiポータルのInstaDAppが、シードラウンドにて240万ドルの資金調達を実施しました。 今回の資金調達はPantera Capital, Naval Ravikant, Balaji Srinivasan, Coinbase Ventures, IDEO Colab, Robot Ventures (Robert Leshner of Compound Finance), Loi Luu (Kyber Network)などの戦略的パートナーより調達したことが明らかになっています。 InstaDAppを利用することで、ユーザーはプラットフォームを介してイーサリアムベースの資産を管理および監視することが可能になります。ダッシュボード上では、Uniswap、MakerDAO、Compoundなどのさまざまな分散型金融プロトコル(DeFi)を通じて資産を借りたり、貸したり、交換することが簡単にできるようになります。 InstaDappチームは、DeFiは非常に将来有望であると考えており、多くのユーザーが金融資産を管理する方法に大きな変化をもたらす可能性があると考えています。 しかし、暗号通貨に精通している人であっても、DeFiへのアクセスはごくわずかな人に限定されていることが問題と指摘しています。 InstaDappは、直感的なユーザーインターフェイス、スマートウォレットレイヤー、ブリッジコントラクトの組み合わせにより、DeFiの利用におけるハードルのいくつかを取り払うことに成功しており、今後も最大限活用してもらうために、次世代のシステムを構築することを目標としています。 記事ソース : Medium - InstaDapp
ニュース
2019/10/01Bittrexがリヒテンシュタイン拠点とした新しい取引プラットフォームを発表
大手暗号通貨取引所であるBittrexがリヒテンシュタインに本社を起く新プラットフォームを発表しました。今回のBittrexのプレスリリースに寄ると10月末にBittrex Globalが公開される予定となっています。 Bittrex Globalでは、ユーザーの報酬プログラム、クレジットカードの相互運用、EUの法律に基づくプライベートトークン販売、モバイルアプリなどの新機能やプロダクトの開発を予定しています。 また、今回新たに提供されるプラットフォームでは、ブロックチェーン法に準拠して、信頼できる技術法に基づくトランザクションシステムに登録する予定となっています。 記事ソース : Bittrex Newsrelease
ニュース
2019/10/01Ripple(リップル)社がアイスランド拠点の仮想通貨取引企業Algrimを買収
Ripple社がアイスランドを拠点にしている仮想通貨取引企業であるAlgrimを買収しました。 Algrimは2010年に設立された仮想通貨取引プラットフォームを提供する企業で、現在は30以上のマーケットを市場を提供しています。Rippleが発表したプレスリリースに寄ると今回のAlgrimの買収は欧州地域への事業拡大を目的となっています。 今回買収が行われたAlgrimを加えたアイスランド拠点では、XRPを使用してクロスボーダーでの支払いを行うOn-Demand Liquidity(ODL)製品の継続的な開発をしていくと発表しており、アイスランドがRippleのエンジニアリングハブの1つとして機能し、同地域でより多くの技術経験が豊富な人材の雇用を計画しているとしています。 Ripple(リップル)主催カンファレンス「SWELL 2019」の登壇イベントが一部公開済 - CRYPTO TIMES 記事ソース : Ripple Insights
ニュース
2019/09/16Ripple(リップル)社の投資部門Xpringが仮想通貨ATMを提供するCoinmeへ出資
Ripple社の投資部門であるXpringが、シアトルに拠点を置く仮想通貨ATM会社Coinmeに投資を行いました。なお、今回の投資金額は非公開となっています。 Coinmeは2014年設立された企業で、世界で全2583台の仮想通貨ATMを運用しており、市場最大規模のビットコイン・キオスクネットワークとなっています。 https://twitter.com/ethanbeard/status/1172317254161068032 今回投資を行ったXpringでは、CoinmeのATMでデジタル資産XRPの導入を期待しているとしています。 Xpringは過去にもRippleのエコシステムを拡大する企業への投資を積極的に行っていましたが、今回のATMのようなキオスクを提供する企業への投資は初となっています。 記事ソース : Medium
インタビュー
2019/09/09イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは
ブロックチェーンの主要技術の一つであるイーサリアム・ファウンデーションのエグゼクティブ・ディレクターである宮口あや氏。今回、一時帰国にあわせてGRASSHOPPERでの取材が実現した。宮口氏のブロックチェーンとの出合い、イーサリアム・ファウンデーションへの想い、既存ビジネスとの融合、今後の展望などを伺った。 ※ 今回のインタビュー記事は、CRYPTO TIMES の新井が協力の下、GRASSHOPPER編集部とインタビューを実施し、株式会社電通様が運営するWEBメディアGRASSHOPPERに掲載されたインタビューの転載となります。 転載元記事 : イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは– GRASSHOPPER サンフランシスコでのブロックチェーンとの出会い -ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何でしょうか。 元々、日本で長い間高校教師をしていたのですが、生徒達には外の世界を見に行きなさいと伝えていました。生徒達を海外に送り出しているうちに自分自身ももう一度挑戦したくなり、自ら行動しようとサンフランシスコに渡り、ビザのためにMBA取得から始めました。そのときに Kraken(クラーケン、米仮想通貨取引所大手)を立ち上げたJesse Powellからビットコインの話を聞いたのがブロックチェーンに興味を持ったきっかけです。 ビットコインについてある程度理解してきたところで、ちょうどその頃自分が専門にしていたマイクロファイナンスとすごく相性がいいということに気づきました。途上国の発展についての自分の興味関心と ビットコインの組み合わせで何か面白いことが起こるのではないか、と。 そこで、開発者が3名くらいで取り組んでいたスタートアップKrakenに参加することに決めました。いまではKrakenは800名ほど社員がいるので良いタイミングで参加できたと思っています。ちょうどクリプト業界自体が立ち上がった状態で、その頃から生き残っている取引所だとCoinbase、BitStamp、Krakenの3つぐらいです。その中に女性がいるのも珍しかったし、日本人もいない状態でした。 元々、日本市場担当としてスタートアップに入ったわけではないのですが、メンバーも日本に興味を持っているということで、日本市場開拓を決定した矢先にMt.GOX事件が起こりました。日本でまだビットコインを知っている人が少ない時期に、Mt.GOX事件というネガティブな印象が広まってしまい、Krakenの説明だけではなく、ビットコイン自体のイメージアップを行うためにメディアや政治家に説明する活動や、Bitflyerの加納裕三さんらと業界団体を作る流れにも繋がっていきました。 サンフランシスコと日本を行き来し、日本の業界を立ち上げることにはミッションを感じつつも、「取引所」の仕事というのは 私の情熱からは離れたところにあったため、個人的に途上国の難民支援をするためにブロックチェーンを活用したものなど、ソーシャルインパクトを起こすプロジェクトにアドバイスをしていました。 そのような活動を続けている折、イーサリアム・ファウンデーションのメンバーから仕事を手伝ってくれないかと相談が入りました。エグゼクティブ・ディレクターになってほしいと。因みにこの話があったのは、2017年末にメキシコでDevCon(イーサリアム開発者のカンファレンス)があったときです。イーサリアム創始者のVitalik Buterinも含めて、イーサリアムを作っている人たちは、まったくお金を儲けるのが得意じゃない感じで、純粋に情熱で社会を良くする技術を作りたいという気持ちでやっています。そのような想いにも共感をし、引き受けました。 分散型の究極を考えていくと、日本の「引き算の美学」に落ち着く ーイーサリアム・ファウンデーションで行っていること、現在のミッションを教えてください。 イーサリアムに関わること全部です。研究開発、助成金サポートや教育。サポートしている人たちをサポートする役割もあります。つまり私のポジションは、イーサリアム・ファウンデーションをまとめるだけでなく、イーサリアム全体のコミュニティをサポートしていくことなんだと気づいたときにはプレッシャーで夜も寝られないこともありましたね。 ー現在のポジションについて、世界の見え方はどう変わりましたか? イーサリアム・ファウンデーションにいると、意外と、日本人であることがぴったりだと感じます。イベントでよく日本の「引き算の美学」という言葉を使うのですが、いわゆるファウンデーションの在り方とか、分散型の究極を考えていくと日本の「引き算の美学」に落ち着くのです。世の中がもっと大きくなればいいとか、お金がもっとあればいいとか、資本主義的な流れへのカウンターでもあります。 サンフランシスコにいると、みんな優秀・給料も高い・Macを使っている…などとサンフランシスコが中心に思えてきます。しかし、一歩引いて考えてみた時に、世界の力のバランスがどれだけ悪いかということがより見えます。本来、力はみんな平等にあるべきだということを考えた時に、やはりブロックチェーンにもつながってきます。 ー資本主義の過熱から引く動きがある一方で、EEA(イーサリアムの企業利用を進める団体Enterprise Ethereum Alliance(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス )加入など、ビジネスシーンでの活用を促進する動きもありますよね? 最初はどちらかというと、Vitalikも含めて、イーサリアム・ファウンデーションは資本主義の流れから生まれた大企業とやりとリしない流れを歩く志向がありました。ですが、現在ではイーサリアムを作ったVitalikらファウンダー自身も想像がつかなかった程大きなコミュニティに成長し、大きな力を無視をすると影響力に限界があるということが見えてきました。 完全に一緒になることはなくても、どちらかに転んでしまうなら、私たちの理念を伝えることでなるべく良い方向に行ってほしいですし、こちら側もイーサリアムのスケーリングがある程度進んできたので、足並みを揃えることが可能になってきたともいえます。 ー大企業と足並みを揃えて活動する上で必要になるのはどのようなことでしょうか? 企業でイーサリアムのパブリックのメインネットを利用するために、我々のチームやコミュニティの活動がサポートできればと考えております。 新しく出来上がるスケーリングによってプライバシーでもできることが増えるので、タイミング的にはもっとファウンデーションの研究者などとも話し合って勉強しておく必要性があるのです。 ーイーサリアムがもっとも大企業向けに活用できる領域はどこなのでしょうか。 一番取り上げられやすいのはファイナンスのところなのですが、サプライチェーンや、情報をシェアすることによってメリットがあるもの、またそれによってビジネスが成り立つものですね。 今は保険などの領域でもそういった形が作れます。ただ、注目されるのはファイナンスの方が多いです。金融系のほうが規制や「パブリックかプライベートか」というところにだけフォーカスしてしまうので、それ以外のNFTやゲームや、トークンで作るシステム・社会などが出てくると面白いと思っています。まだまだこれからだと思います。 イーリアサムの活用事例とは? ー「イーサリアムが活きてくる」プロジェクトはどのようなものでしょうか? 自分がアドバイスしているもので、Everestというプロジェクトがあります。分散型アプリケーションを作るときに大事になる利用者の特定・その取引の管理に取り組んでいます。もともとチームのミッションは世界中で大きな問題となっている「人身売買」。誘拐された人の身元を指紋や顔認証などで証明できるようになり、被害を1パーセントでも減らせたら、ということも考えていした。今はさらに大きなレベルで、インドネシアの難民のIDなど、Digital Identityのソリューションを提供しています。 うちの財団はイーサリアムのプラットフォームの開発支援がメインで、あまりdApp(分散型アプリ)の特定のビジネスを応援することをしないのですが、エコシステムの中で欠けている部分が埋めていくためにもある程度啓蒙活動をしていかないと、と思っています。 Etheriskという保険プロジェクトのプラットフォームでは、普通の保険ではカバーできないような自然災害に適用できる保険プログラムを作っていて、すでに実際に使われています。他にも、保険加入率が7%ほどのスリランカの農家を対象に、天候インデックスを絡めたスマートコントラクト型保険などもやっています。 このようなプロジェクトに適用できるイーサリアムに魅力を感じています。 ーよりソーシャルインパクトを起こしていくために、日本では今どういうお話をされているのですか。 日本はオープンソースソフトウェア開発に取り組んでいる人が、優秀でも隠れており、あまり報われない環境だと思います。日本人なのでみんな控えめという性格ももちろんあり、その点をうちのチームにわかってほしいなと色々と話を進めています。 ー日本の大企業側には現在、どういう姿勢でアプローチしてきてほしいでしょうか。 日本は文化的に、まだまだ優秀な個人が大企業にいると思います。また、エンジニアの給料が安いと言われる日本では、自分で興味があることを勉強する時間もあまりないと思います。オープンソースは参加して初めて学べるので、優秀な人がチャレンジできる環境を提供して頂けたらいいなと思いますし、そのためにうちの財団などがイーサリアム・コミュニティの優秀な人を金銭的に支援するなど、研究勉強できる場を提供していくような取り組みが大事だと思っています。将来的には仕事をやめなくてもイーサリアムが勉強できる、というのが理想です。 ー日本では10月に大阪でブロックチェーンの国際イベントDevConが開催されます。日本に対して期待していることは何ですか。 日本のブロックチェーン業界の起爆剤になればいいなと思っています。もっと日本のブロックチェーン業界が中身のある形に育っていかないとと思っていますし、日本もブロックチェーンを引っ張って欲しいと思っています。 Devconを開催する国の選定理由は、ブロックチェーン業界がきちんと活性化する兆しがある国であることです。以前よりブロックチェーン・コミュニティの人たちには、今後、日本にブロックチェーン業界がもっと良くなっていく未来がないとDevconの開催はできないと話をしていました。ですが、私の懸念をよそにコミュニティが中心となって行った東大でのイーサリアムイベントや、大日方祐介さんが企画した、サッカー選手であり投資家である本田圭佑さんとのイベントで、日本の若い方々がブロックチェーンへの熱意持って取り組んでいる姿勢が見えたので、今後に期待しようとDevconの日本開催を決定しました。 ー今後、世界のブロックチェーン業界に日本のプレイヤーが増えていくためにはどのようなことが必要でしょうか。 みんな控えめなので、自信を持ってほしいということです。私も海外でポジションにつくと「日本人でよかった」「日本人だから活かせることもある」「日本人だからわかる細かいところがある」ということに気づくことが多くありました。 イーサリアムは今ちょうど、アプリケーションがどんどん作れる状況になっています。アプリケーション開発にあたってユーザー目線でより良いものを作る、面白いものとかを作ることのも日本人の得意分野だと思うので、自分を殺さずにそれぞれが活躍できる場所を上手に見つけていってほしいと思います。 ー最後に、宮口さんが想像する未来は、ブロックチェーンが社会にどのように浸透していくと考えますか。 不公平のない、不均衡のない世の中というものを目指して現在色々と取り組みをしています。そのため、今の世の中を変えていくというよりは、バランスが崩れているところを適正なものに戻していくという表現が近いと思っていますし、私自身もそういう部分に魅力があります。バランスが崩れてしまった部分をブロックチェーンが正していってほしいと考えています。 Interview & Text:西村真里子 協力:CRYPTO TIMES 新井進悟 転載元記事 : イーサリアム・ファウンデーション 宮口あやに聞く ブロックチェーンで社会を変えるビジョンとは– GRASSHOPPER
ニュース
2019/09/06LINE子会社であるLVC株式会社が仮想通貨交換業者として認可、LINK Chain発行のLINKは価格を高騰
LINEの子会社であるLVC株式会社が金融庁により、「仮想通貨交換業者」として認可されました。今回の登録で認可を受けている業者は20社目になります。 LVC株式会社では、BTC、ETH、BCH、LTC、XRPの5つの通貨を扱う予定としています。 LINEが開発しているLINK Chainは2019年9月にWhitepaper2.0も公開され、取引所に合わせて、ブロックチェーンプラットフォームとしての動きも注目すべきでしょう。 [caption id="attachment_41976" align="aligncenter" width="904"] CoinGeckoのLINKチャートより[/caption] また、今回の仮想通貨交換業者として認可されたことにより、LINK Chainで発行されているユーティリティトークンLINKの価格が、LINEのシンガポールを拠点とする取引所であるBITBOXで24時間比で約50%価格が上昇しています。 LINE株式会社とその親会社NAVERのブロックチェーン事業展開 記事ソース : 金融庁仮想通貨交換業者一覧 , JVCEA
インタビュー
2019/08/15[Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎
2019年4月末に2日間にかけて代々木公園で行われた『東京レインボープライド2019』。 当イベントに参加していたブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるFamiee Projectの前編のインタビューでは開発チームにフォーカスしたインタビューとなりました。 今回の後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様、そして、Famiee Project発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project カップル宣誓書発行サービス 今回のFamiee Projectではブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験することが可能となっていました。 ブースには発行された『カップル宣誓書』が飾られており、ブロックチェーンに刻まれた『カップル宣誓書』を持ち帰ることができるようになっています。 この発行書に書いてあるURLとパスワードを入力することで、WEB上でもブロックチェーンに刻まれたカップル宣誓書を本人たちで確認することが可能となっていました。 今回は内山さんと川くんにご協力いただき、実際に宣誓書を発行していただきました。 [caption id="attachment_40822" align="aligncenter" width="800"] 発行書に掲載する写真を撮る内山さんと川くん[/caption] 今回発行する証明証の手順はiPadにて写真を撮影、その後に互いの名前と誓いの言葉を入力し、お互いがサインした後にブロックチェーンに書き込まれる仕組みとなっています。 [caption id="attachment_40823" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンで新しい証明証を発行していくことを誓う川くん[/caption] [caption id="attachment_40825" align="aligncenter" width="800"] 互いの誓いと名前が記載された証明書[/caption] [caption id="attachment_40827" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに刻まれた[/caption] [caption id="attachment_40826" align="aligncenter" width="800"] 発行された証明書、パスワードとQRコードが記載されており、確認ができる[/caption] ブロックチェーンに刻まれた後は、証明書が発行され、発行された証明書に書かれているパスワードとQRコードにアクセスすることでブロックチェーン上に記録されていることが確認ができるような仕組みになっています。 Famiee Project 発起メンバーへのインタビュー LGBTの人たちへの差別をなくす支援活動と、会社として取り組もうとしたブロックチェーンの話が結びついた瞬間 [caption id="attachment_40800" align="aligncenter" width="667"] 左 : 石渡さん , 右 : 内山さん[/caption] -- 今回はインタビューありがとうございます。お二人の自己紹介をお願いします。 石渡 : 石渡と申します、ホットリンクのCEO特別補佐で弁理士の資格を有しています。大学卒業後、弁理士資格の勉強をしながら企業法務などの仕事をしていました。弁理士の資格を取得後、特許事務所で働きその後独立するタイミングでホットリンクの監査役に就き、今年の4月からCEO特別補佐をしています。 ブロックチェーンについては、真新しい技術ということで着目しておりましたが、さらに、ホットリンクでブロックチェーンの勉強会がありまして、それをきっかけにブロックチェーンに関わりを持ち始めました。ブロックチェーンはインターネットに変わる技術やこれからの時代を変えていく可能性のある技術だと思っていますし、「非中央集権」や「分散型」といった観点でも注目しています。 内山:内山といいます。元々、大学院の博士課程のとき(1995年頃)に日本の最初で最初期の検索エンジンを作ったプロジェクトのメンバーでした。それがきっかけで大学時代に検索エンジンベンチャーを作って博士課程を中退して、ITの世界に入りました。その会社はYahoo Japanができて、Googleができて叩きのめされていくわけですが(笑)。 その当時、検索エンジンを作るには人工知能でには無理と言われており、ここのコンテンツは人を感動させる、人間がブックマークした、リンクを貼った、など人間の知恵を社会全体で集めてきて、共有化して人工知能がそのビッグデータを学習して凄い検索エンジンができる。それを人間に介したときに、好きとか嫌いとか人間と人工知能で知識が循環される社会インフラができて、初めてホッとする社会ができるだろう。そんなビジョンを2000年のときに思いつきました。 それでホットリンクを立ち上げました。ホットリンクの社名の由来は、ホッとする(hotto)というところから来ています。ホットリンクはSNSやビッグデータ、AIが社会に広まっていないときに、そういう社会を目指してつくりました。時代よりも早かったこともあり、潰れそうなこともいっぱいありましたが。日本でブログが流行りだした頃に、ブログのポータルサイトを日本で最初期に作りました。 そのときに1995年くらいの検索エンジンを思い出して、当時の検索エンジンはキーワードをいれるとそのキーワードに関する情報がどこにあるか指し示すものでした。ブログやTwitterは一個一個の情報は大して重要ではなく、あるキーワードをいれると、世の中でみんなはどんなことを言っているのか、情報を要約してくれる検索エンジンが必要だとブログが始まったときに気づいて、ブログのテキストマイニング(ブログ分析エンジン)を作り、TwitterがきたときにTwitter分析エンジン、FBがきたときにソーシャル分析エンジンになり、ビッグデータ分析エンジンになり、2013年にマザーズへ上場しました。 今は、世界中のソーシャルメディアのデータ流通ビジネスや、データ分析サービス、そして、分析結果を活用してブームを作りだすためのSNSマーケティングサービス等を、日本・中国・欧米で提供しているホットリンクという会社の代表をやっています。 -- 内山さんはどういう経緯でブロックチェーンと出会ったのでしょうか 内山 :会社の中長期的な成長を見据えた際に、非連続的な成長の種をいくつか撒いておかねばならないと考えて、2018年の頭くらいからブロックチェーンの研究開発を始めました。その流れの中で、東大ブロックチェーン寄付講座を作ったり、ブロックチェーンベンチャーへの投資を初めたりというところです。 -- ありがとうございます。Famieeはいつ頃に立ち上がったプロジェクトでしょうか 内山 : このプロジェクト自体は昨年の暮れぐらいからです。それまではブロックチェーン技術がどういう分野で適応できるかということを考えて、社内勉強会を昨年の5月頃からやっていました。当時はLGBTという話はでていませんでしたね。 実は、ブロックチェーンの事業開発とは全く別に、3年ほど前に、東京レインボープライドの主催者の杉山さんや、世界的なLGBTの活動家の柳沢さんらとの出会いがあって、お二人が参加されているパネルディスカッションに参加したんです。私はそれまで、自分はオープンで、LGBTの人たちに対する偏見や差別をしていない人間と思っていたんです。しかし、実は、無知なまま、そういう考えを持っていることが一番いけなかったことを知ったんです。 [caption id="attachment_40804" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに書き込んだ後の完了画面[/caption] どういうことかというと、我々は差別をしていないないと思っても、LGBTの当事者の人たちからすると、普段の何気ない生活の中でたくさんの障害があります。例えば、会社に置き換えて話をすると、社内の誰かが結婚すると、結婚手当をもらったり、育休休暇をとったりしますよね?でも、LGBTの人達は、そんな制度の恩恵を受ける機会がないんです。差別をしていないといいながらも、それを前提とした会社制度にはなっていない。 会社外の例だと、例えば、交通事故にあって緊急手術をしないといけない時は、通常家族の同意がないと手術ができない。しかし、LGBTのカップルの一人が、死にそうな状況でパートナーと一緒に救急車に乗っていても、パートナーの人は手術の同意書にサインできない。既存の制度でいうところの親や兄弟を待たないといけない。このような現状であるにも関わらず、会社のトップとして、当社は差別しない会社だと言っていた自分の無知さ加減にショックをうけ、セッションを聞きながら、私は涙がボロボロでて止まらなくなってしまったんです。 それをきっかけに、LGBTの人達の生きづらさを解消しようという勉強会や活動に参加するようになっていったんです。個人的な活動としてやっていたLGBTの人たちへの差別をなくすための支援活動と、会社としてやっていたブロックチェーンで何ができるんだろうという話が、何かの拍子で、頭の中で結びついたんです。 石渡:当時、ブロックチェーンと相性が良い分野として、不動産の権利流通や、サプライチェーン分野での活用などがあがっていました。ただ、これらの仕組みを実際に変えるのはかなり大変です。ブロックチェーン技術は、社会を大きく変えるポテンシャルはあるが、現実社会にすでに存在する仕組みを入れ替えるためには、技術ではない障害があると思っていました。 内山:アイデアはたくさんでたのですが、自分達の強みが活きるのか?、現実的に世の中を動かせるのか?というところです。ブロックチェーンとの親和性でいうと金融が一番早いような気がしますが、正直、我々は金融の分野はあまりわくわくしませんでした。 スポーツは面白いです。スポーツチームやアスリートとファンとのコミュニティーにトークンエコノミーを適応すると、スポーツチームを応援しようとするファンの熱量がトークンエコノミーへ変わると凄いです。ですので、ブロックチェーン x スポーツは明確に事業としてやっています。 石渡:実際に、3月には、スポーツテック企業にホットリンクとして投資をさせていただいております。 [caption id="attachment_40797" align="aligncenter" width="733"] ホットリンクが出資するスポーツテックのサービスEsporta[/caption] ブロックチェーン技術を用いて社会変革を起こす、多くの企業をその変革に巻き込んでいくことが重要 -- 先程の話に少し戻ります。今後、LGBTの人たちがパートナーシップ証明を持てるようになるために、民間証明書を発行していくとありました。こちらに関して具体的に教えてください。 内山:すでに渋谷区やその他のいくつかの市区町村で、LGBT向けのパートナーシップ証明書というものが発行されています。夫婦と思われる方々に対して、婚姻届けを出せない代わりにパートナーシップ証明書を発行しているんです。これは実は法的効力はありませんが、行政が発行したパートナーシップ証明書をもってきたら、ローンの審査の際、二人の収入を合算して査定しますよという動きや、生命保険の受取人にパートナーを指定できるとか、携帯電話の家族割引をうけられたりとか、飛行機のマイルを家族で共有できたりと、民間企業が、法的な家族ではなくても家族として認めるようになってきています。法律を変えなくても、思いのある民間企業が受け入れてくれたことで、世の中が変わってきているんです。 しかし、ここで問題が出てきます。例えば、渋谷区が発行するパートナーシップ証明書は、渋谷区に住んでいる人しか申請できない。そして、引っ越しをすると無効になる。かつ、引っ越し先の行政が、パートナーシップ証明書を発行していない地域かもしれない。これでは不便ですよね。かといって、まだパートナーシップ制度を導入していない全国の市区町村が導入するまでに何年かかるかわらない。 そこで、我々のような民間が、一部の行政が発行しはじめているパートナーシップ証明書に相当するものを、日本のどこに住んでいる人であっても発行できれば、現状の不便さがもっと解決されるのでは?と思い付きました。更には、夫婦関係に限らず、親子関係に応用できると思っています。今では、卵子提供や精子提供、または代理母の助けを借りて生まれてくる子供も増えてきていますが、現状に法律が追いつかず、親子として認定されない親子がたくさんできてきています。そういう人たちの関係を、民間団体がしっかりと確認し、認め、親子関係証明書を発行し、それを受け入れてくれる民間企業が増えれば、今よりはそういう人たちが生きやすいやすい世の中になるんじゃないかと。 正直、会社の利益になるようなプロジェクトではないですが、この考えに共感してくれるメンバーでやってみようといって始めたのが、今回のプロジェクトのキッカケになります。 石渡 : そうです。そのためには、発行するだけではなく、民間団体が発行したパートナーシップ証明書を受け入れる企業を増やしていくことが大事だと考えておりまして、竹中平蔵先生にもこのお話をしたところ、非常に賛同して頂き、アドバイザーに就任して頂きました。 内山 : やりたいことを実現するには、技術とは別に、こういった民間企業の巻き込みをやっていかなくてはいけない。その両方をやっていくプロジェクトになっています。ブロックチェーンの分野には非常に優秀で想いを持った若者が多くいます。しかし、彼らだけでは社会を巻き込んでいく力はまだまだ弱い部分があります。ブロックチェーンで社会変革を起こすには、若い人たちの技術力に加えて、世の中を巻き込んでいく大人達の力も必要だと思っています。 -- 今回のパートナーシップ証明書を発行する際、ブロックチェーンの技術を使わないといけない理由はどこにあるのか教えて下さい 内山 : 夫婦や家族の関係って、一人の人の生涯に渡って、それを超えて、何代にも渡って続くていくものですよね?だからこそ、何十年・何百年にも渡って、そのデータは安全に保管され、そして、発行された証明書が正しいものである事が検証できるようになっていなければならないと思います。例えば、現在の日本の戸籍は、”国”という、何十年何百年にわたって永続する存在が管理しているからこそ、長く管理できているのです。 それほど重要で、かつ永続性が必要とされるデータを、一民間団体のシステムやデータベースで管理しようするのは、発行者の責任としてありえないと思うんです。しかし、BitcoinやEthereumのようなパブリックなブロックチェーンをデータベースとして活用すれば、ブロックチェーンの仕組みと、世界中のコンピュータパワーを使って、そのシステムとデータを永続させる事ができるようになります。ある意味、発行団体がなくなったとしても、データとシステムは残り続けます。だからこそ、ブロックチェーンなんです。 [caption id="attachment_40801" align="aligncenter" width="800"] ブースで証明書の発行をする内山さん[/caption] -- 今回、Famieeのブースをだしてみての反応などはいかがでしたか? 石渡 : 今回は、あくまでもイベント用の企画として、カップルさんお二人の誓いの言葉をブロックチェーンに永遠に刻んで、その誓いを証拠として、”カップル証明書”というものを発行する企画でした。多くの人が興味を持って、我々のサービスを利用してくれました。ブロックチェーンを知らない方も多く、ブロックチェーンの仕組みをちゃんと説明した上で、カップル関係をブロックチェーンに刻み、証明書を発行しました。 お二人のプライバシーを守るために、お二人の情報は暗号化してブロックチェーンに刻まれ、発行した証明書に書いてあるパスワードを入力することで、お二人の誓いとパートナーとしての証明を確認して頂けるようになっています。今回は、イベント用に企画した簡単な証明書ですが、今後は、行政発行のパートナーシップ証明書に相当する、本人確認等を本格的にする本当のパートナーシップ証明書を発行するようにしていきます。 -- このパートナーシップ証明をブロックチェーンで行う際、難しい点や苦労していることも多いと思います。そこに関して、お聞かせください。 内山 : これらの証明書発行で難しいのは、技術面では、プライバシー保護と検証可能性との両立の仕組みです。LGBTの当事者の方からすると、自分はゲイやレズビアンですと公表するということは、最悪の場合、迫害されて自殺に追い込まれたりすることもありえるリスクがあることです。なので、パートナーシップ証明書を取得するためとはいえ、役所の人や我々のような発行者側にさえ、本当は個人情報や二人の関係を開示したくはないのです。しかし、本人確認をちゃんとせずに発行して、保険金詐欺などが起こっても駄目。 究極的には、我々にもわからない形で、彼らが申請者本人であると確認をし、また、ホントに独身(パートナーがいない)であるということを確認する仕組みが欲しくなります。ブロックチェーンでは、ゼロ知識証明のアルゴリズムとかが活用されたりしますが、そういった問題にまず直面します。 また仮に、ブロックチェーンに、なんらかの二人の情報を書き込む際には、第三者が見たときにわからないように暗号化しなくてはいけません。これらは、本人たちにしかわからないような暗号にしたいけれども、後々、その証明書を提出された民間企業とかから証明書の正当性確認の要請があったときに確認できないといけない。 もう一つは、証明書を発行するのことはできても、それを受け入れてくれる民間企業を巻き込まなくてはいけません。ブロックチェーン技術は、社会変革を起こすポテンシャルはあるが、技術だけだと実際に社会変革は起こせなくて、多くの企業をその変革に巻き込んでいく必要があります。社会的な信用や政治的なパワーがある人がこれを取り組むことで、初めてブロックチェーンで社会変革を起こせるんだと思います。 石渡:あとは現状だとお金の問題も出ています。現状、ボランティアで思いのある人が手伝ってくれていますが、今後ちゃんとした良いものを作っていく、時間をかけて社会を巻き込んでいく、これらのことをしようとするとどうしてもお金の問題は出てきてしまいますね。 [caption id="attachment_40803" align="aligncenter" width="800"] Famieeチーム[/caption] -- 色々と技術的問題や環境的な問題などまで多くのことがあると思います。しかし、社会的に見て非常に重要な問題を解決できるプロジェクトだなと思いました。 内山:ありがとうございます。マイノリティの人たちに対する差別という社会課題を解決するという点で、このプロジェクトはとても意義のあるプロジェクトだと思っています。が、ブロックチェーンによる社会変革という側面からも、重要だと思っています。 今回のこのプロジェクトを通じて、ブロックチェーンを使った社会変革のユースケースを一つ作ってみると、ブロックチェーン技術で社会を動かすためにはどうどういうプロセスだったり要素が必要なのかが見えてくると思っています。今後、ブロックチェーン技術で様々な社会変革を実現していくという意味でも、このプロジェクトは絶対に成功させたいと思っています。 後編の記事では、Famiee Projectの発起人であるお二人へのインタビューをお届けしました。 前後編に分けてのFamiee Projectに関しての特集でしたが、現在のLGBTにおける問題点をブロックチェーンでどうやって解決するか、そして社会変革を起こすためにはどうやって世間を巻き込んでいくか、プライバシーをどうやって守っていくかなど、多くの観点から考えるべきことが多かったと思います。 今回の記事を読んだ方が少しでもLGBTに関しての理解が少しでも深まり、Famiee Projectの今後の動向に関しての興味を持っていただけたら非常に嬉しく思います。 前編 : [Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
ニュース
2019/08/15【Ripple社訴訟問題】 $XRP がSECのガイダンスでは未登録有価証券であると引用される
現在、1年前に起こったRipple社の事件に対して、集団訴訟を起こしているXRPの投資家が新たな修正訴状を裁判所に提出しました。 今回の訴訟の内容として、SECが出している新ガイダンスをもとに、Ripple社が販売したXRPが未登録有価証券であると主張しています。 今回の新たな訴訟は、8月5日に提出されています。これらの訴訟に対して、Rippleは9月19日までに回答を提出する必要があります。 今回新たに提出されているSECが4月に発表した新ガイダンスによると、「デジタル資産分析フレームワーク」を引用しており、XRPが未登録有価証券に該当するとの判断を求めているとしています。 記事ソース : CoinDesk
インタビュー
2019/08/14SankaNetworkを通じてトークンで多くの人が、ネットワークに参加する社会を作る – HashHub CEO 平野淳也
2019年7月にステーキングプールであるSanka NetworkをローンチしたHashHub。 日本でもステーキングプールを提供する事業者が増えてきている中、HashHubがSanka Networkで狙っていること、そしてCEOである平野さんがブロックチェーンの将来を見据えて色々と語っていただきました。 Sanka Networkとは 株式会社HashHubが運営するステーキングプールです。ユーザーが保有する対象となる通貨をSanka Netowrkへデリゲート(委任)することで、ユーザーの資産を預かることなく、ユーザーは自身のウォレットで資産を管理しながら報酬を得ることができるサービスとなっています。 現在では、下記の3通貨を対象にサービスを開始しています。 COSMOS (ATOM) Tezos (XTZ) IOST Sanka Network ホームページ HashHub CEO 平野氏へのインタビュー HashHubの新規事業としてSanka Networkを立ち上げたキッカケ --HashHubは、コワーキングスペースを事業として行っていますが、新規事業として、Sanka Network いわゆる、Validator Poolを作ろうと思ったのは何がきっかけだったのでしょうか? 実は、HashHub自体はもう既にコワーキングスペースを提供している企業というわけではなく、Lightning Networkや金融機関との実証実験にもいくつか動いています。言ってみればブロックチェーン総合企業という名目でやっています。 コワーキングスペースの売上自体で言うと、既に全体の5%程度であり、今回、目に見えるToC向けのサービスとして出てきたのがSanka Networkということです。 -- Sanka NetworkはHashHubとして、To C向けのプロダクトとしては1個目のプロダクトだと思います。何故、1個目にこのようなプロダクトを出そうと思ったのでしょう。 HashHubはリリースしていないような、裏側でやっているようなこともたくさんあります。 その中で、ToC向けに何かを提供していこうと考えたとき、何からやるのかという点はすごく考えました。その中で、これからのブロックチェーンというのはProof of Stakeが主流になっていくと考えました。 前回の仮想通貨バブルの際、マイニング事業者というのが非常に増えました。殆どは、海外に事業者がいたわけですが、電気代の観点などでいうと、日本国内ではマイニング事業者というのは、なかなか生まれづらかったという前提がありました。 そのため、産業の川上における存在のような事業者が日本国内にもう少しいるべきであると考え、ユーザーが対象の通貨を利用することで、簡単に毎日報酬を得ることができるValidator Poolの提供をということになりました。 最初は報酬を受け取れると言うだけですが、将来的にはダッシュボードを作り、ガバナンスに参加できるみたいなことも考えています。 [caption id="attachment_40750" align="aligncenter" width="800"] SankaNetworkホームページより[/caption] -- ありがとうございます。日本で法人がValidator Poolをやる際、障壁があるのかなと私は考えていました。例えば、CosmosだとNodeの条件に入るためには数千万円のATOMトークンを買う必要があります。 その後、買ったトークンをステークすることで条件が整いますが、法人でこれらをやると、会社の期を跨ぐときに、保有しているトークンを時価計算する必要があり、その際に、資産価値が上がってしまっている場合など、自分たちのステークしているトークンを期が終わる前に売ったりするのかなと考えたことがあります。 これらから、法人でのValidator Pook事業はハードルが高いのかなと思ったのですが、このような障壁やそれ以外の障壁にも対応できるのでしょうか Validator Poolを国内で展開する意味での障壁に関しては、主に3つの論点があると思っています。これから施行されるカストディ規制に当たるか、今お話されたように法人税の面、そして、集団投資スキームに当たるかどうかというところです。 順番に話していきます。まず、カストディ規制の論点で言うと、ユーザーの資産を、我々が預かるということは一切やっていません。ですので、これはカストディ規制には当たりません。カストディ規制では、"ユーザーのために暗号資産を預かる事業"という文言になっています。Sanka Networkでは、秘密鍵はユーザーから一切預からないので、この規制には当てはまりません。 -- これは、ユーザーは自分たちのウォレットを利用してトークンをDelegate(委任)するからということですね。 そうです。そのため、我々のサービス自体はカストディ規制には当たりません。次に、買ったトークンの自己ステーク分の期末の法人税関連がどうなるのか?という話ですが、管理する部分はちゃんと管理します。事業をやっているのは日本の法人でも、自己保有のステーク分は海外の関連会社を利用してというような方法もできますし、色々とやり方があります。 一方で、仮に自分たちで保有していたとして、期末での時価評価にそこまで法人税がかかるのかというと、そこまで影響がないと思っています。自社でトークンを発行していたり、流動性に関係なく、その分のvaluationとかで課税されるみたいな形だと、問題が発生してくると思うのですが今回のステーキング周りのビジネスに限って言うと、我々はそこまで大きな問題ではないと思っています。 因みにですが、現段階では、Cosmosなどの自己保有分に関しては、HashHubとは違う法人で持っており、そちらで管理しています。 そして、集団投資スキームに当たるのかというような観点でも、我々はあくまでもValidator Poolを運営しているという観点なので、集団投資スキームにも当たらないという認識でいます。これら3つの観点から踏まえても、国内でValidator Poolの事業をやるのは問題がないというところです。 [caption id="attachment_40756" align="aligncenter" width="1024"] IOST SankaNetwork 投票画面[/caption] -- ありがとうございます。Sanka Networkではダッシュボードにガバナンス的な機能をということを冒頭で少しお話されていました。リリース初期でできること、将来的に計画していることなどに関して教えてください 初期時点に関していうと、機能としてできることは限られています。最低限ステーキングできて報酬が受け取れるという形です。今後に関して言うと、ユーザーがガバナンスに参加できるような、ガバナンス周りを実装したダッシュボードなども提供できたらと思っています。この背景としてはブロックチェーンにおいて、オンチェーンガバナンスというものが、賛否があれど、将来的に必ず増えていくものだと思っています。 PolkadotやCosmosでもネイティブで実装されていますし、Tezosも同様です。後はCosmos SDKを使っているプロジェクトでも、ウォッチをしていると大体オンチェーンガバナンスを実装しようとしています。 そうなると、トークン設計をしていても、トークンホルダーにガバナンスに参加できる権利を付与するような動きは必然であると思っています。ただ、その一方で、トークンホルダーに求められるリテラシーが大きくなってきますが、これらのガバナンスに参加できるダッシュボードやそれに近いものはありません。 Cosmosの例を上げます。Cosmosでは既にValidatorへの投票が始まっています。我々もこの投票に既に参加しているのですが、一方で私たちのValidator Poolを通じてステーキングしている人は、現在、ガバナンス周りに関しては見ていません。しかし、インターフェースを提供して、我々が、Validator Poolとして、どういう投票をしていくのか、どのような意見をプロトコルに対して行うのかなど、そういう部分に対して干渉できるようにしたいなと思っています。 -- ユーザーもSanka Networkに投票するのだから、委任先がどういうことを行っているかを知る権利はあるということですね。現状、ユーザーがガバナンスに参加できるようなダッシュボードを持っているプロジェクトなどはありますか? Aragonとかは、フレームワークで作っていますし、他にも作っているところはあります。ただ、ユーザーはガバナンスに参加できるとか、ネットワークを作るというのは、面倒だし、別に投票したくないというユーザーも普通にいるわけです。 例えば、ユーザーは10トークンくらい持っていて、その中で毎月5~6個くらい投票案件があったら、面倒くさいですよね。投票するインセンティブというのは、プロトコルとして設計されている場合もあります。殆どは、設計されていないことが多いんですが、仕様としては、設計されているものがいくつか存在します。今後、そういうものがまだまだ出てくると思っています。 で、私が考えているのは、Validator Poolっていう中間者、サードパーティという立場でも、投票するインセンティブやステーキングに参加するインセンティブというのを、外側からもっと付与できるんじゃないかと考えており、今色々とやっています。 -- 私も会社でCosmosでバリデーターに投票したり、IOSTに限ってはノードを建てていたりとするのですが、このインセンティブに関しては色々なアイディアが出てくると非常に良いなと思っています。ただ、インセンティブでいうと、収益率が上がるというのが多いと思いますが、収益率が上がる以外の考え方はありますか? 現時点でどのくらい話せるかというところはあるのですが、プロトコルの設計で言うとCosmosやLivepeerが顕著です。より多くの人がネットワークに参加できるように、所謂トークンをどれだけステークさせるかみたいな設計となっています。ネットワーク全体で、トークンがあまりステークされていない場合、Yield Curve(利回り曲線)がより利益率の大きいYield Curveになったりします。逆に、ネットワーク全体でステークされているトークンの量が、十分に大きくなったら、yield curveが減っていくとかというのはあります。 これも言ってしまうと収益率の話になってしまいますね(笑) 結局、収益が一番のインセンティブになるってことです。ただ、仮に投票に参加するっていう以上に、より多くの人が、ネットワークにステークという形でもネットワークに参加するということを大事にしていて、そういう意味でネットワークに参加する『Sanka Network』というサービス名にしています。 サービスは、既に開始しており、現在、Cosmos、Tezos、IOSTの3通貨に対応しており、既にブロック生成をしています。 -- Validator Poolのサービスは海外だと取引所がやっていたり、ファンド系が参入してきたり、日本でもStirのような競合他社があると思うのですが、Sanka Networkが他と比べたときの強みで言うとどこでしょうか。 現状で言うと、基本的かつ、わかりやすいサポートで実施していくというところです。その他にも、セキュリティの構築にも気を配っています。アーキテクチャをどのように設計しているかなどは、また追ってブログなどで公開すると思います。 また、将来的に考えている部分として、さっきお話したようなガバナンスの部分、ダッシュボードに関してというところです。それ以外にもこれからもっと考えていかなければいけない部分もたくさんあると思っていますし、派生して、シナジーのある何かをみたいなことも考えています。 これからの未来におけるブロックチェーンの世界 [caption id="attachment_40757" align="aligncenter" width="800"] d10n ホームページより[/caption] --ここからは少しSanka Networkから逸れてしまうのですが、平野さんは将来的にどういうブロックチェーンの世界観を考えていますか? まず、1st layerのいわゆるスマートコントラクトプラットフォーム的な話で話していきます。最近はこういう論争も減りましたが、以前はPoWが優れているのか、PoSが優れているのかという話が多くあったと思います。 PoSは実装するのが、とても難しいのですが、一方でPoWだと、アプリケーションを乗せるためのブロックチェーンとしては絶対にスケールしないということが、すでに明らかになっています。これらの観点から言うと、1st layerのブロックチェーンプロジェクトがPoSでローンチをしているように、Proof of Stakeを模索しなければいけないという事実はまず間違いないと思っています。 そして、EthereumがPoSに移行、2つのブロックチェーンでネットワークを構築するというような、複雑なことを行っていますが、持続性のあるPoSの構築は非常に難しいというのはまず間違いないです。一方で、少なくとも、将来的なところに向かっているのはPoSであるということはまず間違いなく、アプリケーションが乗るP2Pのブロックチェーンネットワークとしては、今最も主流となっています。 そして、今、スマートコントラクトプラットフォームみたいなプロジェクトは沢山出てきていると思いますが、多分いくつもは残らないと思っています。正直、無駄だろ!って突っ込むくらいの数が現在、存在してますよね?(笑)ただ、これらのプラットフォームが全部なくなり、完全に一つにはならないと思っていて、地域性とか用途に応じて複数は残るのかなと考えています。 例えばEthereumであれば、DeFiみたいなものが残るのが妥当なシナリオかなと考えています。で、思い返すと、少し前までのICOプロジェクトって全部Ethereum上でトークンを発行していましたが、最近は資金調達のためのトークンはBinance Chainで発行する傾向が多いです。Tezosに関して言えばSTOをやっていて、セキュリティトークンと相性が良かったりしますし、ゲームとかギャンブル系のアプリであったらEthereumほどの分散性とかを求めないでEOSとかTRONで、などのような感じで、用途が分かれてきて、いくつかがプラットフォームとして継続していくだろうなと思っています。 そして、アプリケーションレイヤーにおいても、トークンを利用してステークをしていくという概念がこれから出るだろうと思っています。 例えば、Enigmaというプロジェクトは1st layerのブロックチェーンというよりは、layer2という言葉もあまり正しくないんですけれど、1個目のレイヤーで動くcomputationのレイヤーです。そこではノードがENGトークンをステークして、秘匿計算を行うというようなことをしています。このノードがENGをステークしているから、Enigmaのネットワークに対して悪意のある行動をしないだろうっていうことをもとに、ENGをステークしていることから秘匿計算を行うという仕事を許され、その仕事に対してインセンティブをもらうということを実施しています。 そして、このようなプロジェクトは増えつつあります。 -- Enigma以外だと、どういうプロジェクトがあるのでしょうか? 私はこれらのモデルをMedalion ModelとかWorking Capitalって括りにすることが多いんですが、トークンを持っていることで、仕事ができたり、パーミッションが得られるトークンのことをこれらに当てはめています。 Augurで言うとREPをステークすることで予測市場を作成することができたり、0xが今後少し変わっていくのですが、ZRXトークンをステークすることによって、マーケットメイクができるようになります。現状、マーケットメイクは誰でもできますが、ZRXトークンをステークすることでインセンティブを得ながらマーケットメイクをすることができ、さらにマーケットメイカーにDelegateもできるようになります。 トークン設計の観点で言うと、少し前までプラットフォームを作って、そのプラットフォームの交換価値としてそれらのトークンが設計されるというものが多く存在しました。しかし、あのトークンモデルは絶対にワークしません。そのあと色々模索されているのが、こういうステークモデルだったり、アプリケーションにも何かしらのステークの要素を用いるとか、Delegateの要素を用いるとかです。 また、Cosmos SDKを利用して立ち上げたブロックチェーンは自分たちでセキュア性を管理しなければいけません。そのとき、ネイティブトークンを発行して、アプリケーションでの用途としてのトークンと、Validationに参加させるためのトークンという二つの役割を持ったトークンが、Cosmos SDKによって作られたブロックチェーンから出てくると思いますし、既にTerraのようなプロジェクトでもでてきています。 そういう意味でも、トークンホルダーが受益する価値は今後大きくなっていくと思っていて、ネットワークにおけるトークンホルダーの重要性というのは、大きくなってくるはずだと考えています。トークンホルダーっていうのは、現在だと大抵の場合投資家だと思います。彼らが"適切な形でネットワークに参加できる"っていうインターフェースを作りたいってところですね。 -- 今、お話しいただいたのは、ブロックチェーンが社会に浸透していく世界を見据えた上でという話ですね。私もそういう未来を信じています。そんな中で、その未来というのは、どのくらいで大衆に普及していくと考えていますか? 例えば、私たちが現在だとValidator Poolという機能だけを提供していると思うんですけど、そこで気が付いたらブロックチェーンが実装されてたみたいなところでお話します。 適切な例えかどうかわかりませんが、ETHを買う人っていますよね。Sanka NetworkのValidator Poolにステークしたら年利4%くらい儲かるから、よくわからないけどステークしようみたいな感じでステークする人が出てきます。だけど、そのステークがどういった仕組みなのか、よくわかりません。 しかし、将来的にインターフェースはどんどん簡単にしていくつもりなので、ブロックチェーンのステーキングっていうのが具体的にどういうことかわからない人でも、簡単にステーキングできるようにしていく予定です。もちろん、少し時間はかかると思っています。 少し時間はかかると思うんですけれども、その人がステーキングをするという行為、その利息を得る目的だけで参加していたとしても、結果としてEthereumのネットワークは少しセキュアになっています。そして、別の事業者が、Ethereumのネットワークで他の事業をやっていたり、もしくはどっか違う国でセキュリティトークンが発行されていたりとか、それもまた一つの形なのかなと思います。 あとは、最近社内でした話になるのですが、Ethereum界隈で最近よく使われている言葉『Programmable Money』というものがあります。世界が全部Programmable Moneyになったら便利だよねという話をしていて、具体的にどう便利になるのかってことを簡単にお話いたします。今も、私は会社を経営しているわけですけれども、日本円がProgrammable Moneyになるととても便利になります。今、会社の銀行口座に運転資金が入っています。それが日本の銀行の低金利な口座に入っていて、何もできない状態です。 しかし、日本円がProgrammable Moneyだったら、地球の裏側にいる人でも、コントラクトでお金を貸し出すことができます。コントラクトにCompoudのような担保率が設定されているのであれば、それが確かに担保があるというのを検証できると、会社の運営資金でも地球の裏側の人に貸し出せる可能性がでてきます。 あとは、もう少し未来の話をすると、請求書にスマートコントラクトを噛ませるとかも想像できますね。そして、今後、そういう世界になったら良いみたいな話はよくしています。 今、実際なんでそういう世界が実現していないのだろうかと考えて、それらを箇条書きにしてみたら、色々出てくるわけですけれどもそれぞれの課題が解決されるのは、割と時間の問題かなと思っています。そういうのが部分的に実装されて~みたいなことを考えると3~4年ってところかなぁと思います。 [caption id="attachment_40758" align="aligncenter" width="800"] HashHubで撮影の平野氏[/caption] -- そんな未来の中で、今、CoinMarketCapとかを見ても沢山の種類のトークンが発行されていると思います。 そのトークンも用途はバラバラで、それこそ新興プラットフォームがトークン発行しているものがあったり、アプリケーションレイヤーで必要とか様々なものがあると思います。EthereumのようなプラットフォームやCompoundのようなDeFiやその他のDAppsなど様々なものがあると思うのですが、全部が全部にトークンって必要か?みたいな事をよく思うのですが、ココらへんに関して、平野さんの考えはいかがですか そうですね、CoinMarketCapとか見ていても、全部にトークンは必要ないと思っていますし、実際、必要のないトークンはかなり多いです。その一方で、d10n Labでリサーチ・レポートを配信しているように、トークンメトリクスを考えたり、設計を分析するのが非常に好きだったりします。 色々なプロジェクトを見ていて感じることとしては、2017年くらいと比べて、トークンの設計に妥当性を見出せるプロジェクトが増えてきてはいるなということです。世界がどこまで行っても、このトークンというものを買っている人というのは投資家です。 投資の対象かつそのプロトコルに意味のあるコンポーネントがあるという要件が満たされていないと、そのトークンは存在する価値がないはずです。この2つの要件が満たされるトークンモデルが、まだ割合としては少ないですが、2017年とかと比べるとはるかに増えてきていますね -- これは、私が個人的に感じている点ですが、この間も話題に出ていたTerra(d10n Labのレポート参照)なんかも、ステーブルな役割を持つトークンとネットワークで利用されるトークンの2種類が存在するデュアルトークンモデルを採用しているプロジェクトですが、このようなプロジェクトなんかもかなり増えていますよね 単なるステーブルコインじゃない通貨も増えてきていると思います。Terraのモデルは、ステーブルコインがあって、そのステーブルコインの経済圏が活性化されることによって、受益するための価値を享受するためのトークンがあるというような感じです。 FacebookのLibraなんかも同じで、ステーブルコインとは別でLibra Investment Tokenがあります。結局、トークンというのは、インターネットでプロトコルができたとき、それを受益するもの。 それをどういう形で受益するのか、証券ではないけれども何かしらのもので受益するということですね。 Maker DAOなんかもMKRトークンをバーンして、価値が上がるみたいなロジック、Terraも同じような仕組みで、送金手数料がLUNAをステークしている人に支払われる。これは、新しいプロトコル的なものの価値を受益するものなのかなと考えています。 -- TerraもLibraも、Maker DAOなんかもそうですが、壮大な社会実験みたいですね。こういうものがうまくいって、それがMassに受け入れられるともっと面白くなるのかなとか 思ったりします。 そうですね。今、受益とかそういう言葉を使っていて、そういう言葉を使ってしまうと、それって証券だよみたいな話でもあるんですが、確かに証券的といえば証券的です。 Libra Investment Tokenとかは実際セキュリティトークンとなっています。ただ、今までとの決定的な違いは、"インターネット上"でその"受益者"は"P2P"で"離合集散的"にという部分です。その受益者というのが変わるんです。 例えば、TerraにおいてLUNAトークンをステークしている人っていうのは、別に株主名簿を入れ替える必要もなく、ステークしている人が流動的に変わります。これはすごいインターネット的ですよね。 そういう意味でも、色々なプロジェクトのトークンモデルというのは少しづつ洗練されつつあって、それが非常に面白いなと思っています。そういったプロジェクトを見る中で、自分たちが作っているようなものも、今後、需要が出てくるのかなあと考えています。 -- 色々と話が沢山それてしまいましたが、楽しいお話でした。HashHubのCEOとして、最後にコメントをお願いいたします。 HashHubというのは、一番最初は、暗号通貨、ブロックチェーンっていう新しい技術をきっかけにできた会社でした。この技術の特徴というか、暗号通貨の特徴って何だろうみたいなところを考えてきていました。 ビットコインで言うと、ビットコインというのは一人ひとりの選択肢を作ったと思っています。政府を信用できない人だったり、銀行を信用できない人はビットコインを持つ、そういうのでなければ別にビットコインを持つ必要はないと思っています。 そのような前提で、HashHubという会社のミッションとしては、選択肢をより増やした世界を作っていくというものになっています。そ事業ごとにミッションがあるんですけれども、d10e labで言うと『Distribution of Knowledge』という、ブロックチェーン関連の知識を広めるっていうミッションです。 『Sanka Network』で言うと、トークンを用いてより多くの人が、ネットワークに参加する社会を作るっていうミッションを掲げています。HashHubは色々な事業が連続的に生まれる会社だと思っているので、コアな部分に選択肢を増やすっていうのがあって、そのうえでいろんな事業を作っていくとい来たいと思っています。 その上で採用も積極的に行っているので興味のある方はご連絡ください!! 7月にHashHubがリリースしたSankaNetworkは対象となる通貨のトークンを持っていれば、誰でもSankaNetworkに委任をしてステーキング報酬を受け取ることができます。 海外プレイヤーだけでなく、国内でもステーキングプールを運営する企業が徐々に増えてきていますが、SankaNetworkは今後、ユーザーがよりガバナンスに参加できる仕組みを取り入れていきたいとのことです。 今後の動きにも注目しながら、対象となる通貨を持っているユーザーは是非ともステーキングに参加して、ステーキング報酬も受け取りましょう。 Sanka Network ホームページ ※Sanka Networkでは8月まで手数料が0%になるキャンペーンを実施中です。
インタビュー
2019/08/13[Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮
2019年4月末に代々木公園にて、「LGBT、いわゆる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指した団体、およびイベントである『東京レインボープライド2019』が2日間にかけて行われました。 本イベントでは、ブロックチェーン技術を活用するFamiee Projectが「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるようで、イベントに参加し、取材を行ってきました。 今回の記事から2回に分け、Famieeに関する思いや考えをお届けしていきたいと思います。 前編記事ではFamiee Projectの概要や目指すもの、開発チームであるStaked株式会社 CEO 渡辺創太さん、株式会社withID CEO 川 大揮さんのお二人へのインタビューをお届けいたします。 後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様に加え、発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project 概要 「Famiee」プロジェクトは、地方自治体が発行するパートナーシップ証明書に相当する証明書を、改ざん不可能性といった特徴を有するブロックチェーン技術を活用して、民間で発行し、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指すプロジェクトです。 内山幸樹の呼びかけに応じて、LGBT支援活動家、ブロックチェーン事業に取り組む起業家等「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現」という理念に共感するメンバーが集まり誕生しました。 [caption id="attachment_40726" align="aligncenter" width="646"] ハフポスト調べ[/caption] パートナーシップ証明は、2015年11月に渋谷区や世田谷区で導入され、現在でも導入されている地域が徐々に増えており、2019年4月1日には9つの地域で導入がなされました。 現在、Famiee Projectでは、一般社団法人Famiee の設立手続き中となっています。 背景・目的 「家族」という概念は、近年、とても多様化してきています。LGBTのカップル、事実婚のカップル、精子・卵子提供を受けてできた親子、代理母の協力でできた親子、互いに支え合って生活するシングルマザー同士など、従来の概念での「夫婦」「親子」「家族」に当てはまらない新しいカタチの家族の形態が生まれてきています。 しかし、従来の家族の概念に基づいて作られた社会制度の中で、新しい概念に基づき生きる人たちは、多くの困難に直面しています。 一方、日本では、既に複数の地方自治体でパートナーシップ制度が導入されていますが、制度の導入に際しては、市区町村の強いリーダーシップが必要とされ、パートナーシップ制度が日本全国に広がるには時間がかかると考えられます。 そこで、「Famiee」プロジェクトでは、LGBTカップルや事実婚カップル等、法的には婚姻関係と認められない多様な家族形態の人たちが、住んでいる地区に関わらず家族関係を証明することができるよう、ブロックチェーン技術を用いたパートナーシップ証明書の発行を目指しています。 さらに、多様な家族形態の人たちが等しく民間企業の家族向けサービスを受けることができるよう、パートナーシップ証明書を採用する民間企業を増やすための啓蒙活動を行い、これらの活動によって多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指しています。 Famiee Project 開発メンバーへのインタビュー ブロックチェーンに何の情報を書き込むかをとても悩んだ [caption id="attachment_40721" align="aligncenter" width="800"] 左 : 渡辺 , 右 : 川 証明書の中身をブロックチェーンで確認している[/caption] -- 自己紹介をお願いいたします。 川:川 大揮といいます。ブロックチェーンに興味をもったのは2年前、インターンシップでLINE株式会社へいったときです。 そこでディーテクノロジーの中林さんからおすすめされてビットコインを買ったのがきっかけになります。 ビットコインは今もですが、当時も価格変動も凄かったので、価格予想などをTwitterで調べたときにPoS , PoWという言葉を見かけました。当時意味がわからなかったので、これらの言葉を見て、調べ出したことをきっかけにブロックチェーンってテクノロジーに興味を持ち、面白いと感じました。 難しいと思われがちですが、ブロックチェーンは理解もしやすいですし、シンプルな仕組みというところから新しいテクノロジーだと感じました。 その後、もっと深く知りたいと思い、Bancor(バンコール)の日本のカントリーマネージャーやWPの翻訳の手伝い、ウォレットの作成も行いました。これらの経験を経て自分のプロダクトを作っていきたいと思い会社を設立したというところです。 -- 聞いたお話だと、川くんは、東工大の卒業証明をブロックチェーンを利用して作ったとお伺いしています。(※取材は4月に実施) 川: 厳密に言うと、これからやりたいと言うところです。東工大初のベンチャー申請をしたのが先日です。東工大の教授に同じことをやりたいと考えている人もいて、お手伝いをしながらやっていきたいと思っています。(※withIDでは7月末に東工大発ベンチャーの称号を取得済み) 私がやりたいと思っていることは権利証明や生活で使えるようなデジタルID 作りたいと考えています。 渡辺:渡辺創太といいます。現在、ステイクという会社を設立し、SubstrateやPolkadotを研究しながら、現在はPlasmというプロダクトを作っています。 Substrateはカスタマイズしながらブロックチェーンをつくることができるので、Plasmaのライブラリをインポートして、Substrateで作るブロックチェーンをPlasmaのように出来ます。 ルートチェーンを作ってその下に子チェーンを階層化して出来るような機能をデフォルトで通ったブロックチェーンを現在、作っています。 その中でWeb3 Foundation、Parityと関わりを持っており、最近では、彼らに認知されてきたので、これから我々は世界展開していきたいと考えています。 -- 今回、Famieeにジョインしたキッカケや理由を教えてください 渡辺:元々、東大のブロックチェーン活用に関する研究室の場で内山さんと知り合いました。学生が自分達でプランを作って実装までしようというような研究室だったのですが、その中で、内山さんもプランをいくつか持っており、その持ってきていたプランの中でブロックチェーンを利用できるのではないかと考えました。 ただ、実装できる人がいなかった中で、開発者として川くんにピンときて、川くんに連絡を取り、誘いました。 川:僕は、権利証明や身分証明の分野をブロックチェーンでやりたいと考えていました。BlockcertsというIDのウォレットみたいなものはおもしろいなと考えていた時期で、色々とやれることがあるかなと思っていたときに、創太くんからfamieeの話をいただきました。話を聞いてみると、身分証明や権利証明に近いところがあったこと、ビジョンも共感できたので、すぐにジョインを決めました。 渡辺:内山さんは上場企業の社長であり、新経済連盟で三木谷さんの下でプロジェクトを立ち上げたりもしているので、日本国内において、ブロックチェーンユースケースを生み出していき、社会に浸透させていくことも出来るのでは?と考えました。僕ら、やりたいことや思いはあるけれど、それを社会に浸透していくには力が足りない。そういう意味で強い大人の力を借りることもできます。そういう意味でも今回のfamieeというプロジェクトは、すごくやりがいがあります。 - - お二人はいつからfamieeにジョインしたのでしょうか 渡辺:僕は、内山さんと出会ったのは去年の10月くらいです。で、その後にfamieeにジョインしたのは今年の2月というところでしょうか。川くんも僕が誘ったのは2月の終わりくらいとかだったと記憶しています。 - - そうすると、今回のイベントまでは実質3カ月ほどの期間しかなかったと思いますが、実装などは大変ではなかったですか 川:仕様設計からブロックチェーンに何をかきこんでいいのか、どうやって結婚証明するのかなど考える部分が多く、大変でした。 ブロックチェーンは一回書き込んだデータは取り消せないので、じゃあ離婚の場合はどうするのか、個人情報をどうするのか(サーバー挟むのか、そのまま書き込むのか、暗号化するのか、IPFS使うのかなど)などの話をしていて、そこに時間がかかりました 渡辺:あとは量子コンピューターの話もしましたね。量子コンピューターで解読されたらどうするのかって。 川:そういう話もたくさんしましたね。現在、使われている暗号って鍵の長さが128ビットや256ビットなどと色々ありますが、例えば 2030年にはコンピュータの計算速度は速くなるので、使いものにならないと言われている暗号がいくつかあります。 コンピュターの処理速度向上のために使いものにならないと言われている暗号を使用して、今証明したい内容をブロックチェーンに書き込んでしまうと、将来LGBTの方々や、結婚していることを公にしたくない方々の情報が丸裸になってしまいます。 例えば、あるプロジェクトでは個人の住所や名前などをハッシュ化してブロックチェーンに入力していますが、ハッシュ値も15年くらいで破られると言われています。可逆じゃないと世間的には言われていますが、今は可逆じゃないだけで将来的にはなくなる可能性があります。 また量子コンピュータになると処理速度が劇的に向上するので、じゃあどうすればいいのかなどの話合いも沢山重ねました。 -- その中でfamieeの実現のために、最も苦労した点は何でしょうか 川:結局の所、何を暗号化するのか、何をブロックチェーンに書き込むのかというところでした。これは、今までの例を見ても、実例がありません。そして、これらのことを考えているプロジェクト自体も少ないです。 一般の方は暗号化してるのなら安全、そして、それをブロックチェーンに書き込めば、誰でも読めないと思っている方も多いです。そういった価値観などをまずは変えなくてはいけません。 ブロックチェーンはオープンであること、誰でもデータが読めてしまうこと。そして、いくら暗号化してもダメだなど、こういったことの共有が必要になります。 また最終段階として、暗号化したり書き込んだものはEtherScanで復号して見ることができないという問題がありました。この部分に関しては、自前で実装しなくてはいけません。 書き込んだものをEtherScanのAPIを利用して、それを復号化する必要があったり、パスワードを使って復号化するなどのこういう処理が大変でした。 ex.) ブロックチェーンに暗号化で書き込む → EtherScanでみると文字化けしている → 自分達のサイトで暗号化を復号化する(EtherScanでは復号化はできない) [caption id="attachment_40719" align="aligncenter" width="800"] Etherscanに書き込まれているが、暗号化されていて確認ができない[/caption] 自分達だけで発行した証明書には価値はない、そこからどれくらい人を巻き込んでいけるか -- 今回のfamieeの体験では、ニックネームでも登録が可能ですが、ニックネームで登録したものでも実際に市役所に持っていけるのでしょうか 川:今回はあくまでも体験なので、そのような仕様にしているだけで、本番ではまた違う方法を考えています。例えば、IPSFという技術ではデータをバラバラに保存しますが、IPSFはどこにあるかをブロックチェーンに書き込むのでそれはプライベートではありません。 現在、考えているのはそのデータを参考に一つのデータをばらばらにして色々なブロックチェーンに書き込むことを考えています。Bitcoin、Ethereum、EOSなどにデータをバラバラにしてランダムなタイミングでそれぞれのブロックチェーンに書き込む方法です。 こうすることでブロックチェーンにあるデータは本人しかわからないし、消えることはないのでうまい使い方ができるのではないかと思っています。 [caption id="attachment_40720" align="aligncenter" width="800"] 復号化するサイトを構築し、確認が可能[/caption] -- 今日のイベントで実際に証明書の発行をしてみて、利用してみたユーザーからの反応というのはどうでしたか? 渡辺:反応はとても良かったと思っています。LGBTの人たちは私たちが思っている以上に社会に認めてほしいという気持ちが強いと思いました。今日話してみたのですが、こういうサービスが出てくると非常に助かるなどの言葉をいただいたり、ブロックチェーンって言葉は知っていたけど、実際にこうやって社会で使われているのは初めて知りましたなどの言葉をいただきました。 セキュリティー的にはまだまだ問題はあるけど、とてもニーズはあるのだなと手応えも感じています。 川:今まで証明書を発行するっていう概念は国が行っていました。しかし、ブロックチェーンの技術を利用すれば、改ざんされないという特性を利用して民間や一般の方が作れると思えたのが凄いと思っています。 実際、良いか悪いかはわからないけれども、そういう発想に行きついて、皆がそこに価値を感じていて、それがおもしろいと思いました。同じく手応えを感じました。 今日のイベントの中には、やめときますという人もいました。その人はブロックチェーンに書き込まれるのが嫌だと言ってましたが、それは書き込まれると一生残り続けるので嫌だということで、個人的にはこういう思いも含めてとても良いと感じました。それなりの信用がブロックチェーンにあるのだなと思えた瞬間でした。 私たちが出した証明書が、今後ちゃんと世の中に認められたら良いなと思います。 --今後、このような取り組みが認められる社会になっていくと良いと私も思っています。最後に、今後、ブロックチェーンがLGBTや社会の中に、より一層実装されていくために必要なことは何だと思いますか。 川:大きいことはいきなりできないので、小さなことからまずは始めることが大切だと思います。今回のように効力はないが、まずは発行してみること。そして巻き込んでいく人を増やしていくこと。 ブロックチェーンに書き込んだものは改ざんできません。そもそも僕らの発行した証明書が信頼できるものであると認めてくれる人がいないと意味がありません。ビットコインに関しても書き込まれているデータを認めてくれる人がいることに価値があると思っているので、まずは自分達だけで発行した証明書には価値はなく、そこにどれくらい人を巻き込めるのかが大切だと思います、 そうして、ようやく改ざんできないということが効いてきます。ただ、やりました!とかだけだと、最初は意味がないと思うので、そこにどれだけ価値を出せるかの人の巻き込みが一番大事だと思います。 渡辺:私としてはテックドリブンすぎることは、限界が来るだろうと思っています。ブロックチェーンの業界はテックドリブンすぎる人が多いです。世の中を巻き込んでやっていくとなると、例えば、新経済連盟のようなところに呼びかけていったり、本来の証明書であれば、必要な要件はあるけれども、ブロックチェーンで刻むなら、もっと簡単にしたもので、政府が認めてくれたら楽になるのように、技術以外のところをもっとやっていく必要があると思います。 前編の記事では、Famiee Projectの概要と開発メンバーであるお二人のインタビューをお届けしました。 後編の記事では、イベントの様子に加え、現在のLGBTにおける問題点やブロックチェーンを活用してどうやって解決していくか、巻き込んでいくかなどを株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんに語ってもらっています。 後編 : [Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ