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2018/05/19新たなハード・ドルペグ通貨「USD Coin」とは?類似通貨との違いも徹底解説!
クリプト系金融ビジネス、Circleがトークン化型USドル「USD Coin」を発表しました。 今月15日にオフィシャルブログに投稿された内容によると、USD Coin(ティッカー: USDC)は米国の送金法に則った透明性の高いUSDペグ通貨で、開発にはCENTREと呼ばれるプロトコルが使用されているとのことです。 Circleは仮想通貨取引所世界的大手であるPoloniexを買収した事で注目を浴びた企業です。 今回のアナウンスでは、同社がビットコインマイニングやASICチップの開発で世界的に有名なBitmainとパートナーシップを結び、約1億ドルの出資を受けたことも発表されています。 そんな今注目のCircleが発表したUSD Coinとは一体何なのか、また、TetherやMakerDAOなどの他のステーブルコインとの違いなどを徹底解説します。 法定通貨に連動!?仮想通貨におけるペグ通貨とは - CRYPTO TIMES USD Coinとは? USD Coin(USDC)とは「1USドル=1USDC」となっている、いわばトークン化されたUSドルです。 他の一般的な仮想通貨は投機やスペキュレーションの影響でボラティリティが非常に高いですが、USDCはUSドルをペグしたものであるため、理論上はUSドルの価格変位と連動します。 また、メリットは価格安定性だけではありません。USDCと他の仮想通貨の取引ペアを作ることにより、デジタル通貨のみでフィアット↔仮想通貨間の取引が可能にもなります。 類似通貨との比較 USDCのような、価格が安定する仕組みの施された通貨をステーブルコインと呼びます。 基本的にはコイン1単位=法定通貨1単位にすることがステーブルコインの目標ですが、これを実現する代表的な方法は二つあります。 法定通貨を裏付ける方法 USD Coinや、Tetherなどがこれにあたり、日本でも三菱UFJが1コイン=1円に相当する「MUFGコイン」の開発を進めています。 「法定通貨を裏付けにした」というのは、実在する法定通貨の所有権をデジタル上に表したものということです。ですから、コイン発行に際しそれを裏付ける法定通貨が必ず存在するということです。 このような通貨をハードペグ通貨と呼びます。 アルゴリズムで価格を調整する方法 このような通貨はソフトペグ通貨と呼ばれ、コイン1単位を法定通貨1単位に近づけるインセンティブが組み込まれています。代表的ものはMakerDAOのDaiでしょう。 例えばDaiでは、「TRFM」と呼ばれるメカニズムによって、Daiの価格を1USドルに近づける事で利益が得られるようになっています。 ちなみにですが、仮想通貨のハードペグ・ソフトペグは法定通貨のそれとは全く同じ意味ではないので注意が必要です。 USD Coin Vs. Tether それでは、USD Coinは他のステーブルコインと比べてどのようなアドバンテージがあるのでしょうか。 まずは、同じハードペグのカテゴリに属するTetherと比べて見ましょう。 Circle公式によると、USDCの一番のアドバンテージはERC-20トークンであることと、米国の送金法に準じていることであるといいます。 USDCはERC-20トークンであるため、ビットコインベースのものと比べ統一性や決済速度が優れています。 イーサリウムベースのためスマートコントラクトを使用することもできます。しかし、現段階ではUSD Coinが同技術を利用したサービスを展開するかどうかは発表されていません。 ベースのブロックチェーン 信用性 USD Coin イーサリウム(ERC-20) 金融大手のバッキング Tether ビットコイン 業界大手だが、監査面で議論あり また、CircleはUSDCのコンプライアンスの良さも推しています。米国送金法に準じていることや、ゴールドマンサックスや百度など大手企業からのサポートを受けていることなどが発表されています。 ベースのブロックチェーンだけを見る限りではUSD Coinの方がより汎用性が高いと考えられます。 コンプライアンスの面は、実際のサービス開始後それを維持できるかに関わってくると考えられます。Tetherでは関係機関の監査面やセキュリティなどをめぐって問題や議論が生じています。 よって、Circleが同じようなスキャンダルを起こさずに運営できるかどうかで両者の優劣は明確になってくるでしょう。 ハードペグ通貨 Vs. ソフトペグ通貨 次に、USDCとDaiを比べてみましょう。こちらはこの2つの優劣、というよりかはハードペグとソフトペグの違いという形になります。 ソフトペグ通貨は、価格が大きくそれてしまうことがよくあります。 下のDaiのチャートでは、アービトラージが追いつかずに価格が上下しているのがわかります。 [caption id="" align="aligncenter" width="1120"] ソフトペグ通貨「Dai」のチャート。1 Dai = 1USDから大きくそれる時がある。[/caption] また、仮想通貨を担保に発行できるZen(ゼン)は「1Zen = 1円」のはずですが、昨年末には売り注文が追いつかず1Zenあたり5000円にまで跳ね上がっています。 [caption id="" align="aligncenter" width="1324"] Zaif発行のZen(ゼン)のチャート。[/caption] 対してハードペグ通貨は法定通貨と紐付けされているため、価格の変位はかなり小さいと言えます。 ですから、単純に法定通貨を仮装通貨市場上で保管したい場合は、USDCのようなハードペグの方が仮想通貨市場の相場の影響を受けにくいといえるでしょう。 それでは、なぜソフトペグ通貨が存在するのでしょうか?これはプロダクトにより意義が異なりますが、Daiであればレバレッジを掛けられる点にあるでしょう。 MakerDAOでは、イーサリウムを担保にし、Daiを経由することによってETH/USDペアにレバレッジを掛ける事ができます。 より簡潔に言えば、USドルをDaiで借りる事ができ、それをマージン運用できるという事です。 よって、USDCとDaiはそもそも競合する通貨ではない事がわかります。 まとめ USD Coinの特徴や類似通貨との違い、おわかりいただけたでしょうか。 USD Coinが今後どれくらいのスピードで開発が進むのか、また、Tetherとの信用獲得の競争は要注目です。 コンプライアンスの高さを長所として挙げるのはCircleだけに限らずどのプロジェクトでも同じです。 個人的な見解ですが、Circleにとって、今後USDCのサービス実施と共にいかに法整備・セキュリティ面での問題発生を防いでいくかがTetherに追いつくカギだと考えられます。
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2018/05/16Ripple最高技術責任者が辞任、新たなサービス「Coil」を展開へ
ボーダーレス・ペイメントの分野で世界中のメガバンクや取引所などと提携を組み注目を集めているRippleですが、ここで最高技術責任者(CTO)を務めていたStefan Thomas氏が辞任を発表したことがわかりました。 Thomas氏はRippleのCTOを辞任し、Interledgerを利用したマイクロペイメントおよびウェブサイト購読サービス「Coil」を設立したとMediumで発表しました。 Coilの正式なローンチ日程はまだ決まっていないとのことです。 Rippleからの支援も受けるCoilとは? 「資金・技術両面でRippleからの強力な支援を受けている」とされるCoilとは、一体どのようなプロジェクトなのでしょうか? Thomas氏のMediumによれば、Coilは広告等の代わりにウェブサイト購読サービスを展開できるサービスだとされています。 [caption id="" align="aligncenter" width="245"] Stefan Thomas氏 | ツイッターより[/caption] Coilが展開予定のサービスでは、「ウェブサイトを購読する」ことができ、サイト運営側は購読額に応じてプレミアムコンテンツなども配布できるとのことです。 購読料を得ることによりウェブサイト運営者は広告表示量を減らすことができ、ユーザーも広告を見ずに済んだり、広告の読み込み時間を短縮できたりといった利点を享受できるという仕組みです。 購読の決済に関しては、Interledgerと呼ばれる、複数アカウント不要で異なる台帳同士での決済が行えるプロトコルが利用されています。 ブラウザAPI「Web Monetization」を採用 Thomas氏によると、CoilはInterledgerを応用したブラウザAPI「Web Monetization」を世界初で取り入れるとされています。 未だ開発段階のため、明確な使用例等はまだ発表されていませんが、Githubに同プロトコルの主要なポイントが書かれています。 ウェブ運営側が簡単にセットアップできる ユーザー側は何もしなくて良い ユーザーのエージェント(ネットワークプロバイダなど?)がどのサイトにいくら払うか決められる ウェブ運営側がユーザーの購読額に応じてプレミアムコンテンツなどを設定できる ユーザーがウェブコンテントを利用する限り支払いは継続的に行われる 「ユーザーのエージェント」という表記がやや曖昧ですが、どうやらPatreonのようなユーザーが能動的にメンバーシップ購読を行うようなシステムではないようです。 しかし、このサービスが独立したプラットフォームではなくブラウザAPIであるのは、汎用性がとても高いのではないかと考えられます。 Coilと他の対広告系プロジェクトの違い 近頃、インターネット広告産業における問題点を解決しようとするプロジェクトがたくさん出てきています。 よく問題視されるのがユーザーデータの利用についてです。SNSなどから集められたユーザーの嗜好やその他様々な傾向がデータ化され、関連した広告が表示することに使われるというシステムが注視されています。 米アップルのCEO、Tim Cook氏は「(ネット上の無料サービスにおいて)あなたは顧客ではなく、商品だ。」と言及しています。 Wibsonなどはこの問題の解決案として、データ提供と引き換えにトークンを支払うプラットフォームを開発しています。 一方、Coilにはサービス提供者の収入源が購読料に変えることによりそもそもの広告表示量を減らす、というねらいがあります。 また、広告が大量に出回る大元の原因として、コンテンツクリエイターが広告やスポンサー以外から効率よく収益を得る方法がないことがあげられます。 この問題の解決案としてよくあるものが、SteemitやALISのような、ユーザーからの評価に応じてトークンが支払われる、というものです。 このシステムは個人ライターなどには適切かもしれませんが、ニュースサイトやブログなどといった独立したウェブサイトのクリエイターには適していません。 これに対しCoilが採用するWeb MonetizationはブラウザAPIであるため、どのようなウェブサイトも「購読料」という形で収益があげられるようになると考えられます。 まとめ Coilはまだ開発段階のプロジェクトで、詳細情報もあまり発表されていません。しかし、リップルからも大きな期待が寄せられているということで、Thomas氏はツイッターで次のように発言しています。 We’re fortunate to have strong financial and technical backing from @Ripple, who are the lead investors alongside me. This gives @Coil_ everything we need to kickstart a healthier Internet. Please read the blog and get in touch if you've any questions! 5/5 — Stefan Thomas (@justmoon) May 14, 2018 「リップルのような業界を先進する機関から資金・技術面での強力なサポートを受けられて幸運です。おかげで我々Coilは(広告の無い)より良いインターネット作りのためのスタートを切れます。」 今後のCoilの動向にも注目して行きたいですね。
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2018/05/15【Consensus2018】トークンエコノミーの将来に関するパネルディスカッションまとめ
5/14~16にアメリカNYで行われているカンファレンス『Consensus 2018』ですが、本記事ではトークンエコノミーに関するパネルディスカッションについてのまとめ記事になります。 本記事執筆にあたり、ライターである僕Shota(@shot4cyrpto)がライブ放送で耳にした内容に加え、CoindeskのNikhilesh氏のツイートを参考にまとめ、それぞれに対して僕の個人の見解を紹介していこうと思います。 ※まとめ記事であるため一部内容を割愛している点や、翻訳に微妙なニュアンスの違いがあるかもしれない点、あらかじめご了承ください。 トークンの分類について [caption id="" align="aligncenter" width="1900"] 引用元:Twitter[/caption] このディスカッションの始めではトークンがプロジェクトにおいてどのように使われているかに関しての意見が交換されました。 @mvparadigm氏によれば、現状ではトークンはfunctionality(機能性)とsecurity(証券)の二つの側面を持つと話します。 一部のプロジェクトは独自のプラットフォームを構築しトークンを問題解決のために役立てているケースがある中で、他方では資金調達のためだけにトークン化を行っているプロジェクトも多く存在します。 しかし、単純に証券トークンであることを認めたくないがためにプロジェクトにトークンを組み込もうとするものも多いですが、その設計はスキャムと呼んでも過言ではありません。 実際これらのトークンはユーティリティとしての役割を果たすには不十分であり紛れもない証券でしかありません。 これに対し@jenzhuscott氏は、プラットフォームで問題解決を図ることを目的として発行されたユーティリティトークンの50%がなぜチームや創設者側に分配されていくのか?と疑問を呈します。 shota プラットフォームの構築にある程度のコミットが必要な点やそのためのチームへの割り当てであることを考えると、いかにユーティリティとしてトークンエコノミクスのモデルがうまく設計されていたとしても証券とのハイブリッド型でしかないような気がします。 将来的なトークンの用途 更に@jenzhuscott氏は現状から考えられる将来の生活について言及していきます。 彼女は、将来500種類のトークンを使いこなして生活することが普通になるとは思えないと言います。 実際に中国では『トークン化』を行わずとも、既に数セント(数円)単位でのマイクロペイメントが浸透しているそうです。 @brianchoffman氏は、これに対し同意を見せつつも、いま最も『トークン化』においてアツい話題の一つはデータの所有権にあると語ります。 現状、データは会社によって保有され私たちの知らない場所で使われていますが、データのトークン化により会社ではなく私たち自身が保有者になることができます。 これにより会社は、いままで株主と自社のことを考えればよかったものが、今後はトークン保有者のことを考える必要が出てきます。 shota 先ほどの議論に関連して、ユーティリティと証券の二つの側面を持つことにより会社側はよりサービス利用者目線で動いていく必要に迫られるようになりそうですね トークン化が何を変えるのか? [caption id="" align="aligncenter" width="2048"] 引用元:Twitter[/caption] @brianchoffman氏は、更にこの構造の変化に関して、ボトムアップなものになってくるだろうと語ります。 ボトムアップとは システムや理論を作るとき、細目・具体的事実から全体を積み上げるような仕方で目的を達し体系化する方式・態度。 引用元:Google 先ほどの例において今までは、会社が個人情報を持つことができましたが、この個人情報がトークン化されることで、会社側はこれを得るために自社の利益だけでなく個々へのインセンティブが必要になってくるということです。 これに加えて、@jenzhuscott氏は、現代の資本主義は失敗であると言います。 トークンエコノミーは、企業と個人の一方的であった利害関係を再度整理しなおす最初のチャンスとなります。 トークンやトークンエコノミーの出現は、プロダクトやサービスとそれを利用するユーザーに最適な方法でインセンティブを与えることを考える、これまで存在し得なかったユニークな機会を提供することになるでしょう。 shota トークンエコノミクスにおいて重要なポイントであるインセンティブの付与はユーザー獲得の成功と表裏一体である気がします。これまで暗黙の了解であった金が金を生む仕組みにメスを入れる革新的なモデルですね まとめ トークンエコノミーやトークン化に関するパネルディスカッションでした。 トークンを発行しシステムに組み込むことで、今までユーザー側として見返りなしに提供していた一方でビジネスに利用されていた個人情報などに価値がつくようになります。 トークン化を図ったビジネスモデルにおいて、従来の株式を発行して株主のことを考えるモデル以上ににお互いにとってWIN-WINの関係(トークンエコノミー)を考える必要性が増していくのではないかと思います。
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2018/05/15STO(セキュリティ・トークン・オファリング)とは?ICOとの違いも交えて解説
STO(セキュリティトークンオファリング)とは、主に株式などの証券(セキュリティ)をブロックチェーン上でトークンとして発行することを意味します。 これらの技術は「ウォール・ストリートのレガシーシステムを変える」などと囃されていますが、技術・金融・法律の色々な側面が絡まりなかなか正確に理解しにくいコンセプトなっています。 こちらのページでは、セキュリティトークンの定義やSTOについて詳しく解説し、現在界隈をリードするプロジェクトなどを紹介していきます。 STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の正確な定義とは? STOは、ICOの衰退とともに2018年あたりから注目され始めた資金調達法です。 セキュリティトークン自体には様々なメリットがあるものの、STOは様々な法規制が絡まることでデメリットも出てきます。 セキュリティトークンの定義・メリット 現在ニュースなどで「セキュリティトークン」と言われる時は、次の3つのどれかを指すことが多いです。 セキュリティトークンを示す3つの用語 トークナイズドアセット(TA) あらゆるモノの所有権をトークンとして表したもの。 エクイティトークン(ET) トークナイズドアセットのうち、株式や債券などのセキュリティを表したもの。 その他 (主に米国で)法律上セキュリティに当てはまるトークンなど。 STOが意味するセキュリティトークンは一般的に2番目の「エクイティトークン」となります。 トークナイズドアセットやエクイティトークンの実用化には次のようなメリットがあります。 発行・流通プロセスの簡易化: ブローカー・ディーラー業務やコンプライアンス遵守などをスマートコントラクトやトークン規格を用いて自動化できる。 市場障壁の排除: 市場の24時間化や、国・地域で隔てられた市場を統合できる。 所有権の細分化(フラクショナル・オーナーシップ): 物理的にそれ以上細かく分けられない(不動産物件など)資産の所有権を細分化して取引できる。 詳しくは下記の記事でも解説しているので下記の記事も合わせてお読みください 【最新版】セキュリティトークンとは?定義と仕組みを徹底解説 - CRYPTO TIMES STOにおけるデメリットとは 一方、STOのデメリットとして懸念されているのが、国や地域によって「誰が投資できるか」や「いくら調達できるか」に制限が出てくることです。 例えば国やプラットフォームによっては、特定以上の年収、資産を持つ個人・法人(適格投資家)のみがSTOに参加できる、などといった規制があります。 また、国の法律によっては調達してよい額に限度があったり、不特定多数の投資家に投資を呼びかけることができる・できないといった制限もあります。 STOのプロセスを米国の例で紹介 米国で証券を発行する際には、登録届出を行うか、免除規定を利用するかといった2通りにわかれます。 前者は数億円相当のコストがかかるため、スタートアップの多いブロックチェーン系企業には向いていません。したがって、一般的には免除規定を活用したトークン型証券発行が選択肢に残ります。 STOに利用される「レギュレーション」と呼ばれる免除規定には、D、A+、Sと呼ばれるの3つのカテゴリが存在します。 レギュレーションD: 調達限度額は存在しないが、適格投資家のみしか対象にできない(例外あり)。 レギュレーションA+: 非適格投資家を対象にすることができるが、審査に時間がかかる。 レギュレーションS: 国外投資家を対象にすることができる。 STOの大きなデメリットは、このように対象となる投資家や調達額に制限が生まれる点にあるといえます。 必ずおさえたい: STOはICOの上位互換ではない STOについて知っておくべき点の中で最も重要なのが、STOはICOの上位互換ではない、ということです。 STOは、モノの所有権をトークン化したもの、特に企業の所有権(=株式)をトークンとして表したものを発行・販売する資金調達法のことを指します。 一方、ICOで主に取り扱われるのは、ブロックチェーンネットワークのサービスを利用する権利を表すユーティリティトークンです。 もちろん、ICOで実質的なエクイティトークン(ET)などが取り扱われてこなかった訳ではなく、各国で規制が強まるにつれ、ETにはよりコンプライアンスに特化した「STO」という別個の資金調達法を設けた、と考えるのが正しいでしょう。 STOを取り巻くエコシステムを解説 [caption id="" align="aligncenter" width="706"] ソース: THE BLOCK[/caption] ここまででは、各トークンの定義を紹介した上で、STOの仕組みを解説してきました。この項では、実際にセキュリティトークン(TA/ET)の発行・流通に取り組んでいるプロジェクトをいくつか紹介していきたいと思います。 STOに関連する事業は、大まかに2つに分けられます。 ひとつは、セキュリティトークン(TA/ET)の発行を代行する事業です。コンプライアンス・法律の遵守をサポートし、アセットをプライマリマーケット(発行から初めて投資家の手に渡る市場)を確立します。 もうひとつは、トークナイズドアセットやエクイティトークンを取引するセカンダリマーケット(すでに発行されているアセットを取引する市場)を提供する事業です。 主なセキュリティトークン発行プラットフォームを紹介 Polymath Polymathの概要 主な業務 セキュリティトークン発行プラットフォームおよびマーケットプレイスの運営 特徴 セキュリティトークン規格「ST-20」を提供している Polymathのアプローチは、STOの実施やセキュリティトークンの取引に際し発生する各種コンプライアンスを、トークン規格として規格化してしまう、というものです。 同社は、イーサリアムのERC-1400規格と統合予定の「ST-20」と呼ばれるセキュリティトークン規格を提供しており、同規格には、発行されたセキュリティが法規制に則っていることを自動で確認する機能がついています。 具体的には、セキュリティがウォレットを移動する際に、その初期保有期間(通常12ヶ月)を満たしていることや、売り手のKYCが最新であること、買い手がホワイトリストに入っていることなどがチェックされるようになっています。 Securitize Securitzeの概要 主な業務 セキュリティトークン発行プラットフォームの運営 特徴 サードパーティがニーズに応じたツールを提供できるモジュラープラットフォーム Securitizeは、証券のライフサイクルの大元となる発行プラットフォームを自社で提供し、流通プロセスにおける他のパートはサードパーティが開発するDApps(SecuritizeではDS Appsと呼ばれる)で補完する、というものです。 これは、配当の配布や株主の投票といった機能を実装するDS Apps(スマートコントラクト)や、セキュリティの取引を行う取引所を「モジュール(後付けのパーツ)」として、Securitizeが提供する発行母体にくっつけていく、という感じです。 プロダクトのコアとなるトークンはデジタルセキュリティ(DS)トークンと呼ばれるERC-20トークンとなっています。 OWN OWNの概要 主な業務 セキュリティトークン発行プラットフォームの運営 特徴 デュアルチェーンによるプライバシー強化 他のエクイティトークン発行プラットフォームとはまた異なるプロダクトを提供しているのがOWNです。 コンプライアンス遵守もサポートしたエクイティトークンの発行というは他と一緒ですが、OWNではデュアルチェーンシステムを設けている点が大きな特徴です。 取引データをパブリックチェーンに、プライマリ市場における投資家データをプライベートチェーンに分けて保存することで、個人情報の安全性を高めています。 また、OWNは独自アプリケーションなどのプロダクトができあがっている点も特筆に値します。 HARBOR Harborの概要 主な業務 セキュリティトークン発行プラットフォームの運営 特徴 証券発行からセカンダリ市場までのインフラ整備 アセットの発行からセカンダリマーケットまでのインフラ整備に力を入れているのがHarborです。 エコシステムで利用されるRトークンはERC-20トークンで、他のプラットフォームと同様に、トークンレベルでのコンプライアンス遵守を掲げています。 また、HarborではREITなどの投資不動産のトークン化に特化している点も特徴です。 主なセキュリティトークン取引プラットフォームを紹介 tZero tZeroの概要 主な業務 セキュリティトークン取引プラットフォームの運営 特徴 大手通販会社Overstockの子会社である セキュリティトークンの取引サービスに特に力を入れているのが、米通販大手Overstockが提供するtZeroです。 自社株の一部を自らSTOで発行したtZeroは、今年2月に機関投資家のみを対象に取引サービスを開始しました。 Overstockはクリプトやブロックチェーン技術にかなり前向きな大企業として、ビットコインでの納税やクリプトファンドの運営なども行なっています。 SIX Swiss Exchange SIX Swiss Exchangeの概要 主な業務 セキュリティトークン取引プラットフォームの運営 特徴 スイスの証券取引所 次期セキュリティトークン取引プラットフォームとして注目すべきが、スイスの証券取引所であるSIX Swiss Exchangeです。 クリプトフレンドリーな国はスイス以外にもたくさん存在しますが、国の証券取引所がセキュリティトークン取引所のローンチをアピールしている点はなかなか面白いと思います。ローンチは2019年内に予定されています。 同取引所ではすでに暗号資産の上場投資商品(ETP)も取り扱っています。また、不動産がセキュリティトークンとして取引された事例(SIX Swiss Exchangeを介してではない)もすでにあります。 OpenFinance Network OpenFinance Network (OFN)の概要 主な業務 セキュリティトークン取引プラットフォームの運営 特徴 インターオペラビリティ重視・ベテランチーム OpenFinance Network (OFN)は、トークナイズドアセットのセカンダリ取引に関する規格やAPIの開発に取り組むプロジェクトです。 金商業界のベテランたちによって結成されたチームは、PolymathやHarbor、Securitizeなどともパートナーシップを結んでいます。同取引所は、一般投資家が投資に参加できることも特徴です。 まとめ 本記事では、セキュリティトークン(ST)の定義とセキュリティ・トークン・オファリング(STO)の現状を解説し、STの発行・流通プロセスにおける現在主要なプロジェクトを紹介してきました。 一般的にはエクイティトークンを発行・販売する資金調達法をセキュリティ・トークン・オファリング(STO)と呼び、これには以下のような特徴があると解説しました。 ICOの上位互換ではない。 適格投資家制限や調達上限額などあり。 米国ではユーティリティトークンがセキュリティとみなされるにつれ、STOの定義がさらに曖昧になりつつある。 参考記事一覧 Digital Securities Market Research 2019 by Kepler Finance - Kepler Finance What are Security Tokens? - Blockgeeks Mapping out the Security Token Ecosystem - THE BLOCK Will STOs (security token offerings) rule over ICOs in 2019? - Hackernoon Security Token Offerings (STOs) — What You Need To Know - Hackernoon セキュリティトークンのエコシステム概観 - Unknown Programmer's Blog
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2018/05/14そのプロジェクト、本当にブロックチェーンが必要ですか?ICOでお金を集めたいだけじゃないですか?
Crypto Times公式ライターのYuya (@yuyayuyayayu)です。 とても初歩的な質問ですが、ブロックチェーンは、なぜここまで人気なのでしょうか? 「ブロックチェーンが革新的な技術だから」というのはもちろんですが、それと同様に「資金が集まりやすいから」というのがとても大きいのではないでしょうか。 言い換えれば、ブロックチェーン系のビジネスは資金的に参入しやすい、ということです。 このため、ブロックチェーンを応用したプロジェクトのためにICOを行うのか、それともICOがしたいから既存のビジネスモデルにブロックチェーンを組み込むのか、の見分けがつきにくくなっています。 今回の記事では両者がどのように違うのか、また、ブロックチェーンが真に活躍できる分野はどこなのかを解説していきたいと思います。 なぜ今企業がブロックチェーンを取り入れたがるのか? 最近のトレンドとして、既存のビジネスモデルにブロックチェーンを付け加えるプロジェクトがたくさんあります。中には、ブロックチェーンやトークンの必要性を疑うようなものが数多くあります。 このようなプロジェクト全てがブロックチェーンを無理やり組み込んでいる、とは一概には言えませんが、大企業やスタートアップがブロックチェーンを取り入れたがっているのは確かです。 その結果、「ブロックチェーンのためのICO」なのか「ICOのためのブロックチェーン」なのか、プロジェクトチームの意図が曖昧に見えてきてしまいます。 これにはどういったわけがあるのでしょうか? 企業はどうしてもICOを実施したい 上記のようなブロックチェーンを組み込んだビジネスモデルが全て「お金目当て」などと言っている訳ではありません。 ブロックチェーン自体まだ発展段階の技術ですし、数多くのスタートアップは真っ当なビジョンを持って同技術の応用を試みているはずです。 しかし、ベンチャーキャピタルなどと比べ規制が緩く、より広い投資家層を得られるため、ICOを行うことのできるプロジェクトはビジネス参入への壁がかなり低くなります。 ICOを統計とともに振り返る - CRYPTO TIMES ですから、多くの企業は「ICOで資金が集まるならブロックチェーンを使って何かやってみよう」という考えに至るものと思われます。 これはもちろん技術や市場の発展に貢献しますが、一方で投資家は、ブロックチェーンが適切な場面で使われているか、を見分けなければなりません。 話題の技術は言葉だけでお金になる 昨年末、Long Island Iced Teaという飲料品会社が社名をLong Blockchainに変更したことにより株価が290%上昇する、という事例が起こりました。 ブロックチェーンなどの話題な技術は、プロダクトに関係なくともその名前を載せるだけで大きなスペキュレーションや広告効果を生み出します。 また、ブロックチェーンに加えて、「AI」「ビッグデータ」「マシーンラーニング(機械学習)」などといった単語をプロダクト前面に押し出すプロジェクトや企業もたくさんあります。 [caption id="" align="aligncenter" width="1000"] それっぽい画像と言葉だけで、なんとなくすごく見えてしまうのだ。[/caption] このような最先端技術は当然、あまり世間で深く理解されているものではありません。よって、そういった技術が使われているというだけで注目が集まります。 しかし、このような技術が使われていることは良いですが、それが適切な分野に応用されているかを見落としてはなりません。 ブロックチェーンが本当に活躍できる分野はどこか 前項にも記述した通り、ブロックチェーンはどんな分野にも応用できる技術ではありません。 「ブロックチェーンの良さ」が活躍できる分野に応用されなければ、短期的にはICO等での収益が見込めても、長期的にはプロダクトとしての良さが残りません。 ここでいうブロックチェーンの良さとはいったい何なのでしょうか。 BitfallsのBruno Skvorc氏は、プロジェクトが解決する問題が以下のどれかに当てはまる場合は、ブロックチェーンの利用が適切であるといいます。 透明性の確立: 第三者、および個々人にデータの信頼性を監視させる必要がある場合。例: 不動産の所有権の管理など 不変性の維持: データを半永久的に保存し、かつ物理的/ネットワーク上の攻撃から容易に復帰できるようにしたい場合。例: 犯罪歴や学歴の記録など グローバリゼーション: 銀行等を介さずに世界中からの決済を受け付けたい場合。例: 優先電話等を経ずにデータサービス付きの携帯電話を導入した発展途上国など 信用の確保: 第三者を介せずに、一定の条件を満たすと資産が取引されるシステムが必要な場合例: スマートコントラクト 金融的自由: 政府にコントロールされない金融システムが必要な場合 どれもブロックチェーンやスマートコントラクトの基本的な利点を挙げているだけに過ぎませんが、実際のビジネスモデルと比較するとこのような点はとても見落としがちです。 まとめ ICOがビジネス参入を容易にする画期的な資金収集法であることはとても良いことだと思います。 ベンチャーキャピタルなどと同様、このような資金収集法が現れると、数々のスタートアップが現れ新たなビジネスモデルの開拓を始めます。 もちろん、短期的な成功を収めるプロジェクトもあると思います。 しかし、投資家などICOを精査する側としては、こういったビジネスモデルが長期的に生き残るのかを見極めなければなりません。 ここで大切になってくるのは、やはりブロックチェーンが適切に応用されているかということでしょう。
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2018/05/12史上最大規模のPUMP!?BytecoinのBINANCE上場を徹底検証
こんにちは。Shota @shot4crypto です。 先日、BinanceにBytecoin($BCN/バイトコイン)が上場しましたが、海外のコミュニティではこの上場に関して何か裏で行われていたのではないかという意見や疑問が散見されます。 本記事ではBytecoinの基本情報を抑えつつ、今回の急激な価格上昇の原因について一般人のできる限りの範囲で検証していきたいと思います。 ※仮想通貨史上最も大規模でうまく調整がなされたPump and Dumpスキームであるという噂を本気で検証していく記事になっているためボリュームが大きくなっています。また、あくまで可能性についての検証ですので、必ずしも事実とは限らないこと、以上二点のみあらかじめご了承ください。 Bytecoinの概要 Bytecoinは2012年から存在する初めてのCryptoNoteのアルゴリズムを採用した通貨として知られています。 MoneroやZcash, Dashなどのコインと同様にユーザーのトランザクションや送信者のアドレスを隠す匿名通貨の一つです。 2014年に誕生したMoneroはBytecoinからのフォークコインでこれは、82%のBytecoinがプレマインの状態で見知らぬ誰かに保有されている集権的な通貨であるという事実に基づく合意により行われました。 【仮想通貨】Monero(モネロ) /XMR の特徴・仕組みを徹底解説 - CRYPTO TIMES BytecoinのBinance上場に関して BytecoinはBinance上場で、これまでの上場後の価格上昇率の記録を大幅に上回る130%の上昇を記録しました。 以下の文章は米Redditに投稿された文章の抜粋になります。 So let me first briefly tell you what happened. Earlier today BCN was trading at around 72 satoshi on both HitBTC and Poloniex, quickly increasing 30% when the news of the Binance listing came along. It opened on Binance at around 300 satoshi and over the past few hours the price has risen to 2320 satoshi on Binance, whereas the current price on HitBTC and Poloniex is at 190 satoshi. To put this into perspective, the circulating supply of BCN is 183,878,867,869 (taken from CMC), whereas the current price on Binance is 0.22$. This puts BCN on a market cap of 40 billion $; right on the third position, between Ethereum and Ripple. よくわからないのでテーブルにしてみました。 Binance上場前 Binance上場直後 最高値 Polo/HitBTC 72satoshi 190satoshi ~200satoshi Binance - 300satoshi 2320?satoshi Binance上場前~上場直後 Binance上場のアナウンス前、PoloniexやHitBTCではBytecoinは72satoshi付近で取引されていました。 そして上場時、BinanceではPoloやHitBTCなどの今回の価格上昇全体での最高到達値を大幅に上回る、300satoshiから価格が設定されていました(この時点で少し違和感)。 https://twitter.com/notsofast/status/993844053392453632 噂では、Binanceの上場は10万ドル(FIATかトークンかは不明)でなんとかなってしまうなどの話もあり、今回は総供給量の1800億枚のBytecoinのうち6~7億枚がBinance側に渡されたのではないかと言われています。 Binance上場史における過去最大の価格上昇 さらにその後Binanceでは最高2320?satoshiを記録したと書かれています。が以下のチャートでは10000satoshiを記録しています。 これだけで考えても①Binanceのみでの時価総額は 1800億枚*10000satoshi(約100円) = 18兆円(時価総額)という計算です。 ②仮に2320satoshiであるとしても 1800億枚*2320satoshi(25円) = 4.5兆円(時価総額)となります。 ①のシナリオの場合の時価総額はBitcoinを抜いて1位、②のシナリオの場合の時価総額はEthereumに次ぐ3位ということになります。 通常の取引のみでこの価格上昇が起きたと考えるには実に不可解です。 Bytecoinの本件に関する検証 今回のBinance上場においての気になる点をRedditでの投稿やツイートなどを参考に以下にもう一度(新たに)まとめてみます。 I’ve been following it closely and found that withdrawals from HitBTC and Poloniex were not working nor was the BCN webwallet. When checking their blockchain explorer we find that no new blocks have been mined for the past 2 hours. The trading on BCN started at 06:02 UTC and since that time only 46 blocks have been mined, containing a total of 997 transactions. The number of transactions that went through seems very small for a coin that just went up over 32x in a few hours. Reddit Satekroketje氏 @binance why didn't you enable deposits of $BCN first before the actual trading?? You should have opened deposits first for some hours then the trading should have begun.@cz_binance scammy AF Twitter @rahulga12828116 Bytecoin自体に致命的なバグが存在した 上場前2時間で997トランザクションを含む46ブロックしか確認できなかった 上場後取引が可能になる前にBinance側でBytecoinのデポジットを受け付ける期間が設けられていなかった 更に、上場前にPoloniexやHitBTC, Bytecoinのウォレットからの引き出しができない状態であった Binance上場に際して、6~7億枚相当がBinance側に渡っていた?(噂) この事実や噂から、今回の急騰から暴落までの背景に何があったのかを推測していきます。 (以下は、僕個人の意見を交えた推測となるため、事実とは異なる可能性がありますが、ご了承ください。) 分析と推測 記事の冒頭でも述べた通り、Bytecoinは2014年時点で一部の者が82%を保有していた事実が発覚したため、Moneroへとのフォークが行われました。 第一に、この急騰直前に行われたトランザクション数、生成ブロック数を見ても、明らかに32倍になるポテンシャルがあった、コインが過小評価されるに値する何かを持っていた、と考えるのは難しいです。 第二に、以下の画像はPump and Dumpの基本的なチャートパターンを示したものになります。 [caption id="" align="aligncenter" width="1024"] 引用元:https://captainaltcoin.com/crypto-pump-dump/[/caption] そして今回のBytecoinのチャートはこちらです。(Poloniex) 見比べていただければわかると思いますが、二つの画像がほぼ完全に一致しています。 画像内キャプションも推測でしかありませんが、Poloniexでは、5/3に急激な出来高の上昇が観測されています。 おそらく、この時点で何らかの形でBinanceへの上場が決定した、もしくは今回の仕手側の人間の仕込みが完了したと捉えることができます。 以上の事実から可能性として、BinanceだけでなくPoloniex側でも仕込みが行われていたということになります。 その後Binanceへと上場、PoloniexやHitBTCなどの取引所とBinanceのBytecoinの価格剥離は10倍以上に広がりました。 導き出される結論 上述の分析・検証から、以下の事実を結論として導き出しました。 Pump and Dumpの典型的なパターンに酷似しているため、この可能性が濃厚である 5/3にBinanceへの上場が決定していた可能性がある →インフルエンサーのプロモツイートの代わりにBinance上場がカギとなった Binanceのみでなく、Poloniexなどでも少額の仕込みが行われていた →枚数を分割して様々な取引所で仕手側が捌いていた可能性がある 本件に対するBinance側の対応 本件に関して上場後、BinanceのCEOであるCZ氏はこの急騰の事後で以下のようなツイートを残しています。 https://twitter.com/cz_binance/status/993905509789937664 Bytecoinのデポジットの不具合とネットワークにおける問題に関して言及しています。 しかし、これはPoloniexやHitBTCとの価格差が10倍以上に膨れ上がったことから、他の取引所からの(アービトラージを狙った)デポジットが殺到してネットワークが混雑しただけと考えられます。 よって、公式側からはBytecoin上場に関する点へのコメントはなかったことになります。 BinanceはCentraの上場廃止などはしっかり行っていることから、法律に触れる動きに関してはきちんと対処していく様子はうかがえますが、一方で今回のような上場は見過ごしている点は少し不可解ではあります。 まとめ 長くなってしまいましたが、あくまで僕個人の見解としては、今回のBytecoin上場はインフルエンサーの影響力の代わりにBinanceの影響力をうまく生かした巧妙なPump and Dumpであったと考えます。 だから何って話かもしれませんが、仮想通貨には金融商品に対する法律が適用されません。 こういった上場に巻き込まれない、もしくはこれをうまく利用していくためには、こういった仕掛ける側の動向を忠実に分析していくことが重要であると思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました!Twitterのフォローもおねがいします!
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2018/05/11ブロックチェーンは銀行を殺すのか?有識者の見解まとめ
こんにちは、kaz(@kazukino11111)です。 少し前に書かれたこちらの「Will blockchain kill banks? Or financial sector can use this technology to improve its efficiency?(ブロックチェーンは銀行を殺すのか?もしくは金融機関はそれを効率化に繋げられるか?)」という記事なのですが、気になる内容が書かれていたので、この機会にみなさんにシェアしたいと思います。 この記事ではブロックチェーンと銀行の未来について数々の有識者の意見がまとめられています。 有識者たちのブロックチェーンと銀行に対する見解 James Song(Exsulcoin 共同設立者兼CEO) (ブロックチェーンが銀行を殺すのは)可能である。 金融業界はいつの時代も規制当局と共にある。それは誰も不注意でテロや人身売買を間接的に支援したくないからだ。だから法が存在し、そうならないように守ってくれている。ブロックチェーンが銀行を殺すのは可能性としてありえる。私たちは実際にそれに挑戦してきた。ATMの台頭で銀行窓口から人が消えると思われたが、現在は今までよりも多くなっている。これを理解した時に銀行は消えるだろう。 Mihail Lala(WAWLLET Enterprises Limited 設立者) 銀行を殺すのではなく助ける。 ブロックチェーンテクノロジーは銀行を殺すのではなく助けることになる。銀行というものは信頼性があり、強固な存在だ。そのため、政府とも協力することができる。銀行は単なる仲介者以上の存在であり、それらが消えるとは考えにくい。銀行は数十年前に設計され、現在のテクノロジーに置いてけぼりにされていることは事実だが、市場がそれを求めれば彼らは素早く順応する。 Chris Keshian(Apex Token Fund 共同設立者) 近い将来ではない。 金融業界から仲介者が消えるということは起こりうるがそれは近い将来ではない。 Moshe Joshua(Blackmoon Crypto CPO) No 仮想通貨が実用性を探求し続け、相対的な価値しか持たない限りは銀行は認可された法定通貨へのゲートウェイとして存在するだろう。商品を機能的に購入する方法がない限りは仮想通貨は単なる別の支払い方法の一つにすぎない。 Grant Blaisdell(Coinfirm 共同設立者兼マーケティングチーフ) 殺さない。統合する可能性の方が高い。 ブロックチェーンは銀行を殺さない。銀行は統合もしくは、適応するだろう。ブロックチェーンはシステムに革命を起こして多くの仲介者を排除するかもしれないが、だからといって社会が人間による信頼できるセグメントを必要としなくなるというわけではない。この業界は銀行や金融機関が親密かつ人間的な信頼を持ってこそ社会に認められている。この場合、暗号通貨のヘッジファンドなどは必要なくなる。 Nick Martyniuk(WePower 共同設立者兼CEO) 殺さない。ブロックチェーンは新しい機会を与えるだろう。 私は革新を破壊的な力だと考えるのが嫌いなので、銀行が殺されるとは思わない。私はブロックチェー ンはインターネットのように新しいビジネスの機会を提供し、新たな収益モデルが出現するだろう。 これらの波に乗ることができる銀行はさらにその存在を強固なものにし、自身に新たな付加価値を付け加えることができるだろう。革新は新たな機会であり、破壊ではない。 Vadim Onishchenko(Selfllery CEO) それは可能だ 銀行は政治や立法などのプラットフォームを使って利益を上げてきていた為、多くの金融機関がブロックチェーンを嫌っている。そして彼らは大きな壁にぶつかるだろう。 まとめ みなさんの意見と有識者の意見は同じでしたでしょうか?もちろん人数が人数なので賛成派と反対派に別れていますが、どの意見に関してもそれなりの根拠があるので納得できそうなものが多いのではないでしょうか。 しかし、金融機関や銀行が抱える問題もブロックチェーンが解決するという構図はすでに出来上がりつつあり、これに対して銀行がどう動くかによって未来は変わってくるでしょう。 kaz 個人的には金融機関と銀行が互いに歩み寄ればいいと思います
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2018/05/10ママコイナー主婦ミーの仮想通貨ニュース振り返り!【4月まとめ】
ママコイナーのミー(@me_memechan)です。 第二回となるまとめニュースです。前回と引き続き、1ヶ月間に起こった仮想通貨界を揺るがした大きなニュースを振返ってまとめています。 先月の4月は、ヤフーの参入やビットコイン100万円台回復など、何かと良いニュースが多かったように思えます。 細かな仮想通貨ニュースは『主婦が仮想通貨で生活するブログ』で毎日更新しているので、そちらも遊びに来てくださいね。 4月の仮想通貨ニュースまとめ 2018年4月は何があったか覚えていますか?マネックスのコインチェック買収のニュースも世界中を騒がしましたね。 また相場もかなり回復傾向だったので、「なんとか元気を取り戻した」という方も多かったのではないでしょうか。 今回は、2018年4月に起こった5つの大きなニュースを振り返りたいと思います。 マネックスグループがコインチェックを買収 4月で最も大きなニュースと言えばマネックスがコインチェックが買収したニュースではないでしょうか。 このニュースが出た瞬間にマネックスの株価はストップ高にまで跳ね上がりました。 仮想通貨市場はもう終わりと言われながらこれだけの反応があるということは、まだまだ仮想通貨市場もこれからということですね。 またマネックスとコインチェックの合同会見では、「全てのサービスの再開は約2ヶ月後を目指す」と発表があったので6月の初旬には全サービスが再開されているかもしれません。 コインチェックのNEM不正流出事件はショッキングでしたが、これからはマネックスという経験豊富な一部上場企業のもと安心安全な経営体制が敷かれることを願っています。 ヤフーが仮想通貨事業に本格参戦 3月のニュースまとめでも4月の気になるニュースとして取り上げていたヤフーの仮想通貨事業参入ですが、秋ごろに子会社を通じて資本参加することが発表されました。 ご存知のようにヤフーはソフトバンクグループの連結子会社になるので、資本やセキュリティといった面でも申し分ない大企業です。 どのような仮想通貨取引所になるのかはまだまだ未定ですが、今から楽しみですね。 ヤフーの取引所が開設される頃には、SBIVCの開設などもあるので、運営元がしっかりとしている大手の参入は嬉しいニュースです。 フランスで仮想通貨の税金が大幅減税 海外のニュースですが、フランスの仮想通貨にかかる税金が、最大45%から一律19%に大きく引き下げられました。 またフランスでは、ICOを推進するための法律も検討しているという報道もあり、仮想通貨の規制に対して世界のリーダー的存在になることを考えているようです。 周知のことだとは思いますが、日本の仮想通貨の利益にかかる税率は住民税を入れて最大で55%です。 日本で1億円の利益が出たとしても5,500万円が税金で消えていくので、「なんのためにトレードを頑張っているのか分からない」という声をよく聞きます。 確かにこのままだと日本は、世界から置いてけぼりをくらってしまうので一刻も早く税制の改正をしていただきたいと強く願います。 ビットコインが100万円台に回復 もう記憶も薄れていると思われますが、4月の初旬はビットコインは70万円台でした。 3月は仮想通貨市場でも悪いニュースが多く、ビットコインをはじめ、どの通貨も下降トレンドに入っていました。 しかし、4月に入ると明るいニュースも多くなり、価格も回復していき4月24日には遂に日本円で100万円台にまで回復しました。 これは3月12日以来になるので、約1ヵ月以上もビットコイン価格は衰退していたということになります。 価格が大きく回復した要因はハッキリとは分かっていませんが、「アメリカの納税売り圧が終わった説」「イスラム法のビットコイン容認説」等が挙げられていました。 いずれにしてもマイナスな膿を出し切り、プラスに転じたと切り替えてもよさそうですね。 ビットコインキャッシュが絶好調 4月はどの通貨も価格が回復傾向にあり、調子は良かったのですが、強いてあげるならビットコインキャッシュ(BCH)の調子が特によかったように思えます。 4月のビットコインキャッシュの価格上昇には、中国のマイニングプールAntpoolがBCHのマイニング収益の一部をバーン(burn)していることが分かったことが大きいようです。 また5月15日頃にはブロックサイズを拡大するハードフォークを控えているので、通貨の性能アップの期待からか現在も価格を好調に伸ばしています。 メジャーなアルトコインでは5月も価格が大きく動く可能性があるので、ビットコインキャッシュからは目が離せませんね。 5月からの仮想通貨ニュースについて ここでは取り挙げていませんでしたが、4月のニュースには期待されていたサイバーエージェントの取引所断念というニュースや、クラーケン取引所の日本撤退というニュースもありました。 これはもちろん、日本の金融庁の規制や取締りの厳しさからの断念と撤退となります。 正しい規制やルールというものは絶対に必要になるものですが、リスクを恐れるがあまり全てを締め出してしまったら、爆発的に伸びている仮想通貨経済を止める足かせになってしまいます。 また上記の税金面でも書いていますが、日本だけが取り残されてしまうということも起こりえるので、しっかりとした調整を行った上で正しい規制とルール作りを行ってほしいものです。 5月でも金融庁や規制のニュースは度々出てくるとは思いますが、そういったことろにも注視していきたいと思います。
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2018/05/09Waves(ウェーブス)のトークンプラットフォームとしての価値とは
こんにちは、kaz(@kazukino11111)です。Wavesのトークンプラットフォームとしての価値について書いている記事があったので翻訳してみました。 最近ICOの数も増えてきて注目を浴びているWavesですが、その魅力とは一体どこにあるのでしょうか。 この記事の3つのポイント! 1.Wavesはコードがかけなくても簡単に利用できる 2.その構造化された体系から今までの問題に対処できるシステムを構築 3.Waves曰くWaves platoformは世界最速のブロックチェーンネットワーク 記事翻訳元:Medium Wavesのトークンプラットフォームとしての魅力 WavesはユーザーにWaves Blockchain上でトークンを作成して発行、配布することを可能にする暗号通貨プラットフォームです。 トークンは発行直後から分散型取引所のWaves-Dexで取引が可能になるので、難しい知識や煩雑な書類手続きなどは一切必要ありません。そのシンプルなユーザーインターフェイスとトークン発行の手軽さからコーディングの知識がない人でも簡単に利用が可能となっています。 これまでのスタンダード、イーサリアムを超えられるのか 今までICOを行うプラットフォームといえばイーサリアムが一般的でした。しかし、イーサリアムの固有の問題はそのコンセンサスメカニズムに対する非構造化アプローチです。 将来予定されているフォークは価格の変動をもたらし、コミュニティを試すことになります。このような不安定性はプラットフォームとしては歓迎されるものではなく、開発者に大きな不安要素を抱かせることとなっています。 そしてWavesはこの点において、イーサリアムを圧倒しています。Wavesには構造化された運用方法の他に、統合された支払いゲートウェイ、さらには堅牢な規制フレームワークを備えています。ウォレットの作成手順はもちろん、取引を処理するためのマイニング機能をリースするための手順も非常にシンプルなものになっています。 Wavesトークンの時価総額は700万ドルを超え、大幅な価格上昇を記録しています。それを受けて、最近Wavesは自らを「世界で最速のブロックチェーンネットワーク」と呼び始めました。 処理能力はETH、BTCをはるかに上回り、さらなる新機能を実装へ Wavesはネットワークのストレステスト(ネットワークの処理能力を測るテスト)において、150トランザクション/秒を記録しました。一方のビットコインは3から4トランザクション/秒、イーサリアムは20トランザクション/秒に留まっています。 さらに2018年に入ってからWavesにはいくつかの新しい新機能が搭載され、今後資金調達プラットフォームの頂点になるとされています。 Forbes:Wavesは世界的に最速のブロックチェーンプラットフォームになる Venturebeat:Wavesが世界最速のブロックチェーンプラットフォームをローンチしたと発表 Wavesのもう一つの強みは、他のブロックチェーンが直面していた課題から学び、構造化された方法を用いてプロジェクトを構築するチームの能力にあります。Wavesが分散型取引所を開始した後、彼らは以下の項目を自分らでチェックする規制機関を創設しました。 報告 法務 KYC まとめ Wavesはかなり規模が小さい頃から注目していましたが、着実に成長を遂げてきていますよね。イーサリアムではそれなりの知識が無いとトークンの発行はできませんが、コードを一切書けなくても利用できるというのがWavesの最大の魅力だと思います。 今後もWavesの可能性に要注目です!
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2018/05/08ICOの増加スピードを可視化した動画が公開!調達額1位はPetroに
Youtube上に2014年1月から2018年3月までの期間で10万ドル(約1100万円)以上を調達したICOを可視化した動画がアップロードされ、注目を呼んでいます。 ICOの規模は右肩上がり 動画はElementusというアカウントによって、アップロードされており、歴代のICOが一目でわかるようにビジュアル化されています。 この動画によると、2017年後半から直近にかけてICOの件数が爆発的に増えていることがわかります。2018年には歴代でもトップを争う巨大ICOが複数件行われており、累計調達金額を一気に押し上げています。 2017年の調達額ランキングTOP3 第3位 Filecoin 調達金額:280億円 Filecoinは個人間で余ったストレージの貸し借りを可能にするサービスに付随するトークンです。ICOは条件付きで大口投資家のみの参加に限られましたが、巨額の資金を調達しました。 第2位 Hdac 調達金額:282億円 Hdac(ヒュンダイダック)は名前の通り、韓国のヒュンダイに関係する仮想通貨です。Hdacはブロックチェーン3.0を目指し、IoTデータの統合やIoTデバイスの相互認証などを開発するためのプラットフォームを展開します。 特許を取得したオリジナルの技術を採用しており、安全性も高いと評判です。 第1位 Dragon 調達金額:349億円 Dragon Coinはカジノゲームにおいて使われるトークンです。Dragon Coinをカジノ用のチップであるDragon Global Chipsに交換することで、提携先のオンラインカジノで使用することができます。 また、カジノゲームの賞金や、カジノ運営の利益の一部の還元をDragon Coinとして受け取ることができます。 2018年の調達額ランキングTOP3 第3位 Telegram 調達金額:1850億円 TelegramはTON(Telegram Open Network)というブロックチェーン技術を利用したプラットフォームと、これを利用するメッセージアプリ、Telegramを展開しています。 こちらもプライベートICOのみで参加者は大口投資家に限られましたが、2回のプライベートセールで巨額の資金を調達しました。 第2位 EOS 調達金額:2730億円 EOSはイーサリアムのように、スマートコントラクトを利用して分散型アプリケーションを作ることに特化している仮想通貨です。EOSのトランザクションスピードは1秒間に数百万件で、使用料も無料となっています。 現時点ではトークンの使い道が明示されている訳ではないですが、今後様々なところで使えるようになることに期待が集まっています。 第1位 Petro 調達金額:5460億円 おなじみPetroはベネズエラ政府が公式に発行した仮想通貨で、ハイパーインフレ下にあるベネズエラ経済で法定通貨の代わりとして機能することが期待されています。 最近では、政府がPetroを使った仮想通貨銀行の立ち上げを計画しているというニュースもありました。 しかし、アメリカなど一部地域では政府からPetroを購入しないようにという通達が発表されており、購入者は限られると見られていましたが、ICO歴代最高の金額を記録しました。 まとめ 2017年のランキング1位のDragonですら、2018年の第3位であるTelegramの半分以下の規模ということからもICOの規模が爆発的に拡大しているということがわかるでしょう。 今後もこの流れは続くと見られていますが、最近では大口投資家に対象を絞ったICOが多数登場している点も要注目です。 kaz ICO周りの法整備が進めばさらに規模は大きくなりそう