【PolkaAMA Week 第5弾】『Tidal Finance』概要や特徴、AMAの内容をQ&A形式で解説
ユッシ

昨年に続き2021年もDeFi市場が盛り上がりを見せているなか、最近特に注目されているのがDeFiの保険についてです。
2.5兆円程の規模があるDeFi市場は、保険でのカバー額が未だ数百億円のみであったり、フラッシュローンやRugPullの問題が存在するなど、多くの課題が残っているのが現状です。
本記事では、そんなDeFiの保険に関するソリューションを提供するPolkadot関連プロジェクト「Tidal」について、先日行われた『PolkaAMA Week hosted by CRYPTO TIMES』の内容を元にQ&A形式で解説していきます。
Tidalや今後のDeFi市場の保険に関して興味がある方はぜひ最後まで読んでみてください。
当日のAMAの様子はこちらのYoutubeより視聴が可能です。
目次
- 1 Tidalの概要
- 2 TidalのAMA
- 2.1 1.あなたのプロジェクトを紹介してください。
- 2.2 2.Tidalが解決できる問題は具体的に何ですか?
- 2.3 3.Polkadotを使ってプロジェクトを始めようと思った理由は何ですか?
- 2.4 4. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はあるのですか?
- 2.5 5.日本についてどのような印象をお持ちですか?
- 2.6 6. 2020年は保険市場が非常に盛り上がりましたが、フラッシュローンやRug Pullなどの攻撃もあり、まだまだ課題は多くあると考えています。その中でTidal Financeは保険についてどのようにアプローチするのでしょうか?
- 2.7 7. 保険系のプロジェクトでいうと、最近ではEthereumやPolkadotベースでも増えてきましたが、その中でTidal Financeにおける他との差別要因はなんでしょうか?
- 2.8 8.Tidal FinanceはまだWhitepaperやEconomicsの詳細が出ていませんがTidal Tokenの使い道を教えて下さい。
- 2.9 9.Tidalトークンが中長期的に価格を維持しつつ、成長していくためにどういうようなことを実施していきますか?
- 2.10 10.どのトークンで保険を買えますか?またどのトークンで保険を引き受けられますか?(どのトークンで流動性供給できますか?)
- 2.11 11. 他のプロトコルに比べ、資産の効率性を上げる方法をもう少し具体的に教えていただけないでしょうか?
- 2.12 12. 保険のマーケットプレイスはどのように作用するのでしょうか。Coverのようなものでしょうか?
- 2.13 13. Parachainを独自に持たないということは、Tidalは将来的には他のPolkadotプロジェクトがParachainになり、その上に作られるアプリケーションになるということでしょうか?
- 2.14 14. CosmosとPolkadotを比較して、Polkadotを選んだ理由はなんでしょうか?
- 2.15 15. キャピタルはリスク(高)、(中)、(小)の3つのプールの中から一つ選んで入れるという意味でしょうか?
- 3 まとめ
Tidalの概要
Tidalの概要
通貨名 | Tidal Token |
---|---|
主な提携先 | – |
時価総額 | – |
特徴 | Balancer LikeなDeFiに対する保険のマーケットプレイスを提供するプロジェクト。現在のTVLに対して、カバーできる保険金の差分を解決することを目的としている。 |
公式リンク | Webサイト |
Telegram | |
Medium |
TidalはDeFiに対する保険のマーケットプレイスを提供するプロジェクトです。
独自の手法で保険を発行し、市場規模とカバーできる費用のギャップを埋めることを目的としています
TidalはChainLinkやPlasm Network 、Polkaswap なども参加する「PolkaDeFi Alliance」の初期メンバーでもあります。
TidalのAMA
今回のAMAにはTidalのCEOであるCHAD LIU氏が参加してくれました。
1.あなたのプロジェクトを紹介してください。
今回はAMAを主催してくださってありがとうございます。ここに来ることができて光栄です。まずは私自身の背景について少し説明します。
私は数学、工学、金融のバックグラウンドを持っており、ベンチャーファンドで働いていた2017年に仮想通貨業界に来て、仮想通貨業界に恋をしました。
創造性の量、革新性は間違いなく他の業界に先んじています。
昨年初めの3月~4月頃に、DeFi領域において保険サービスの需要が高いことに気付き、Tidalを立ち上げました。
私達は、スマートコントラクトハックをカバーするために保険の売り手と買い手を接続するための保険マーケットプレイスを構築しています。
Tidalは、複数のプロトコルから1つ以上の資産のカスタム保険プランを作成する機能を提供しています。
このプラットフォームの主な目的は、買い手を引き付けるために競争力のある保険料を提供する一方で、流動性提供者を引き付けるために資本効率とリターンを最大化することです。
ちなみに私達と同じ市場には、Nexus mutualやCover protocolといった多くの人が知っているプレイヤーがいます。
2.Tidalが解決できる問題は具体的に何ですか?
私達はDeFiにおけるハッキングリスクやスマートコントラクトの悪用からユーザーの資産を保護します。
現在のDeFi市場を見てみると、ロックされた仮想通貨の合計額は250億ドル(約2.5兆円)に達しました。
そのうち、保険でカバーされている資産は約3億ドル(約300億ドル)でなので、ここには大きなギャップがあります。
Tidalはこのギャップを埋め、保険でカバーできる範囲を増やすための設計がされています。
現在、DeFiのハッキングによる資金損失が増加しているため、多くのユーザーがDeFiに参加することを恐れていますよね。
私達のプロジェクトが上手く行けば、市場により多くの保険製品が出回り、ユーザーのDeFiへの懸念を取り払うことで暗号通貨市場の成長を加速させるのに役立てることができます。
3.Polkadotを使ってプロジェクトを始めようと思った理由は何ですか?
理由は3つあります。
1つ目が、私達はPolkadotエコシステムが今後さらに成長していくと強く思っているからです。
より多くのチェーンがPolkadotに接続すれば、同エコシステムの中での異なるチェーン上の資産が増え、より大きな市場になるでしょう。
2つ目の理由はガス料金が安いからです。
Polkadotの低額のガス料金は、特に一部のプールが最終的に変動料金の変化を反映させるためにより頻繁な支払いを必要とするようになった場合にユーザーを助けます。
3つ目の理由は、Polkadotでは異なるチェーンから様々な種類の流動性を集め、より多くの保険の買い手と売り手がプラットフォームに参加することが可能だからです。
4. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はあるのですか?
現在のところParachainに我々がなるということは考えていません。v1の製品がEthereum上でローンチした後にPolkadotベースのプラットフォーム、例えば、MoonbeamやPlasm、Acala等に移行する予定です。
これらのプラットフォームが提供する機能に対して、Tidalの現在の機能は十分です。
しかし、我々が進化していく中で独自でParachainになる可能性を排除しているわけではないので、その点はご留意ください。
5.日本についてどのような印象をお持ちですか?
いい質問ですね。簡単に言うと日本はポテンシャルマーケットになりうるでしょう。
日本には強力な暗号通貨コミュニティがあります。そして、Polkadotエコシステムとしても有名なPlasmがあります。
現在、ほとんどのDeFiユーザーは強力なコミュニティから構築されているため、Tidalはコミュニティについて注力しています。
日本の暗号通貨コミュニティの認知度と参加を得ることは、Tidalが成長するための大きな助けになるでしょう。今回は日本のオーディエンスとつながる機会を与えてくれてありがとうございます。
6. 2020年は保険市場が非常に盛り上がりましたが、フラッシュローンやRug Pullなどの攻撃もあり、まだまだ課題は多くあると考えています。その中でTidal Financeは保険についてどのようにアプローチするのでしょうか?
保険でカバーする対象はスマートコントラクトのハッキングや悪意のある攻撃です。
過去のフラッシュローンイベントは、洗練された計画と価格オラクル操作を必要とする悪意のある攻撃であり、これらは保険適用の対象となっています。
Rug Pullについては、リスクを軽減するためにプロトコルのオンボーディングプロセスは監査人のパートナーによって管理されます。
しかし、それは監査人でさえ識別するのが困難な問題です。
Rug Pullの問題を保険適用に含めるかどうかは、評価プロセスとDAOの投票に基づいて、一方は含め他方は含めないといった形でプロトコル次第になるかもしれません。
7. 保険系のプロジェクトでいうと、最近ではEthereumやPolkadotベースでも増えてきましたが、その中でTidal Financeにおける他との差別要因はなんでしょうか?
Nexus mutualやCoverは、現在市場に出回っている2つのプロトコルです。Tidalがこれらに対抗するためのポイントは資本効率を上げることです。
伝統的な保険の世界での保険の売り方を例に説明したいと思います。もしあなたが1ドルの保険を売るだけなら(妥当な保険料は2%~5%とかなり低い)、あなたは資本を失うリスク負うにもかかわらず、わずかなリターンしか得られません。
そのため、この方法では誰も保険を販売しません。本来あるべき姿は「20人~50人に販売してそれぞれの人があなたから1ドルの保険を買い、 同時に保険金支払いのリスク管理をし、損失をカバーできるだけの資金を確保する」といったものです。
これが通常の保険ファンドのリターンの作り方です。Tidalのコア設計では、このコンセプトを実装して資本効率を高めることが組み込まれています。
8.Tidal FinanceはまだWhitepaperやEconomicsの詳細が出ていませんがTidal Tokenの使い道を教えて下さい。
私たちのトークンは、プラットフォームから生まれた利益に直結した経済的価値を持っています。
私たちのビジネスモデルのマネタイズポイントは、保険が購入されたときに発生する少額の取引手数料です。
投資家とプロジェクト自体の両方が、プラットフォームがもたらす可能性のある収益から直接利益を得ることができます。
ガバナンスについて説明すると、Tidalトークンの保有者は、
- リスク評価、
- LPの参加ガイドライン
- 価格モデル
- クレームプロセス
などの提案に投票することができます。
トークン保有者の教育には時間がかかると思っていますが、私たちの目標は、プラットフォームがトークンホルダーによって維持されるために、時間をかけて完全に分散化されたDAOを持つことです。
9.Tidalトークンが中長期的に価格を維持しつつ、成長していくためにどういうようなことを実施していきますか?
保険商品をランク付けするための最も重要な基準は「その保険が販売された額の合計」です。そして、これは暗号通貨市場におけるあらゆる保険商品の真価だと思います。
現在のDeFi市場を見てみると、ロックされた価値は250億ドルに達し、NXMでカバーされているのは3億ドル程度です。
私達の目標はそのギャップを少しでも縮めることです。そしてこの目標を達成するために、さまざまなプロトコルチームとのパートナーシップに積極的に取り組み、ユーザーの認知度を高めています。
もう一つの重要な指標は、LPのキャピタルリターンです。
保険料やその他のインセンティブプログラムから良いリターンを確実に得ることは、プラットフォームの成功の鍵であり、それには常に健全な量の保険積立金を持ち、未処理の保険をサポートする必要があります。
10.どのトークンで保険を買えますか?またどのトークンで保険を引き受けられますか?(どのトークンで流動性供給できますか?)
USDTやUSDCなどのステーブルコインで買うことができます。
現在、他のチェーン、例えばBSC上のステーブルコインとも交渉しています
ステーキング、スラッシュなどはETHの入金で、支払もETHです。
11. 他のプロトコルに比べ、資産の効率性を上げる方法をもう少し具体的に教えていただけないでしょうか?
Tidalでは低・中・高とリスクの度合いに応じた3つのリスクプールをローンチします。
リスク(低)のプールで20~25程のバックアップを保証し、リスク(高)では1~10程のプロトコルの保証をします。
このようにリスクの高低で分割して管理することによって、資産の効率性を高めることが可能です。
12. 保険のマーケットプレイスはどのように作用するのでしょうか。Coverのようなものでしょうか?
違います。
Coverはカバートークンのデポジットで決まる一方で、Tidalの価格決定モデルは非中央集権です。
将来的にはDAOで価格はハッキングリスクに基づいて、
- 低 1%
- 中 5%
- 高 10%
こういった情報を活用してプレミアムを計算します。
13. Parachainを独自に持たないということは、Tidalは将来的には他のPolkadotプロジェクトがParachainになり、その上に作られるアプリケーションになるということでしょうか?
そのとおりです。現在の計画ではV1でEthereumに構築したら、プラットフォームを移行する予定です。
ただ、将来的にParachainを持つ可能性は否定しません。また、PlasmなどでTidalの機能を行うには十分とも考えています。
14. CosmosとPolkadotを比較して、Polkadotを選んだ理由はなんでしょうか?
それはCTOに聞かないといけないですね。笑
しかし、
- ガス代が安い
- 大量のトランザクションを捌けるスケーリングがある
- プレミアムの変更頻度も増やせる
あたりが理由だと思います。
現在のEthereum上だと毎週ベースでしか変更できないですからね。
15. キャピタルはリスク(高)、(中)、(小)の3つのプールの中から一つ選んで入れるという意味でしょうか?
その通りです。
Tidalに来たら、まずどのリスクで提供したいかを聞きます。(3つのプール全て同時にやる時もあります。)
ここではリターンのカスタマイズ可能です。
例えば、リスク(高)のプールでは保険の価格も高いためリターンも大きいといった形になります。
リスク(低)では必然的に価格が低くなるので、より多くの保険を買うことでリターンを増やせるので
、どのプロトコルをバックアップするかを調べて、ユーザー自身がカスタマイズできます。
まとめ
Tidalについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
昨年に引き続き2021年でもトレンドになることが予想されるDeFiですが、損失に対する保険はDeFiにおける非常に重要なポイントと言えます。
今回の記事でTidalを通して少しでもDeFiやPolkadotについての見識を深められたのなら幸いです。
今後もCRYPTO TIMESやPolkadot Labs. JPでは、Polkadot関連プロジェクトのAMAや記事を提供していきます。
Polkadotに興味がある方は是非LINEのオープンチャットにも参加してみてください。