ブロックチェーンがアート業界をどう変えるのか?ビジネスマンに向け徹底解説!

ブロックチェーンがアート業界をどう変えるのか?ビジネスマンに向け徹底解説!

この記事の3つのポイント!1. 絶対的な価値がないアートへの理解は、正解のない現代でビジネスを成功させるための鍵!

2. アート業界では不正取引が横行しており、被害総額は年間60億ドル!

3. ブロックチェーンで作品の証明書とアーティストの著作権管理がより確実に!

本記事では、アートを学びたいビジネスマンに向けて、アート業界の基本的な構造や現状の問題点、また、ブロックチェーンが入り込むことでアート業界がどのように変化するのかを解説していきます。

はじめに: 経営者に求められるアートへの理解

昨今、ビジネスマンや経営者のアートへの理解が重要視されています

ビジネスマン向けメディアではアート特集が組まれ、経営におけるアートとサイエンスを解いた本が人気を博しています。

また、英フィナンシャルタイムズの記事によれば、ビジネススクールでのMBAの出願者が減少傾向にある一方、グローバル企業が幹部候補社員をアートスクールや美術系大学へ送り込んでいるそうです。

この流れは、とても時代に合っています。

これは、今までは市場を分析し論理的な戦略を提案することで売れるモノを作り出すことができましたが、それらのデータが容易に入手可能になった現代においては、企業はライフスタイルや価値観を提案することが求められるようになったからだと言われています。

絶対的な価値がなく、作品を所持する人の価値観や満足感によって価値が測られるアートへの理解は、現代においてビジネスを成功させるための必須事項だと多くの人が考えています。

ビジネスマンにも人気が高まってきているアート業界ですが、業界構造自体としては旧態依然としており、多額のお金や多くの人が動くからこその問題が数多く存在しています。

そして、これらの問題解決のアプローチの1つとして、ブロックチェーンが注目されています

アート業界の概要

まずは、既存のアート市場の規模と構造についてざっと解説します。

市場規模:日本はシェアわずか3%

市場規模
世界約6兆7,500億円
日本約2,400億円

市場規模は世界で約6兆7,500億円、日本で約2,400億円となっており、世界における日本のシェアは約3.5%です。

業界の特徴と主なステークホルダー

アート業界における主なステークホルダーには、

  • アーティスト: 作品をつくる
  • ディーラー: アーティストから作品を購入しオークション等を通して流通させる
  • コレクター: オークション等を通して作品を購入する

の3者がいます。

アーティストが作った作品をディーラーが最初に買い取り、オークション等を通してコレクター(個人や企業、美術館など)に向けて販売する。

この流れは長い間変わっていません。

また、上の図の中にアート業界の最大の特徴が表されています。

それは、2次市場が最も盛り上がるという点です。

大抵の場合、2次市場(オークションやギャラリー)で販売されるアートの値段は1次市場(アーティスト→最初の購入者)での値段よりも大きく上がります。

また、作品が市場に流通した後も、アーティストの活躍や没後の評価、誰がその作品を所有していたかなどで作品の値段は大きく変動します。

アート業界の問題点「不正取引」

そんなアート業界ですが、アート作品の不正取引が長年の課題となっています。

ブロックチェーン×アートを事業として行なっているロサンゼルスの企業「Verisart」のCEOであるロバート・ノートン氏によれば、アート市場における不正取引の総額は年間60億ドル(約6000億円)に達し、その内の8割は偽造によるものであるようです。

美術品偽造がどれほどの精度で行われ、どのように贋作だと分かるのか、気になった方は下の記事を読んでみてください。

先述したように、”今まで誰が作品を持っていたか”などによって価値が大きく変動する美術品には、作品自体の偽造だけでなく、証明書の偽造なども起こっています。

そして、このような課題を解決するアプローチの1つとして、ブロックチェーンが注目されているのです。

ブロックチェーンがアート業界をどう変えるのか

ここからは、ブロックチェーンが既存のアート業界の課題をどのように解決していくかを解説していきます。

ブロックチェーンを一言で説明すると、ある時点で存在した情報が、不正な変更やコピーなく今も存在しているということを、情報の管理主体なしで、未来永劫、誰がみても分かるようにする技術です。

そして、ここで言う情報には、様々なものを定義することができます。例えば、アート作品の取引情報、真贋、来歴、これまでの評価などです。

これにより、以下のような形で、不正取引を減らすことができると期待されています。

デジタル証明書で証明書管理

アート作品には、多くの場合、証明書が発行されます。

従来では、作品の裏側にシール型の証明書が貼られたり、紙の証明書が発行されたりしていましたが、これらの証明書は、偽造や複数発行が容易に可能な上、万が一証明書を紛失した際の再発行プロセスはとても複雑でした。

ここに、改ざんが不可能で匿名性が担保されるブロックチェーン技術が入り込むことによって、デジタルな証明書の発行が可能になりました。

ブロックチェーン上に記録されたデジタル証明書では、「いつ」「誰が」作成・更新した情報なのかが、誰でも直接アクセスできます。

これによって2つのことが可能になりました。

1. 真贋証明

ブロックチェーン上に記録されたデジタル証明書では、偽造や複数発行が容易な紙の証明書と違い、情報の唯一性が保証されます。

これにより、アート作品が市場において適正な価値を保つことができ、アーティストにとっても売買をする人にとっても大きな安心感を生み出します。

2. 来歴管理

また、ブロックチェーンには作品の来歴(プロブナンス)情報を記録することも可能です。

不正ができないブロックチェーンの仕組みと、分散管理によって、情報改ざんが難しくなり、確実性を保つことが可能になります。

また、素性を明かすことを嫌う高額美術品コレクター達にとっても、匿名性を担保しながらの来歴管理できるため、大きなメリットがあります。

スマートコントラクトで書作権管理

また、ブロックチェーンには、美術品のメタ情報だけでなく、より複雑な契約情報も記載することができます

スマートコントラクトと呼ばれるこの技術は、契約が確実に履行されることをプログラムで保証することができます。

これにより、アーティストは認証機関などの第三者機関の介入なしに、自らの著作権を自らでコントロールすることが可能になります。

スマートコントラクトを活用して著作権管理を行うことで、代金を自動で振り分けることも可能になります。

ブロックチェーン上のデータとスマートコントラクトでの代金自動振り分けを組み合わせることで、2次市場において作品の所有権の移動を追跡し、所有者が変わるたびにアーティストに手数料が支払われる仕組みも可能になります。

ブロックチェーン×アート事業を展開する企業

ここまでで、ブロックチェーンがアート業界にどのような影響を及ぼすかが見えてきたでしょうか?

ここからは、これらの動きを実際に主導しようとしている企業をいくつか紹介します。

1億円の大型資金調達も実施: startburn株式会社

引用: スタートバーン株式会社プレスリリース

startburn株式会社は、アート×ブロックチェーンのネットワークを構築し、アート作品の来歴管理や基本情報の共有、そして作品証明書の発行および作品管理を容易にすることを目的としています。

大手オークションハウスとも提携: Artory(アートリー)

Artoryはブロックチェーンを活用したアート作品の情報管理サービスを提供しています。

アートリーは世界最大手オークションハウスのクリスティーズとも提携しており、2018年11月には、クリスティーズによって、実際にアートリーのサービスを通してオークションが開かれています。

アートリー通しての作品購入では、作品購入者にデジタル購入証明書が発行されると同時に、取引履歴がブロックチェーン上に記録されます。

これにより、将来、作品を売却する際や、第三者が作品のリサーチや借り入れをする際にも作品所有者の匿名性を保ちながらプロセスを進めることができます

ブロックチェーンをテーマにした展覧会・作品

ブロックチェーンに関する規制と中国市場についてのリサーチを行なっているmegan氏は、彼女のブログ記事の中で、「ブロックチェーンとは学問総合格闘技である」と書きました。

まさにその通りで、ブロックチェーンは工学の分野だけでなく、様々な学問を横断的に進化しています。

美術もその1つで、世界各地で、ブロックチェーンと関連した展覧会が開催されたり、ブロックチェーンをテーマにアートが作られたりしています。

ドイツ: proof of work展

最初に紹介するのは、ドイツのベルリンで2018年9月から12月まで開催されていたproof of work展です。

この展覧会では、デジタル社会における思想や価値を表現したアート作品で知られるサイモン・デニー氏がキュレーションをした展覧会で、ブロックチェーンや権力の分散、既存の金融システムへの課題提示などがテーマとなっています。

この展覧会で展示された作品の中から、僕が好きな2つの作品を紹介します。

1. Tropical Mining Station(2018)

Tropical Mining StationはFORMという組織が作った作品です。

この作品はイーサリアムのマイニング状況に応じてバブル内の空気圧が調整され、大きさが変わります

仮想通貨の金融バブルに呼応したこの作品は、実際にバブルの中に入って体験することも可能です。

2. Chaos Machine(2018)

Chaos Machineと呼ばれるこの作品は、Distributed Gallery(ディストリビューテッド・ギャラリー)という匿名アーティストの作品であり、マシーンにお札を挿入すると、ネットワーク内でのみ使用できる独自通貨chaos coinに得ることができます

マシーンに挿入された紙幣が燃やされるという仕組みで、既存の金融システムへ疑問を提示しています。

proof of work展では、これらの作品の他にも、DAppsとして知られるcryptokittiesに登場するキャラクターの絵や仮想通貨Augerの元CEOが作成に関わった作品なども展示されています。

日本: 富士山展2.0

富士山展とは、スタートバーン株式会社が主催の展示会であり、複数の会場で多彩なクリエーター達がそれぞれの特徴や個性を活かしながら企画・出典を行うことができるプラットフォームです。

2019年1月5日から26日の期間中開催されており、スタートバーン社のブロックチェーン×アートの新サービスstartbahn.orgが活用される予定です。

まとめ

以上、アート業界の概要とブロックチェーンがアート業界をどう変えていくのかについての解説記事でした。

主に英国の企業では、ビジネスマンがアートを学ぶことが重要視されているようです。

欧米の動きが何年か経って日本に入ってくることを考えると、日本の企業でもアートへの理解が大事だと叫ばれるのはそう遠くないのではと思います。

しかし、ブロックチェーンがエンジニアにとっての玩具、ビジネスマンにとってのバズワードにしてはいけないように、ビジネスマンのアートへの理解も、単なるブームで終わらせるべきではないと思っています。

さぁみなさん、今年の目標に、月1回美術館へ行くことを加えてみてはどうでしょうか??

記事ソース: 美術手帖12月号、世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?、

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