【インタビュー】MOA Protocolはなぜ銀行口座そのものを目指すのか|WLFと提携したCEOが語る「仮想通貨のRevolut」
Crypto Times 編集部
MOA Protocolは10月1日、韓国ソウルのグランドハイアット・ソウルでWorld Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル、以下WLF)とイベント「My Own Access: The Future of Borderless Wealth & Lifestyle」を共催し、WLFと戦略的業務提携の覚書(MOU)を結びました。MOA Protocolは、ステーブルコインをDeFi(分散型金融)で運用する「MOA-Fi」、決済に使える「MOA Card」、通貨の異なるステーブルコイン同士を交換する「MOA Swap」(開発中)を手がけています。
Crypto Timesはイベント当日、同社CEOのStefan Piech氏に話を聞きました。Stefan氏はBlackRockでの株式リサーチ、Binanceでのマクロリサーチなどを経て、現在はMOA Protocolの事業戦略とグローバル展開を率いています。
インタビューでは、MOA Protocolが目指すエコシステムの姿や競合との違い、WLFとの提携の位置づけ、日本市場への関心について聞きました。なお本記事は、当日の取材内容に、MOA Protocolから書面で寄せられた回答を加えて構成しています。書面での回答には「※書面回答」と記しています。
目次
- 1 資産を手に入れた「その後」を支える
- 2 目指すのは「仮想通貨のRevolut」
- 3 銀行ライセンスは「韓国ではすぐには難しい」
- 4 ゴールは送金先の銀行口座そのものになること
- 5 WLFとの提携は、構想を形にする一例
- 6 韓国で足場を固め、日本へ
- 7 「1つの提携で決まる会社ではない」
- 8 おわりに
資産を手に入れた「その後」を支える
――MOA Protocolが最終的に作ろうとしているのは、どんな金融エコシステムですか。
Stefan : 私たちが注目しているのは、デジタル資産を手に入れた後のことです。DeFiで運用したい人もいれば、別の通貨に交換したい人、支払いに使いたい人もいます。いまはそれぞれが別のサービスに分かれていて、使いこなすのが難しい。MOA Protocolは、一人ひとりの必要に応じて資産の使い道を増やすことを目指しています。金融の機会にどうアクセスし、資産をどう使うかを利用者自身が選べること。それが私たちにとっての「My Own Access」です。
目指すのは「仮想通貨のRevolut」
――仮想通貨カードの分野には、KASTなど競合が多くいます。MOA Protocolの強みはどこにありますか。
Stefan : 2つあります。1つ目は、カードを作ること自体を目的にしていない点です。最終的に目指しているのはエコシステムで、カードはその中の1つの層にすぎません。利回りを得られる商品があり、カードがあり、ロイヤルティポイントがある。ホテルとも数多く話をしています。
3日前には、韓国の医療ツーリズム関連の協会との契約もまとまりました。海外から美容整形などで韓国を訪れた人が支払いに使うと、10%のキャッシュバックやロイヤルティポイントを受け取れます。オンチェーンに仮想通貨を持っていて、それを使いたい人のための完全なエコシステムを作りたい。いわば仮想通貨のRevolut(英国発のデジタル金融アプリ)のような存在になりたいんです。
その意味では、いまの最大の競合はカード専業の会社というより、Binanceのような存在かもしれません。Binanceをはじめ、取引所はどこもこの分野に力を入れています。
そこで2つ目の強みになるのが韓国です。Binanceは手がけていることが非常に多く、いまの韓国は優先度が高くありません。私たちはレオ(MOA Protocol COO)の人脈を活かして、特に韓国で成長できると考えています。
銀行ライセンスは「韓国ではすぐには難しい」
――銀行ライセンスを取得する計画はありますか。
Stefan : 可能性はあります。ただ、韓国ですぐにというわけにはいきません。私は法律の専門家ではありませんが、ここでは一度規制の対象になると、かなり難しくなります。米国やオフショアなど、ほかの地域でライセンスを取る可能性はあります。
ゴールは送金先の銀行口座そのものになること
――KASTのように、東南アジアなどでステーブルコインを銀行口座へ直接送れるサービスもあります。同じような機能を提供する計画はありますか。
Stefan : あります。ただ、私たちの目標はむしろ、その銀行口座そのものになることです。いまは仮想通貨を銀行口座に送って、結局そこから家賃を払っていますよね。それなら自分のIBAN(国際銀行口座番号)を持って、MOA Cardで直接払えばいい。
WLFとの提携は、構想を形にする一例
――WLFとの提携は、MOA Protocol全体の構想の中でどう位置づけられますか。
Stefan : MOA Protocolは、さまざまな資産やサービス、パートナーとつながるエコシステムを目指しています。WLFとの提携は、その構想をDeFiと決済の具体的な用途で形にしていく一例です。提携の価値は、利用者が何をできるようになるかで測ります。今回の合意は協力の土台であり、話し合ってきた分野を時間をかけて実際の体験に変えていきます。
――USD1について、いま共有できる具体的な用途を教えてください。
Stefan : MOA Protocolは現在、USDTを預け入れてUSD1のマーケットで運用できるDeFi商品に対応しています。資産を働かせる方法を広げている、具体的な例の1つです。決済の面では、年内にMOA CardへのUSD1チャージを可能にすることを目指しています。この機能は開発中のため、提供時期や詳細は確定してからお知らせします。
韓国で足場を固め、日本へ
――韓国やアジア市場を、グローバル戦略の中でどう見ていますか。
Stefan : 韓国とアジアはデジタル資産をめぐる議論が活発で、新しい金融体験への関心も高い市場です。一方で、利用者のニーズや金融サービスを使う環境は市場ごとに違います。同じ商品をどこにでも持ち込むことがグローバル展開だとは考えていません。現地の利用者やパートナーの声を聞き、MOAのサービスがどこで役立つのかを見極める必要があります。
――日本への展開は考えていますか。
Stefan : はい。JPYC(日本円建てステーブルコインの発行会社)とは、チームのメンバーが話を進めていて、先方の事業開発チームも紹介してもらいました。
「1つの提携で決まる会社ではない」
――最後に、読者にいちばん伝えたいことを教えてください。
Stefan : MOA Protocolは、1つのステーブルコインや1つの提携で決まる会社ではありません。デジタル資産を運用し、別の通貨が必要なときに交換し、日常生活で使う。その手段を増やすことに取り組んでいます。WLFとの協力は、その構想を形にした一例です。これからも、資産の使い方の選択肢を広げるプロダクトと提携を増やしていきます。
おわりに
Stefan氏が強調したのは、カードを入り口に運用や交換、決済、ポイントまでを1つにまとめ、利用者の銀行口座に代わる存在になることでした。WLFとの提携もその構想の一部で、年内にはMOA CardへのUSD1チャージの実現を目指しています。競合として意識するのはBinanceのような大手取引所で、韓国では人脈を活かして先行し、日本でもJPYCとの対話が始まっています。今後の動きに注目です。
同じイベントでは、WLFのCBOであるRyan Ballantyne氏にも話を聞いています。
【インタビュー】World Liberty Financial CBOが語る「次は日本へ」|USD1を“使われるドル”にする戦略
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記事ソース:MOU締結に関する報道(Bloomingbit)、MOA-Fi(MOA Protocol)
※ Crypto Timesは本イベントにメディアパートナーとして参加しています。なお、本記事の掲載にあたって金銭の授受はありません。
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