MetaMask(メタマスク)がDevConで発表したアップデートをおさらい
Crypto Times 編集部
Ethereumウォレットとして有名なMetaMask(メタマスク)はDevconにてアップデートされた様々な機能を公開しました。今回の記事では、イベントにて発表された内容をご紹介していきますが、まずはDevconについてご紹介したいと思います。
MetaMask(メタマスク)の使い方まとめ!入出金・トークン追加も超簡単 – CRYPTO TIMES
目次
Devconってどんなイベント?
DevconとはEthereumのデベロッパー向けに毎年開かれているカンファレンスです。Ethereum財団が主体となって開催しており、今年は10月30日から11月2日にかけてチェコのプラハで開催されました。
イベントの主な目的としては、Ethereumコミュニティに向けて教育コンテンツの拡充を図る事と、コミュニティの活性化が掲げられています。その名前から想像できるように、Devconはデザイナーやプログラマー、エンジニアなどのデベロッパー向けのイベントになっています。
MetaMaskはDevconの場において、過去1年間での実績とこれからの計画についてプレゼンテーションを行いました。もしあなたがプラハでのスピーチを見逃してしまっていても大丈夫です。この記事で今回発表された実績や新機能をおさらいしましょう。
数字で振り返る2018年のMetaMask
MetaMaskはAppleのプレゼンテーションでおなじみの数字で自慢するコーナーを採用したようです。今回のDevconでMetamaskが自慢した数字は以下になります。
- 46バージョンのエクステンションがリリース
- 5万行の新たなコード
- 882以上のプルリクエストを統合
- 1400の問題を解決
- 100以上のコミュニティからの参加者
- 18人の正社員
今回紹介されたMetaMaskの新機能
以下で紹介するプルリクエストやアップデートはMetaMaskに目に見える変更を加えています。もし見逃した内容がある場合はこちらからどうぞ。
ハードウェアウォレットとの連携
現在のMetaMaskではアカウントのセキュリティはプライベートキーの管理に依存します。最も安全にキーを保管する方法といえばハードウェアウォレットへの保管ですが、この度MetaMaskはハードウェアウォレットとの提携を実現しました。
今後はTrezorとLedgerを使ってプライベートキーを保管する事ができます。そして、設定も非常にシンプルで、それぞれ以下から確認する事ができます
プライバシーモード(EIP1102)
MetaMask上では、11月2日から「プライバシーモード」が使えるようになります。このモードでは、あなたのアカウントに紐付けされているアドレスを他のウェブサイトに明かす事なく利用する事ができます。
もしあなたがDapp(分散型アプリケーション)のデベロッパーであるならば、この機能は革新的です。これはEthereum上のユーザープライバシーにとって大きな進歩となります。MetaMaskは価値あるフィードバックを提供してくれるコミュニティメンバーに感謝しています。
実際のプライバシーモードの操作方法ですが、まずは以下の画像のプライバシーモードをオンにします。この機能をオンにすると、ウェブサイトはあなたのアカウントを参照する前に許可をもらわなければなりません。
実際のポップアップ画面は以下のようになります。この画面でConnectを押す事によって初めてウェブサイトがあなたのアカウントを確認する事ができます。
現行のMetaMaskでは、あなたが許可したウェブサイトを記憶し、毎回ポップアップを表示しないように設定されています。しかし、今後この機能を無効化するオプションも追加されるため、ウェブサイトにアクセスするたびに許可を求めるというように設定する事もできます。
問題点として、もしあなたがプライバシーモードをオンした状態でEIP1102に対応していないdappを利用するとウェブサイトがうまく機能しない事があります。この場合は、設定画面からプライバシーモードを一度オフにしてから再度アクセスしてみてください。
トークントラッキング(EIP747)
多くのユーザーはMetaMaskにトークンの残高を表示させるのに、トークンのアドレスを手動で追加する必要があり、苦労していました。今後はDappsがあなたの代わりにトークンを追加し、追跡する事ができます。
簡素化されたデータ署名(EIP712)
EIP712が登場する以前は、プロンプトに署名し、必要なメッセージに署名しているという事を確認するのは困難でした。現在は人間が識別可能な署名方式を用いたDappsが存在し、チェーン上での検証も安価に行えます。
MetaMaskがモバイルに
MetaMaskはDevconの場で、MetaMaskが今後モバイル向けにも提供されると発表しました。MetaMask Mobileは他のDappブラウザーと異なり、分散型ウェブへの架け橋となります。
MetaMask Mobileはdappを中心としたブラウジング体験、直感的な操作、デスクトップ版MetaMaskとの同期機能など様々な機能を備えています。
モバイル版MetaMaskのデモ動画は以下から確認できます。パブリックベータ版は2019年初頭にiPhoneとAndroidに向けて配信される予定です。
2019年に計画されているプロジェクト
コントラクトアカウントサポート
Gnosis SAFEはソーシャルリカバリーやステートチャネル、マルチファクター認証、バッチトランザクションなどの機能を備えたスマートコントラクトエコシステムです。MetaMaskはこれらのコントラクトアカウントのサポートを構築していきます。
ライトクライアントデベロップメント(Mustekala)
MetaMask Labsは「Mustekala」の開発に取り組んでいます。これは、MetaMaskの中央集権型インフラへの依存を軽減するべく開発されているネイティブブラウザーp2pライトクライアントです。
マルチネットワークサポート
MetaMaskは近い将来、Ethereumと互換性のあるブロックチェーンをサポートします。これにより、MetaMaskのコミュニティは世界へと広がり、さらなるユーザーの獲得に繋がるでしょう。
しかし、これはただの始まりに過ぎません。MetaMaskは最終的には、様々な異なるネットワークに同時接続できるように開発を進めています。
MetaMetrics
MetaMaskのユーザーは技術者からごく普通の一般ユーザーまで幅広い層をカバーしています。そして我々も世界中の人が使える製品の開発に取り組んでいます。しかし、それだけのコミュニティを形成するのは非常に困難です。
そこでMetaMaskはユーザーからの意見を取り入れるべく、「metrics」というオプションの提供を計画しています。我々はアドレスやキー、トランザクション、残高、個人情報などの情報を集める事は一切しません。
このオプションは強制ではなく、選択したユーザーのみに提供されます。
レイヤー2スケーリングリサーチ
我々はEthereumのブロックチェーンをより安価に、より早くするためのプロジェクトを用意しています。我々はどのようにMetaMaskにレイヤー2ソリューションを統合するか研究しています。そして、この重大なプロジェクトを少しでも早くユーザーに届けられるように努力しています。
MetaMaskの今後の動向に注目!
MetaMaskは当初からEthereum系のウォレットとして高い人気を博してきました。これまではそのシンプルなインターフェイスとお手軽さを味方につけていましたが、今回のDevconではそれを覆すかのように沢山の機能が発表されました。
個人的には今回の発表を受けて、今後Dappsとの密な連携はもちろん、セキュリティ面でも他のウォレットに劣らないようなプロダクトへと成長していけるポテンシャルを感じる事ができました。MetaMaskの今後の快進撃に要注目です。