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2018/12/192018年の暗号資産盗難額は10億ドル超?! CipherTrace第3四半期レポートまとめ
暗号資産の分析や追跡捜査を行うセキュリティチーム・CipherTrace(サイファートレース)が、2018年第3四半期までの暗号資産の盗難と資金洗浄に関する調査をまとめたレポートを公開しました。 当レポートには、犯罪に関係する暗号資産の流通量が資金洗浄対策(AML)の有無でどれほど変わるかが示されているほか、過去数年を通した暗号資産盗難の統計が詳しく記載されています。 レポートの概要 適切な資金洗浄対策(AML)が取られていない国の取引所には、対策の整った国の取引所の約36倍もの「犯罪に関係するビットコイン」が流れ込んでいる 2018年第3四半期までに盗難された暗号資産の総額は9.27億ドル 暗号資産を狙ったサイバー犯罪の手口は巧妙化している 取引所の資金洗浄対策は効果大 サイファートレース社の調査では、以下の基準全てを満たしていない国の対象取引所を「資金洗浄対策(AML)不充分」としています。 違法ドラッグの取り締まり その他の犯罪に関する資金洗浄の取り締まり 顧客確認(KYC: Know-Your-Customer)の義務付け 多額取引、および疑わしい取引の監査 取引情報の記録 分析結果を見ると、市場トップ20の取引所のうち、対策が不充分な取引所は適切な対策の取られた取引所に比べ犯罪に関係するビットコインの取引量が遥かに多いことがわかります。 [caption id="" align="aligncenter" width="410"] CipherTraceより[/caption] 上記の画像では、犯罪に関係するビットコインの流出入のようすが示されています。 緑色が対策充分、赤色が対策不充分な取引所を表しており、左の組が取引所に流入、右が取引所から送金された「犯罪に関係するビットコイン」の総額を示しています。 資金洗浄対策の不充分な取引所に流入した犯罪関連のビットコインの総額は、実に対策充分な取引所の36倍、同様の取引所から送金された額も18倍となっています。 また、犯罪に関係したビットコインの流入総額の97%、送金総額の95%が対策不充分な取引所のものであることもわかっています。 [caption id="" align="aligncenter" width="385"] CipherTraceより[/caption] 更には、資金洗浄対策が不充分な国の取引所に流入するビットコインの約5%以上が犯罪に関係したものであるとも推定されています。 対策充分・不充分それぞれのカテゴリでのトップ10取引所におけるトランザクションの内訳も公開されています。 [caption id="" align="aligncenter" width="671"] 適切なAMLが施されたトップ10取引所の取引内訳 | CipherTraceより[/caption] [caption id="" align="aligncenter" width="680"] AMLの不充分なトップ10取引所の取引内訳 | CipherTraceより[/caption] (赤色・犯罪関係、オレンジ・闇市場および資金洗浄サービス関連) この調査結果を見ると、不正に得られた資金の追跡やKYCなどといった基本的な資金洗浄防止策の導入には大きな効果があることがわかります。 18年のハッキング総額は10億ドル超 手口も巧妙化 [caption id="" align="aligncenter" width="332"] CipherTraceより[/caption] レポートの後半部では、ハッキングなどによる暗号資産の盗難に関する調査の結果が記載されています。 今年は韓国のビッサム(Bithumb)やコインレール(Coinrail)、日本でもテックビューロ社のザイフ(Zaif)などが相次いでハッキングの被害を受けたことが大きな問題となりました。 サイファートレース社の分析によると、暗号資産の盗難総額は今年第3四半期までで9.27億ドル、すでに昨年全体の3.5倍にまで登っていることがわかります。 [caption id="" align="aligncenter" width="346"] CipherTraceより[/caption] 同社は当レポートには記載されていないものですでに6000万ドル以上が盗難されていることも把握しており、今年全体の盗難総額は10億ドルを超えると予想しています。 盗難額の急増は手口の巧妙化に関連しているとみられ、今年の7月からはフィッシング詐欺や誘拐などによるサイバー脅迫・恐喝の件数が激増しているといいます。 また、取引所の利用者の電話番号をハッカーのSIMカードに移す「SIMスワッピング」と呼ばれる手口も広まってきているといいます。 この手口では、取引所のアカウントに紐付けされた電話番号を盗み取り、パスワードを初期化することでアカウントを乗っ取るというものです。 国・個人 両レベルでの対策が重要 日本は今年、金融庁から複数大手取引所への業務改善命令や、ザイフのハッキングなどといった事例が特に目立ちました。 10月末には、大手取引所が名を連ねる「日本仮想通貨交換業者協会」通称JVCEAが政府認定の事業者協会に指定され、資金洗浄や脱税防止への自主規制を行なっていくと発表しました。 しかし、暗号資産を狙うサイバー犯罪の手口も日々巧妙さを増していることを考えると、こうした暗号資産の防止策を政府や企業だけに頼るわけにはいきません。 「運用していない資産は取引所に置いておかない」「ウォレットの管理を徹底、多額の資産はコールドウォレットに保管する」などといったセキュリティ対策を個人レベルでも行うことが重要と言えます。 記事ソース: サイファートレース 第3四半期レポート (PDF・英語)
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2018/12/18国産 dApps ゲーム My Crypto Heroesが海外勢を抑え1位をキープ!
dApps取引量、ユーザー数を常にモニターしランキングサイトのDappsRadarにて、GAMESカテゴリーでランキング1位を取っているのはなんと、国産のブロックチェーンゲームの My Crypto Heroes。 [caption id="attachment_26909" align="aligncenter" width="800"] 参照 : https://dappradar.com[/caption] My Crypto Heroesとは [caption id="attachment_26910" align="aligncenter" width="800"] 参照: OpenSea(https://opensea.io/)[/caption] キャラクターは歴史上のヒーロー。織田信長やナポレオンといった有名な人物たちである。それらのヒーローキャラで自分のチームを構成、設定されたクエストに出陣してそのダンジョンより、アイテムを手に入れるゲームである。取得したアイテム自体も取引ができるERC-721のアイテムとして設定されている。 また、ユーザー同士のチームを競わせるモードも用意されており友人とチームを戦わせる。このモードではランキングをプレイヤー同士で競う。また、メインのダンジョンゲームの進行に必要な称号を得られる。 ユーザーはオークション形式の販売は他のユーザーとの取引でヒーローを手に入れる。プレセールでも多くのキャラクターが販売され、多くの仮想通貨ゲームユーザーが購入に殺到した。キャラクター自体が歴史上の英雄ということで、キャラクターへの愛着も生まれやすいだろう。 ただし、バトル画面は派手ではなく、どちらかというとチームの組成とそれぞれのキャラクターの育成をし、ヒーローの価値を上げることが中心となっているゲーム構成である。 ユーザー間のキャラクターの取引が可能 キャラクターやアイテムはOpenSea( ERC-721の取引所)にて取引が可能。最近のトレードの履歴を確認したところ高額のヒーロ取引が続いている。筆者が発見した最近の高額取引では伊達政宗が3.2 ETHでトレードされている。 My Crypto Heroesは、複数のプレセールスを経て正式サービスを開始した。プレセール、クラウドセールは2018年後半の仮想通貨市場が厳しい時期にもかかわらずそれぞれの回で、694ETH、962.6ETHの販売を記録している。およそ1600ETHは現在の価値でおよそ1600万円である。 My Crypto Heroesはプレゼント企画、バトルコンテストなどリリース前から間を置かないマーケティングを実行しながら、プロダクトの改善を日々行う姿勢がファンの心を掴んでいる。ただ、運営も頑張りすぎて開発担当が倒れてしまうという過激さだ。 https://twitter.com/mycryptoheroes/status/1072499301119651840 My Crypto Heroesを支えるチームと技術 My Crypto Heroes は ブロックチェーンゲーム専業として起業した double.jump Tokyo が開発、運営を行なっている。専業のメーカー内で今回のMy Crypto Heroesのディレクターは名作「モンスターファーム」シリーズを生み出した高宮氏が務めている。大ベテランのゲーム職人が作り出す、最先端のブロックチェーンゲームとなる。 技術面ではMy Crypto Heroesはいち早くLoom NetworkのSide Chain技術を取り入れMy Crypto Heroesの開発を進めた。スケーラビリティには余裕があるはずだったが、バトルコンテストを開催したときには、 Side Chainを用いたにもかかわらず、許容量を超えてしまい、ゲームの運営に支障が生じた。実際にSide Chainの限界値を経験したわけだ。 この経験を踏まえ、オフチェーン/オンチェーンの処理部分の見直しをし、正式リリースに向けたチューニングをするとした。 (double.jump Tokyo CEO 上野氏@ 2018/10/31 銀座ミートアップにて) dApps関連の情報発信者から出てくるブログ記事も多く、最近は My Crypto Heroes関連のブログ記事が増えている。一旦、仮想通貨の景気と共に沈んでしまったdAppsゲームを流行らせる原動力となるのではないか。 参考文献 My Crypto Heroes 公式サイト My Crypto Heroes 公式告知サイト(Medium) My Crypto Heroes Twitter
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2018/12/12スマコンを利用したサブスクリプション(定期購読)型モデルが実現? EIP1337について解説!
こんにちは。Shota(@shot4crypto)です。 今回は、スマートコントラクトを利用してサブスクリプション型のビジネスモデルを実現するというEthereumの新たな規格『EIP1337』に関して、この概要や特徴を紹介していきたいと思います。 本記事の執筆にあたって、1337AllianceのKevin氏による以下のMediumの記事の内容・構成を参考にさせていただきました。ありがとうございます。 記事ソース:EIP 1337 (Subscriptions) Launches EIP1337とは? 画像では、『ERC1337』となっていますが、現在はまだProposal段階で『EIP1337』とした方が正しいでしょう。 このEIP1337ですが、タイトルにもある通り、これはスマートコントラクトを利用したサブスクリプション(定期購読)型モデルを実現するための規格です。 サブスクリプション型モデル自体は以前にもEIP948という規格を用いて構想が練られていたそうなのですが、今回紹介するEIP1337は、これに対するフィードバックを受け改善を施したものであるとされています。 なぜサブスクリプション型モデルなのか? Webにおけるマネタイズ手段は、広告やスポンサーシップから様々ですが、1337AllianceのKevin氏は、『定期購読モデルはWebビジネスにおいて最も健全なものである』としています。 また、多くの場合トークンベースの経済システムと比較しても、サブスクリプション型のモデルの方が優れているケースが多いと考えられます。 以下はユーザー側・運営側・エコシステム全体がこのモデルを採用した場合に享受することのできる恩恵になります。 ■ユーザー側の利点 DAppsのユーティリティを利用するために複雑なホワイトペーパーを読む必要がない Dappsを利用するという点以上に複雑なVestingやCrypto-economic的な概念を理解する必要がない いつでもキャンセルを行うことができる ■運営の利点 購読者やコンバージョン等のデータを活用して、継続的なキャッシュフローを獲得・把握することができる 二面的なユーザーの構造(投機家・ユーザー)を考える必要がないので、サービスの質を改善することにフォーカスすることができる 長年かけて証明されてきた既存のビジネスモデルを活用することができる 規制面での不確実性が少ない ■エコシステム全体としての利益 サブスクリプション型モデルのような既存のシステムを構築していくことは、Ethereumのエコシステム拡大を考える際に、仕組みが非常にシンプルなものとなります。 オンチェーンのサブスクリプション型モデルにより、開発者は複雑なトークン設計などを意識せずとも、UIやUXの改善にコミットすることができるようになるため、Mass-Adoption(大多数への普及)という課題の解決に、より集中して取り組むことが可能になります。 結果として、利用者が増えることでEthereumのエコシステム全体へ対する利益へ繋がります。 EIP1337の現在の状況は? 情報ソース:Subscription Services on the Blockchain…Are Here ConsensysによってMediumにポストされた投稿によれば、このモデルを利用したサービスのプロトタイプがコミュニティから開発されており、サービスの機能面における監査も既に完了しているようです。 Token Subscription - DAIやWETH等10種類のトークンを利用した定期購読が可能 上のイメージのように、Metamaskを利用することで、ガス価格や数量、支払い頻度などを指定し定期購読を行うことができます。 ETH Grants - サブスクリプション型のコントラクトを作成可能 ETH Grantsでは期間やゴールを指定し、サブスクリプションの概要を記載していくことで、自身のサブスクリプションモデルを作成することが可能です。 EIP1337の今後の可能性は?EIP1337まとめ 個人的な意見となってしまいますが、個人的にはサブスクリプション型のモデルは必要であり、これが広く採用されればDAppsは間違いなく流行ると考えています(これに関しては、以前執筆させていただいたContentBOXの記事でも少し触れています)。 今回のリサーチでは、僕自身がエンジニアではないためDApps内の詳細の仕組みまではつかめなかったのですが、サブスクライブ(定期購読)の仕組みを利用することで、DApps内で行われるマイクロトランザクションを開発元が代替してくれるような仕組みまで実現できれば、これまでボトルネックとされてきたUX部分の大幅な改善が見込めるのではと思います。 一方で、記事内イメージのフレーズ「Monetize with subscription, not ICOs (ICOではなく定期購読でマネタイズしよう)」という形で、ICOの代替手段として広がるのみでは、まだまだ課題も残るのかなと感じます。 ありがとうございました。
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2018/12/11仮想通貨税制を変える会の発足とその反響は?
参議院議員の藤巻健史(ふじまきたけし)氏が、12月1日に発足、発表した「仮想通貨税制を変える会」が注目を集めている。メールアドレスのみで登録できるサポーター登録に12月10日時点で2313名を記録した。 仮想通貨税制を変える会とは ブロックチェーン技術の発展を促すために、手がつけられていない仮想通貨の税制を問題として提起し税制の変更に向けて活動を行なっていく組織。会が実現していきたい項目として下記の4つを示している。 最高税率55%の総合課税から20%の分離課税へ! 損失の繰越控除を可能に! 仮想通貨間の売買を非課税に! 少額決済を非課税に 1,2,3により仮想通貨の売買においても株式やFXで行われている税制と揃える 現在の税制では仮想通貨で得られた所得は、雑所得として申告をする。その結果、給与所得と同様に税率は所得により大きく変動し、最高税率は55%にもなる。一方、株式やFXは、税率20%の分離課税方式を採用し、利益の大小によらず固定である。 また、株式の売買においては損失した年には確定申告で損失を申請することにより、次年度以降の利益との相殺が可能で、利益が安定しない場合に投資家にとって、有利な税制とである。 4により仮想通貨独自の税制問題への対応 現在、仮想通貨間の売買も課税対象とされており、ビットコインをリップルに交換した時点で売買利益を計算する必要がある。多くの通貨間の取引全てにおいて損益を計算し税金の計算をおこなうことに多大な負担を強いられている。 さらに、仮想通貨を買い物で使用する場合においてもたとえばビットコインで飲食店で支払いを行なった場合にその決済を行なった瞬間に得られた売買損益さえも確定申告の対象となる。 この4つの税制改革を目指して活動を宣言 公式サイトもオープンしサポーターの募集を行なっている。サポータはメールアドレスのみで登録可能で、12月10日時点で2300名を超える方が登録。 藤巻健史氏とは 藤巻健史氏は三井信託銀行に入行しそのキャリアを開始した途中、MBAを米国で取得し海外勤務などを経たのちにモルガン銀行東京支店に入行し最後は東京支店長まで務めた金融畑の経歴を持つ。 その後も、アドバイザー業務を経て、メディアなどでの露出も多く行なっている。2013年には日本維新の会より参議選に出馬し初当選を果たす。 金融、運用に関する書籍も多く出版している。私も若い頃に何冊も手にとった。 氏のTwitterの履歴を確認すると2017年11月より仮想通貨に関する言及が行われており、仮想通貨に対して肯定的な意見を述べている。 https://twitter.com/fujimaki_takesi/status/935066534417805312 また2018年1月の参議院本会議において、仮想通貨の税制について財務省に対してコメントを行なったことについて言及している。 https://twitter.com/fujimaki_takesi/status/957061263275606017 発足後の反響 12月10日時点で登録者は2300名を超える勢いがあり、ネットでの反響もよく多くの肯定的な意見やサポートする意見が多く出ている。 また、登録者のみが使用できる掲示板(公式サイト内にあり)にもすでに多くのスレッドがたち議論、応援の声が上がっている。 登録・質問 サポーター登録は以下のサイトから可能。メールアドレスのみで登録は可能。 https://kasou-tax.jp/subscribe/ また匿名質問箱 Pengも設置されていますので気軽に質問もおこなえる。 https://peing.net/ja/change_kasoutax?event=0 海外の仮想通貨取引に関する税制 一方、海外における仮想通貨の税制についてはどうだろうか?まだまだ税制についての議論の途中であろうと考えられる。日本と同様に多くの税金が取られる国家も多い。 カナダにおいては一律50%の課税がおこなわれるので厳しい国である。 一方、ドイツでは1年以上保持していた仮想通貨は無税となる。それ年数以下の場合も25−28%の税率となっておりやさしい。 こちらのcointelegraphの記事より抜粋した。他の国の税制についてまとめられていて興味深い 日本での税制が改善され仮想通貨の環境が世界においてもよい税制になることを期待したい。 参考文献 仮想通貨税制を変える会公式サイト Wikipedia 藤巻健史 藤巻健史オフィシャルウエッブサイト 藤巻健史氏Twitter Here’s What You Pay in Taxes for Using Crypto: From the US to Switzerland
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2018/12/11ビットコイン(BTC)誕生10周年を祝う3つの方法
ビットコイン(BTC)は2019年1月3日に10周年を迎えます。仮想通貨およびブロックチェーンの親のような存在であるビットコインが誕生して10年という節目を迎えるわけですが、皆さんはどのように祝いますか?今回の記事では10周年を祝う3つの方法をご紹介していきます。 ビットコインは再び10周年を迎える 実はビットコインは一年の間に二つ誕生日があります。一つはサトシナカモトがホワイトペーパーを発表した10月31日、二つ目がビットコインネットワーク上でジェネシスブロックが誕生した1月3日です。前者を正式な誕生とすればすでにビットコインは10周年をむかえている事になりますが、多くの人は後者をより重要な日と扱っており、一般的には1月3日がビットコインの誕生日として表現されます。 ジェネシスブロックとは?ジェネシスブロックはビットコインネットワーク上の最初のブロックの呼び名です。最初のブロックで他のブロックとは少し異なるため、このように呼ばれています。 いくつかの企業はこの特別な記念日を祝うための記念アイテムを計画しているようです。 ビットコインアニバーサリーウォッチ スイスの高級時計メーカーとして有名なHublot(ウブロ)は、同社の人気モデルをベースに制作した「Big Bang MECA-10 P2P」を発表しました。この時計は210本という極めて数が限られた限定モデルで、25,000ドルもしくは同額に相当するBTCで販売される予定でした。しかし、プレセールの時点では登録者の数が販売本数を上回るほどの人気っぷりを見せた事でも話題になりました。 さらに驚きなのが、この時計の発表時には価格もデザインも公表されていなかったのに多くの人が殺到したという点です。 2018年の仮想通貨相場はベアーマーケットが続いてばかりでしたが、280万円もする高級時計への需要は非常に高い事がわかります。ちなみに、210本限定という数字は、ビットコインの発行枚数上限が2100万枚だからだと言われています。 ビットコインアニバーサリーウォレット 仮想通貨ハードウェアウォレットの大手Ledgerはビットコインのホワイトペーパーの発表10周年を記念して、Nanoの限定モデルを発売しました。このウォレットは美しさと実用性を兼ね備えているだけでなく、サトシナカモトが発表したホワイトペーパのミニチュア版を含んでいるそうです。 Ledger Nano S White Paper Editionは同社にとって2番目の限定モデルとなります。販売数は5,000個にに限定されていたため、今から入手するのは非常に困難だと言えるでしょう。さらに外箱も特別仕様になっており、暗号学に関わってきた歴史上の人物らが描かれているそうです。 Ledger Nano S White Paper Editionの販売価格は99.99ドルでした。 ビットコインアニバーサリークロック 時計はビットコインプロトコルに置ける不可欠な存在であり、サトシナカモトのホワイトペーパーにも「Time」という単語が24回ほど登場しています。もしかしたらこれがビットコインの記念アイテムに時間に関係した物が多い理由なのかもしれませんね。 The Block Clockは半導体のデザインになっており、非常に初歩的な時計にも見えます。しかし、この時計は気の利いた機能を搭載しており、取引所での価格やブロックチェーンのブロック高を表示する事ができます。 500個に限定されたこの時計は記事執筆時点で1BTCよりも高い、4,999ドルにて販売されます。 あなたならどのように10周年を祝いますか? 僕ら仮想通貨ライターやブロックチェーン関連の仕事をしている方はもちろん、ブロックチェーンは生活の中の様々なところで活用されているので、ビットコインの生み出した恩恵を受けている方はかなり多いと思います。 そんなブロックチェーンと仮想通貨を生み出したビットコインの記念すべき10周年が来年頭に迫っているわけですが、皆さんは何か特別な祝い方を計画していたりしますか?上記で紹介したような記念品を買うもよし、ビットコイン自体を買うもよし、心の中でビットコインの誕生日を祝うもよしですね。 ちなみに僕は1月3日はスキーをしにネット環境のない山奥に出かけているので心の中で誕生日を祝う事にします… 記事ソース: Bitcoin.com, Hublot, Ledger
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2018/12/11エドワード・スノーデン氏の仮想通貨に対するビジョンとは
アメリカ政府の個人情報収集の手口を告発した事で一躍有名になったエドワード・スノーデン氏は仮想通貨市場に言及し、ビットコイン(BTC)はやがて衰えるが、仮想通貨の活用はビットコインと共には終わらないとする自身の見解を明かしました。 ACLUのディレクター、Ben Wizner氏とのインタビューの中でスノーデン氏はビットコインをグローバルな通貨としてサポートする信念は消え去るのではなく、他の仮想通貨へと移っていくだろうと発言しました。 エドワード・スノーデンという人物 スノーデン氏はアメリカ生まれのの元NSAおよびCIAの局員で本名はエドワード・ジョセフ・スノーデンと言います。2005年からNSAに勤めますが、米国政府の悪辣な行為に幻滅し、2013年6月に香港で複数の新聞社に対し、NSAの個人情報収集の手口を告発しました。 この直後には米国の司法当局から逮捕命令が出され、現在はロシアに滞在中となっています。 希少性と信念 Wizner氏からビットコインが長期間固有の価値を保つ事を信じているかと尋ねられたスノーデン氏は、ビットコインを紙の法定通貨と比較し、唯一の違いは国によって裏付けされているという信念だと主張します。 彼の見解によると、ビットコインをはじめとした仮想通貨は、非常に限定された基本的価値しか持ち合わせていないとしています。スノーデン氏はその基本的価値は2つに代表され、その2つの価値によってビットコインは近い将来でも存続すると主張します。 1つ目は希少性です。ビットコインの発行枚数は2100万枚に制限されており、この希少性が残りのビットコインをマイニングするインセンティブになるとスノーデン氏は説明します。そして、この希少性がビットコインの価値の尺度を与えます。 スノーデン氏がより重要だと主張する2つ目の価値は、多くの人間がビットコインを真の交換手段として認識しているという点です。スノーデン氏によると、この現実世界の金銭的価値を銀行ネットワークなどを使わずに移行できるという信念は移転可能であり、ビットコインの死後も生き残り続けると話します。 「この信念とは、仮想通貨が銀行を介さずに、毎日世界中で膨大な金額を電子的に送金しているという事です。いつの日か、ビットコインが消え去っても、銀行を介さずに送金をしたいと思う人が存在する限り、仮想通貨は評価され続けるだろう。」 優れた実用性、貧しい実装状況 2013年の告発後はロシアにて生活を送るスノーデン氏は、ビットコインの迫り来る死を予言しているにも関わらず、自身はビットコインを気に入っていると言います。その理由として、彼はビットコインが世界中で作り出した可能性や機会を挙げています。 「例えばバンク・オブ・アメリカが僕みたいな人の決済を取り扱いたくないとしよう。従来の金融システムであれば、銀行はその仲間と同様に強大な力を持っており、それを阻止する事ができる。 もしベネズエラ在住の10代がパリの誰かが運営するウェブサイトの開発を手伝ったとする。法定通貨でベネズエラに送金する際に何かしらの規制があったとしても、仮想通貨であれば問題なく送金できる。 ビットコインは今はまだプライベートマネーにはなり得てないかもしれない。しかし、最ビットコインは初のフリーマネーだ」 一方でスノーデン氏は、既存のブロックチェーンのハッシュシステムは不十分であるとし、新たなシステムの開発が必要だと話します。 スノーデン氏はProof of Workは裕福な人に有利な環境破壊活動、Proof of Stakeを裕福な人への直接的な配布で、彼らの欲望がシステムを走らせ続けているとそれぞれ表現します。 記事ソース: CCN, ACLU kaz PoSとPoWについては言及しているけど、最近ちらほら出てきている新しいコンセンサスアルゴリズムについてはどう思ってるんだろう?
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2018/12/03ビットコインキャッシュ(BCH)分裂騒動まとめ 事の発端は内輪揉めから?
先日ビットコインキャッシュ(BCH)がハードフォークし仮想通貨界隈では大きな話題となっていましたが、実際どのような経緯でハードフォークに行き着いたのかご存知ですか?今回の記事では、事の発端からハードフォーク後までを解説していきます。 ちなみに、ハードフォークというのは現存の通貨から新たなチェーンを派生させ、そのチェーンに新たなルールを適用させると言うものです。 事の発端はクライアント同士の内輪揉め? 今回のビットコインキャッシュに関する騒動は完結に言うと内輪揉めから話が始まっています もともとビットコインキャッシュには複数のクライアントというものが存在します。このクライアントはネットワークの開発を行ったり、アップデートに関して議論を行ったりしています。 このクライアント同士が次の大型アップデート(ハードフォーク)の内容に関して揉め始めたところから事態は大きくなっていきました。 Bitcoin ABCの主張 そのうちの一つであるBitcoin ABCというクライアントがソフトウェアのアップデートを発表しました。このアップデートには「オラクルを活用したスマートコントラクトの実装」と「クロスチェーンの実装」という二つの特徴が含まれていました。 オラクルというのは外部から情報をブロックチェーンに取り込む役割を担う存在で、ニュースや天気、為替相場などの情報を取り込んでくれます。 クロスチェーンというのは異なるブロックチェーン上のトークンを直接的に取引できるようにするアップデートになります。例えば、イーサリアムとビットコインは別々のブロックチェーン上に存在しているため、交換するためには取引所を介する必要がありましたが、クロスチェーンが実装されれば、スムーズかつ安価にトークンを交換する事ができます。 Bitcoin SVの主張 一方で別のBCHクライアントのBitcoin SV(Satoshi Vision)はBitcoin ABCのアップデートに強く反発してきました。Bitcoin SVは自称サトシナカモトのクレイグ・スティーブン・ライト氏率いるクライアントです。 ブロックチェーン関連の研究開発を行うnCahinを運営するSV側はサトシナカモトの考え方を中心に運営されており、ABCが発表したハードフォーク内容に反論する形で自分らもハードフォークを行うと主張し始めました。 BSV(Bitcoin SV)のアップデート内容としては、ブロック容量を32MBから128MBへと拡大するという点と以前排除されたビットコインのコードを復活させスクリプトを増やすという点の二点となっています。 ビッグブロックはチェーンの処理能力向上のためのアップデートで、スケーラビリティ問題の解決に繋がるのではないかと考えられています。一方のスクリプトの追加はオリジナルのビットコインに回帰するという目的の元行われるようです。 今回のハードフォークの問題点 散々取り上げられているように、今回のBCHハードフォーク騒動には様々な問題点が存在しています。ここでは、その問題点を詳しく解説していきます。 リプレイプロテクションが未実装だった リプレイプロテクションはハードフォークによって誕生した二つのブロックチェーンにおいて、それぞれのトランザクションを区別する技術を指します。これはリプレイアタックを防ぐための術でもあります。 リプレイアタックと言うのは、ハードフォーク後にトランザクション情報を丸々コピーし、別のブロックチェーン上で勝手に送金を行うという行為です。しかし、リプレイプロテクションを使えば、ノードにそれぞれのチェーンのトランザクションを区別させる事ができ、リプレイアタックも防げます。 しかし、今回のハードフォークで誕生した二つの通貨は当初、リプレイプロテクションを実装していないと言う事で大きな問題となりました。 現時点では、両者ともにリプレイプロテクションを実装する意向であると報じられており、この問題は解決に向かっていると言えるでしょう。 51%攻撃 クレイグ側はサトシナカモトの思想を強く押すあまりに、これ以上の分裂を避けたいと考えているようです。彼はビットコインキャッシュからBCHABCが分裂するのを防ぐべく、51%攻撃を検討していると報じられていました。 方法としては、BCHSV派がありったけの資金を投入し、ハッシュを獲得する事でBCHABCを潰すというものでした。一部報道ではクレイグ側は保有していたビットコインを売却してでも攻撃を続けると報じられていました。 これにより、BCHABCのチェーンに空のブロックを生成し続け、取引データの承認を行わないという状況が生まれます。 これは、コスト面の問題などから過去には例がありませんが、クレイグ側は最終手段である51%攻撃を使ってまでABCを潰そうとしているという事が伺えます。 ハードフォーク後の状況 記事執筆時点でのマイニング勢力図は上記の図のようになっています。クライアント別で見ると、Bitcoin ABCが約40%ほど、Bitcoin SVが約20%ほどとなっています。 ノード数で見るとこのような感じになります。以前としてABC側がSV側よりも多くのノードを確保している状況になります。 マイニング大手BTC.topがハッシュパワーをBitcoin Cash ABCへと移行 ー CRYPTO TIMES BitmainのCEOであったジハン・ウーの降格など様々なところにまで波及した今回のハードフォーク騒動ですが、SV派Coingeekのカルヴィン・エアー氏は今月20日に問題を収束へと向かわせる発表を行いました。 同発表によると、「SV側はABCのコインをBAB(Bitcoin ABC)、SV側のコインをBSV(Bitcoin SV)として表記される事を受け入れ、ABC陣営と協力して全ての取引所や関連事業者にこのように表記するよう進めていく」としています。 また、「両者はお互いのチェーンを攻撃しないという事に同意し、それぞれを別のプロダクトとして競合とする。双方がBCHの主張を捨て、まっさらな状態からスタートする」とも発表しました。 これに加え、Huobiではリプレイプロテクションを実装したABCを正式なBCHとしてみなし、送金を再開すると発表した事もあり、事態は収束へ向かおうとしています。 Huobi(フオビ)がBitcoin Cash ABCをBCHとして上場 ー CRYPTO TIMES 今年一番注目されたハードフォーク騒動も収束か BCHのハードフォーク騒動は2018年で間違いなく最も世間を騒がせた問題となりましたが、両陣営の和解や各取引所での送金再開の動きなど、着々と事態は収束へと向かっています。 今までにもハードフォークで二つのチェーンが生まれるという事はありましたが、今回はあまりにも一つの考えに固執していた事から事態が大きくなってしまったと言えるのではないでしょうか。 コミュニティ主体で運営していく非中央集権型のシステムだからこそ、それぞれの意見に耳を傾けて話を進めていく事が大切だと感じました。 記事ソース: Coin Dance, Coingeek, BTC.com
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2018/11/26仮想通貨にもブラックフライデー?2018年にパフォーマンスが良かった通貨と悪かった通貨を5つずつ紹介
アメリカでは毎年11月の第4木曜日の翌日の金曜日に「ブラックフライデー」と言って全国で大規模なセールが行われます。そんな中、今年一年間ベアーマーケット(弱気相場)で振るわなかった仮想通貨も大幅なセール状態にあると言えるのではないでしょうか? 今回の記事では、今年のパフォーマンスがさえなかった5通貨と、逆に良い成績を残した5通貨を特集していきます。今回選出された通貨は全て時価総額5億ドル(約564億円)以上の通貨のみとなっています。 そして、パフォーマンスの良し悪しを図る指標としてYear-to-date Returns(YTD)を採用しています。これは、年初からどれだけその通貨が値上がりしたかを示す指標で、直近の価格から年初の価格を引いて年初の価格で割る事で求められます。 最もパフォーマンスがよかった通貨5選 ここで紹介する5通貨は今年のベアーマーケットの中でも他の通貨より良い成績を残した通貨になります。 1. Binance Coin(BNB) Binance Coinは相場が振るわない中でも比較的良い成績を残しており、年初からのROIは-28.11%に抑えられています。年初は8.41ドル付近で取引されていたBNBは現在6.08ドル付近で取引されています。過去最高値(ATH)の24.37ドルからは75%下落しており、まさにブラックフライデーのセールと言った印象を受けます。 Binanceは今や世界最大規模の仮想通貨取引所であり、通貨が上場されるという噂だけでその通貨を上昇させるほどの影響力を持っています。 2. Stellar(XLM) Stellarの1年間のROIは-35.51%で、価格は年初の0.48ドルに比べて現在は0.19ドルとなっています。過去最高値の0.87ドルからは77.4%の下落を記録しています。今年はCoinbase上場の噂などもあり、Stellarに注目が集まった年でもありました。 3. EOS EOSのYTDリターンは-51.37%となっています。年初は8.84ドル付近で取引されていたEOSも現在は3.67ドルまで下落しています。EOSの過去最高値は22.71ドルで、現時点で-83.4%となっています。 4. TRON(TRX) TronはYTDリターン-59.82%で4位に付けました。年初は0.052ドルでしたが、現在は0014ドル付近まで下落しています。TRXのATHは0.23ドルとなっており、現在の価格と比べると-93.8%と大幅に差が開いています。 今年はBitTorrentの買収など大きなニュースも登場したTron財団ですが、トップ5の座はその活動を見れば納得できる事でしょう。 5. Bitcoin(BTC) 言わずと知れた仮想通貨の王ビットコインはYTDリターン-67.04%を記録しました。年初は13,657ドル付近だったビットコインも現在は4516ドル付近まで下落しています。ATHの19,665ドルからは-77%となっており、大幅にディスカウントされています。 最もパフォーマンスが悪かった通貨5選 続いて紹介する5通貨は最も下落した通貨になります。 1. Cardano(ADA) ADAは年初からのROIが-92.12%となっており、ワースト5にランクインしました。年初は0.73ドルで取引されていたADAは現在、0.046ドル前後を推移しています。ATHは1.18ドルを記録していますが、現在の価格と比べると-96.1%とかなり価格を落としました。 この結果になった一因として今年10月にADA開発者のチャールス・ホスキンソン氏とカルダノ財団の内輪揉めが影響していると見られています。 2. NEM(XEM) ワースト2位にはNEMがランクインする結果となりました。年初からのROIは-91.44%で価格が1.06ドルから0.083ドルと大幅に下落しています。一方のATH1.87ドルからも-95.5%と大きな下落率を記録しました。 3. IOTA IOTAはYTDリターン-90.92%でワースト3位に付けました。今年の初めは3.95ドル付近で取引されていたIOTAも現在では0.32ドルまで下落しています。ATHは5.25ドルとなっており、ここからは-93.8%となっています。 今年は富士通やフォルクスワーゲンとのパートナーシップを発表したIOTAですが、トークンの価格はあまり振るわなかったようです。 4. Bitcoin Cash(BCH) Bitcoin CashはYTDリターン-90.38%となっており、年初の2432ドルから225.45ドルまで下落しています。BCHのATHは3785ドルで、現在の価格と比較すると-94%となっています。 BCHはつい先日のBCHABCとBCHSVのハードフォーク騒動により、誰もがランクインを予想できる結果となりました。 5. Dash DashはYTDリターン-89.65%で第5位にランクインしました。年初は1054ドルで取引されていたDASHも今では109.26ドル付近で落ち着いています。ATHは1493ドルで、現在の価格と比較して-92.6%の下落となりました。 すでに3000を超えるビジネスで採用されているDASHではありますが、今年のベアーマーケットにより、そのポテンシャルを十分に発揮できていなかったようにも感じます。 年末にかけてブルマーケットにシフトするのであればお買い得かも? 昨年末は年末にかけて仮想通貨市場全体が上がっていき、ATHを更新する通貨も多数登場しました。今年は1年間あまり振るわない相場ではありましたが、今後ブルマーケットにシフトしていくとすれば、バーゲン状態の今これらの通貨を購入しておくのも一つの手かもしれません。 記事ソース: Chepicap
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2018/11/25ヴィタリック・ブテリンってどんな人?Ethereumを生んだ【天才】の人生とは
イーサリアム(Ethereum)の話題が挙がると頻繁に名前を聞くVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)という人物ですが、彼は一体誰なのでしょうか? 今回は天才プログラマーとして名高いヴィタリック・ブテリンの人生を紹介していきます。 幼少期から群を抜いた才能を発揮 ヴィタリックは1994年にロシアはモスクワでコンピュータ技術者の父親とビジネスアナリストの母親の間に生まれます。ヴィタリックは6歳の頃に一家でカナダへと移住しました。 カナダの小学校に入学したヴィタリックは小学三年生でトップのクラスに入り、数学やプログラミング、経済などの分野に興味を示し始めます。この時点でヴィタリックは超がつくほど優秀な一握りの生徒を対象にするギフテッドプログラムに編入しています。 ヴィタリックはトロントにあるAberald Schoolという高校に入学し、そこで4年間を過ごします。彼自身この期間を人生で最も生産的で興味深い4年間だったと表現しています。同校はヴィタリックの教育に対する感覚と態度を劇的に変え、彼を貪欲に学びを求める一人の人間へと成長させました。 一方で13歳から15歳の頃はWorld of Warcraftというゲームに没頭します。しかし、ある日気に入っていたキャラクターのステータスが運営によって突如変更され、中央集権への不信感を抱き始めます。ここがヴィタリックを仮想通貨という分散構造を活用したテクノロジーの世界へと引き込んだターニングポイントなのかもしれません。 ヴィタリックとビットコインの出会い 2011年に父親からビットコインについて聞いたヴィタリックはそこに固有の価値を感じられず、将来的に失敗するだろうと予想しました。しかし、何度かビットコインの名を耳にするうちに興味を抱き始めます。その後ヴィタリックはビットコイン専門雑誌でライターとしてアルバイトを始めます。 仮想通貨に没頭し始めたヴィタリックはビットコイン関連のフォーラムやネットワーク研究に多くの時間を割くようになりました。当初は仮想通貨という要素に興味を惹かれていた彼ですが、コミュニティに参加するうちにビットコインの背後に存在する無限の可能性を秘めたテクノロジーに注目し始めます。 ビットコイン専門雑誌に掲載されていたヴィタリックの記事はルーマニアのビットコイン愛好家Mihai Alisieの目にとまり、二人は後にBitcoin Magazineを創刊します。ヴィタリックは同誌でヘッドライターとして活動を始める傍、暗号学者Ian Goldbergの元でリサーチアシスタントとして働いていました。 ヴィタリックは2012年にウォータールー大学へと進学し、かねてから興味を持っていたコンピューターサイエンスを専攻します。しかし、2013年にカリフォルニア州サンホセで開催されたビットコインカンファレンスにBitcoin Magazineの代表として参加したヴィタリックは衝撃を受けます。彼はこの瞬間自分が今まで参加してきたコミュニティは実際に存在し、本格的に参加する価値があると確信します。 彼は直後に大学を中退し、今まで貯めてきたビットコインを使って世界中を見て回る旅に出発します。ヴィタリックは旅の中でビットコインを受け入れている小さなレストランや店を発見したり、ビットコインATMを発見したりしました。しかし、これらのほとんどはビットコインをお金としてどう最大限活用するかという事に焦点を当てているにすぎませんでした。 また、後のインタビューで語っていますが、ヴィタリックは大学中退後にRipple社に務める予定でしたが、就労ビザの関係などで話は流れてしまったそうです。 https://www.youtube.com/watch?v=fbEtivJIfIU&=&feature=youtu.be&=&t=666 2013年10月、ヴィタリックはイスラエルを訪れていました。そこで彼は「CovertCoins」と「MasterCoin」と呼ばれるプロジェクトの運営陣に出会いました。これらのプロジェクトはビットコインブロックチェーン上でのトークン発行や、ファイナンシャルコントラクトの実行などブロッックチェーンを様々な用途に応用する事に焦点を当てていました。 ヴィタリックはこれらのプロジェクトが採用していたプロトコルを見ているうちに、Turing-Complete Languageを使う事でプログラミングを一般化する事ができると考えるようになりました。この言語はコンピューターにアルゴリズムと一定の時間、メモリーを与える事で特定の問題を解かせるという言語です。 ヴィタリックはこの発見を元に既存のプロジェクトに新たな提案をしますが、彼らの中にはまだ時期尚早だと反対する人もいました。 イーサリアムに人生を賭けた男 ヴィタリックは2013年後半に自身のアイディアをまとめたホワイトペーパーを公開します。彼が知人に送ったのをきっかけに、およそ30人がヴィタリックとコンセプトについて協議しました。ヴィタリックは彼らのうちの誰かが重要な問題点を指摘してくれると期待していましたが、それは決して起こりませんでした。 当初のイーサリアムのコンセプトは通貨としての機能にフォーカスした物で、今現在のイーサリアムとは全く違う物でした。ヴィタリックをはじめとするメンバーはなんども議論を重ね、2014年1月に分散型ファイルストレージを簡単にプログラミングできるという事に気付きました。 そして、この発見からイーサリアムは現在の形へと近づいていくようになりました。ヴィタリック率いるコアチームはイーサリアムのベースとなる構想をまとめたホワイトペーパーを発表し、2014年2月に初のプロトタイプを世に送り出します。 この段階でチームはEtherのクラウドセールを行う事を計画していました。Etherはビットコインで売られ、累計で31,000BTC、当時の価値にして1800万ドル(約20.3億円)を売り上げました。 ヴィタリックは同年にPayPalの創業者ピーター・ティールが選ぶティール・フェローシップに選ばれ10万ドル(約1100万円)の資金を獲得しています。 イーサリアムは今でも過去3番目に最も成功したクラウドセールとして知られており、The Wall Street Journalをはじめとする大手企業からも支援されています。 イーサリアム財団はネットワークのオフィシャルローンチに当たって複数のプロトタイプを開発しました。オリンピック(Olympic)と名付けられた最後のプロトタイプで財団はバグバウンティを行う事を決定しました。このバウンティでは25000ETHがバグ発見者に配布されました。 2015年の7月30日にはFrontierと名付けられた最初のパブリックバージョンが公開されます。このバージョンも非常にシンプルな構成になっており、テスト段階のような状態でした。その後、監査者とデベロッパーによってプラットフォームが安定してきたタイミングでHomesteadバージョンがリリースされました。 Homesteadへのアップデートは2016年3月に行われ、次世代のブロックチェーンを実証するべく公開されました。前バージョンからは大幅なアップデートが図られており、実用性の面でも大幅な改善が行われました。 この時点でイーサリアムは仮想通貨市場で圧倒的な存在感を放っていました。当時のビットコインのノードが6000だったのに対し、イーサリアムは5100と仮想通貨の王に匹敵するところまで迫っていました。そして、MicrosoftやIBMなどの名だたる企業もイーサリアムのプラットフォーム上でプロジェクトを計画し始めました。 そして、次の大規模アップデートであるMetropolisは2つのパートに別れています。最初のパートはByzantiumと呼ばれ2017年の9月から10月ごろに予定されていました。しかし、延期に延期を重ね実装は予定よりもだいぶ遅れて行われました。 イーサリアムのアップデート最終段階であるSerenityは現時点では予定日などは一切公表されておらず、いつ頃実装されるのかは未定となっています。 The DAOのハッキング事件とハードフォーク イーサリアムは分散型アプリケーション(Dapps)の他にもDAOというものをサポートしています。これは、「Decentralized Autonomous Organization(分散型かつ自主的な組織)」の頭文字を取ったものであり、他のブロックチェーンプロジェクトのように非中央集権化を目指したものだと言えるでしょう。 DAOはデベロッパーによって書かれたルールによって運営されていくシステムになっており、まず最初にクラウドファンディングが行われます。ユーザーはこの段階でトークンを購入し、資金をDAOに投じる事ができます。 そして、このクラウドファンディングが完了するとDAOは実際に運営を開始します。メンバーはDAOの運営方針に関して提案をする事ができ、トークンを購入したメンバーはそれに対して投票する事ができます。 The DAOはDAOの一つに該当するプロジェクトの名前で、ドイツのスタートアップによって発足されました。このプロジェクトではユーザーが違いに車や家などをシェアできるとされており、分散型のAirbnbとも呼ばれていました。 そして、The DAOはクラウドファンディングで11,000人のメンバーから、1.5億ドル(約169億円)という巨額の資金を調達する事に成功しました。 しかし、The DAOはハッキング被害にあってしまいます。この件は当時大々的に報道されたので耳にした方も多いと思います。このハッキングの原因はイーサリアムのネットワークではなく、完全にThe DAOのシステムにありました。ハッカー本人もイーサリアムではなく、The DAOの脆弱性をついたと証言しています。 ハッカーは合計で5000万ドル(約56億円)相当のETHを盗み出すことに成功しました。直後にイーサリアムの価格は20ドルから13ドルにまで暴落しました。 The DAOの返金問題はイーサリアムコミュニティを巻き込むほどの大事にまで発展しました。ソフトフォークなどの解決案も提案されましたが、コミュニティの投票などを経て最終的にはハードフォークという案にたどり着きます。 これがイーサリアムクラシック(ETC)の誕生した瞬間です。しかし、2つのブロックチェーンは192000ブロックまでは全く同じであり、イーサリアムコミュニティだけでなく、仮想通貨界隈全体に混乱を巻き起こしました。 現在は全く別の通貨として扱われているイーサリアムクラシックですが、機能やブロックチェーン自体もほぼ同じものであり、今後どのように差別化を図っていくかに注目が集まっています。 ヴィタリックと日本の以外な関係性 ロジャー・バーと異なりヴィタリックは特に日本との関係性が表には出てきませんが、実は何度か日本を訪れていたりと意外な接点があるんです。 2017年の8月に渋谷のバーで開かれた東京ビットコイン会議というイベントにおいてヴィタリックは1時間弱の講演を行ったそうです。この時はイーサリアムのスケーラビリティ問題解決に注力しており、技術的な内容の講演だったとされています。 また、今年の3月27日には外務大臣を務める河野太郎氏と面会しています。河野氏は以前から仮想通貨やブロックチェーン関連のテクノロジーに関連を示しており、ヴィタリック氏からもイーサリアムの紹介や将来性などについて話をしたと言います。 さらにその2日後の29日には東京大学にて開催された開発者向けのイーサリアムイベントにも出席しています。ここでは会場に集まったイーサリアム関連の開発者らに向けてPlasmaやShardingなどの説明を行いました。 現在のヴィタリック ヴィタリックは現在シンガポールに拠点を構えています。当初は3人で管理していたイーサリアムのプロトコルですが、彼は近いうちに自分の存在の重要性が下がってくるだろうと予想します。 ヴィタリックはイーサリアムキラーになり得るのはイーサリアムのみだと主張し、プラットフォームの将来にも楽観的な考え方を持っています。ヴィタリック率いるチームはさらに安定し、安全で効率的なバージョンのイーサリアムの開発に専念しており、スケーラビリティ、セキュリティ、コストなどの点が課題になってくるとしています。 ヴィタリック・ブテリンが見据えるブロックチェーンの将来 ヴィタリックはここ2,3年でブロックチェーン技術のスタンダードが確率されつつあり、事件やハッキングなどの被害への対策も進んでいると指摘します。 一方で真の分散型という点で見ると、分散型ネットワークを謳っておきながら中央の管理体が利益を独占しているサービスなどがある事を問題視しているようです。 イーサリアムに関しては、今後利便性とスケーラビリティのバランスを取りながら成長させていく事で、システムをより良い物にしていきたいという目標があるといいます。また、ブロックチェーンの技術をより安く、簡単に、安全に使えるように取り組んでいくとしています。 ブロックチェーン界が誇る天才はこれからも輝き続ける 24歳という圧倒的な若さながらブロックチェーン界隈で活躍を続けるヴィタリック・ブテリンですが、彼のポテンシャルはまだまだ完全には発揮仕切れていないような気がします。今後のイーサリアムへの貢献はもちろんですが、それ以外の様々な分野でもその才能を見せてくれるのではないでしょうか。 ビットコインのホワイトペーパーを発表したサトシナカモトは言わずもがな世界に大きな影響を与えましたが、ヴィタリックも彼に匹敵するレベルの影響を与えていると言えるでしょう。 先ほど紹介した将来の目標に向かって邁進する彼の今後に要注目です! 記事ソース: Wired, Cointelegraph, Youtube
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2018/11/21オリジナルのコレクタブルをデザインしてEthereum上に発行できるサービス『Mokens』の紹介!
こんにちは!Shota(@shot4crypto)です。 現在、『CryptoKitties』や『Gods Unchained』など、EthereumのERC721規格を利用したDAppsは様々ですが、コレクタブルを自分でデザインして作れるサービスをご存知ですか? 本記事では、『Mokens』と呼ばれるERC721規格のNFTを自身でデザインしてEthereum上に発行できるサービスの概要を紹介していきたいと思います。 Mokensとは? 自身のコレクタブルをデザインし発行できる! Mokensは、Nick Mudge氏、Haley Summers氏、Brian Flynn氏の3名によって開発が進められているサービスです。 Mokensのウェブサイトで提供されているサービスを利用することで、ユーザーは数クリックで自身のオリジナルのコレクタブルをデザインすることができます。 このウェブサイトでデザインしたコレクタブルはMoken(?)と呼ばれ、Ethereumのブロックチェーン上に発行されます。 ここで発行したMokenですが、同じ名前のMokenを後から発行(偽造)することはできず、仮に酷似したものが発行された場合でも、コピーMokenに対しオリジナルのMokenへのリンクが表示されるなどと偽造対策なるものも施されているそうです。 こうして、個人が発行することのできるMokenですが、現在DAppsのゲームでしばしば採用されているトークン規格であるERC721が、Mokenでも採用されています。 公式サイトによれば、現在は、自身で発行したMokenの様々なDAppsゲーム内での利用に向けた改良や開発を行っているそうです。 shota 自分が発行したトークンが何かしらのアルゴリズムでカードゲームなどで使えるようになると非常に面白いですね!! 3分でできる!Moken発行までの流れを説明! 『オリジナルのコレクタブルを発行する』と聞くとかなり複雑で難しいイメージですが、mokensを利用することで簡単に自身のコレクタブルを発行することができます。 本項では、その流れも簡単に解説していきます。 また、Moken発行には主に以下が必要となりますので事前に準備をしておくとスムーズに発行が完了します。 Metamask(使い方はこちらをご覧ください) 少額のEther(トランザクション手数料として少額のGASが求められます) まず、mokensのトップページにアクセスすると、いきなり画面左にMint a Moken(Moken鋳造)の文字列が現れますので、各項目の入力を進めていきます。 Choose a name Mokenの名称を決定します。基本的に文字数に制限はないようですが、初回以降の発行には0.02ETHのコストが発生してくるため、適当すぎない名前がいいかもしれません。 Provide a description of your token (optional) Mokenの概要を記入します。空欄でも大丈夫らしいですが、せっかくなので何か記入しておきましょう! Select an image for your moken (optional) こちらもオプショナルですが、Mokenのイメージを決定します。 『Choose Image』を選択して、好みの画像をアップロードしましょう。 Provide a comma separated list of tags Mokenに紐づけたいタグを設定します。例えば愛犬の画像でしたら"dogg"などのタグが適しているかもしれません。 入力が完了したら『Submit(提出)』する前に『Preview(プレビュー)』で、完成したトークンのイメージを確認してみましょう。 例えば、こんな感じになります! 確認が完了したら、『Submit(提出)』をクリックしてMetamaskでトランザクションを発行しましょう。 まとめ 簡単に自身のデザインしたコレクタブルをEthereum上に発行することのできる『mokens』と呼ばれるサービスを紹介しました。 本記事執筆時はEthereumの価格も下がっており、非常に安価で発行を行うことができますので、自身のmokenを発行してみてはいかがでしょうか? ありがとうございました。