Ripple最高技術責任者が辞任、新たなサービス「Coil」を展開へ

2018/05/16・

Yuya

Ripple最高技術責任者が辞任、新たなサービス「Coil」を展開へ

ボーダーレス・ペイメントの分野で世界中のメガバンク取引所などと提携を組み注目を集めているRippleですが、ここで最高技術責任者(CTO)を務めていたStefan Thomas氏が辞任を発表したことがわかりました。

Thomas氏はRippleのCTOを辞任し、Interledgerを利用したマイクロペイメントおよびウェブサイト購読サービスCoil」を設立したとMediumで発表しました。

Coilの正式なローンチ日程はまだ決まっていないとのことです。

Rippleからの支援も受けるCoilとは?

資金・技術両面でRippleからの強力な支援を受けている」とされるCoilとは、一体どのようなプロジェクトなのでしょうか?

Thomas氏のMediumによれば、Coilは広告等の代わりにウェブサイト購読サービスを展開できるサービスだとされています。

Stefan Thomas氏 | ツイッターより

Coilが展開予定のサービスでは、「ウェブサイトを購読する」ことができ、サイト運営側は購読額に応じてプレミアムコンテンツなども配布できるとのことです。

購読料を得ることによりウェブサイト運営者は広告表示量を減らすことができ、ユーザーも広告を見ずに済んだり、広告の読み込み時間を短縮できたりといった利点を享受できるという仕組みです。

購読の決済に関しては、Interledgerと呼ばれる、複数アカウント不要で異なる台帳同士での決済が行えるプロトコルが利用されています。

ブラウザAPI「Web Monetization」を採用

Thomas氏によると、CoilはInterledgerを応用したブラウザAPI「Web Monetization」を世界初で取り入れるとされています。

未だ開発段階のため、明確な使用例等はまだ発表されていませんが、Githubに同プロトコルの主要なポイントが書かれています。

  • ウェブ運営側が簡単にセットアップできる
  • ユーザー側は何もしなくて良い
  • ユーザーのエージェント(ネットワークプロバイダなど?)がどのサイトにいくら払うか決められる
  • ウェブ運営側がユーザーの購読額に応じてプレミアムコンテンツなどを設定できる
  • ユーザーがウェブコンテントを利用する限り支払いは継続的に行われる

「ユーザーのエージェント」という表記がやや曖昧ですが、どうやらPatreonのようなユーザーが能動的にメンバーシップ購読を行うようなシステムではないようです。

しかし、このサービスが独立したプラットフォームではなくブラウザAPIであるのは、汎用性がとても高いのではないかと考えられます。

Coilと他の対広告系プロジェクトの違い

近頃、インターネット広告産業における問題点を解決しようとするプロジェクトがたくさん出てきています。

よく問題視されるのがユーザーデータの利用についてです。SNSなどから集められたユーザーの嗜好やその他様々な傾向がデータ化され、関連した広告が表示することに使われるというシステムが注視されています。

米アップルのCEO、Tim Cook氏は「(ネット上の無料サービスにおいて)あなたは顧客ではなく、商品だ。」と言及しています。

Wibsonなどはこの問題の解決案として、データ提供と引き換えにトークンを支払うプラットフォームを開発しています。

一方、Coilにはサービス提供者の収入源が購読料に変えることによりそもそもの広告表示量を減らす、というねらいがあります。


また、広告が大量に出回る大元の原因として、コンテンツクリエイターが広告やスポンサー以外から効率よく収益を得る方法がないことがあげられます。

この問題の解決案としてよくあるものが、SteemitALISのような、ユーザーからの評価に応じてトークンが支払われる、というものです。

このシステムは個人ライターなどには適切かもしれませんが、ニュースサイトやブログなどといった独立したウェブサイトのクリエイターには適していません。

これに対しCoilが採用するWeb MonetizationはブラウザAPIであるため、どのようなウェブサイトも「購読料」という形で収益があげられるようになると考えられます。

まとめ

Coilはまだ開発段階のプロジェクトで、詳細情報もあまり発表されていません。しかし、リップルからも大きな期待が寄せられているということで、Thomas氏はツイッターで次のように発言しています。


「リップルのような業界を先進する機関から資金・技術面での強力なサポートを受けられて幸運です。おかげで我々Coilは(広告の無い)より良いインターネット作りのためのスタートを切れます。」

今後のCoilの動向にも注目して行きたいですね。

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