DAppsゲーム「くりぷ豚」開発メンバーへインタビュー!開発秘話から今後の展望まで!
Crypto Times 編集部
最近はDAppsゲームも非常に多くのゲームが出てきましたが、日本におけるDAppsゲームの先駆けを皆さんは御存知でしょうか?今回は、国産DAppsゲームの先駆けともいえる「くりぷ豚」に関して、開発メンバーの皆様にインタビューを実施いたしました。
くりぷ豚の開発の経緯や、制作の過程、昨年発表されたゲームの新要素『レース機能』、そして、今後の展望などについて、赤裸々に語っていただきました。
目次
くりぷ豚に関して
くりぷ豚は、仮想通貨イーサリアム(ETH)を使って様々な体型や色の「くりぷトン」を売買、配合できるシミュレーションゲームです。
日本で最初に誕生したDAppsゲームで、これまでに何万もの豚(「トン」)が誕生しています。
ALISともコラボ!注目DAppsゲーム「くりぷ豚」の紹介 – CRYPTO TIMES
くりぷ豚開発メンバーにインタビュー
ー今回は取材をお受けいただきありがとうございました。まずは自己紹介からお願いします。
周:こちらこそ、ありがとうございます。私はくりぷ豚のプロデューサーをしていて、この会社ではブロックチェーン関連事業を担当している周と申します。
右側にいるのがプログラマーのジェロームといいます。くりぷ豚のメインディレクターとCTOをしています。ゲームの立ち上げからブロックチェーンエンジンの開発までを手掛けてくれています。初川は主にプランナーとして色々な企画を考えてくれています。
左にいるのが福井と申しまして、この会社では主にプロモーションを担当しています。くりぷ豚のプロジェクトをずっと担当してくれていて、海外折衝の役割も担っています。
くりぷ豚開発の経緯
ー今回、初めてくりぷ豚を知る方もいると思うので、くりぷ豚を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
周:僕たちがビットコインに着目したのが2015年ごろのことでした。ボードメンバーの中でビットコインって面白いんじゃないのと話をしていました。最初は投機的なものとして仮想通貨を研究していたんですが、ある時技術面にものすごく広がる可能性を感じました。そして一度社内で本気で研究してみようとなり、制作中だったスマートフォンゲームの開発を進める一方で、仮想通貨も新しい事業として研究していました。
ー2017年の11月の末ぐらいにクリプトキティーズというDAppsゲームが登場しましたが、研究を始められたのは、その頃だったりしますか?
周:会社自体は2017年の7月頃から思い切りブロックチェーン事業にシフトし始めていて、10,11月ごろにはシフトを完了していました。そして僕たちがブロックチェーンのゲーム企画を考えていた時にクリプトキティーズという成功事例が出てきたんですね。ジェロームをはじめとして我々のエンジニアで沢山研究しましたね。
ー2017年7月頃からシフトし始めていたとは…すごいですね。そのころからブロックチェーンを使ってゲームができるんじゃないかと考えていたんですか?
周:そうですね。でも、僕らとしてはそんなに早いという認識ではないんですよ。世界レベルで考えたときに7月ってそう早かったわけでもなくって。なので、遅くもなく早くもなくって感じですね(笑)
まぁこんな感じで、ブロックチェーンを使ったゲームの開発へとシフトしていきました。
ーそれにしても、当時の7月って私的にはまだまだ、投機としてしか仮想通貨を見ていなかったので、海外の情報とかそう多くはインプットできていなかったんですけれども、この頃からブロックチェーンゲームってあったんでしょうか?
周:その時はまだ爆発的に人気だったものとかはなかったと思います。勿論、ブロックチェーンを利用してゲーム作るよという構想のようなものは見かけていました。まぁ、後はメディアなどが報じていないだけで個人レベルではあったかもしれません。
くりぷ豚リリースまでの過程や海外の反応
ーくりぷ豚のアプリのリリースは、たしか2018年の3月頃でしたよね。
周:そこがちょっとややこしくて、3月の終わりぐらいに、こういうゲームをやりますとプレスで宣言しました。そのあとプラットフォームの改良や追加の仕上げなどをして、6月18日に正式にリリースした形ですね。
ーリリースは6月でしたか。プレス打ってからアプリのリリースまで少し間があったんですね。
周:そうなんです。仮想通貨を使って売買をするというゲームなので、ゲームのレギュレーションだったり、現行法に対する対応だったりとかを考える時間が必要でした。またこれらを一企業としてだけでなく産業として考えなきゃいけないというのをすごくを僕らは意識していて、横のつながりで周りの企業さんと色々とディスカッションなどをして、省庁さんとどういうコミュニケーション取るかなど模索していました。
当時、某流出事件とかがあった後だったので、世間の風当たりもすごく強かったんですよね(笑) なので世間の支持を得るためには行儀良くやらないといけないと思っていました。せっかく可能性を秘めているブロックチェーンの事業をやっているので、応援されるようなやり方でないといけませんよね。
ーなるほど。僕も当時のプレスは見ていました。国産のDAppsゲームは、その時はまだなかったと思うので、面白そうだなと思った記憶があります。ALISなど、プロモーションも横の企業とのつながりを活かしたやり方でしたよね。
周:ALISに関して言うと、我々はゲームでALISはメディアで、お互いのいいところを持ち寄ってこの業界を盛り上げていこうよってコラボしています。やっている方向がある程度類似しているので。
metaps plusとの提携も発表しましたが、今アジア圏のネットワークを作ろうとしていて、パートナーシップを組んでブロックチェーンに関するPRもしています。ALISなどとのコラボもこれの一環ですね。
ーくりぷ豚はグローバルにも活動をしていると。ところで、日本ではくりぷ豚の知名度はあると思うのですが、世界の反応はどうなんでしょうか?
周:海外の方々には本当にごく一部にだけ知られている感じですね。でも、明るい話もあります。くりぷ豚を海外に持って行ってプレゼンやデモを見せたりすると、「このゲームをもっと触らせてくれ」、「これどうやったらゲームを遊べるの?」とか聞かれます。
今回、レースという要素を新しく追加したのもありますし、豚をモチーフにしているところが記憶に残るみたいで、海外ではよく豚男って言われてます(笑) ゲーム自体の素地はある程度できているかなって感じなので、あとはパートナーシップを組んでPRすることが非常に重要な課題だと思っています。
ー確かに、海外のDAppsゲームより明らかに作り込まれていると思いました。
周:ゲームの力を使うことで、世間では流出事件の印象が強い仮想通貨もすんなり日本の生活に入ってくのではないかと思ってかなり開発は作り込んだつもりです。
ゲームって無意識的に難しいことや分からなかったことを楽しみながら身に付けることができますよね。これを利用すれば、仮想通貨を使った物の売買や送金が日本のライフスタイルへのシームレスな浸透を可能にすると考えています。
運営をしている中で面白かったのが、くりぷ豚で売買して得たイーサリアムをほかのゲームで使われていたことですね(笑)。非常に感慨深い一面でした。
新しく登場したレースゲーム要素について
ーくりぷ豚のレースに関しても情報が出ていましたが、レースで勝つと何かもらえるんでしょうか? (※インタビューはレースβ版リリース前に実施しております)
周:我々が考えているのが、通常のレースにおいては装備品が買えるポイントがもらえるようにすることです。もう一つがガチユーザー向けの週一か月一で開催されるイベント戦においてもらえる報酬で、これはある程度豪華な報酬にする予定です。
このイベント戦の豪華な報酬に向けてユーザーには普段育成をしてもらったり、レースに参加して参加資格を得るなどの遊び方をしてもらうつもりでいます。
ー今後スケーラビリティ問題の発生によりガスが高騰するなどの弊害が影響してくる恐れも考えられますよね。それに対して、サイドチェーンを使ったりオフチェーンオンチェーンを用いているとか何か対策はされていますか?
ジェローム:私の考えとしては、くりぷ豚を踏み台としてブロックチェーンの世界に入ってほしいので、とりあえずユーザーがゲームを始めるためのハードルを下げたいというのが本音です。サイドチェーンを導入するとなると新しいトークンを使わないとならないので、今のところはオフチェーンとオンチェーンをうまく混ぜる方針でいます。
ゲームを始めるハードルを下げたいのに、Metamaskを入れてくれだのChromeが云々だの、始めるユーザーには本当に難しいことばかりです。出来るだけこういう難しいところをなくしたいと考えています。
くりぷ豚制作において苦労したこと
ー聞いていると、割とゲーム制作が狙い通りに進んできているような感じがしますが、苦労した部分等とかはどんなところがあるのでしょうか?
周:いやいや、たしかに話しているとうまく行っているように聞こえます。しかし、9割ぐらい狙い通りじゃないですよ(笑) 省庁さんや法制度に対する対応が非常に苦労しました。大きく2つの問題があって、1つが二号仮想通貨に該当する問題、もう一つが賭博に関する問題でした。前者は最終的に解決したのですが、後者は非常に法的にグレーな部分なので、苦労しました。
プレセールでもいくつか問題が発生しましたし、何においても一筋縄ではいきませんでした。正直言って、すんなりいけた部分はなかったと思います。海外のクリプトキティーズと違って日本は法制度が厳しいですし、仮想通貨で売買をするゲームである以上賭博と間違われる可能性が拭いきれなかったです。
福井:色々なミートアップに行ったときに、よくリリースできましたねなんて言われることもとても多いです(笑) 今となってはブロックチェーンゲームは日本でも出せるということは知られていますが、当時はそれさえも分からなかったので、出しただけで褒められることも非常に多かったですね。
ーリリースをするために、先頭を切って色々調べながら実施したと思います。そのベンチャー精神には非常に頭が下がります…。
ジェローム:因みにプロダクトを作る側の苦労話でいうと、今までのゲームと違ってブロックチェーンゲームなので、ブロックチェーンの技術を我々エンジニアがプランナーに理解してもらわなければならず、説明が非常に難しかったです。どうしたら、プランナーに理解してもらうかみたいなところを何度も何度も話し合ったりしました。
福井:プロモーションを行うにしても、仮想通貨を持ってない人に対してはなかなか実施ができませんし、持ってる人にPRしてみても意外と反応がなかったりとかして、頭を抱えることも多かったですね。
ーDAppsゲームは通常のゲームと比べても、高いものが多いイメージありますよね。0.1ETHとか。今ですら1000円ちょっとぐらいですが、これでも通常と比べると高いですよね。で、さらに言うと当時はもっと高かったわけですよね。
周:そうなんです。普通のユーザーからするとゲームで遊ぶのにそんなにお金かけられないよという。現状だと、限られたユーザーに高く売るモデルでないと事業の成果が見えにくいという形態なのが原因だと思います。僕たちもこのことに対して疑問は思っていて、業界として考えていかなければならないと思っています。
あと、0.001とかってイケてないですよね、頭で計算できないじゃん!みたいな (笑) こういうのも是非日本円の表示にしたいですね。
くりぷ豚の今後の展望は?
ーまだレースの要素が登場したばかりですが、最後に今後のくりぷ豚の展望はどのようにお考えですか?
周:まずは月並みですけど、ブロックチェーンゲームのユースケースを確立したいと思っています。遊んで楽しく、かつブロックチェーンを使う意味のある、そしてビジネスになるものですね。
取引所との提携を含め、世間への認知を拡大させる活動を積極的に進めていき、アジア圏でのパートナーシップを広げていくつもりです。また、くりぷ豚に関しては、せっかくここまで育ったプロダクトなので、これからも引き続き改良を重ねて世間への浸透を目指していきたいと思っています。
直近では、世間に普及させるために何をすべきかを日々石を積み上げるように考えているので、取引所や他のプラットフォーム、そしてアジア圏での展開を押し進めていくつもりです。
最後に
今回は、DAppsゲーム「くりぷ豚」の開発メンバーの方々にインタビューを行いました。国内で最初のDAppsゲームであるくりぷ豚ですが、我々の想像をはるかに超えるような苦労があったこともわかりました。
ブロックチェーンという新興の事業であるため、立ちはだかる壁が高く分厚く、それでも諦めずに開発メンバーで乗り越えてきた彼らの努力は、決して容易く真似のできるものではないと思います。
今後もブロックチェーンが我々の生活に浸透していくことを目指して開発研究を進めていくくりぷ豚を、1メディアとして、注目していきたいと思います。
(インタビュー : アラタ)