Polygon(ポリゴン)・Matic Networkとは?概要や特徴、使い方を解説
airutosena
Polygon(Matic)は、イーサリアムをスケーリングさせるL2ソリューションの1つです。
Polygonを利用することで、処理性能の向上やガス代の大幅な圧縮が可能となり、DeFiなどの利用に伴うハードルを下げることが可能です。
また、Polygonには3万を超えるdAppsが構築されており、UniswapやAAVEなどの著名プロジェクトも比較的な安価なガス代で利用できます。
本記事では、そんなPolygonの概要・特徴・使い方などについて解説しています。
記事のかんたんまとめ
・サイドチェーンとPoSで高い処理能力を実現
・1秒あたり7,000件のトランザクションを処理可能
・ガス代を数十分の1に圧縮
・数万件のdAppsが構築
目次
Polygon(ポリゴン)・Maticとは?高い処理能力を持つL2ソリューション
Polygon(Polygon Network / Matic Network)とは、イーサリアムと互換性を持つL2ソリューションの1つです。
L2ソリューションの中でも、PolygonはPlasma・PoSを採用したサイドチェーンに当たります。
そのため、Polygonを理解するためには、その前提となるL2ソリューションやサイドチェーンへの理解が不可欠になっています
これから、Polygonの概要をバックグラウンドとなるトピックも含めて解説していきます。
L2ソリューションの概要
前述した通り、PolygonはL2 (Layer 2)ソリューションの1つです。
L2ソリューションとは、L1(イーサリアムなど)の性能を上げるためのソリューションのことを指します。
現在、多数のL2ソリューションが、さまざまな技術を用いて登場していますが、その背景としてイーサリアムの人気の高まりと性能の課題が挙げられます。
イーサリアム上でさまざまなアプリ・プロダクトが構築され、さまざまな取引が行われるにつれて、イーサリアムのブロックチェーンがパンクするようになりました。
具体的には、イーサリアムに取引が集中しブロックチェーンが適切に処理しきれないことから、取引が承認されるまで長い時間を必要としたり、ガス代(手数料)が高騰する事態が発生しました。
このような問題を解決するために登場したのが、L2ソリューションです。
L2ソリューションでは、L1(イーサリアムなど)とは別の場所で取引の処理を行うことでL1の負担を減らし、「処理性能の向上」や「ガス代の削減」を行えます。
L2ソリューションは、取引を処理する一連の仕組みごとにさまざまな種類が存在しますが、代表的な仕組みが以下の3種類です。
- ステートチャンネル
(RAIDEN、connextなど) - サイドチェーン、Plasma
(Polygon、OMGなど) - ロールアップ
(zkSync、Arbitrum Oneなど)
Polygonは上記の中でも「Plasma」を採用しているL2ソリューションになります。(上記画像ではMatic = Polygonです)
他のL2ソリューションの概要や代表的なソリューションについては、コチラで解説しています。
PlasmaとPolygonの概要
L2ソリューションに続いて、Polygonを理解するためにもう一つ必要な前提知識であるPlasmaについて解説します。
前述の通り、PolygonではPlasmaが採用されています。
Plasmaでは、ルートチェーン(イーサリアムなど)とは別のチェーン(サイドチェーン)で、取引を処理し一部のデータのみをイーサリアムに返すことで、高い処理能力を実現します。
具体的には、一連の取引の流れなどを要約したデータのみをルートチェーンに記録し、取引の検証などはサイドチェーンサイドが担います。
Polygonでは、サイドチェーン(Polygon側)で行われた取引の検証・証明を行うために、コンセンサスアルゴリズムのPoSを採用しています。
安全性と高い処理能力を実現するために、取引を処理する流れに3つのレイヤー(役割)が存在しており、概要は以下のとおりです。
- Polygonのスマートコントラクトのレイヤー
(イーサリアム上に構築) - PoSのバリデーターレイヤー
(Heimdall) - ブロックに取引をまとめるレイヤー
(Bor)
(実際の取引内容は、3から1にかけて集約・検証されていき、最終的に要約された内容がイーサリアムへ記録されます )
中間の「2.PoSのバリデーターレイヤー(Heimdall)」は、「3.ブロックに取引をまとめるレイヤー(Bor)」にて生成されたブロックの検証、イーサリアムに記録するデータの作成などを担っているため、中核的な存在になっています。
また、PoSへのステーキングには、Polygonの独自の仮想通貨であるMATICが使用され、MATICはガス代の支払いなどにも用いられます。
Polygonを利用するときの全体的な流れ
Polygonの仕組みは複雑に感じますが、実際に利用してみると難しいものではありません。
利用者観点から見たときに、Polygonを利用する際の全体の流れは以下の通りです。
- イーサリアムからPolygon(Matic Network)へブリッジ
- Polygon上に構築されたサービスを利用
- (不必要になったら)Polygonからイーサリアムへ再度ブリッジして出金
他のL2ソリューションやブロックチェーンを利用するときと、大きな違いは無いと言えるでしょう。
Polygon(Matic)の3つの特徴
・1秒あたり7000件の処理能力と低コスト
・19億件を超えるトランザクション
・3万件超えのアプリと大規模なエコシステム
Polygonの特徴について、上記の3点から解説していきます。Polygonの特別なポイントを押さえていおきましょう。
1秒あたり7000件の処理能力と低コスト
Polygonの公式サイトでは、1秒間に7,000件のトランザクションを処理できると記載されています。
イーサリアムは15TPS程度のため、両者を比較すると高い処理能力を持っていると言えるでしょう。
また、ガス代についてもイーサリアムと比較して、〜1万倍低い水準(Polygon公式参照)で取引が可能で、1トランザクションあたりのコストは〜0.002ドルまで圧縮可能です。
19億件トランザクションを超える実績
polygonscanを参考にすると、これまで19億件を超えるトランザクション(取引)が確認できます。
それだけ多数の利用者・取引を抱えているということになります。
他チェーンのトランザクション総数は、BSCで約33億件(BscScan)、ETHで約17億件(Etherscan)です。他のチェーンと比較しても、引けを取らない実績があるといえるでしょう。
PolygonScan(ポリゴンスキャン)とは?概要や使い方を解説
3万件超えのアプリと大規模なエコシステム
Polygonの公式サイトによると、37,000以上のアプリ(dApps)がPolygonを利用して構築されており、そのジャンルはゲームからDeFiまで多岐に渡ります。
また、Polygonは最もDeFiで資金がロックされているチェーンの1つです。
タイミングによってSolanaと順位を行き来していますが、記事執筆時点でのDeFiにおけるTVLランクでTOP4にPolygonがランクインしています。(イーサリアムを除く)
上記のような背景から、多数のブロックチェーンが存在する中でも、Polygonは代表的なチェーンであると言えるでしょう。
Polygonに構築されたプロジェクト
前述の通り、Polygonでは多数のプロジェクトが構築されています。
一例として、DeFiにフォーカスを当ててみましょう。
以下が、Polygonに構築されている代表的なDeFiプロジェクトの一例になります。
イーサリアムと互換性を持つこともあり、既にイーサリアムにおいても多数の利用者を抱えているプロジェクトが多数確認可能です。
また、Polygonに構築されているプロジェクトは、DeFiに限りません。
代表的な例として、著名なBCGであるThe SandboxはPolygonへの移行を発表しており、イーサリアムからPolygonにトークンをブリッジする機能などが公開されました。
上記はあくまで一例で、この他にも多数のプロジェクトでPolygonへの移行や構築が発表されています。
Polygonの使い方(ブリッジなど)
①ウォレットと入金 (イーサリアム→Polygon)
②各サービスの接続と利用
③Polygonからの出金 (Polygon→イーサリアム)
これから、Polygonの使い方について上記のポイントから解説していきます。Polygonを利用できるようにしていきましょう。
①ウォレットと入金 (イーサリアム→Polygon)
Polygonを利用するには、はじめにPolygonのチェーン上で、仮想通貨を利用できる状態にする必要があります。
以下がかんたんな手順です。
- ウォレットと仮想通貨の準備
- ウォレットのネットワーク設定を済ませる
- イーサリアムからPolygonへ転送(ブリッジ)
上記の手順を完了することで、Polygon上で各仮想通貨が利用できる状態になります。
ウォレットのネットワーク設定やブリッジなどの細かな手順は、以下の記事で解説しています。
METAMASKでのMatic(Polygon)ネットワークへの接続方法を解説
②各サービスの接続と利用
Polygonが利用できる環境が整ったら、Polygonに構築されているプロダクトを利用していきましょう。
基本的に、各プロダクトとウォレットを接続するだけで利用可能です。よくある流れは以下のとおりです。
- 利用したいサイトやプロダクトにアクセス
- ウォレットと各サイトを接続
- 機能やサービスを利用
前提となる環境(ウォレットなど)が整えば、イーサリアム上に構築されたプロダクトを利用するのと大きく手順は変わりません。
一例として、Polygonの代表的なDEXである「QuickSwap」の使い方を以下の記事で解説しています。
分散型取引所「QuickSwap」の特徴や基本的な使い方を徹底解説!
③Polygonからの出金 (Polygon→イーサリアム)
Polygonからイーサリアムに資金を移動させる場合(出金)も、入金と大きく変わりません。
①で説明した方法と逆の手順で、Polygonが提供するPolygon Bridge等でPolygon上の通貨をイーサリアムに戻します。
Polygonのブリッジには、入金・出金のどちらのケースでも、PoSブリッジ・Plasma ブリッジの2種類が存在しています。
双方にはセキュリティや対応している規格などに違いがありますが、利便性の観点などからPoSブリッジを選択することが一般的です。(PolygonもPoSを推奨)
一方で、Plasmaはよりセキュリティを重視する開発者向けのブリッジになっており、一般利用では触れることは無いでしょう。
Polygon(Matic)の将来性とリスク
最後に、Polygonの将来性やリスクについてチェックしていきます。
・L2ソリューションとトレンド
・Polygon関連の他のソリューション
・予期せぬトラブルとリスク
Polygonの今後の可能性と共に、注意点もチェックしていきましょう。
L2ソリューションとトレンド
現在、Polygonは非常に大規模なプラットフォームですが、将来的にその地位が保証されているのか?は不明です。
というのも、Polygonに限らず、現在多数のL2ソリューションが登場しており、潜在的に競合となり得る存在が多数存在しているためです。
例えば、ロールアップ系のL2ソリューションが注目を集めつつあります。
(ロールアップの1つであるArbitrum oneのTVL L2BEATより)
今後も、他のL2ソリューションと合わせて動向を見守っていく必要があるといえるでしょう。
・L2ネットワーク「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説!
・次の重要ワードか |「zkSync」の特徴や使い方を徹底解説!
Polygon関連の他のソリューション
PolygonのPoS・Plasmaを採用したサイドチェーンは、Polygonが提供するソリューションの1つに過ぎません。
その他にも、Polygonは多数のスケーリングソリューションを開発しています。
例えば、EVM互換を実現するゼロ知識証明を採用したロールアップ(Polygon zkEVM)なども開発しており、2022年Q3にテストネット、2023年初頭にはメインネットがローンチされる予定になっています。
今後、複数のソリューションが、Polygonから提供されていく可能性は高いでしょう。
予期せぬトラブルとリスク
Polygonに限った話ではありませんが、仮想通貨関連のプロジェクトでは、潜在的なリスクが多数存在しています。
Polygonのホワイトペーパー(Matic network whitepaper)では、代表的なリスクとして以下のようなものが挙げられています。
- 各国の法規制と執行
- 競合の登場
- 開発の失敗
- 脆弱なセキュリティと攻撃
また、PolygonはイーサリアムのL2ソリューションであり、Polygonに入金した仮想通貨はイーサリアムネットワークへ出金することが可能です。
しかし、ブリッジ(入金した仮想通貨)した仮想通貨は、厳密にはイーサリアムで扱われている仮想通貨とは異なります。
Polygonに致命的な問題が発生した場合には、Polygonに入金した仮想通貨もリスクに晒される可能性があるという点は押さえておきましょう。
まとめ
この記事では、Polygonについてさまざまなポイントを解説しました。
Polygonには、イーサリアム発のプロジェクトを含めて、魅力的なプロジェクトが多数構築されています。
ガス代の高さなどから、dAppsの利用をためらっていたという方も、Polygonなら気軽に利用できるかもしれません。
Crypto Timesでは、Polygon関連の最新ニュースなど、以下のようなPolygonに関するトピックも扱っているので是非読んでみてください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。