DeFi特化のチェーン「Sei Network」とは?概要や特徴、今後を解説

2022/11/26・

airutosena

DeFi特化のチェーン「Sei Network」とは?概要や特徴、今後を解説

Seiは、DeFiに特化したL1チェーンです。

高い処理能力とファイナリティまでの速さ、チェーン側でのCLOBの実装、汎用チェーンと固有チェーンのメリットを上手く取り込んでいるなどの特徴が見られます。

まだテストネット段階ではあるものの、7億円規模の資金調達に成功していたり、わずか数日間でテストネットにおけるNFTが10万件ミントされるなど、注目度が非常に高いプロジェクトです。

この記事では、そんなSeiについて以下の観点から解説していきます。

この記事のまとめ

・DeFiに特化したL1チェーン
・フロントランニングの防止を実現
・高速なファイナリティと高いスループット
・Cosmosエコシステムとの相性の良さ
・ローンチ時期は不明なもののインセンティブテストネットが実施中

Seiとは?=DeFi特化のL1チェーン

Seiは、主にDeFiに特化したL1チェーンです。

現在、DeFiではさまざまなプロダクトが登場しており、展開されているL1チェーンも多岐にわたります。

そんな中で、Seiは「CEXと同等程度」の体験を、ブロックチェーン上で実現する可能性があります。

そんなDeFiに焦点を当てたSeiの概要、チーム、資金調達といった基礎的な情報について解説していきます。

・これまでのDeFiの課題
・DeFi特化のSeiが解決する問題
・Seiのチームと資金調達

これまでのDeFiの課題

DeFiは、中長期的な観点から見ると、安定的な成長を続けています。

過去数年間のTVLからも、その傾向が見て取れると言えるでしょう。

(引用元:DefiLlama)

その一方で、DeFiにはさまざまな面での課題が存在します。

例えば、取引が処理されるまでの時間、安定性や信頼性、汎用性の高いL1チェーンでの開発におけるカスタマイズ性の少なさなどです。

そのような背景もあり、現在多数のプロダクトやプラットフォームがDeFiにおける諸問題を解決しようと取り組んでおり、より実用性の高いプロダクト・プラットフォームが登場しつつあります。

DeFi特化のSeiが解決する問題

Seiは、DeFiに存在する諸問題の中でも、特に以下のような課題に取り組んでいます。

  • 高速なファイナリティの確保
  • 高いスループットの確保
  • フロントランニングの防止

上記のような問題を解決することで、例えばSeiではCLOB(一般的な取引所で採用されているような注文システム)などの対応を目指しています。

まだ、試験的な運用(テストネット)に留まっていますが、今後Seiで実用性・利便性の高いDeFi周りのプロダクトが構築されていく可能性があるでしょう。

Seiのチームと資金調達

Seiは、2022年8月に500万ドル(約7億円)の資金調達に成功したことを発表しました。

資金調達に伴って以下のような企業が見られ、著名なVCが参画していることも分かるでしょう。

  • Multicoin Capital(主導)
  • coinbase VENTURES
  • Delpi Digital
  • Hudson River
  • GSR

また、SeiはAirbnbやゴールドマン・サックスなどで経験・経歴を持つメンバーによって開発が進められています。

経験豊富なチームや、著名なVCからのバックアップなどが揃っていると言えるでしょう。

Seiの5つの特徴

これから、Seiの特徴について以下の観点から5つピックアップしていきます。

・トランザクションの処理性能とファイナリティの速さ
・フロントランニングの防止
・取引に特化したさまざまな技術
・汎用チェーンと固有チェーンの中間に位置する
・Cosmos SDKとIBC

Seiが持つ特別なポイントやその仕組みなどについて解説していきます。

トランザクションの処理性能とファイナリティの速さ

SeiはDeFiに特化していることから、チェーンにおける処理速度やファイナリティまでの速さは最も重要なポイントです。

Seiの公式サイトで記載されている処理速度は以下のとおりです。

トランザクションのスループットについては22,00OPS、ファイナリティまでの速さについては600msでの運用が可能であるとの記載が確認できます。

(OPS = TPSに近しい指標、ファイナリティ = トランザクションが確定的になるタイミング)

DeFiの利用においてはどれだけトランザクションを処理できるのか?と同時に、トランザクションが確定するファイナリティも重要です。

もしも、上記のような数値が安定的に出せるのなら、大きな期待ができるでしょう。

試験的な段階の数値にはなりますが、同等・近しいパフォーマンスが出ていることが確認できます。

ただし、Seiに関する数値については試験的な段階であり、ローンチされ本格的に普及した場合のパフォーマンスについてはまだまだ未確定であることに注意が必要です。

フロントランニングの防止

DeFiにおいては、フロントランニング・MEVが重要な課題として挙げられることが少なくありません。

ブロックチェーンでは、トランザクションを処理する前段階で、保留されるタイミングがあります。

ブロックチェーンにおけるフロントランニングでは、トランザクションが保留されているタイミングで、ターゲットよりも高速にトランザクションを処理し、利用者に不利なレートで取引をさせる行為などが挙げられます。

Seiでは、後述する技術・仕組みによってトランザクションの処理を高速化し、高頻度なバッチオークションを行うことでフロントランニングを解決します。

(バッチオークション = 1つずつトランザクションを処理せず、一定時間内において同じタイミングで処理を行う)

MEV (Miner Extractable Value) とは
ブロック内のトランザクションを任意の順番で配置し、バンドル化(= 別のプロダクトやサービスと合わせて提供)することで抽出可能な金銭的価値。MEVには、MEV Searcher(サーチャー)と呼ばれるMEVを発⾒を狙うグループと、Proposer(プロポーザー)と呼ばれる、ブロックをオンチェーンに伝播するグループが存在する。

MEVのランドスケープには、トランザクションを組み⽴てて利益を出すサイドと、ブロックの⽣成を実際に担うサイドの、⼆種類の参加者がいる。

取引に特化したさまざまな技術

Seiでは、さまざまなアプローチで、トランザクションの処理を高速化・効率化させています。

代表的なものに、トランザクションの並列処理と市場ごとの区分けが挙げられるでしょう。

通常、ブロックチェーンでは、トランザクションを1つずつシーケンシャルに処理していきます。(順序的に処理していく)

しかし、上記のような処理方法では、高い処理能力(高いスループットや低いレイテンシ)を実現するには限界があります。

https://twitter.com/goated2EZ/status/1595296006530564096?s=20&t=BI1p7d3FP74UEdmko0BmJg

一方で、Seiではトランザクションを並列処理しています。(各トランザクションを同時に処理)

並列処理は他のブロックチェーンでも見られますが、Seiでは並列処理に一定の条件を設定し、並列処理の懸念を払拭します。

というのも、並列処理には不確定・非決定性的な事態が発生する可能性があります。(ノード間で矛盾が発生する可能性など)

不確定・非決定性は、DeFiに焦点を当てるSeiにとっては致命的な弱みになってしまいます。(価格に矛盾などが出ると利用者の損失につながる)

そのため、Seiでは他の市場に依存しない・関係しないものに限定して、並列処理が可能です。

(並列処理の流れと時間軸のイメージ。上部が並列処理なし・下部が並列処理あり  Seiのwhite paperより)

具体的には、同じ市場(同じものに対する注文など)は並列処理が不可能で、異なる市場での取引に関しては並列処理が可能です

一方で、同じ市場を取引する注文に関しては、一般的なブロックチェーン同様に1つずつ順序的に処理していきます。

また、効率的なブロック伝播と楽観的な処理を行うコンセンサス関連の技術であるツインターボコンセンサス(Twin-Turbo Consensus)も、処理速度の高速化に貢献している要素の1つです。

その他にも、オンチェーンでは処理性能などから実装が難しいCEXに見られるようなCLOBの実装などに対応しています。

上記はあくまで一例で、Seiはブロックチェーンに予め、DeFi(特にDEX)と相性の良い取引周りの仕組み・技術を組み込んでいます

また、Seiではチェーンレベルで注文のマッチングエンジンを実装していますが、少なくとも初期段階では取引手数料を徴収しない方針です。(ここで言う取引手数料は、ガス代ではありません)

しかし、将来的にガバナンスによって変更される可能性もあります。(将来的な変更が可能な旨がWhite paperに記載)

あくまで可能性の話ですが、手数料が徴収される方針になった場合、徴収された取引手数料を元にしたユニークなTokenomicsを構築できるかもしれません。

汎用チェーンと固有チェーンの中間に位置する

Seiは、汎用チェーンと固有チェーンの中間に位置するブロックチェーンです。

具体的には、汎用チェーンはイーサリアムに代表されるようなどんな用途にも利用可能なブロックチェーン、固有チェーンはdYdXのような固有のアプリに用いられているブロックチェーンを指します。

両者は、以下のような特徴をもっていますが、Seiは汎用チェーン・固有チェーンのメリットを備えています

汎用チェーン固有チェーン
コンポーザビリティ(構成可能性)高い低い
アプリサイドでのカスタマイズ性低い高い
他チェーンとの相互運用性場合によるが低い高い
(IBCに対応するチェーンなど)
手数料主要なイーサリアムでは高い低いことが多い

SeiはL1ブロックチェーンとして、複数のプロダクトをチェーン上に展開可能であり、汎用チェーンと似通った側面を持っています。

その一方で、展開されるプロダクトはパーミッションであり、展開するプロダクトはガバナンスによってホワイトリストに登録される必要があります。

つまり、固有チェーンほどクローズなブロックチェーンではないものの、汎用チェーンほどオープンなブロックチェーンでもありません

また、Seiでは、ノードのハードに対して高い負荷が掛かる可能性が指摘されています。

その代償として、高い処理能力を持ちながら、Seiは汎用チェーン・固有チェーンの強みをバランスよく持っています。

Cosmos SDKとIBC

Seiは、Cosmos SDK・Tendermintを用いて構築されています。

前述したような技術・特徴の基礎的な部分は、Cosmos SDK・Tendermintによってもたらされています

また、SeiはIBCにも対応しているため、相互運用性が高く、Cosmos周りとのプロダクトと相性の良いです。

こういった他のチェーンとの相性の良さも、Seiの強みとなっていく可能性があるでしょう。

Seiに構築されたアプリの例

Seiはテスト段階ではあるものの、すでにSeiで開発が進んでいるプロダクトが多数見られます。

いくつかピックアップすると、以下のようなものが挙げられます。

  • Vortex Protocol
    (デリバティブ対応DEX)
  • Nitro SVM
    (SolanaとCosmosのゲートウェイとなるSolanaのL2)
  • Axelar Network
    (複数のチェーンに対応したブリッジ)
  • UXD
    (Solana系のステーブルコインプロトコル)
  • Synthr
    (複数のチェーンに対応予定の合成資産プロトコル)

DeFi周りのプロダクトも見られるものの、一部ではNitro SVMのようなインフラ系のものも見られます。

Sei自体はまだまだ試験的な段階での運用にとどまっているため、今後も展開されるプロダクトは注視していきたいと言えるでしょう。

その他のプロダクトについてはコチラからチェック可能です。

Seiのこれまでと今後

これから、Seiのテストネットやローンチ時期などについて、解説していきます。

Seiのこれからについてチェックしていきましょう。

テストネットのこれまでと現在

11月時点で、Seiはテストネットを運用している段階です。

Seiは、テストネットの段階ごとにミッションを設定しており、クリアした方に向けてインセンティブを配布する予定になっています。

現在、ACT4まで実施されていて、各ACTごとにミッションの概要は以下のとおりです。

ACTの段階ミッション概要実施時期
ACT1バリデーターの設定や実行、運用2022年7月~8月
ACT2ウォレットの接続やVortexなどの利用2022年8月~10月
ACT3Seiに対するハッキング、Vortexに対するハッキングなど2022年8月~未定
ACT4Vortexの利用や紹介など2022年10月~未定

各ミッションの詳細はコチラをご確認ください

ただし、開催期間などについては記載されているものと実際の運用に一部乖離が見られます。

実際に参加を検討している方は、Discordなどと併用してリサーチを行ったほうが良いでしょう。

ローンチ時期はまだ不明

Seiのローンチ時期は、現時点において不透明です。

まだ具体的なトークンのアロケーションなども発表されておらず、上場に関する情報などもチェックできません。

ただし、着実に開発が進んでいる様子は確認でき、すでにテストネットを数ヶ月運用していることなどからそれほど長期間のスパンではない可能性もあります。

特定のトークンの保有者に対するエアドロを示唆するツイートも確認できるため、Seiに注目しているという方は、ウォッチしていく必要があるでしょう。

まとめ

この記事では、DeFiに特化したL1チェーンであるSeiについて解説しました。

FTXの一件以降、CEXへのリスク意識が高まり、DEXの利用が広まっているという流れも確認できます。

そんな中で、CEXと近いクオリティでさまざまなプロダクトを構築できるSeiは、今後注目したいプロジェクトであると言えるでしょう。

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